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No.17010の一覧
[0] リリカルホロウA’s(リリカルなのは×BLEACH)[福岡](2011/08/03 21:47)
[1] 第壱番[福岡](2010/04/07 19:48)
[2] 第弐番[福岡](2010/03/07 06:28)
[3] 第参番(微グロ注意?)[福岡](2010/03/08 22:13)
[4] 第四番[福岡](2010/03/09 22:07)
[5] 第伍番[福岡](2010/03/12 21:23)
[6] 第陸番[福岡](2010/03/15 01:38)
[7] 第漆番(補足説明追加)[福岡](2010/03/17 03:10)
[8] 第捌番(独自解釈あり)[福岡](2010/10/14 17:12)
[9] 第玖番[福岡](2010/03/28 01:48)
[10] 第壱拾番[福岡](2010/03/28 03:18)
[11] 第壱拾壱番[福岡](2010/03/31 01:06)
[12] 第壱拾弐番[福岡](2010/04/02 16:50)
[13] 第壱拾参番[福岡](2010/04/05 16:16)
[14] 第壱拾四番[福岡](2010/04/07 19:47)
[15] 第壱拾伍番[福岡](2010/04/10 18:38)
[16] 第壱拾陸番[福岡](2010/04/13 19:32)
[17] 第壱拾漆番[福岡](2010/04/18 11:07)
[18] 第壱拾捌番[福岡](2010/04/20 18:45)
[19] 第壱拾玖番[福岡](2010/04/25 22:34)
[20] 第弐拾番[福岡](2010/05/23 22:48)
[21] 第弐拾壱番[福岡](2010/04/29 18:46)
[22] 第弐拾弐番[福岡](2010/05/02 08:49)
[23] 第弐拾参番[福岡](2010/05/09 21:30)
[24] 第弐拾四番(加筆修正)[福岡](2010/05/12 14:44)
[25] 第弐拾伍番[福岡](2010/05/20 22:46)
[26] 終番・壱「一つの結末」[福岡](2010/05/19 05:20)
[27] 第弐拾陸番[福岡](2010/05/26 22:27)
[28] 第弐拾漆番[福岡](2010/06/09 16:13)
[29] 第弐拾捌番<無印完結>[福岡](2010/06/09 23:49)
[30] 幕間[福岡](2010/08/25 18:28)
[31] 序章[福岡](2010/08/25 18:30)
[32] 第弐拾玖番(A’s編突入)[福岡](2010/08/26 13:09)
[33] 第参拾番[福岡](2010/10/05 19:42)
[34] 第参拾壱番[福岡](2010/10/21 00:13)
[35] 第参拾弐番[福岡](2010/11/09 23:28)
[36] 第参拾参番[福岡](2010/12/04 06:17)
[37] 第参拾四番[福岡](2010/12/19 20:30)
[38] 第参拾伍番[福岡](2011/01/09 04:31)
[39] 第参拾陸番[福岡](2011/01/14 05:58)
[40] 第参拾漆番[福岡](2011/01/19 20:12)
[41] 第参拾捌番[福岡](2011/01/29 19:24)
[42] 第参拾玖番[福岡](2011/02/07 02:33)
[43] 第四拾番[福岡](2011/02/16 19:23)
[44] 第四拾壱番[福岡](2011/02/24 22:55)
[45] 第四拾弐番[福岡](2011/03/09 22:14)
[46] 第四拾参番[福岡](2011/04/20 01:03)
[47] 第四拾四番[福岡](2011/06/18 12:57)
[48] 第四拾伍番[福岡](2011/07/06 00:09)
[49] 第四拾陸番[福岡](2011/08/03 21:50)
[50] 外伝[福岡](2010/04/01 17:37)
[51] ???(禁書クロスネタ)[福岡](2011/07/10 23:24)
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[17010] 第弐拾陸番
Name: 福岡◆c7e4a3a9 ID:4ac72a85 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/26 22:27
注意・この話は第弐拾伍番からの分岐です。



==========================================





「もう、終わりか?」


覇気を失い、自分の目の前で膝をつく五人に向かって、ウルキオラは言い放つ。


未だ、その頭の中には不快感がある。

未だ、その腹の中には不愉快な何かが蠢いている。


黒い唸りは止まらない

黒い感情は止まらない

黒いノイズは止まらない

未だに、黒い何かは止まらない。


「それなら、そろそろ死ぬか?」


ウルキオラが呟いて



その体に、鎖が巻きついた。



「……ほう?」



ウルキオラは、興味深く現状を見つめて



『今だリニス!!!』



鎖を放ったアリアが念話を行う。

そして次の瞬間、その白い影は飛び出す
その手に持った斬魄刀を握り締めて、リニスは背後からウルキオラへと駆ける。


(……獲った!!!……)


死角の背後から

気配を完全に遮断して

無音の移動術を駆使して

猫科動物の狩の特性を最大限に発揮して


リニスはその死神に、必殺の一撃を抜き放つ。

その白銀の閃光は、その一刀の元に死神を斬り伏せる。





「言っただろう、俺は逃げない…と」





斬り伏せる……筈だ。










第弐拾陸番「最終決戦・絶望の旋律」










「…………え?」



キィン、と
その音は、甲高く響く

リニスはその光景を見て、呆然と呟く。


クルクルと回転しながら宙を舞っていたソレは、床に突き刺さる。

リニスの手の中にあるのは、その刀身の半分を失った斬魄刀

そして床に突き刺さったのは、白銀の輝きを放つ刀の半身


その一撃は、届かなかった
その一撃は、通じなかった


リニスの放った一撃は、自らその得物を破壊した。



「……絶望、したか?」

「…っ!!!」



鎖が崩壊する
緑の瞳が、リニスを捉える。

その瞬間、リニスの中で恐怖が跳ね上がる
背筋は急激に寒くなり、五臓六腑が瞬時に凍りつく。

野生の本能が危険信号を打ち鳴らして、即座にウルキオラから距離を取る。


しかし



「逃がすと、思うか?」



その首を、白い魔手が掴む。


「……がっ!!」


指が食い込む。

ギリギリと首を締め上げられて、気道を圧迫されて
リニスの体は、宙に吊るされる。


「所詮、ゴミはゴミだ。
隙を突こうとも、死角から攻め入ろうとも、数に頼ろうとも、俺の体に傷一つ付ける事は出来ん」

「ぁぐあ!!!」


ミシリと
首へ掛かる力が一層に強くなり、リニスの顔は更に苦痛に歪む。

そしてその現状を見て、一人の少女が再び戦意を取り戻した。



「リニスを、放せえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」



黄金の砲撃が放たれる
家族の危機を救おうと、体に残された魔力を搾り出して、フェイトは砲撃を撃つ。


しかし、届かない
黄金の砲撃は、その漆黒の翼に弾かれて。



「安心しろ、直ぐに返してやる」



その瞬間、翠光が輝き
リニスの体を、一直線に貫いた。


「……っ!!!」

「リニスさん!!!?」


フェイトの表情が凍る。
なのはが叫ぶ。


ポタポタと、赤い液体が垂れる。

翠の光はリニスの体を貫いて、そこには孔が空いている
そして、ウルキオラはソレを放り投げる。

物言わないリニスの体を、フェイトの前へと投げ捨てた。


「リニ、ス…リニス、リニス!!!」


その家族の変わり果てた姿を見て、フェイトは涙交じりの声で呼びかける。



「リニス! リニスリニスリニス!!!! お願い、お願いだから返事を!返事をしてええええぇぇぇぇぇ!!!!」



だが、応えない
その虚ろな瞳は見開かれたまま宙を漂って、何の行動も示さない。


「……さあ、次は誰だ?」


ウルキオラが呟き、その緑の瞳が次の獲物を求める。


「……ん?」


そしてウルキオラの探査神経が、その反応を捕らえ

数多の砲撃が、ウルキオラに放たれた。



「……援軍、か?」



ウルキオラは呟いて、その砲撃全てを黒翼で防いで弾く。


「……ふむ……」


その攻撃を弾きながら、ウルキオラは僅かに感心した様に呟く
機関銃の様な連射速度を伴った、強大とも呼べる力が込められた砲撃の嵐

二桁番号程度の破面なら、瞬時に飲み込む程の火力

そして閃光と爆煙に隠れて、ソレは放たれる。


「……ほう?」


興味深くウルキオラが呟く。


幾十の鎖が、ウルキオラの全身を束縛する
幾重のリングが、ウルキオラの四肢を拘束する

そして次の瞬間、彼等は姿を現す
杖を手に持った武装隊十余人が、ウルキオラを囲む様に包囲した。



「クロノ執務官、ご無事ですか?」

「エル隊長!! そうか、援軍が!」



待ちに待った援軍
その到着を見て、クロノ達の心に再び希望が宿った。


「今の攻撃で無傷、か……成程、状況は芳しくない様ですね」

「……ああ、重傷者が多数だ。直ぐにアースラに帰還して治療を施さなければ、手遅れになる者も居る」

「了解、後は我々にお任せ下さい」


そして彼等は、ウルキオラに改めて向き合う
既にアースラのオペレーターから、粗方の事情を聞かされている。


「……動くなよ」

「……一歩でも動けば、我々は容赦しない」


十以上の砲門が、ウルキオラに向けられて包囲する
その砲門には、先刻の攻撃よりも更に大きい魔力が収束されている。

もしもウルキオラが攻撃姿勢を見せればその瞬間、先刻以上の攻撃がそこから放たれるだろう。


そして彼等は動きを封じて牽制するだけで、決して自ら攻め入ろうとはしない
今は兎に角、時間を稼ぐ。

既に自分達の目的は大凡完遂している。

既に次元断層の防止には成功している
事件の主犯は死亡し、ジュエルシードの回収にも成功した

故に、今は何より怪我人を先に運び出し、安全を確保する必要がある
闘うのは、それからにするべきだ

そう事前に打ち合わせていたからだ。



「……これが、お前等の希望か?」



ウルキオラは、周囲の現状を見て呟く
ニアSランクの魔導師による包囲網、その包囲網に囲まれながらもその表情に揺らぎはない。

そして撤退の準備をするクロノ達を見て、ウルキオラは呟く。



「……所詮は、ゴミか……」



その言葉に、クロノは反応する。


「……なに?」


どこか落胆にも似た響きを纏わせたウルキオラの言葉を聞いて、クロノはその視線をウルキオラに移してしまう。

そして、その緑の瞳と目が合う。


「……どういう、意味だ?」


その言葉どうしても引っ掛り、クロノは尋ねる
そしてウルキオラは僅かに息を吐いて


「……忘れたのか?」

「……何が、だ?」


そして次の瞬間









「俺の食料が何だったのか、忘れたのか?」









その瞬間、クロノに電撃が走る。
その背筋は凍り付く。

脳内で危険信号が高鳴る。


「まさか!!!」

「俺も少々霊力を消費したからな、丁度良い」


その意味を悟る
その危険を悟る

その最悪の可能性に辿り着く
脳内で、その最悪のシナリオを書き上げる

そして、その脅威を伝えようとする。




「皆! 直ぐにそこから離れ!!」

――魂吸――




しかし、クロノの言葉は届かなかった
その言葉は間に合わなかった。


その瞬間、彼等の意識は点滅する

光が一瞬にして闇に塗り潰される

彼等は芯から力を吸い取られる
体から力を抜き取られて、その意識は揺らぐ。

解放状態のウルキオラの魂吸
その余りにも強大すぎる力から、逃れる術はなかった。



「……が!! っぁ!!!」

「何だ…コレ、は!!!」

「力が、抜ける…っ…!!!」



その強烈な脱力感に

ある者は倒れる

ある者は蹲る

ある者は膝をつく

そして、ウルキオラの拘束は外れる
全身を束縛していた鎖も、四肢に巻きついていたリングも、その全てが消滅する。


「此処の動力炉と駆動炉は、プレシアの要とも言える場所だった。
そしてそこを守護する兵力と武力も、相応の戦力を誇る物だった」


淡い光はそのまま死神へと引き寄せられて、その口元へと漂う。


その瞬間、死神の魔力は更に強大化する
武装隊の魔力を吸収して、その魔力は爆発的に膨れ上がる。



「万全の状態なら話は違っただろうが……やはり、ダメージを抱えて此処に来た者が殆どだった様だな」



それは、全てを喰らう黒い力

そして、その力は今まで以上の唸りを上げて
翠の魔力は、更なる力へと変貌させる。


「……な、あ……!!」

「状況、更に悪化と言うヤツだ」


望みは砕かれる
死神が、その標的を定める。



「!!!? やめろ!!!」



咄嗟にクロノが叫ぶが、ウルキオラは止まらない。

白い魔手が

漆黒の双翼が

翠の光剣が

その悉くが、武装隊を薙ぎ払う
まるで台風の中の紙屑の様にその体は飛んで、床に転がり、壁に叩き付けられる。


「……っ!!!」


逆転の一手が、破滅の一手になる
希望の光が、絶望の闇へと変わる



「安心しろ、俺はコイツ等を殺す理由は無い」



殺してはいない
最優先の標的は決まっている

ウルキオラはソレを言葉と態度で示して、再び視線を移す。



「……まだ、斃れるなよ」



死神は、ゆっくりとクロノ達を見る。

先の魂吸は、クロノ達から一切霊力を吸い取っていなかった
ウルキオラが、意識的に外していたからだ。



「魂吸程度で屠っては、俺の気が済まんからな」



そして、死神が一歩前に出る

それは死へのカウントダウンの様に音が刻まれる

それは一歩一歩、自分達の下へと着実に近づいてくる

それは一歩一歩、確実に自分達に絶望を齎してくる


「……意外だな……」


やがて、その一歩は止まり


「まさか、貴様が動くとはな」


そしてそのウルキオラの前に、一人の少女が立つ

ウルキオラは、彼女を見た。



「もう止めて!! ウルキオラさんもうやめて!!! お願いだからもうやめてええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



その少女、なのはが前に出てウルキオラに叫ぶ
必死の思いを宿して、決死の想いでウルキオラに叫ぶ。


「……どうやら貴様は、根本的に勘違いをしている様だな」

「……え?」


しかし、ウルキオラはそんななのはを冷ややかに見つめて




「死ぬのが嫌なら、最初から戦場に出てくるな」




冷淡にウルキオラは言い放ち、その翠剣の切先がなのはに向けられる。


「……っ!!!」

「下らぬお喋りは、死んだ後にやれ」


死神の姿が消える
その動きは、なのはの瞳に僅かにも映らなかった。


その一瞬後
死神は、なのはの眼前の姿を現す


そして青い砲撃が、なのはの体を突き飛ばした。


「あぐ!っ!!」

「……?」


その砲撃に突き飛ばされて、なのはとウルキオラの間に距離が出来る。

そしてその距離の中間点に、一つの影が降り立つ
ウルキオラは、その影を、その砲撃の主を見つめて感心した様に呟く。



「……良い判断だ。今のは英断だぞ」



ウルキオラはなのはの前に立つクロノを見つめて、そう評価する。

直接的な移動では間に合わなかった

防護魔法では防御しきれなかった

そして自分達の攻撃は通じない


だから、クロノはなのはに向けて砲撃を放った
それしかなのはを救う術はないと判断したからだ。

なのはは、起き上がらない
咄嗟の事で、クロノも力加減が上手く出来なかったからだ。


「……くっ」


クロノは、思わず舌打ちをする
結果としてなのはの命は救えたが、戦力を一つまた失った。

そしてそれとは対照的に、ウルキオラはクロノの評価を改めていた。


「……以前の戦闘から思っていた。お前は戦闘力は兎も角、時折驚嘆に値する対処方法を取ってくる」

「……まさか君から褒め言葉を受け取れるとは、複雑な心境だ」

「案ずるな。これは世辞でも世迷い事でもない、正当な評価だ」


そのウルキオラの言葉に、クロノは僅かに驚いて



「だから、お前は早めに屠る事にした」



翠光が輝く。


「!!! くぅ!!!」


その翠光を、クロノは弾く
改良型ラウンドシールドを形成して、迫る一撃を捌いて

その盾は切り裂かれる。


「……!!!!」

「終わりだ」


翠剣が流星の軌道を描く
翠の閃光が獲物の体を貫こうと一直線に疾走する。


そして、鮮血は飛び散る。

翠剣は獲物の体を貫く。


「……あ、あぁ……あ」


ピチャリと、クロノの顔に鮮血は掛かり

クロノは唖然としながら、その光景を見て



「あ、ぁァ……アリ、ア?」



自分の目の前で、自分を庇って翠の剣に貫かれた師の姿を見て

クロノは信じられない様に呟いて



「……逃げな、さい……クロ、ノ……」



ゴプリ、と
アリアは赤い塊を口から吐き出して、その場に崩れ落ちた。


「ア、リア?……アリア、アリア! アリアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!」


その光景を見て、クロノは叫ぶ
自分を庇って死神の前に倒れた師の姿を見て、力の限り叫び

そしてクロノは杖を構える。

杖の先に閃光が音を立てて収束して、力強く咆哮を上げる
体に残された僅かな魔力を掻き集めて、砲撃に変える。



「貴様ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



撃つ

撃つ

砲撃を撃つ

体中から魔力を捻り出して、僅かな魔力を搾り出して、その全ての有りったけの魔力を砲撃に変えて撃つ。



「うああああああぁぁぁぁがあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



撃つ
ひたすら撃つ

煙幕越しに姿が見えない敵へ、ひたすらクロノは砲撃を撃つ

その魔力が本当に枯れ果てるまで、クロノは限界まで砲撃を撃ち続けて



「今ので、終わりか?」

「……!!!!」



黒翼が羽ばたいて、煙幕を切り開いて死神がその姿を現わす。
その体を、傷一つ無い姿を現す。


「順序が狂ったが、まあいい」


その翠剣の切先が、再びクロノに向けられて

その剣を、手足を、光のリングが拘束した。


「……バインド?」

「ウオオオオオオおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


そして、その影は飛び出す
ウルキオラがバインドに捕らわれている隙を突いて、クロノを突き飛ばして互いにゴロゴロと転がる。


「ユ、ユーノ?」

「まだだ! まだ終わった訳じゃない!! だから、まだ諦めちゃダメだ!!!」


叱責する様にユーノはクロノに叫ぶ
気がつけば、ユーノは飛び出していた

ユーノ自身、そう叫ばなければ冷静さを失いそうだったからだ

ユーノ自身、これ以上仲間が倒れれば恐怖に押しつぶされそうだったからだ

ユーノ自身、そう自分に言い聞かせなければ、心が絶望に侵されそうだったからだ


そしてユーノの言葉に同調する様に、黄金の砲撃がウルキオラに放たれた。



「……お前、か……」



黒翼で砲撃を防いで、ウルキオラは砲撃の主を見る
そしてクロノとユーノも、同時にその二人を見る。



「……また、立ち止まる所だった……」



その影が、クロノとユーノの前に降り立つ。


「フェイト!」


杖を構えて、戦意を取り戻して、フェイトはウルキオラの前に立つ。



「恐怖と絶望を感じていながらも……まだ希望を捨てない、か」



感嘆する様にウルキオラは呟き
そしてその拘束を破壊して、その瞳が次の標的を定めて



「成程、不快感が消えぬ訳だ。お前等はヤツと少し似ている」



その脳裏に一人の男の姿を思い浮かべながら、ウルキオラは呟く。


「……だが、それだけだ……」


次の瞬間、ウルキオラはその指先をクロノとユーノに……否、その方向に居る全ての獲物に向けて、その指先が照準を合わせる。



「やっと、理解した」



そして、その指先が黒い閃光を燈す
黒い閃光はウルキオラの指先に収束し、その力を爆発的に膨れ上がらせる。


「お前等は、ヤツ以上に気に食わん」


黒い閃光はその存在を凝縮・圧縮されて、黒い塊となって輝きを放つ
そして、フェイト達はその脅威を感じ取り、防御の体勢を取る

黒い輝きは、その黒い感情に呼応する様に激しく雄々しく唸りを上げる。



「お前等が居るだけで、この不快は消える事はない」



未だ、ウルキオラの中の不快感は消えていない

未だ、ウルキオラの中の不愉快な『何か』は消えていない



「お前等が存在しているだけで、このノイズは決して止まらん」



そのノイズは止まらない

その黒いノイズは止まらない





「故に、死ね」





黒い感情が唸りを上げる。

その頭の中で、胸の中で、腹の中で
その全ての中で、ウルキオラに耐え難い程の『何か』が蠢く

その黒い感情は黒い獣となって暴れ狂い
爪を立てて牙を剥いて、その檻を引き裂いて、黒い閃光にその身を宿す


そして、次の瞬間――



























『ウルキオラー、わたしの声が聞こえますか? 聞こえたら返事をして下さい、オーバー?』
























黒い獣は、ピタリとその動きを止めた。










続く













あとがき
 前回、二話同時投稿なんていう大技をやらかした所為か、数日間完全燃焼状態となっていて更新が遅れました!!! どうもすいません!!!

 さて、今回は本編の分岐ルート。前回と比べて些細な違いは多々ありますが、一番の違いはウルキオラはまだ二段階目の解放をしていない所です

色々考えた末に、やはり無印編から刀剣解放・第二階層を出すのは止めとこうという結論に達して、今回の様な仕上がりになりました。

武装隊の方々も、今回もあまり良い所はなく……かなり扱いの悪い役処になってしまい、かなり不憫なポジションです(汗)
自分としては、普段目立たないキャラがキラリと光る系の話が大好物なので、何とか武装隊にもスポットが当たる様な話を作れたら良いなーと思っております。

今回は前回の分岐ENDとは違って、かなり不完全燃焼な感じになるかと思いますが、そこの所にも何卒ご理解をして頂きたいと思っております。

……ていうか、ウルキオラがバインドに引っ掛り過ぎている(汗)
そういえば十刃も六杖光牢とか這縄とか縛道系の術には簡単には引っ掛ってましたよねー
まあ、それでも少しあっさり掛かり過ぎている気がするので、今度からはもう少し気をつけたいと思っております。


さて、無印編も残す所あと二・三話程度になってきました
次回の更新は、なるべく早めにしたいと思っております。



追伸 そういえば、(原作の)ヤミーは一体どうなったんだろう?






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