第十四話・すれすれすれ違い哀より淡い愛のBlues。誰が言ってたっけ?亡国予定の王子と姫様。ブルースは、誰の為に?とぅる~るるん。さすがワルド!実に素晴らしい演技だ!!へろへろで船に追い付いた私は、驚きの表情で駆けつけて来たルイズ&才人と、心配そうな顔(白々しいけど)のワルドと合流した。で、「いや、ミス・メイルスティアが見当たらないのが気になってね。僕のグリフォンに探させていたんだ。どうやらそれが功を奏したようだ」とか言われた。もちろん「そうだったんですか…。宿に戻るところをいきなり襲われて…本当に助かりました」って答えといたが。いつかラリカデミー賞の助演男優賞を差し上げたい。なんて、全力で嘘だ。で、何だかんだで偽空賊戦に囚われ、コスプレ王子様と邂逅を果たしたのでした。怪我はワルドとウェールズの“治癒”にて完治。殺す側と殺される側の2人の、はじめての共同作業?めでたくなさすぎる。※※※※※※※※「おお、これは硫黄!火の秘薬として使えば我らが名誉を示せましょうぞ!」ぐったり寝てて、起こされたらもう城だった。半分寝惚けてる前で、嬉しそ~に老メイジが言う。無事に城へ帰還したウェールズが、硫黄を土産に持って来たのだ。そりゃ嬉しいだろう。「ああ!栄誉ある敗北だ!」どうせやられるなら派手に散る。実に男らし~い考えだ。ほんのり共感できる風味なのは、佐々木良夫の男心か。「ラリカ、肩は大丈夫…?」ひゃっはー硫黄だ硫黄だーしてるの後目にルイズが訊ねてくる。…いや、ここは敗北決定なのに笑っている彼らに何か思ってる場面じゃないのか?「子爵様と殿下のお陰ですっかり完治だよ。いやー、魔法ってやっぱ便利ですな~」睨まれた。やっぱこの場面でふざけるのはアレなのか?「…心配、させないでよ」うぇぇぇ?なーにを言ってるんですか?今は私の事よりウェールズでしょーに。「ゴメンな、ラリカ」おお才人。オマエさんもこの空気を読めないルイズに何か…って何を謝る?「“何かあったら絶対駆け付ける”とか言っといて、結局守れなかった」なにそれ?…あー、何かそんなコト言ってた気もする。スッキリ忘れてたけど。別にこれっぽっち気にしてないからヘコんだ顔でゆーな。「でも、ルイズは守ってくれた。その時に言ったよね?ルイズ最優先だって。ちゃーんと約束守ってるじゃ~ないですか。だから全然全く気にしないでいいから、この話は終了っ」てかワルドがこっち見てるんだよ!“ラリカ”が重要人物だとか思われたらどーする!?計画が成功しても、別件で狙われたらシャレにならないんだって!「ラリカ、才人にそんな事を?」ルイズ、誤解だ。才人に“私を守れ”なんて言ってない。ヤツが勝手に言ったんだ。「ルイズ。今は聞かなかった事にして。親友として、お願い」「分かった。でも、いつか聞かせてもらうから」ヒィィ!?保留!?「あー、その件でさ、前に言いそびれたんだけど、」うるさい才人。それどころじゃない!ってか、ワルド様見ないでぇー。「才人君も、今は言わないで。お願い」「…分かったよ」…何なんだコイツらは?死なせたいの?私に恨みでもあるの?あ~、恋しい、1人で平和に引き篭もっていた前回の平和な私が恋しいよー。そしてラブレター回収となったのだが。あっるぇ~?ルイズ、亡命のススメを諦めるの早すぎじゃないかな?『殿下、亡命なされませ!トリステインに亡命なされませ!!』『それはできんよ』『ですが、手紙の末尾に姫様が亡命を求める文を記したのでは!?』『そのような事は書かれていない。姫と、私の名誉に誓って言おう』『そう、ですか。…分かりました。そう仰るのであれば』で、終わりだ。もうちょっと粘るかなーとか思ってたのに。表情は納得してないというか、怒ってるような感じなのに…。何があった?どーしてこうなってる?ちなみにルイズに渡しといた“ライトニング・クラウド”用の秘薬はウェールズに譲渡されたようだった。才人、やられてないし。“偏在”のワルドは私の相手してたから当然なんだけど…。原作とほんのり違う。でもまあ、そんなに問題じゃないか。今はあの作戦を成功させることだけを考えよう。私の一世一代の大勝負は、まだまだ中盤戦なのだ。がんばれがんばれ ラ・リ・カ!!死ぬな~死ぬな~ ラ・リ・カ!!落ち込むことも(やたらと)あるけれど、私は(今のところ辛うじて)元気です☆ by危機<Side ルイズ>怪我を負って船に飛び込んできたラリカを見た時、私の頭は真っ白になった。そして、その時になって、ようやく自分達の居る場所が戦場なのだと理解したのだ。親友が、大切な親友が傷付き、もしかしたら永遠にいなくなってしまうかもしれない場所。私はそれを…あの夜の勢いだけで受けてしまったのだ。ワルドが居なければ、4人だけだった。キュルケ達が来なかったら、宿での殿は誰が務めた?ギーシュとあと1人は?恐らく、囮になるのはラリカ。ドットメイジ2人が賊とフーケに対抗できる?戦いはスポーツじゃない。学生の決闘ごっこでもない。負けたら何が待っているか、想像したくもない。自分の浅はかさに、苛立つ。「子爵様と殿下のお陰ですっかり完治だよ。いやー、魔法ってやっぱ便利ですな~」こんな時でも笑って、心配させてくれない親友に苛立つ。そして何より。「でも、ルイズは守ってくれた。その時に言ったよね?ルイズ最優先だって。ちゃーんと約束守ってるじゃ~ないですか。だから全然全く気にしないでいいから、この話は終了っ」私の知らないところでそんな約束をして、「ルイズ。今は聞かなかった事にして。親友として、お願い」勝手な時に“親友”って言うラリカに、甘えてしまう自分に、………。……みんな、莫迦ばっかりだ。<Side 才人>ラリカが負傷し、船に飛び乗ってきた。1人のところを賊に襲われ、酷い怪我をして、消耗して…助けたのはワルドの幻獣。以前、俺は約束した。“何かあったら絶対駆け付ける”って。ラリカは最初は冗談めかして答えたが、帰り際に言ったんだ。微かに微笑んで、でも真っ直ぐ俺を見て。“ 冗談抜きで、信用してるよ。期待してるし信頼もしてる。それに、見直すも何も、才人君の凄さはバッチリ分かってるから ”何がだよ。俺、全然、ダメじゃんか。「でも、ルイズは守ってくれた。その時に言ったよね?ルイズ最優先だって。ちゃーんと約束守ってるじゃ~ないですか。だから全然全く気にしないでいいから、この話は終了っ」貶してくれれば良かった。怒ってくれたら良かった。なのに。どうして自分以外を優先する?どうしてこんな時まで他人を守ろうとする?思い切ってあの時言えなかった事を言おうとしたのに、「才人君も、今は言わないで。お願い」なんでそうなんだよ……“神の盾”?虚無1人しか守れねえ盾の、どこが伝説だよ。