目が覚めた。突如差し込んでくる日の光が実に眩しい。・・・はて?目が覚めた?俺が先程までしていた行動から考えれば、目が覚めたという行動は実に奇妙なことであった。そう思ったと同時に俺の目に飛び込んできたのは美少女。服装は黒いマントの下に、白いブラウス、グレーのプリーツスカートという、マントのせいでかなり怪しいものではあるが、顔はまさに美少女。というか、桃色の髪なんぞ本当にいるんだな。どう見ても日本人ではない。桃色の髪が地毛の日本人なんぞいないはずである。断言はできないが。「・・・アンタ誰?」いきなりのご挨拶である。日本語上手いねお嬢さん。でもいきなり「アンタ誰」はねえよ。それは俺の台詞でもあるんだ。「人の名を尋ねる前に自分から名乗るのが紳士淑女のマナーじゃないのかよ?俺は因幡 達也。よろしく」少々乱暴な言葉遣いではあるが、少女の無作法について苦言をあえて放った俺の心意気は評価されてもいいはずである。更に先に名乗ることで俺が紳士であることが一目瞭然であるはずだ。まあ、せっかくの紳士的発言も寝転がった状態では、全然決まらないのだが・・・って何故俺は寝転がっているのだ?そもそも今日は待ちに待った決戦の日。俗っぽく言えばデートです本当にありがとうございます。「リア充は消えろ」とか言わないでくださいな。所謂幼馴染の「アイツ」との二人での初デートである。ここまで漕ぎ着けるまでに結構色々あった上でようやくのデートである。幼馴染とデートとかねーよとか戯けた発言を俺はデート後、鼻で笑う予定もあった。俺の友人たちは、「この裏切り者を粛清せよ!」と、手荒い祝福を俺に送ってくれた。俺はそんな友人思いの友に対し、「俺は童貞を捨てるぞ、ジョ●ョォーーーーッ!!」と感謝の言葉を送れば、「童貞を守れぬ漢が、女を、世界を守れるかぁーーーっ!!」世界を守るほどの力はないが、自分の愛する女ぐらいは守りたいんですが。「もげろ!!」何がだ!?「思うんですが、そのデートの相手とは貴方の想像上の、架空の人物ではないでしょうか?」殴りました。このような涙ながらの歓声、祝福を送ってくれるなんて、持つべきものは友である。「ヒャッハー!俺は今日、大人の階段をまた一つ上るぜーー!!」などと、自分でもハイになりすぎたのがいけなかったのだろうか・・・?興奮しすぎて倒れてしまったのか?なんとも情けないではないか。「よっこいしょ」と、のっそり上半身を起こしてみる。嗚呼、良い天気だ。広い草原と石造りの城をバックに、眼前の美少女と同じような格好をした少年少女が俺を囲んでいる・・・どう考えても見知らぬ土地であると理解するにはさほど時間がかからなかった。Why?草原?戦士がパワーアップしそうな風景ではあるが、都会人の俺にはあまり馴染みないぞ?「妙な名前ね。で、どこの平民?」眼前の美少女がまた聞いてきた。ていうか名乗れよ。平民扱いも少し鼻に付くが、実際平民だし間違ってはない。まあ、紳士的態度を心掛ける俺はまず、現状把握に努めることにした。こういうときは大抵パニックになるものだが、こういうときだからこそ冷静にならなければいけないのではないか?「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」「う、うるさいわね!今のは練習よ!次が本番なんだから!」成る程、目の前の美少女はルイズという名前なのか。名前を知ったところでどうなる?今は俺にとってかなりの緊急事態だ。そんな切羽詰った状態なのに見知らぬ外国人の少女と、『恋愛』のコミュが発生しましたとか喜んでいる場合じゃないんだよ。だが、気になる単語を聞いた。『サモン・サーヴァント』とはなんなのか。しかも間違ったって。「なーんだ、練習なら仕方ない」「いや、もう召喚されたでしょ!?」「練習いつまで続くんだよ!もういい加減にしろよ!?」「練習、練習って本番はいつよ!ゼロのルイズ!」『ゼロのルイズ』・・・何だか中二病全開の名だな。すみません。一瞬『かっこいい』と思いました。でも当のルイズは嫌そうに顔をしかめている。今でも充分にかっこいいのに、ならなんと呼ばれたいんだこの娘は?まあ、そんなことはどうでも良い。俺としては「呼び出した」という単語が気になる。『サモン・サーヴァント』という単語の意味を俺なりに推測してみた。あくまで俺の推測だぞ?ここが、日本ならば、サモンは査問という意味かもしれんが、どうもそうは思えない。そもそも日本じゃねえだろここ。外国人っぽい人たくさんいるし・・・Servantは「召使」、SUMMONが「呼び出す」って意味だから、和訳すれば「召使を呼び出す」ってことだ。・・・召使?「と言うわけでミスタ・コルベール。次こそ本番です。」と、俺が考えていたらルイズがそんなことを頭が悲しいことになっている中年男性にそんなことをのたまっていた。・・・その中年男性もルイズ達と同じような格好をしていた。頭が痛くなってきた。召喚とかその格好とかどこぞのファンタジーだ?俺のような平民が外れとするならば、こいつらは女神●生にでてくるような悪魔を召喚しようとしてたのか?女性型ならバッチコイだが、正直カルトどころの騒ぎじゃない。俺は「コンゴトモ、ヨロシク」とでも言えばいいのか?ふざけるな。帰らせろ!だが、ここで下手に動けばそれこそ俺自身の命が危ない。ここは様子を見よう。まあ、単に何にも思いつかなかったし、怖いと言うこともあったんですが。それに、召喚という未知の現象、ロマンを求める漢としては見たいし。・・・ひょっとしたら人道的問題とかで帰してくれるかもしれない。ルイズの様子からすると今のは練習らしいから。練習か・・・そういえば親父が酒に酔った時、『達也、父さんは母さんを口説き落とすため896回予行演習を繰り返したけど、いつの間にかストーカー扱いされてたぜ』ストーカーは駄目だろ・・・よく結婚できたな・・・過去の衝撃的発言に思いを馳せるのはこの位にしよう。ルイズがミスタ・コルベールと呼んだ中年男性は首を横に振りながら言った。「それは、無理だ。ミス・ヴァリエール」何で駄目なんだよ!?そのルイズとかいう娘も「どうしてですか!」とか言ってるじゃん!冗談じゃない。それが現在のルイズの心を占めていた。幾度も失敗したサモン・サーヴァントの儀式。ようやく成功したかと思えば現れたのはドラゴンでも、グリフォンでも、ましてフクロウでもなく、ただの冴えない平民であった。由緒正しい旧い家柄を誇る貴族のヴァリエール家の三女として認められるような使い魔を自分は召喚し、『ゼロのルイズ』などというふざけた通り名を返上したかった。幼い頃から優秀な姉と比較されてきた身としては、今回の儀式で一発逆転するしかなかったのだが、出てきたのがこれではどうしようもない。自分が呼び出したのはそこでぼけっとしている妙な名前の平民である。別にやり直しを要求しても良いではないか!結局このままでは『ゼロのルイズ』という名は返上できず、また馬鹿にされ続ける不愉快な日々が続くことになる。しかしルイズのその願いは、「伝統」と「規則」という壁の前には全くの無力であった。「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。好むと好まざるに関わらず、彼を『使い魔』にするしかない。古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。彼には君の使い魔になってもらわなくてはな。というか今まで108回ぐらいが練習とか言ってたよね君。いい加減観念したらどうかな?」「そんな・・・ひどい」がっくりと肩を落とすルイズ。その姿からは負のオーラが見えるようであった。「聞こえんね。では、儀式を続けなさい」ルイズははっとした。そう、まだ『コントラクト・サーヴァント』の儀式が残っている。恨むような視線を自分が召喚した平民に向けた。その姿が、果たして貴族にふさわしいのかは今の彼女には関係なかった。達也です。何だか俺を『使い魔』にするしかないとか不吉な言葉が飛び交っています。使い魔ってゲームとかじゃさも旅の仲間ってことで茶を濁してるけど、実際は奴隷とかそれに準ずる扱いを受けるんじゃないのか?そんな扱いは人道的観点的に不味いだろう。そんな異常なことを決める儀式をさも当然じゃないかという風に進めるな!なんだかあのルイズとかいう美少女が負のオーラを纏って俺を睨んでます。どう考えても俺は悪くないよね。よね?むしろ被害者じゃねえのか。悪くはないはずだが、目の前の美少女は俺を親の仇のような感じで見ているわけだ。「ねえ」ルイズが俺に話しかけてくる。「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。末代までの誇りにしなさい。ていうかしろ」「感謝も誇りにもしないから目を覚ませよ!」そういう設定の宗教か恐ろしい。役になりきってるのか?何か偉そうだが、宗教に嵌まり込んでいる方に上から目線なのは納得いかないものがある。そもそも気づいたら見慣れぬ場所にいるっていう経験自体、徘徊癖でもない限りめったにないわ!しかし、このような見たことない場所に俺を『召喚』したらしい悪魔召喚同好会な皆さん相手に、必要以上に事を荒立てるほど俺は馬鹿じゃない。でも一応正気かどうかは確認しないとね。まあ、俺もいつまで正気を保ってられるか怪しいんですが。気づけば『貴族』のルイズは、手に持った杖を俺の前で振った。「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」杖を俺の額に当て、話した後にルイズは俺にゆっくりと唇を近づけ・・・ちょっと待てコラ。突然のことで一瞬固まりかけたぞ!!「おい、待てお嬢さん。お前は一体何をしようとしているんだ?」「いいからじっとしていなさい!こっちだってさっさと終わらせたいのよ!」「いいからじゃないよ。顔を近づけるな。俺には心に決めた女がいるんだ」そんなの知らんとばかりにルイズの顔が更に近づく。目潰ししたら面白いかなとも思ったけど後が怖いのでやめた。やがてルイズの唇が、ついに俺の唇に重ねられ・・・るのはとりあえず阻止した。間一髪避ける事に成功したからである。「避けるな、バカ!」「避けるわ、バーカ!」当たり前だ!訳が分からんうちに奴隷っぽい身分になるなんて嫌に決まってるだろうが!泥まみれになっても阻止するわ!それにこの謎宗教にどっぷり漬かったとはいえこの娘はこうも簡単に自分の唇を見ず知らずの男に捧げようとしたというのかーっ!?・・・いや、やったらやったでごちそうさまとは言わせて貰いたいんですけどね。若者の性の乱れは万国共通のようだ・・・いいぞもっとやれそんな阿呆な事をちょっと思ったのがいけなかったのか、ルイズは俺の隙をついて、俺の頭をがしっと掴んだ。し、しまった!ルイズの唇が今度こそ俺の唇に重ねられた。ズキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!何だ今の擬音は。柔らかい唇の感触にはちょっぴり感動を覚えたが、同時に深い悲しみも背負うことになった。ファースト・キスが見ず知らずの宗教女に奪われた。死にたい・・・ごちそうさまですとも言いたいが。ルイズがやがて唇を離し、「ふぅ・・・終わりました」などと、意味不明な供述をしていた。まさにキス泥棒である。または初物キラーとでも言うべきか。女は恐ろしい。とはいえ、ルイズ嬢も顔を真っ赤にしている。何か照れているらしい。それ、俺がするべき反応だよね?なんで生娘のような反応なんだ?・・・まさか、この儀式はあのコスプレ親父が提唱したものではないのか?哀れなる信者ルイズはそうすれば生活が良くなると信じ、このような暴挙にでたのではないのか?人は苦しいとき、宗教に嵌りやすいというが、なんか可哀想になってきた。ルイズは同じような格好をした少年少女となにやら言い争っているが、俺としては、こいつらにも哀れみを抱かざるを得なかった。信仰は確かに自由だが、このようなことをしても平然と出来るだろうこいつらの人生に幸あれ。と、阿呆な事を考えていたら急に俺の身体は熱くなってきた。「ぐっ!?ぐぅぅぅぅぅぅっ!!?」断じて俺の腹の音ではない。苦悶の声である。特に左手が熱い。まさかついに俺の秘められし力が発動したっていうのか!クソ!何てことだ!静まれ俺の左手!苦しむ俺を見て、ルイズが疲れたように言った。「すぐ終わるわよ。『使い魔のルーン』が刻まれているだけだから」いや、勝手に刻むな。ルーンってことは刻印だよな?刺青みたいなものだろうか・・・銭湯出入り禁止は地味に嫌だ。それに別に俺自身の秘められた力がどうこうというわけじゃないのが非常に残念だ。何故、どうやってルーンが刻まれているかなんぞ原理は知らんが、身体に異変がある以上、刻まれていると考えよう。身体の熱さがおさまったと同時に虚脱感と恐怖が俺を襲う。思わずひざをついてしまった。そこにルイズをはじめ、未来ある少年少女を誑かしたと思われるコスプレ中年が近寄ってきて、俺の左手の甲を確かめるように見た。「ふむ・・・珍しいルーンだな。ちょっと記録させてもらうよ?」ふむ・・・じゃねえよ。まあ、確かに俺の左手には見慣れない文字が躍っている。意味は俺にはわからんが、何かの文字なんだろう。「さてと、皆教室に戻るぞ」と、中年親父がそう言うと、親父は宙に浮いた。他の少年少女も同様に宙に浮いた。何コレ、万国びっくりショー?人間は普通空を飛べない。飛べなかったからこそ人間は飛行機なるものを発明したのだ。俺はここは外国ではないかという選択肢をここで消した。そして最近見た特撮番組の台詞を文字って言った。「ここはドラ●ンボールの世界か・・・」別に幻●郷でも良かったんだけどね。俺、ドラゴン●ールの方が好きだし。だが待て。ド●ゴンボールにあんな奴らいたっけ?・・・現実逃避はこのくらいにしよう。原理は知らんが、今、あいつらは空を自由に飛んでいる。そう考えているうちにその場に残されたのは俺とルイズのみになった。ルイズは飛んでいく少年少女を見送り、ため息をつくと、俺の方を向き、涙目で怒鳴った。「あんた、なんなのよ!」理不尽なキレっぷりである。少なくとも俺はそう思った。しかもそれはまたもや俺のセリフでもある。「そりゃ、こっちのセリフだ!そもそもここは何処で、お前らは何者だ?アンタの名前・・・ルイズだっけ?それはかろうじて解ったけど、正直俺、解らない事ばかりなんだよ!」「何だ田舎モノなの?仕方ないわね。私は心の広い女だから説明はしてあげるわ」「田舎者扱いするな。俺が住む東京はここまで田舎じゃないんだが。あと自分で心が広いとか言うな」「トーキョー?なにそれ。何処の国?」「東京を知らない?日本の東京だぞ?」「ニホン?そんな国聞いたことない。アンタ私を謀ってんの?」「謀る必要が俺にあるのかよ」おかしい話だ。日本は世界では凄いメジャーな国じゃなかったのか?サブカル的意味でと世界のATM的な意味で。・・・・・・悲しくなってきた。話題を変えよう。「ま、まあ、いいや、じゃあ、なんであいつらは飛んでいるんだ?」「そりゃ飛ぶわよ。メイジだし。常識でしょ?」何か非常識の烙印を押された気がする。「メイジ?・・・ここは一体何処だ?」「トリステインよ。そしてここはかの高名なトリステイン魔法学院!」「すまん、そう言われても知らんが続けてくれ」「トリステイン魔法学院を知らない・・・?ま、まあいいわ。私は二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。今日からアンタのご主人様よ。覚えておきなさい!」「・・・魔法とやらで、俺を召喚したのか?」「そう言ってるじゃない。何度も。もう、諦めなさい。私も諦めるから。本音としては人生も諦めたい勢いだけど。はぁ、なんで私の使い魔、こんな冴えない生き物なのかしら……。もっとカッコいいのがよかったのに。ドラゴンとか、グリフォンとか、マンティコアとか、ユニコーンとかは無理でもせめて、ワシとかフクロウとか」「無いものねだりは惨めだ」「ですよねー」現実は色々と非情である。ルイズもそれを分かっていそうだ。にしても魔法使いねえ?フィクション上か30歳まで純潔を貫いた者がなれるものだとおもっていたが・・・あのコスプレ中年親父が魔法使いならまあ強く生きろとしか言えんが、実際ふわりと飛ぶ少年少女を見た以上、それ以外の魔法使いも存在するということか。あるいは、俺自身が御伽噺の世界に迷い込んだ・・・このルイズ嬢のせいで?夢という線もあるが・・・試してみる価値はありそうだ。何せ、俺はデートのため、「アイツ」が待つ場所に一刻も早く向かわなければならないのだから。悪夢なら早く覚めて欲しいからな。「なあ」「・・・はぁ・・・何よ」「俺の頭を殴ってみろ」「は?何で?」可哀想な人を見るような目で見るな。距離をとろうとするな。「様々な可能性を考慮した所、これは夢かもしれないという仮説に行き当たった。それを証明したい。いや、証明しなきゃならない」「何だかよくわからないけど、殴ればいいのね?」「お願いするよ」ルイズ嬢は表情を消し、その拳を振り上げた。単色の瞳が実に怖い。「……なんでアンタは、のこのこ召喚されたの?」「何で俺はのこのこ召喚されただろう?」「このヴァリエール家の三女の……由緒正しい旧い家柄を誇る貴族のわたしが、なんでアンタみたいな者を使い魔にしなくちゃなんないの?」「しなくてもいいじゃない」「それが出来れば苦労はしないわよ!……契約の方法が、キスなんて誰が決めたの?」あの親父じゃないのか?「お前の嘆きは最もだが、早くしてくれ」「ファースト・キスだったのよ!どうしてくれんのよこのボケーーーー!!!」知らんがな。ルイズは衝撃的カミングアウトとともにその持てる力全てを振り絞ったかのごとく俺の頭をぶん殴った。結論から言えば、それは現実で夢ではなかった。ルイズの悲しみを背負った一撃は夢というチャチなものではない魂のこもった一撃だった。ルイズが「もっと運動するべきね」と後に言っていたがそのおかげで、パンチ自体の威力はそうでもなかった。しかし俺の頭に出来た瘤が、ルイズの悲しみの大きさを表しているだろう。そんな悲しみの一撃を受けて、意識を手放さなかった俺は実に紳士的であると言わざるを得ない。・・・・・・地味に痛いぜ畜生。「一応聞くけど、アンタ、空飛べない?」「飛べるか」「チッ、聞いた私が馬鹿だった」どうやらルイズは歩くのが面倒なようです。【達也が現実の痛さを痛感していたその頃】雲ひとつ無い青空の下、少女は待っていた。「達也ったら、女の子を待たせるなんて・・・寝坊してるのかなぁ?ふふっ」やはり自分が迎えに行ったほうが確実だったか。三国 杏里は幼馴染にして、今日のデート相手の因幡 達也に少し呆れつつも、待ち合わせ場所の公園のベンチに座り待つことにした。・・・・・・その直後、先程の独り言に照れてしまい身悶えするのは関係のない話である。その日、因幡 達也は杏里の前に姿を現すことは無く、更に自宅にも帰ることは無かった。(三国 杏里・・・デートイベントが消滅しました!)―ーーーーーーーーー続く(かもしれない)