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No.17010の一覧
[0] リリカルホロウA’s(リリカルなのは×BLEACH)[福岡](2011/08/03 21:47)
[1] 第壱番[福岡](2010/04/07 19:48)
[2] 第弐番[福岡](2010/03/07 06:28)
[3] 第参番(微グロ注意?)[福岡](2010/03/08 22:13)
[4] 第四番[福岡](2010/03/09 22:07)
[5] 第伍番[福岡](2010/03/12 21:23)
[6] 第陸番[福岡](2010/03/15 01:38)
[7] 第漆番(補足説明追加)[福岡](2010/03/17 03:10)
[8] 第捌番(独自解釈あり)[福岡](2010/10/14 17:12)
[9] 第玖番[福岡](2010/03/28 01:48)
[10] 第壱拾番[福岡](2010/03/28 03:18)
[11] 第壱拾壱番[福岡](2010/03/31 01:06)
[12] 第壱拾弐番[福岡](2010/04/02 16:50)
[13] 第壱拾参番[福岡](2010/04/05 16:16)
[14] 第壱拾四番[福岡](2010/04/07 19:47)
[15] 第壱拾伍番[福岡](2010/04/10 18:38)
[16] 第壱拾陸番[福岡](2010/04/13 19:32)
[17] 第壱拾漆番[福岡](2010/04/18 11:07)
[18] 第壱拾捌番[福岡](2010/04/20 18:45)
[19] 第壱拾玖番[福岡](2010/04/25 22:34)
[20] 第弐拾番[福岡](2010/05/23 22:48)
[21] 第弐拾壱番[福岡](2010/04/29 18:46)
[22] 第弐拾弐番[福岡](2010/05/02 08:49)
[23] 第弐拾参番[福岡](2010/05/09 21:30)
[24] 第弐拾四番(加筆修正)[福岡](2010/05/12 14:44)
[25] 第弐拾伍番[福岡](2010/05/20 22:46)
[26] 終番・壱「一つの結末」[福岡](2010/05/19 05:20)
[27] 第弐拾陸番[福岡](2010/05/26 22:27)
[28] 第弐拾漆番[福岡](2010/06/09 16:13)
[29] 第弐拾捌番<無印完結>[福岡](2010/06/09 23:49)
[30] 幕間[福岡](2010/08/25 18:28)
[31] 序章[福岡](2010/08/25 18:30)
[32] 第弐拾玖番(A’s編突入)[福岡](2010/08/26 13:09)
[33] 第参拾番[福岡](2010/10/05 19:42)
[34] 第参拾壱番[福岡](2010/10/21 00:13)
[35] 第参拾弐番[福岡](2010/11/09 23:28)
[36] 第参拾参番[福岡](2010/12/04 06:17)
[37] 第参拾四番[福岡](2010/12/19 20:30)
[38] 第参拾伍番[福岡](2011/01/09 04:31)
[39] 第参拾陸番[福岡](2011/01/14 05:58)
[40] 第参拾漆番[福岡](2011/01/19 20:12)
[41] 第参拾捌番[福岡](2011/01/29 19:24)
[42] 第参拾玖番[福岡](2011/02/07 02:33)
[43] 第四拾番[福岡](2011/02/16 19:23)
[44] 第四拾壱番[福岡](2011/02/24 22:55)
[45] 第四拾弐番[福岡](2011/03/09 22:14)
[46] 第四拾参番[福岡](2011/04/20 01:03)
[47] 第四拾四番[福岡](2011/06/18 12:57)
[48] 第四拾伍番[福岡](2011/07/06 00:09)
[49] 第四拾陸番[福岡](2011/08/03 21:50)
[50] 外伝[福岡](2010/04/01 17:37)
[51] ???(禁書クロスネタ)[福岡](2011/07/10 23:24)
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[17010] 第壱拾弐番
Name: 福岡◆c7e4a3a9 ID:4ac72a85 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/02 16:50




今回は、多少オリジナル設定(?)みたいのが出てきます




========================================







十数分前、ウルキオラは時の庭園の一室に居た

その手には一つの弾丸が握られており、体は淡く青く光っていた


カートリッジによる、霊子補充である。



「……おおー、何か光ってる! ウルキオラが光ってる!」

「喚くな、静かにしてろ」



その光景が珍しいのか、アリシアは興味深々な様子で窺っており
時折、指でツンツンとウルキオラの体を突いていた。


「あ、今バチってなった! これってセイデンキってヤツだよね! おお! またバチってなった!」


しかし、当のアリシアはウルキオラの言葉などまるで意に介さず

再びアリシアは驚いた様に声を上げて、ウルキオラの腕を指で突いていた。



「……なるほど」



そしてウルキオラは、そんなアリシアに疲れた様に息を吐いて





「余程その腕が要らないらしいな」





冷たく重く、ウルキオラはアリシアの目を見ながら囁き
アリシアは即座にそこから退散する

そしてその場から駆け出して、そこに居たもう一人の人物の足元に縋り付いた。



「おかーさーん! なんかウルキオラが恐いよー!」

「あらあら大丈夫? 全く、困ったお兄さんですねー?」



耳に障るアリシアの声と、気色の悪い猫撫で声
プレシアは足元のアリシアの頭を、極めて上機嫌な表情で撫でていた。



「……母子揃って、俺をイラつかせるのが得意と見える」

「それじゃあ、一つ良い事を教えて上げる。世間ではコレをコミュニケーションって言うのよ。
良かったわね、これで一つ利口になったわよ? ねー」

「ねー」


(……何だ、この茶番は?……)



無機質なウルキオラの言葉を、プレシアはしたり顔で返し、アリシアは笑顔で同意する

そしてその一連のやり取りを見て、ウルキオラはこれ以上この母子との会話は非情に馬鹿らしい物に思えた。



「……それで、態々何の用だ? その新しい装置を見せびらかしに来たのか?」

「っと、そうだった…忘れる所だったわ。まあソレもあるんだけど、本命は違うの。
貴方に一つお願いしたい事があるのよ……引き受けてくれないかしら?」

「内容によるな」



先ずは話を聞いてから、ウルキオラはそう答える
ちなみにこれは余談だが、ウルキオラはこの時よほど無茶な要求でない限り、プレシアの頼みごとを聞くつもりだった。




(……こんな茶番に付き合わされるよりは、余程有意義に時間を使える……)




既に消耗した霊力の回復も終わっている

ウルキオラとしては、既に準備は出来ていた
そしてそんなウルキオラの態度を察してか、プレシアは口の端を僅かに吊り上げた。



「なに、そんなに身構えなくもいいわ。貴方なら多分それほど難しい事じゃないもの」



足元のアリシアには決して見えない角度を作り、プレシアはその顔に歪な笑みを浮べて





「少し、『人形』の手伝いをして来て貰いたいだけよ」











第壱拾弐番「海上決戦」











「……ウルキオラ」


フェイトが呟く

突如現れたその姿を見つめ、呆然とした様に呟く


そして、呆然としていたのはフェイトだけではない
クロノ、なのは、ユーノの三人も、そこから動けなかった

三人の顔は青ざめて、心は凍り付いている


最悪の展開、最悪の敵

三人の思考を締めていたのは、正にその言葉だった



そして、その誰もが硬直している中

真っ先に動いた影があった。




「フェイト、ズラかるよ!!」

「アルフ!?」



アルフが駆けて、その腕をフェイトに伸ばす

次の瞬間、アルフはフェイトを抱かかえその場から離れ
二人の足元には魔法陣が浮かび上がった

元々アルフはなのはやユーノ、クロノや管理局に関しては明確な敵対心があった

それ故に、いつでもこの場から離脱できる様に、隙を窺っていたのだ。



「とりあえず、礼は言っておくよ! 何が目的かは知らないけど、あたし達は一旦撤退させて貰うよ!!」



そして魔法陣と共に、アルフとフェイトはその姿を消した
空間転移で、この場から離脱したのだ



そして、そこに三人が残される

なのは達は、ウルキオラと改めて向かい合っていた。



「……ウルキオラ、それが君の名前か?」

「ゴミが気安く俺の名を呼ぶな」



クロノの言葉を、ウルキオラは一瞬にして斬り捨てる

その顔、表情からは相変わらず感情という物が読み取れない


まるで、石像や人形を相手にしている様だった。



「まあいい、俺の用件はただ一つ。貴様等が持っているジュエルシードを渡せ」

「……!!」

「これは交渉ではない、命令だ。貴様等に拒否権などない」



有無を言わさない圧力
解かってはいた。
もはや、言葉でどうにかなる存在では無いという事が



「断る、ジュエルシードは渡さない」



クロノは杖を構える
そしてウルキオラを真っ直ぐに見据えて宣言する


相手の強さも、その恐ろしさも解かっている

しかし、だからこそクロノは退けなかった。



「そして時空管理局の法の下、君のジュエルシードをこちらに渡して貰う!」



ウルキオラの視線が動く
周囲に展開される十二個の魔法陣


次の瞬間
ウルキオラを包囲する様に、武装隊が空間転移で現れた。



「動くな!」

「速やかに武装を解除し、こちらに投降しろ!」



彼らは各々が杖を構え、その全ての照準がウルキオラに合わされている


「……成るほど……」


その光景を見て、彼らの答えを理解して






「余程、学習能力が低いと見える」






ウルキオラが構え、指先に霊子を収束させる

次の瞬間、クロノが叫んだ



「撃てええええええぇぇぇぇぇ!!!!」



鼓膜を引き裂く様な爆音

両目を目蓋ごと焼き尽くす様な閃光

体を薙ぎ倒す様な重く響く衝撃


合わせて十三の砲門

砲撃魔法の、360度からの一斉掃射

圧倒的火力、暴虐とも言える暴力の戦慄



しかし






「ゴミが群れても、ただのゴミだ」






円状の、翠の閃光が奔った

ウルキオラは腕を大きく回して、翠光の弧を描いて薙ぎ払う

それらは十三の砲撃を一瞬にして飲み込み、周囲の敵を喰らい尽くそうと襲い掛かった。



「……!!!」

「クロノ!!」

「クロノくん!!」



二つの影が翔ける
なのはとユーノが、同時に飛び出す

クロノの体を二人で抱え込んで、破壊の翠光から引き剥がす



そして次の瞬間

眼下の海に、落下音と共に十二の水柱が立った。



「……!!!」



クロノはソレを見て、冷たい汗が流れる
武装隊が、皆やられたのだ


もしも二人に助けられなければ、自分も海に叩き落されていただろう。



「三人、か」



自分の一撃から逃れた三人の少年少女を、ウルキオラは見る

その瞳は、どこか驚きの色を宿していた。



「なるほど、少しは学習能力があったか。それに、随分硬くしてきたらしいな」

「……気づいたか」



舌打ちをする様に、クロノは呟く

ウルキオラの虚閃に飲まれた、十二人の武装隊員

彼らは海に落ちた

そしてウルキオラは見た、虚閃によって至る所が焼き焦げた彼らの姿を


虚閃をまともに喰らって、五体は無事で火傷程度で済んだ彼らの姿を



「馬鹿でも気づく、前のゴミの手足を飛ばした時以上の力を込めたつもりだからな」


「……君ほどの力の持ち主を相手にするのに、対策を練らない方がおかしいという話だ」



尤も、期待よりも効果は薄かったが

クロノは心の中でそう付け加えた


このウルキオラという魔導師の圧倒的なまでの力は、十分に解かっていた

だからデバイスのプログラムを変えて、バリアジャケットの……細かく言うのならバリアジャケットの魔力防御膜の性能を向上させたのだ


その強度・耐衝性は通常の三倍

その魔力の消費量は、通常の五倍


即席の、かなり強引なプログラム改変だった故に、燃費が悪い

他の魔法と同時に使用すれば、その疲労は文字通り桁が違う(さっきのジュエルシード戦においてはOFFにしていた)


長期戦にはまず向かない
短期決戦、それも敵が極めて少数で援軍の可能性が低いという場面にしか向かない

極めて限定的な場面でしか使えない、使い勝手の悪い代物だ。



(……だが、それでも今の一撃に耐えられなかった……)



貫通しなかった分、すべてのエネルギーが体に叩き込まれたのだ

如何に性能を向上させたバリアジャケットでも、そのエネルギー全てを吸収できなかったのだ

現に、武装隊の全てが今の一撃で全員が堕ちた

海には、転移送還の魔法陣が形成されている
彼らは今の一撃で戦闘続行不可能になった証だ。




「なるほど、正論だ」




次の瞬間、再びウルキオラの指先に霊子が収束し、翠色に輝く



「……ユーノ! なのはを頼む!!」



真っ先に反応したはクロノだ
自分に並ぶなのはとユーノの一歩前に立ち、防御に備える


「なのは!」

「……あ、待って! ユーノく……!」


そしてクロノの言葉に反応して、ユーノはなのはと共に後退して緑色の防御膜・プロテクションを形成する



そして、翠光の砲撃が再び放たれた



「それも対策済みだ!!!」



クロノは砲撃に掌を突き出す

掌からラウンドシールドを形成し、砲撃に備える



……莫迦が……



そのクロノの行動を見て、ウルキオラは侮蔑し肩透かしをくらう

この虚閃は、先の一撃とは違う
砲撃を一つの目標に固定し、先の倍の霊圧を込めている


例えその盾が強化されていようと、無駄な事

紙の盾で大砲の砲弾を受け止める様な物だ



しかし



「……!!」



翠光が、曲がる

クロノの盾は虚閃を弾いた



「……なに?」



驚いた様に呟く

そして、次の瞬間クロノが反撃に出た



「スティンガースナイプ!!」



青い弾丸が放たれる
同時に翠の光弾が迎撃する


クロノのスティンガースナイプ
ウルキオラの虚弾


ともに巨大な力が込められた弾丸
それらは互いに激突し、爆発を起こしながら互いに消滅する


筈だった



「……!!!」



青い軌道は曲がる

翠の弾丸の迎撃を避け、まるで意思を持ったかの様に軌道を変えてウルキオラに迫る


これがクロノの得意魔法「スティンガースナイプ」
高速で射出された魔力弾の軌道を操作して敵を撃つ、高速操作機動弾である


(……軌道を変える……操作系か……)


それと同時に、ウルキオラもその答えに辿り着く

ならば下手な回避は逆効果
相手の標的は自分

それなら、着弾の寸前に迎撃する


だが



「スナイプ・ショット!!!」

「……!!」



次の瞬間、閃光は加速する

それは正に不意打ち
迎撃しようとしたウルキオラの虚弾の発射を許さないその速度



「……なるほど」



虚弾は間に合わない
その事を瞬時に悟り、ウルキオラは収束した霊子を解く


そして、弾丸を掴み
次いで握り潰した



「……な!!?」

「少し、驚いた」



超高速の弾丸を掴む
その人間業からかけ離れた技を見て、クロノに驚愕と僅かな隙を生む


そして、ウルキオラから翠光の砲撃が放たれる


「……まだだ!」


しかし、クロノには届かない
再び青い魔力盾を形成し、虚閃を弾く


そしてウルキオラは、その一連の光景を見て



「なるほど、傾斜と回転か」

「……っ!!」



その言葉を聞いて、クロノの顔は今まで以上の驚愕に染まる

タネを、見破られたのだ


ラウンドシールドの強度を上げるだけでは、あの砲撃は防げない

例え防げても魔力を大きく使い、強化バリアジャケットとの併用もあって直ぐに魔力が尽きる


ならば、どうする?
簡単な事だ


力で敵わないのなら、力以外で対抗すればいい

だからクロノは、そのプログラムを組み立てた

滑らかな「く」の字の傾斜をつけて、高速回転するシールド
受け止めるのではなく、相手の攻撃を弾く事を目的とした盾


味方の数が多い時は同士討ちの危険がある為、強化バリアジャケット同様に使い時を見極めなければならない代物だが

皮肉な事に、目の前の敵が同士討ちの危険性を排除してくれた



……虚弾や虚閃で突破するのは、少々厳しいな……



ウルキオラは考える

相性が極端に悪い
しかし、正体さえ見極めてしまえば対策は簡単だ



――響転――


「……!!」



間合いを詰める
ウルキオラは響転を発動させて、瞬時にクロノとの距離をゼロにする


……マズイ、攻撃が来る!……


クロノはそう判断して、先ほど形成したラウンドシールドを再びウルキオラに突き出す

だが!




「独楽の止め方を知っているか?」




ウルキオラの掌が、盾の中心を押さえる



「……まさか!!」



クロノの顔が驚愕に歪む

盾の回転は、止められた
相手が盾の中心を、五指で掴んで回転を止めたからだ


そしてそのまま、ウルキオラはクロノの盾を貫く



「この距離では避けられないだろう?」



手刀が、クロノの脇腹に突き刺さった。



「……がぁっ!!!?」



ズドンと、重い衝撃が脇腹を貫く

脇腹の肉が沈み、骨が軋み、メキメキと脇腹が鳴る
その一瞬後、体中に電撃の様な激痛が走った

痺れと苦痛、相反する二つのダメージが同時にクロノを襲う。



「ほう、貫通しないか……存外に硬いな」

「……が、は!!」


……折れた、かも……



クロノは己の体のダメージを悟り、同時に安心もした

強化バリアジャケットとラウンドシールド、この二つのお陰で多少ダメージを軽減できた

もしもそのどちらかでも欠けていたら、今頃クロノの脇腹はその肉ごと抉り盗られていただろう



「バリア・バースト!!!」

「!!?」



盾を爆発させて、即座にクロノは後ろに跳ぶ

あのまま掴まれでもしたら、即アウトだったからだ。

しかし




「鈍いな」


「……え?」




耳元から、その声が聞こえた


その瞬間、背筋が凍った

恐怖で心臓が跳ね上がった

胃が締め上げられて、嘔吐しそうになった


氷の槍で、頭の先から足の指まで貫かれた様な錯覚に陥った



死神は、自分の隣に居た



「終わりだ」



死神の手が、命を刈り取る

先の一撃とは違う、正真正銘の必殺の一撃

その手刀が目の前の少年目掛けて、その命を貫こうとする




「チェーンバインド!!!」

「……!!!」




しかしその腕は、体は、緑色の鎖に絡めとられた


目の前の少年の魔法ではない

ウルキオラは視線を動かして、もう一人の金髪の少年を見定める
魔法陣を形成し、そこから緑の鎖を射出し、ウルキオラを束縛した少年

ユーノ・スクライアを、ウルキオラはその目で見る



「お前か」



次の瞬間、鎖は崩壊する

力のままに引き千切られて、束縛していた獲物を解放してしまう



「そんな!!!」

「紙の鎖で、俺を繋いで置けると思ったか?」



ウルキオラの指が、ユーノに照準を定める
そして放たれる翠光の砲撃


しかし、砲撃とユーノの間に
一つの影が割って入った。



「なのは!!!?」

「ディバイン・バスタアアアアアァァァァ!!!!」



桜色の砲撃が放たれて、翠光の砲撃と衝突する

二つの砲撃が音を立てて互いに喰らい合う
互いの存在を消し去ろうと、その力を思いのままに突き進める


だが



「……く!っぅ!!」



翠が桜を喰らう

なのはの砲撃は、ウルキオラの虚閃に完全に圧されていた



「ブレイズ・キャノン!!!」



しかし、青い砲撃が放たれる

クロノは激痛に耐えながらも、二つの砲撃の境目を狙って……翠光の砲撃を横から殴り飛ばしたのだ

そして三つの砲撃の軌道は互いにズレて、その存在を消した。



「……ほう」



ウルキオラが、感心した様に呟く

正面から圧力、そして横からの圧力
流石の虚閃でも、二つの角度からの奇襲には敵わなかった様だ。



「……なるほど、ただのゴミでは無い訳か」



ウルキオラは改めて評価する

それは相手に対する、自分の過小評価を改めた発言だ


更に追撃を掛けようと、ウルキオラは身構えて





「待って! ウルキオラ、さん!!!」




そしてそんなウルキオラの前に、一人の少女が出た

高町なのはだ



「何だ、素直に渡す気になったのか?」

「……どうして、ウルキオラさんはジュエルシードを集めているんですか?」

「ゴミに喋る必要はない」

「私達はゴミなんかじゃない!!」


無機質な声で、ウルキオラが返す
しかし、それでなのはも引き下がらなかった。



「どうして、最初からそんな風に決め付けるんですか!」

「事実を述べたまでだ。それとも訳を話せば渡してくれるのか?」

「そうじゃない! でもお互いに話し合えば、あんな風に争う必要だって! 傷付けあう必要だって! 
無かったかもしれないじゃないですか!!!」



更に食い下がるように、なのはは叫ぶ



「今は、こんな風になっちゃけど……こんな風に、争っちゃったりしちゃっけど……
最初から、お互いに話し合っていれば……誰も争わないで、怪我をせずに済んだかもしれないじゃないですか……」



なのはは思い出す
さっきの一撃によって、苦悶の表情を浮べて海に落ちていった武装隊の姿を

一週間前、人としてある筈の部位を奪われて、苦しんでいた人間達の事を



「だから、お互いに……話し合う事が必要だと思うの!」



だから、なのはは我慢出来なかった

人を「ゴミ」と呼び、躊躇い無く人を傷付けるウルキオラに我慢ならなかった



「無駄な事だな。俺とお前らが高々話し合い程度で、和解できる事など有り得ん」

「そんな事ない! きちんと話し合えば! お互いに歩み寄れば! 私達だって、分かり合えると思うの!!」



思いの丈を全て込める様に、なのははウルキオラの顔を見て、目を見て




「だって私達、同じ人間じゃないですか!!!!」




思いの全てを込めて、なのはは叫んだ。






「……そうか……」





そのなのはの叫びを聞いて、ウルキオラは納得がいった様に息を吐いた

そして右手を首の襟元に置いて、『ソレ』を三人に見せ付け














「そいつは残念だったな」














その言葉を、真っ向から否定した。















「……え?」



間の抜けた声を出したのは、なのはだった



高町なのはは、この二ヶ月近く……様々な経験をした
ユーノと出会い、魔法の力に目覚め

ジュエルシードと闘い

フェイトと闘い

クロノと出会い、時空管理局の存在を知った


そして、様々な事を知った
世界は、自分達がいる世界以外にも沢山の世界があり、様々な人や色々な人間がいるという事を知った

現にユーノやクロノ、それにフェイトは自分達とは違う世界の人間だ





だから、そうだと思っていた



人間、だと思っていた



目の前のこの白い死神も、自分達と同じ『人間』だと思っていた




だが




「……な、に……ソレ……」


なのはは唖然とした表情で呟き

ユーノもクロノも、声こそは出さなかったが……その表情は驚愕に満ちていた



その理由は、孔

目の前の男の胸元……首と胸の境目辺りにポッカリと空いた一つの孔


人間なら、絶対に有り得ないその光景

そしてそんな三人の驚愕の表情を見ながら、ウルキオラは言った。






「残念だったな、俺は人間なんかじゃない」













続く











あとがき
 外伝の感想がある意味予想通りでした(笑) 皆さんの意見を聞いて、とりあえず本編の更新には差支えが無い程度にやれればいいなと、考えを纏めました。

 そして話は本編、今回はある意味スーパークロノタイムでしたが、ウルキオラには及ばず
改造バリアジャケットとラウンドシールドも、使える局面が限られている代物なので今後の登場は少ないかも……(汗)
今回はかなりデバイスのオリジナル色は強いですが、一週間あれば管理局の方もそれなりの対策を練ると思ったので
今回の様な仕上がりになりました。

ちなみに作者はあまり頭が良いとは言えないで、ボロが出る前にデバイスの魔改造は控えようと思っています。
あまりに原作の設定から離れると、作者自身がついていけなくなる恐れもあるので…(汗)


あと今回は管理局側としてはウルキオラと闘うか、それとも撤退させるか、どちらの判断を取るかと考えたのですが
管理局側としてはウルキオラがジュエルシードを所持しているのは間違いないし、それなりの戦力をまだ保有していた為に
また、ウルキオラの危険性を良く分かっていると思ったので今回の様な感じになりました……
流石に、闘いもせずに即撤退というのは(作者的に)辛い物がありましたので……(汗)


後はなんだかんだで、なのは達はウルキオラの正体を見てしまった様です

補足としては、なのはは今までの経験でウルキオラも(ちょっと変わった)人間だと思っていた様です


でも、流石に九歳の女の子が「同じ人間じゃないですか!!?」って言うのは不自然ですよねー……
作者も他になんか良い表現がないかと探したのですが、他に良い表現が見つからなかったので
本編の様なセリフ回しになっちゃいました


ちなみに原作のウルキオラは、普段は胸の孔を服で隠しています
あの服が霊子で出来ているっぽいので、最初に体を回復させた時についでに服も直しています
だから管理局と闘った時も見えてなかったという設定です……後付じゃあないですからね!!(必死)


そして次回、またやってきました(作者の)二度目の修羅場が!!
多分次回で話はそれなりに進むと思います! 次回は遂に…………


前回ほどでは無いが、厳しい執筆になると思います!!
それでは次回に続きます。





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