<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.16875の一覧
[0] ルイズさんが109回目にして平民を召喚しました (オリ主)[しゃき](2011/02/28 21:49)
[1] 第1話 使い魔などという意味不明な供述[しゃき](2010/04/26 20:50)
[2] 第2話 文化の違いは恐ろしい[しゃき](2010/04/26 20:53)
[3] 第3話 嘘は言っていません。誇張はあります。[しゃき](2010/04/26 20:56)
[4] 第4話 郷に入っては郷に従えと言われても限界はある[しゃき](2010/04/26 21:00)
[5] 第5話 『ゼロ』ではないという希望[しゃき](2010/03/15 13:15)
[6] 第6話 男の友情も案外脆いがすぐ修復する[しゃき](2010/04/26 21:02)
[7] 第7話 紳士(おとこ)は女性の涙に弱いのではなく、女性の笑顔に弱い[しゃき](2010/04/26 21:03)
[8] 第8話 男の夢が24時間営業とは限らない[しゃき](2010/04/26 21:08)
[9] 第9話 だから貴方は独身貴族[しゃき](2010/04/26 21:15)
[10] 第10話 君は僕にやや似ている[しゃき](2010/04/26 21:17)
[11] 第11話 空気を読み違えると大抵碌な事にならない[しゃき](2010/04/26 21:21)
[12] 第12話 意外と後ろに人が近づいてきても気づかない事はある[しゃき](2010/04/26 21:25)
[13] 第13話 一方的な勧誘にははっきりNoと言え[しゃき](2010/04/26 21:28)
[14] 第14話 分かりやすい虚飾は気の毒になるのでやめてくれ[しゃき](2010/03/10 21:53)
[15] 第15話 ストレスを発散するときの力加減は難しい[しゃき](2010/04/26 21:29)
[16] 第16話 友達友達ってしつこく言わなくてもいいんだよォ!![しゃき](2010/03/11 23:15)
[17] 第17話 いちゃつくのは勝手だが場所を選べ[しゃき](2010/03/13 00:32)
[18] 第18話 自分の言葉にはある程度責任は持て[しゃき](2010/03/13 23:43)
[19] 第19話 ラッキーヒットが一番怖い[しゃき](2010/03/15 19:43)
[20] 第20話 軽々しくおばさん呼ばわりするとブーメランで帰ってくる[しゃき](2010/03/15 00:13)
[21] 第21話 ここにもフラグを掴み損ねた漢がまた一人・・・[しゃき](2010/03/15 20:00)
[22] 第22話 未練がない人生なんてない[しゃき](2010/03/15 15:36)
[23] 第23話 わたしの王子様(前編)[しゃき](2010/03/15 21:22)
[24] 第24話 わたしの王子様(後編)[しゃき](2010/04/19 16:03)
[25] 第25話 身体検査でいちいち妙な妄想をするな[しゃき](2010/03/17 14:57)
[26] 第26話 人を陥れようとする奴はしっぺ返しを受けるはず[しゃき](2010/03/17 20:50)
[27] 第27話 裸の付き合いもほどほどに[しゃき](2010/03/18 15:25)
[28] 第28話 彼女が彼に抱く感情は恋愛ではなく親愛である[しゃき](2010/03/31 17:41)
[29] 第29話 そんな敵の倒し方があっていいのか[しゃき](2010/03/19 18:23)
[30] 第30話 祈る存在は選んだ方が良いと思う[しゃき](2010/03/20 13:02)
[31] 第31話 さらば擬似的シスター!兄の愛は永遠に!(誇張アリ)[しゃき](2010/03/20 12:59)
[32] 第32話 溢れ出る食欲に抗う事は出来ない[しゃき](2010/03/20 19:35)
[33] 第33話 テンションが上がりすぎると言葉が乱暴になる[しゃき](2010/03/25 13:12)
[34] 第34話 そんな子守唄があってたまるか[しゃき](2010/03/21 13:26)
[35] 第35話 戦争は頭を潰せば大打撃[しゃき](2010/03/22 01:51)
[36] 第36話 つまり私は伝説の女[しゃき](2010/03/23 13:20)
[37] 第37話 俺は君の友達なんかじゃない[しゃき](2010/03/23 12:55)
[38] 第38話 何でお前が其処にいるんだ(タルブの村より)[しゃき](2010/03/23 13:46)
[39] 第39話 何より強きは母の愛[しゃき](2010/03/23 16:31)
[40] 第40話 誰も気づかぬ偉業、自分たちも知らぬ偉業[しゃき](2010/03/24 08:05)
[41] 第41話 ただし聞くだけだ。受けるとは言っていない。[しゃき](2010/03/24 12:40)
[42] 第42話 堅実と特殊能力が合わさって最強に見える[しゃき](2010/03/24 21:33)
[43] 第43話 私はそんな軽い女じゃないわよ[しゃき](2010/03/25 13:14)
[44] 第44話 美女は好きだが愛する女はただ一人[しゃき](2010/03/25 17:17)
[45] 第45話 勇気の幻影[しゃき](2010/03/25 23:05)
[46] 第46話 性格だけは良い男[しゃき](2010/03/26 14:38)
[47] 第47話 雨上がりの虹[しゃき](2010/03/26 20:32)
[48] 第48話 存在自体が武器であるお方[しゃき](2010/03/27 12:34)
[49] 第49話 答えは聞いてないんじゃなくて聞けない[しゃき](2010/03/27 17:57)
[50] 第50話 暗闇を彷徨う男[しゃき](2010/03/28 00:36)
[51] 第51話 アンタの私怨に巻き込まないでよね[しゃき](2010/03/28 16:55)
[52] 第52話 母から見た成長した娘の姿の理由[しゃき](2010/03/29 00:15)
[53] 第53話 娘が男を連れてきた日[しゃき](2010/03/29 13:29)
[54] 第54話 手段を選んでいる場合じゃない[しゃき](2010/03/30 17:28)
[55] 第55話 夏休み中なので逃げたところで追われます[しゃき](2010/03/30 22:52)
[56] 第56話 パンがなければ作れ。材料がなければ作れ。[しゃき](2010/03/31 14:34)
[57] 第57話 地球外生命体とバッタと餡パン[しゃき](2010/04/04 15:08)
[58] 第58話 勝利の絶対条件[しゃき](2010/04/15 00:30)
[59] 第59話 生徒に手を出す者は等しく許さん[しゃき](2010/04/15 17:11)
[60] 第60話 騎士でしょう?貴女は[しゃき](2010/04/17 17:07)
[61] 第61話 どんだけ心の広い神様だよ[しゃき](2010/04/18 16:28)
[62] 第62話 クリスマスを一人で過ごすのは寂しいのよ[しゃき](2010/04/19 08:58)
[63] 第63話 頭脳労働派の中年女性をを舐めるなよ[しゃき](2010/04/19 12:21)
[64] 第64話 サウスゴータの悪魔[しゃき](2010/04/19 22:36)
[65] 第65話 ルイズさんが110回目にして使い魔を召喚できませんでした[しゃき](2010/04/20 13:22)
[66] 第66話 空白の間のとあるお話(完全版)[しゃき](2010/04/21 08:47)
[67] 第67話 孤児は孤児を呼ぶ[しゃき](2010/04/21 13:05)
[68] 第68話 悪夢の捜索隊追加[しゃき](2010/04/22 10:42)
[69] 第69話 伝説の遭遇と再会[しゃき](2010/04/22 17:55)
[70] 第70話 本当はここにいて欲しいよ[しゃき](2010/04/23 16:30)
[71] 第71話 まさかの左遷通告[しゃき](2010/06/09 15:48)
[72] 第72話 話は聞かせてもらった!この領地は滅亡する![しゃき](2010/04/25 01:18)
[73] 第73話 カオスの権化、現る[しゃき](2010/04/25 16:51)
[74] 第74話 憧れの人[しゃき](2010/04/25 22:41)
[75] 第75話 友人だろうと容赦なし[しゃき](2010/04/26 17:12)
[76] 第76話 幼馴染が上級生?いいじゃないか![しゃき](2010/04/27 00:07)
[77] 第77話 冷静に混乱する女[しゃき](2010/04/27 22:21)
[78] 第78話 努力派VS一発逆転派[しゃき](2010/04/27 22:35)
[79] 第79話 とてつもない修学旅行[しゃき](2010/04/28 15:30)
[80] 第80話 減っていく救出隊[しゃき](2010/04/28 23:12)
[81] 第81話 お前のような歌姫がいるか【注意!ややグロかも!】[しゃき](2010/04/30 01:14)
[82] 第82話 古城に響く俺達の歌[しゃき](2010/04/30 01:18)
[83] 第83話 やりすぎ!カリンちゃん![しゃき](2010/04/30 22:20)
[84] 第84話 真心喫茶[しゃき](2010/04/30 23:21)
[85] 第85話 クローンの襲撃【お食事中の方はご注意下さい】[しゃき](2010/05/01 17:07)
[86] 第86話 狐の嫁入り(修正あり)[しゃき](2010/05/02 18:47)
[87] 第87話 今日も因幡家は平和です(追加あり)[しゃき](2010/05/02 12:49)
[88] 第88話 その子がアンタの想い人だと言うの[しゃき](2010/05/02 21:00)
[89] 第89話 飲酒は二十歳になってから[しゃき](2010/05/05 20:03)
[90] 第90話 気合で解決するほど世の中甘くない[しゃき](2010/05/10 16:56)
[91] 第91話 腹が減っては何も出来ぬ[しゃき](2010/05/10 17:05)
[92] 第92話 大事な事なので二回言いました[しゃき](2010/05/10 22:41)
[93] 第93話 魔法媒体の天敵[しゃき](2010/05/11 17:24)
[94] 第94話 フーケさんとワルド君[しゃき](2010/05/13 17:03)
[95] 第95話 喧嘩は一対一でやろう(前編)[しゃき](2010/05/13 16:52)
[96] 第96話 喧嘩は一対一でやろう(後編)[しゃき](2010/07/01 01:06)
[97] 第97話 変態という名の紳士達[しゃき](2010/05/13 23:46)
[98] 第98話 プロジェクトZ~愚かな挑戦者たち~[しゃき](2010/05/14 18:10)
[99] 第99話 彼女は息抜きのためなら死ねるそうだ[しゃき](2010/05/14 18:11)
[100] 第100話 それはアンタの未来であり、私たちの過去だ[しゃき](2010/05/15 01:16)
[101] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「紳士たちの社交場」[しゃき](2010/03/17 02:13)
[102] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「続・紳士たちの社交場」[しゃき](2010/03/18 19:04)
[103] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「真心喫茶109」[しゃき](2010/04/22 23:28)
[104] 予告篇?【ネタ】 世界の扉の向こう側[しゃき](2010/04/12 17:11)
[105] とりあえずの技能のまとめ(102話まで)[しゃき](2010/06/11 15:40)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[16875] 第83話 やりすぎ!カリンちゃん!
Name: しゃき◆d1ebbc20 ID:1ddacfd7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/30 22:20
さて、状況は良くない。主に俺の状況が。
キュルケ、タバサ、シルフィードにタバサの母は別にいいのだ。
問題は俺はトリステインでは犯罪者で追われる身であるということである。
俺はアーハンブラ城にあった荷馬車の御者台で手綱を握り、ひとまずゲルマニアに向かう街道を進んでいた。
俺以外の奴らは馬車の荷台ですやすや寝息を立てている。

「ガリアはエルフを味方につけてたな」

「ああ、どういう密約を結んだかしらねえが・・・ガリアに肩入れしてるのは事実だろうよ」

俺とデルフリンガーはエルフがガリア国に肩入れしている事実を受け入れていた。
人間と長年対立していたエルフを懐柔とかどんだけやり手なのだろうか。
それだけやり手なのに、ガリア王政府は、直轄の軍以外からは良く思われておらず、地方の軍の兵士の士気はすこぶる低い。
検問が緩すぎる。最も流石にゲルマニアとの国境には東薔薇騎士団と名乗る精鋭の騎士隊が詰めていたが、不思議な事に彼らが変装したタバサを見つけると、若き騎士団長のカステルモールは呟いた。

「この少女は・・・」

涙を浮かべるカステルモール。
涙を拭った彼は馬車から出るなり大声で、

「問題なし!通ってよし!」

と、あっさり越境を許可してくれた。
・・・タバサの知り合いなのだろう。タバサは知らなかったのかもしれないが、ガリアにも彼女の味方はいたのだ。
カステルモールは俺に小声で言った。

「シャルロット様を頼む」

俺が振り向くと、彼は見事な騎士の礼を送っていた。
そんなこんなで俺たちは無事にゲルマニアに到着したのである。


ゲルマニアのフォン・ツェルプストー城。
キュルケの故郷である。
ルイズの故郷のラ・ヴァリエール家とは些細な事で小競り合いを繰り返していた歴史がある。
位置的にトリステインに近い事もあり、城の内部にはトリステイン調の造りの廊下がある。
何だか外国の珍しいもの、いい所を積極的に取り入れてごった煮にしたような城だ。

「欲しいものは欲しい時に手に入れるのがゲルマニア人よ」

「それで飽きるのも早いと」

「好奇心旺盛と言って欲しいわね。でも最近飽きそうにないのを見つけたのよ」

「そーですか」

キュルケの両親とも引きあわされたが、俺がルイズの使い魔だったことを知るなり、何故かキュルケが誉められていた。
人質に取られたと聞いて心配していたらしいが、タバサを救うための狂言と伝えたら、キュルケの両親は笑っていたが、そのような危険を冒すのはもうやめろとも言っていた。この辺は人の親である。

「親が学院やトリステインに手紙を出したらしいわ。私やタバサたちは無事だって」

「俺のことは?」

「・・・書いてはないそうだけど、大方、一緒にいると思われるでしょうね。タツヤ、だからと言ってトリステインに帰る必要はないのよ?あたしの家にずっといても構わないのよ?」

「そいつは魅惑的な誘いだけどな、何時までもいたらキュルケの家に迷惑がかかると思う」

俺の不安通り、キュルケの両親が手紙を送った翌日から連日のようにトリステインからやたら手紙が届いてきた。
トリステイン王国から、魔法学院から、そしてその中にはラ・ヴァリエール家の家紋の入った手紙もあった。
魔法学院はキュルケとタバサの無事を喜ぶ旨が書かれてあった。
・・・問題は王国からの手紙と、ラ・ヴァリエール家からの手紙の内容である。
俺は先に王国からの手紙を開いた。・・・読めません。
キュルケが手紙の翻訳をしてくれた。

「えーと、何々・・・?『ラ・ヴァリエールで待つ。ニガサナイ。アンリエッタ』・・・逃がさないと来たか」

「ラ・ヴァリエールは隣だったな・・・もしかしてもういるのか?」

「・・・いるんじゃなくて、来るんじゃないの?」

「・・・スルーしようか」

「いい根性してるわねぇ。で、ルイズの家からも来てるわね」

俺はラ・ヴァリエール家からの手紙を開いた。
キュルケが翻訳を開始した。

「えーと、『お土産話を聞かせてください。ラ・ヴァリエール家一同』・・・軽っ」

「話を聞いた後、如何するか書いてないのが怖いんですが?」

「ルイズ達はトリステイン女王含めてラ・ヴァリエール家に集結するみたいね」

スルーしても状況が悪化するだけだ。
ここは虎穴に入ることにしよう。

「それじゃあ、言われた通り、ラ・ヴァリエール家に行きますか」

「え、今すぐ?」

「善は急げというやつだな」

キュルケが見た達也の目は死んでいた。


トリスタニアの王宮の執務室で、女王は一人考えていた。
ゲルマニアのフォン・ツェルプストー家から、キュルケ及びタバサとタバサの母を保護したとの手紙を貰ったのだ。
・・・おそらく達也も其処にいるはずだ。

『俺は、貴方の騎士にはなれないとね』

そもそも彼は自分に忠誠は誓っていない。
だから、あの発言は何ら可笑しい事はない。
彼は、彼が正しいと思った心のままに動き、見事それを果たした。
ガリアからの公式の抗議は全くなかった。
考えてみれば、最近動向が不穏なガリアの、元王族を手元に置いておくのは政治的には悪くはない。
むしろ、勲功といってもいいだろう。
では、達也の罪はなんだろう?脱獄?いや、まだ達也は牢屋に入っていない。脱走だろうな。
・・・無断越境?アレ?でもこれって狂言?あれー?
そもそも逃亡中、彼は『パン屋を作る』としか言っていない。
・・・反乱の素振りもなし・・・?アレ?
むしろガリアで銃をぶっ放した銃士隊のほうがやばいんじゃないのか?
・・・おそらくあの少年が其処を見逃す筈もない。
裁判などでそれを言ってしまうかもしれない。
第一、勲功を上げた彼に対し、処罰を与えれば、彼は完全にトリステインを見限ってしまうのではないか?
悩むアンリエッタ。・・・普通に1週間ぐらい牢獄に入れときゃいいじゃん。


「そして牢獄に監禁されたタツヤさんは陛下に執拗に責められ・・・」

「馬車内で変な妄想をしないでくれる?」

ルイズは実家に向かう馬車にシエスタと共に乗っていた。
シエスタがいるのは帰るに辺り、お世話が一人ほどいるという変な決まりがあるからだ。
シエスタは先程からタツヤの処遇に対する不安で猥談でもしないと狂いそうだった。
・・・それに付き合うルイズもルイズだが。
最近まで自分の存在意義に悩んでいた筈のメイドだが、どうやら自分のキャラを固定したようだ。

「くぅ!!何て、何て歪んでいるんですか!そんな歪んだ愛情で、タツヤさんの心が動くはずありません!」

「歪みきってるのはアンタだ!?」

頭を押さえるルイズ。
その視界には自分の実家である城が見えていた。



ラ・ヴァリエール城では、ルイズも含めて、一家勢ぞろいで、客の到着を待ち侘びていた。
ダイニングルームの大きなテーブルの上には豪華な昼餐の料理が並んでいるが、その料理に手をつけているのはルイズのみだった。・・・おい。

「ルイズ、貴女の使い魔が勝手にガリアに潜入したようね。主として、弁解を聞きましょうか?」

エレオノールが厳しい視線をルイズに向ける。

「さあ?」

「さあ?じゃない!戦争になったらどうするのよ!」

「・・・ガリアからは公式な抗議は来てないと記憶してますが?」

「すごいじゃないの。ガリアからおともだちを救い出すなんて。ルイズは本当に凄い使い魔さんを召喚したのね」

「陛下直々にお裁きを下しにこちらにいらっしゃったり、当の本人はフォン・ツェルプストーにいるですって?」

「ガリアから安全に帰るためには仕方なかったんじゃないんですか?」

ルイズやカトレアの言葉に不満げに黙るエレオノール。
ラ・ヴァリエール公爵は達也の処遇はそんなに重いものになるとは全く考えていない。
結果的にトリステインに貢献する成果をあげているのだ。
ガリアの情勢が不安定だからこそ問題にならなかったのは正に幸いである。
ルイズの使い魔の少年は前に会った時は平民だったが、カリーヌの謀略で騎士になり、そして七万を相手取ったために土地持ちの貴族になった。
男は三日会わなければ変わると言うが、変わり過ぎではないだろうか?

「まあ、これで更に箔がついた訳ですね。女王陛下を出し抜き、銃士隊さえも出し抜いて、更にはガリア兵達の手から元王族を救ったのですから。旧オルレアン派からすれば婿殿は物凄い英雄扱いでしょうね」

カリーヌ達は知らないが、達也は更にエルフにまで勝っている。

「まあ、ですが、国法を幾分か破ったのは事実。婿殿にはそれなりの罰が必要ですね」

カリーヌがそう言った瞬間、ダイニングルームの空気が凍った。

「・・・誰が罰を与えるのだね?」

「そんなの私に決まってるじゃないですか」

「使い魔の罰は、主の私がするべきでは?」

「どうやら婿殿はルイズ一人では押さえ切れそうにありませんから、私がやります」

「いや、タツヤには私からよく言っておきますから・・・」

そうは言うがルイズもこの度のタバサ救出には一枚噛んでいるのだが。

「安心しなさい。殺しはしません」

「当たり前です!?」

「まあ、まずは話を聞かないと意味がありません。素直に帰還を待ちましょう」

「そ、そうですわね!」

エレオノールが母、カリーヌの意見に賛同したその時だった。
大きなフクロウがダイニングルームに飛び込んできた。
トゥルーカスである。

「奥さま、婿殿が参りました」

「あら、早いですね」

カリーヌ以外の全員が「何故来た!?」という表情である。
正に飛んで火に入る夏の虫である。

「失礼します」

ルイズはその瞬間思った。
今からでもいい、逃げろと。



ラ・ヴァリエール家にはキュルケとタバサが同行してくれたが、流石にダイニングルームまで一緒というわけにはいかないらしい。
彼女達は客室に案内され、俺はメイドに引きずられるようにダイニングルームに向かった。

「失礼します」

騎士になって初めて・・・いや、止めたから平民なのか?俺って?
とりあえずダイニングルームに騎士になってから初めて入るため少し緊張する。
扉の向こうには青い顔をしたルイズたちと、にこやかな表情のカリーヌがいた。
カリーヌは笑顔のまま、杖を引き抜き、さっと振った。
風の槌が俺に襲い掛かる。
ああ、これはたぶん罰なのね。
俺は吹き飛ばされる自分の分身を見ながらそう思った。

「って、俺が罰受けてどうするんだ!?」

「ほう、避けましたか。避けなければ楽だったものを・・・」

カリーヌの笑顔が非常に恐ろしい。エルフより怖いです本当にありがとうございます。
ゆらり・・・と立ち上がるカリーヌ。
その目は鋭い。

「後は任せた、分身」

「ざけんなーー!?」

分身は風の刃によって切り刻まれた。
・・・合掌。

「婿殿、貴方は国法を破りました」

「そうですね」

「それがどういう事か分かりますか?」

「色んな人に迷惑をかけたとは思います」

「そうです。貴方の友人、知り合い、貴方に期待する人々の信頼を無にするような行為です。それは犯罪の内容の大小問わず許さざる行為だといえます」

「・・・・・・」

カリーヌは静かに俺に宣告する。

「婿殿。次は外しません。歯を食いしばりなさい」

その瞬間、俺は風の一撃によって吹き飛んだ。

「これは陛下の分です」

続いて風の刃によって俺は切り刻まれる。

「これは貴方の友人と、貴方の土地の住民の分」

物凄い音に、メイドたちが遠巻きに見ているのが見えた。
尚も制裁は続く。ルイズも止めれずおろおろしていた。
風の一撃が腹を貫く。俺はその衝撃で中庭まで吹き飛ばされる。

「これは私たちの分。そして・・・」

カリーヌは特大の風の槌を作り出したようだ。

「これはルイズの分です。しっかり受け取りなさい」

そう言って、風の槌は振り下ろされる。
とてつもない衝撃が体中を襲い、俺の意識は途切れそうになる。
・・・エルフと戦ったより、大怪我してるじゃねえかよ・・・。
見なくても分かる。今の俺の姿は血まみれだ。
身体も、身体の中もボロボロだ。
骨も幾つか折れてるのは確実だ。

「そして最後は私の分です!」

・・・っておい!?それはさっき私たちの分の中に入ってたんじゃないのか!?
問答無用でカリーヌの風の魔法が俺に襲い掛かる。
妙な浮遊感と共に、俺の意識は暗転するのだった。

ルイズ達はカリーヌが起こした竜巻によって上空に吹き飛ばされる達也を呆然と見ていた。
ぼろきれのようにズタズタになった達也は、ぐしゃ!という音と共に地面に叩きつけられた。
・・・何故かカリーヌがしまったという表情をしていたのをルイズは見逃さなかった。

「た、タツヤ!?生きてる!??」

呼びかけるが、達也は返事をしない。
・・・というか、動いてないんですけど?
そ、そうだ、分身よね?そうよね?
だが、分身ならすぐ消えるはずだ。
・・・消えませんね。

「し、しまった!!?思わず自分に酔ってしまったー!?婿殿、大丈夫ですか!?」

「ちょっとーー!??」

カリーヌの焦った声にルイズ達は突っ込む。
ルイズは達也の安否を確認しようと呼吸の有無を確かめた。
・・・呼吸していない。あれ?
・・・心臓の音は?・・・弱くなってる?
あれ・・・?あれれ・・・?


「・・・・・・嘘?」

ルイズの呟きに反応する者は、いなかった。

「おい、水魔法を使える者を早く!」

「やりすぎちゃった・・・」

カリーヌが心底申し訳なさそうにしていた。




誰も気付かない。
達也の左手に刻まれたルーンが、静かに変形していた事を。




(続く)


【ボヤキのようなもの】

『そして私は進化する・・・』

「やめてーー!?」


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.047517061233521