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No.17171の一覧
[0] 道具屋さんの一日[lune](2010/03/09 20:56)
[1] 道具屋さんの1日 その2[lune](2010/03/10 23:14)
[2] 道具屋さんの一日 その3[lune](2010/03/13 01:02)
[3] 道具屋さんの一日 その4[lune](2010/03/14 11:24)
[4] 道具屋さんの一日 その5[lune](2010/05/29 01:07)
[5] 道具屋さんの一日 その6[lune](2010/05/29 10:02)
[6] 道具屋さんの一日 その7[lune](2010/06/06 18:00)
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[17171] 道具屋さんの一日
Name: lune◆da3a4247 ID:a47281e2 次を表示する
Date: 2010/03/09 20:56
 フリスタリカの王都旧市街は雑然とした空気に包まれている。無計画に建てられた煉瓦造りの家々。放射状に伸びる街路。迷宮のように入り組んだ道は、町のことを知らない人間が歩けばほぼ間違いなく迷う、とまで言われている。
 国王レムリアース10世が統治するフリスタリカは、列強の王国がひしめき合うインゴバルド大陸の中央に位置している。つまるところ通商の要所となり、大陸中の隊商が行き来する国は、それだけで莫大な富を国に落としていた。
 国土はそれなりの大きさだが、侵略をした事は現在までの所、無い。それは侵略をあえてする必要が無かったからでしかなく、そして周囲の国は幾度となくフリスタリカという通商の要を押さえようと侵略を繰り返してきた。
 建国してから500年ほど経過したフリスタリカであるが、現在のところ侵略戦争で国土を失った事は無い。
 そしてここ200年ほどは、気候も安定していた事からか大きな戦争もなく、世界中は大冒険者時代を迎えていた。

 冒険者とは、剣や魔法と呼ばれる技術を用いて、旧時代の遺跡や人跡未踏の地をめざし、そしてなにがしかの宝を見つけてくる者達を言う。宝とは金銀財宝を指し示す事もあれば、未知の技術、未知の魔法である事もある。
 特に1000年以上昔に起きた『大崩壊』によって、旧世界の技術のほとんどが遺失した現在、それらの痕跡は、ただの痕跡なのだとしても莫大の富を生む可能性があるのである。
 そしてそんな「お宝」を探す際には、様々な問題がある。魔獣と呼ばれる獣や魔物が跋扈するのが、この世界なのである。そのために冒険者達は武器や魔法を扱う術を学び、鍛え、日々の糧を得るためにちょっとだけどうでも良い仕事をしたりして、暮らしている。

 ぶっちゃけていえば、ありきたりなファンタジーな世界なのである。


道具屋さんの一日


 旧市街の迷路のような道を抜けた先。奥まった路地にその店はある。看板は申し訳程度にかけられているが、すでにその字は読み取れない。それゆえに、この店を「店」と知っている者は『道具屋』と呼んでいた。扱っているのは、日用品に始まり冒険者必須の道具類まで多岐にわたる。とはいえ、狭苦しい店内ではその全てが陳列されているわけでもなく。つまるところ店主とそれなりに親しくならない限り、この店の本当の顔は見ることができない。
 陽光を嫌う品も多いからか、薄暗い店内。その奥にあるカウンターにあごを乗せてぼんやりとうたた寝している人影があった。
 磨き上げられた古木のカウンターに広がる髪は水のように広がっている。白い肌に、すっと伸びた鼻梁。柔らかそうな唇は薄く紅がさされている。眼鏡のレンズ越しに気怠げな蒼い瞳が、薄暗い店内でモップを床にかけている僕の背中へと向けられた。
「ねー、クロエー。お茶ちょうだーい」
 パタパタと手を振って要求する美人に、僕はモップを持ち直して振り返る。
「今ね、掃除してるんですよ。店長」
「お茶ー。喉がかわいたー」
「聞いてくださいよ」
 嘆息を一つ。けれどもカウンターで駄々をこねる店長は、僕の言葉なんて聞いちゃいない。黙って立っていれば怜悧な美貌の麗人だというのに、空のカップを前に駄々をこねている姿は子供のようにも見える。
「はいはい。分かりましたよ。ちょっと待ってて下さいよ」
 店の奥にある住居のキッチンで湯を沸かしながら、お茶の入った瓶を取り出す。面倒くさくなったのでポットに多めに作ると、それを店へと運ぶ。
「どうぞ」
「んー。ありがと」
 店長はお茶の注がれたカップを受け取って、一口運ぶ。視線は、手元に開かれた本に向けられていた。
「まったく。お茶くらい、自分でも煎れられるでしょうに」
「面倒くさいんだもの。それにクロエのお茶のほうが美味しいし」
 ニコリと微笑むのは、雇い主でありこの『道具屋』の店長であるリン・アディールである。絶世の美女、と呼ぶにふさわしい容姿に、こればかりは子供じみた笑みを浮かべている。
「……はぁ。もう良いですよ」
 そしてそんな店長に対して、いつもの如く諦めの境地に到達するのが、僕。クロエなのである。

†  †  †

 店内の掃除――と言っても雑然とした品々をどうこうできる訳でもなく、床や棚の埃を払った程度だが――を片付けて、今度は店先を箒で掃く。
 目の前の通りをご近所さんが通り過ぎるたびに、挨拶をして、軽い世間話をしつつという日常。うん。まさに日常。平穏な生活万歳。
 水を撒きつつ、良い天気な空を見上げていると、ふと気がついた。
 入り組んだ通りだが、店の前は比較的開けている。その向こう側から一人の女性が、手に持った紙と周囲を見比べながら、うんうんと唸りつつ歩いてくる。
 豪奢な金色の髪が陽光に照らされて、キラキラと輝いている。背は、僕よりも低いだろうか。華奢な体つきを外套で隠している。腰に差されたワンドを見るに、魔法使いだろうか。
「珍しい。冒険者か」
 新市街区に経済と宗教の中心が移って以降、この辺りを訪れる冒険者の数は激減したらしい。らしい、というのは僕がこの店で働くようになるより随分と昔に新市街ができたからなのだが、どちらにしろこの辺りを歩く冒険者なんて、僕もほとんど見たことが無い。だがその女性は立ち止まって周囲を見回して、それから箒を持ってじっと見つめていた僕を見据えた。

 あ。なんかロックオンされた?

 ズカズカと歩み寄ってきた女性。きれいな顔立ちをしているのだが、どこか生意気そうというか向こうっ気が強そうな雰囲気がする。自分が美人だと理解しているタイプで、しかもどう振る舞えば良いかも理解しているタイプだろうか。
「失礼。ちょっと道をお尋ねしたいのだけれど?」
 それでも、初対面の人間への礼儀はちゃんと知っていてくれているようで、安心した。
「ああ、はい。なんでしょう」
「この辺りに道具屋をご存じないかしら。冒険者用の道具を扱っているような」
「道具屋、ですか?」
「ええ。店名が分からないのですが、この辺りにあると聞いて来たのです。ですが、旧市街では道がよく分からなくて」
 顔を顰めている美人さんに、僕はなるほどと頷いた。
「ああ、この辺りって迷路みたいなもんですからね。知らないと」
 知っていても迷う人は迷うと言うし。
「ええ。まったくですわ」
 プリプリと怒りつつ同意する美人さんに、僕は振り返る。
「あ、それで道具屋なんですけどね」
「ご存じですの?」
「多分、うちの店じゃないかと」
「――は?」
 キョトンとする美人さん。まあ、うちの店って知っている人にしか分からないタイプの店であることは間違いがない。かけられている看板に書かれていたであろう店名は、掠れてしまって読み取る事が出来ない。店先からはうちがどんな店なのかは、一見では分からないだろう事も間違いない。下手をすれば店と認識されていない可能性だってある。
 しばし呆然と文字の読めない看板を見上げていた美人さんは、そのまま疲れたようにしゃがみ込んでしまう。まあ、気持ちは分かるのでそのままにしてあげた。

「それで、どんなご用でしょうか?」
 少しばかり時間が経ってから、仕切り直して訪ねてみる。しゃがみ込んでいた女性は、すっくと立ち上がると肩にかかった髪を片手で払った。しかし表情はまだ冴えないままだ。案外切り替えに時間がかかるタイプらしい。
「そうですわね。……お宅はクラール香は扱ってまして?」
「クラール香、ですか?」
 頭の中の商品リストをさらってみると、一応取り扱ってはいるようだった。
「扱っております。ご入り用で?」
「――ありますの!?」
 あるか?と聞いた本人が一番驚いているのは、どういう事なのだろうか。
 僕があきれ顔になっているのに気がついたのか、美人さんはオホンと咳払いを一つする。
「……見せていただけます?」
「はい。では中へどうぞ」
 ドアを開いて、彼女を先に店の中へと迎え入れる。
 薄暗い店内を見回した美人さんは、あからさまに微妙な顔をする。
「さて。クラール香ですよね?」
「ええ……本当にありますの?」
「ありますよ。確か。ええと……」
 カウンターに店長の姿が無いのを目の端で確認しつつ、棚の奥を漁る。確かこの奥の箱で見たはずだ。箱に押されたスタンプの紋を見て、それを取り出す。
「あったあった。お探しの品は、こちらで大丈夫でしょうか?」
「……! 特級品!?」
 箱に押されたスタンプを読み取ったのか、美人さんが箱を開いて中を確認する。
「間違いありませんわ。こんな所で、特級品にお目にかかれるだなんて」
 ほう、と嬉しそうに微笑む美人さんの表情は、本当に絵になるなあ、などと感想を抱きつつ値段を確認する。
「どれくらい必要ですか?」
「そうですわね。……ちなみにお値段はおいくらですの?」
「こいつですか? ええと確か……」
 さすがに値段は思い出せず、エプロンのポケットから取り出したメモ帳を開いた。
「30メセタ、ですね」
「良心的ですわね」
「店長がそれほど商売っ気のない人なもので」
 にっこりと微笑み返すと、美人さんが懐から財布を取り出していた。10メセタ銀貨を3枚、カウンターに置く。
「はい、確かに。それではこちらをどうぞ」
 そして僕は箱を渡す。
 銀貨3枚か。まあ今日はそれなりに売れた日となるんだろう。うん。などと頷いていたら、なぜか美人さんが硬直していた。
「お客さま?」
「どういうことですの……?」
「はい?」
 なぜ呆然としているのかが分からず、首を傾げる。
「貴方! なぜ、この箱を、箱ごと私に渡すのですか!?」
「へ?」
 いや、なぜって言われても、あなたが代金を支払ってくれたからでしょう? なに怒ってるの、この人。
 思わずこちらも呆然となってしまう。
「クラール香の、しかも特級品が、銀貨3枚程度なはずが無いでしょう! それともこれは密造品か粗悪品だとでも言いたいのかしら!? そんな品を扱っている店だという事!?」
 そしてなにやら物騒な事を言い出した。
「い、いやいやいや! 違いますよ! それはちゃんと商会から仕入れた、正規の品です。お値段だって正規の値段です!」
「嘘おっしゃい! 商会の正規ルートで取引された品なら、そんな安値で売られるはずがありません! 正直におっしゃい。私は、盗品や偽物を掴まされるつもりはありませんのよ!」
 ムキー、という音がしそうなほど顔を真っ赤にして怒るお客さんに、僕はどうしようかと頭を悩ませる。というか、こちらとしては極々普通の値段を提示したつもりだし、当初はお客さんだって頷いていたのに。なんだって急にこんなに怒っているのか。
「銀貨3枚程度で買えるクラール香なんて、ほんのひとつまみ程度ですわ!」
「は?」
 いやそんな。ひとつまみ、とか言われても。商会から購入した時の値段はちなみに銀貨1枚と銅貨50枚である。ちゃんと店としての利益まで出せる値段設定だというのに、なぜ僕は怒られているのか。
「そう仰いましても、うちとしてはその値段で扱わせていただいておりますし……」
「ですから! そんな値段で扱われるような品では無いのです! こんな安さ、信用できませんわ!」
「えー……」
 なんだそれ。面倒くさい客だなあ。表情に出たのか、キッと睨み付けてくるお客さん。
 そこでようやく気付いた。彼女の胸元の紋章。
「……『白銀の鷹』?」
 冒険というものにはトンと縁の無い僕でも知っている、有名な冒険者パーティーの名だ。ちなみに他にも『剣匠』などという異名を持つ冒険者の名も、よく知られている。いわゆる英雄的な行いを為した冒険者は、吟遊詩人達の歌に乗って各地にその行いが伝えられていくのである。
「『白銀の鷹』のメリッサ・フロウリーですわ」
 うわ。有名人だ。
 それが最初に浮かんだ言葉だった。吟遊詩人達の歌に歌われる『白銀の鷹』の一人。金の魔法使い。美人で強いなんて、どんだけ反則なんだろうと思っていたが、現物は確かに美人で、しかも強そうだった。主に気が。
「商会が買い占めて値をつり上げているクラール香を、こんな値段で販売できるはずが無いのです。であればこれは盗品、ないし偽物としか考えられません」
 自分の名を名乗った事で、少しだけ落ち着いてくれたらしい。メリッサさんは、静かに教えてくれた。
「値がつり上がってるんですか。今って」
 ははあ、と自分の手に戻ってきた箱を見る。
「今、ってどういう事ですの?」
「いや、これってうちの店長が昔に仕入れた品なんですよ。保存用の魔法がかかってるんで、品が悪くなる事は無いんですけど」
 そう言いつつ、箱をカウンターに置く。
「嘘おっしゃい。クラール香はもう長い間、高級品ですわ。少なくともその量の特級品が銀貨3枚だなんて時代を、私は知りません!」
「えー。いやー。そう言われましても」
 そこでお高い値段をつけて売れば、メリッサさんは頷いてくれるのかもしれないが、かといってこちらとしては適正価格以上の値段をつけて売るのは、商道徳的にどうかと思ってしまうわけで。
「んー。店長にちょっと聞いてみますね。少々お待ちください」
 そう言って店の奥へ。どうせ本を読みながらうたた寝でもしてるんだろう。あの人のことだから。
 見てみればまさにその通りだった。ソファに寝転がってクッションに埋もれている。そして明らかに寝ていた。
「リンさん。ちょっと、そこの不良店長。起きてくださいよ」
 肩を揺すると、眠り姫はうっすらとまぶたを開く。その奥の碧眼が、潤みながら僕を見つめる。
「……ん。ごはん……?」
 なんて駄目人間なんだ、この人。
 僕はため息をついて、首を横に振った。
「違いますよ。ちょっと商品の事でお客さんが確認したい事があるって言ってるんです」「んー……。クロエがやってよ……」
 寝惚けたままで、不機嫌そうにそんな事を言う雇い主。いや本当にもう、なんだろう。この人。どんだけやる気のない経営なのか。
「僕の説明じゃ納得してくれないんですよ。ほら、起きて」
 無理矢理にソファから引っ張り起こすと、リンさんは不機嫌そうな顔のままあくびを一つ。
「なによう……もう。人がせっかく気持ちよく寝てたのに」
「いや、営業中ですからね? 今」
 ふああ、とこっちの話を聞きながら欠伸をもう一つするリンさんが、店に顔を出した。
「はいはい。それでどのようなお話で?」
 にこやかな応対ぶりは、つい先刻までソファで惰眠を貪っていた駄目店長とは思えない接客ぶりである。僕はその後ろについていって、カウンターの品を指さした。
「クラール香をお探しだったので、こちらをお出ししたんですよ」
「あら。こんなのあったっけ?」
「ありましたよ。こないだ目録作った時に見つけたんですよ。僕が」
「……ふうん」
 しげしげと箱を手に取ったリンさんが、くるくるとそれを見回して、「それで?」と続きを促す。
「で、銀貨3枚でお売りしようとしたんですけど、こちらのお客様がそんな値段で売られているはずが無い、と言われまして」
 メリッサさんを見てそう言うと、彼女はその通りと言わんばかりに大きく頷いた。
「少なくともクラール香は高級品です。それも特級品が銀貨3枚だなんて、ありえませんわ」
「えー……そんな高い品じゃないでしょ、これ」
 そう言いつつ眼鏡を取り出してかけるリンさん。
「うん。仕入れた時点で銀貨1枚と銅貨50枚だもん。値段としては適正ですよ?」
「ですから! そんな値段で仕入れられるはずが無い品だと、そう申し上げているんです!」
 メリッサさんが声を荒げるのを見ても、リンさんは相変わらずな表情のままである。
 美人二人が目の前にいるのは絵的に嬉しいのだが、これ以上放っておくとメリッサさんが余計に激昂しそうな予感もする。
「店長。これ仕入れたのって、いつ頃なんですか?」
「これー? ……うーん」
 再び箱を見回しているリンさんが、ああ、と声を上げた。
「200年くらい前よ。これ仕入れたの」
「は?」
 メリッサさんが呆然となる。
「うん。確かそんくらい。ほら、この商会のスタンプも、今とちょっと違うでしょ?」
 指さしたスタンプは、まあほとんど今のそれと変わらないのだけれど、微細な文様が異なっているのが分かった。
「そっかー。そんなになってたかー」
 にゃはは、と笑うリンさんを横目に、メリッサさんがわなわなと震え――爆発した。
「ふ、ふざけないでくださいまし! 200年前!? そんな昔の品がどうしてこんな場所で――!」
「あー、お客様。お客様」
 どうにか間に割って入って、落ち着かせようとする僕。そんな僕を、今にもくびり殺しそうな目で睨み付けるメリッサさんに、思わず股間が縮み上がる。
「あのですね、お客様。うちの店長はですね?」
 そう言って、リンさんの髪に触れる。
「あ、こら」
「こういう人なんですよ」
 そして長い髪をかき分けた。
 ぴょこん、と伸びる長い耳。黒髪から飛び出した長く白い耳は先端からちょっと垂れ下がる。
「エル……フ?」
「はい。なのでこの店、創業も随分と昔になってまして」
 実際、この店が創業何年なのかは僕も知らない。ただ、少なくとも100年、200年単位でここにあるのは間違いが無いのである。店主であるリン・アディールは、この世界でも指折りの長命を誇るエルフであり、そんな人が気ままにやってきた店が、この『道具屋』なのである。

†  †  †

「ありがとうございましたー。またのお越しをー」
 ドアベルを鳴らして出て行ったメリッサさんの背中にそう声をかけ、僕は置かれた銀貨を金庫に仕舞う。
「ねえ、クロエ。ご飯は?」
「いや、まだそんな時間じゃないですから」
 店主であるリンさんはと言えば、カウンターに腰掛けて本を広げつつ、夕食の無心を始めている。多分、さっきのお客が『白銀の鷹』だろうがなんだろうが、リンさんには興味のない事なのだろう。
「じゃあお茶ちょうだい。お茶。しゃべったから喉渇いた」
「はいはい。少々お待ちを」
 僕はそう言ってキッチンに引っ込んで、お茶の用意をする。

 『道具屋』と呼ばれる店で、僕の一日はだいたいこんな感じなのである。
 今日も平和だ。沸いた湯でお茶を煎れつつ、そんな感想を抱く僕。

「クロエー。お茶菓子もちょうだーい」

 本当。平和である。



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