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No.17010の一覧
[0] リリカルホロウA’s(リリカルなのは×BLEACH)[福岡](2011/08/03 21:47)
[1] 第壱番[福岡](2010/04/07 19:48)
[2] 第弐番[福岡](2010/03/07 06:28)
[3] 第参番(微グロ注意?)[福岡](2010/03/08 22:13)
[4] 第四番[福岡](2010/03/09 22:07)
[5] 第伍番[福岡](2010/03/12 21:23)
[6] 第陸番[福岡](2010/03/15 01:38)
[7] 第漆番(補足説明追加)[福岡](2010/03/17 03:10)
[8] 第捌番(独自解釈あり)[福岡](2010/10/14 17:12)
[9] 第玖番[福岡](2010/03/28 01:48)
[10] 第壱拾番[福岡](2010/03/28 03:18)
[11] 第壱拾壱番[福岡](2010/03/31 01:06)
[12] 第壱拾弐番[福岡](2010/04/02 16:50)
[13] 第壱拾参番[福岡](2010/04/05 16:16)
[14] 第壱拾四番[福岡](2010/04/07 19:47)
[15] 第壱拾伍番[福岡](2010/04/10 18:38)
[16] 第壱拾陸番[福岡](2010/04/13 19:32)
[17] 第壱拾漆番[福岡](2010/04/18 11:07)
[18] 第壱拾捌番[福岡](2010/04/20 18:45)
[19] 第壱拾玖番[福岡](2010/04/25 22:34)
[20] 第弐拾番[福岡](2010/05/23 22:48)
[21] 第弐拾壱番[福岡](2010/04/29 18:46)
[22] 第弐拾弐番[福岡](2010/05/02 08:49)
[23] 第弐拾参番[福岡](2010/05/09 21:30)
[24] 第弐拾四番(加筆修正)[福岡](2010/05/12 14:44)
[25] 第弐拾伍番[福岡](2010/05/20 22:46)
[26] 終番・壱「一つの結末」[福岡](2010/05/19 05:20)
[27] 第弐拾陸番[福岡](2010/05/26 22:27)
[28] 第弐拾漆番[福岡](2010/06/09 16:13)
[29] 第弐拾捌番<無印完結>[福岡](2010/06/09 23:49)
[30] 幕間[福岡](2010/08/25 18:28)
[31] 序章[福岡](2010/08/25 18:30)
[32] 第弐拾玖番(A’s編突入)[福岡](2010/08/26 13:09)
[33] 第参拾番[福岡](2010/10/05 19:42)
[34] 第参拾壱番[福岡](2010/10/21 00:13)
[35] 第参拾弐番[福岡](2010/11/09 23:28)
[36] 第参拾参番[福岡](2010/12/04 06:17)
[37] 第参拾四番[福岡](2010/12/19 20:30)
[38] 第参拾伍番[福岡](2011/01/09 04:31)
[39] 第参拾陸番[福岡](2011/01/14 05:58)
[40] 第参拾漆番[福岡](2011/01/19 20:12)
[41] 第参拾捌番[福岡](2011/01/29 19:24)
[42] 第参拾玖番[福岡](2011/02/07 02:33)
[43] 第四拾番[福岡](2011/02/16 19:23)
[44] 第四拾壱番[福岡](2011/02/24 22:55)
[45] 第四拾弐番[福岡](2011/03/09 22:14)
[46] 第四拾参番[福岡](2011/04/20 01:03)
[47] 第四拾四番[福岡](2011/06/18 12:57)
[48] 第四拾伍番[福岡](2011/07/06 00:09)
[49] 第四拾陸番[福岡](2011/08/03 21:50)
[50] 外伝[福岡](2010/04/01 17:37)
[51] ???(禁書クロスネタ)[福岡](2011/07/10 23:24)
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[17010] 第壱拾陸番
Name: 福岡◆c7e4a3a9 ID:4ac72a85 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/13 19:32





「ドえらい目に遭ったんだよ!!」


正に怒り心頭、そんな表情をしながらアリシアは目の前の男に言い放った
その額には青筋が浮かび上がって、顔はトマトの様に赤くなっていた。


「ウルキオラはわたしの事を一体何だと思ってるの! 十文字以内で簡潔に答えなさい!!」

「ゴミ」

「まさかの二文字!!?」


即答にして、一刀両断
アリシアの怒りの問いを、ウルキオラは間髪置かず答えた

そしてその答えを聞いて、アリシアは深く溜息を吐いて


「……まあ、今の答えは簡単に予想は出来たんだけどね……」

「良かったな、一つ賢くなったぞ」

「嬉しくないんだよ!!」


『ふかー!!!』と、猫の様に威嚇しながら、アリシアは再びウルキオラに噛み付く様に文句を言うが


「酷いんだよ! ウルキオラは何! わたしの事が嫌いなの!?」

「お前はゴミに対して好き嫌いの感情が湧くのか?」

「まさかの想定外だよ!!!」


そう言って、アリシアは驚愕と落胆が入り混じった表情をして、体を仰け反らせる

次いで、アリシアは更に顔を紅潮させてウルキオラを睨み付けた。


「受け取ってくれてもいいじゃない! わたしからのプレゼントなんだよ!! 一生懸命作ったんだよ!!」

「黙れ喧しい、要らん物を受け取る理由がない」

「そこが間違ってるんだよ! 心が篭ったプレゼントはね! それだけで受け取る理由がてんこ盛りなんだよ!!」


「……心?」



何気ないアリシアの放った言葉の中の、一つの単語

その僅か三文字の単語に、ウルキオラの興味が少し動いた。



「……そういう物なのか?」

「そうなんだよ! 大体ウルキオラは変な事を難しく考えすぎなんだよ!! そんなんじゃ、楽しくないよ!」



そう言って、アリシアはそれが当然だと、そんな響きを纏わせて言う

少し間を置いてウルキオラは考えるが、やはり今一つ理解ができない。



「……良く分からんな。俺には理解し難い事だ」



それは、ウルキオラにとって当然の答えだった
要らない物を所有した所で、それは邪魔になるだけ無駄なだけ

増してや、人間とは惰弱なくせに悪知恵だけは働く生き物だ
理由の無いもの、意味のないもの、それらを何も考えなしに受け取れば、どんな害を被るか解かったものではない

それは道理に合わない行為、合理的ではない行い


人は、それを無駄と呼ぶ
そしてそんな無駄な行いをする者を、人は愚者と呼ぶ


だから、ウルキオラには理解できない
アリシアの言葉も、行いも、その全てが理解できない。



「だーかーら、その時点でウルキオラは間違ってるの」



しかし、そんなウルキオラの思考を遮って、アリシアは言葉を放つ


「……何?」


自分は、間違っている
そう断言されて、ウルキオラの目が僅かに動くが



「貰って欲しいから上げる! 欲しいから貰う! それで十分なんだよ!
わたしは心が篭った物をウルキオラにプレゼントできて嬉しい! ウルキオラはわたしの心の篭ったプレゼンドを貰えて嬉しい!」

「…………」

「理由とか理解とか、そーゆー難しいのは要らないのです。それで十分なのです、何も難しい事は無いのです」



その言葉を聞いて、ウルキオラは少し考えた

考えるな、感じろ
欲望のままに、感情のままに行動すればいい

いまアリシアが言った事は、つまりはそういう事だ。



……なんだ、ソレは?……

……それでは、獣と何も変わらないではないか?……



ウルキオラは、そう思った

何も考え無しに、感情と本能のままに動く……それは正に獣だ

だが、自分は違う
自分には知性がある、理性がある。言葉も扱え、知識と知恵もある。


だから、ウルキオラは思った。



……だから、自分は理解できなかったのではないか?……と



「…………」



黒崎一護も、井上織姫も、

自分が心の力を感じた者は、揃って合理的な思考・合理的な行動から外れていた

無謀な行い、無謀な考え
まるで雑音の塊の様なその在り方

それが、奴等の心を根源とした力の在り方だったからだ



そう、心とは……合理的な物ではない

そういうカテゴリから、外れているもの

知性と理性を持つ者から合理的思考・合理的行動、それらを取り払ってしまう……そういう物



だから、自分には理解出来なかったのかもしれない。


合理的でない物を、合理的に理解しようとしていたから、自分は理解出来なかったのかもしれない。



だから、自分は興味を抱いたのかもしれない。



合理的ではないから、理解ができないから、

予想も検討もつかないから、自分にとっては未知の物だったから


そういう物だと、解かっていたから


自分は、ここまで『心』という物に興味を抱いたのかもしれない。



「だからはい、ウルキオラ」



そう言って、再びアリシアはウルキオラに腕輪を差し出した

白と緑の、ビーズの腕輪



「……そうだな……」



だから

ウルキオラは、少しアリシアに習ってみる事にした

心が、合理的な考えでは理解できないものなら


自分も少し、合理的ではない……少し、『無駄』な事をしてみよう。



(……前にも思ったな……無駄な事は、無駄ではない……)



だから、ウルキオラはソレを手に取った



アリシアの手から、その腕輪を手に取った




ウルキオラは無言だった、言葉は無かった


でも、それは必要なかった
それだけで、アリシアには十分だった。



「一生懸命作ったんだから、大事にしてねウルキオラ!!」



アリシアは、輝くような笑みを浮べてそう言った



そして

突如、二人の視界が黒に染まった。










第壱拾陸番「狂った計画&整った計画」












「……ほ、本当に……リニス、なのかい?」

「一応、本物のつもりですよ」


アルフは、動揺で声を震わせながらも目の前の人物に尋ねた。

自分とフェイトの師にして、世話係だった人

自分とフェイトの、もう一人の家族だった人

心の底から、本当に大好きだった人



そして、本当はもういない筈の人。



「……リ、ニ…ス……!!……リニス!!」



だけど、解かった
アルフは解かった


記憶のままの顔
記憶のままの声

記憶のままの温かさ
記憶のままの優しさ


この人は、ニセモノではない
この人は、幻でも他人の空似などでもない。


本物だ

紛れも無い、本物

本物の、リニスだ。



「さて、感動の再会を喜びたいのは山々ですが……」

「……うん、うん……分かってるよ」



アルフは頷いて、目元を拭う。

そう、今はまだその時ではない

今の自分達には、他に優先するべき事がある
先ずは、フェイトを安全な場所にまで逃がす


次の瞬間、二人は背後から槍と剣が襲いかかり


二人は同時に左右に跳んだ。



「アルフ、全ての傀儡兵を相手にする必要はありません! 
背後は私がサポートをしますから、貴方はこのまま転送装置の部屋まで突き進んで下さい!!」

「了解!! オラオラアアァァ!!! そこをどきやがれえええええぇぇぇぇ!!!!」



アルフは頷いて、前だけを見据えて敵の殲滅に掛かった

背後からの攻撃は、もう心配しなくていい


なぜなら、信頼の置ける人がそこにいるから

リニスが、そこを守ってくれているから


だからアルフは、何も心配する事はなかった。


拳で相手を沈める

蹴りで相手を凪ぎ飛ばす


相手の剣を、中腹を叩いてヘシ折る
相手の槍を、柄を握って奪って逆に突き刺す
相手の斧を避け、そのまま跳んでカウンターを喰らわす



「これがあたしの、全力全開!!」



魔力弾をその場に形成する

その数は一つ、二つ……三つ……五つ……七つ……十!


そして十の魔弾は、瞬時に膨れ上がる

掌大の光球から、人すらも飲み込む砲弾へと進化する。



「フォトンランサー・ブリットシフト!!!」



十の砲弾は、轟音を振り撒きながら放たれて

目の前の傀儡兵を、一気に弾き飛ばした。








「……アルフ、本当に強くなりましたね……」


その様子を見て、リニスも感慨深く呟く。

今の砲撃は、「フォトン・ランサー」は嘗て自分が二人に教えたもの
当時はあのフェイトですら、一度に三つ出す事が限界だった筈

あの仔犬の様に小さかったアルフが、今はこうして自分と同じ土俵に立てる程までに成長してくれた。



「……さて、久々の実戦ですね……」



そしてリニスも、その闘いに出る。

両手で魔力弾を形成して、傀儡兵を撃つ
そして相手の体勢を崩すと同時に相手との距離を詰めて、腰の刀に手を掛けた


そして、白銀の一閃

白銀が三日月の軌道を描いて、傀儡兵を一刀の下に両断する。



「……ふむ、腕力じゃなくて……技で斬るという感じですね」



その手応えを確かめる様に呟く

嘗てフェイトに教えたアークセイバーとはタイプは違う

腕力と勢いを利用して敵を切り裂くアークセイバーとは違い


この刀は鋭さと速さ……いわゆる技術で敵を切り裂くタイプだ

それに、どうやらコレもただの武器という訳ではない様だ。



「……何というか、手に馴染みますね」



不思議な感触だった
剣術はフェイトにバルディッシュの扱いを教える為の、手習い程度の心得しかない

だが、不思議とその力は馴染む。

武器や道具ではなく、寧ろ己の体の一部ではないのかと思ってしまう程に、その刀はリニスの手に馴染んでいた。

そして、思い出す
あの世界で出会った、あの男の言葉を



――喜べ、今より俺の力は晴れてお前の物だ――



どうやら、単純な魔力の上乗せ……という物ではないらしい

リニスは、知っている
その刀の使い方を、知っている。

自分の手足を動かす様に、まるで最初から自分と共に在った様に、その刀を扱える。



「まあ何にしても、好都合です!!」



傀儡兵に一太刀二太刀と刀を振るい、敵を切り裂く

相手の反撃をサイドステップとバックステップで避けて、魔力を片手に込める


そして、砲撃魔法で一気に傀儡兵を薙ぎ払った。




「流石リニス、あたし達の師匠なだけの事はあるね!」

「褒めても何も出ませんよ。さて、今の内に脱出をしましょう……転送装置まで辿り着ければ、一先ずは安全です」

「了解、さっさとやっちゃいますか!」



前門と後門、その両門の敵を薙ぎ倒した
破壊こそは出来てはいないが、道は既に出来ている。


二人は、同時に駆け出す。

時の庭園の中を全力で走り抜けて、立ち塞がる傀儡兵を薙ぎ倒し、その足を進めていく


そして、目的の場所まで目と鼻の先までの位置にまで距離を詰めていた。



「アルフ、次の角を右に曲がって下さい! そこを曲がった所にあるドアを潜り抜ければ、後はもう僅かです!」

「あいよ! オラアアアァァァ!! 道を開けやがれええええぇぇぇぇ!!!」



襲いかかる傀儡兵を、二人は同時に殴り飛ばし、薙ぎ倒す、切り伏せる

そしてリニスはアルフの前に躍り出て、扉の横に設置された認証装置にマスターコードを打ち込む。



『読み取り完了、認証完了』



その機械音と共に、ドアは開いて

二人は同時にそこに飛び込み、部屋の中へと進入し



その男が立っていた。



「……そこまでだ」















「……あ、貴方は……」

「ウルキオラ……!!!」


最後にして、最悪の展開

アルフは此処に来て、最悪の敵との遭遇に驚愕を隠し切れなかった。

ウルキオラ・シファー……自分達が過去に闘った者の中でも、間違いなく最強の位置に居る者
その圧倒的な実力は、身を持って知っている。

嘗てはフェイトと二人で闘いながらも、その実力に圧倒された

今はここにリニスが居るとは言え、自分は万全の状態ではない
ここに来るまで、かなり魔力を消費した

正直な話、今闘って勝てる可能性はゼロに等しいだろう。



「破面……いや死神化、か?……存外、つまらない結果だったな」



ウルキオラが呟く
その目はアルフの隣に居るリニスを捉えて、観察する様に見つめている。



「……貴方にどういう意図があったかは知りませんが、貴方には感謝の言葉を言っておきましょう
貴方が私に力をくれたから、私はこうしてフェイトとアルフを助ける事が出来たのですから」



リニスもウルキオラの視線を真っ向から受け止める
そしてそのリニスの言葉を聞いて、アルフは驚いた。


リニスが、ウルキオラに感謝?

ウルキオラが、リニスに力を与えた?



「……どういう事だい、リニス?」

「言葉の通りですよ。私が今ここにこうしているのは、全てあの人のお陰なんです」



アルフの頭に過ぎった僅かな可能性を、リニスは肯定する

だから、アルフは解かった
どういう経緯が在ったか知らないが、リニスはウルキオラによって助けられたのだろう


そして、そのリニスが自分とフェイトを救った
それはつまり、ウルキオラは自分たち三人の恩人に当たるという事だ。



「……ウルキオラ、そこをどいてくれませんか? 私は、恩人である貴方とは闘いたくありません」

「あたしからも頼むよ! ウルキオラ、そこをどいておくれよ!! 私も、アンタとは闘いたくないよ!! 
どういう経緯があったかは知らないけれど、このリニスはあたしとフェイトの大切な人なんだ!
そして、その大切な人をアンタが救ってくれた! あたしも自分たちの恩人となんて闘いたくないよ!!」



そう言って、リニスとアルフはウルキオラに自分たちの意思を伝える

リニスとアルフは、ウルキオラにどういう思惑があってリニスに力を与えたのかは知らない
だが、ウルキオラは紛れも無く自分達の恩人なのだ

そしてウルキオラがリニスを助けたからこそ、アルフとフェイトはここに居るのだから



「……そうか、俺も出来ればこういう無駄な戦闘は控えたいのだがな……それでは、アレの怒りは納まらないらしい」

「……プレシア、ですね」

「怒髪天を衝くとは、正にあの事だろうな……怒り狂って俺に念話とやらを飛ばしてきたぞ」



その時のやり取りを思い出しているのだろうか、ウルキオラはやや疲れた様に息を吐いた。


ウルキオラが思い出すのは、あの突然の暗闇の後

ギャアギャア喚き騒いだアリシアを掌で制しつつ、部屋に光が戻ったその直後
プレシアから、烈火の如く怨念の様な念話が届いたのだ


どうやら、この二人にしてやられたらしい

気は乗らなかったが、それと同時に興味が沸いた。


嘗てこのリニスに施した、自分の仕込み


嘗て黒崎一護は、朽木ルキアに死神の力を譲渡されて成った死神だという



では、それなら破面ならどうなるのか?



もしもただの霊体に、「死神」と「虚」の力を同時に注ぎ込めば……果たしてどうなるのか?
自分が蒔いた種が、どの様に発芽したのか……ウルキオラは興味があった



だから、こうして態々ウルキオラは出向いてきたのだ。



(……虚の力も僅かには感じるが、殆ど残りカス程度だな……
……どうやら二つの霊力は互いに相殺し合って、死神の霊力のみが残った様だな……)


ウルキオラが、そうやって自分なりの考察を纏めていると




「なら、それならさ! ウルキオラ、このままあたし達と一緒に逃げよう!!」




二人の会話を割って、アルフがウルキオラに提案する様に叫んだ
そのアルフに、ウルキオラは視線を移す。



「あの鬼ババは、プレシアは! 本当にヤバイ、危険なヤツなんだよ! 今までフェイトにも暴力を振るって、無茶な用件を押し付けたりして!
今回はそれが輪にかかって酷いんだよ! やばいロストロギアの蒐集を命令したり、管理局を敵に回したり! 
得体の知れない計画を実行しようとしているし! 今までのヤバさとは次元が違うんだ!!

アンタだって、このままプレシアと一緒にいたら何されるか解かったもんじゃないよ!! だから、アンタも一緒に逃げようよ!!!」

「……少し、訂正しておこう」



そのアルフの言葉を聞いて、ウルキオラは答える。



「先ず、俺とプレシアは元々お前が考えている様な間柄ではない。互いにメリットがあるから協力している間柄に過ぎん」

「……なら、それなら尚更!」

「そして、俺はプレシアがどういう人間かは重々承知している。あの女が考えている事、あの女がこれからやろうとしている事
そしてそれらを理解したその上で、俺はあの女とは協力関係を結んでいる」

「……!!」



その言葉を聞いて、アルフの目が見開く
プレシアの計画を、知っている……そして、その上でプレシアに協力している。


それは、つまり



「……やっぱり、アンタもフェイトの敵なのかい?」

「そもそも味方になった覚えは無い」



即座に返されて、アルフはギリっと奥歯を咬んだ

リニスの恩人
フェイトの敵

自分の中では、それは正に両極端の位置の者だ

闘いたくない相手が、闘わなくてはならない相手なのだ。



「それに、だ」



ウルキオラは自分に向かって「一緒に逃げよう」、そう申し出たアルフの瞳を
真っ向から受け止めて




「お前は、俺がアレに劣るとでも思っているのか?」

「……!!!」




もはや、喋ることは無い

そんな響きを纏わせて、ウルキオラは二人に告げる。





「そもそも、俺はお前らに従う理由は無い。ゴミが俺に指図をするな」





その言葉を聞いて

そしてそのウルキオラを見て、リニスも悟った。





「……やはり、闘わなくてはならないのですか?」

「お前らがそのガキを此方に渡すのなら、話は別だがな」

「……なるほど」


そう言って、リニスは諦めた様に溜息を吐いて






「それなら、闘わずに撤退させて貰います」






次の瞬間

時の庭園を覆っていた守護結界が消え去った。






「……!!!」

「結界が!!」



その異常に、瞬時にウルキオラとアルフも気付く


そしてリニスは、既にその行動を起こしていた
リニスは、最初から予測がついていた。



――俺はフェイト・テスタロッサを殺す理由はないが……態々救ってやる理由も無い――



あの時、初めてウルキオラと会った時から

あの時、初めてウルキオラと会話した時から


こうなる事は、
自分がフェイトを救出する為に動いたら、ウルキオラが敵に回る事は
リニスには予測がついていた。



リニスは、ウルキオラの実力の一端を知っている

『あちらの世界』では、散々一方的にやられたから知っている

それに、ウルキオラだけではなくプレシア自身が介入してくる事も十分考えられた。



だから、リニスは考えた。

ウルキオラとも、プレシアとも、闘わずに時の庭園から脱出できる方法を探した。


そして、思い付いた。

時の庭園は、その周囲には常時外敵の侵入を防ぐ守護結界が張ってある
これは単純な防護能力だけではなくて、空間転移の侵入を防ぐジャミング効果もある

余程の力技や専門技術でも使わない限り、時の庭園の外から内に入る事は
また内から外に出ることは不可能である


故に、時の庭園には専用の空間転送装置が置いてある

そのジャミングの影響を受ける事無く、空間転移が出来る装置がある


だから、ソレを利用する
自分たちがここを脱出する際には、ソレを必ず利用する


少なくとも、プレシアは絶対にそう思う筈


だからこそ、リニスは仕掛けた

転移装置を利用しなくても、外に出られる仕掛けを施した



故に、敵の庭園の光を同時に消し去る仕掛けを施した時に
その仕掛けも施しておいたのだ。



時間が来たら、時の庭園の守護結界が一斉にOFFになる様に、仕組んでおいたのだ。



そう、初めから……リニスは闘うつもりはなかった、闘う必要はなかった
アルフとフェイトと合流し、その時間が来るまで、敵に捕まらない


それが、自分たちの本当の勝利条件だったのだ。



「貴方の強さはよーく知っています。例え私とアルフ、そしてフェイトの三人が相手でも勝てない相手だというのは重々承知です」



既に、リニスはその準備の全てを終えていた
リニスとアルフの足元には、既に魔法陣が現れていた

空間転移の魔法陣だ。



「それに、私は貴方に恩がある……出来れば貴方とは闘いたくない
だからこそ、こういう手段を取らせて頂きます」

「……貴様……」

「逃げるが勝ち、要はそういう事です」




逃亡を阻止しようと、ウルキオラが追撃の姿勢を取るが
既に、それは手遅れだった

魔法陣の光に照らされて





「それでは、また会いましょうウルキオラ」





リニスはそう言って、ウルキオラに微笑んで


三人の姿は、そこから消えた。

















続く











あとがき
 最近、PSPのリリカルなのはを買いたいのですが、あれって絶対にその内ストライカーズ版も出そうな気がするので、その時まで待とうと思っています。

さて、本編の話ですが
ウルキオラが遂にデレたあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

十話以上の攻防の末、ついにアリシアがウルキオラに一矢報いました! 
最近は着々とアリシアは、本編において最強のポジションを築きつつあります。

そして、一方はリニスサイド。前回と今回は何気にスーパーリニスタイムでした
空間転移の装置に関しては実際には解かりませんが、原作でもそういう物が存在しているっぽい描写があったり
アニメでもなのは達が時の庭園に突入する時、最初から玉座に転移してなかった等の事から

時の庭園の結界には、外敵の侵入を防ぐ効果があるという描写を、自分なりに汲み取って今回の話を作りました

実際、プレシアの性格だったら外敵の侵入を防ぐ為の空間転移のジャミング位はしていそうな感じなんですよねー


あと、前回の感想でリニスはプレシアの使い魔なのにプレシアに反抗するはおかしいのでは?
という意見が多く寄せられていたので、少し補足させて貰います。

原作ではリニスの出番は少なく、あまりその人物像が語られていませんが
小説版のリリカルなのはでは、リニス視点の物語も少し描かれています。そしてその時のリニスは、明らかにプレシアに対して反感を持っています
あとは本編で、リニスがプレシアに秘密の保持を条件に自分の延命を約束させたというのも、小説で描かれていた事です

コレらの事から、作者はリニスはプレシアに対して明確な反抗心があると思い、使い魔という枷が無くなれば、あの様な行動を取ると思い描かせていただきました

後は、何気にウルキオラはこの作品で初黒星だったりします。グリムジョーにしてやられたあの時とパターンは似ている感じですね


後は今回管理局の側の話も描くつもりだったのですが、タイミングが掴めなくて次回になりそうです。


多分次回くらいから、無印編のまとめに入り始めると思います

それでは、次回に続きます。



追伸、今回の一連の騒動は、何気にウルキオラが全ての元凶だった件について




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