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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] リリカル編02
Name: よよよ◆fa770ebd ID:55d90f7e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/23 22:29

ニティの準備が整い遠坂に連絡を入れた翌日、俺達は再び集まる事となった。
邸の居間へと集まった俺達は、ニティが用意した向こうでの身分証となるパスポートを受け取り確認する。
出身は地球ではなく、第九十七管理外世界とかになっていたりするけど、聞く限りでは向こうの地球の名称らしい。
そして、掲載されている写真は並行世界の俺達らしいので俺や遠坂、アサシンの三人は問題が無いようだった。
しかし、一言も発する事無いセイバーを見やるとパスポートの写真は何故か目が金色になっていたり、黄金色の髪がくすんでいたりする。
アリシアの方は何だか所々修正が入っているのか矢鱈綺麗な女性の写真で……何というか別人な感じがしなくもなかった。
いや、まて、それ以前に大人形態のアリシアじゃないのかこれ?
ニティの話では、アリシアの写真は神自らが用意したそうなので―――多分、ミッドチルダに向う時はアヴァターでの時と同様、大人の姿で行くのだろうと考えての判断だと思うけど、これで本当に大丈夫なのか甚だ疑問だ。

「………(……一体、この私に何があったのか?)」

「ん~、私こんな感じだったけ?」

俯くセイバーに、小首を傾げるアリシアの二人は身分証を手に思うところがあるようだ。

「セイバー、シロウ。マスターの事をお願いするわね」

「ああ」

「なに、私も護衛を任されているのだ、セイバーと士郎だけが気負う必要もなかろう」

固まっているセイバーとアリシアの二人に視線を向けいていた俺は、ニティに生返事で答えてしまうものの、アサシンは一緒にいるのだから俺とセイバー以外だけが心砕く必要等ないと言ってくれるので心強い。

「処で―――これ、犯罪じゃないわよね?」

俺達を尻目に、遠坂は札束が何個も入っている鞄に視線を向けている。
これはニティが用意してくれたミッドチルダで使えるお金らしい―――けど、俺達の世界での感覚でいえば五、六千万はありそうだ。
そういえば神の座での作業の合い間や休憩の時にお金で苦労した話とかを神とかルビナス、他の元救世主達にしてたけど。
ちょっとこれは、な……遠坂が懸念するように犯罪の匂いがしなくも無い。
しかし、逆にミッドチルダとかいう世界でもの凄いインフレが起きていて、飲み物一つ買うのに札束が必要なのかもしれないとも考えられる、か。

「その辺は心配しなくて良いわ。
その金は元救世主の誰だったかは忘れたけど、ミッドチルダのカジノって所で、神の次元から干渉して確率操作とかエントロピーとか操作して稼いだだけだから普通のお金よ」

「―――っ。滅茶苦茶反則じゃない、カジノで確率やらエントロピーの操作だなんて」

エントロピーはよく解らないものの、確率、言い換えれば可能性を弄るなどという、俺達の世界では魔法に相当するんじゃないかとも思われる業を、犯罪じゃないわよと涼しげな表情で口にするニティに遠坂は両目を丸くしていた。
ただ、それってカジノからしたらただのいんちきだから不味いんじゃないかと思わなくもないけど、可能性という不可解なものをカジノ側が判るはずも無いし、何より指示したのが神様だから良いのか?
取り合えず旅行用鞄一杯の金など持ち歩きに不便なので、皆それぞれに札束を一つ持ち、残りはアリシアが倉庫として使っている空間に保管してもらう事にした。
保管してもらうよう頼むと、アリシアは神が念写したらしい写真に何か思う処があるのだろうが「まあ、いいや」と身分証をしまい込み。

「取り合えず、残りは私が保管するから必要になったら言ってね」

「話には聞いてたけど……それがねぇ。
(……それにしても。まさか、六人目が異星人だとは思いもしなかったわ)」

倉庫として使っている空間に転移させ、俺達からしてみればまるで鞄が消えたようにしか見えない。
そんな、アリシアの魔法としかいえない空間転移を目の当たりにした遠坂は、魔術師として思う処があるのだろう半眼でアリシアを見詰めていた―――アリシアにしても、遠坂のその視線に気付いたのか遠坂に視線を向け。

「処で凛さんは、他の人から魔力を分けてもらってるみたいだけど大丈夫?
辛いならディアブロ貸してあげるよ」

「マスターは私を必要としないのですか?」

「それは違うよ、ディアブロ。
イリヤお姉ちゃんのバーサーカーさん程じゃないけれど、アーチャーさんを維持するのには沢山の魔力が必要なんだよ。
だから普段魔力を使わない私よりも、凛さんの方が魔力が不足していて辛いんだ―――だから、必要なら君の力を凛さんに貸してあげて欲しいんだよ」

話を振られた遠坂が口を開く前に、腕輪型デバイス・ディアブロがそれを遮るようにして抗議しているようだったけど「解りました、マスターがそう望むのでしたら」と納得したのだろう押し黙る。

「大丈夫よアリシア、心配してくれるの嬉しいけれど私にはこの宝石剣が在るから」

「そんなに凄いのかソレ」

遠坂は視線をアリシアに向け、自慢げに語っているので聞いてみる事にした。
つい数日前ニティが取り出した時の事だ、俺は反射的にあの変てこな剣を解析してしまい、それで解った事といえば、あの宝石剣はまるで何処か別の世界の、それでいて未知なる技術の塊としか言い様がなかった代物だという事だけ。
幾ら遠坂とはいえ、そんな訳が解らないものが使えるのかと―――

「宝石剣ゼルレッチ、正しく言うのなら多重次元屈折現象キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ」

遠坂は変てこな宝石で作られた剣を取り出し俺達に見せる。

「それは『月落とし』さえとめたとされる領域外の力であり、遠坂の家系に大師父からの宿題とされ伝えれていたモノの事よ」

「つきおとし、か」

―――多分、電車のホームか、階段とか……いやまて、ビルの屋上とかじゃないよな。
そこで誰かに突き落とされたのを止めたって事は、キャスターやアリシアみたいに空間を固定化したりとか、もしくは、慣性に干渉して落ちるのを止めたりとかなのか?
もしくは、時間に関する業としたら駅のホームで突き落とされ線路に転落した時、丁度電車が入って来たのを、あの剣を使って時間を止めている間に戻ったりか無かった事にしたのかもしれない―――まてまて、もしかしたらセイバーの鞘みたいに電車の衝突にも耐えられる凄い何かとも想像できる、か。

「………」

でも、宿題を出された遠坂の先祖ってのが何代目前か判らないし、もしかしたら電車が造られる前かもしれないとすると―――遠坂は何だか『つきおとし』って事をもの凄いように口にする感じだから、実際凄いんだろうけど俺には想像つかないな。
まあ、それでもアリシアは「そうなんだ」って納得しているようだから凄い魔法なんだろう……

「うん、なら大丈夫だね―――ポチおいで」

「ええ、ではそろそろミッドチルダという所へ参るとしましょう」

アリシアは横でクルクルと回っているポチを抱き上げ、続いたセイバーの言葉により皆はそれに頷き俺達は玄関から庭に移動した。
庭に集まった俺達をミッドチルダに送ってくれるニティは、誰かと話しながら魔法陣を描き続け。

「―――出来た。じゃあ、送るから魔法陣の中に入って」

完成した魔法陣は複数の魔法陣が幾重にも合わさった複合型の魔法陣であり、ニティの指示に従い内側に入ると神の座からのバックアップでもあるのか魔法陣から途方も無い魔力が溢れ出しているのが解る。
魔法陣に入った俺達を確認すると、ニティは何やら詠唱し始め次第に周囲の景色が歪み、気が付けば俺達は見知らぬ場所に立っていた。
俺達が立つ公園らしき所からは、穏やかな海がある方から居心地良い柔らかな風が流れ込み、反対側には摩天楼という言葉通りの天を突くかのような超高層建築の姿が見て取れる事から、嫌でもここが日本では無いのを理解させられる。
そして、アヴァターに行った時と同様、言葉に文字、文化や常識等といった情報が頭の中に流れ込んで来た。
それによると、ここミッドチルダは次元世界の中でも最先端の魔法技術を持ち、繁栄著しい世界らしい事や。
他にもお勧めのホテルに、レストランとかでの料理の感想やら、遊園地等の遊興施設の料金や評価とか何処かの店の特売の日等、様々な情報が入って来る―――というか、入って来る情報の量が多くて段々頭が痛くなって来たぞ!

「何というか、スーパーとかの安売りの日なんか教えられてもな……」

「なに、姿の見えない旅行ガイドとでも思えば良かろう。
何より見知らぬ土地なのだ、ならば、知らぬよりも知り得てる方が何倍にも有り難い」

「シロウ、アサシンの言い分には十分理があります。
何より私達のなかでミッドチルダを知る者はアリシアしか居ないのです、故に食堂やレストラン、見知らぬ食材にホテル等の情報は私達にとって有益だ」

思わず漏らしてしまった俺の呟きにアサシンは答え、それに同意するセイバーは何を想像しているのか、透き通るように清々しい笑みを浮かばせながら両手を組み胸に当ている。
確かにアサシンが言う通り知っていると便利な情報が多いいけれど、何というか……神の座に居る元救世主達って暇なのだろうかと勘ぐってしまう。
俺達が居た頃は、救世主とすらなり得た者達にも事務作業が苦手なのは居るので、気が狂いそうになる前に休憩をいれる事はあったものの、基本的には二十四時間年中無休という、ブラック企業も真っ青な労働だったから……もしかしたら改善されたのかも知れない、な。
そんな俺達とは違い、「……成る程ね」と呟き街並みを見渡す遠坂の表情は何処か厳しく。

「魔術基盤を使わない方法なら、同じ魔術の使い手が何人現れようと影響を受けない。
だから、方法として魔術を扱い魔術の効果は個人の資質と錬度に左右されるって訳か―――たく、私達の基準でいえばここは魔術使いの世界って処ね」

遠坂なりにミッドチルダの情報を噛み砕き、整理終えたのか口にした。
根源を目指し研究として魔術を扱うのではなく、方法として魔術を扱う、いわゆる魔術使いと呼ばれる俺ですら少なからず違和感を覚える世界なのに、遠坂のように生粋の魔術師からしたら日常生活で魔術が使われているミッドチルダは、より異常な世界と映るのも無理ないだろう。

「でも、この世界の魔術は他の世界でも使えるから便利だよ」

「そう……ね、何れ第二を使えるようになっても魔術基盤が無ければ魔術は使えない。
外の世界での事を考えれば、ミッド式と近代ベルカ式とかいう魔術は知っていて損は無いわ」

やはりミッドチルダ出身だからなのか、まるで魔術を生活の知恵のように言うアリシアに、遠坂は色々と思う処があるのだろう俯きながら口に手を当て返答していた。

「ここで考えても詮無き事、先ずは街に赴き先ほど知りえた内容が実際に如何か見定める。
或いは、落ち着いて話せる場所に移るべきだと思うが?」

「それでしたら、先ほどの情報からこの近くにお勧めのホテルが在る筈です、そこで話し合いましょう」

「おう!」

魔術師として思う処がある遠坂はまだ思考に耽り何やらブツブツと呟いている、それをアサシンは考えるよりも行って見た方が早いだろうと言っているのだろう、な。
そんなアサシンの意見に、セイバーとアリシアは同意し俺も「それもそうだ」と頷いて俺達は街へと向う事にした。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

リリカル編 第02話


次元世界の中心都市ミッドチルダ。
そこは、私達魔術師が定める処の魔術レベルの技から、例えば次元空間航行とかいう星間移動を可能にする技術、私達からしたら魔法の領域だと思える業が一緒くたに魔法と呼ばれている世界。
それでも、一応、魔法と呼ばれている技術にも違いはあってか、ミッドチルダにて魔術に相当する魔法とは自然摂理や物理法則をプログラム化させ、それを書き換え、加え、消去する事で作用させる技法となり、私達魔術師が魔法としている業は恐らく不可能領域魔法と呼ばれている業なのだと思う。
魔術基盤というシステムとルールを使わないからなのでしょう、魔法を使える者が増えれば増える程効果や威力を失ってしまうといったデメリットが無い為、街の中央近くにある公民館では魔法の練習場すら存在し、ストライクアーツとかいう格闘技の練習場では、初等科くらいの子供達が私達程の年齢とも見受けられる姿に変身したりして組み手している姿を見た時は目を疑ったものだわ。
それ以外にも街の本屋では、魔法が学校の授業にあるらしく魔法の参考書、私達でいう処の魔道書が普通に出版社から出されていたりとか―――文化、文明が違うとはいえ神秘を秘匿する魔術師から見たミッドチルダは異質な世界としか感じられなかった。

「………まあ、それでも何日もすれば慣れるものだけどね」

『人間関係ではないが、朱に交わり赤くなるという事か』

紅茶に似た飲み物を口にしていると、霊体化させているアーチャーからレイラインを通して語りかけられ。

『住めば都よ、ことわざ的に言うなら』

クラッシクにも似た落ち着きのある曲が流れるホテルのラウンジ、そのカフェバーにて購入した本を読み耽けていた私は、アーチャーと会話を交わしながらここ数日の事を振り返ってみる。
もう、一週間ほど泊まっているこのホテルは、私達の世界でいう処のシティホテルと同様で、宿泊の際には一定額の前金を払うシステムとなっていたりや、プールやブディックに美容院、ギフトを扱う小売店等のテナントが入った大型のホテルだ。
私達はこのホテルを拠点としミッドチルダを散策しながら調査している―――いえ、もう素直に観光といった方がいいかもしれない。
神の座にて用意された資金は豊富でまず困る事はないし、このホテルには何店かのレストランがテナントとして入っていて、そこではセイバーやアサシン、アリシアがいい値段をしている品を結構頼みまくっているし、かく言う私もここのフィットネスのマッサージとか癖になりそう……
そのアリシアはホテルに泊まる当初、スイートルームの一番高い部屋を頼もうとして衛宮君を慌てさせてたりもしたが。
まあ、フロントの店員からしたら人怖じをしない好奇心の強い子供だと思われたのでしょう、微笑ましい感じで見ていたけど―――アリシアのアレは多分本気だったと思うから衛宮君も何れお金で苦労する事になるんじゃないかしら。

『住めば都―――とは手厳しい、な。
私が見知った限り、文明レベルは地球よりも高く治安も悪いとは思えん』

『民族紛争やマフィアが抗争しているような所と比べたらそうでしょうよ。
ただ、何というか……この前もリニア貨物列車とかいう電車や、アグスタとかいうホテルがテロの標的になったとかニュースに流れたでしょ?
そういった処で、如何もミッドチルダは治安が良くないっていう印象を受けるの』

『ふむ、ロストロギアとか呼ばれる古代遺物を狙うガジェットだったか』

ニュースでは、最近次元世界に出没するガジェットドローンとか呼ばれる機械兵器に取り付かれて制御系を奪われたとか、そして、そのガジェットとかいうのがロストロギアとかいう既に滅びた国だか世界だかの遺物を狙っての犯行だったとか伝えていた。
そのガジェットが最近頻繁に出没する事から、旅行者が激減しミッドチルダを含めた観光産業は結構厳しいらしい。
更には、旅行客を呼び戻そうとホテル協会や観光業界が一丸となりアグスタとかいうホテルで開いた骨董美術品のオークションでもガジェットの襲撃があり、関係者の思惑とは逆に客数は減少の一途を辿っている―――でも逆に言えば、そのお陰で私達は予約も無しにこのホテルに泊まれたのだけど……

『それに、魔法社会ってのも微妙ね。
私達がいた世界で、銃社会の米国ですら犯罪は多いいのに、個人の資質次第によっては銃なんか比較にならない程の危険性がある魔法が公になっているのよ?
幾ら、魔力衝撃を与える非殺傷とかいう技術が在ったとしても犯罪が少なくなるとは思えないわ』

『成る程、な。
確かに強い力を持てば使ってみたくなるのが人の常―――これでは犯罪が増えるこそあれ、減るのは厳しいか』

『その辺は、魔法を教えている学校や訓練校で教えているとは思うけど、現状を見ると厳しいみたいね』

『では、君から見たその魔法の評価は如何だ凛?』

『……そうね、術式を見た限りミッド式も近代ベルカ式もかなり精練されている印象を受けるわ』

『公表されているからこそ、様々な者達により精練されたという事か』

『そんな感じ。
でも、私達魔術師からすれば初歩の初歩であるガラスを扱ったやり方とか無いみたいだから、魔術とは方向性がまったく違う感じね』

『―――というと?』

『魔法の歴史を調べて行くと、ミッド式も近代ベルカ式も古代ベルカ時代の魔法が元になっているみたいで、その古代ベルカって文明が戦争ばかりやっている戦国時代だからか、科学と魔術が入り混じった滅茶苦茶なモノを造って戦ってた訳よ。
更にもっと昔にはアルハザードとか呼ばれる、私達からすれば神代の時代に相当する文明もあったとされているけど、今のミッドチルダに強い影響を与えているのはベルカって方の文明』

『そう言う事か、魔術師は根源に至る為に周囲に知られず魔術を秘匿し研究をするが、ミッド式や近代ベルカ式とは凡そ戦争という実戦から積み上げられた技術、ならば方向性が違うのも頷ける』

『他にも、古代ベルカ式魔法って呼ばれていた魔法もあったそうだけど、使い手も礼装もほぼ喪失されていると伝えられているわ―――ただ、ベルカ時代の技術で、人の肉体と命と魔力核を扱った業は魔術に通じるモノがあるかもしれないわね』

『その時代の遺物がロストロギアか、不発弾と変わらんな……』

『その為に組織されたのが時空管理局の前身で今に至るワケ』

『……まったく、同じ魔法や魔術と言われるモノにしてもも背景が変われば方向も性質も違って来るものだな』

アーチャーの言う通り、私たちの魔術とこの世界の魔法とでは方向性は全く違う。
まあ、それもそうでしょう、この世界には根源からもたらされる魔術基盤が存在しなていないみたいだし。
イムニティというアリシアをマスターとしている精霊が送ってくれた術式には、私と冬木市を繋げているラインがあり、それにより強化とか治療とかの内界に関する魔術は使えるものの、外界に影響を与える魔術。
例えば離れた相手に影響を与える魔術は厳しく、魔術刻印に固定された魔術は使えるものの、詠唱や宝石を使っての魔術は発動すら出来なかったりする。
他にも何というかこの世界に来てから魔力の回復が早く感じられるけど、大源(マナ)とされる力が私達の世界と比べて高いのか、それとも質の違いなのか解らないので心に留めて置く。

『ミッド式、近代ベルカ式にしても、詠唱とかは魔術に比べて長い印象が受けるけど、デバイスの補助さえあれば瞬間契約や簡易魔法陣レベルじゃない大魔術レベルのモノさえ、僅かな時間で形成されて使えるの―――反則といってもいいわ』

『科学と魔術が入り混じった結果、か……』

『恐らく、ね』と答え、右の指にはめている指輪型デバイス・マギアに視線を向ける。
このデバイスは、街のデバイスショップにて数日前に作製依頼を出したモノであり、ショップブランドのハイエンドモデルを少しカスタマイズしたストレージデバイスだ。
衛宮君やセイバーもそれぞれデバイスを作り、衛宮君は両手が使える籠手型、両手から非殺傷という魔力衝撃で相手を傷つけずに倒せる魔力刃を発生や、デバイスの補助によりミッド式による投射魔法が使える事から相手を傷つけずに倒せるという意味を込めて理想という意味を冠したイデアルと名付け。
セイバーは剣を手にした時に邪魔にならない小盾型のデバイス、名は盾という意味のそのままのシルトだそう。
店員が言うには、人によってはAIが入っている方が使い易いとか語っていたけど、私としては話す礼装には何というか……色々と思う処があるのでAIは入れていないし、衛宮君やセイバーも飽く迄補助的な意味合いで持っているのでAIは入れていないみたい。
デバイスの機能としては送り込んだ魔力を強化したり、予め登録して置いた魔法を呼び出し高速で魔法陣を展開する機能。
他にも、確か祈願プログラムとかいうモノが入っているとかにより、詠唱等は必要とせず願うだけで記録した魔法を展開出来るとか。
……この世界に私達以外の魔術師が居たら怒るかもしれないけど、何というかデバイスっていうモノは、何処か魔術刻印に近い印象を受けなくもない、事実としてわずかながら存在するユニゾンデバイスというモノは古代ベルカの時代から脈々と受け継がれているそうだし。
そんな訳で、記憶領域だかの関係から私はミッド式や近代ベルカ式の魔術書を読み、登録させる魔法を思案している最中だけど、衛宮君やセイバーは既に決めていたらしく、今頃はそれぞれのデバイスを使って公民館か郊外の練習場辺りで慣らしている最中だと思う。
というか、そのデバイスそのものが杖以外に剣とか槍とか銃とかがあるので、それが治安を悪化させている一因になっているとも思えるんだけど……治安を第一に考えるのなら、デバイスそのものを規制した方が良いんじゃないのこの世界?

『デバイスとやらが魔術師の礼装とはやや違った趣なのは解ったが、魔力が使えないアサシン用にとアリシアがデバイスを作るとか言っていたが―――』

『そうね―――聞いた話だとアサシンって元々百姓の出らしいから魔術とかには疎いみたいだし』

治安に関して思う処があった私は色々考えを巡らしていると、昨日完成したデバイスを引き取りに行った時にアリシアがアサシンだけが使えないのは可哀想だとかで部品だけを買い、多分今でも部屋で組み立てている最中でしょう。
サーヴァントとはいえ、元々、魔力を生成する能力が無いアサシンがこの世界の魔法を使うのは大変な事だと思う。
元の魔力が無いので増幅といった方法は使えない、そうなると方法は限られてくる訳で私の宝石とかキャスターの神殿みたいに予め溜めて置くとかしないと難しいでしょうね。
そんな訳だから、初めの内はこの世界の魔術と言うか魔法の勉強を一旦止め、アリシアの作業に興味を覚え見守っていたんだけど―――部品を組み合わせ、端末の画面を見ながら何やら打ち込んでいたりとかで私にはさっぱり解らなかったです。
そういった状況だったので、部屋に居ても落ち着けない私はここカフェバーにてこの世界の魔法を学んでいるんだけど……この世界の魔法は私達の魔術と比べ違い過ぎ、術式とか理解出来てもプログラムとしてデバイスに登録出来るか疑問だわ。
それに、この世界に来て買った端末も書式設定しようとフォーマットかけたら何故か動かなくなったし如何しようかしら、これ?
まあ、転送してくれたイムニティって娘が行った術式には、元の世界と此方の世界の時間に関連性が無いようにしていてくれるらしいから、学ぶ時間は十分あるのでマニュアルを見返しながら地道にやるしかないわね……

『―――噂をすれば影か』

アーチャーに告げられ本から視線を上げると、アリシアとアサシンがカフェバーにて何やら飲み物を頼んでいる姿が入って来た。
その視線で気が付いたのか、アリシアの方も私に気付きとてとてと小走りで向かって来ると「凛さん、今日は何所か行かないの?」と何処か悲しげに見上げて来る。

「そりゃね、街を見て回るだけがミッドチルダを知る事じゃいから」

私は見ていた本を閉じると、アリシアの視線に合わす。

「色々な本を読み、その知識からをこの世界の歴史を知り、背景となる歴史からこの世界の文化とか魔法の方向性とか知る術は沢山あるの、だからこうして本を読んでいるのもこの世界を知るって行為なんだから」

何か不安があったのか「なら良かったよ」と安堵の表情を浮かべると。

「だって、生まれ育ったこの世界を凛さんにも好きになって欲しいもの」

言いながら人懐こく微笑むアリシア。
衛宮君から聞く限り、この娘も相当な生い立ちをしているみたいね。
何でも、第二の使い手であるらしいこの娘の母親プレシア・テスタロッサは、ミッドチルダの次元空間航行技術を使いこの世界の地球へとやって来て、何があったのか知らないけれど並行世界である私達の世界へと辿りついたみたい。
そして、その際にアリシアが死んでしまったのか不明だけど、世界の外に通じる穴を開けその穴に死んだアリシアを送り込んだら今度は根源を通過してしまい。
根源の更に奥は概念的な神の総称たる『原初の海』とかいう神様が居て、その神様に出会い死体に残っていた残留思念が神霊化して蘇ったのが今のアリシアだとかいう話だ。
恐らく、そのプレシア・テスタロッサが幾ら稀代の魔術師というか魔導師で在ろうとも、ミッドチルダという魔術が当たり前の世界から魔術という神秘を秘匿とする私達の世界での活動というか、神秘の漏洩には理解してなさそうな感じがするから。
当然ながらその儀式の魔力や術式は感知され、封印指定とかにされたとしても不思議じゃない―――それで、米国から日本の冬木に渡り聖杯戦争を隠れ蓑にして逃れようとした処、剣だかの刃物を持った封印指定執行者に見つかり殺されたらしい。
そういえば、この世界に来た次の日アリシアの住んでいた所を訪れたのだけど、そこは別な人が住み、他にも街並みがやや変わっていたみたいだからどれだけの年月を死体で過ごしていたのだか……
付加えれば―――今では神の座に居る神とか呼ばれている存在とすら親しいのだから、この娘に何かあったら相当危険な事体になるのは確か、こうして考えれば綺礼が衛宮君の養子にしてサーヴァント達と一緒に住まわせたのは正解と言える―――とはいえ、当の綺礼も何処まで知っていたのかは判らないけど……
まあ、綺礼はいいとして……当人であるアリシアは事もあろうに衛宮君の邸とアインツベルンの城の空間を繋げてしまうという魔法に近いような業を平然と行っている。
一応、アレはイリヤが人払いの結界を張っていたので藤村先生が迷い込むような事は無いでしょうけれど、神秘の秘匿を行う魔術師として見るならアリシアの行いは二流………いえ、いつ封印指定執行者がやって来ても不思議では無いレベル。
とはいえ、綺礼が判断したようにサーヴァントが三騎も四騎も居るのなら、その執行者にしても二の足を踏むのは間違いないけれど。

「で、アリシアの方はアサシンのデバイスは完成しそう?」

色々と巡らせていた思考を再びアリシアに戻して私は質問する、するとアリシアは「ふふん」と何だか自慢げに胸を張って。

「小次郎さんのデバイス、『鈍ら』ならもう完成したから、これから郊外の練習場に行って問題が無いか試して貰うの」

「鈍らって……」

「大した理由ではあるまい、この世界の魔法には非殺傷というモノが在るのだろう。
ならば、およそ切れない刃など鈍らと呼ぶしかあるまい?」

如何いうネーミングセンスをしてるんだかとか思っていると、飲み物を載せているトレーを手にアサシンが歩いて来る。

「斬れない刃物だから鈍ら、ね」

まあ、理由は解ったけど……この二人、もう少しマシな名は思いつかなかったのかと言いたい。
けど、より重要なのは―――

「で、魔力が無くても使えるデバイスってどんな感じなの?」

「それはね、魔術回路を参考にした星の生命力を魔力に変換する術式を使ってデバイスを経由させながら常時魔力を循環生成する方式。
勿論、元の世界に戻っても他の魔術師達に判らないように起動している術式には完全遮断結界で覆ってあるから漏れる心配も無いし大丈夫だよ」

えっへんと胸を張るアリシアの横に来たアサシンは、トレーをテーブルに置くと刀の柄みたいなモノを取り出す。

「それで、星の生命力を搾取、変換する過程で生成される刀身からも生命力とか魔力とか色々なエネルギーを魔力に吸収・変換出来るようにしてあるんだ」

「要は、斬った相手の力を自分のものに出来るらしい」

それまで魔力を感じなかったけど、柄の先から何処か禍々しい漆黒の刀身が生えるとそれなりの魔力量を感じ取れる。
遮断結界とかは既にミッドチルダで使われている術式だけど、魔法に至っているだけあってか、擬似的に作り出した魔術回路だけで魔力を生成する術式を編み出したこの娘の実力は凄まじいものだと思う。

「小次郎さんの性格を考えて近代ベルカ式を基に防護服や身体強化、治療魔法とかの他にも刀身を伸ばしたりや飛ばしたり、圧縮して鋭さを増したりも出来るよ」

「って、魔術が使えるのは解ったけど、斬れば斬るほど元気になったり、鋭さを増して行く刀って……それ、何処の妖刀よ」

「成る程、妖刀『鈍ら』か―――面白い」

私が科学の産物である筈のデバイスがいつの間にか妖刀になっている事実に気付き唖然とするものの、当のアサシン本人はその名を気に入ったようだった。

「………つ~か、アンタそれ非殺傷の意味無くない?」

話からして、非殺傷でも生命力を奪えるでしょう鈍らには十分な殺傷力はあり、かつ、元々百姓の出であるアサシンに魔術の制御が上手いとも思えないので、恐らく私と同じく祈願プログラムを入れていると踏んだ。
その祈願プログラムだと、非殺傷というやり方に慣れないだろうアサシンでは―――無意識的に殺傷設定にしてしまう恐れもあるので聞いてみたのだけど。

「その辺は考えているよ。
斬った時の吸収力は祈願プログラムで変更出来るけど、殺傷・非殺傷の設定は柄のスイッチで切り替えになっているもの」

と、そこはアサシンの性格を把握していたのでしょう、祈願プログラムからでは無くスイッチによるオン・オフ切り替えならしい。
成る程、遥か昔の古代ベルカという時代でもアリシアのような、ある意味ぶっ飛んだ人間により、今でいうロストロギアとかいう代物が作られた訳か、よ~く理解出来たわ……

「それはそうと」

溜息混じりに声を出し、椅子に座り飲み物を口にするアリシアに視線を向け直す。

「この世界の魔術回路とも呼べるリンカーコアがあるでしょう。
なら、魔術回路を模倣した術式では無くて、リンカーコアを模倣したモノにすれば良かったんじゃないの?」

「それはね、機能に違いがあるから。
リンカーコアは周囲の魔力素を集めて、蓄える機能も魔術回路よりも高くてこの世界では使い易いよ―――でも、魔力素の適合不良とかあるから他の世界に行くと機能しなくなったりや。
テレビのニュースで流れてたガジェットとかいうのが使うAMF(アンチマギリングフィールド)の効果範囲内だと阻害され易いから使い難い処があるんだよ」

「そういう事……元々存在する魔力素を取り込むのでは無く、大気に満ちる生命力である大源(マナ)や、自身の生命力である小源(オド)から魔力を生成する魔術回路には適合不良とかAMFの影響は殆ど無いって事か」

「うん、星の生命力が無い時でも小源を使えば魔力を生成出来るしね」

そういった状況に陥った時、アサシンは自らのデバイスに命を喰われながらこの世界の魔法を使うのね――――本当に妖刀その物じゃない。

「必要なら凛さんのデバイスにも入れる?」

アサシンが手にする妖刀と化したデバイスに、呆れ返た視線を向けていたらアリシアは私がその術式を欲しがっているのかと思ったのか聞いてくる。
っ、魔術回路は外因で減りはしても、凡そ増える事は無いモノ―――擬似的とはいえ術式と礼装で増やせるのなら魔術師であれば誰もが欲する筈。
でも、私には宝石剣による無制限の魔力供給があるので、アーチャーが余程の宝具や固有結界『無限の剣製』でも使わない限り現状では必要としないのもまた事実。
それに魔術師の取引は等価交換、それ程のモノを提供する以上見返りは同等であらねばならないから。

「悪いけどそれは遠慮するわ」

魅力的な提案だったけれど、既に宝石剣を手にしている以上魔力不足に悩む事はない。
そんな提案を拒否した私に、アリシアは少し残念そうな視線を向けるるけど。

「必要になったら何時でも言ってね」

と、あまり気にしていない様子だ。
よし、いける―――手応えを感じた私は内心ほくそ笑み続ける。

「代わりに、魔法のプログラミングをお願い出来るかしら?」

魔力の方はいいとして、私がこの世界の魔法で問題と感じているのは肝心要の魔法をプログラム化させる方法だ、買った端末ですら解らないのにプログラムそのものを組上げるのは困難処か至難とさえいえる。
これに関しては個人の資質と相性の問題だと思うから、等価交換にしても私の知っている魔術を幾つか教える位で足りると思えるし。

「うん、私でよければ組上げるよ」

流石、子供とはいえ元々この世界の出身だけはあって心強いわね。
これは借り、何時かアリシアから頼まれたら返すとしましょう。
そして、私より機械に強いアーチャーでも無理っぽいのに衛宮君が出来たのは意外だったけど、聞けば衛宮君やセイバーの魔法を入れたのもアリシアらしい、そういった訳で衛宮君に出来てアーチャーが出来ない事では無いみたい。
この世界の魔法はプログラム化とか私には敷居が高いけど、一度プログラム化したものがあれば戻った後でも参考に出来るし、いずれは桜に教える事も出来るかもしれない。
間桐により遠坂の魔術からは離れてしまっている桜だけど、ミッド式や近代ベルカ式を使えるようにすれば、例え桜の希少な属性に気付いた者達が襲来してもライダーと二人で凌げるようになれるだろう。
こうして、この世界の魔法の難関ともいえるプログラム化という事に対し力強い援軍を得た私は、アーチャーを連れアリシア達と一緒に郊外の練習場へと行くと、ただ一心に妖刀を振るうアサシンを尻目に話し合いながらミッド式や近代ベルカ式等の魔法を組み合わせた魔法や、私の意見を踏まえた魔法を組上げ入れてもらう。

『ニティという娘と小僧から話には聞いていたが、凄まじい実力だ、流石救世主に選ばれるだけはあるという事か』

端末を操りこの世界の魔法をいとも簡単に組上げるアリシアに、感心したのでしょう見守っていたアーチャーはライン越しに声を伝えて来る。
私もそう思う……この世界の住人の平均がアリシアレベルだとしたら洒落にならないなぁと。
いや、それは無いか、あの娘の後ろには『原初の海』とかいうトンでもな神様がいるそうだし。

「私もホテルに戻ったら端末くらい使えるようにしないといけないわね」

せめて端末くらいは操作出来るようにしないと、桜に教える事も出来ないので心機一転って事で私も頑張る事にしよう。
そんなこんなで、私達は凡そ一ヶ月ほどミッドチルダを観光やら買い物やら色々と堪能して帰る事となる―――けど、この時の私はこれが時空管理局に関わる序章でしかない事に気が付く筈も無かった。


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