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No.16394の一覧
[0] F REAL STORY  【スーパーロボット大戦Fっぽい】 [まくがいば~](2010/02/18 22:25)
[1] F REAL STORY  プロローグ01 【これだけR-15位】[まくがいば~](2010/02/22 22:20)
[2] F REAL STORY  プロローグ02[まくがいば~](2010/02/23 23:05)
[3] F REAL STORY  幕間 -私がいない所で-[まくがいば~](2010/02/14 22:47)
[4] F REAL STORY  第一話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:16)
[5] F REAL STORY  第一話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/18 22:24)
[6] F REAL STORY  第二話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:08)
[7] F REAL STORY  第二話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/21 00:32)
[8] F REAL STORY  第三話 Aパート[まくがいば~](2010/02/23 22:31)
[9] F REAL STORY  第三話 Bパート[まくがいば~](2010/02/24 23:37)
[10] F REAL STORY  幕間  -私のいない所で-[まくがいば~](2010/02/27 22:04)
[11] F REAL STORY  第四話 Aパート[まくがいば~](2010/03/02 17:08)
[12] F REAL STORY  第四話 Bパート[まくがいば~](2010/03/06 21:49)
[13] F REAL STORY  第四話 Cパート[まくがいば~](2010/03/06 21:53)
[14] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/03/09 00:09)
[15] F REAL STORY  第五話 Aパート[まくがいば~](2010/03/11 21:19)
[16] F REAL STORY  第五話 Bパート[まくがいば~](2010/03/16 21:47)
[17] F REAL STORY  第五話 Cパート[まくがいば~](2010/03/17 22:32)
[18] F REAL STORY   幕間[まくがいば~](2010/03/28 20:29)
[19] F REAL STORY  第六話 Aパート[まくがいば~](2010/03/28 20:30)
[20] F REAL STORY  第六話 Bパート[まくがいば~](2010/04/02 22:08)
[21] F REAL STORY  第六話 Cパート[まくがいば~](2010/04/02 22:12)
[22] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/05 23:17)
[23] F REAL STORY  第七話 Aパート[まくがいば~](2010/04/08 22:36)
[24] F REAL STORY  第七話 Bパート[まくがいば~](2010/04/11 22:00)
[25] F REAL STORY  第七話 Cパート[まくがいば~](2010/04/13 18:47)
[26] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/15 21:25)
[27] F REAL STORY  第八話 Aパート[まくがいば~](2010/04/19 21:29)
[28] F REAL STORY  第八話 Bパート[まくがいば~](2010/04/21 23:11)
[29] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/24 22:58)
[30] F REAL STORY  第九話 Aパート[まくがいば~](2010/06/04 22:54)
[31] F REAL STORY  第九話 Bパート[まくがいば~](2010/06/04 22:57)
[32] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/06/24 15:51)
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[16394] F REAL STORY  第九話 Aパート
Name: まくがいば~◆498b3cf7 ID:361a872e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/04 22:54
「リ、リン~~・・・ ひょっとしてすっごくマズイ状況?」
「あぁ!! こら動けゲシュペンスト!! 動いてくれ!!」
 傷ついた使徒が、剥き出しの敵意をこちらにむけているのがありありと感じられる中、私は作動不能に陥っている
ゲシュペンストを動かそうと必死になっていた。
 並列の核融合炉は2機とも健在! 膝がオシャカになっていても脚に取り付けられた熱核ホバーがどちらかでも動
けば、この場を離れられるはずなんだ!
 なのに、無理がたたったのか腰から下のパーツがこちらのコントロールを受け付けなくなっている。
 あぁ、マズイ、やばい!
 後ろでガタガタ震えているアム。最悪、彼女だけでも助けないと!
 もう、これしかないか・・・
 私はシート左下にあるカバーを外す。その中のボタンを押すとコックピットの強制排出がされるのだ。
 ゲシュペンストを捨てたくはない・・・ でも、アムを巻き添えにするわけにはいかないんだ。
 私の指がボタンにかかったときだった。
『リン、アム!!』
『今、助けます!』
 センサー系がかなり死んでいるんで気づかなかったのだが、いつのまにかエルガイムとグライアが接近してきてい
た。そして、その2機に挟まれるや両脇を抱え上げられ、そのまま引っ張られていく。
 その引っ張られた一瞬の後、使徒の右腕部らしきところから発生した光の鞭がゲシュペンストが居た空間を薙いで
いった。
 ・・・間一髪だったな。思わず唾を飲み込んでアムと顔なんか見合わせてしまった。
『リン、無事なの?』
 左側を抱えているグライアから、レッシィの声で通信が入った。ポセイダル軍からかっぱらったのかな?
「あぁ、アム共々無事だ。ありがとう」
「レッシィ、大好き、ダバの次に愛してるわ!」
 助けられた途端にこの態度のアム。相変わらず調子いいんだから。
『アンタはオマケなんだから黙ってな、アム。でも、リンが無事でよかったよ。借り、返せたかな?』
 声オンリーの通信になっているけど、レッシィが私を心配してくれていたのはこんな状況でもうれしい。
「お釣りがくるくらいな」
『そっか、よかった』
『ギャブレー! いいぞ!』
 レッシィとの会話にダバ君の声が割り込んできた。なんとか生きているモニターで鬼面のHMに乗っているはずの
タレ目男を探す。
 居た、どっから持ってきたのか長棹のバスターランチャーとか言う大砲を構えていた。ダバ君に聞いたところ、あ
れがHMが持てる最高の威力の兵器で、A級HMでなくては撃てないモノらしい。
 ちなみにその威力は我がゲシュペンストのニュートロンビームライフルの対艦モードをわずかに上回る。
『もう何がなんだかわからんが!!』
 いつの間にか、協力してしまっているタレ目男が、その大砲で使徒に狙いをつける。
『グレース、もう一回やるぞ!』
『はいです!』
 そしてまだ健在なゲッタードラゴンが、再びゲッタービームを放つ!
 タレ目男のバスターランチャーが火を噴く!
 それぞれ別の方向、角度から、使徒に襲い掛かった二条の光の矢!
 だが、やはりそれはあのバリヤーに阻まれた、が・・・
 バリヤーが再びはじけて消えた! そしていくらか減衰したようだがゲッタービームとバスターランチャーの光条
が使徒の身体に突き刺さった!
 爆発!
 やつも弱っていたんだ、さっきの甲児さんや私の一斉攻撃によって!
『・・・やったのか?』
『いや』
『まだみたいですぅ!』
 タレ目男の言葉は、すぐさまゲッターGのパイロット二人によって否定される。
 その言葉どおり、身体のかなりの部分を溶解させながらも、使徒は再び黒煙の中から姿を現した。なんてしぶとい!
『ダバ=マイロード! どうするのだ!?』
 タレ目男が慌てて距離をとりながら、ダバ君に詰め寄った。あれを一回撃つとエネルギーがほとんどスッカラカン
になるらしいので、タレ目男の出番はここまでだろう。
『今度は僕が撃つ! ギャブレー、バスターランチャーを渡せ!』
 規格の違いとかはないらしく、エルガイムでもあのバスターランチャーは撃てるみたいだ。
 でも・・・
「細かいダメージを与えても、やつの息の根は止められないかもしれないぞ・・・」
 私の独言にアムが反応して訊いて来た。
「それってどういうことなの。けっこうやられて、もう一息って感じじゃない?」
 そのアムの問いに使徒を指差して私は答えた、さっき気がついたのだが、見ている自分でも信じられないことがあ
の使徒には起きていた。
「ホラ、再生が始まっているんだよ、アイツの身体」
 そうなのだ。損傷したヤツの身体の各所が、見る間に復活していくのだ。まるでフィルムの早回しを観ている気が
する。それほど非常識な速さの再生だ。この分じゃあと30分もしないで使徒はもとの姿に復活するだろう。
「ヤツを倒すにはきっと・・・」
『もっと強力な武器をぶつけるしかない、か・・・』
 私の独白みたいなものを聞いていたらしい隼人さんが、呟くように言葉を続けた。まったくその通りだと思うのだ
けど、そんな兵器どこにあるというのだ?
 あ・・・ そうだ! とびっきり凄いのがあっただろうが、すぐ傍に!
「隼人さん、シャインスパークは撃てないんですか!?」
 ゲッタードラゴン最大の武器、シャインスパーク。聞いた話ではジオンDCのあの空母ドロスを一撃で沈めるほど
の威力があるらしい。
『残念だが、シャインスパークだけは三人のパイロットが揃わんことには使えない』
 隼人さんの返答は無情だった。あぁ、世の中そう上手くいかないか・・・
 あぁ、ホントにどうすればいいんだ、この状況!?
『せめてリョウかベンケイのどちらかでもいればな・・・』
『大変困りモノですぅ~~』
 あの隼人さんが弱音を吐いている・・・ グレースも眉根をよせて頭を抱えているし。
 状況は本当に絶望的だ。私は、私の仲間たちはあんなわけのわからないオタマジャクシもどきにやられてしまうの
か!?
『こ、こいつを食らってもまだ立ってられるかオタマジャクシ野郎!!』
 !!
 この声、甲児さんか!?
 さきほどマジンガ-Zが放り投げられたことによって、瓦礫の山と化してしまった格納庫郡。それがゆっくりと崩
れていき、そして姿を現したのは・・・
 巨大な翼をつけた、マジンガーZ。
 あ、あれは確かツイングレートブースターとかいう・・・
『隼人さんも、リンもなに泣き言ほざいてやがるんだ! 俺たちはまだ負けちゃいねぇ!!』
 私は、正直絶句していた。
 巨大な翼本体は、格納庫の瓦解にもほとんどダメージを受けていなかったみたいだけど・・・
 マジンガーZ本体の方が、なぜあれで動けるんだと思うくらい、それはボロボロだった。左胸部と腹部に大穴があ
いているし、両腕もない。光子力ビームの発射口たる目も左側が潰れているし・・・ よくみると、コックピットの
パイルダーの強化プラスチックも砕けている。
「あ、あのロボットって・・・」
 アムもそれ以上言葉をつなげないようだ。気がつけば沈みかかっていた夕日を背に受けたその姿は、まるで神像の
ような神々しさまであった。
 そうだ、まだ負けちゃいないんだ、私たちは!
 私は、自分の両頬に気合を入れるために、思いっきり張り手をかます!
 パァ~~~~~ン!
 小気味良い音がコックピットに響き渡った。ちょっと痛いけど、おかげで気合が入った。
「ちょ、ちょっとリン、大丈夫? 手形くっきりよ?」
「レナン、自己診断! なんとしても動けるようにしろ!」
「あ、ほっぺが膨らんできた。小動物みたいで可愛い♪」
 アムの軽口は無視して、レナンに自己診断、自己修復を命ずる。さっきも慌てないでこうすればよかったのだ。
『ふっ、そうだな。らしくなかったぜ』
 隼人さんにも、それなりに活は入ったらしい。さきほどまでのどこか諦めたようなところが消し飛んでいる。
『いけいけゴーゴーですぅ♪』
 グレースも、みたいだ。こいつのノリはきっと地球が明日なくなるって言ってもかわらないだろう。
 FWに故障箇所が複数提示されていく。膝の関節フレームが一番重症みたいだな。でも、反重力システムが再起動
できそうなので、背中のバーニアを併用すれば、地面をすべって移動することができそうだ。
「ダバ君、その大砲撃つの、もう少し待ってくれ! さっき教えたヤツの鞭の範囲ギリギリを移動して牽制を頼む!」
 うっ、我ながら無茶頼んでいるのを言い終わってから気がついた。でもダバ君は何のためらいも見せずに、
『了解!』
 と果敢に突撃していく。キミはなんて素直なんだ。
 センサーも予備に切り替わって、普通のMS並くらいまで復帰した。う、首の間接がいかれて真正面しか見れなく
なっているみたいだ。
「アム、降りていろ! この中にいたら私と心中になりかねない! レッシィ、アムをもって一緒に離れていてく
れ!」」
 今のうちにと、私はアムにそう言った。私も死ぬ気はさらさらない。でも、万が一があったときに、彼女を道連れ
にはできないし。
「いやよ。レッシィと相乗りするくらいなら、リンと心中したほうがずっとまし!」
『はん! こっちだってゴメンだね!』
 こいつらは・・・・・・ 状況をわきまえているのか?
「あのな、アム、今・・・」
「それにね、ダバが頑張っているのに、私一人だけ安全なトコに逃げるなんて、イヤなの」
 私が諭そうとすると、それをアムがさえぎって言葉を続けた。う、そう言われると、同じ惚れた男を持つ身として
は断りづらい。
『こんなグライアでも何か手伝えるかもしれないだろ、リン』
 レッシィにもそう言われては。
「わかった、心中することになってもうらむなよ、二人とも!」
『了解!』
「でも、なるべく仲良く生き残りましょうね♪」
 最後に気の抜けるようなことを言ってくれるアム・・・ でも、この子が居てくれて今日はずいぶん助かっている
かもしれない。なんていうか、居てくれるだけで暗い気分を払拭してくれると気がする。
 状況は相変わらずこちらが不利なはずなのだが、なんと言えばいいのだろうか。上手くいえないのだが、追い風、
みたいな雰囲気を感じるのだ。
 そしてゲシュペンストのシステムが現状で最高まで回復して時だった。
 先ほど地下に引っ込んでしまった鉄人が、再びせり上がってきた。その両腕に何かを持っている。
 なんだろう、アレ? 長さは、20メートルくらいか。組み立て途中のレーザーキャノン砲、そんな感じがする。
そして、その砲身にケーブルが繋がれていて、それが地下へと繋がっていた。あの下って何があるんだろう?
『リンさん、ご無事ですか!?』
 カネダさんから通信。カネダさん、これを取りに一回引っ込んだのかな? でも、なんだか如何にもこの研究所謹
製の試作品、そんな雰囲気バリバリの武器だな。
「私は無事ですが、カネダさん、それなんですか?」
『詳しい説明は後です。リンさん、まずはこれをゲシュペンストに持たせてください』
 カネダさんの声、すっごく緊張しているのが分かる。なんだろうか、この武器は?
 ふと視線が使徒の方に向いた。
 ダバ君はエルガイムを滑空させて、そしてゲッターGもライガーに変形して、両機とも使徒の鞭の範囲ギリギリを
綱渡りしている。
 マジンガーZはツイングレートブースターの点火にとまどっているみたいだ。
 攻撃が出来ていないから、あの使徒はジワリジワリとその不気味な身体を再生させている。このままじゃマズイぞ。
 私は愛用のニュートロンビームライフルを離して、その長い武器を手に取る。レーザー砲かなにかかだろうか?
レッシィのグライアや鉄人に手伝ってもらって、ゲシュペンストにピッタリ合うトリガー部分に右腕をかけた時だっ
た。
 コックピットの電源がいっせいに落ちた。
 突然のことだったので、「え、え?」とアムと一緒に狼狽していると、すぐに電源は再起動し、システムが次々に明
かりを取り戻していく。
「レナン、なにが起きたんだ?」
 先ほどの停電の原因をレナンに訊く。ブレーカーが落ちたのかと思ったぞ。
 でも、いつもならすぐさまFWを発生させて説明してくれるレナンからの回答がない。
 言い知れぬ不安が・・・ レナンのシステムに何か起きたのか?
「レナン、どうした、返事をしろ!」
 だが返って来たのは、
『パスワードを入力してください』
 と表示されたFW。え、なにがどうなったんだ!?
『リンさん、聞いて下さい』
 軽いパニックになっている私に、切迫したカネダさんの声が届いた。
『いま、ゲシュペンストに新しいシステムが立ち上がったはずです』
「え、あ、はい・・・」
『そのシステムを起動させるパスワードを入力してください。そうすれば、この【ブラックホールキャノン】を撃つ
システムが立ち上がるはずですから』
「ぱ、ぱすわーどと言われても・・・」
 私は戸惑うしかない。だって私は今の今まで、私のゲシュペンストにこんな隠れたシステムがあることすら知らな
かったのだし。
 ふと初陣の時のことが頭に蘇った。
 黒い三連星との戦いのさなか、ふと意識が宇宙に跳び出してしまったかのような感覚に包まれた時。
 そしてそれを隼人さんに相談した時の言葉。隼人さんはこう言ったんだっけか。
『親父さんを信じろ』と・・・
 妙に現実感を喪失している私の意識に、カネダさんの声が飛び込んでくる。
『マオ博士は言っていました。リンさんをいつでも見守ってくれている人の名前を、パスワードに設定したと』
 私をいつでも見守ってくれる人・・・?
 そんなの一人しかいないじゃないか!
「フラン! フランシス!」
 私はその名を呼んでいた。フランシス、ママの名前・・・
 すると、【パスワードを入力してください】と出ていたFWは消え、私の座っているシートとかが妙なうなり声を
あげ始めた。
「え、え!?」
 私の横に座っていたアムの予備シートも勝手に収納されて、シートが全体的に後ろにひっつくようなトコまで後退
していった?
 なんだ、なにが起きているんだ?
「あ、あたしどうすればいいのかな?」
「わけわからないから、わたしの膝の上でも座ってくれ!」
 コックピットがこんな風に動くなんて・・・ これも説明されていなかったぞ。
 父さん! あなたはこのゲシュペンストで何をする気だったんですか!?
 静かな憤りが胸の奥に渦巻いていく。
「では、失礼しまぁ~・・・ きゃぁ!」
「むぎゅ! き、きつい」
 そしてアムが私にヨイショと乗っかった時に、シートの後ろにあったショックバーが下りてきて、私とアムをシー
トに強制的に固定してくれる。アムの長い髪の毛が顔にかかって前が見づらいぞ!
 そして、右の射撃管制用のレバーがほぼ中央に来て、50インチくらいの巨大なFWが出現して、コックピットの
変動を終了したようだ。
「な、なにが起きたのかな?」
「私に訊くな!」
 思わずアムに噛み付く。ゲシュペンストのことなら何でも知っているつもりだったのに・・・ 少し屈辱だ。
『システム変更すみましたか!?』
 カネダさんが訊いて来た。
「カネダさん、これはいったい何なんですか!?」
 こんなこと訊いている場合じゃないかもしれないけど、訊かずにはいられない。いったい、今なにが起きているん
だ?
『あとで、イヤってほど説明させていただきますから、今は勘弁してください。それより今からいうことをゲシュペ
ンストに入力してください、お願いします!』
 カネダさんは有無を言わさぬ迫力で、言ってきた。う、逆らえない・・・ 温厚な紳士だと思っていたのに・・・
こんなに激しい部分があったんですね、カネダさんってば。
「了解しました」
 気おされる形で頷く私。
『では行きます。えっと・・・』
 パラパラとマニュアルらしきモノを捲る音がするのが少し不安だ。カネダさん、どこにいるんだろうか?
『現在位置認識!』
「えっと、フラン、でいいのか?」
 なんてこのOSを呼べばいいのかわからないので、とりあえずお伺いを立てると【Yes】と返って来たので改め
て。
「フラン、現在位置認識」
【了解:現在位置:地球:北アメリカ大陸:テスラ=ライヒ研内】
 私の命令を聞くと、目の前のでっかいFWに線画で示された地球が浮かぶとすぐに北アメリカ大陸がアップになっ
て、最後はテスラ研の俯瞰図が示された。
『次、ジェネレーター作動。外部ケーブルと接続』
「はい。フラン、ジェネレーター作動、外部ケーブル接続!」
 カネダさんに言われるまま、意味もわからずそう命令する。そこで気がついた。いま私の前に現れているFWには
ゲシュペンストが持っている正体不明のレーザー砲らしきモノの線画が出て、各部の説明なども現れているのだが、
そこであるパーツに思わず目が行く。
 こ、このキャノン砲みたいの・・・ これ単体でもの凄いジェネレーター積んでいるぞ・・・ 核融合炉2基併用
4800kwのゲシュペンストほどじゃないけど、このゲージからすると3000kw前後の・・・
「カネダさん、こ、これ・・・」
 私はもの凄い物騒なモノ持たされている気がして、思わず及び腰になる。しかも伸びたケーブルからさらにエネル
ギー引っ張る気なのか、おい?
「いったい、どんな弾撃つ武器なんですか!? これじゃハイパーメガ粒子砲でも撃つみたいじゃないですか!?」
 思わず声が上ずっている。
 今の私の中では、ちょっと離れた場所で死闘を繰り広げている使徒よりもゲシュペンストが握っているこのわけの
分からない兵器の方がかなり不気味だ。
 そういえばさっきこんなこと言ったなカネダさん。ブラックホールキャノンとか・・・?
 ブラックホールといえば、伝説の凶悪機動兵器-グランゾン-がマイクロブラックホールを発射するとかいうこと
を聞いたことがある。その威力は小惑星を一撃で破壊するとかしないとか・・・
 もしかして私が手にもって発射準備を着々と進めているこれって・・・
 こんなもん大気圏内で撃っていいのか?
「・・・リン、なんか顔が青くなって面白いよ?」
 すぐそばで身体を密着させているアムが失礼なことを言ってくる。
「自分がいま持っている兵器が、もの凄く物騒みたいでな・・・」
 私が青ざめている間に、正体不明のOSは、着々と発射シークエンスを開始している。
【発射出力は何%に設定しますか?】
 そしてそんなことを訊いてくる。
「何を撃つかも知らないんだぞ、私は!?」
 思わずコンピューターに食って掛かってしまう。
【出力設定を】
 そんな私の憤りも知らずに、フランというOSは再び質問をしてくる。ママと同じ愛称のくせにむかつく。
『リン、発射準備ちょいまち』
 するといきなりFWが現れて、小母様の姿が映った。あ、なんかちょっと涙が出そうなほどホッとしちゃってるぞ
私。
「小母様ぁ~。これ何なんですか?」
「あ、こんなリン初めて・・・」
 私が妙に甘えた声を出してしまったので、アムが目を丸くしているけどこの際おいておこう。
『説明は、あとで。レーダーがね、と~っても素敵な援軍が来てくれているって言ってるからね、もうちょっと様子
見ね』
 小母様がウィンクしてそう教えてくれた。
『はぁ~、助かりましたぁ~』
 カネダさんが心底安心したって感じのため息なんぞついている。あなた私に何を撃たせる気だったんだホント?
「え、援軍、ですか?」
『うん、もう到着するころかな』
 小母様がそう言うと同時だった。
 超高速で接近する物体をゲシュペンストのレーダーもキャッチした。
 接近速度・・・ マッハ8.1!? こんな非常識な速度で飛べる機体って・・・ あっ!!
 私が気がついたのと同時に接近する機体をフランが教えてくれる。
【識別確認:ゲッターロボ】
 そして通信に勇ましい声が飛び込んできた。
『待たせたなぁ! ハヤト、グレースちゃん!!』
 一瞬、赤い閃光が頭上を通りすぎた。それが物理法則を無視しまくった急停止をし、私たちにその姿を現す。
『フッ・・・リョウ、遅かったな』
『わぁお、竜馬さんかっこいいですぅ~~♪』
『よぉ、リョウさん、久しぶり・・・』
 隼人さん、グレース、甲児さんが口々に言う。
『甲児くん、ずいぶんな有様だな、大丈夫なのか?』
『ほんとすげぇやられっぷりだな、甲児くん。マジンガーZをそこまで・・・』
 竜馬さんの言葉の後に弁慶さんの野太い声が続いた。
『やるっていうのかよ、あのオタマジャクシみたいのは』
 やはりあの使徒は万人にオタマジャクシに見えるらしい。
 でも・・・ この場面で竜馬さんと弁慶さんが来てくれたのはすごく大きい。正規ゲッターチームの精鋭3人が同
じ場所にそろったのだ。
 ゲッター1がこの場に来た途端、使徒もその攻撃を止め、その意識らしきものをあきらかにゲッター1に向けてい
る。
『リンちゃんにダバくん達も無事だな』
「あ、はい、なんとか」
『はい、流さんに車さん!』
 ゲッター1は軽く周りの状況を確認する。
 そして竜馬さんも正体不明の使徒に宙から相対する。
『遅れてすまなかったな、みんな・・・』
 竜馬さんは静かに言った。でもその声音の中の闘志に、思わず私は背筋がゾクッとした。
『リョウ、ドラゴンに乗り移れ。シャインスパークでもなければ、その化け物は倒せない』
『そうか、わかった。いくぞぉ!! ハヤトぉ、ベンケイぃ!!』
 竜馬さんの掛け声、通信スピーカーにノイズが混じるくらいの気合だ。
『あぁ』
『おぉ!!』
 その声に隼人さん、弁慶さんの声が続く。
 使徒の注意が完全にゲッター1に向いている。性能的にはゲッターGの方がはるかに上なのだが、脅威は竜馬さん
が乗るゲッター1の方が上なのだろう。
 その竜馬さんがゲッタードラゴンに乗り移れば、こっちの勝ちは確実だ。
 ん・・・? そこで気がついた。あのオタマジャクシってそういう情報をどうやって理解しているんだ? 外見と
は裏腹にアイツの知能レベルはかなり高いのでは?
『リョウさん、一分くらいなら稼いでみせるぜ・・・ いくぞぉ、マジンガーZ!!』
 高エネルギー反応! マジンガーZが覚醒した。背中の超巨大ブースターが火を噴いている。
 そのままなんのフェイントもなくマジンガーZが飛び出す! それていた使徒の気が急激にマジンガーZに戻った。
『いまだ、オ~プンゲェット!!』
 そのわずかな瞬間を逃さず、ゲッターロボ、ゲッターG計6機のゲットマシンが分離。渦をまいて急上昇をかけて
いく。
 もしかして上空で乗り移る気か、竜馬さん?
『どいてろぉ、ダバ!』
 そして、マジンガーZはそのまま一直線、矢のように使徒に突っ込んだ、が・・・
 浮かび上がる憎憎しい八角形、マジンガーZの背中に装着された凶悪な突撃用ニードルが、それに阻まれている。
『甲児さん、気をつけてください!』
 だがその拮抗状態を、ダバ君は見逃さなかった。先ほどタレ目男が使ったバスターランチャーを構え、腰のプラグ
に接続している。
『いくぞぉ!』
『いっけぇ~~~』
 ダバ君の気合にリリスの可愛い声が重なって、トリガーが引かれた。エルガイムが反動で後退していくほどの凄ま
じい光条が放たれ、マジンガーZと使徒が押し相撲状態になっている側面に突き刺さる。
 三度、バリヤーが破れた!
 そして、そしてついにマジンガーZが背負ったツイングレートブースターの突撃用ニードルが突き刺さる!
『ふっとびやがれぇ!!!!』
 甲児さんの気合と共に、ツイングレートブースターがマジンガーZから分離、そのまま単独で使徒を突き刺したま
ま中空へと飛んでいく。
 そしてマジンガーZはそのまま糸の切れた凧みたいに地面に叩きつけられた。
 甲児さん!? 思わず助けにいこうと駆け寄ろうとしたのだが・・・
 ゲシュペンスト、ピクリとも動いてくれない・・・ 先ほどから抱えさせられている謎のキャノン砲の発射体制に
移行してしまったせいか?
『かぁ~~、イテェな、さすがに』
 だけど思ったより元気な甲児さんの声が通信で入る。けどマジンガーZはさすがに動けなくなってしまったみたい
だ。というか今まであの状態で動いていただけで凄いと思う。
『あとは頼んだぜ、ゲッターチーム』
『お任せですぅ~~!』
 甲児さんの声に脳天気な声が応えた。
 そして空から白い一点。それが大きくなり現れたのは・・・ ゲッター2ぅ?
 それにはこのお気楽な声から察するに乗っているのはグレースだよな。・・・てことは、ゲッターチームは何千メー
トルか上空でグレースを旧ゲッターに乗り移らせて、皆さんはゲッターGに乗り移ったっていうのか? どんなアク
ロバットを行ったんだろうか?
『ハイハイハイハイハイハイィ~~~!』
 グレースのどっか緊張感の欠けた掛け声と共に宙にまった使徒に上空からゲッタードリルとゲッターアームのラッ
シュをかけている。あ、なんか凄い。
『じつはさっきから気になってたんだけどよぉ、リン』
 私たちはあれほど苦労したっていうのに、面白いくらい使徒にダメージを与えまくっているゲッター2を見ながら、
どこか虚ろな声で甲児さんが訊いてきた。
「なんでしょうか?」
『いつからゲッターチームに、場違いな女の子が入ったんだ?』
 私は答えに迷って、結局、こう言った。
「ちょっと一言二言では話せませんね」
 あのクルクル巻き毛の娘が私の士官学校時代の困った友人で、ルナツーで問題を起こしてロンド=ベルに引き取ら
れ、そのあと隼人さんにひっついてゲッターロボに乗らせてみたら意外な才能があって、いつの間にやら当然のよう
にゲッターロボに乗るようになっている。やっぱ簡潔に説明しづらい。
『ハイハイハイィ~~、ヤァ!!』
 ゲッター2は上空からのラッシュをかけ、最後に両アームを上にあげ、両手で思いっきり使徒を殴りつけた。
 突き刺さっていたツイングレートブースターは外れて、あさっての方向に飛んでいってしまい使徒は地面に落下し
ていく。
『これは、リンちゃんたちをいぢめた分、ですぅ~~~!』
 最後に嬉しいことを言いながら、ゲッター2は高加速で地表に激突寸前の使徒より先に地上に降り立った。そして
掲げられたドリルに、使徒が突き刺さった。
「グレースちゃん、凄くない?」
「・・・うん、凄い」
 かなり唖然としている私は、アムの意見に素直に同意した。いくら使徒が弱っていたとはいえ、いまの一連の連続
攻撃は、見事としかいいようがない。
『ドリルぅ~~~ミサイルですぅ!!』
 そしてドリルは突き刺さったまま高速回転をはじめ使徒の肉体をえぐるえぐる。飛び散った赤いのはヤツの体液か?
ゲッター2から放たれたドリルは、使徒を突き刺したままわずかにその身体を宙に浮かせる。
 そのわずかに隙間があいた瞬間に、グレースはゲッター2を移動させる。 そしてその場に今度こそ使徒は叩きつ
けられた。宙に浮けるはずのヤツが地面に叩きつけられたのだ。かなり弱っているぞ。
『オープンゲットですぅ~~!』
 う、グレース独壇場だ。ゲッター2を素早くオープンゲットさせると、今度はゲッター3にチェンジした。
 まだ動こうとする使徒に、ミサイルを連続発射して追い討ちをかけている。
 再び例のバリヤーが発生しているが、ミサイル攻撃のせいで使徒は体勢すら立て直せないでいる。
『よくやったぞぉ、グレースちゃん!!』
 そして夕闇せまる空に、超新星が発生したかのような、白い閃光が生まれていた。
『いくぞぉ~~~~、ゲッターシャァ~~イン!!』
 竜馬さんの裂帛の雄叫び。白い閃光がさらにその輝きをましたいる。
「え、なに、今度はなに!?」
 アムがかなりビックリしている。私はあることに気がついて通信で皆に呼びかけた。
「みんな、使徒から離れろ! あいつがやられる時なにが起きるか想像つかない!」
『了解です』
 ダバ君のエルガイムはすぐに反応してその場を離れるが、マジンガーZはそうもいかないようだ。
『お任せですぅ~』
 でもグレースが気がついたらしくゲッター3でマジンガーZの脚をつかむや、そのまま引きずってその場を離れて
いく。
『ちょっと、お手柔らかに、頼むぜ、おい!』
『贅沢は敵ですよぉ~♪』
 甲児さんの不平もどこ吹く風で受け流すグレース。やっぱ大物だな。
 皆だいたい1キロくらい離れただろうか。            
 肉眼では見つめられないくらい、その白光が輝きを増した。まるで間近に第二の太陽が出現したかのようだ。
『シャァ~~インスパァ~~~~~ク!!!!』
 スピーカーが飛ぶんじゃないかってくらいの竜馬さんの声が響くと、閃光が急降下してくる。
 地表でのたうつ使徒の間近で白い閃光の中から、赤いドラゴンが急上昇をかけ離脱する。そして高エネルギー体と
してすでに質量すらもっている閃光は加速そのまま、使徒に激突! そのまま閃光で使徒を包み込んだ!
 決まった、勝った!!
 と私が心の中で思わず喝采をあげた時だった。
 私の目の前にFWが現れ、こう警告してきた。
【危険】
 ずいぶんシンプルな言葉だ。
「なんて書いてあるの、これ?」
 まだ地球圏の言葉は読めないアムが訊いていたので声にだして読む。
「危険、だって。なにがだ?」
 だが、このフランってOSは私の命令を待たずに独断で行動を始めた。
【BH砲、発射スタンバイ】
 そして小母様の一言で止まっていた発射シークエンスをかってに始める。
「こら、待て! なにが危ないんだ!?」
 私の言葉も聞かずに、発射シークエンスはどんどん進み、砲身のジェネレーターが始動を始めた。なんだ、なにが
起きているんだ?
「小母様、カネダさん、こいつ勝手に動いてますよ!」
 通信で聞こうとおもっても繋がらない。う~、レナンと違って名前を呼んだだけじゃつなげないのか、このOSは!
「とにかく、なにが起きているんだ、答えろフラン!」
【却下:搭乗者生命を優先:BH砲発射シークエンス継続】
 思わず開いた口が塞がらなくなった・・・ このフランってOSは、私の命令を聞き入れないで、独断で動くのか?
父さん、あなたは何を考えてこんなAIをゲシュペンストに積んだんだ?
【エネルギー出力28%:発射可能:搭乗者はトリガーを】
 あ、あげくに私に指示まで出してきたぞ、こいつ。私は困惑しながらもその指示に従った。
「何を撃たせる気だ、フラン!」
 半ば自棄になってトリガーを握ると、目標が十字スコープに現される。
 こいつが撃てと示しているのは先ほどゲッタードラゴンが全エネルギーを込めて放った閃光だった。もう、わけが
分からない!
『ちょっと、リンさん!? どうしたんですか!?』
 ようやく鉄人を操作するカネダさんが、ブラックホールキャノンとやらを撃つスタンバイを完了してしまったこと
に気がついたようだ。
「わかりません! ゲシュペンストが危険だからといって、勝手に発射シークエンスを再開してしまったんです!」
『ゲシュペンストが勝手に、ですか・・・』
「撃つときなにが起きるか分かりませんので、射撃姿勢の保持をお願いします。レッシィも頼む!」
『了解しました』
『わかった!』
 そして、 鉄人とグライアに背中を支えるようにしてもらう。今、ゲシュペンストはかなり後ろに寄りかかるよう
な体勢になっているからだ。いまのゲシュペンストの膝関節の状態じゃこの姿勢の支持はキツイ。
 白い閃光のなかで分解し崩れていく使徒の姿が確認できる。断末魔って様相だ。
 ここでなんで撃たなきゃいけなか分からないが・・・
 私は隼人さんが言った言葉を思い出していた。
 父を信じろ、と・・・
「父さん、信じるぞ!」
 そして閃光に包まれた使徒が完全に崩れ去った時、私はフランの指示に従って、トリガーボタンを押した。いつも
より重く感じたのは気のせいか。
 ズドン! そんな感じの反動が。ゲシュペンストを支える鉄人とグライアが必死に支えてくれたのがわかる。
 そして漆黒の球体が砲身から放たれた。
 今まさに大爆発を起こさんとする白い閃光の中に漆黒の弾丸があっさり命中し、その姿を消した。
 一瞬、あっけに取られた私だったが、次の瞬間に起きたのは・・・

 いきなり現れたクレーター状な陥没ができていた研究所の敷地だった。

 瞬きする間に、先ほどの白い閃光も使徒もその場から消えてしまったのだ。
・・・これには驚いた。言葉が出てこない。魂が抜かれてしまった気がする。
『な、なんだぁ、何が起きたんだよ、おい・・・』
 甲児さんが呟くように言うが、誰も答えられない。撃った私ですらそうなのだから。
『リンが撃ったあの黒い弾が、シャインスパークのエネルギーと使徒とやらが崩壊するエネルギーを吸収して、対消
滅したってトコですか、カネダ博士』
 上空から観察していたらしい隼人さんが、そう言った。
『縮退兵器が、グランゾン以外にあるとは思いませんでしたよ。いや、もしかして・・・』
 隼人さんは何かに気がついたようだ。カネダさんの答えを待たずに隼人さんが言葉を続けようとした時だった。
『はいはい。さすがは早乙女研究所の秘蔵っ子よね』
 場を和ますように小母様が割って入ってきた。
『とにかく、みんな降りてらっしゃい。疲れているでしょ』
 あ、言われてみれば・・・ さっき強壮剤をぶちこんで持ち直したけど、身体がかなり疲れている。
 撤収しようとブラックホールキャノンを鉄人にゲシュペンストから離してもらうと、再び一時停電が起きて、コッ
クピットが元の配置に戻っていく。
「レナンか?」
 【Yes】
 返って来た簡潔な返事に私は胸をなでおろす。
「オートで格納庫に帰還してくれ」
【了解】
「よいしょっと、お疲れ、リン」
 アムがねぎらいをかけてくれる。でも、なんだか気が抜けて気が抜けて・・・
 ゆっくりと滑っていくゲシュペンスト。周りを見る。
 競りあがっていく研究所の施設。ゲッター3に引っ張られていくマジンガーZ。ゆっくりと着地するゲッタードラ
ゴン。近づいてくるエルガイム。キャノン砲をかかえて再び地下施設内に戻っていく鉄人28号。散らばっているH
Mの残骸。
 そして巨大な、でも意外と浅いクレーター。
 先ほどまでの激闘が、急激に過去のモノとなっていく。それに、あのわけの分からなかったオタマジャクシはいっ
たいなんだったんだろうか?
 あ、マズイ、眠くなってきた。シャングリラでの戦闘の時もそうだったけど、私は疲れると眠くなるのか?
「格納終了したら、起こしてくれ」
 レナンに言ったのだけどアムが、
「オッケェ~♪」
 と明るく答えてくれた。シートを倒す。目をつぶる。あっさり私の意識は眠気に駆逐されてしまった。

 -第九話 Bパートへー

【後書き】
 体調を崩して入院したせいで、しばらく更新できませんでした。
 次の更新は来月になると思います。


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