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No.16394の一覧
[0] F REAL STORY  【スーパーロボット大戦Fっぽい】 [まくがいば~](2010/02/18 22:25)
[1] F REAL STORY  プロローグ01 【これだけR-15位】[まくがいば~](2010/02/22 22:20)
[2] F REAL STORY  プロローグ02[まくがいば~](2010/02/23 23:05)
[3] F REAL STORY  幕間 -私がいない所で-[まくがいば~](2010/02/14 22:47)
[4] F REAL STORY  第一話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:16)
[5] F REAL STORY  第一話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/18 22:24)
[6] F REAL STORY  第二話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:08)
[7] F REAL STORY  第二話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/21 00:32)
[8] F REAL STORY  第三話 Aパート[まくがいば~](2010/02/23 22:31)
[9] F REAL STORY  第三話 Bパート[まくがいば~](2010/02/24 23:37)
[10] F REAL STORY  幕間  -私のいない所で-[まくがいば~](2010/02/27 22:04)
[11] F REAL STORY  第四話 Aパート[まくがいば~](2010/03/02 17:08)
[12] F REAL STORY  第四話 Bパート[まくがいば~](2010/03/06 21:49)
[13] F REAL STORY  第四話 Cパート[まくがいば~](2010/03/06 21:53)
[14] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/03/09 00:09)
[15] F REAL STORY  第五話 Aパート[まくがいば~](2010/03/11 21:19)
[16] F REAL STORY  第五話 Bパート[まくがいば~](2010/03/16 21:47)
[17] F REAL STORY  第五話 Cパート[まくがいば~](2010/03/17 22:32)
[18] F REAL STORY   幕間[まくがいば~](2010/03/28 20:29)
[19] F REAL STORY  第六話 Aパート[まくがいば~](2010/03/28 20:30)
[20] F REAL STORY  第六話 Bパート[まくがいば~](2010/04/02 22:08)
[21] F REAL STORY  第六話 Cパート[まくがいば~](2010/04/02 22:12)
[22] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/05 23:17)
[23] F REAL STORY  第七話 Aパート[まくがいば~](2010/04/08 22:36)
[24] F REAL STORY  第七話 Bパート[まくがいば~](2010/04/11 22:00)
[25] F REAL STORY  第七話 Cパート[まくがいば~](2010/04/13 18:47)
[26] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/15 21:25)
[27] F REAL STORY  第八話 Aパート[まくがいば~](2010/04/19 21:29)
[28] F REAL STORY  第八話 Bパート[まくがいば~](2010/04/21 23:11)
[29] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/24 22:58)
[30] F REAL STORY  第九話 Aパート[まくがいば~](2010/06/04 22:54)
[31] F REAL STORY  第九話 Bパート[まくがいば~](2010/06/04 22:57)
[32] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/06/24 15:51)
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[16394] F REAL STORY  幕間
Name: まくがいば~◆498b3cf7 ID:361a872e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/24 22:58
 地球連邦軍軌道守備艦隊、通称『88艦隊』。その艦隊に表向き所属しているコロンブス型輸送艦改『シモン』には
ある特命を帯びた降下兵型MS2個小隊が常駐していた。
 そのMS部隊は地球上のとある施設が何らかの敵対勢力に襲撃されたと確認された場合、その敵対勢力の即時殲滅、
およびその施設の破壊、という二つの特命を帯び、延々と軌道上で待機を続けてきた。
 そして部隊創設以来、初の出動がかかった。
 その時のために選りすぐられた精鋭MSパイロット達が、即座に与えられている任務を遂行すべくジェガン降下兵
カスタムに搭乗し、その施設『第3ニュータイプ研究所』へと降下作戦を開始した。
 大気圏突入を果たすと、上空8000メートル地点で多弾頭ミサイルを全機発射した。
 2×8のミサイルが地上500メートル地点で分裂し、小型ミサイルを雨のように降らせ、施設内の建物を問答無
用で破壊していく。
 そのパイロット達には軽い洗脳処理でも施されているらしく、まだ残っているかもしれない研究員たちのことなど
一片も思い出さずに、忠実に任務を遂行していく。
 2連大型スラスターとパラシュートで減速をしながらも、実弾ライフルを8機が見事なフォーメーションで順繰り
に放っていく。
 8機が地上へ着地した時には、第3研究所の建物は全て瓦礫と化していた。その8機は油断なく、この研究所へ潜
入したはずの敵勢力を探す。
 ロストしてしまったが、上からの記録では30メートル級のロボット兵器がいたはずだった。
 だが見当たらない。パイロット達はそのロボットが地面の下に潜っているというところまで、まだ考えがいたらな
いようだ。

「デュオ~~、行くわよ!」
「了解、死神さまの実力、みせてやるぜぇ!!」

 そしてその降下兵部隊は、自ら築いた廃墟の中で全滅することになる。


『αリーダー、こちらα3、敵該勢力、発見できません』
 油断なくライフルを構えるジェガン降下兵カスタム一機が、ちょうどパット&ミーナが潜っている真上30メート
ルあたりを歩いていく。
 テスラ=ライヒ研謹製らしい地中ソナーはかなりの高性能で、地面の中でも音によって敵八機がどこにいるとかを
しっかり教えてくれていた。
「今よ、パット!」
 ソナー用ヘッドホンに耳をあてていたミーナが、頭部コックピットで手ぐすねひいている熱血娘パットに知らせる。
「了解! げったぁ~~アリ地獄~~!!」
 地面の中でドリルを突き上げ、そのままフルパワーで地面を攪拌する。
 もとが砂漠状の土地に造られた施設だけあって、地面は下からのドリルの回転振動によってあっさり崩される。そ
して、一機のジェガンがその上に居てどうなったかと言うと。
『こ、こちらα3、じ、地面が! ま、まるで、アリ地獄のよう、うわぁ~~~!!』
 悲鳴そのものの通信を残して、α3のコードをもつ機体は地中に引きずり込まれた。地面の下からはバキィゴキィ
と耳を覆いたくなるような破壊音がすると、手足頭部をもぎ取られた機体の残りだけ、ポイッって感じで地上に放り
出された。
 異常を聞きつけた僚機2機がその場に駆けつけた。そして胴体部のみになってしまったジェガンを発見するや油断
なくお互いの背をあわせ全方位警戒を行いながら、αリーダーに状況を報告する。
『こちらα2! 敵はどうやら地中にいるようです!!』
『地中だと!?』
 αリーダーの声が思わず上擦る。地中を移動する能力をもつ敵、きっと地球上でいまだ暗躍を続けるヘルDCの機
械獣の類だと思われる。MSで相手にするには明らかに不利な相手だ。
『全機地中からの攻撃に気をつけろ! 瓦礫の上に乗れ! バーニアを吹かして飛び続けろ! 敵は多くないぞ!』
 実戦経験豊富なαリーダーから各機に号令が飛ぶ。このリーダーの判断は的確と言えるだろ。ただし、それはまと
もな敵相手の場合だ。
『α2、りょうか、なにぃ!?』
 リーダーの返答をしようとしたジェガンの足元が再びもろく崩れていく。なんだか外部集音ソナーが『あり地獄~
~!!』という音を拾ったのが聞こえたが、その言葉の意味を考えている暇などない。
 バーニアを吹かして機体に急上昇をかける。地面から飛び上がった瞬間、足元から蛇のようなものが飛び出してき
たのを確認する。反応が早かったα2は間一髪その蛇のようなモノから逃れることが出来たが、一瞬反応が遅れた僚
機α5は、それに巻きつかれ、地中に引きずりこまれてしまった。
 バキィゴキィグシャァ!! 凄惨な音がノイズとパイロットの悲鳴とセットで通信機に入ってきた。
 そしてこれまた手足頭をもぎ取られたジェガンが地中からポイって感じで捨てられた時、ちょうど上空にいたα2
はそれを目撃した。
「あの蛇みたいに伸びるのは、う、腕なのか?」
 わかったからどうなるわけではないのだが、α2はそのままフルパワーでさらに上空へと逃げる。いくら非常識な
手とはいえ、腕ならそんなに伸びないだろうという気がしたからだ。
 その判断は正しく、腕は外へ出たときに獲物を探すようにキョロキョロとあたりを見回したのだが、上空にα2を
見つけても、一瞬飛びかかろうという仕草は見せたものの、またおとなしく地面に引っ込んでいった。
 α2がとりあえず無事だったと胸をなでおろしたのだが・・・
『あまいあまい大アマよ~~~!!!』
 地面が盛り上がったと思ったら、右手に巨大なドリルを装備した、黒いロボットが飛び出してきた。黒いマントが
らしきものがはためいたと思ったら、それがα2の機体にグルグルと巻きついていく。
「でぃやぁ~~~!!」
 そしてスゴイ勢いで機体を引っ張られるや、問答無用で地面に頭から叩きつけられる。
 あまりのショックにα2のパイロットはそのまま意識を失った。地面には逆さに突き刺さったジェガンが、間抜け
なオブジェのように立っている。
「ふふん、三機撃墜♪ さっすがあたしよねぇ~~♪」
 ブラックゲッター頭部コックピットでは、パットがまだ戦闘中だというのに自分の戦果にご満悦のようだった。
「こら、馬鹿ぁ! 後ろに敵が来てるわよ!!」
 ミーナの声がした途端、ゴンって感じでブラックゲッターの後頭部にジェガンの実弾ライフルが命中した。さすが
スーパーロボットのプロトタイプを流用しただけあって一発程度じゃ装甲がへこんだだけだったが、中のコックピッ
トはその命中の衝撃にコックピットの中で転げ廻る。
「う、後ろからとは卑怯なりぃ・・・・・・」
 地面の下から襲っていたヤツの言い草じゃないと思われるが、ジェガンのパイロット達は機械獣と思っているのだ
から手段なんか構っていられないのだろう。
『こちらα4、敵機補足!』
 残り五機が、その敵機発見の報を受け、その場所へ注意を向けた時だった。
「ねえちゃん達上等だぜ」
 動き出したのはデュオ=マックスウェル操るガンダム・デスサイズ、黒い死神だ。
『よし、全機上昇! その敵を包囲するんだ!』
 αリーダーの号令以下、一斉にジェガンが飛び上がろうとした時だった。
 黒い影が一機のジェガンの横に出現した。そのジェガンのパイロットは自分の機体の頭部が切断されても何が起き
たのか理解できていない。そして自分の機体が制御不能になって地面に叩きつけられて、初めて自分が他の敵に襲撃
されて撃墜されたことを悟った。
『α7、どうした!?』
 突然消えた機体識別信号に気がつき、αリーダーのジェガンがそのメインカメラを僚機の信号が消えた方向に向け
ると・・・・・・
 黒いMSが、自身の持つビームサイトの輝きで浮かび上がっていた。
『ま、まだ、敵が・・・』
 その黒いMSがαリーダーに向けて飛びかかってきた、速い!!
『全機気をつけろ、もう一機敵が!!』
 そこでαリーダーの通信は切れる。両足、頭部を斬りおとされ、地面に叩きつけられる。
 リーダーを失った残りのジェガンが殲滅されるまで、五分と掛からなかった。

「いえ~~い、正義は勝ぁ~~~つ♪」
「あれが正義の戦いかたかよ」
 世にも珍しいゲッターロボとMSのハイタッチなんか交わして、お互いの健闘を称えあう。
「で、ねえちゃん達、早いトコ地下に居るって連中に連絡とってくんないか? ガンダムXはどうなってるって」
 デュオの言葉に、スピーカー片手のミーナが対応する。
「地下深すぎて音声通信が出来ないのよ。いま、モールスやってんだからもうちょっと待ってなさいって」
 さすがに地下二百五十メートルでは、携帯通信機が出す電波では音声までは飛ばせないらしく、大昔の戦争時のよう
にツーツートントンとやっているようだ。
「えっと、地下二百五十メートルにあるモノは大きすぎて、搬出不可能。ブラックゲッターでの回収を頼む、だって」
 およそ十分かけて、その内容を解読したミーナ。地下二百五十メートルと聞いて眉をひそめる。
「このブラックゲッターって、そんなに地面深く潜れたっけ?」

 エレベーターを開けっぱなしにして、その中でツーツートントンやっていたヘクトールも眉をひそめて戻ってきた。
「やっぱ、この部屋の中じゃアンテナたたねぇなぁ。電波とか完璧に遮断されてるぜ」
 通信機についた液晶ディスプレィをみながら、無機質な鈍い光を放っている球状の部屋の外壁に目をやるへクトー
ル。きっと内面の素材には電波遮断の素材でも使われているのだろう。
「どうだったヘクトール?」
 一番大きなコンテナを張り付くように調べていたアーウィンが訊いてきた。爆弾などのトラップがないか調べてい
るのだ。
「あぁ、なんとかツートンやって知らせた。あっちでもブラックゲッターがここまで潜れるか検討中らしい」
「そうか」
「で、どうよ、そっちは?」
 逆にヘクトールが訊いてくる。テスラ=ライヒ研で渡された小型の万能センサーで内部を走査していたウィンが顔
を上げて答える。
「これ自体はただ頑丈なコンテナみたいだが、下がな」
「ん?」
 言われてヘクトールもコンテナ下部に視線を送る。よくみるとコンテナが床にしっかりと溶接されているのがわか
った。単純だけど効果的な盗難防止策だ。
「念がいったことで」
「まったくだ」
 二人して軽いため息なんかついているところへ、別のコンテナを同じように調べていたガロードが戻ってきた。ぴ
ったりと傍にティファが寄り添っているところが微笑ましい。
「兄ちゃんたち、こっちもコンテナには異常なしだぜ」
「あぁ、ご苦労だったな」
 これでとりあえず、この部屋で出来ることは終わってしまった。あとは上の連中しだいだ。
「上手くいくと思うか、ティファ」
 難しい顔している二人の青年をみて、ガロードが小声で横にいるティファに話し掛ける。
 するとティファは少しだけ微笑んで、でもきっぱりと言った。
「大丈夫・・・・・・」
 そんなティファを見るとさらに胸をときめかすガロードだった。

 地面下で自分より年下の少年少女がラブラブな雰囲気になりかかっている時、地上の青年たち三人とテロリスト少年
一人は愛機から降りて、ジェスが持ってきたミディアムの中で発掘作業の検討中だった。
「これは俺が聞かされたことなんだけどよ」
 ディオが自分が持参したディスクをコンピューターにかけて、ある図面をだしてそれを指差しながら説明する。
「このブロック『X』を埋めるためにさ、基礎工事の段階でこんな風に・・・」
 とデュオの『こんな風に』という言葉にあわせて、モニターに地面部分からブロックXのところまで縦線が二本降
りていく。その先は球状の形をしているブロックの下で止まり、そこに横線がひかれる。図だけみると筒の中に丸い
球が入っている、そんな感じだ。
「穴をほったようなんだよ。でさ、ブロック『X』ごとここに埋めてから土を被せた、そんな感じに作られているら
しいぜ」
 説明をきかされ、士官学校卒業の三人は三者三様にうんうんと頷く。こんなデータをどこで手に入れたとツッコム
やつが一人もいないのがらしいといえばらしい。
「しかし、ご苦労なことだなぁ」
 わざわざそんなに地下深くまで穴を掘ってまでそのブロックを埋めた手間にジェスはただ呆れてしまった。
「でも感心しているだけじゃしょうがないのよね。でデュオ、これを掘り出すいい手段知っているんでしょ?」
「へ、そうなのデュオ?」
 ブラックゲッターで地面深く潜って、このブロックごともぎ取ることしか考えてなかったパットが訊くと、ミーナ
は自分のオツムをコンコンと叩いて、得意げに語った。
「忘れちゃいけないわよ、パット。この子はね、あのガンダムだけでそのブロックの中のものを狙ったんだから。つ
まり、大型の重機なんか使わなくても、下からあのブロックを引っ張りあげる方法、あるんでしょ?」
 するとデュオは意地悪く笑う。思わずムッとなるミーナだが、デュオはかまわず続けた。
「俺の目的は、そのブロックにあるっていう、あるモノのパーツだけをかっぱらってくるか、使えなくすればいいだ
けだったんでね。あれごと持ち上げようなんて、そこまでやる必要なかったんだよ」
「うっ・・・・・・」
 自分の推理が外れて、一瞬めげるミーナ。でもこのメンバーで頭脳労働できるのはリーダーの自分だけだと言い聞
かせて、気を取り直して続ける。
「さっきスペックを調べてみたんだけど、私らのブラックゲッターでも五百メートルくらいは潜れるみたいなのよ。
でもねぇ・・・・・・」
「そこからあの大きさの物を地上に押し上げられるかは、分からないってことかい?」
 だけど脳細胞まで筋肉が進出していると思われる熱血娘だけは楽天的だった。
「大丈夫! 気合と根性があればどんな物で持ち上げられる!!」
 握り拳でそう宣言するパットだが、誰も賛同してくれないので、しぶしぶその拳をおろす。
「まぁ、完全体育会系の小娘の意見は置いておくとして、だ」
「実際問題、ブラックゲッターだけじゃキツイわよね」
「いっそデュオがいってたみたいにデータだけ吸い出して、テスラ研で再生してもらうおうか?」
 とミーナとの会話で不用意にジェスがもらした言葉を、デュオは聞き逃さなかった。
『テスラ=ライヒ研が独自に動いているのか? とりあえず、報告くらいはしておくか』
 とデュオが内心でそう思っているときだった。
 警戒警報がミディアム内に響き渡った。
 何事かとコンピューターを呼び出すと地下でエネルギー反応が確認されたとのことだ。
 そして地震なんてほとんど起きないこの不毛の砂漠が、徐々に揺れ始めていた。
「なんだぁ。地下で何が起こっているんだよ?」

 そのころ地下二百五十メートルのブロックXでは。

 コンテナを調べ終え、ついでにって感じでこの球状の部屋を調べていたガロード達。うっすらと埃がつもった床の
一部に薄い線をガロードが発見した。
「ん?」
 注意深く、その線のまわりの埃を払っていくと三十センチ四方の四角形が浮かび上がってきた。
「兄さん達、なんかあるぞここに!」
 ガロードの呼びかけにまずヘクトールが反応して駆けつける。
「なんだ、お?」
 ガロードが指差す先にある小さな四角を見つけて感心したようにヘクトールは言う。
「やるなぁ、ガロード。よし、いい子いい子♪」
 と言って頭をなでるヘクトールだが、なぜかヘクトールはティファの頭を撫でていた。ティファは赤くなって俯い
てしまう。
「あのなぁ、兄さん。なんでティファにまとわりつくかな?」
「男にまとわりついてもつまらんだろうが」
 と、当然のように言うヘクトールに、ガロードは二の句がつげない。ここで反撃に出れないところがまだ甘いなと
ヘクトールはニヤリとしながら思った。 
「で、開けられるか?」
 言われて手持ちのナイフを隙間に差し込もうとするガロードだが、その線の隙間はミリ以下の幅しかないらし
く全然間に挟まらない。
「だめだね、これ・・・・・・」
「これならどうだ?」
 諦めかかったガロードの言葉を、壁面を調べていたアーウィンが遮る。するとその部分が静かな機械音とともにゆ
っくりとせり上がって来た。
「何をいじくったの?」
 ガロードが訊きながらエレベーター付近にいるアーウィンを見ると、この部屋唯一の出入り口のエレベーター傍の
壁が一部開いていて、その中にあるボタンの一つを押したとわかった。
「いや、このエレベーターのあたりがどうも宇宙船のエアロックに似ているのでな、重点的に調べてみたら壁に切れ
目があった。そこに手を当てたらわずかにへこんだんだ。そのシステムの起動スイッチらしいな、どうやら」
 ガロードにどことなく上の空で答えているウィン。何かを考え込んでいるようだ。
「どったの?」
「いや、な・・・・・・」
 旧友の問いかけに、自分の考えをゆっくり確かめるように話しだすウィン。
「俺はこのブロックが、このコンテナの中のMSを封印するために造られたと思ったのだが」
「だが?」
「もしかしたら、このブロック『X』そのものを封印するために、地下二百五十メートルまで埋めたっていうのが正し
いのではないのかと思ってな」
 断定できる材料がないため、奥歯にものが挟まったような言い方になってしまうウィンだが、三人の聞き役は皆感
心したようにコクコクと頷く。
「疑問だったのが、このコンテナだ。どうもこの部屋にそぐわないと思わないか? コンテナだけは外部から運び込
んで、ここに組んだんじゃないのかなと。その、ガンダムXとやらを封印するために」
 語っているうちにウィンの目はいつの間にか謎の少女ティファに止まっていた。思えばこの奇妙な行動は、もとを
正せばこの不思議な少女を救い出すというジェスの母の以来から始まったのだった。
 その澄んだ瞳に吸い込まれそうな思いを感じながら、ウィンは軽く自分の頭を叩いて気分を切り替える。
「上の連中がどう言う手段でこれを引っ張りあげようとするか」
 ウィンはミーナ、パット、ジェスの三人による相談風景を思い浮かべた。パットが握り拳で「気合と根性でなんと
かなる!」的発言をしているのだけは楽に想像できた。
「ん、ティファ、どうしたの?」
 気がつけばいつの間にか、ティファが先ほどせり上がって来た石柱のような立方体に近づいていた。そしてごく自
然な動作でそのつるつるの表面に手を触れる。
 ブオン!
 部屋全体が鳴動するような響きがしたと思ったら、壁面にさまざまな意味不明の模様が浮かび上がった。
「ティ、ティファ、何やったんだよ?」
 多少うろたえるガロードが訊くが、ティファは小さく微笑むだけで答えてくれない。
「おい首席閣下の中尉殿?」
 自分が乗る飛行機が高度三万フィートでエンジントラブルをおこしても平然としていられる胆力の持ち主のヘクト
ールは、さすがに眉をしかめた程度で動じてはいない。
「どうやら眠っていたシステムが目覚めたってトコらしい。ティファによってな」
 ウィンは次から次へと予測できない事態が起きるので少し不機嫌になっている。
「お姫様と握手した程度でお目覚めとは、初心な王子様だこと」
 こんな時でも軽口が叩けるのはヘクトールの才能だろう。
「なぁ、どうなると思う?」
 ガロードの問いに投げやりな感じでウィンが答えた。
「わからんよ」

      
「あいつらいったい何やったよ!?」
 センサーが探知した謎の地下のエネルギーのレベルがシャレにならないところまで来ていた。何が起きるか想像
もつかないが、ジェスの本能がここに居ては危険だと告げている。
「おいレナンジェス、どこ行くんだよ!?」
 てっきりジェスがコックピットに行くと思ったデュオは、格納庫に走っていく彼に言う。
「俺のジェガンでもこいつはコントロールできるんだよ! どうも嫌な予感がしてなんねぇ!!」
 ジェスは昔から勘が鋭いことが自慢の一つだ。しかも悪い予感ほどよく当たるのだ。
「俺、どうすればいいかな?」
「好きにしろ!」
 怒鳴るように言ってから、格納庫に飛び込む。左腕が壊れたままのジェガンが中腰で格納されている。
 足首部分に脚をかけ飛び、膝関節に手をかけ身体を起こし、開けっ放しのコックピットに乗り込む。エンジンを起
動させるや、閉じていたカーゴを開き外へ出る。
 そのままミディアムの機体上部のある場所に脚を置き、固定する。これでドダイ改などのようにMS側からミディ
アムの操縦が可能になるのだ。
「ええい、反応が遅い!!」
 でもさすがに機体運動などはドダイ改とくらべるまでもなく、鈍いものだ。ゆっくりと上昇をかけるジェガン操作
によるミディアム。パットとミーナもブラックゲッターに乗り込んだ。
『うわぁ、ジェス! 地下の正体不明のエネルギー反応、半端じゃないわよ!! これが原子炉とかだったらとっく
に臨界越えててもおかしくない!』
 ミーナの報告が入るが、いまはここから、離れるほうが先決だとジェスの勘は告げている。残すことになるウィン
とヘクトールがちょっと心配だが、連中ならちょっとやそっとのことで死にはしないだろう。
 ジェガンを乗せたミディアムが上昇をかけ、瓦礫の山と化したニュータイプ第三研究所の敷地をあとにする。一歩
遅れてブラックゲッターが地面を蹴って舞い上がった時だった。
 ドゴーーーーーーーーーン!!
 今まで聞いたことないような大音声が轟いた。宙にいても振動で機体が揺れている。
 必死に機体を制御しつつコックピットで振り返って後ろを見ると、土柱、としか形容しようのないモノが高さ数百
メートルに渡って噴き上がっていた。
 あと数秒遅れていたら、ジェガンとミディアムはあの土柱の発生に巻き込まれていただろう。そう思うとゾクッと
する。
『ぴぎゃ~~~~~~~!!』
 だがこちらは完璧に巻き込まれたようだ。パットの悲鳴が通信スピーカーを揺らす。どこへ行ったか確認すると、
土柱に弾き飛ばされて、グルグルと廻りながら放物線を描いてあさっての方向に飛ばされていくブラックゲッターの
姿が確認できた。
『こら、パット、しっかり制御しなさい!』
『だってだってだってぇ~~~!!』
 でも元気な声が聞こえているので、無事であることは確からしい。でも一応安否を訊いておく。
「おい、大丈夫か二人とも?」
『あう~~、出会い頭だったんでビックリしたよ~』
『反重力マントで浮いていたし、かすった程度だから大したことないのよ。でもね、パットがしっかりしてくれない
から・・・・・・』
 こんな冷静に通信などしているが、ブラックゲッターは今まさに砂漠に頭から突っ込む直前だった。
『墜落寸前なんだけどね』
『でも、まっかせなさぁ~~~い!!』
 砂の大地に激突寸前、ブラックゲッターの右腕がドリルに変形した。そして地面に突き刺さるや、勢いそのまま地
面に潜ってしまった。
 地面ではブラックゲッターが通った後が、こんもりと盛り上がっている。昔アニメで観たモグラの移動をジェスは
思い出してしまう。
 そして立ち昇った土柱が研究所の敷地をすべて埋め尽くして消え、生じた土煙が視界を一切遮ってしまう。
「何にも見えないぞ、おい?」
 カメラからの映像でも、視界はゼロに近い。実際この場に生身でいたらこの土煙で窒息していただろう。
「だから俺の悪い予感はあたるんだ」
 呆れたように呟くジェスだったが、レーダーが奇妙な物体を発見したのを見て、さらにお手上げ状態で言う。
「なんだありゃ?」
『球、だよな? くすんだ銀色の』
 どうやらまだミディアムにいるらしいデュオも、ジェスと同じような口調になって見たまんまを言う。
 土煙の中、ゆっくりと上昇している銀色の球。大きさは直径五十メートル前後、どうやらこれが・・・・・・
「ブロック『X』か?」
 なにが起きたか分からないが、自分達が掘り出そうとしていたモノが、勝手に地面から上がってきたらしい。手間
が省けたと喜びたいところだが、そうもいかないようだ。
「毎分二百メートルくらいで上昇中、か」
 なんであのブロックが浮いていられるか、それすら想像がつかない。ジェガンのセンサーは相変わらず凄まじいエ
ネルギーをブロックXから確認しているが、それが何であるかまでは解明できていない。
『反重力装置かなんかか?』
 同じ疑問を感じていたらしいデュオが自分の考えを言うがジェスはそれじゃ納得できないでいた。
「おかしいぜ、それじゃ。考えてみろよ。あの球っころはよ、自分の頭上にあった何万トンもの砂を吹き飛ばしてい
るんだぞ」
『んじゃ、わかんねぇよ、俺も』
 あっさりとデュオがそう言うので、二人は黙ってなんとなくその球が上昇していくのを見つめてしまう。
『こらぁ、ジェス、何ぼけっとしているかぁ!?』
 パットのその言葉でハッと我に帰るジェス。地面に潜っていたブラックゲッターが飛び出してきたらしい。
『とにかく追っかけるわよ!』
 ミーナの言葉が続いた。そうだった、あの中には無事かどうかわからないがウィンとヘクトール、それに会っては
居ないが二人の少年少女がいるはずなのだ。
「了解! いいかデュオ?」
『好きにしてくれよ、もう』
 どこを目指しているのかわからないが、ゆっくりと上がっていく、ブロックX。それを追うブラックゲッターとミ
ディアムに乗ったジェガン。そのミディアムの中には完全に巻き込まれてしまった少年テロリストと彼が乗るガンダ
ムもある。
 少女誘拐ではじまった彼の旅路は、思わぬ波紋を各所で広げていくことになる。

 
 -第九話 Aパートへ-

 【後書き】
 五人組の珍道中、宇宙へ。


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