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No.18329の一覧
[0] とある『海』の旅路(オリ主によるFate主体の多重クロス)【リリカル編As開始】[よよよ](2018/03/19 20:52)
[1] 00[よよよ](2011/11/28 16:59)
[2] Fate編 01[よよよ](2011/11/28 17:00)
[3] Fate編 02[よよよ](2011/11/28 17:03)
[4] Fate編 03[よよよ](2011/11/28 17:06)
[5] Fate編 04[よよよ](2011/11/28 17:16)
[6] Fate編 05[よよよ](2011/11/28 17:23)
[7] Fate編 06[よよよ](2011/11/28 17:26)
[8] Fate編 07[よよよ](2011/11/28 17:30)
[9] Fate編 08[よよよ](2011/11/28 17:34)
[10] Fate編 09[よよよ](2011/11/28 17:43)
[11] Fate編 10[よよよ](2011/11/28 17:49)
[12] Fate編 11[よよよ](2011/11/28 17:54)
[13] Fate編 12[よよよ](2011/11/28 18:00)
[14] Fate編 13[よよよ](2011/11/28 18:07)
[15] Fate編 14[よよよ](2011/11/28 18:11)
[16] Fate編 15[よよよ](2011/11/28 18:22)
[17] Fate編 16[よよよ](2011/11/28 18:35)
[18] Fate編 17[よよよ](2011/11/28 18:37)
[19] ウィザーズクライマー編[よよよ](2012/08/25 00:07)
[20] アヴァター編01[よよよ](2013/11/16 00:26)
[21] アヴァター編02[よよよ](2013/11/16 00:33)
[22] アヴァター編03[よよよ](2013/11/16 00:38)
[23] アヴァター編04[よよよ](2013/11/16 00:42)
[24] アヴァター編05[よよよ](2013/11/16 00:47)
[25] アヴァター編06[よよよ](2013/11/16 00:52)
[26] アヴァター編07[よよよ](2013/11/16 01:01)
[27] アヴァター編08[よよよ](2013/11/16 01:08)
[28] アヴァター編09[よよよ](2011/05/23 20:19)
[29] アヴァター編10[よよよ](2011/05/23 20:38)
[30] アヴァター編11[よよよ](2011/05/23 22:57)
[31] アヴァター編12[よよよ](2011/05/23 23:32)
[32] アヴァター編13[よよよ](2011/05/24 00:31)
[33] アヴァター編14[よよよ](2011/05/24 00:56)
[34] アヴァター編15[よよよ](2011/05/24 01:21)
[35] アヴァター編16[よよよ](2011/05/24 01:50)
[36] アヴァター編17[よよよ](2011/05/24 02:10)
[37] リリカル編01[よよよ](2012/01/23 20:27)
[38] リリカル編02[よよよ](2012/01/23 22:29)
[39] リリカル編03[よよよ](2012/01/23 23:19)
[40] リリカル編04[よよよ](2012/01/24 00:02)
[41] リリカル編05[よよよ](2012/02/27 19:14)
[42] リリカル編06[よよよ](2012/02/27 19:22)
[43] リリカル編07[よよよ](2012/02/27 19:44)
[44] リリカル編08[よよよ](2012/02/27 19:57)
[45] リリカル編09[よよよ](2012/02/27 20:07)
[46] リリカル編10[よよよ](2012/02/27 20:16)
[47] リリカル編11[よよよ](2013/09/27 19:26)
[48] リリカル編12[よよよ](2013/09/27 19:28)
[49] リリカル編13[よよよ](2013/09/27 19:30)
[50] リリカル編14[よよよ](2013/09/27 19:32)
[51] リリカル編15[よよよ](2013/09/27 19:33)
[52] リリカル編16[よよよ](2013/09/27 19:38)
[53] リリカル編17[よよよ](2013/09/27 19:40)
[54] リリカル編18[よよよ](2013/09/27 19:41)
[55] リリカル編19[よよよ](2013/09/27 19:56)
[56] リリカル編20[よよよ](2013/09/27 20:02)
[57] リリカル編21[よよよ](2013/09/27 20:09)
[58] リリカル編22[よよよ](2013/09/27 20:22)
[59] リリカル編23[よよよ](2014/09/23 00:33)
[60] リリカル編24[よよよ](2014/09/23 00:48)
[61] リリカル編25[よよよ](2014/09/27 01:25)
[62] リリカル編26[よよよ](2015/01/30 01:40)
[63] リリカル編27[よよよ](2015/01/30 02:18)
[64] リリカル編28[よよよ](2016/01/12 02:29)
[65] リリカル編29[よよよ](2016/01/12 02:37)
[66] リリカル編30[よよよ](2016/01/12 03:14)
[67] リリカル編31[よよよ](2018/03/19 20:50)
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[18329] Fate編 14
Name: よよよ◆fa770ebd ID:41a6a9cc 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/11/28 18:11

ランサーさんの残してくれた朱の魔槍ゲイ・ボルク、この槍はとても長いので如何やら元々は投擲用の槍だったみたい、そんな訳で今の私の身長だとこのまま持って帰るのは難しいと思う。
だから少し前、キャスターさんと戦った時に創造した世界を倉庫として使い、この槍は一旦その世界に置く事にしたよ。
それから、大空洞から普通に歩いて帰ると朝になっちゃうので、私の空間転移を使ってお兄ちゃんの邸に帰った。

「着いたよ」

行きは歩きだったので大聖杯までの道のりは長く、アサシンさんやキャスターさんと戦った時間も含めれば数時間も掛かったけれど帰りは一瞬。
だけど、今夜はもう歩き疲れたよ……お兄ちゃんかセイバーさんと一緒にお風呂に入ったら暖かいお布団に入って寝よう。

「アリシア、一つ聞きますが。
何故、キャスターの時、バーサーカーを相手した様に空間転移使わなかったのです?」

「ん~、だってキャスターさんも空間に干渉出来るんだよ。
私がバラバラにして転移させても、きっと空間操作で合体して元に戻ると思うよ」

「……空中で合体、空間転移とはそういったモノなのですか」

空間転移も空間操作の一つだからね、次元移動が出来るキャスターさんには決定打にはならない筈だよ。

「うん、それに危なくなったら自分から分解して別の場所で再構築すれば良いんだよ」

これは空間操作とは違うけど、一度自分の体を分解した後、魂にある自分の形を元にして組上げてしまえば、幾ら怪我を負わせてもまた始めからになっちゃうからね。
私が知っているだけでも封印した神とか邪神とか名乗っていた子達の何人かは使えたし、魔術に長けたキャスターさんなら多分コレくらいの事は出来るだろうと思う、だからこそ死の呪いを用いて『貴女は死んだよ』と認識させたんだから。

「一口に空間転移と言っても奥が深いものなのですね」

「そうだな、俺にもサッパリだ。
(魔法が使えるアリシアの空間転移は当然魔法の域なのだろうから、半人前の俺が理解出来るなんて思えないしな)」

セイバーさんは何かぼうと空を見上げてるので私やお兄ちゃんは先に家に入り、お留守番していたポチに「ただいま」と伝える。
すると、ポチは「イリヤお姉さんの存在力が薄れてきてるぞ」と何だか困惑した様子で言って来たんだ。

「え?」

ポチは元々、人で言う視覚とは違ってほとんど存在力で認識している、だから外見で何も変なところが無くてもポチには解るんだ。

「大変だよ、イリアお姉ちゃんの様子がおかしいって」

イリヤお姉ちゃんに関わるので私だけが知っていても駄目だと思った私は、振り向きお兄ちゃんとセイバーさんに伝える。

「イリヤが如何して!?」

「それ以前に何故解るのです?」

「ポチが言ってるんだよ」

でも、ポチの認識する存在力での確認は魂とかの確認には向く反面、生体の異常には詳しく解らない欠点もあるんだ。

「何があったんだ!?」

「それがポチにも解らないって言ってる、私見てくるよ」

イリアお姉ちゃんの体に何かあったのかな?
夕飯に食べ慣れない食材があってお腹を壊したのかも?
多分、こういうのはポチには理解出来ないか、認識出来ない事なのだろう。
だから私は急いで走った。
でも、先に走ったの筈なのに兄ちゃん達はすぐに追いつき。

「イリヤ!」

先に戸を開いて中に入って行く。
中に入って見たイリアお姉ちゃんは一見してただ寝ている様に見え、お寺で会った葛木さんの様に寝てる処を起こしてしまうのは気が引けたのでポチ聞く事にした。
私が訊ねるとポチはクルクルと回りながら「縁側で座っていたら急に倒れたぞ、病気になるといけないから布団敷いて寝かせてる……でも、何か存在力が消えて来てる、これは普通じゃないぞ」と言ってる。

「ポチが言うには、イリアお姉ちゃんは急に倒れちゃったんだって。
疲れてるのかも知れないから、静養出来る様にって布団を敷いて寝かせているんだって」

私はお兄ちゃん達に出来るだけ解り易く説明すると、何か思うところがあったのか、セイバーさんはイリヤお姉ちゃんの服を脱がし始め。

「お、おいセイバー」

突然の事にお兄ちゃんは戸惑っているよ、如何したのかな?

「……これは」

「なっ、イリヤ―――!?」

イリヤお姉ちゃんの服の下からは私の色と同じ白銀の色に染まっていて、染まった所は何故か砂の様に崩れていた。
感じからして私の存在に似ているなと思い触れて―――理解した。

「……これ」

……違う、これは私の残滓だよ。
でも何で―――そう、神父さんに見せて貰った資料には、冬木の聖杯には大聖杯と対なる鍵である小聖杯の二つがあってイリヤお姉ちゃんがその小聖杯だったんだ。
考えを纏め、横になっているイリヤお姉ちゃんを見つめた。

「そうなんだ、イリヤお姉ちゃんが聖杯だったんだね」

「イリヤが聖杯だって」

「うん、この聖杯戦争の聖杯は大聖杯と小聖杯に分かれていて。
大聖杯が準備の為に英霊さん達を呼び出して、小聖杯は倒された英霊さん達を溜めるモノ。
これを、所定の場所で使えば中に溜まっていた魂、英霊さんのエネルギーを使う事が出来るんだって」

でも、まだイリヤお姉ちゃんは完全には死んでなんかいない、消えかけているけどまだ生きているんだ―――折角の命なのに、聖杯なんていう欠陥品の為に死ぬのは馬鹿らしいよ。

「でも、まだイリヤお姉ちゃんの魂はまだ此処にあるから手遅れじゃない、やってみる」

立ち上がった私は、イリヤお姉ちゃんとその中に在る聖杯を視た。
聖杯の中にはランサーさんを含め、六人の英霊さん達がいる。
……こんな聖杯なんてモノを入れてよく。
イリヤお姉ちゃんについては、夜遅くに出かけるまでお兄ちゃんとばかり話をしていたからあまり解っていない。
でも、聖杯なんてモノが体内に入っていたら体の何処かに異常が来るのは解るよ、ソレなのに痛いも苦しいとも言わなかったんだから凄い。

「六人―――そうなんだ、なら聖杯戦争は終わりなんだね、じゃあ」

七人目、セイバーさんでこの聖杯戦争は終わり。
あの聖杯が欠陥品だった以上、皆の願いは代わりに私が叶えよう。
私はセイバーさんに向く。
英霊とはいえセイバーさんも生命と同じ、一度帰ってもらうにしても受肉している以上は殺さないといけない。
でも、殺されるとなれば反射的に反撃してしまうだろうし、何より、これから殺しますて言われて殺される人が英霊になる訳が無いよ。
なら―――せめて苦しまない様に一撃で終らそう、そう判断した私はセイバーさんの心臓を含めた部分を世界ごと砕く。

「……ア、シ…アな…ぜ」

セイバーさんの持つ鞘『全て遠き理想郷(アヴァロン)』を出しても砕けたけど、良かった余り苦しまないままセイバーさんは消えてくれた。

「―――っ、セイバー!?」

既に聖杯の器は壊れていて、セイバーさんの魂は自分の座である本体、戦場の丘へと戻って行く。
本体からその様子を視ていたので、時間軸と場所は確認している―――たから、今は他の子達の願いを聞こう。
一人目は。

『ふん……凡百の雑種が生を謳歌する世界など王に対する冒涜。
いや、それ以前の問題か……貴様などの様なモノなどに用は無い、早々に我の前から失せよ異界の神霊』

う……あ、何この英霊さん。
あう、きっとランサーさんと同じく願いが聖杯で叶う願いじゃなかったんだね。
ちょっとショックを受けつつも、気を取り直して二人目の英霊さんに話を伺う。

『私のマスター、桜の事が気になります』

そうなんだ。
桜さんか、私がお世話になっている人と同じ名前なんだ。
じゃあ、受肉してみる?

『出来るのでしたら』

じゃあ、受肉させるよ。

『ちょっと貴女、あの後、宗一郎様を如何したの!』

ああ、この声はキャスターさんか。
大丈夫だよ、殺人先生の葛木さんは未来に送ったから十日後にはお寺に現れるよ。

『―――未来、貴女まさか本当に魔法の』

気になるなら受肉してみる?

『ええ、それが叶うのなら』

キャスターさん受肉、と。
でも以前の様に悪い事しちゃ駄目だよ?

『……受肉してるのならそんな事もう必要無いわよ』

そう、なら心配ないね。

『ほう、女狐は現世に戻るか。
聖杯戦争中は門に縛られたままであったからな、世界がどの様に変わったのかは知識では無く実際に見て回りたいもの―――私も受肉を望むぞ童女』

この声はお侍さんだね。
うん、アサシンさんは受肉だね。
えと、四人聞いたから後二人。

『――――』

ええと、バーサーカーさん?
バーサーカーさん受肉しても、理性が無いからちょっと無理があるよね。
如何しよう?

『ならよ、サーヴァントのまま戻せば良いだろう』

この声はランサーさん。

『おう。さっき分かれたばかりで何だが、お前なら出来るんだろう?』

うん。

『なら決まりだ、オッサンもソレで良いだろ?』

……多分、魂だけだから判り難いけれどバーサーカーさんは頷いているのだろう、あんなに虐められてたのにイリヤ姉ちゃんの事が気になるんだね。
いずれ大聖杯からの魔力供給とかは無くなるだろうから、契約を維持するのに必要な魔力は後で宝石を渡してあげれば良いかな。
ランサーさんは無いの?

『は、言ったはずだぜアリシア、俺は第二の生など興味無いってな。
そうだな―――強いて言うなら俺が渡した槍、必ず使いこなせる様になれよ』

うん、ちゃんと出来る様にするよ。

『ああ、なら他は無い。じゃあな』

さよならランサーさん。
願いの無い英霊さんと、私に槍をくれたランサーさんの魂は放れ自分の座へと還って行く。
同時に残りの三人は魂の記憶する形を元に体を構成する。
イリヤお姉ちゃんとバーサーカーさんは、契約した状態にして三人とは違う形、霊核を基に魔力で出来た体にした。
後はセイバーさんだけ。
でも、そこの世界とセイバーさんが交わした契約は有効になっていて、如何やらセイバーさんが世界とした契約は聖杯を得る事らしく私の使った渦が聖杯と見なされたらしい。
でも、セイバーさんの望みを叶えたのは私の勝手だし、私がしたいから叶えたのに有効だなんて。
まったく、もう―――そんな不当な契約は、座に居る影に言って取り消させたよ。
皆の願いを叶えながら視ていた、部下である騎士とのやりとり、私はソコへと転移した。
何処かの森の中、セイバーさん……ううん、王様は大きな木に体を預けていた。
でも、如何やら剣を湖に捨ててきてと言っている王様に、部下の騎士さんは二回も捨てられず戻って来ていて、その度に「命を守るがいい」と繰り返す王様は中々安心出来ない様子だよ。
む~、確かに不法投棄とかっていけない事だから部下の人の気持ちも解らない訳じゃないけれど、そうしないと王様は何時まで経っても辞められないよ。
あの騎士さん、べディヴィエールさんも綺麗な湖に不法投棄をしていいのか迷っているんだろうね、でも、意を決したのか三度目にしてようやく剣を投げ捨てると、皓い腕が剣を受け止めて王様の剣はこの世界から姿を消したんだ。
ふ~、引き取る相手が居たのか、べディヴィエールさんも心配したように不法投棄にはならなくて良かったよ。
これでセイバーさん、アルトリアさんは王様を辞職出来たんだね。
でも、その頃には朝日が昇り始めてる。
向うの世界でもちょっと眠かったのに、王様を迎えに森に隠れて視ている身にもなって欲しいかな―――でも、これでようやく出て行けるよ。

「―――湖に剣を投げ入れてまいりました。
剣は湖の婦人の手に、確かに」

「……そうか、ならば胸を張るがよい。
そなたは、そなたの王の命を守ったのだ」

「―――すまないなべディヴィエール。
今度の眠りは、少し、永く――――」

何ていうか、べディヴィエールさんが中々湖に剣を投げ入れなかったせいで王様はもう限界に来ていた。
ようやくべディヴィエールさんが王様の命令を守っり剣を返せたので、それに安堵した王様は他に何も言う事も無く眠るようにして眼を閉じてしまい―――私は慌てて二人の傍に走り寄る。

「―――――っ、何者!?」

「えと、もう良いかな?」

「何故この様な場所に子供が?」

べディヴィエールさんは慌てて出て来た私に対し剣を抜き構える。
あう、警戒されてるよ―――でも、これ以上はアルトリアさんが死んじゃうから。

「私はアリシア・テスタロッサ、王様を辞めたアルトリアさんを迎えに着たんだよ」

「迎えに―――貴様一体何者だ!」

「ん~、此処とは違う別の世界から来た魔術師、この世界では通りすがりの魔術師なのかな?」

「魔術師だと……信用出来んな、それに王はようやく安らぎを得られたのだ、邪魔はしないで貰おうか!」

「や。私はアルトリアさんと約束したんだもん、アルトリアさんが王様になって守った国と人々が未来で如何繁栄していったか一緒に行ってみようって」

「……未来」

「うん、それにアルトリアさんはもう王様じゃないもの。
あれだけ頑張っていたんだから、もう一人の人間として生きても良いと思うんだよ」

セイバーさんの時、聖杯の代わりに渦で願いを叶えようとした事を思い出しながら口にする。
そんな私にべディヴィエールさんは何だか迷っているみたいで、視線が木にもたれ掛かるアルトリアさんと私に行ったり来たりしていた。

「―――証を示せ、貴様が我が王を預けれるのに相応しいか如何かを!
(……確かに我が王がこのまま終わっていい筈はない―――だが、信用して良いのか?しかし、このままでは王は!?)」

「ん~、取敢えずこんな感じで良いかな?」

そうなんだ、この時代でも子供の姿だと信用されないんだね。
そういえば以前、日向ぼっこしてた時に他の人達の意識を視て知ったよ、成人してないと責任が取れないので、色々と重要な事は出来ないって。
仕方ないので、私は昼間にランサーさんと訓練した時、お兄ちゃんが目に困るって言っていた時の様に世界を書き換え、大人の格好で服がある様に見える状態にしてみた。
………これで駄目なら少し私の本体の力を使うしか無いけれど、そんな事したらこの星が危ないし如何しよう?

「―――まさか、いや、そうに違いない。
(先程までただの小娘にしか見えなかったが、この神々しさ、よもや疑う余地は無い目の前に居るのは神の御使い。
そうだ―――我らの王、公平無私であり、あれだけの偉業を成し遂げた王が!この様な最後を向えていい筈が無いのだ!!)」

何故かべディヴィエールさんは震える手で剣を戻すと少し後ろに下がり。

「先程の御無礼、御許し願います御使いよ。
如何か―――如何か、我が王をお願いいたします。
(我らの王は未来にて蘇る、神は王を見ていたのだ!)」

「うん、王様を預からせてもらいます。
あと、私を信じてくれて有難う」

信用されると嬉しいな。
最近、何でかよく解らないけど嫌われる事が多いいから特にそう感じるんだと思う。

「じゃあね」

アルトリアさんを抱き上げ、傷ついた体を修復すると私は元居た世界へと転移した。


とある『海』の旅路 ~多重クロス~

Fate編 第14話


目を開ければ見覚えのある天井。
見渡せば此処が居間なのが解る、確か聖杯戦争の時でしたか。
如何やら私は寝ていた様―――まて、私は確か……剣を湖に返させて。

「む?」

横に誰か寝ています。
見れば幼女、この子は確かアリシア・テスタロッサでしたね。
ああ、そうでしたか流石はべディヴィエール博識です、夢とは再び目を閉じる事で続きが見れるのですね。
ですが聖杯戦争の時、何故この子は私を殺そうとしたのでようか?
彼女に私を殺す理由等は無い筈なのに?
いえ、もしすると私が知らないだけなのかもしれませんが―――これが夢なら丁度良い、起こして聞いてみますか。

「アリシア起きてください」体を揺すると「あう、まだ眠いよ」と言いながらも目を開ける。

「アリシア、貴女に聞きたい事があります」

「う~、なに?」

「貴女は私に恨みとかはありますか?」

「特に無いけど、如何したの?」

「いえ、ただ貴女に殺された夢を見てしまったもので……」

自分で言っていながら、わざわざ寝ている者を起こしてまで何を言っているのかと思ってしまう。

「ああ、その事ならね。
アルトリアさんは、一度死なないと王様を辞められないから。
サーヴァントとして受肉してたけど、サーヴァントとしては死んで貰って、王様の務めを果たして貰ったの。
もう王様は辞めたから、思い残す事無くこの世界で生活すると良いよ」

「はあ?」

眠いのか片手で目を擦っているアリシア。
ですが、アリシアは今何と言っていましたか?
確かに剣を返す様べディヴィエールに命じ、べディヴィエールは命に従い返却し私は王では無くなりましたが、何故アリシアがソレを知っているのです?

「それにべディヴィエールさんに、我が王をお願いしますって言われたもん」

「―――アリシア、何故べディヴィエールの事を知っているのです!?」

「あう、だってセイバーさんだった頃に約束したよ。
何時かセイバーさんの祖国を見に行こうって。
だから、王様を辞めたアルトリアさんが死んじゃう前にべディヴィエールさんに会って預かったんだよ」

「それ以前に如何や―――っ!?」

―――そうでした、彼女アリシアは時を操る魔法使い。
更には、何時でも使える聖杯を所持しているのです……時空を移動する事も出来なくはありませんか。
しかしモードレットが残した傷、あれは致命傷であり、あの傷を受けている以上は私は死んでいる筈だ。

「ですが、あの傷は紛れも無い致命傷。
少なくてもこうして話せる状態ではありませんでしたが……」

だからこそ、べディヴィエールに永い眠りにつくと言ったのですから。

「付け加えれば、例え私がこの世界で生きたとしても一人の人間。
サーヴァントが出てくればひとたまりも無い」

成る程これは夢では無かった。
ですが、この身は既にサーヴァントでは無い以上、もう他のサーヴァントと戦っても……勝つ事は出来ないでしょう。
確かまだギルガメッシュがいた筈です、なのにサーヴァントで無くなってしまたのでは―――これでは戦力が足りない!

「ううん、大丈夫だよ。
アルトリアさんは傷ついてたけど、治してからこの世界に戻って来てるし。
その後でアルトリアさんがいた世界では、アルトリアさんは英霊として祀り上げられてたから、座が出来てたんだよ。
丁度いいから、それをサーヴァントセイバーのクラスとしてアルトリアさんに被せたから」

「……如何いうことです?」

「簡単に言うと人として生きているアルトリアさんに、セイバーさんの時の能力を付与したと思ってもらえば良いかな。
つまり、今のアルトリアさんは人なのにセイバーだった頃の能力を持ってるんだよ。
だから、他のクラスの英霊さん達に虐められたりしないから安心して」

「―――!?」

何と言えばいいのでしょうか、魔法使いが聖杯を手にしているとそんな事も出来るのですか。
そもそも……その前に他のクラスの虐めって、アリシアは一体私を如何見てるのでしょう?
いや、それ以前にアリシアは勝手に決めすぎです!

「ですが―――アリシア、それ程の事を何故貴女は私に何も告げず自身で勝手に決めてしまったのです?」

ええ、サーヴァントだったとは言え、何ら前触れも無く突然殺された身としては納得がいく訳がありません。
そもそも、サーヴァントとして召喚したのはアリシアでは無くシロウだ。
アリシアが如何こうする権利等何処にも無い!

「……うん、誰だって死ぬのは嫌な筈だから、言うと怖がらせちゃうかなと思って」

英霊として召喚された私が怖がる?
この子は私を侮辱してるのですか?

「ほほう、アリシア貴女はソレを知っていてやったのですね」

「そうだよ、だから苦しまない様にしたつもりだよ」

成る程、事故とかでは無く確信犯でしたか。
―――なら構いませんね。

「そうですか」

私は拳を作りアリシアの頭へと上げ下ろす。
加減をしたとはいえ、アリシアの頭に落とした拳骨はゴチっといい感じの音を立てる。

「~っ、痛いよ」

「アリシア、自分だけの考えで行動するのは止めなさい。
私は英霊にまで至った者、必要な死であるなら恐れません、せめて理由を言ってくれれば私とて納得して受け入れたでしょうに」

「あぅ~、ごめんなさい」

涙目で頭を押さえるアリシア。
思慮が足りなかったとは言え、アシリアは私を思っての事ですこれで許してあげましょう。
確かに何れは死を受け入れ、剣を返し、王を辞めなければならない運命だったのですから。
先日、私の願いを叶えようとして聖杯を使った以上、アリシアにはそれが私にとって必要な事だと知っていたからこその行動でしょうし。
―――しかし、王を辞めたとはいえ、あの森で死なずに、サーヴァントとして呼ばれた世界に来てしまうとは予想すらしていなかった事です。
幸い、サーヴァント時の能力とクラススキルは有ると言う、この時代で一人の剣士として生きるのも悪くないのかも知れない。
それに……シロウもアリシアも見ていて危なっかしい。
シロウは自分の身を省みず、深い考えも無く他人を助け様としますし。
前回の第五次でアーチャーが語った様に、誰にも理解されないまま、利用され続け、挙句の果てに処刑されてしまう未来は避けたい。
アリシアはアリシアで魔法すら使え、聖杯すら所持しているというのに魔術師らしい処が無い。
それは凛の様に、人間らしさを捨てきれない魔術師として好ましいのかもしれませんが。
もし、常識が一線を越えてしまい、どこぞの傲慢不遜な英雄王と同じ様な性格になってしまったら……それこそ魔法やら万能の聖杯で何するか解りませんから。
そうなってしまったら、英霊には成りましたが神霊では無い私には手が付けられません。
実際、サーヴァントの時に一度殺されてるのですから。

「過ぎた事です、これで許しましょうアリシア。
それから、この時代での私の名は聖杯戦争時と同じく弱点を露呈させる事になりますから、私の事はセイバーと呼んでください」

「う~、解ったよセイバーさん」

まだ痛いのか頭を押さえているアリシア。
む、軽くしたつもりだったのですが―――っ、手甲をつけたままでした、これでは痛い筈だ。
更に視線を下げると鎧を纏い手甲、具足付けている。
私の格好はあの戦場に出てた時のままだ。
当然、あの丘での戦いで付いた返り血等が沢山付いている。

「取敢えず着替えてからシロウに会いましょう、アリシアは如何しますか?」

「私も服着てないから着てくるよ」

姿こそ幼いとはいえ、アリシアの格好は先日のランサーと競った時に纏った白地に青の神々しい感じになっていた。
それでも着てる様にしか見えませんが……そう思っているとアリシアの姿は空間転移したのか消え。
私も着替えの必要がある以上、宛がわれた部屋であるシロウの隣の部屋へと向い―――今の異常に気付いた。

―――っ、邸の中から気配が一切していない!?

いえ、そもそもアリシアに殺されてからどれだけの時間が過ぎたのでしょう?
アリシアの様子からではそう時間は経っていない筈ですが。
如何やら着替えの前にシロウを探す必要がありそうだ。


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