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No.16394の一覧
[0] F REAL STORY  【スーパーロボット大戦Fっぽい】 [まくがいば~](2010/02/18 22:25)
[1] F REAL STORY  プロローグ01 【これだけR-15位】[まくがいば~](2010/02/22 22:20)
[2] F REAL STORY  プロローグ02[まくがいば~](2010/02/23 23:05)
[3] F REAL STORY  幕間 -私がいない所で-[まくがいば~](2010/02/14 22:47)
[4] F REAL STORY  第一話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:16)
[5] F REAL STORY  第一話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/18 22:24)
[6] F REAL STORY  第二話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:08)
[7] F REAL STORY  第二話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/21 00:32)
[8] F REAL STORY  第三話 Aパート[まくがいば~](2010/02/23 22:31)
[9] F REAL STORY  第三話 Bパート[まくがいば~](2010/02/24 23:37)
[10] F REAL STORY  幕間  -私のいない所で-[まくがいば~](2010/02/27 22:04)
[11] F REAL STORY  第四話 Aパート[まくがいば~](2010/03/02 17:08)
[12] F REAL STORY  第四話 Bパート[まくがいば~](2010/03/06 21:49)
[13] F REAL STORY  第四話 Cパート[まくがいば~](2010/03/06 21:53)
[14] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/03/09 00:09)
[15] F REAL STORY  第五話 Aパート[まくがいば~](2010/03/11 21:19)
[16] F REAL STORY  第五話 Bパート[まくがいば~](2010/03/16 21:47)
[17] F REAL STORY  第五話 Cパート[まくがいば~](2010/03/17 22:32)
[18] F REAL STORY   幕間[まくがいば~](2010/03/28 20:29)
[19] F REAL STORY  第六話 Aパート[まくがいば~](2010/03/28 20:30)
[20] F REAL STORY  第六話 Bパート[まくがいば~](2010/04/02 22:08)
[21] F REAL STORY  第六話 Cパート[まくがいば~](2010/04/02 22:12)
[22] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/05 23:17)
[23] F REAL STORY  第七話 Aパート[まくがいば~](2010/04/08 22:36)
[24] F REAL STORY  第七話 Bパート[まくがいば~](2010/04/11 22:00)
[25] F REAL STORY  第七話 Cパート[まくがいば~](2010/04/13 18:47)
[26] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/15 21:25)
[27] F REAL STORY  第八話 Aパート[まくがいば~](2010/04/19 21:29)
[28] F REAL STORY  第八話 Bパート[まくがいば~](2010/04/21 23:11)
[29] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/24 22:58)
[30] F REAL STORY  第九話 Aパート[まくがいば~](2010/06/04 22:54)
[31] F REAL STORY  第九話 Bパート[まくがいば~](2010/06/04 22:57)
[32] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/06/24 15:51)
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[16394] F REAL STORY  第二話 Bパート&幕間
Name: まくがいば~◆6e47378d ID:361a872e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/21 00:32
「ちぃ!」
ジャイアントバズの弾がゲシュペンストを掠めた。ライフルの銃口を向け、2連射。
しかし、ドムⅡはそれを躱した。
警告音! 右と左からも弾が来た!
「下っ!」
叫ぶと共にゲシュペンストを急速下降させた。体にかかるGを歯を食いしばってたえる。
!!
だが、そこには先客がいた。ヒートサーベルを構えたドムⅡが!
いちかばちか!
私はバーニアを全開にし、そのままそのドムⅡが斬撃を繰り出す前にぶちあたった!
すごい衝撃にコックピットが揺れる。
シートに体が沈み込んだが、何とか大丈夫。
体当たり、野蛮で原始的な攻撃だが、有効だった。ゲシュペンストにも目立ったダメージはない。
私はドムⅡ三機の連携波状攻撃から、ようやく逃れられた。
わたしが三機めのドムⅡをライフルで葬った時、油断したのだろうか、知らない間にこのドムⅡ三機に囲まれていた。
それからというもの、防戦一方、生きた心地がしなかった。
「この三人、間違いなくエースだ・・・ ん、三機のドム・・・」
私の頭に近代戦史でならったDCの三人組が浮かんだ。戦場ではあんまり思い出したくない名前だ・・・
そしてドムⅡが三機集まり、一つになった。まっすぐ私に向ってくる。これで私の悪い予感が現実のものになったようだ。
ジェットストリームアタック、そして敵は『黒い三連星』か!?
ジェスといい私といい、運がいいのか悪いのか。とんでもない敵が初陣の相手になったな。
「でも!」
私は負ける気はないし、諦めもしない。
ジェスだって青い巨星にネモで勝ったんだ。ゲシュペンストに乗った私が負けるわけにはいかない!!
ニュートロンビームライフルを、フルパワーで発射。今までとは桁違いの反動。そしてメガ粒子砲並みの光条が放たれた。
ゲシュペンストの奥の手ともいええる、対艦攻撃モードだ。
一機にしか見えなかったドムⅡが、光条を避ける為に三機に別れた。
バラバラに放射状に回避してくれた、思い通りだ!
私は一番近いドムⅡにむかってゲシュペンストを突進させた。左腕にはプラズマソードを閃かせて。
「これで、決まりだっ!」

 斬!!

やった、ドムⅡの頭をぶった切った。おまけに蹴っ飛ばしてやる。
よしっ! これで四機め! と、喜んだのも束の間、

PiPiPiPi !!

最上級の警告アラーム!
な!? しまった!
反応する前に凄い衝撃が来た! ど、どうしたっ!?
しまった、バズーカを構えたドムが目前に迫っている。今のはあれの攻撃か!?
そんなの関係ない、今どうするかを考えろ!
パニック寸前の頭の中で、ドムⅡがバズーカを発射するのがみえた、その動作が克明に感じられる。
まずいっ!! 躱せるか!
「ダーッ!!」
ジェスには聞かせたくない叫びを上げて、無我夢中で回避行動をとる。
僅かな衝撃がきた。どこに当たった!? ちっ、左の羽根を持ってかれたか!
[左スタビライザー破損 バランス調整 戦闘に支障なし]
FWが現れ、被害を自動修復したことを報告してきた。まだまだいけるということだな。
舌なめずりしながら、呼吸を整える。
戦闘開始から十分くらいしかたってないのに、かなり精神的肉体的にも疲れがきているのがわかった。
ドムⅡ二機は絶妙な距離をとって、ゲシュペンストと対峙している。
「どうでる・・・」
私は獣のような瞳で、全周囲モニターに映るドムⅡを睨んでいる。
奴等、次はどうでる、どうでる・・・
私の全神経が目前の強敵に集中している。
だが、その時・・・
視界の一部で何かが赤く光った。あれは・・・・・・ ルナ2だっ!!
爆弾が爆発したのか? 少佐達は無事なのか?
「トロイホー、しまった!」
トロイホースに連絡を取ろうとし、私の集中ががそがれた一瞬を、歴戦の強者は見逃さなかった。
一気に間合いをつめ、私に襲い掛かる。
ちっ、不覚!
スプリットミサイルを発射しながら、私は必死にゲシュペンストを操り、二機のドムⅡの連続波状
攻撃を躱し続ける!
「ちぃ、しつこい男は嫌われるぞ!」
歯を食いしばり、体にかかるGに顔を歪めながら、私の心のどこかに、妙に冷静に諦めている自分を感じていた。
『コノママジャ ヤラレル』『アキラメロ』『ラクニナレ』
そいつは私の心に甘く優しく囁き続けていた。
「え~い、うるさいぞ! 」
心の中の悪魔の死への誘いを罵りながら、自分に鞭打って回避行動を続けていた私だが、さすがにこのままではやばいのは確かだ。
反撃の糸口がつかめない。
その時、視界一杯に鋭い白光が広がった。刺すような痛みが私の瞳を襲った。
「しまった!」
目くらましの光線、ドムⅡの拡散ビームをもろにくらってしまった!
まずい、このままじゃ!
私は強烈な閃光をくらって、一時的な失明状態に陥っている。
何も見えない、このままじゃやられる。やだっ、そんなの!

・・・・・・突然、何かを感じた・・・・・・

目で見ているのではない、心で直接見ている、そんなビジョンだ。
白く輝いている神々しい世界、そこに佇んでいる裸の、ありのままの私がいる。
なんだ、ここは・・・ 私は死んだのか・・・
いや、違う、なんだここは?
黒い形を持った敵意が、迫ってくる。二つ。私自身がそれを躱していく。
その敵意の動きはまるでスローモーションのように私には感じられる。これなら避けるの
は容易い。
これは現なのか、幻なのか?
踊るように、私はそれを躱し続けた。
どのくらいたったのだろう、私の背後から圧倒的な力の塊が凄い勢いで迫っていた。
紅蓮の炎のような熱く輝く力。
悪い力ではない、その力が正義に輝いているのが、私にはわかる。

「トマホーク・ブーーーーーーーメラン!!」

天を裂くような雄叫びが聞こえ、私の意識は現実にもどった。
私はゲシュペンストのコックピットに収まっている。当たり前といえば当たり前だな。
でも、今の不可思議な体験はなんだったんだ?
痛い目をこすって、モニターを見ると、私の眼前に赤と白の巨大なものが立ちはだかっていた。
私を護るかのようにだ。
「ゲッター1・・・」
私は我知らず呟いていた。凄い存在感に圧倒されている。隼人さん一人のプロトゲッターとは、色違いだけで形は同じはずなのに何かが根本的に違いすぎる。
『リン、生きているか?』
そして通信が開いて、クールでニヒルで会いたくなかったお顔が出てきた・・・
「隼人さん、お久しぶりで・・・」
あ、笑顔が引き攣っているのがわかる・・・
神 隼人、ゲッターチームの一員にして若き天才科学者。
『なかなか良い顔をしてるな、元気そうで何よりだ』
『隼人、話は後だ。まずこいつらを片づけてからだ。えっと、リン君だったな』
FWが増え、精悍な顔つきの好男子といった感じの人が現れた。
流 竜馬、ゲッターチームのリーダー。けっこうカッコイイかも、好みのタイプだ。
『ジオンDCの増援が別の宙域に現れた。アムロ君とコウ君が迎撃に向っている。
君も行ってくれ! 僕達も後から駆けつける!』
「え!? えっと・・・」
一気にまくしたてられ、不覚にも反応できない私に隼人さんの一声が。
『いいからさっさと行けっ!』
「はい!」
あわてて弾かれたように飛び出す私。やはり苦手だ、あの人・・・
黒い三連星をゲッターチームに任せ、私は新手が出た宙域に急行する。

トロイホースに連絡を取ろうとしたが、ミノフスキー粒子が濃すぎて、通常通信がろくに出来ない。
レナンが敵味方識別コードの動きから、戦況の推移を予想して私に知らせてくれた。こいつならではの便利な機能だ。
これによると、クリスさんはドムⅡ三機を撃破、その後チべにとりついている。
ファは二機撃破ののちトロイホースに帰還している、やられたな。
バーニィ准尉は一機撃破のあと、新手に囲まれていた。ザク改で奮戦しているみたい。
新手はMS八機、ザンジバル級巡航艦一隻と出ている。
敵の詳細は不明、この距離じゃわからないらしい。
それと、ルナ2から凄い勢いでGPー01Fbが発進して、一度トロイホースに帰還するやすぐさま発進し、新手につっこんでいったみたいだ。
コウ少尉、本当によくこのスピードで戦えるな。
それとトロイホースから新たに発進したMS、リックディアス。アムロ少佐が出陣したようだ。
生きながらにして伝説になっているスーパーエースの腕前を、私は見ることができるだろうか?

「見つけたっ~~~!!」
ザクを襲っているゲルググタイプのMS二機を発見。ゲルググマリーナとかいうタイプだ。
ヒートホークを振り回して、明らかに性能が上のMS相手に互角に戦っているバーニィ准尉、このまま勇戦ぶりを見学していたいところだが、そうもいってられないので加勢する。
背後からで悪いが、スプリットミサイルで発射する。当てる気のない威嚇用だ。
ゲルググどもは慌ててそれを回避したが、生じた隙をバーニィ・ザク改は見逃さずに、ヒートホークの一撃をゲルググの頭部に叩き込む。
「どこを見てる!」
そして僚機の撃破に気を取られたゲルググを、私はプラズマソードで両断した。
『サンキュー、リン。助かったぜ』
一息ついたって感じのバーニィ准尉からの通信が入った。つい二時間まえまで小母様のことでショックを受けて放心していた人と同一人物とは思えないほど、凛々しい顔をしていらっしゃる。
「准尉、戦況わかります?」
挨拶もそこそこに私は切り出した。
私は一人で突出してしまったため、トロイホースと全然連絡がとれないでいたので、あれから少佐達がどうやって危機を脱したか、知る由もなかったのだ。
『あぁ、アムロさんや艦長がどうやって助かったかってことか。俺も詳しくはわからないよ。俺がわかるのは、この新手がシーマの性悪女の部隊だってことくらいさ』
「シーマって、あのシーマ=ガラハウですか。ジオンDCも今回の襲撃、気合い入ってますね」
私は思わず感心してしまう。黒い三連星も居るし、ただのテロ行為にしては来ているメンツが豪華すぎるな。
『リン、俺はクリスのサポートにまわるから、こっちはよろしくな!』
たしかにザクではこれ以上はきついだろうし、クリスさんのことも心配なんでしょう。
「わかりました。ご武運を!」
心で思った余計なことは言わず、私はバーニィさんと離れた。
この宙域にいるのは味方MS二機と敵MS六機、それとシーマが来ているならザンジバル級巡洋艦改が一隻のはず。
ここで私がとるべき行動は・・・
「ザンジバルを叩く! レナン、頼む!」
コンピューターに出すににしては、余りに雑で曖昧な指示だと思うかもしれないが、ここがレナンの凄いところ。私の脳波を読み取って、私が何を求めているか推測して答えてくれるのだ。
父も詳しく説明してくれなかったのが、ゲシュペンストにはサイコミュなどとは別系統の精神シンクロシステムが組み込まれているらしい。
ニュータイプなど個人的資質によらず、その気になれば誰でも使用が可能とのことだ。ただ、その下準備に二ヶ月かける覚悟があればだが。
レナンがスクリーンに様々なデータを出すまで僅か一秒。
ミノフスキー粒子が濃くてレーダー索敵がろくにできなくても、こいつならではの[予測]で[推理]しているのだ。
[推理]なので、ごくたまに外れることがあるのが欠点だが、今は信じるしかない。
父の創ったゲシュペンストを。

「あ・た・り・だっーーーーー!!」
データを信じた甲斐あって、ザンジバル級改、通称リリー・マルレーン発見。
私は小躍りしたくなるような興奮をおぼえながら、ニュートロン・ビームライフルを構えた。
この距離なら外さない、絶対!
「仕留めてみせる!」
ザンジバルが私の接近に気がついたみたいだ。ノロノロと回避運動をはじめたが今更だ。
トリガーをひく。うまくいけばこれ一撃で沈められるはずだ。
しかし・・・
「あれ・・・」
ライフルから撃ち出された光条は、私の思いとは裏腹に弱々しいものだった。
直撃したが、たいした被害になってはいない。
もしかして・・・
「エネルギー切れだ・・・」
対艦攻撃モードを使ったの忘れていた。レナン、警告くらいしてくれ!
すると視界の右端に[エネルギー充填中、注意されたし]と表示されたFWがあった。
気負い過ぎて見落としていたみたい。あ~~、不覚、迂闊、リンの馬鹿ぁ!
自分の愚かしさを呪っていると、ザンジバルの艦砲が私に向けられているのが痛いほど感じられた。
まずい、引くか? それとも懐に潜り込んで接近戦に持ち込むか。
ザンジバルのミサイル、機銃、メガ粒子砲が一斉に、私に襲い掛かってきた!
・・・しかし、この程度の対空砲火なら、いけるっ!
プラズマソードを引き抜き、接近戦を仕掛けることに決定!
このまま斬り込んで、ヒット・アンド・ウェイをかけ続ければ、撃沈は無理でもDCの連中を撤退させる契機になるはずだ!
そう思いザンジバル目掛けて、突撃をかけようとした私だが、警告アラームによって私の燃えるような決意は変更を余儀なくされた。
[MS接近中 ゲルググ二機]
FWが現れ、新たな厄介の接近を知らせてくれる。
後でで知ったのだが、この敵はザンジバルを助けにきたのではなく、アムロ少佐に追われて逃げて来た所にたまたま私がいただけだったらしい。
しかしスプリットミサイルも弾切れだ、ライフルも充填中、飛び道具なしか。
ゲルググ二機はそのことを知っているのか、ビームライフルを巧みに使って私の接近を許さない。
ゲシュペンストのビームコートを信じて、突っ込むか・・・
ゲシュペンストの装甲には連邦軍でも最高水準の対ビームコーティングが施されているのだが、それを過信するなと父や隼人さんに言われている。
攻撃をよけることを疎かにすることは戦場では死に繋がると。
確かにビームコートされていても、頭部メインカメラや関節各部は他のMSとたいして変わりない。
そこに当たってはお終いだ。
となれば・・・ 躱しながら突っ込む!
我ながら呆れるほど短絡思考だが、他に方法が思い浮かばないのでしかたがない。
私からある程度距離を開き、少し呼吸を整えて。見据えるは敵MS二機 。
「行くぞ」
敵にではなく、自分にそう言い聞かせて、バーニア全開! 突撃開始!
私の接近を阻止しようとする、狂ったような敵の乱射を、何とかぎりぎりで躱していく。
少しかすめているのは私の腕が未熟だからか?
しかし、漸く一機と接近戦できる距離に近づいた!
「もらっ・・・ え?」
凄い速さで私を抜いていった白い何か。
あれは・・・・・・ GPー01Fb、コウ先輩だ!
私に気を取られていたゲルググにあっという間にビームサーベルを突き立てた。
え、なに? いつのまにこんなに接近していたの、この人?
唖然としていると、今度は赤い影が飛び出してきた。
それがアムロ少佐あやつるリック・ディアスだとわかったのは、ゲルググが爆散してからだった。
こちらは何をやったのかすら、見えなかったぞ・・・
『リン、ご苦労さん。とりあえず終わったよ』
通信が開き、コウ少尉が笑顔を映った。
ワイヤーケーブルを使った接触通信みたいだ。
レナンからの情報でも、敵母船とMSが撤退したとの情報が出ている。
私が一人でギャーギャーしているうちに、戦いは終わっていたらしい。何だか、拍子抜けした感じだ
『遅れてすまなかった、リン。帰艦しよう』
続いてアムロ少佐から通信が。あれだけ激しい戦いがあった後とは思えないくらい、落ち着いた顔をしている。
「少佐、ルナ2では・・・」
『あぁ、そのことならトロイホースで話すよ。他にも聞きたい人が沢山いるだろうしね』
そう言って、通信が切れた。それもそうだな。
『リン、少し壊れてるけど大丈夫か? よければ引っ張っていくけど』
「ご心配なく。飾りの羽根を取られただけですので。早く帰りましょう」
そういうコウ少尉のGPー01も、よく見れば装甲のあちこちが傷だらけだ。ニナさん、怒るかな?
『そうだな、早いとこ、ここから退散しよう。ビールでもグーっと飲みたいよ』
不謹慎なことをえらく爽やかに言って、コウ少尉からの通信も切れた。
「ふぅ、終わったか・・・」
言葉に出して、戦いが終わったことを再認識している私。
今までに経験したことのない種類の疲労感が、私の体を包んでいた。
ドムⅡ四機、ゲルググ一機撃破。この戦果が賞賛されるものかはわからない。
でも・・・ 満足することにしよう。生き残れたのだから。
さてトロイホースに帰艦するとしよう!

私の初陣はこうして終わった。


 

 


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- 幕間私のいないところで -





一方、北極ベースでは、恋人が激戦の最中にあったことなど露知らず、病室のベットで惰眠を貪る
ジェスの姿があった。
その横では簡易デスクを置き、書類の山に埋もれながら自らの職務に励むミーナの姿もあった。
先日のDCの襲撃による基地側の被害報告書がようやく提出され、それが事実であることを確認し
つつ、再建プランの骨子を提出する。
これが彼女のここに来た任務であったのだが、司令代行についているウィンに書類を渡されるまで
彼女は完璧に自分の職務を忘れ、ジェスをからかって遊んでいたのである。
さぼっていたツケが雪崩のように押し寄せてきて、彼女はウィン以外の旧友を自分の配下に置き、
問答無用で手伝わさせていた。
ジェスが寝ているのは先ほどまでミーナを手伝って脳が茹ってしまい、回診にきた軍医が安静を申し渡したからだ。
ちなみにパットは算盤三段のへクトールを強制連行し別室にこもって、被害総額を必死になって計算している。
「戦況はどうだ?」
ウィンが差し入れを持ってあらわれた。時計を見ると午後三時、一息いれるには調度良い時間だ。
「事務屋って、嫌よね。数字と戦うなんて、勇者ミーナちゃんのすることじゃないわ」
「いつ、自称名探偵を辞めたんだ?」
珍しくウィンが冷やかすようなことを言ってきた。
「心ならずも休業中よ!」
そう言うや、ウィンが持ってきたトレイからコーヒーをいれた紙コップをひったくる。
「ぶー、ブラックじゃないのー。にがぁー」
悪態をつくミーナを無視して、ウィンは大口開けて寝ているジェスのベットに軽く腰をかけた。
その仕種が気障で、しかも様になっているのも、ミーナは癪にさわった。
「乙女に差し入れするなら、ロシアンティーとかレモンティーとかにしなさいよね~、まったく・・・」
不平をもらしながらも、ズズッとコーヒーをすすり続けるミーナ。
「だったら飲むな」
ウィンがそう言って自分のコップに口をつけた時・・・・・・
トントン。
軽やかにドアをノックする音がした。ここを拠点として三日たつが、ミーナはこの上品なノック音を聞くのは始めてだ。パットならドンドンだし、ヘクトールならガンガンって音のはずだ。
「どうぞ、あいてますから」
ミーナがそう告げると、ドアを開け姿をあらわしたのは、体のラインがくっきりでた黒いツナギに、
同色の皮ジャンバーを着込んだ、美しいブロンドの女性だった。
「どうも」
そして艶然と微笑まれたウィンとミーナは、思わず固まってしまった。
「あ、あの、どちらさまですか?」
ここまでうろたえたのはウィンの生涯で始めてかもしれない。彼の問いに笑顔で答え、女性はジェスの枕元に立った。
「ジェス、起きなさい!」
ジェスのパコンといい音のする頭を、奇麗に叩く女性。その手つきが手慣れている、そして顔から察する年齢と合わせてミーナは女性をジェスの姉と推理した。
しかし、その推理は寝ぼけたジェスの言葉によって一瞬でで瓦解した。
「・・・・・・あれ、お袋、なんでここに?」
ガガァーン!!
二人の脳天をこの古典的な擬音が埋め尽くした。 あまりのショックに二人は固まる。どう見ても、彼女は自分と同年の息子が居るとは思えない。
二人はジェスとリンの家庭事情を聞いて知っているので、彼女が実の母親なのは間違いないだろう。でも、目の前の実像がそれを認識するのを拒否している。
「息子の見舞いに、わざわざこんな北の果てに来るわけないよな」
すると母親、カレンが額をくっつけてきた。子供の頃、リンやジェスが病気になると、カレンがこうしてくれたのを、ジェスは思い出した。
そうされていると不思議とギスギスしてた体の違和感がなくなっていく。
「リンを護ったんだってね」
ジェスにしか聞こえないくらいの小声で、カレンが囁いた。
「フランとの約束、ちゃんと守ったね、よくやったぞ」
「当然」
リンの母親が殺されたとき、ジェスは子供だった。リンの母親を助けられなかった。
そして、リンを哀しませた。
ジェスはその時誓った。もうリンを哀しませない、哀しませるものを許さない、と。
その想いがジェスを強くしていった。青い巨星と対峙できるほどに。
「よし、起きなさいジェス。貴方を迎えに来たんだから」
一転して部屋中に響き渡る声で、カレンが言った。
その言葉でウィンとミーナの石化が解けたらしく、あたふたと二人に割ってはいる。
「あ、あのジェスのお母様、これでもこいつは全治一ヶ月の重傷なんで出来ればそこに置いといて
ほしいんですが・・・」
「それに、ジェスは連邦の士官です。勝手に任地を離れることは軍規に反します」
二人の言葉に、友人を思いやる気持ちを感じたカレン。嬉しそうにポンポンと息子の頭を叩いている。
「ミーナさんに、アーウィン君ね。うちの単純息子と仲良くしてくれてありがと」
そして必殺のウィンクと投げキッス。小さなハートが飛んできそうだ。
「そのへんに抜かりはないわよ。お偉いさんには話通してあるから」
「ま、お袋は言い出したらきかないからな」
ジェスもわかったようにベットから起き上がる。わずか数日で体の動きは随分とスムーズになってきている。
「で、その単純息子をどこに連れて行くんだ」
パジャマから連邦制服に着替えていくジェスが、美しい母親に問い掛けると、カレンは晴れやかな
声で息子に告げた。
「テスラ=ライヒ研よ! 懐かしい古巣が私たち親子を呼んでいるわ!」



1時間後、北極ベースから飛び立つカレンとジェスが乗る年代物のジェット機と、それを追いかける
パットとミーナとへクトールが乗るガンペリーを見送る、呆れ顔のウィンの姿があった。
「奴等は絶対にいつか軍法会議行きだな」
ジェスの母親が軍部にどんなコネをもっているのかは分からないが、今のままの軍部では
「面白そう」というだけで独断で行動しているジェス以外の3人には何らかの処分があるだろう。
でも、そうとわかっていてもその道を迷わず選ぶ友人達を羨ましいと思う自分がいる事を、ウィンは
自覚していた。
ナイメーヘンでの付き合いで、自分も僅かながら朱に染まったらしい。
「たく、何をやるか知らないが、頑張れよ」
しばしの別れの言葉を少しの羨望と共に、ウィンは飛び立ってゆく友人に送った。


 -第三話 Aパートへ-


【後書き】
 今回も幕間とセットです。
 初陣、主人公の初戦闘終了。ちなみに最後、リンが無駄足を踏むのは
新人らしさを狙ったからです。主人公はだんだんレベルアップしてこそ花!
って感じでいきますので。
ちなみに途中のリンの妙な覚醒はニュータイプに目覚めたとかじゃありません。
そういうカラクリがあるマシンってことだと思ってください。
Fのリアル系主人公たちにニュータイプ属性あるんで、誤解された方が
多かったので説明しておきます。
アムロがリックディアス乗っているのは、リックディアスが好きだから、以上!


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