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No.18122の一覧
[0] 魔導戦士ガンダム00 the guardian(機動戦士ガンダム00×魔法少女リリカルなのは)[ロビン](2010/11/08 21:58)
[1] プロローグ[ロビン](2010/05/27 18:37)
[2] 1.後悔そして遭遇[ロビン](2010/05/27 18:37)
[3] 2.過去[ロビン](2010/05/27 18:37)
[5] 3.ソレスタルビーイング[ロビン](2010/05/27 19:15)
[6] 4.試験運用[ロビン](2010/05/27 18:38)
[7] 5.代償[ロビン](2010/06/22 14:58)
[8] 6.決意の夜[ロビン](2010/05/27 18:39)
[9] 7.介入開始[ロビン](2010/06/24 23:22)
[10] 8.ガンダムマイスター[ロビン](2010/05/27 18:39)
[11] side1.run away ferret[ロビン](2010/05/27 18:39)
[12] 9.接触[ロビン](2010/05/27 18:39)
[13] 10.フェレシュテ[ロビン](2010/07/11 18:13)
[14] side2.繋がるオモイ[ロビン](2010/05/27 18:40)
[15] side.3 僕が俺になるまで[ロビン](2010/05/27 18:40)
[16] 11.限界離脱領域[ロビン](2010/05/27 18:40)
[17] 12.過去との対峙[ロビン](2010/05/27 18:40)
[18] 13.交わる運命[ロビン](2010/05/31 19:42)
[19] 14.牙をむく悪意(前編)[ロビン](2010/07/11 18:22)
[20] 15.牙をむく悪意(後編)[ロビン](2010/09/04 00:31)
[21] 16.ガンダム鹵獲作戦[ロビン](2010/10/16 11:28)
[22] 17.キュリオスVSソリッド[ロビン](2010/07/12 09:23)
[23] side.4 仲間の意味[ロビン](2010/08/14 21:59)
[24] 18.呼び起こされる戦禍[ロビン](2010/06/29 12:04)
[25] 19.聖者の帰還[ロビン](2010/07/04 09:53)
[26] 20.Ash Like Snow(前編)[ロビン](2011/08/09 09:38)
[27] 21.Ash Like Snow(後編)[ロビン](2011/08/09 09:39)
[28] 22.嵐の前の……[ロビン](2010/08/18 00:24)
[29] 23.嵐の中へ[ロビン](2010/07/20 13:07)
[30] 24.暴走[ロビン](2010/07/21 12:39)
[31] 25.強襲[ロビン](2011/03/16 08:52)
[32] 26.絆[ロビン](2011/03/16 08:56)
[33] 27.統合[ロビン](2010/10/17 11:24)
[34] 28.選ぶ道[ロビン](2010/10/17 11:31)
[35] 29.TRANS-AM[ロビン](2010/10/17 11:38)
[36] 30.ロックオン・ストラトス[ロビン](2010/10/17 11:45)
[37] side.5 フレンズ[ロビン](2011/08/09 09:44)
[38] 31.永久なる願い[ロビン](2010/10/17 11:52)
[39] 32.GUNDAM[ロビン](2010/10/17 11:57)
[40] 33.帰還[ロビン](2010/10/17 12:02)
[41] エピローグ[ロビン](2010/08/25 19:16)
[42] 魔導戦士ガンダム00 the guardian season strikers プロローグ[ロビン](2010/08/26 19:19)
[43] 1.ホテルアグスタ[ロビン](2010/08/31 19:13)
[44] 2.模擬戦[ロビン](2010/08/28 16:53)
[45] 3.Guardian[ロビン](2010/09/21 18:12)
[46] 4.歪んだ想い[ロビン](2010/09/21 18:13)
[47] 5.和解と狂気と……[ロビン](2011/01/17 00:59)
[48] 6.19年前からの亡霊[ロビン](2010/09/05 23:54)
[49] 7.翠色の罪[ロビン](2010/09/09 20:36)
[50] 8.スターズ5[ロビン](2010/09/23 11:06)
[51] 9.Return to Angel[ロビン](2010/09/23 20:09)
[52] 10.少女と母親、そして……[ロビン](2010/10/17 12:06)
[53] 11.求めるもの、失いたくないもの[ロビン](2010/09/30 22:07)
[54] side1. 婚約前夜[ロビン](2010/10/03 23:24)
[55] 12.強さの意味[ロビン](2010/10/17 10:29)
[56] 13.激怒[ロビン](2010/10/20 21:17)
[57] 14.天使、赤き衣をまといて…(前編)[ロビン](2010/11/02 21:40)
[58] 15.天使、赤き衣をまといて…(後編)[ロビン](2010/11/02 21:40)
[59] エピローグ[ロビン](2010/11/02 22:00)
[60] 魔導戦士ガンダム00 the guardian second season プロローグ[ロビン](2010/11/05 01:32)
[61] 1.Crusade[ロビン](2010/11/06 10:30)
[62] 2.救出作戦[ロビン](2010/11/08 22:29)
[63] 3.戦う理由[ロビン](2010/11/13 19:26)
[64] 4.熱砂の攻防[ロビン](2010/11/25 21:17)
[65] 5.現れたモノ[ロビン](2010/11/29 22:31)
[66] 6.再会と別れの洗礼~Alleluia~[ロビン](2010/12/08 10:31)
[67] 7.twin’s[ロビン](2010/12/14 16:20)
[68] 8.蒼の賢帝[ロビン](2010/12/19 01:07)
[69] 9.記者と鴉とマイスター[ロビン](2010/12/26 00:30)
[70] 10.闇の欠片[ロビン](2011/05/27 22:03)
[71] 11.ミッドチルダ[ロビン](2011/01/11 23:25)
[72] 12.Mission of I[ロビン](2011/01/13 19:58)
[73] 13.1ガンダム[ロビン](2011/01/16 21:14)
[74] 14.Fの遺産[ロビン](2011/01/20 16:43)
[75] 15.歪み[ロビン](2011/01/22 20:42)
[76] 16.MS・デバイス ガンダム[ロビン](2011/01/30 00:02)
[77] 17.悪意の1VS狂気の正義[ロビン](2011/02/04 23:36)
[78] 18.白翼と青狼[ロビン](2011/02/13 02:48)
[79] 19.Get back[ロビン](2011/03/05 22:19)
[80] 20.それぞれの休日[ロビン](2011/03/21 22:44)
[81] 21.明かされた真相[ロビン](2011/02/24 23:49)
[82] 22.決着の時[ロビン](2011/02/28 20:42)
[83] 23.クラナガン防衛戦(前編)[ロビン](2011/05/31 00:20)
[84] 24.クラナガン防衛戦(後編)[ロビン](2011/11/09 17:36)
[85] 25. Intervention to the all world[ロビン](2011/03/22 09:05)
[86] 26.友よ…[ロビン](2011/03/26 12:59)
[87] 27.小さな覇王[ロビン](2011/03/29 16:57)
[88] 28.復讐の結末[ロビン](2011/04/05 21:43)
[89] 29.残された欠片[ロビン](2011/04/10 00:49)
[90] 30.殺意満ちる感染者[ロビン](2011/04/15 19:18)
[91] 31.誘惑者[ロビン](2011/04/25 20:23)
[92] 32.GNデバイス[ロビン](2011/04/30 08:01)
[93] 33.新たな翼(前編)[ロビン](2011/05/07 19:01)
[94] 34.新たな翼(後編)[ロビン](2011/05/27 22:06)
[95] 35.僕の娘に……何をしたって聞いてんだよっ!![ロビン](2011/05/16 23:59)
[96] side1.集いしGたち[ロビン](2011/05/21 22:03)
[97] 36.引き金の重さ[ロビン](2011/05/29 22:35)
[98] 37.砕けた盾[ロビン](2011/06/05 00:58)
[99] 38.巨人と影[ロビン](2011/06/12 01:07)
[100] 39. Table and back.But,it is one coin.[ロビン](2011/06/19 09:26)
[101] 40.それぞれの戦場へ(前編)[ロビン](2011/06/25 17:35)
[102] 41.それぞれの戦場へ(後編)[ロビン](2011/07/04 19:00)
[103] 42.Wizards in 2312.Earth[ロビン](2011/07/13 21:18)
[104] 43.Border breakers[ロビン](2011/07/18 09:30)
[105] 44.天と星、そして瑠璃色の輝きに誓って[ロビン](2011/07/24 19:39)
[106] 45.覚醒[ロビン](2011/08/09 08:08)
[107] 46.過去への旅路~導き手~[ロビン](2011/08/24 19:47)
[108] 47.過去への旅路~母~[ロビン](2011/09/09 23:42)
[109] 48.過去への旅路~涙~[ロビン](2011/09/21 18:47)
[110] 49.過去への旅路~生きる意味~[ロビン](2011/09/21 19:03)
[111] 50.過去への旅路~空を駆ける光~[ロビン](2011/10/02 21:00)
[112] 51.Operation・Air Burst[ロビン](2011/10/16 09:08)
[113] 52.メメントモリ攻略戦[ロビン](2011/11/08 18:49)
[114] 53.The song for sad soldiers[ロビン](2011/12/13 17:43)
[115] 54.影を背負いながらも[ロビン](2011/12/26 19:46)
[116] 55.ブレイクピラー(前編)[ロビン](2012/01/24 20:36)
[117] 56.ブレイクピラー(中編)[ロビン](2012/01/24 23:29)
[118] 57.ブレイクピラー(後編)[ロビン](2012/01/31 17:11)
[119] 58.Scar[ロビン](2012/02/12 12:09)
[120] 59.凍て付く戦陣[ロビン](2012/02/28 00:23)
[121] 60.聖王教会防衛戦[ロビン](2012/03/14 00:08)
[122] 61.前へ進むために……[ロビン](2012/03/30 18:32)
[123] 62世界の行方[ロビン](2012/04/16 18:32)
[124] 解説その1[ロビン](2012/04/14 20:20)
[125] 解説その2[ロビン](2012/04/14 20:22)
[126] side.2 The creditable knight[ロビン](2012/06/18 21:17)
[127] 63.ヒュアース[ロビン](2012/08/02 22:27)
[129] 64.萌芽[ロビン](2012/09/27 23:52)
[130] 65.反撃[ロビン](2012/11/15 23:18)
[131] side.3 うたかたのサルガッソ[ロビン](2012/11/24 21:22)
[132] side.4 ママと呼ばれたいっ![ロビン](2012/12/14 22:53)
[133] 66.カルディア[ロビン](2013/01/05 19:53)
[135] side.5 Blue rose[ロビン](2013/01/19 10:16)
[136] 67.メメントモリ殲滅作戦[ロビン](2013/03/10 20:09)
[137] 68.戻れぬ者たち[ロビン](2013/04/19 20:06)
[138] 69.I love you,I trust you [ロビン](2013/06/19 20:20)
[139] 70.革新の扉[ロビン](2013/10/01 23:34)
[140] 71.それでも手を繋いで明日へ[ロビン](2014/03/17 20:55)
[141] 72.決戦(1)開幕[ロビン](2014/03/17 20:43)
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[18122] 44.天と星、そして瑠璃色の輝きに誓って
Name: ロビン◆dd70ced8 ID:f9e00af6 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/24 19:39
ミッドチルダ 海中 プトレマイオスⅡ 沙慈の部屋

「むぅ~!!パパのわからず屋!!」

別段特殊な趣味をしているわけではないが、確かにむくれているこの姿も愛嬌がある。
そう思う沙慈だったが、できることならこの冷戦の早期終結を望んでいるのも事実だ。
なぜなら、

「ヴィヴィオちゃ~ん!」

「遊びに来たよ。」

「今日は私も一緒だ。」

「いらっしゃ~い!」

「それ本来なら僕のセリフ……」

そう、女性陣がヴィヴィオ目当てにこれでもかとつめかけてくるのだ。
しかも、ミレイナとフェルトはともかく、最後の砦だと信じていたリインフォースまで頻繁にやって来るのだ。

「リインフォースさんってこういうタイプの人でしたっけ?ユーノから聞いていた人柄とかなり齟齬が…」

「私がユーノ達の前に意思と肉体を顕現させられたのは消える直前、それも最初は敵としてだったからな。子供は嫌いではないのだが、あの時のイメージが先行しているなら、誤解も生まれるだろう。」

「ええ、納得ですよ。そうやってると本当に母親みたいです。」

猫のようにリインフォースの膝の上にちょこんと座るヴィヴィオに沙慈は脱力しきった笑いを浮かべる。
実に微笑ましいのだが、男ばかりの職場に勤め、女性慣れしていない沙慈にとってこの状況は有難迷惑。
まさに、生殺しだ。

ヴィヴィオとユーノの間で冷戦が勃発してすでに三日。
この冷戦において(ヴィヴィオ的に)勢力は二つ。
(ヴィヴィオの脳内では)マイスターズ&イアン、ジェイルはユーノ側につき、(しつこいがヴィヴィオの脳内では)ヴィヴィオ側についているのは沙慈、エリオと女性陣だ。
しかし、(くどいようだが、あくまでヴィヴィオの認識なので)実際は一切内部分裂は起きておらず、むしろクルー全員で二人の仲、というよりヴィヴィオをどうにかユーノの話を素直に聞ける状況にもって行こうと悪戦苦闘中なのだ。
だが、ことはそう簡単にいきそうもない。

「も~!パパの意地っ張り!なんで自分のことを悪く言ったりするんだろう?」

これである。
沙慈だけでなく、やってきた三人も苦笑を禁じ得ない。
幼い彼女にソレスタルビーイングにいる人間の決意や、常に自らの傍らにある罪悪感や悲しみを理解しろといっても難しいかもしれないが、それでもわかってもらいたい。
この幼子を自分たちのように、ソレスタルビーイングのような存在にしてはいけないのだ。
そのための自分たちで、そのためのガンダムなのだから。



魔導戦士ガンダム00 the guardian 44.天と星、そして瑠璃色の輝きに誓って


刹那の部屋

「なんだ、まだ言ってないのか?」

刹那の部屋に集まって作戦会議中だった男性陣の中で、イアンが呆れた声で口火を切る。
それをきっかけにマイスターズからも、集まって数分しか経っていないのに疲労困憊と言った様子の溜め息が漏れる。

「だ、だって上手く話をできる機会がなかったというか…」

「無理にでも引っ張ってくればいいだろう。」

「駄目だよ。まだ小さい子に無理矢理話を聞かせるようなことしちゃあ。」

「ならばどうする?ユーノがヴィヴィオと話し合わないことには事態は好転しない。」

「話がややこしくなる原因作ったお前がえらそうにすんじゃねえ。」

「…………………」

強硬論を唱えるティエリアと刹那だったが、あえなく却下。
かといって、アレルヤとロックオンにもいい考えがあるわけでもなく、三日前から続く堂々巡りに再度突入していく。
…はずだったのだが、

(チッ……人が気持ちよく寝てるときにギャアギャア騒ぎやがって。オラ、アレルヤ。体貸せ。)

「え!?ちょ、ハレル…」

「……おい、バカ親父。」

「な!?バ、バカ親父!?」

ハレルヤの暴言に面喰いながらも抗議しようとするユーノだったが、二の矢、三の矢が続けざまに飛んでくる。

「お前は子供をペットかなんかと勘違いしてんのか?それとも、温室野菜か?」

「んなっ!!?」

「甘やかすだけで真人間になるのかよ。だったら、ハロでも与えて英才教育でも何でもするんだな。手間もかからねえし万々歳じゃねぇか。」

「ふ、ふざけ……」

掴みかかろうとするユーノだったが、逆にハレルヤがユーノの襟首を掴んで引き寄せる。

「てめえはあいつのなんだ?」

「ぼ、僕はヴィヴィオの父親…」

「だったら、親父らしくサイコロの一面だけ見て喜んでるようなバカガキに他の面を見せてやるのが親の務めってもんじゃねえのかよ?」

「……そんなの、わかってる。だけど…」

「親父が早死にしたからどうすりゃいいのかわからねえなんざてめえが都合よく自分の境遇を解釈した言い訳だろうが。不幸自慢なんざ聞き飽きてんだよ。」

ベッドの上に乱暴に放り出すと、ハレルヤは扉の前まで行って一瞥する。

「本当に何の自慢にもならねえが、俺もアレルヤも親を知らねえし、こんなみょうちきりんな体だ。だけど、俺はともかくアレルヤはそこらにいる奴らよりよっぽどまともな人格だぜ?血のつながりがなくても、たとえわずかな時間でも親がいたお前が自信なくされたんじゃ、俺たちの立つ瀬がねえんだよ。」

とどめの言葉にうなだれるユーノ。
だが、最後に金と銀のオッドアイが鋭いものからいつもの優しげな眼差しに変わる。

「それに、ユーノがヴィヴィオの将来のことを心配してることは、ちゃんと伝わるはずだよ。」

「アレルヤ……」

少年のような視線を背に受けて部屋を後にするアレルヤとハレルヤ。
二人きりになった廊下を歩きながら、アレルヤがこらえきれなくなったように小さく笑いだす。

(んだよ?)

「いや、珍しいと思ってさ。ハレルヤが他人の世話を焼くなんてね。」

(ケッ!これ以上の安眠妨害は死活問題だからな。)

「それに、僕のことをあんな風に思っててくれてうれしいよ。」

(なっ!?バッ、バーカ!!勘違いすんじゃねえ!!お前がいないと俺もいろいろやりにくいってだけだ!!この脳内お花畑野郎!!)

「はいはい。」

逆転した立場を楽しみながら、アレルヤは上機嫌でマリーの下へ向かう。
この不毛な膠着状態を打破する作戦をたてるために。
ただ、この三日間、誰よりも入念にある作戦を水面下で、それもそれに関わる人物がその作戦の駒になっていることを気取られぬように進めている人物がいた。



ブリッジ

戦術予報士、スメラギ・李・ノリエガ。
そう、何を隠そう、彼女の作戦は冷戦勃発の知らせを受けた瞬間にすでに発動していたのだ。
不安要素をあげるとすればフェルトがいつスメラギの想定している行動に移るかだ。
彼女の性格を考えれば、ヴィヴィオの下を頻繁に訪ねるようになることは予測できたし、説得のためにちょっとしたタネを、フェルトにもわからないようにそれとなく提案しておいた。
いや、そもそも提案だとすらも思われていないだろうが、きっかけになる可能性は大だろう。
問題は、それがいつ、そしてスメラギの思うような形でヴィヴィオに伝えられるかだ。

(さて、フェルトのお手並み拝見ね。)

そう思いながらフェルトの膝の上でコンソールを叩いてデータの整理のマネごとをするヴィヴィオをクスリと笑ってちらりと見る。
ヴィヴィオはご機嫌で珍しいおもちゃを、扱いこなせるはずのないデータの山を相手にはしゃいでいる。
……はずだったのだが。
遊びだったはずのそれはすでにフェルトやミレイナが普段からこなしている仕事となんら変わらないレベルにまで到達しつつある。

「す、すごいわね、ヴィヴィオちゃん…」

「ふぇ?」

「うん……もうここまでできるんだ…」

「うぅ……私、自信なくしそうです……」

流石、ミッドチルダでもとりわけ優秀な魔導士二人の娘というかなんというか。
とにかく、ハイスペックなお子様だ。

「お姉ちゃんのやってること見てたら覚えた!」

〈……何この子?実は未来人が作った高性能なアンドロイドかなんか?〉

(……そもそも見ているだけで覚えられるようなものなのか?)

(いえ、そんなことは……基礎がわかっていないことにはどうしようも…)

「一番初めに教えてもらうことはクロちゃんが一人でいるときに教えてくれたの!」

念話まで傍受され、フェルトたちはおろか、リインフォースまで比喩でも何でもなく、現実に腰を抜かしそうになる。
念話傍受は大方ユーノの見よう見まね。
しかも、コンピューターの扱いの基礎を教えた967も5~6歳の子供では到底理解できまいとタカをくくっていたに違いない。
昔のユーノもそうだが、この手の才能というものの恐ろしさを改めて心の奥深くに刻み込まれた一同であった。

「でも、本当にすごいね。私なんて慣れるのに3ヵ月はかかったのに。」

(お?)

それらしき気配を感じ取って自分の作業をしながら聞き耳を立てるスメラギ。
話は戻るが、スメラギが仕掛けた戦略、フェルトに言ったのはたった一言。
すれ違いざまに、『ヴィヴィオの境遇って、私たちにちょっと似てるわね。』と。
聖王のクローンとしてこの世に生を受け、その意思に反して戦いの真っただ中に放り込まれたことを考えれば、あながち違うとも言えない。
そのさりげない一言が持つ力、ソレスタルビーイングにいる人間だからこそ感じ取れるその言葉の意味を、フェルトがちゃんと汲みとってくれるとスメラギは信じた。
そして、フェルトはスメラギの思惑通りにヴィヴィオに話を始めた。

「フェルトお姉ちゃんはいつからこのお仕事をしてるの?」

「う~ん、と……ヴィヴィオちゃんより少しお姉さんの時くらいかな?その時の私はソレスタルビーイング以外の世界を知らなかったから。天国のパパとママと同じように、ここに来るのが当たり前だって思ってたんだ。」

「へ~…」

「でも、今は少し後悔してるかな?」

「?なんで?みんなのために悪い人たちをやっつけてるんでしょ?」

「……私もね、最初はそう思ってた。」

フェルトの笑顔が少し曇る。
スメラギの顔も暗くなり、思い出したくないことを、しかし決して捨てることのできない過去が思い出されていく。
大罪だと知りつつ始めた介入行動。
多くの犠牲、そして、命を散らしていった仲間たち。

正義という大義名分を背負っていれば、幾分か心も楽になったかもしれない。
命の重さを感じずに済んだかもしれない。
だが、償いにはならない。
償いきれるとは思わないが、それを理由に罪から逃れることはできないのだ。
なぜなら、誰にも、どんな形であれ正義は存在するのだから。

「例えばね、ヴィヴィオちゃん。連邦や管理局の人、アロウズにいる人にだって正しいと思っているものはあるんだよ。相手を打ち負かすってことは、それを全部否定するってこと……その人そのものを否定することにもつながるんだよ?」

「でもでも!いけないことしてたらお仕置きされるのは普通のことだよ?」

「う~んとね……例えば、ヴィヴィオちゃんが誰か困ってる人を助けようとしているとするね。でも、その人を助けると、今度は別の人が困っちゃうんだ。ヴィヴィオちゃんが誰かを助けて、その別の人がヴィヴィオちゃんのことを怒ったら、それはいけないことかな?」

「それは……」

返答に困るヴィヴィオ。
困っている人間がいれば助けるのが当たり前だ。
しかし、そうすると今度は別の人間が困るという。
ならば、助けないことが正解なのだろうか。

「答えられなくて当たり前なんだよ。」

ヴィヴィオの髪をフェルトは優しくなでる。

「この世界には、正解が出ない問題もあるの。私は、ずっとそれに気付かないでいた。大切な人がいなくなるまで、ずっと。」

「大切な人って、お姉ちゃんの好きな人?恋人?」

少し頬を赤らめるが、フェルトはすぐに小さく笑う。

「恋人……ではないかな?私の片思いだったから。だけど、その人は私にいくつも大切なものを残してくれた。それに、お姉さんみたいな人もいてくれたし、本当にたくさんのものを受け取った。そして、その人たちがいなくなってしばらくして気が付いたの。きっと、私たちがやってきたことのせいで、こんな思いをする人たちがいっぱいいたんだって……そう思ったら、すごく不安になって……」

「お姉ちゃん……」

震えるフェルトの手をヴィヴィオが小さな手で包み込む。
それに勇気をもらい、フェルトは再び口を開く。

「でもね、だから私は残ることを選んだの。こんな苦しい思いをするのは私たちだけでいいから……それで、誰か一人でも多くの人が救われて、誰も涙を流す必要のない世界になるなら、自分で自分が許せなくなっても構わないって……そう思えるの。」

と、そこまでしゃべったところでスメラギだけでなくミレイナとリインフォースも目を丸くして自分を見ていることに気付いて慌てて取り繕う。

「な、なんてね!ごめんなさい、偉そうなこと言っちゃって!」

「いいや、私も考えさせられた。」

そういうとリインフォースはヴィヴィオの目線に合わせて膝を屈める。

「ヴィヴィオ、フェルトはこう言っているんだ。力を振るう者は、常にその行動に責任が付き纏うと。」

「責任?」

「ああ、そうだ。」

リインフォースが深くうなずくと、その長い銀色の髪もそれに合わせて大きく動く。

「力はどう使おうと、たとえ、99%正しいことでも、1%のひずみを生む。そのひずみは、誰かを同じように歪ませる。そのすべてを受け止めることが、今のお前に出来るか?」

フルフルと首を横に振るヴィヴィオ。
そんな覚悟も、強さも、ヴィヴィオは持ち合わせていない。
この時になって、ヴィヴィオは初めて気が付いた。

「私……空っぽだ。」

刹那のような力もない。
ロックオンのように心が強くもない。
アレルヤのほど優しくもない。
ティエリアのように真っ直ぐでもない。

なのに、あんなに軽く、何が正しいか口にしてしまっていた。
ユーノの言いたいこともわからなかったのに。
なのはがユーノにその力を向けた時の苦しさも理解しようとせずに。
マイスターズの苦悩もわからず。
勝手に、自分の狭い尺度で判断を下してしまっていた。

「……!」

ヴィヴィオはフェルトの膝からひょいと降りると、とてとてと走りだす。

「私、パパに謝ってくる!」

「フッ…そうか。」

「ファイトです!ヴィヴィオちゃん!」

「うん!」

元気よく飛び出していったヴィヴィオを見送り、三人はフェルトにグッとサムズアップする。

「グッジョブです、フェルトさん!」

「ナイスだ。」

「クリスが目をかけただけのことはあるわ。」

「そ、そんなっ!!私なんて、一人じゃ何にもできないし、いっつも慌てしちゃうし…」

〈いやいや、いい仕事してますね~!〉

D・ケルディムにまで称賛され、小動物のように照れて縮こまるその姿はひどく愛らしいものだった。
ちなみに、ミレイナがこの姿をユーノに見せればフェルトの目下最大の目標を達成できるのではと考えていたのは彼女だけの秘密である。

「さて、流石にこれであの父子も素直に話ができるようになるでしょ。」

「ですね~。どんなに空気の読めない人間でも、今のヴィヴィオちゃん相手なら超能力者並みの勘を発動できます!」

「じゃあ、これで一件落着…」

リインフォースの言葉を誰もが肯定しようとした時、唐突にクロウの顔がモニターに映し出される。

『すまないが動けるか?局がリガーテに基地を新設しようとしている。今、下手に武装強化を見せて、危ない連中を刺激するわけにもいかない。すまないが、単機で突破力のあるクルセイドに牽制の意味を込めて基地の建設現場へ介入を……どうかしたか?』

ようやくスメラギ達のどよんとした雰囲気を感じ取る。

「……ヘイゼルバーグさん、とんだ空気ブレイカーです。ミレイナ、少し幻滅しました。」

「確かにこのタイミングはちょっと……」

〈KY。〉

ぶつくさ文句をたれながらフェルトとミレイナはユーノに連絡を入れ、すぐに出撃態勢を整えた。









『……エルダ。俺は何か悪いことをしたか?』

〈いえ、特に何も。任務が絡んだ時のマスターのKYぶりは今に始まったことではないので。〉

『…………………』

そして、これからはもう少し空気を読む努力をしようと心に誓うクロウだった。



コンテナ

きっと、雑誌の占いでは自分の今日の運勢は人生でワースト3に入るくらい最悪の評価なのだろう。
ようやくヴィヴィオとしっかり話し合いをする決意を固めたのに、まさかの単独出撃。
しかも、ここから遠く離れたリガーテへ。
どうやら、運命とやらはとことん自分のことが嫌いらしい。
そう思っていたユーノが967を片手にクルセイドに乗り込もうとした時だった。

「パパ!!」

ここにいるはずがないと思っていたその子の声で、967をクルセイドの中に落としてバッと振り向く。
小さな肩を上下させ、それでも必死にユーノの瞳を見つめてくる。

「ヴィヴィオ!!駄目じゃないかここに来ちゃ!!」

椅子の上で抗議の声を出す967も無視して、ユーノはハッチから降りる。
出撃前のコンテナにやってくる人間などパイロット以外ではそういない。
そんなところに娘がやってきたのだから、それはたまげるだろう。
しかしそこまでしてでも、彼女にはどうしても伝えておきたいことがあったのだ。

「あのね!私、パパといっぱいお話ししたいことがあるの!!」

「!」

「だから、絶対帰ってきて!!何があっても、絶対!!」

今にも掴みかからんばかりの勢いに驚くユーノ。
しかし、すぐに嬉しくて表情が緩んできてしまう。
どうやら、お互い同じことを考えていたようだ。

「うん。頑張ってすぐに終わらせてくるよ。」

そう言って優しく頬をなでると、安全な場所へと送り出して自分はコックピットへと向かう。

「きっと、今日の運勢は最高だね。」

そんな現金なことをご機嫌で呟きながら。



リガーテ 基地(建設中)

どんな役職にも、必ず一つや二つは呑気な仕事が回ってくるものだ。
この日、基地の建設とそのための物資搬入の護衛を任されていた局員たちもそう考えていた。
若干、機械まみれのピクニック。
その程度にしか考えていなかったのだが、ある一機の乱入者によって状況は一変。
ピクニックのオプションに、銃弾が追加されることになった。

「クッ!!」

遠く離れていても爆発の衝撃が伝わってくる。
ただでさえガトリングの音が酷いのに、それに加えてこれではまともに話をすることすらままならない。

「MDを全機出撃させろ!!何としてもあのガンダムを叩け!!」

『も、もうすでに出撃させています!!しかし……』

「そうだ。」

「ざ~んねん♪」

ペロリと舌なめずりをすると、ユーノは無遠慮にバロネットへ銃弾をばらまく。

「意思を持たない機械人形が相手なら手加減は抜きだ!!」

「徹底的に潰すぞ!!」

地上すれすれまで高度を下げて持ち前の突進力で距離を詰めるとバンカーすら使わず、ラリアットのように右腕を振るって首をもぎ取る。
残っていたバロネットたちはすぐに反撃に転じるが、クルセイド・Aはその重装甲にかすらせようとすらしない。

「クルセイド・アトラス、目標を粉砕する!!」

地面に足をついたクルセイド・Aは大地を削りながら進んでいたかと思うと、脚を少しさし込んで速度を落とすと同時にその反動を利用して向きを変える。
そして、バロネットたちのほうを向いたときには、すでに両肩のクレイモアは発射態勢に入っていた。

「チタン合金製のクレイモア……お前たちにはもったいないけど、大盤振る舞いだ!!」

両肩から瑠璃色の輝きを放ちつつ、クレイモアを撃ちこみながら円の動きで相手をはりつけにして撃滅していく。
そして、クレイモアの残弾数が半分をきったところで管理局自慢のMDの撃破は完了していた。

「バ、バカな……いくらガンダムと言えど、あの数を…」

「ほら、さっさと武装解除してよ。まだやる気かい?」

適当に人がいないところを選定してガトリングやクレイモアをばらまくユーノ。
おかげで基地の主要な場所には攻撃できないし、時間も手間もかかるが、これから娘と話し合いをするのに人殺しをした後の重い空気を引きずるわけにもいかない。

「パパも楽じゃないね、っと。」

今度はおもむろに腕を基地の敷地に突っ込んで威嚇する。
退去勧告は再三だしているので、そろそろ撤退を開始するはずだ。
というより、そろそろ基地を破壊して帰らないとこの騒ぎを聞きつけた連中が援軍としてやってくる。
今のコンディションならさほど労せず倒せるだろうが、クラウディアが出てこられては少々厄介だ。
早いところケリをつけたい。

「……ほら、早く。親子の対面を邪魔するもんじゃないよ。」

その念が通じたのか、ようやく武器を置いて敗走を始める局員たち。
基地からも我先にとまるで巣を壊された蟻のように人が出てきた。
中には一般人もまぎれている。

「おーおー、ぞろぞろとまあ。」

「トリニティのバカどもなら容赦なく撃つのだろうが、俺たちは無用な犠牲は好まんのでな。感謝することだ。」

「トリニティ……」

そういえば、刹那の話ではスローネドライとネーナ・トリニティはサーシェスの襲撃を生き残ったと言っていたが、彼女は今どうしているのだろうか。
捕獲されたとも破壊されたとの報道もないし、完全に雲がくれ状態だ。

(……って、なんでこんな時にスローネのことなんか…)

とはいえ、やはり気になるのも事実。
二人の兄とあれだけ無茶苦茶な介入をしていた彼女が大人しくしているはずがない。
それに、肉親が殺されているのだ。
あのネーナが黙っているとは到底思えない。

「……まあいいや。彼女がこっちに来ているはずもないしね。」

そう言って無人状態になった基地をクレイモアで派手に吹き飛ばしたユーノは、悠々とその場を後にするのだった。

……そう。

「クスクス……!み~っけ。」

一機の機体が、その様子を遠くからうかがっていることに気付かずに。



プトレマイオスⅡ 食堂

一人で宇宙食用に改良されたフルーツゼリーをすすってみるが、やはり待ち人が気になって味のほうにまで気が回らない。
ユーノが出撃した後、ここで待っているのだが心が落ち着かない。
機動六課にいた時はこんなに不安な気持ちになったことはなかったのに、今はすぐにでも無事を確認したくて仕方ない。

(……そっか。これが、戦いなんだ。)

命の奪い合い。
次の瞬間には、大切な誰かがいなくなってしまうのではないか、そして自分が死んでしまって、もう誰にも会えなくなってしまうのではという恐怖。
そして、誰かを傷つけることの痛み。
おそらく、自分がガンダムの話をした時も同じような気持ちだったに違いない。
今までそのことを考えようともしなかった自分が情けない。

「……強くなりたい。」

力だけじゃない。
この不安に押しつぶされない強さが欲しい。
そして、大事な人たちを守り抜けるようになりたい。

「パパァ……!!」

「呼んだ?」

いつの間にか来ていたユーノが、パイロットスーツを半分脱いだままで優しくヴィヴィオの小さな頭をポンポンと叩くが、ヴィヴィオはしゃくりあげたまま顔をあげない。

「ごめんっ…!なさいっ……!私、何にも知らないで…!!」

「ううん……ヴィヴィオの気持ちはすごくうれしかったよ。だけど、やっぱり僕はヴィヴィオに幸せになってほしい。……でもね。もしもヴィヴィオがそれでも、本気で誰かのために自分をいとわないで戦いたいと思うなら、僕もなのはもそれを止められない。たとえ、敵同士になることになってもね。けど、やっぱり今は普通に幸せな暮らしをしていてほしいかな?」

「うっ……ひっく……!!うええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!ごめんなさいパパァァァァ!!!!ママァァァァァァ!!!!」

泣きじゃくる我が子を腕の中にしっかりと抱きしめ、その温かさに自分も涙ぐむ。
いつか、自分のもとを離れていくんだとしても、幸せになってほしい。
そして、たとえ幸福とは程遠い道を行くことになっても、自分の意思で決めて、その決定の重さに押しつぶされないような人間になってほしい。
そう、願いを込めながら。

「ヴィヴィオ、約束して。」

「うっうっ……グスッ!」

ヴィヴィオをなだめ、少し離れると小指を差し出す。

「力を持つということの意味を間違えないことを。力を振るうことの重圧から逃げないことを。」

「ふぐっ……!うん……!約束する!」

ヴィヴィオも小さな指をからめ、涙でぐしゃぐしゃになった顔でにっこり笑う。

「天に誓って?」

「天と星に……それと。」

いっそう明るく笑ってヴィヴィオは続ける。

「瑠璃色の輝きに誓って!」

「…!うん、約束だよ。」

まだ小さいが、もうヴィヴィオは持っているのかもしれない。
掲げた信念を貫ける強さを。
今は気付いていないかもしれないが、いつかその強さが誰かを救うのかもしれない。
自分の心を救ってくれたように。
そんなことを思いながら、ヴィヴィオの親になれたことを、ユーノは心から感謝した。







聖王、守護者の涙に誠の強さを知る









おまけ

翌朝 コンテナ

「う~~……頭痛ぁ~…昨日はいくら何でも飲みすぎたかな………他のはともかくスピリタスとレモンハート丸々一本空けちゃったからなぁ……」

〈だから止めたのに……いい加減にしないと早死にしますよ、マイスター?〉

いくら強いと言ってもそこは生身の人間。
アルコールの過剰摂取は体によろしいはずがない。
そして、スメラギの秘蔵の酒類が減ったのだから彼女的にもよろしいはずがない。



ユーノの部屋

「ウフフフフフフ……!!!!やってくれたわね、ユーノ……!!!!!!!!」

「…………………………(汗)」

967曰く、空になった酒瓶を握りつぶす鬼神がそこにいたそうな……



コンテナ

「まぁ、自業自得か。二日酔いを理由にお仕事サボるわけにはいかないか。」

〈カッコつけるのは勝手ですけどサングラスずれてますよ?〉

痛む頭を押さえながらフラフラとした足取りで沙慈、イアン、ジェイルの待つ場所へ急ぐ。

「おはよ~…」

「おう、遅いぞ。」

「おはよう。」

「お、おはよう…」

いつも通り挨拶をするイアンとジェイル。
そして、なぜか滝のような汗を流しながらユーノの顔から視線をそらす沙慈。
すこし違いはあるが、いつもと同じ朝だ。

「珍しいな。お前が遅れるなんて。」

「あれ?ラッセ?」

奥からやってきたラッセに不思議そうな声で返事をするユーノ。
エリオとの朝練には早すぎるが、予定を早めたのだろうか。

「そっちこそ珍しいね。まだ朝練をする時間じゃ……」

そう言って視線をコンテナの開けた部分に向けて、凍結魔法にでもかかったように見事に固まる。

「あ!パパ!!」

嬉しそうな顔をするヴィヴィオ。
しかし、その体は成人女性の大きさで、髪も母親と同じ長めのサイドアップ。
テロリストたちに聖王と呼ばれていた時の姿そのものになっていた。

「パパのこと助けたいから戦闘の基礎を教えてくれだとさ。言っとくけど、俺は何度も反対したけどあいつに『教えてくれないとパパに言いつける』って言われて折れたんだ。俺に責任はない。」

「聖王状態は私がやった。小さなままでは逆に怪我をする可能性が大きいからね。自主的にやらせてもらったが、感謝こそされ非難されるいわれはないな。」

「まあ、ヴィヴィオが本気でやりたいと思ったことなんだ。親として応援してやるのが……」

「…………………」

「…?ユ、ユーノ?」

固まったままなんの反応も示さないユーノに、沙慈は恐る恐る声をかける。
すると、

「……………ゲフッ。」

白目をむいて、泡を吹いて倒れた。

「ユーーーーーノーーーーーーーーー!!??!!?!!!?!?!!!!!?」

「オイイィィィィィィィィ!!!!?!?!?!???!?!!!?なんか泡だけじゃなくて顔の穴という穴から血を流し始めたぞ!!!!!!!!!?」

「パパーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!?!!!!!!???!??」

「医者を呼ばねばならないな。」

「って!!!!!!医者あんただろ!!!!!!」

「ヴィ……ヴィヴィオ………僕のヴィヴィオが…………」

「コントやっとる場合か!!!!!!!なんかうわごとまで言い始めたぞ!!!!?オイ!!!!しっかりしろ!!!!!!」












この後、ユーノは急いでメディカルルームに運ばれて治療を施されることとなる。
そして、治療を担当したはずのジェイルはユーノの鉄拳制裁によってあの世とこの世の狭間を数時間さまよう羽目に。
さらに、後からやってきたスメラギによってユーノへのお仕置き開始。
ジェイルをシメてご機嫌だったユーノは空の酒瓶で頭を割られ、血の海へとダウンすることになった。
すると今度はもう一人の医務担当、アニューがこの騒ぎにキレる。
スメラギに加え、すでにこと切れていた二人へも容赦のない攻撃を敢行。
再びメディカルルームに血の雨が降ったのだった。
















綺麗に終わらせたはずなのに結局こんなオチかいっ!!
笑いの邪神が舞い降りて来ている気がしてしまう……
次回は再び舞台を地球に移してスバルが大暴れ!
連邦内部で分裂が発生しますが、まだあの人は出てきません。(だってオーライザーもまだ出てなくてトレミー戻ってきてないし。)


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