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No.16875の一覧
[0] ルイズさんが109回目にして平民を召喚しました (オリ主)[しゃき](2011/02/28 21:49)
[1] 第1話 使い魔などという意味不明な供述[しゃき](2010/04/26 20:50)
[2] 第2話 文化の違いは恐ろしい[しゃき](2010/04/26 20:53)
[3] 第3話 嘘は言っていません。誇張はあります。[しゃき](2010/04/26 20:56)
[4] 第4話 郷に入っては郷に従えと言われても限界はある[しゃき](2010/04/26 21:00)
[5] 第5話 『ゼロ』ではないという希望[しゃき](2010/03/15 13:15)
[6] 第6話 男の友情も案外脆いがすぐ修復する[しゃき](2010/04/26 21:02)
[7] 第7話 紳士(おとこ)は女性の涙に弱いのではなく、女性の笑顔に弱い[しゃき](2010/04/26 21:03)
[8] 第8話 男の夢が24時間営業とは限らない[しゃき](2010/04/26 21:08)
[9] 第9話 だから貴方は独身貴族[しゃき](2010/04/26 21:15)
[10] 第10話 君は僕にやや似ている[しゃき](2010/04/26 21:17)
[11] 第11話 空気を読み違えると大抵碌な事にならない[しゃき](2010/04/26 21:21)
[12] 第12話 意外と後ろに人が近づいてきても気づかない事はある[しゃき](2010/04/26 21:25)
[13] 第13話 一方的な勧誘にははっきりNoと言え[しゃき](2010/04/26 21:28)
[14] 第14話 分かりやすい虚飾は気の毒になるのでやめてくれ[しゃき](2010/03/10 21:53)
[15] 第15話 ストレスを発散するときの力加減は難しい[しゃき](2010/04/26 21:29)
[16] 第16話 友達友達ってしつこく言わなくてもいいんだよォ!![しゃき](2010/03/11 23:15)
[17] 第17話 いちゃつくのは勝手だが場所を選べ[しゃき](2010/03/13 00:32)
[18] 第18話 自分の言葉にはある程度責任は持て[しゃき](2010/03/13 23:43)
[19] 第19話 ラッキーヒットが一番怖い[しゃき](2010/03/15 19:43)
[20] 第20話 軽々しくおばさん呼ばわりするとブーメランで帰ってくる[しゃき](2010/03/15 00:13)
[21] 第21話 ここにもフラグを掴み損ねた漢がまた一人・・・[しゃき](2010/03/15 20:00)
[22] 第22話 未練がない人生なんてない[しゃき](2010/03/15 15:36)
[23] 第23話 わたしの王子様(前編)[しゃき](2010/03/15 21:22)
[24] 第24話 わたしの王子様(後編)[しゃき](2010/04/19 16:03)
[25] 第25話 身体検査でいちいち妙な妄想をするな[しゃき](2010/03/17 14:57)
[26] 第26話 人を陥れようとする奴はしっぺ返しを受けるはず[しゃき](2010/03/17 20:50)
[27] 第27話 裸の付き合いもほどほどに[しゃき](2010/03/18 15:25)
[28] 第28話 彼女が彼に抱く感情は恋愛ではなく親愛である[しゃき](2010/03/31 17:41)
[29] 第29話 そんな敵の倒し方があっていいのか[しゃき](2010/03/19 18:23)
[30] 第30話 祈る存在は選んだ方が良いと思う[しゃき](2010/03/20 13:02)
[31] 第31話 さらば擬似的シスター!兄の愛は永遠に!(誇張アリ)[しゃき](2010/03/20 12:59)
[32] 第32話 溢れ出る食欲に抗う事は出来ない[しゃき](2010/03/20 19:35)
[33] 第33話 テンションが上がりすぎると言葉が乱暴になる[しゃき](2010/03/25 13:12)
[34] 第34話 そんな子守唄があってたまるか[しゃき](2010/03/21 13:26)
[35] 第35話 戦争は頭を潰せば大打撃[しゃき](2010/03/22 01:51)
[36] 第36話 つまり私は伝説の女[しゃき](2010/03/23 13:20)
[37] 第37話 俺は君の友達なんかじゃない[しゃき](2010/03/23 12:55)
[38] 第38話 何でお前が其処にいるんだ(タルブの村より)[しゃき](2010/03/23 13:46)
[39] 第39話 何より強きは母の愛[しゃき](2010/03/23 16:31)
[40] 第40話 誰も気づかぬ偉業、自分たちも知らぬ偉業[しゃき](2010/03/24 08:05)
[41] 第41話 ただし聞くだけだ。受けるとは言っていない。[しゃき](2010/03/24 12:40)
[42] 第42話 堅実と特殊能力が合わさって最強に見える[しゃき](2010/03/24 21:33)
[43] 第43話 私はそんな軽い女じゃないわよ[しゃき](2010/03/25 13:14)
[44] 第44話 美女は好きだが愛する女はただ一人[しゃき](2010/03/25 17:17)
[45] 第45話 勇気の幻影[しゃき](2010/03/25 23:05)
[46] 第46話 性格だけは良い男[しゃき](2010/03/26 14:38)
[47] 第47話 雨上がりの虹[しゃき](2010/03/26 20:32)
[48] 第48話 存在自体が武器であるお方[しゃき](2010/03/27 12:34)
[49] 第49話 答えは聞いてないんじゃなくて聞けない[しゃき](2010/03/27 17:57)
[50] 第50話 暗闇を彷徨う男[しゃき](2010/03/28 00:36)
[51] 第51話 アンタの私怨に巻き込まないでよね[しゃき](2010/03/28 16:55)
[52] 第52話 母から見た成長した娘の姿の理由[しゃき](2010/03/29 00:15)
[53] 第53話 娘が男を連れてきた日[しゃき](2010/03/29 13:29)
[54] 第54話 手段を選んでいる場合じゃない[しゃき](2010/03/30 17:28)
[55] 第55話 夏休み中なので逃げたところで追われます[しゃき](2010/03/30 22:52)
[56] 第56話 パンがなければ作れ。材料がなければ作れ。[しゃき](2010/03/31 14:34)
[57] 第57話 地球外生命体とバッタと餡パン[しゃき](2010/04/04 15:08)
[58] 第58話 勝利の絶対条件[しゃき](2010/04/15 00:30)
[59] 第59話 生徒に手を出す者は等しく許さん[しゃき](2010/04/15 17:11)
[60] 第60話 騎士でしょう?貴女は[しゃき](2010/04/17 17:07)
[61] 第61話 どんだけ心の広い神様だよ[しゃき](2010/04/18 16:28)
[62] 第62話 クリスマスを一人で過ごすのは寂しいのよ[しゃき](2010/04/19 08:58)
[63] 第63話 頭脳労働派の中年女性をを舐めるなよ[しゃき](2010/04/19 12:21)
[64] 第64話 サウスゴータの悪魔[しゃき](2010/04/19 22:36)
[65] 第65話 ルイズさんが110回目にして使い魔を召喚できませんでした[しゃき](2010/04/20 13:22)
[66] 第66話 空白の間のとあるお話(完全版)[しゃき](2010/04/21 08:47)
[67] 第67話 孤児は孤児を呼ぶ[しゃき](2010/04/21 13:05)
[68] 第68話 悪夢の捜索隊追加[しゃき](2010/04/22 10:42)
[69] 第69話 伝説の遭遇と再会[しゃき](2010/04/22 17:55)
[70] 第70話 本当はここにいて欲しいよ[しゃき](2010/04/23 16:30)
[71] 第71話 まさかの左遷通告[しゃき](2010/06/09 15:48)
[72] 第72話 話は聞かせてもらった!この領地は滅亡する![しゃき](2010/04/25 01:18)
[73] 第73話 カオスの権化、現る[しゃき](2010/04/25 16:51)
[74] 第74話 憧れの人[しゃき](2010/04/25 22:41)
[75] 第75話 友人だろうと容赦なし[しゃき](2010/04/26 17:12)
[76] 第76話 幼馴染が上級生?いいじゃないか![しゃき](2010/04/27 00:07)
[77] 第77話 冷静に混乱する女[しゃき](2010/04/27 22:21)
[78] 第78話 努力派VS一発逆転派[しゃき](2010/04/27 22:35)
[79] 第79話 とてつもない修学旅行[しゃき](2010/04/28 15:30)
[80] 第80話 減っていく救出隊[しゃき](2010/04/28 23:12)
[81] 第81話 お前のような歌姫がいるか【注意!ややグロかも!】[しゃき](2010/04/30 01:14)
[82] 第82話 古城に響く俺達の歌[しゃき](2010/04/30 01:18)
[83] 第83話 やりすぎ!カリンちゃん![しゃき](2010/04/30 22:20)
[84] 第84話 真心喫茶[しゃき](2010/04/30 23:21)
[85] 第85話 クローンの襲撃【お食事中の方はご注意下さい】[しゃき](2010/05/01 17:07)
[86] 第86話 狐の嫁入り(修正あり)[しゃき](2010/05/02 18:47)
[87] 第87話 今日も因幡家は平和です(追加あり)[しゃき](2010/05/02 12:49)
[88] 第88話 その子がアンタの想い人だと言うの[しゃき](2010/05/02 21:00)
[89] 第89話 飲酒は二十歳になってから[しゃき](2010/05/05 20:03)
[90] 第90話 気合で解決するほど世の中甘くない[しゃき](2010/05/10 16:56)
[91] 第91話 腹が減っては何も出来ぬ[しゃき](2010/05/10 17:05)
[92] 第92話 大事な事なので二回言いました[しゃき](2010/05/10 22:41)
[93] 第93話 魔法媒体の天敵[しゃき](2010/05/11 17:24)
[94] 第94話 フーケさんとワルド君[しゃき](2010/05/13 17:03)
[95] 第95話 喧嘩は一対一でやろう(前編)[しゃき](2010/05/13 16:52)
[96] 第96話 喧嘩は一対一でやろう(後編)[しゃき](2010/07/01 01:06)
[97] 第97話 変態という名の紳士達[しゃき](2010/05/13 23:46)
[98] 第98話 プロジェクトZ~愚かな挑戦者たち~[しゃき](2010/05/14 18:10)
[99] 第99話 彼女は息抜きのためなら死ねるそうだ[しゃき](2010/05/14 18:11)
[100] 第100話 それはアンタの未来であり、私たちの過去だ[しゃき](2010/05/15 01:16)
[101] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「紳士たちの社交場」[しゃき](2010/03/17 02:13)
[102] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「続・紳士たちの社交場」[しゃき](2010/03/18 19:04)
[103] 【注意!完全なネタ回です】 第X話 「真心喫茶109」[しゃき](2010/04/22 23:28)
[104] 予告篇?【ネタ】 世界の扉の向こう側[しゃき](2010/04/12 17:11)
[105] とりあえずの技能のまとめ(102話まで)[しゃき](2010/06/11 15:40)
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[16875] 第25話 身体検査でいちいち妙な妄想をするな
Name: しゃき◆d1ebbc20 ID:1ddacfd7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/17 14:57
戦争が近々始まるという噂はすでにトリステインの街内外でかなり広まっていた。
隣国アルビオンが貴族派集団『レコン・キスタ』によって陥落、次はトリステインに侵攻してくるという噂である。
街で広まっている噂の信憑性は、上空を飛び回る幻獣、船が全く飛行しなくなったことからも異常事態であることが民衆たちにも分かった。
更に王宮の門をくぐる際の身体検査も厳重になったことから、トリステインに住む市民たちは不安な日々を送ることになった。

そんなときなので、王宮の上に一匹の風竜が現れたとき、警備をしている魔法衛士隊の隊員たちは色めきだったのは至極当然である。
本日の警備はマンティコア隊だった。マンティコアに騎乗したメイジたちは、王宮の上空に現れた風竜めがけて飛び上がる。
風竜の上には五人の人影と、一匹のモグラの姿があった。皆、何故か疲れ果てた表情をしている。


「ここは現在飛行禁止だー!触れは知らんのかー!?」


隊員たちが大声で告げる。
すると桃色がかったブロンド髪の少女がが顔を出し、大声で答えた。


「ラ・ヴァリエール公爵が三女、ルイズ・フランソワーズとその一行です!姫殿下にお取次ぎ願いたいのですがー!?」


「ラ・ヴァリエール公爵様の三女が何用かー!?ならば用件を言えーー!!」


「申し訳ありませんが、密命なので詳しくは申し上げれませんが、姫殿下にルイズ・フランソワーズが任務を終え戻ってまいりましたとお伝えいただければ幸いですーー!!」


「了解したー!では支持に従って所定の場所に着陸して欲しいー!それから一応杖のような武器の類はないか調べるがよろしいなー!?」


「わかりましたー!」


この一連の会話を大声で行ったルイズとマンティコア隊の隊長。
風竜はマンティコア隊の先導のもと、王宮から少し離れた場所に着陸した。
着陸後、杖や剣などといった武器を回収されたのち、入念な身体検査をされた。
検査中は俺も含め、皆文句の一つも言わなかったのだが、こんな一幕もあった。

キュルケの身体検査中のことだった。


「あんっ」


と、悩ましい声を上げるキュルケ。身体検査だから身体に触れられるのは仕方ないのだが、これでは身体検査を行っている衛士が可哀想である。うらやましくもあるが。


「おい、何処を触ってるんだ貴様は・・・」


「隊長~!このご婦人、触れるたびにこのような声を出すんですが」


「我慢しろ」


「それって検査される私の方よね、我慢するのって」


一方、俺の身体検査。


「ふむ・・・細身に見えたが、案外鍛えられているようだな。メイジならばこの場で勧誘してもいいかもしれんが・・・お前は平民だったな」


「貴族様、その評価は有難いのです。その評価のお礼に教えます。俺はまだ武器を隠し持っています」


「何・・・?先程全ての武器を出せといっただろう」


「何せ取り外しができないものですから。さらに武器といっても基本的に対女性用武器であり、夜になると攻撃力が上がります」


「わっはっはっは!それは確かに取り外しが出来ない!だが余り自分の武器を過信するなよ?過信した結果返り討ちにあえば、その瞬間男の尊厳は激しく傷つくからなぁ!ちなみにウチの隊長の所持する武器はまさに隊長に相応しいモノとなっている」


「流石一部隊の隊長ですね!」


「ああ、我々とはモノが違う」


「貴様ら身体検査中に何馬鹿な話題で盛り上がってるんだ!?あと、何を人の秘密をばらして何勝手に尊敬してんの!?」


そんなこんなで身体検査が終わって、俺たちは衛士たちに周りを固められて宮殿内に入った。
宮殿内の中庭辺りに差し掛かったとき、進行方向から駆け寄ってくる人影が見えた。


「ルイズ!」


駆け寄ってくる人影はアンリエッタだった。その姿を見てルイズは泣きそうな顔になる。


「姫様!」


二人は俺たちが見守る中、ひっしと抱き合った。
その姿は互いの姿を再び見れて喜んでいる感じだったが、何故か俺の胸中には空しい風が吹いていた。


「また無事な姿を見れて私は嬉しいわ、ルイズ・フランソワーズ・・・」


「姫様、件の手紙は、この通り、無事でございます」


ルイズはシャツの胸ポケットから、そっと手紙を見せた。
アンリエッタは頷き、ルイズの目を見て、彼女の手を固く握り締めていた。


「やはり、貴女に頼んで正解でした。さすがはわたくしの一番のおともだちです。わたくしの判断は間違ってはいませんでした」


「私には勿体無いお言葉です。姫様」


アンリエッタはそう言って頭を下げるルイズを見て微笑む。
その後、俺たちの存在に気づいたようだ。
誰かを探しているかのように、アンリエッタは視線を彷徨わせていた。
しかし、目的の人物の姿が見えないことで何かを悟ったような表情になり、表情を曇らせていた。


「ウェールズ様は・・・やはり父王に殉じたのですね・・・」


ルイズはアンリエッタの言葉に軽く頷きつつも、答えた。


「勇敢な最期でした」


アンリエッタの表情は暗いままである。


「・・・ルイズ、ワルド子爵の姿が見えませんが・・・?まさか・・・あの子爵が・・・そんな・・・」


「ワルド様・・・ワルドは・・・ワルドは・・・裏切り者でした。姫殿下」


ルイズの様子から、何かを察したアンリエッタは興味深げに事の成り行きを見守っていた魔法衛士隊隊長に向かって言った。


「彼らはわたくしの客人ですわ。隊長殿」


「左様でございますか。とのことだ。皆、持ち場に戻れ!」


姫の言葉に納得したのか、隊長はあっさり持っていた杖を収めて、隊員たちに号令をかけ、持ち場に戻っていった。
この辺の迅速ぶりはさすがであると言わざるを得ない。

衛士達がいなくなると、アンリエッタはルイズに向き直った。


「・・・とにかく道中で何があったのか、わたくしのお部屋でお話ください。他の方々は別室を用意いたしますので、そこでお休みください」


「ふぅ・・・という事はやっと俺たちは一息つけるのか」


「いや、アンタは私と一緒に姫様についていくのよ?」


「言ってみただけだ」


「分かってるなら言うなよ」


ギーシュの正論が俺に突き刺さる。
ギーシュ、キュルケ、タバサの三人は謁見待合室にて身体を休めるらしい。
ギーシュは居辛くないのだろうか?

アンリエッタは俺とルイズを自分の居室に入れた。
女性の部屋に入るのは何だかドキドキするものだ。
ルイズの部屋に入るときも結構もめたが、ルイズは、


『そんな細かい事を気にしてどうするのよ!』


とヤケクソ気味に俺に言っていた。
まぁ、俺を召喚して間もない頃だったからな。


アンリエッタは精巧なレリーフが模られた椅子に座り、アンリエッタは机に肘をついた。

ルイズと俺はアンリエッタに事の次第を説明した。
ルイズがワルドと愛を語り合っている間、俺とギーシュが死に掛け、キュルケ達が合流したこと。
宿屋で休んでいたらフーケ率いる傭兵軍団が襲撃してきた事。
アルビオンへ向かう舟に乗ったらハイジャックにあったこと。
そのハイジャック犯の頭がウェールズ皇太子だった事。
ウェールズ皇太子に亡命を求めたが、断られた事。
ワルドとルイズが結婚式を挙げる為に、俺はその結婚式を盛り上げるために、脱出船には乗らなかったこと。
その最中の悪ドの乱入と起こった悲劇と戦闘の事。
そして・・・ウェールズの最期の事・・・


手紙は取り戻し、『レコン・キスタ』の野望は一応躓いたのだが、何せ・・・失ったものも大きかった。
ルイズとアンリエッタは愛する人と死に別れた。
更にルイズはその愛する人と同じというか本物のワルドが、愛する人の仇となってしまったのだ。
何を言ってるのかは分からないと思うが事実だから仕方がない。

ひとまずゲルマニアとの同盟は守られた。
しかし、どう考えても今の二人には手放しには喜べない状況である。
アンリエッタは、かつて自分がしたためた手紙を見つめていた。その中には、ウェールズが死に際に俺たちに託した血まみれの手紙も入っていた。
アンリエッタはその血まみれの手紙を読み、しばらくしてボロボロと涙が溢れ出していた。
嗚咽が自然に湧き出ていた。ルイズの支えが無ければ、アンリエッタはそのまま崩れ落ちていた。
何が書かれていたなんて俺は詮索しない。愛に生きた友とその恋人との永遠の別れを告げるメッセージでも書かれている事ぐらいは俺にもわかる。


「やはり・・・やはりこんな事ならはっきり亡命して欲しいと書くべきだった!」


「姫様。おそらく王子様は貴女が直接言っても亡命はしなかったと思います」


「それはどうして?ウェールズ様はわたくしを愛してなかったとでもいうの?」


「それは断じて違います。あの王子様は心底貴女に惚れてました。できれば死にたくないとも言ってました。ですが、亡命すれば貴女や貴女の愛するトリステインが滅んでしまう。だからといって貴女がもしアルビオンに乗り込んだとしても、あの方ならば貴女を即刻帰らせると思います。死ぬときは一緒なんて美談のように語られますが、あの人はそれを選ばず、愛する貴女が、あの人が好きだった貴女の笑顔のもと、このトリステインを治めてくれると信じているし、何より愛する貴女に自分の分まで長生きして欲しいんですよ。泣いた顔じゃなくて新たな幸せを得て、幸せに大往生して欲しいんですよ。王子は亡くなったかもしれませんが、彼は俺にあなたに伝えるように言われた言葉を遺してくれました」


俺はアンリエッタを見据えて言った。


「『私を忘れないでくれたらそれが最高の手向けだ。この身朽ちても我が魂は永遠に君を見守る事を誓う』・・・以上が皇太子殿下が姫殿下、貴女に遺した遺言です。こんな言葉残す男が、貴女を愛していないわけ無いでしょう。彼は貴女が治めるトリステインごと貴女を愛して、それに殉じたんです」


勿論王家の名誉のためでもあったのかもしれない。
だが、あの王子様は、心底この姫様の、姫様だけの王子様だったのだ。
その姿は、ルイズを守るために消し飛んだワルドの影にも同じ事が言える。


「王子様の最期は勇敢でした。彼がいなければ、俺たちは皆、殺されていました」


残されたほうにとっては、何を勝手な事をと思うかもしれないが、残す方は残してしまう愛する人の幸せを願うしかないのだ。
死んだら何にもならないのは真理だが、死なないといけない時もあるのだ。

それを聞いてアンリエッタは微笑んだ。涙を流しながら。
それが俺にとっては何とも心苦しいものであり、悲しくなった。
ルイズも涙を流していた。

彼女たちはほぼ同時期に愛する人を失ったのだ。無理もなかった。


「勇敢に戦い、勇敢に死ぬ・・・聞こえはいいですが・・・分かってはいるのですが・・・何故涙が止まらないんでしょうか・・・」


「姫様・・・私がもっとウェールズ皇太子を説得してれば・・・」


無理だろうな、と俺は思った。
その程度で折れる心を俺を友人と言ってくれたあの誇り高き皇太子は持っていなかった。


「いいのよ、ルイズ。あなたはお役目どおり、手紙を奪還したのです。それ以上のことは求めていませんでしたから・・・。とりあえず、わたくしの婚姻を妨げようとする暗躍は未然に防がれたのです。わが国とゲルマニアはこれで無事に同盟を結ぶ事が出来るでしょう。そうすればアルビオンも簡単に攻めてくるわけには参りません。そうでしょう?そうよね?ルイズ」

「・・・はい」

ルイズはそう言って頷く。
そして思い出したかのように、ポケットから水のルビーを取り出す。


「姫様、これをお返しします」


「いいの、ルイズ。それは私からのお礼として貴女が持っていてください」


「・・・ではせめて、こちらをお受け取りください」


ルイズがアンリエッタに差し出したのは、ウェールズの指から形見として抜き取った風のルビーだった。


「ウェールズ皇太子から、形見にと預かったものです」


「・・・・・・皇太子からですか」


「ええ、姫様。王子様は最期に血まみれの手紙とこのルビーを俺たちに託してくれました」


まあ、本当は死んだ後のウェールズの指から抜き取ったものだが、此処で真実を言ってややこしいことにはなりたくない。
アンリエッタは風のルビーを自らの指に嵌めた。
その雰囲気はどこか危うい。


「ありがとうございます。ルイズ、そして使い魔さん」


そう言って微笑むアンリエッタ。その言葉には感謝の念が込められていた。
ルイズと俺は頭を下げる。


「あの人は勇敢に死んで行ったと・・・言われましたね」


俺は頷いた。


「はい」


「・・・ならば、わたくしは・・・勇敢に生きてみたいと思います・・・」


「姫様、今は無理だろうけど、いずれは民衆が笑って、貴女も笑える日々が来るといいですね。それが王子様の願いですし」


アンリエッタが俺を見つめる。
俺は泣きそうな彼女に笑いかけて言った。


「男ってのは女性の涙は苦手なんです。女性は笑顔が一番です。男って奴はその笑顔に弱いんです。そして、好きなんですから」


「・・・ウェールズ皇太子みたいな事を言うのね、貴方」


「そうですね。俺と皇太子殿下は気の合う友人でしたから」


「友人・・・?でも貴方はウェールズ皇太子とは・・・」


「ええ、あの任務であったのが初めてです。でもね姫様。本来友情って奴は付き合った時間も地位も一切関係ないんですよ」


地位が関係ない友情はルイズとアンリエッタの関係ではないのか?
というようにアンリエッタに問うように言う俺。
ルイズは黙って事の成り行きを観察している。


「・・・そうですね。ウェールズ皇太子は貴方のような友人を持ててうらやましいですわ・・・」


ぽつりと呟くアンリエッタの目にまた、一筋の涙が流れて落ちた。
















気高き誇りも、気高き友情も、それらを一切知らないものならば、簡単に踏みにじることが出来る。
正しき力となるかもしれない力も、使いようによっては狂気の力になる。
正義の名の下に人を傷つけ、大義の名の下に人を殺め、始祖の名のもとに人々の血と涙を増やしていく・・・


そして・・・・・・





「おはよう、皇太子。ご機嫌はいかがかな?」



「おはよう。久しぶりだね、大司教」



「ふふ・・・今はもう皇帝だよ。親愛なる皇太子」




これも彼らの正義と大義のもとに行われた行為なのだ。




貴族連合レコン・キスタの総司令官にして、後の神聖アルビオン共和国の初代皇帝であるオリヴァー・クロムウェルの前に跪くのは、死んだはずの亡き王国の皇太子、ウェールズ・テューダーだった。















(続く)













【後書きのような反省】

人の死を伝えるシリアスな場面にギャグはいらないはず・・・多分。





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