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No.16875の一覧
[0] ルイズさんが109回目にして平民を召喚しました (オリ主)[しゃき](2011/02/28 21:49)
[1] 第1話 使い魔などという意味不明な供述[しゃき](2010/04/26 20:50)
[2] 第2話 文化の違いは恐ろしい[しゃき](2010/04/26 20:53)
[3] 第3話 嘘は言っていません。誇張はあります。[しゃき](2010/04/26 20:56)
[4] 第4話 郷に入っては郷に従えと言われても限界はある[しゃき](2010/04/26 21:00)
[5] 第5話 『ゼロ』ではないという希望[しゃき](2010/03/15 13:15)
[6] 第6話 男の友情も案外脆いがすぐ修復する[しゃき](2010/04/26 21:02)
[7] 第7話 紳士(おとこ)は女性の涙に弱いのではなく、女性の笑顔に弱い[しゃき](2010/04/26 21:03)
[8] 第8話 男の夢が24時間営業とは限らない[しゃき](2010/04/26 21:08)
[9] 第9話 だから貴方は独身貴族[しゃき](2010/04/26 21:15)
[10] 第10話 君は僕にやや似ている[しゃき](2010/04/26 21:17)
[11] 第11話 空気を読み違えると大抵碌な事にならない[しゃき](2010/04/26 21:21)
[12] 第12話 意外と後ろに人が近づいてきても気づかない事はある[しゃき](2010/04/26 21:25)
[13] 第13話 一方的な勧誘にははっきりNoと言え[しゃき](2010/04/26 21:28)
[14] 第14話 分かりやすい虚飾は気の毒になるのでやめてくれ[しゃき](2010/03/10 21:53)
[15] 第15話 ストレスを発散するときの力加減は難しい[しゃき](2010/04/26 21:29)
[16] 第16話 友達友達ってしつこく言わなくてもいいんだよォ!![しゃき](2010/03/11 23:15)
[17] 第17話 いちゃつくのは勝手だが場所を選べ[しゃき](2010/03/13 00:32)
[18] 第18話 自分の言葉にはある程度責任は持て[しゃき](2010/03/13 23:43)
[19] 第19話 ラッキーヒットが一番怖い[しゃき](2010/03/15 19:43)
[20] 第20話 軽々しくおばさん呼ばわりするとブーメランで帰ってくる[しゃき](2010/03/15 00:13)
[21] 第21話 ここにもフラグを掴み損ねた漢がまた一人・・・[しゃき](2010/03/15 20:00)
[22] 第22話 未練がない人生なんてない[しゃき](2010/03/15 15:36)
[23] 第23話 わたしの王子様(前編)[しゃき](2010/03/15 21:22)
[24] 第24話 わたしの王子様(後編)[しゃき](2010/04/19 16:03)
[25] 第25話 身体検査でいちいち妙な妄想をするな[しゃき](2010/03/17 14:57)
[26] 第26話 人を陥れようとする奴はしっぺ返しを受けるはず[しゃき](2010/03/17 20:50)
[27] 第27話 裸の付き合いもほどほどに[しゃき](2010/03/18 15:25)
[28] 第28話 彼女が彼に抱く感情は恋愛ではなく親愛である[しゃき](2010/03/31 17:41)
[29] 第29話 そんな敵の倒し方があっていいのか[しゃき](2010/03/19 18:23)
[30] 第30話 祈る存在は選んだ方が良いと思う[しゃき](2010/03/20 13:02)
[31] 第31話 さらば擬似的シスター!兄の愛は永遠に!(誇張アリ)[しゃき](2010/03/20 12:59)
[32] 第32話 溢れ出る食欲に抗う事は出来ない[しゃき](2010/03/20 19:35)
[33] 第33話 テンションが上がりすぎると言葉が乱暴になる[しゃき](2010/03/25 13:12)
[34] 第34話 そんな子守唄があってたまるか[しゃき](2010/03/21 13:26)
[35] 第35話 戦争は頭を潰せば大打撃[しゃき](2010/03/22 01:51)
[36] 第36話 つまり私は伝説の女[しゃき](2010/03/23 13:20)
[37] 第37話 俺は君の友達なんかじゃない[しゃき](2010/03/23 12:55)
[38] 第38話 何でお前が其処にいるんだ(タルブの村より)[しゃき](2010/03/23 13:46)
[39] 第39話 何より強きは母の愛[しゃき](2010/03/23 16:31)
[40] 第40話 誰も気づかぬ偉業、自分たちも知らぬ偉業[しゃき](2010/03/24 08:05)
[41] 第41話 ただし聞くだけだ。受けるとは言っていない。[しゃき](2010/03/24 12:40)
[42] 第42話 堅実と特殊能力が合わさって最強に見える[しゃき](2010/03/24 21:33)
[43] 第43話 私はそんな軽い女じゃないわよ[しゃき](2010/03/25 13:14)
[44] 第44話 美女は好きだが愛する女はただ一人[しゃき](2010/03/25 17:17)
[45] 第45話 勇気の幻影[しゃき](2010/03/25 23:05)
[46] 第46話 性格だけは良い男[しゃき](2010/03/26 14:38)
[47] 第47話 雨上がりの虹[しゃき](2010/03/26 20:32)
[48] 第48話 存在自体が武器であるお方[しゃき](2010/03/27 12:34)
[49] 第49話 答えは聞いてないんじゃなくて聞けない[しゃき](2010/03/27 17:57)
[50] 第50話 暗闇を彷徨う男[しゃき](2010/03/28 00:36)
[51] 第51話 アンタの私怨に巻き込まないでよね[しゃき](2010/03/28 16:55)
[52] 第52話 母から見た成長した娘の姿の理由[しゃき](2010/03/29 00:15)
[53] 第53話 娘が男を連れてきた日[しゃき](2010/03/29 13:29)
[54] 第54話 手段を選んでいる場合じゃない[しゃき](2010/03/30 17:28)
[55] 第55話 夏休み中なので逃げたところで追われます[しゃき](2010/03/30 22:52)
[56] 第56話 パンがなければ作れ。材料がなければ作れ。[しゃき](2010/03/31 14:34)
[57] 第57話 地球外生命体とバッタと餡パン[しゃき](2010/04/04 15:08)
[58] 第58話 勝利の絶対条件[しゃき](2010/04/15 00:30)
[59] 第59話 生徒に手を出す者は等しく許さん[しゃき](2010/04/15 17:11)
[60] 第60話 騎士でしょう?貴女は[しゃき](2010/04/17 17:07)
[61] 第61話 どんだけ心の広い神様だよ[しゃき](2010/04/18 16:28)
[62] 第62話 クリスマスを一人で過ごすのは寂しいのよ[しゃき](2010/04/19 08:58)
[63] 第63話 頭脳労働派の中年女性をを舐めるなよ[しゃき](2010/04/19 12:21)
[64] 第64話 サウスゴータの悪魔[しゃき](2010/04/19 22:36)
[65] 第65話 ルイズさんが110回目にして使い魔を召喚できませんでした[しゃき](2010/04/20 13:22)
[66] 第66話 空白の間のとあるお話(完全版)[しゃき](2010/04/21 08:47)
[67] 第67話 孤児は孤児を呼ぶ[しゃき](2010/04/21 13:05)
[68] 第68話 悪夢の捜索隊追加[しゃき](2010/04/22 10:42)
[69] 第69話 伝説の遭遇と再会[しゃき](2010/04/22 17:55)
[70] 第70話 本当はここにいて欲しいよ[しゃき](2010/04/23 16:30)
[71] 第71話 まさかの左遷通告[しゃき](2010/06/09 15:48)
[72] 第72話 話は聞かせてもらった!この領地は滅亡する![しゃき](2010/04/25 01:18)
[73] 第73話 カオスの権化、現る[しゃき](2010/04/25 16:51)
[74] 第74話 憧れの人[しゃき](2010/04/25 22:41)
[75] 第75話 友人だろうと容赦なし[しゃき](2010/04/26 17:12)
[76] 第76話 幼馴染が上級生?いいじゃないか![しゃき](2010/04/27 00:07)
[77] 第77話 冷静に混乱する女[しゃき](2010/04/27 22:21)
[78] 第78話 努力派VS一発逆転派[しゃき](2010/04/27 22:35)
[79] 第79話 とてつもない修学旅行[しゃき](2010/04/28 15:30)
[80] 第80話 減っていく救出隊[しゃき](2010/04/28 23:12)
[81] 第81話 お前のような歌姫がいるか【注意!ややグロかも!】[しゃき](2010/04/30 01:14)
[82] 第82話 古城に響く俺達の歌[しゃき](2010/04/30 01:18)
[83] 第83話 やりすぎ!カリンちゃん![しゃき](2010/04/30 22:20)
[84] 第84話 真心喫茶[しゃき](2010/04/30 23:21)
[85] 第85話 クローンの襲撃【お食事中の方はご注意下さい】[しゃき](2010/05/01 17:07)
[86] 第86話 狐の嫁入り(修正あり)[しゃき](2010/05/02 18:47)
[87] 第87話 今日も因幡家は平和です(追加あり)[しゃき](2010/05/02 12:49)
[88] 第88話 その子がアンタの想い人だと言うの[しゃき](2010/05/02 21:00)
[89] 第89話 飲酒は二十歳になってから[しゃき](2010/05/05 20:03)
[90] 第90話 気合で解決するほど世の中甘くない[しゃき](2010/05/10 16:56)
[91] 第91話 腹が減っては何も出来ぬ[しゃき](2010/05/10 17:05)
[92] 第92話 大事な事なので二回言いました[しゃき](2010/05/10 22:41)
[93] 第93話 魔法媒体の天敵[しゃき](2010/05/11 17:24)
[94] 第94話 フーケさんとワルド君[しゃき](2010/05/13 17:03)
[95] 第95話 喧嘩は一対一でやろう(前編)[しゃき](2010/05/13 16:52)
[96] 第96話 喧嘩は一対一でやろう(後編)[しゃき](2010/07/01 01:06)
[97] 第97話 変態という名の紳士達[しゃき](2010/05/13 23:46)
[98] 第98話 プロジェクトZ~愚かな挑戦者たち~[しゃき](2010/05/14 18:10)
[99] 第99話 彼女は息抜きのためなら死ねるそうだ[しゃき](2010/05/14 18:11)
[100] 第100話 それはアンタの未来であり、私たちの過去だ[しゃき](2010/05/15 01:16)
[101] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「紳士たちの社交場」[しゃき](2010/03/17 02:13)
[102] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「続・紳士たちの社交場」[しゃき](2010/03/18 19:04)
[103] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「真心喫茶109」[しゃき](2010/04/22 23:28)
[104] 予告篇?【ネタ】 世界の扉の向こう側[しゃき](2010/04/12 17:11)
[105] とりあえずの技能のまとめ(102話まで)[しゃき](2010/06/11 15:40)
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[16875] 第69話 伝説の遭遇と再会
Name: しゃき◆d1ebbc20 ID:1ddacfd7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/22 17:55
ルイズ達は、一週間ほどかけて、アルビオンに到着した。
港町ロサイスは戦後だけあって、大変な混雑だった。
宿も一つも空いてはおらず、ルイズ達は野宿をしつつ、達也が戦ったはずの丘に到着した。
その丘には、戦場だった面影はないが、こんな情勢に観光している者がちらほら見受けられた。
こんな何もない場所に何の観光をしているのか?
シエスタが観光者に尋ねてみると、

「この丘は『悪魔』が降臨して、アルビオン軍を殲滅した場所らしいですよ」

『サウスゴータの悪魔』。
ルイズたちは知る由もないが、戦後アルビオンに滞在している者でこの名前を聞かない者はいなかった。
この悪魔はたった一人でアルビオン軍七万を壊滅状態に追いやったという。
その悪魔が降り立ったのがこの丘であると言うのだ。

「正直、悪魔なのはアルビオンの共和制支持者だけですけどね。まあ、一人で七万を壊滅させるなんて伝説級の活躍ですよ。それがつい最近の出来事だって言うんですから、我々は歴史の目撃者になってるんですよ!」

観光者は興奮したように息巻いて言う。
悪魔の容姿は諸説ある。
だが、共通していたのは3つ。

1・剣を持っていた。
2・マントを羽織っていた。
3・黒い髪だった。

ルイズ達はその悪魔は間違いない、アイツだと思った。

「・・・何、ちゃっかり大層な二つ名を頂いてるのよ!?羨ましい!」

ルイズは心底悔しそうだ。
悪魔!悪魔ですって!?何か強そうじゃないの!
その悪魔の主の私は悪魔を使役できるほどのメイジと言うことね!
悪魔を使い魔とする伝説の魔法を使うことのできる私。

「ぐふふふふ・・・正に伝説の女ね」

「伝説になってるのはアンタの使い魔のタツヤだけじゃない」

「その伝説の使い魔を使役する私はまさしく伝説のメイジと呼ばれても可笑しくないわ!」

「ということはその伝説の男の友人の僕は伝説の友人と呼ばれても可笑しくないね」

「ということはその伝説の方になったタツヤさんの食事を提供したこともある私は伝説のメイドなんですね!」

「伝説のばら撒きね。何そのテンション?」

キュルケは呆れつつも周りを見回す。
見たところ村のようなものは見えない。しかし、丘の近くには森がある。
森の一角には小道があった。小道は馬車が通れるほどは広くはないが、人の行き来はあるらしく、割としっかりと踏み固められているように見える。

「この先には人が住んでるのかしら?」

「そのようですね、人の生活の香りがします」

キュルケの疑問にシエスタが答える。
平民のシエスタにとって、村特有の生活の臭いや雰囲気を嗅ぎ取るのは得意なのだ。
近くに村があるということで、ルイズたちは休憩するために森の中に入っていった。



此処に来てもうどのくらい経っただろう。
2週間以上はもうここにいるんじゃないのか?
ここにいると、自分が少し前まで血で血を洗うような世界にいたとは思えない。
穏やかな時間と平和な時間が流れていく。
たまに野生の幻獣が迷い込んできたり、盗賊が現れたりするが、丁重にお帰りいただいている。
彼が言ったとおり、この村は完全に安全だと言うわけではないようだ。
孤児たちの村を脅かす者たちは許す気はない。
自分が何かを護っているという実感、感謝されているという実感がする。
子供たちの感謝の言葉を聞くと、何か満たされていくような感覚を覚える。
子供たちの笑顔を見ると、充実感が広がる。
自分が彼らの未来を護っているという自信が出てくる。
自分がこの村を護っているという自負も生まれた。

「あちち・・・」

こうしてお手製のシチューを皆に振舞うのも、彼らの未来を作る礎になっているはずだ。
自分の料理を食べてくれる人がいるというのがこんなに喜ばしいこととはつい最近までは夢にまで思っていなかった。
そう思うと自分はどれだけ孤独に過ごしていたんだと笑ってしまう。
それはそうと今の味見で舌を少し火傷してしまったかもしれない。
子供たちの為に少し冷ましてやらないといけないな。
鍋の中のシチューをかき混ぜながら、彼女は子供たちの事を想う。

「ティファニアー、食器を用意してくれないかー?」

「はーい」

返事をして食器を用意し始めるエルフと人間のハーフの少女、ティファニア。
彼女がこの村の責任者と思ったが、彼女も孤児らしく、この村は彼女の昔の知り合いの送ってくるお金で生活を送っているらしい。
その親切な人が誰なのかは知らないが、立派な方もいる。
アルビオンが連合軍のトリステインとゲルマニア、そしてガリアの三国で土地を分け合うだろうから、この村をトリステインが貰って、国が支援してもらえないだろうか?
そうなればもっと楽になるのでは・・・と思うが余計なお世話だろうか?

「・・・うん、上出来だな」

シチューを一掬いし、味見をしたら、幸せな味が体中に染み渡る。
具材の大きさは少し無骨だが、食べる分には全く問題ない。味もいい。
これなら彼も、子供たちも満足するはずだ。
そう思うと自然に表情が優しくなる気がした。

シチューをティファニアが用意した皿に注ぎわける。
その際、彼の皿は少し多めに注いでやる。
彼は何時もよく食べる。それこそ見ていて気持ちがよくなるほどだった。
彼女はシチューを作ることは本来出来なかったが、そのシチューの作り方を教えてくれたのが彼だった。
彼は自分達が知らない料理を披露し、食べさせる。
そのどれもが美味しい。

『まあ、本来はパンと一緒に食べるもんじゃないから、味付けは少し変えてるけどさ』

彼の焼くパンは温かい。
ふんわりもっちりとした感触が素晴らしい。
彼が焼いたパンは子供たちには大人気だ。
だと言うのに、彼はまだ店を構える腕ではないと言う。

『店を構える為にはもっと腕を磨かなきゃな。あと看板娘も欲しいですし』

看板娘はともかく、パン屋を構えるにはもっと腕を磨かなければいけないのか・・・
目標に向かって精進する人間は強い。
彼は強くなるために鍛錬した後、店を構える為の勉強もしている。

『ここは環境的にいいなぁ』

彼もこの村でのびのび暮らしている。
そろそろ彼らがお腹をすかせている頃だろう。

頭に布を巻き、白いエプロンに身を包んだ姿のアニエスは、夕食の用意が出来た旨を大声で伝えた。
子供たちの元気な声が近づいてくるのを感じ、彼女は顔を綻ばせるのだった。

「・・・いや、うん、もはや何も言うまい・・・」

居間の壁に立てかけられた喋る剣、デルフリンガーは、そんなアニエスの幸せそうな様子を見て、突っ込もうにも突っ込めずに困っていた。


「お兄ちゃん」

食事中に子供たちのうちの一人である少女のエマが俺に話しかけてきた。

「なんだ?エマ。お前の方から話しかけてくるなんて珍しいね、どうしたんだい?」

「あのね、今日、わたしね、森にきのこを採りに行っていたんだけど、そこで『この辺りで、黒い髪の男の子を見なかった?』って聞かれたの」

「・・・誰からだい?」

「えっとね、桃色の髪の女の人と、黒い髪の女の人と、金髪の男の人と、赤い髪の綺麗な女の人ー。桃色の髪の人は、黒い髪の人を『しえすた』って呼んでたの」

「・・・それで、エマ。その人たちは?」

「わかんない。ちょっとこわくなって逃げちゃったから・・・」

「そうか、ありがとうな」

俺はエマの頭を撫でて礼を言う。
そしてアニエスのシチューを全て食べて、食器を片付けた。
その後、デルフリンガーを持って、顔を洗ってくると言って、外に出た。
村と言うか集落に近いウエストウッドの村の入り口付近に四人組の姿があった。

ルイズたちは、ようやくウエストウッド村に到着した。
先程声を掛けた少女を見失いしばらく森を歩いていたのだが、家の灯りが見えたので、それを頼りに此処まで来た。

「開拓村ですかね・・・造られてそれ程時間は経ってないように見えませんが・・・」

「村と言うより集落ね。家が数えるほどしか見えないわ」

「もう、陽も落ちた。人がいればいいんだが・・・」

「誰かいないかしら・・・?」

四人が周囲を見回すが、人影はない。
村の中の家も一軒だけ灯りが付いているだけだ。
静かで穏やかな集落だ、とルイズは思った。

「とにかく、灯りが付いている家を訪ねない?」

キュルケの提案に頷く一行。
その時、なんとも都合よく、その家のドアが開き、中から人影が現れた。
丁度いい、あの人に宿の許可を・・・
ルイズたちが人影に近づこうとした時だった。

「・・・ん?」

ギーシュが何かに気付いた。

「え?」

「あ・・・」

直後、キュルケとシエスタも何かに気付き、固まった。
ルイズは目を細めて人影を見た。
ルイズはすぐに目を見開いた。

人影はルイズたちに近づいてくる。
薄暗くてもハッキリ見えるようになった。




「た、タツヤ・・・?」

「おう、ようこそ、ウエストウッド村へ。歓迎するぜ、皆」

「な、ななな、ななな・・・」

「おい、どうしたルイズ。戦争のショックで『な』しか言葉が出ないのか?」

「そんな訳ないでしょう!?何でアンタがここにいるのよ!?」

「タツヤ!生きていたか、こいつめ!」

「タツヤしゃん、よかったですぅ~・・・えぐっ、ひくっ」

「信じてアルビオンまで来た甲斐があったわね・・・生きてて良かった・・・」

「ほ、本当、生きてて、それも、ひっく、大きな怪我も、何もなくて、えうっ、無事で、うぐっ、ふえ~~ん!」

ルイズの緊張の糸が今、ぶつんと切れた。
ルイズだけでなく、シエスタもつられて泣き出し、キュルケも目元を頻繁に拭っている。
ギーシュだけは満面の笑顔である。

「おお・・・、そういう反応をされると俺はどうして良いのか分からんな・・・よし、ギーシュ、面白い事を言ってこの場を爆笑の渦にしろ」

「何その無茶振り!?」

「タツヤ・・・知り合い・・・?」

俺の背後から、ティファニアがおずおずと出てきて、俺の後ろに隠れた。
・・・隠れるなら無理しなくていいのに・・・
このエルフの娘も、随分と俺に心を開いてくれた。
俺がアルビオンを去るときは、彼女は俺の記憶を消すつもりだったらしいが、彼女は俺には此処の日々を覚えておいてもらいたいとして、記憶を消すつもりはないらしい。多分アニエスにも同じような事を言っていると思う。

『タツヤ・・・お友だちになってくれる?わたしのはじめてのお友だちに・・・』

『何言ってんだよ。もう友達だろ?』

『・・・うん・・・そうだね。ありがとう、タツヤ』

種族なんて友情には関係はない。
何でお前はエルフと仲良くしてるんだと言われれば、友達だからといえばOKなのだ。


ルイズ達は、達也のこの村での知り合いらしい少女のある一部分を見て、様々な反応を見せた。

まず唯一の男性、ギーシュは彼女の凶悪な最終兵器を暫く見ると、急に前屈みになって、

「失礼」

といって物陰に消えていった。

続いてキュルケは、

「負けた・・・!測るまでもなく負けた・・・!!」

と、ガクッと膝をついた。

更にシエスタは、

「胸の大きさが戦力の決定的差ではありません。肝心なのは家事が出来るかです!ですよね、達也さん」

「ああ、テファは家事はかなり出来るし、料理も上手いぞ」

「馬鹿な・・・・!!」

と、よろめいた。

そして真打の登場である。

「その胸部に付いてるそれは一体なんですか?」

「見れば分かるだろう。というか何故敬語になってんだお前」

「分からない。全然分かりません。私の胸部にはそのような武装は装備されていません。私の知らない武器でも内蔵されているのでしょうか?」

ルイズの目は単色だが、恐怖は感じない。
むしろ、何かに怯えているようだ。

「言え!達也!それは本物なの!?それは取り外し可能なただの武装だって言え!」

「お前の願望は尊重したいが、世の中には信じられない事実もある。取り外しは・・・出来ないと思います」

ルイズの表情が絶望一色になった。
本当にコロコロ表情を変える娘である。
ルイズは大ダメージを受けながら、その最終兵器から目を離し、テファの腰周りを見た。
テファの腰周りはキュッとしまっており、お尻に至っては完全な安産型。
擬音で言えばボンキュボンではなく、ドーン!キュボン!という感じだ。

「うう、うう・・・うわああああああああああああああああ!!!!」

ルイズは地面に倒れ、拳で地面を叩き付けた。
奇声を上げながらじたばた暴れている。
無様でならなかった。見ていられません。

「ふぅ・・・タツヤ・・・上には上がいるものなんだね・・・キュルケ以上の戦闘力を持つ者がいたなんて・・・」

何だか妙にスッキリした表情でギーシュが言う。
近寄るな馬鹿者。友人を汚すな。モンモンに言いつけるぞ。
我が友の最低の行為に対する罰は彼女に任せよう。
・・・それより今は、テファの奇乳に対して女性としての自信を勝手に破壊されたこの三人をどうにかしたい。

「だ、だが・・・男性経験は・・・私の方が上のはず・・・、あ、でも男は何だかんだで経験がないほうが好きだと言うし・・・」

お前は何故落ち込むんだ?

「そんな・・・!こんな私の田舎より田舎の場所で、私の上位互換のような存在がいただなんて・・・!私はいらない子なんですかタツヤさん!?メイド服をその人が着たらいよいよ私の存在価値ないじゃないですか!?」

シエスタ、君にはまだそばかすという砦があるじゃないか。

「あー・・・なんだろう・・・?光がぱぁーーって広がってる・・・『爆発』かしら・・・いや、『爆発』はもっと一瞬だものね・・・」

「お前はさっさと戻って来い!?」

こいつらを正気に戻したのはそれから一時間後だった。
恐るべきはテファの奇乳だが、その一時間の間ずっとそのね、凶器がね、俺の背中に当たってたわけよ。
正直怖がり過ぎだろう。こいつらはいい奴なんだぜ。多分。

「テファ」

俺は怯えるテファに声を掛けた。

「大丈夫さ、こいつらは俺の友達だ。お前の友達にも・・・なれるよ」

「うん」

「そういう訳だから、さっさと現実に回帰しろお前ら!?ギーシュはさっきから何回物陰に行ってやがる!」

「逝ったのは3回だ!」

「回数を聞いてるんじゃねえ!?モンモンに殺されろてめえ!?」

ギーシュは一仕事やり終えたような表情である。
健康な男ぶりで大変気持ち悪い。場所を弁えろよ!?

「タツヤ、今までの私の愛は真実の愛じゃなかったということで許して!」

「キュルケ、お前は一体何を言ってるんだ?」

「こ、こうなったら、メイド服という固定概念を打ち払い、メイド服の下は全裸というぐらいしないと生き残れない・・・!!」

「シエスタ、安易なイメージ変更は、身を滅ぼすぞ」

「このルイズ・フランソワーズが、不自然な巨乳を粛清してやるわ!タツヤ!」

「ルイズ!そりゃエゴだよ!食ってかかろうとするな!」

「よこせ!その大きい奴の一欠けらでもいい!ワタシニヨコセー!!」

「何かに憑かれてんじゃねえー!?」


夜だと言うのに騒がしすぎる奴らだ。
だが、この空気が凄く懐かしい。
俺は四人を落ち着かせると、彼らを休ませるために、テファの許可を得て、彼女の家に案内した。




その頃のアニエスは、子供たちを寝かしつけていたのだった。





(続く


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