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No.17962の一覧
[0] ゼロの従者(ミニステル・マギ) 【ゼロ魔×ネギま】[jinjin](2010/05/13 02:18)
[1] プロローグ Outside[jinjin](2010/04/13 01:33)
[2] プロローグ Outside 続き[jinjin](2010/07/04 20:56)
[3] その1[jinjin](2010/04/30 02:53)
[4] その1 続き[jinjin](2010/07/04 20:59)
[5] その1 Outside[jinjin](2010/07/04 21:00)
[6] その1 Outside 続き[jinjin](2010/05/06 07:37)
[7] その2[jinjin](2010/07/04 21:01)
[8] その2 続き[jinjin](2010/05/25 21:19)
[9] その3[jinjin](2010/06/06 23:36)
[10] その3 続き[jinjin](2010/07/08 00:42)
[11] その4[jinjin](2010/10/11 20:05)
[13] その4 続き[jinjin](2010/11/29 23:43)
[14] その5[jinjin](2010/12/16 22:36)
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[17962] ゼロの従者(ミニステル・マギ) 【ゼロ魔×ネギま】
Name: jinjin◆f5cc02f7 ID:225bf1aa 次を表示する
Date: 2010/05/13 02:18



プロローグ









よく晴れた空から穏やかな風が吹き、丘陵を撫でた。

ここはトリステイン王国。ハルケギニアと呼ばれる大陸の一角に位置する、伝統と格式を重んじる国である。

この国を含め、世界には『魔法』という力が在る。呪文を唱え、杖を振り、火、風、水、土に関する現象を起こす。

それは、人の身では過ぎた力である。

ゆえに魔法を使える者――――『魔法使い(メイジ)』は、その力をもって王侯貴族として世界に君臨し、力の無い者を平民として身分制度を敷き、思うがままに支配していた。

そんなメイジ達だが、生まれた時から魔法が使えるわけではない。物事には全て順序があるように魔法もまた、きちんとした手順・法則を守り、正しく魔力を行使することで初めて発現するのである。

単に『正しく』と言っても何を基準にするのか。そんな疑問もある。

そこは蛇の道は何とやら。

メイジの先達は後に続く者達のために道を創った。

幼く拙い子女を一人前のメイジとして育成するための学び舎。魔法学院である。

このトリステイン王国には、それらの一つである『トリステイン魔法学院』があり、現在ここでは2年生への進級試験も兼ねた恒例行事、春の『召喚の儀』が行われていた。




  *    *




爆発。爆発。また爆発。

今日はいったい何回爆発を起こしただろう。数えるのが馬鹿らしくなるくらい、私は失敗していた。

「ミス・ヴァリエール、もう終わりにしてはどうですか?」

『召喚の儀』の監督役の魔法学院教師、ジャン・コルベール先生が諦めるように私に促す。

ここで「はい、分かりました」と言えるなら、私はこんなにも意地にはならない。

私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。この国、トリステイン王国でも五本の指に入るだろう大貴族、ヴァリエール公爵家の三女。

だから、私は諦めない。いえ、諦めることができない。

魔法使い――――メイジは、貴族としてこの国を、世界を支えている。その貴族の中でも最も高位の爵位である『公爵』の家に生まれた者が、『サモン・サーヴァント』の魔法に失敗し、使い魔も呼べずに魔法学院を留年したなどと、万死に等しい恥辱を受けるわけにはいかない。

ただでさえ私は、あらゆる魔法行使が爆発現象となって失敗してしまうことで周りから『無能(ゼロ)』などと揶揄されている。

「ミスタ・コルベール! お願いです、もう一度だけ……もう一度だけ召喚させてください!!」

誇りある貴族としては恥の上塗りかもしれない。でも、ここで止めてしまうことは『ゼロ』を認めるということだ。それだけは断じて嫌だ。

それを分かってくれたのか、ミスタ・コルベールは頷いてくれた。

「分かりました。 しかし、あと一度だけですよ」

「ありがとうございます! 今度こそ使い魔を召喚してみせます」

周りで見ていたクラスメイト達が「成功するわけない」などと嘲け笑った。

見ていなさい。今すぐ腰が抜けるくらい凄い使い魔を召喚して見せるんだから。

私は精神を集中し、『サモン・サーヴァント』の呪文を紡ぐ。

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。 我が導きに応えなさい!」

唱えながら、私は心の中で祈った。

『お願い。 私の召喚に応えて!』

杖を振る。そしてまた爆発が起きた。

しかし、今度は今まで以上の規模の爆発だった。

これまでとは違う。

爆発の衝撃が引き起こした風が砂煙を舞い上げて息苦しかったけど、私は確かな手応えを感じていた。

ちぐはぐだったものがきっちりと合わさったような感覚。

それは気のせいや間違いじゃなかった。砂煙の切れ間に銀色に光る大きな鏡状の物が浮かんでいるのが見えたからだ。

召喚の門だ。

やった……成功した! 小さい頃からどんな魔法でも失敗して爆発していたのに、初めて上手くいった。

この際、種類の高望みはしない。幻獣とかでなくたっていい。犬でも猫でもネズミでも、何だっていいわ。

「『ゼロ』が……ルイズの魔法が成功した!?」

「嘘だろ……」

煙が晴れて姿を現した召喚の門を見て周りがざわつくが、そんなものは無視。

さあ、早く出て来て。

と、そう思った直後、召喚の門から勢いよく何かが飛び出し、地面に落ちてゴロゴロと転がってきた。

「あ! 私の使い魔――――って、あ、あれ?」

何か変だ。獣とかには見えなかった。

「え…っと、待ってよ……これって……」

嫌な予感が頭を過ぎり、小走りで駆け寄る。

倒れていたのは人間――――それも、まだ子供に見えた。10代前半くらいの赤毛の男の子だ。
何故か服がボロボロだった。あちこちが汚れ、破れてもいる。

「そ…んな……」

がくり、と私は落胆した。 高望みしないって思ったけど、いくらなんでもこれはないんじゃない?

平民? それも子供? 強くもなく、美しくもなく、たいして生命力もない只の子供?

「え? あれ? 僕……何で」

起き上がり、キョロキョロと辺りを見回す男の子。状況が分かっていないのだろう。

「さっきまで空で魔族と……どうして」

何が空で魔族だ。妄想癖でもあるのか。勇者や英雄を夢見る歳頃なのは分かるけど、私的には最悪だ。魔法が使えないだけでなく、使い魔までこんなやつ。

「……あんた、誰?」

「え? あ、あの、僕は……」

名前を聞いても慌てるだけで何も答えられない。

決定だ。この子は只の平民で、何も分からず呼び出されたのだ。

使い魔の質と格がメイジの実力の顕れという。何もない『ゼロ』だから使い魔も『ゼロ』なのか。

「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」

誰かがそんなことを言った。途端、私以外のみんなが笑った。

「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」

そう、間違っただけ。何かが間違ったのだ。
そうじゃなきゃいけない。でないと、私は……。

「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」

「さすがはゼロのルイズだ!」

また誰かがそう言った。

名前なんか覚えていない。あんな奴ら、『誰か』で充分だ。

「ミスタ・コルベール!」

「何だね? ミス・ヴァリエール」

「あの! もう一回召喚させてください!」

その願いがみっともないことは充分に承知している。

でも今後の人生に関わることだ。必死にもなる。

けれど、ミスタ・コルベールは無情に首を横に振った。

「それはダメだ。 ミス・ヴァリエール」

「どうしてですか!」

「決まりだよ。 2年生に進級する際、君たちは『使い魔』を召喚する。 今、やっている通りだ」

分かってる。そんなことは分かってる。

「それによって現れた『使い魔』で今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。 一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない。 何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。 奸むと好まざるにかかわらず、彼を使い魔にするしかない」

「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」

そう言うと、また周りが笑った。何が可笑しい、と睨み付けるが、それでも笑いは止まらなかった。無能の負け惜しみだと思っているのか。

「これは伝統なんだ、ミス・ヴァリエール。 例外は認められない。 彼は……」

ミスタ・コルベールは男の子を指さして続ける。

「ただの平民かもしれないが、呼び出された以上、君の『使い魔』にならなければならない。 古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。 彼には君の使い魔になってもらわなくてはな」

「そんな……」

私は肩を落とした。頼みの綱は、あっけなく解かれてしまった。

「さて、では儀式を続けなさい」

「えー……この子とですか?」

「そうだ。 早く。 次の授業が始まってしまうじゃないか。 君は召喚にどれだけ時間をかけたと思ってるんだね? 何回も何回も失敗して、やっと呼び出せたんだ。 いいから早く契約したまえ」

ミスタ・コルベールだけでなく、周りからも急かすように「そうだそうだ」と野次が飛ぶ。

人事だと思って言いたい放題。なら代われ。あんた達が契約しろ。

「……はぁ」

溜息ひとつ、私は男の子の方に向き直る。

私は今、どんな顔をしているだろう。

たぶん、とても嫌な顔だろう。

こっちを見る男の子の不安げな表情でも分かる。

せめて、これは平民にとっては喜ばしいことなのだと分からせよう。

「ねえ」

「はい?」

「あんた、感謝しなさいよね。 貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」
 
「貴族?」

男の子は首を傾げる。そんなことも知らないなんて、どこの田舎者よ。

もういい。 時間の無駄だ。 私は諦め、杖を振った。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

淡々と。何の感慨も湧かず、呪文を唱える。これで、ただの平民の男の子が私の生涯の使い魔。

「え、ちょ……な、何です?」

「いいからじっとしてなさい」

ゆっくりと唇を近づける私に、男の子は妙に慌て出す。何をしようとしてるか分かったのかしら? 子供のくせにマセてるわね。

仕方ないじゃない、これが『コントラクト・サーヴァント』なんだから。

「あっ!!」

男の子が大声を上げた。

突然だったので私は驚いて止まってしまった。

「何よ……嫌なのは私だって」

「危ない!!」

男の子が急に真面目な顔で私を抱きしめた。ちょっと待った。いきなり何を……って!

ぶわっと凄い勢いで身体が浮いた。男の子が自分を抱いて跳んでいたのだ。

何でって思ってると、ドォン! と大きな音がして、さっきまで自分たちに土煙が上がっているのが見えた。

「キャアァッ!!」

「な、何だアレ!?」

あちこちで悲鳴が上がる。何よ、何が起こってるの!?

「すみません。 しっかり掴まってください」

そ、そんなこと言ったって。

あ……よく見ると結構整った顔立ち。真面目な顔はカッコイイかも……じゃない!

とりあえず男の子の腕をぐっと掴む。

飛び上がった時と同じ勢いで下に降りる。着地した時の衝撃を覚悟したけど、何も感じなかった。すっと足を踏み出しただけのように降り立つ。

それなのに吃驚した。さっきのところから10メイルくらい離れてるんだもの。

どういう子なのって改めて目を向ける。男の子は厳しい顔のままだ。

……いい(////)

「ガァァァ……」

ハッ……なに……この声? 地の底から唸るような……怖い…なに?

「いやぁぁぁ!!」

「うわぁぁぁぁっ!!」

他のみんなが悲鳴を上げて逃げていく。

私の召喚の門がまだ残っている。土煙で見えなかったけど、門から黒い何かが伸びていた。

あれは……手? でも……なんて醜い。 見ただけで寒気がする。 おぞましくて震える。

それだけじゃない。門から更に出てくるのは、その手の持ち主。

「あ…悪魔」

誰かが呟いた。そうだ、あれは悪魔だ。エルフがよく悪魔に例えられるけど、これに比べたらエルフなんて普通に見える。

もしかして、これも私が召喚したの!?

「逃ガサン……」

悪魔が大きな口を開け、こっちに向かって光の弾を吐いた。

「きゃああっ!!」

恐ろしくて目を瞑る。

「パリエース・マーキシム!!」

……何も来ない?

「えっ?」

ゆっくり目を開けると、右手を前に突き出している男の子がいた。その腕の先には魔法陣のような紋様のある光の壁があった。

「な、何よ、これ!!」

「僕が防いでいる間に逃げてください! 奴の狙いは僕です」

「防いでる……って!? これ魔法なの!? あんた、メイジ!?」

信じられない。光の壁の魔法なんて見たことない。どの系統の魔法なのか。

「ハッ!」

ぐっと腕を突き出して男の子が悪魔の攻撃を弾いた。

「エーミッタム・エト・スタグネット! キーリプル・アストラペー!! コンプレクシオー!!」

続けざまに男の子が唱えたのは、これまで聞いたことのない呪文。それだけじゃない。まるで雷で出来ているような球体を創り出して、それを握り潰した。

信じられない。あの雷の球体だけでもスクウェア級の魔法なのに、それを握り潰して自分が雷みたいになるなんて。

「ソレハ モウ見タ。 二度ハ通ジン」

「どうだろう……ね!」

男の子の姿が消えた。どこ? って思ったら悪魔のところから大きな音が聞こえた。

見ると、男の子が悪魔を殴ってる。凄い速さで動いて、休む間もなく殴って蹴って。

「ヌゥ…アッ!!」

悪魔も攻撃するけど、男の子の速さにはついていけてない。簡単に避けられて、倍返しのように反撃される。

いけ、やれ、がんばれ!

「ミス・ヴァリエール、無事ですか!?」

うっさい、ハゲ。いえ、ミスタ・コルベール。今頃なに言ってんの。

「はっ!!」

男の子が悪魔の懐に入り込んで上に突き上げる。

「ウガァッ!!」

高く吹き飛ばされる悪魔。男の子はそれを追って飛び、殴り打ち落とした。

「ガハッ!!」

悪魔は凄い勢いで地面に叩きつけられる。轟音が響き、悪魔が落ちた所には大穴が開いた。

「ロコース・ウンブラエ・レーグナンス・スカータク・マナム・メアム・ダット・ヤクルム……」

空中の男の子がまた呪文を唱える。これも聞いたことがない。

でも、ちょっと待って。 空に浮いたままで? フライとかレビテーションをしたままで他の魔法を使うっていうの!?

「ヤクラーティオー・フルゴーリス!」

男の子の左手に雷の槍のようなものが現れた。

すごい。あれはトライアングル級の魔法に見える。

「シニストラー・スタグナンス」

え? まだこれ以上するの?

「デクストラー・エーミッサ・スタグナンス! キーリプル・アストラペー!」

右腕にまた雷の球が現れた。いったい何を……?

「ドゥプレクス・ウニソネント!!」

嘘っ!? 二つの魔法を融合させた!? ありえない!! 何なのよ、それは!!

「ディオス・ロンケー・ティタノクトン」

槍が形を変えて、さらに大きく勇壮になった。それは姿といい、力といい、神の槍と言われても納得してしまうほど。

スクウェア? そんなもんじゃない。ヘクサゴン……ううん、オクタゴン級だ。

「なんと……あのような魔法が……」

ミスタ・コルベールが呆然と呟く。男の子の戦いを見ている他のみんなも同じだ。

分かった。あの子は私達が知らないだけで、本当は名のあるメイジなんだ。そう、『ゼロ』の私なんかじゃ足元にも及ばないような。

「おおぉぉぉっ!!」

彼が槍を投げる。狙い過たず、それは悪魔の胴を貫いた。

「オノレ……人間ガァ……」

「エーミッテンス・ディオス・ロンケーイ!!」

槍を中心に凄い魔力の動きを感じる。半ば直感で私は耳を塞いだ。

「キーリプレーン・アストラペーン・プロドゥカム!!!」

千に及ぶ雷に見えた。言葉に形容できないほどの衝撃が悪魔を襲った。

それは私たちも例外じゃなく、光で目が眩み、轟音によって数瞬、音を失った。

しばらくして、どうにか目も耳を元に戻った私の前には、あの男の子が立っていた。

雷みたいだった姿は元に戻っていて、煤けた赤毛に頬、汚れ破れた服で所在なさ気に私を見ていた。

悪魔はもういない。跡形もなく消えていた。

「あの……大丈夫ですか?」

「は、はい! だ、だだ、大丈夫ぶでふ!」

思わず背筋を伸ばして敬語で返事。しかも噛んだ。

だって仕方ないじゃない。平民だと思っていたらメイジで、あんなに恐ろしい魔物をやっつけるぐらい凄いんだから。

「そうですか……よかったです」

彼は、ほっと息を吐いて笑顔を見せた。

う……かっこいいだけじゃなくて、こんなにかわいいなんて……。

やばい、顔が熱い。私、たぶん今、真っ赤だ。

「えっと……すみません、僕はネギ・スプリングフィールドと言います。 聞きたいことがあるのですが……」

スプリングフィールド……聞いたことないけど、家名があるってことはやっぱりメイジで貴族なんだ。

「な、何ですか?」

「ここ、どこなんでしょうか?」

どこって……何て答えたら正解なのかしら?









プロローグ   了





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