メンヌヴィルの敗北を目の当たりにした彼の部下たちは動揺した。突入すれば簡単な任務だったはず。それが何だこの状況は。こちらの主力の3名は敗北し、向こうも銃士隊が被害を受けているものの、あの3人のメイジが化け物過ぎる。食堂に立てこもったメイジたちは、銃士隊や復帰したキュルケやタバサたちによって次々と倒されていった。その中には勿論アニエスもいた。彼女は一人のメイジに剣を突き立てる。「何!?」「死なばもろとも・・・!!」どうやらメイジは魔法でアニエスの剣を抜けなくしたようだ。アニエスに決定的な隙が出来る。一人のメイジがその隙を逃さず、彼女に向けて呪文を飛ばした。「しまっ・・・!!」何本ものマジックアローが彼女に襲い掛かる。キュルケもタバサも、他の銃士隊も反応が遅れた。アニエスも反応できない。だが、アニエスは、突如出現した土の壁によって守られ、魔法の矢は疾風によって軌道を逸らされた。「大丈夫ですか?」「やれやれ、剣を離して避ければ良かったじゃないですか」シュヴルーズとギトーが、魔法によって、アニエスの危機を救った。マジックアローを放ったメイジは次の詠唱に入ろうとしたが・・・ふと、背後に気配を感じたので振り返った。それと同時に頭に強い衝撃を受け意識が暗転した。「椅子攻撃なんて悪役レスラーみたいだけど・・・効いたみたいだな」達也が椅子を片手に倒れるメイジを見て言った。それを見たアニエスは何で彼がここにいるのかという疑問で呆けてしまうのだった。「終わったようだね」食堂に戻ってきたコルベールが言う。その表情は優れない。「いえ、まだタツヤ君が気絶させたメイジに対する楽しい楽しい尋問があります。それが済んで後、この事件は一段落ですね」「拷問するんですか?」「タツヤ君、世の中にはまだ知らなくていい事もあるんですよ」「嬉しそうに拷問宣言する教師がいるか!?」「あはは、ここにいるじゃないですか」ギトーの惚けた様子にがっくりと肩を落とす達也。それを見たアニエスの表情は綻んだが、すぐに我に返り、コルベールに剣を突きつけた。コルベールは表情を変えず、アニエスを見つめた。室内がアニエスの行動にざわつくが、ギトーとタバサとオスマン氏は黙って見ていた。「貴様が魔法研究所実験小隊の隊長だったのか。探したぞ」「よく分からないけど、感動の再会と言うわけじゃなさそうですね」「タツヤ君、ここは黙って様子を見るところですよ」ギトーの言葉に俺は唸って様子を見ることにした。アニエスの様子は怒りに溢れた様子である。「私はダングルテールの生き残りだ」「・・・そうか」「何故我が故郷を滅ぼした?答えろ」「・・・命令だった」コルベールは少し暗い表情になって言った。「命令だと?」「・・・疫病が発生し、被害を拡大させない為にと告げられた。だから仕方なく焼いた。だが、後になってそれは新教徒狩りの方便だと知らされた。その事実は我々の部隊が事実上解散にまで追い込まれる事になった。正しいと思っていたことが覆された気分だったからな。私を含め、軍を辞めた者も何人もいた。今でもずっと罪の意識を背負って私は生きている。背負ったからと言って、あの日の事が消えるわけでも、死んだ人々が戻ってくるわけではない」「死ぬ事は考えなかったのか」「それこそ馬鹿なことだよ銃士隊隊長殿。死ぬ事は簡単だからな。私が死んで君の気が晴れるならそれでいいかもしれんがな」「ならば・・・」アニエスは殺気を俺にも分かる位発生させていた。「だが、私は教師でね」「何?」「生徒達には私のような破壊だけの魔法を扱って欲しくはない。私も今は破壊ではなく『創造』の炎を使うと心掛けているがね。その精神を語り継いで生きたいのだ。それが私が犯した過去の罪に対する贖罪であり、未来を創造する灯火となると信じている」「貴様のご高説は立派かもしれんが、私はこの日のために生きてきた。二十年も、二十年も犠牲にしてようやくこの日が来たのだ」「復讐心で私を斬るのは良いだろう。君には私を殺す資格はある。それだけの罪を犯したのだからな」「しかしミスタ・コルベール、今貴方に死なれては困りますねえ」ギトーが口を挟んだ。アニエスが睨むようにギトーを見る。「宴会場を提供する方がいなくなるのは困ります。そういった意味では死なれては困ります」「ミスタ・コルベール。ワシは一度でいいから君の髪が完全に失われた姿が見たい」「せめてフサフサになった姿が見たいと言ってください、オールド・オスマン!?」「先生」俺はオスマン氏にからかわれるコルベールに声を掛けた。「まだ、貴方は俺たちが作った風呂に入ってないじゃないですか。それに貴方が死んだら紫電改は誰が改造するんです?」「・・・そうだったね」「ミスタ・コルベール、今の君は我が学院が誇る一流の教師じゃ。ワシの許可なく死ぬことは許さんし、万一彼女の手にかかって死ぬことがあれば、いかなる事情があろうとワシらの知った事ではない。その瞬間我々は王室に反旗を翻す。大事な教師を復讐心で殺されるなど、教育上にも悪いからのぉ」「剣を収めなさい、銃士隊隊長殿。幾ら貴女が女王直属の銃士隊隊長でも、生徒に悪影響を与える行動は慎むべきですよ」アニエスは復讐の矛先を収められず泣きそうな表情になっていた。どうしてお前たちはこの男を庇い立てするんだ。お前たちは私の敵なのか?この男は私の故郷を奪ったんだぞ?何故お前たちはこの男を生かそうとするんだ?殺させろ、私に殺させてくれ。そうしないと私は一体何のために生きてきたかわからないじゃないか。私の悲願なんだ、お願いだ、この男が生きているのが許せないんだ。最大の好機なんだぞ、アニエス。今やらなきゃ・・・!!いつ仇を討てるのか・・・!!「納得いかないという様子ですね。やれやれ」納得なんてできない。出来はしない。目の前には捜し求めた存在がいるのだ。今にも斬りかかりたい。せめて一太刀は・・・!!アニエスが暴走しかけ、その手に持った剣を動かそうとしたその瞬間だった。アニエスの剣を持った手を握るものがいた。「どうしても先生を斬るというのなら、俺が相手になるよ、アニエスさん」今までずっとコルベールに集中していた為、アニエスは達也の挙動を見ていなかった。自分はこんな状態で復讐をしようとしていたのか?「・・・お前は・・・また私の復讐の・・・邪魔をするのか・・・?」「復讐をするのは勝手だけど、その後どうするのさ?」「え?」アニエスは冷や水をかけられる所か、冷や水の入った風呂に蹴り入れられる気分になった。国に反旗を翻していたリッシュモンは殺しても大義名分が立つのだが、現在教師であるコルベールを殺せば、自分の気は晴れるかもしれないが、よくよく考えると今より更にお先が真っ暗になる可能性がある。いや、間違いなくなるだろう。コルベールは別に国に反旗を翻していない。あのダングルテールも命令に従っただけである。それも上の虚偽の情報を信じただけである。異教徒狩りなどではなく、疫病を食い止めるための措置をしていただけである。自分は騙されていたと知って、この男は軍を辞め、毎日罪の意識に苦しみつつも、教師としての責務を果たしている。責められるべきは異教徒狩りを推進していた当時のロマリアである。現在のロマリアはその事件を計画した者たちを罰したではないか。・・・まあ、リッシュモンはそれからは逃れられていたが、彼も現在投獄中だ。よくよく考えてみれば、自分の行為は完全に私怨であり、普通に咎められる行為ではないのか?アニエスはリッシュモンの一件で、完全にコルベールも殺して良い者だと勘違いしていたが、コルベール自体は公式的に何の罪にも問われていない。何の罪にも問われていないのに軍を辞めたのだ。そこをオスマン氏に拾われているのだが。コルベールはコルベールで、罪を償う為に教師として未来をつくる生徒を輩出するため教鞭を執っているのだ。そして彼自身も破壊の炎から創造の炎として日夜発明に勤しんでいる。この学院で一番働いているのは実はコルベールなのだ。アニエスがコルベールを殺した場合、適当な罪状をでっち上げることもできるだろうが、そうすればオスマン氏などが黙っていないだろう。別に俺はアニエスの復讐を否定する気は全くないのだが、この人は復讐した後どうする気だったのだろう。アニエスは黙り込んだままである。考えてなかったのかよ!?「やっと冷静になったようですね。貴女が復讐しても更なる問題が生まれるだけなのですよ。だから復讐は面倒くさいんです」「二十年をこの日のために費やしたと言ったがね、ここで彼を殺せば、それより長い時間を無為に過ごす羽目になると思うぞ。ワシはそのような人物は何人も知っておる。例外など一人もおらんかった。君はまだ若い。完全に許せとは言わんが、復讐という負の気持ちで過ごすより、自分の幸せを見つけるほうが良いと思うがの」「貴女のその剣が復讐だけの為の剣ならば、今すぐその称号を捨てた方がいいと私は思います。騎士でしょう?貴女は」ギトーとオスマン氏とシュヴルーズがアニエスに声を掛ける。その言葉の一つ一つがアニエスの心に沁みていく。周りの銃士隊やキュルケとタバサはその様子を黙ってみている。「二十年を費やした?だからと言ってもう復讐以外にすることがないと誰が決めたのです?」「アニエスさん。俺は貴女の剣は姫と民衆の為に振るう剣であって欲しいよ。銃士隊隊長だろ、アンタ。俺はまだ此処の先生や貴女に比べたら弱い存在で頼りないけどさ、アンタがもしまた復讐の炎に身を焦がされそうになったら、俺たちが水をぶっ掛けてやるからさ。具体的にはそこにいるモンモンか、姫様連れてきて水の魔法ぶっ放す」「何でそこで私が出てくるのよ!?いい話だと感心してたのに!?」「いると便利、水のメイジ」「一家に一つみたいなノリで言うな!?」「モンモン、君の水の癒しの力は傷ついた心を癒してくれるって、ギーシュが」「え、本当?」「言う予定だ」「予定かよ!?言ってないじゃないのよ!」「安心しろ、言わせるように努力するからお前たちの結婚式は俺に演出させろ」「嫌よ!?碌な事にならない気がするわよ!あとモンモンって言うな!」「じゃあモンシー」「じゃあって何だ!?もっと嫌よそれ!?」俺とモンモンの何時も通りの馬鹿な会話に場の空気が和んだ気がする。モンモンもギーシュが出征して寂しそうだったからな。友達の俺たちが構ってやらんとな。「水の魔法をぶっ放されるのか・・・それは嫌だな」アニエスが俺たちを見ながらフッと笑った。そんな彼女の表情を見て、キュルケが何となく危機感を感じたのは関係のない話である。一方、ギトーは、あることに気づいた。「そういえば、タツヤ君。ミス・ヴァリエールはどうするんですか?」「あー・・・一応対策はしてますけど、そろそろ行ってやらないといけないな・・・」「ふむ、私の風竜で送ってもいいのですが・・・現在何処にいるのかが分からないのに迂闊に行くのは危険ですね」「ひとまずタツヤ君、何時でも出かけれるように準備はしておきなさい」上に浮いているオスマン氏がそう言うと、俺は頷き、アニエスをちらりと見て食堂を去ろうとした。結局戦争には行かなきゃならないのね。俺が深い溜息をついていると、久々の謎電波が来た。『戦争を回避したつもりがやっぱり戦争に行かなきゃならなくなりましたね。使い魔たるもの楽をしようとしてはいけません。無銘の剣さんは言っています。「僕を使ってくれて有難う。忘れられてるかと思った(´;ω;`)」・・・もっと使ってあげてください。さて、私の声が聞こえるという事はお待たせしました。『剣術』『格闘』『投擲』『釣り』のレベルがそれぞれ上がっています。単品で新たな技能を習得したのは二つです。『剣術』レベルが一定に達しましたのでついに『前転』のLvがMAXになりました。MAXになりましたのでその効果を言いたいのですが、どう言ったものか困るのです。とりあえず間合いは広いと説明しておきましょう。あれですよ、投げキャラは投げの間合いが広いじゃないですか。あ、分からない?とりあえず回ってみれば分かるけど、むやみやたらと回転すれば、自分にも被害が行きますので注意してね!』何だか要領の得ない説明だ。珍しい。しかも何だか説明に困っているようだ。やっぱり無敵効果はないのか・・・『続いて『投擲』レベルが一定値に達しましたので『ホーミング投石』を習得しました。投げた掌サイズのものが対象に当たるか破壊されるまで追い続けます。あくまで掌サイズ限定ですので、間違えないでください。投げた威力によって命中したときの威力も変わります。弾幕が出来る?と期待しそうですが、それが出来るほどの動きは出来ないだろうと思われます。せめてサーカスレベル』それでも凄いと思います。久々に大当たりの能力の気がする。掌サイズの武器なら手榴弾でもOKだろう。『さて、単品能力は此処までです。ここからは貴方が努力してきて様々な技能を磨いた結果である、複合技術の習得の発表です。『格闘』『投擲』『釣り』の能力が規定値に達しましたので、複合技術『分身移動』を習得しました!技能属性は『格闘』です。効果は分身のいる場所と自分の場所を交替できる・・・と言いたいですが、交替の際、分身は死にます。何でそうなるかはやってみればわかりますが、とにかく分身のいる場所に移動が出来ると考えてください。分身が二体以上いる場合は任意に移動する方を決めれます。あと、分身が死んでいる場合はこの能力は使えません。分身を主の護衛としてる時とかに便利だし、逃亡にも便利だと思われます。でも其処にいる分身は死にます』俺の分身の命はどんだけ軽いものなんだろうか。『移動方法は簡単です。ただ、念じるだけ。『分身の元に移動する』と念じれば即座に移動を開始します』其処まで言って、謎電波は消えた。突然立ち止まった俺に、「タツヤ?どうしたの?」とキュルケが声を掛けてきた。「・・・やってみるか」俺は早速分身移動とやらを試す為に『分身の元に移動する』と念じた。それと同時に浮遊感がして、視界が真っ暗になった。「タツヤ!?」キュルケは突然達也の真下に開いた穴によって達也が落下するのを見て、軽い悲鳴をあげた。が、次の瞬間、食堂の人々は穴から出てきたものに唖然とする。穴から出てきたのは黒塗りの大砲。形はカノン砲っぽい。しかし、達也がこの大砲を見たらこう言う。絶対言う。『某配管工が64で使ったあの大砲じゃん』皆が唖然とする中、大砲はキリキリと動きはじめ、高度や位置の調節を行なっていた。そしていきなり爆音と共に『何か』を発射した。その何かとは言うまでもない。「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」物凄い勢いで発射された達也は悲鳴と共にあっという間に空の彼方に消え去っていった。「タ、タツヤーーーー!!??」キュルケが飛んでいった達也の身を案じて叫ぶ。それ以外の人々はただ唖然としていたが、オスマン氏とギトーだけは爆笑していた。達也をぶっ飛ばした大砲は影も形も無くなっていた。女王陛下直属の女官であるルイズには、専用の天幕が与えられている。ルイズはそこで寝泊りしている。だが、彼女はネグリジェを忘れると言う失態を犯し、マントを羽織ったままで寝ることになった。要するにマントの下は全裸である。「明日は早朝から前線の視察ね・・・何でバリバリの前線に行くのかしら私たち?」「小回りが効くし、逃げ足も速いからだろうな」「まあ、上の方からすれば、これ程使えるモンを後方に置いときたくないんだろうよ」ルイズは溜息をついた。紫電改から降りた後、この達也が分身体であることを聞き、顔面蒼白になった。話を聞けば、達也は戦争には難色を示していたらしいが、ルイズは守らなきゃということで、分身に無茶はするなと言いつけて、自分は学院に残ったという。ルイズは「ふざけんな」と思ったが、結局分身は死なずに、自分を今まで護衛している。だが、何時死ぬのか分からん存在を置いておくのは果てしなく不安である。「おや、ギンヌメール伯爵は此方じゃないのか?」「誰?」透き通るような声が響く。長身、金髪の青年がルイズ達のいる天幕に入ってきた。「こんな夜に女性の天幕に入ってくるなんて失礼な人ね」「誰だお前は」「失礼、ぼくはロマリアの神官のジュリオ・チェザーレ。第三竜騎士中隊に所属している。君たちはミス・ヴァリエールとその使い魔のタッツーヤ君だね」「達也だ、タツヤ」「失礼した。名前を間違えるのは最大の失礼になるからね、ここは謝罪するよ。人間が使い魔なんて珍しいから、一度会いたいと思っていた。それに、ミス・ヴァリエールは噂以上の美しさ、貴女のような美しい方に出会うためにぼくは存在しているから、この偶然に感謝しなければなりませんね」「う、美しい・・・?」そう言われて悪い気はしないルイズ。達也の分身は黙ってその様子を見ている。特に止める様子はない。ジュリオはルイズの手に口付けるも、当のルイズは「いけない人ね」と照れながらも口付けを許してしまっている。ジュリオはトンでもない美形なので、ルイズも悪い気はしないのだ。「神官が女性に触れていいのか?」「参戦するために一時的に還俗の許可を教皇からいただいている。まこと神は慈悲深いよ」「都合のいい神様だな・・・」「ミス・ヴァリエール、今日お会いできた事は大変光栄です。再びお目にかかれる、そのときを楽しみにしております」ジュリオは隙のない気障っぽさで一礼し、天幕を出て行った。ルイズはその様子をぽや~~~っとした様子で見送っていた。「・・・ああやって、女の心を奪っていくんだ。小僧もあの姿勢は覚えておくべきだぜ」「それは俺に言わず、学院にいる本体に言え」「違えねえな。あ~あ、どうしてるんだろうな、小僧は」喋る剣がそう言ったその時だった。達也の分身の真上から、その本体の達也が降って来た。「どわあああああああああ!??」「ぎゃああああああ!!!?」達也が達也の分身に凄い勢いで飛び蹴りをブチかまし、達也たちは天幕の外にそのまま出て行った。本体の達也は入り口で止まり、全く持って無傷だったが、分身は即死だった。ルイズは一瞬で正気に戻り、達也たちの様子を見るため、天幕を出た。「タツヤ!?」本体のほうの達也は起き上がり、喋る剣を拾って、ルイズの方を見て言った。「どうよ、ルイズ。二刀流」「何やってんのよアンタはーー!?」無銘の剣と喋る剣を掲げ喜ぶ俺に、ルイズは怒鳴る。「文字通り、お前を守る為に飛んできました」「このサボり野郎!何、分身に任せようとしてたのよ!」「いや、むしろ学院に分身を残さなくて良かった。落ち着いて聞けよ?学院が襲撃された」「え!?嘘!?」「本当だ。で、襲撃した奴らの中にフーケとワルドがいた」ルイズは忘れられない名前を其処で聞いて戦慄した。「み、皆は!?皆はどうなったの?」「無事さ。先生たちが頑張ってくれたからな」「おう、小僧、俺を置いて楽しそうなことやってたみてえじゃないか」「何が楽しいもんかよ。胸糞悪い顔を見て嫌な気分さ」「所で小僧、先程面白いのが見れたんだが」「何だ?またルイズが悶え苦しんでたのか?」「アンタは私をどういう目で見てんのよ」「今は痴女だな」「え?」ルイズは今の自分の格好を確認する。ルイズの装備、マント。以上。「う、う、う、ウギャアアアアアアアアアア!????」穴の開いた天幕に少女の絶叫が響いた。(続く)