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No.16394の一覧
[0] F REAL STORY  【スーパーロボット大戦Fっぽい】 [まくがいば~](2010/02/18 22:25)
[1] F REAL STORY  プロローグ01 【これだけR-15位】[まくがいば~](2010/02/22 22:20)
[2] F REAL STORY  プロローグ02[まくがいば~](2010/02/23 23:05)
[3] F REAL STORY  幕間 -私がいない所で-[まくがいば~](2010/02/14 22:47)
[4] F REAL STORY  第一話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:16)
[5] F REAL STORY  第一話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/18 22:24)
[6] F REAL STORY  第二話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:08)
[7] F REAL STORY  第二話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/21 00:32)
[8] F REAL STORY  第三話 Aパート[まくがいば~](2010/02/23 22:31)
[9] F REAL STORY  第三話 Bパート[まくがいば~](2010/02/24 23:37)
[10] F REAL STORY  幕間  -私のいない所で-[まくがいば~](2010/02/27 22:04)
[11] F REAL STORY  第四話 Aパート[まくがいば~](2010/03/02 17:08)
[12] F REAL STORY  第四話 Bパート[まくがいば~](2010/03/06 21:49)
[13] F REAL STORY  第四話 Cパート[まくがいば~](2010/03/06 21:53)
[14] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/03/09 00:09)
[15] F REAL STORY  第五話 Aパート[まくがいば~](2010/03/11 21:19)
[16] F REAL STORY  第五話 Bパート[まくがいば~](2010/03/16 21:47)
[17] F REAL STORY  第五話 Cパート[まくがいば~](2010/03/17 22:32)
[18] F REAL STORY   幕間[まくがいば~](2010/03/28 20:29)
[19] F REAL STORY  第六話 Aパート[まくがいば~](2010/03/28 20:30)
[20] F REAL STORY  第六話 Bパート[まくがいば~](2010/04/02 22:08)
[21] F REAL STORY  第六話 Cパート[まくがいば~](2010/04/02 22:12)
[22] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/05 23:17)
[23] F REAL STORY  第七話 Aパート[まくがいば~](2010/04/08 22:36)
[24] F REAL STORY  第七話 Bパート[まくがいば~](2010/04/11 22:00)
[25] F REAL STORY  第七話 Cパート[まくがいば~](2010/04/13 18:47)
[26] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/15 21:25)
[27] F REAL STORY  第八話 Aパート[まくがいば~](2010/04/19 21:29)
[28] F REAL STORY  第八話 Bパート[まくがいば~](2010/04/21 23:11)
[29] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/24 22:58)
[30] F REAL STORY  第九話 Aパート[まくがいば~](2010/06/04 22:54)
[31] F REAL STORY  第九話 Bパート[まくがいば~](2010/06/04 22:57)
[32] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/06/24 15:51)
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[16394] F REAL STORY  第八話 Bパート
Name: まくがいば~◆498b3cf7 ID:361a872e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/21 23:11
 爆発が起こった。場所的にはポセイダル軍の大型輸送艇のあたりだ。きっ
とその輸送艇が何者かによって破壊されたのだろう。
『か、兜ぉ~~~~~!!! リン~~~!!! た、た、助けてくれぇ~
~~! あんぎゃ~~!』
 ボスさんの悲鳴そのものの通信が入って、身体がビクンと反応する。
 まだレバーを握る手が、いや身体全体が小刻みに震えているし、冷水をぶ
っ掛けられたかのように汗が全身を濡らしている。
『ボスボロットに何が起きた!?』
『なんかヤバイ気がするぜ・・・』
『ふぇ~、なぜだかグレース、鳥肌たってますぅ~・・・・・・』
 立て続けに皆から通信が入ってくれたおかげか、私の彼岸に逝きかかった
意識がかなりこちらに呼び戻された。
 しかし、返信を入れようにも、喉から上手く声が出ない。まるで幼い時の
失語症が再発したみたいだ。
 ちくしょう! どうしたんだ私は!?
「あ・・・・・・」
 何かを喋ろうとしたのか、口から声が少し出た。声は出せる、ただ私が近
づいているソレに負けてしまっているのだ。
 いや、まだ負けたわけじゃない! 戦っていないのに負けてたまるか!!
「う、う、う、うわぁ~~~~~~~~!!!!」
 身体中の空気を全部搾り出す気で、思いっきり叫んだ! 出る、声は出るぞ!  
「うわぁ!? なになに?」
 私の絶叫にシート後ろで目を回してしたアムが飛び起きた。    
「はぁはぁはぁ・・・・・・ すまないアム、ちょっと気合を入れてた、レナン、
なにが近づいているんだ!?」
 身体を蝕んでいた恐怖はまだくすぶっている。でも、身体は動く、声も出
る! 負けてられるか!
 レナンに近づいている物体の走査を命じると、一瞬、妙なことが起きた。
【敵:使徒確認】
 そんな表示が瞬きする間だけ現れて、すぐに消えてしまった。その後、
【正体不明物体:接近中】
 という表示が現れその【正体不明物体】とやらの観測データが表示された。
 なんだったんだ、さっき一瞬現れた【使徒】って表示は?
 釈然としないが今はゆっくりと近づいてきている敵のことを調べるのが先
だ。次々と現れる情報に集中する。
 モニターに点のように姿をあらわしたソレを即座に拡大する。
 ・・・・・・・・・
 なんだ、アレは?
 空飛ぶオタマジャクシ? いやプラナリアか?
 全長八十メートル前後。飛ぶ、というより宙を漂うって感じでソレはこち
らに近づいてきている。
 この私に迫るプレッシャーがなかったら、なにかの冗談かと思ってしまう
光景だ。
 でも、あれがいつの間にか現れて、瞬時に数台のHMと大型輸送艇、オマ
ケにボスボロットを破壊したのは間違いない。
『・・・・・・なんだ、アレは?』
 隼人さんもさすがに絶句しているようだ。しかもあの人の声に緊張が感じ
られる。
『う~、怪獣さんじゃないでしょうか~?』
 グレースもグレースなりに緊張しているのが長い付き合いのおかげで分か
る。
『これは、やべぇぞ! さやかさぁ~ん、マジンガー返してくれ!』
 甲児さんは本能的に危険を察知したのか、ダバ君やレッシィが戦っている
ところに割り込んださやかさん操るマジンガーZを取り返しに向かった。
 そしてカネダさんが、最後に呟くように言った。
『もしかして、アレが【使徒】なのか・・・・・・?』
 【使徒】!? カネダさんは確かにそう言った。いったいなんだソレは?
カネダさんは何か知っているのか? 
「リン、あれって地球の原住生物か何かなの? すっごいヘンな生き物じゃ
ない?」
 後ろから身を乗り出して暢気に訊いてくるアムが羨ましく恨めしい。
「アム、お前は地球をなんだと思っているんだ?」
「いや、だってゲッターロボとか造る星だから、あのくらい居てもおかしく
ないかなぁって・・・・・・」
 無茶苦茶な判断基準だぞ、それは・・・・・・ 
『リンさん、すいません。いったん下がらせていただきます!』
 さっきの使徒って言葉の意味を訊こうする前に、カネダさんが格納庫に下
がって行ってしまった。
 鉄人も先ほどせり上がってきた場所に自動的に歩いていくと、そのままゆ
っくりと格納されていく。
 何か、訊きそびれてしまった。
 謎の生物との距離はおよそ1キロほどになった。すると、どういう原理で
飛んでいるのかわからないそれが空中で停止する。
 来る! どう言う手段で攻撃してくるかわからないし、それ以前に何者な
のかもわからないけど、これだけはわかる!
 アイツは敵だ! それも人類全体の!!



-テスラ=ライヒ研・臨時作戦本部こと所長室では-

 カレン=スターロードはモニターに映るそれを見つめながら拳を震わせて
いた。
「なにが使徒は第二新東京シティにしか来ないよ! なにがその為のネルフ
ですよ、あの陰険オトコ!!」
 不必要なまでに広いこの部屋に、今いるのは怒れる美女カレンだけだ。彼
女はどこにぶつければいいかわからない怒りに全身を支配されている。
 彼女の前には巨大なFWが像を結んでおり、そこには五分ほど前に何の予
兆もしめさず突然現れたあの大型生命体が映し出されている。
 ただ、カレンの前に映し出されているFWにはリンのゲシュペンストに映
し出されている映像とは違いある表記がその映像にはされていた。
【4th ANGEL】
 と・・・
『所長代理、カネダです!!』
 先ほど戦線を離脱したショータロー=カネダから連絡がカレンのもとに入
った。
「ちょうどよかった、カネダ君。私は十五年前実際に見ていないからイマイチ
わからないんだけど、アレが使徒なの?」
 腕をくみ、指で自分の肘をトントンと叩きながら、カレンは映像から目を
離さず訊く。
『わ、私も十五年前のあの時、鉄人の目を通してしかみていませんが、この
得体の知れない圧迫感は、まず間違いなく・・・・・・』
 そこでカネダは言葉を飲み込んだ。思い出した記憶の恐怖に飲み込まれた
かのように。
「カネダくん、ブラックホールキャノンの用意をしておいて」
 呟くように言ったカレンの言葉に、通信越しでもわかるくらいカネダの驚
愕が伝わる。
『所長代理、いけません! まだブラックホールキャノン制御コンピュータ
ーは未成熟です! あれが大気圏内で暴走したら・・・・・・』
「私が出るのとどっちがマシ?」
 そのカレンの言葉に絶句するカネダ。わずかな沈黙の後、カレンが続けた。
「でもね、使うとは限らないわよ」
 カレンの言葉は先ほどまでとは打って変わって、楽しげに響いた。彼女の
前には新たなFWが複数現れている。そこにはライガーからチェンジしたゲ
ッターポセイドン。そして甲児へと再び操縦者がバトンタッチしたマジンガ
ーZ。新たな敵の出現に、争いを止めたエルガイムとバッシュ。そして彼女
の愛するリンが操縦するゲシュペンストの姿が映っていた。
「この面子なら、あのヒゲヤローが言ってた使徒は何とかじなきゃ倒せない
って言うの、覆せるかもしれないしね」
 

-ゲシュペンスト コックピット-

『行くぞグレース!』
『はいです!』
 謎の飛行物体が胴体部分をゆっくりと接地させている。さっき出た表示の
意味はよくわからないけど、仮称が必要なのでこれからはアレを【使徒】と
呼ぶことにした。
 隼人さん率いるゲッターチームがまず仕掛けた。
 ライガーが一瞬ゆがんだかと思うと、頭部のライガーが外れすぐさまドラ
ゴンの下部に回りこみドッキングした。
『チェンジ、ポセイドンですぅ~♪』
 そして姿をあらわしたのはゲッターポセイドン。メインパイロットがグレ
ースなのがちょっと不安だ。
「・・・・・・リン、あれって何? ゲッターロボ以上にショック受けたわよ、あ
たし」
 後ろに居た異星人の娘は、ゲッターGの合体シーンを目の当たりにして心
のキャパシティを越える衝撃を受けたらしく、少し静かに訊いてきた。
「あれが本来のゲッターチームの乗機、ゲッターロボGだ」
「ゲッターロボ、G、ね・・・・・・」
 私達からみると、ポセイドンの勇壮な背後、その先に不気味に立ち上がっ
た使徒ってロケーションになっている。
 先ほどまでのメカメカしい戦闘とは打って変わった雰囲気になってしまっ
た。でも、これはゲッターやマジンガーZにはマッチしているかも。
『いくです、ストロングぅ~ミサイル!!』
 桁外れに大きいミサイルバックをポセイドンは抱え上げた。それを使徒に
向かって投げつける!
 使徒は・・・・・・ まったく反応を示さない。
 そのまま避ける素振りすら見せなかった。そのまま呆気なくストロングミ
サイルが使徒に命中した。
 !?
 命中の瞬間、何か見えたぞ!?
 そして上がる爆煙。予感はあったので、私は驚かなかったけど、後ろの観
客からは驚嘆の声が上がった。
「ぜんぜん、効いてないじゃん。あのヘンなのってば」
「レナン、バリヤーの類か?」
 一瞬、私の目にも確認できたあの多重八角形、それがミサイル命中の瞬間
に使徒の目前に展開し、通常弾としては最高規模のミサイルの威力を防いだ
のだろう。
【防御シールドのようなモノの展開を確認:エネルギー、原理、共に不明】
 当たりだ。しかし、バリヤー展開なんてアイツは生体じゃないのか? あ
あ見えてロボットなのだろうか?
『う~、生意気ですぅ~』
『見掛け倒しじゃないようだな。グレース、どんどん攻めろ』
 ゲッターチームの方もミサイルを防がれたという精神的ダメージは皆無の
ようだ。
 それに、私を蝕んでいた恐怖も、今はかなり薄れている。澱のように心の
どこかに残っているけど、戦えないほどじゃない。
「私もそろそろ攻めるぞ。アム、今度は振り回されなよ」
 セルフチェックも終了した。左マニピュレーターが可動不能になっている
以外はオールオッケー。ライフルの銃身冷却も終了した。  
「了解! 頑張ってよね、リン」
 アムがシートにしがみつく気配がした。この娘が同じコックピットに居て
くれるから、私は強がれるんだろうな。
 でも、攻める、と言ってもどうやってだ? あのバリヤーってはゲシュペ
ンストのライフルの対艦モードで破れるだろうか?
 使徒は、動く気配らしきものがまだ感じられない。ムカツク。
『ゲッターサイクロンですぅ~~~!!』
 巨大竜巻発生装置、ゲッターサイクロンが発動した。ポセイドンの首回り
のファンが唸りを上げ、生じた竜巻が使徒に怒涛の如く叩きつけられた。
「なにぃ~~!」
「うっそぉ~!」
 今度はさすがに驚いた。今度は肉眼で確認できるほどの多重八角形が、竜
巻すら弾いているのだ。しかも、八角形の向こうの直立プラナリアは、ピク
リともしていない。
『リンさん!』
 ダバ君のエルガイムとタレ目男の鬼面HMが連れ立って滑走してきた。
『アレはいったい何なのだ!?』
『地球の原住生物ですか!?』
 初対面のモノに向かってえらそうにモノを訊ねるタレ目男は無視して、ア
ムと同じ誤解をしてくれているダバ君に答える。
「あのな、ダバ君。君達はいったい地球を何だと思っているんだ? あんな
不気味な生き物、地球の動物図鑑に載ってないぞ」
 私の呆れたような口調にダバ君は恐縮したようだ。
『す、スイマセン。マジンガーZやゲッターロボがある星だから、あの位い
てもおかしくないかなって・・・・・・』
『ええ~い、答えろ木っ端娘! アレは何なんだ! なぜ、我々にまで攻撃
を加えてきたのだ!?』
 ダバ君との会話に割り込んできたタレ目男。このオトコなりに先ほどやら
れた部下の心配でもしているのかもしれないが・・・・・・
 カチンと来た。
「誰が、木っ端娘だ!! このタレ目男!! 顔にもっと締まりってモンを
見せろ!」
 勢いに任せて怒鳴りつける。
『た、タレ目とは何だ、タレ目とは!! 貴様はこの私を侮辱するのか!?
ことと次第によっては婦女子と言えども容赦はせんぞ!』
「やれるモンならやってみろ!! 貴様が十人いたって私には勝てんぞ!」
 売り言葉に買い言葉。私は頭に血が一気に上ってしまった。アムが後ろで
ドードーと言っている。私をなだめているつもりなのだろうか?
『リンさん、落ち着いてください。ギャブレット、お前もだ!』
 ダバ君の一喝でピタっと止まる低次元な言い争い。し、しまった。私は何
をやっているんだ。
「あ、あの生き物の正体は分からない。でも、見えているだろうけど、あの
生き物、妙なバリヤーを張っていてあの通りだ」
 照れ隠しに咳払いして、私はダバ君に大まかに事を説明する。何時の間に
かポセイダル軍とは休戦になったみたいだ。
 ゲッターサイクロンの竜巻は今だ使徒に叩き付けられている。多重八角形
にを張った使徒には今だ動きはない。
 いや、微妙な変化はある。バリヤーのような八角形がわずかだけど揺らい
でいるのだ。
『うぅ~、もうモーターが限界ですぅ~』
 グレースが泣き言を言い始めたが、隼人さんは無言だ。なにかを見極めよ
うとしているのだろうか。
「レナン、対艦モード、フルチャージ!! グレース、あと十秒持たせろ!!」
 ペダルを踏んで使徒を攻撃しつづけるポセイドンの側面に回りこむ。
 スパイクOK、チャージ完了!
 ターゲットスコープをシート脇から引っ張り出し、中の十字を覗き込む。
 とりあえず、狙いは妙に気になる胸の球体あたりにつけた。
「いっけぇ~~!!」
 フレームが軋むような衝撃がコックピットにも伝わった。
 光の奔流が使徒に向かう。
 ぞくぅ!!
 悪寒が身体中を走った。ヤツの【意識】が私に向いた。 それが確かに感じ
られた。
 間違いない、こいつは【生命体】だ。
 ゲッターサイクロンに対して張りつづけた多重八角形が広がった。そして
命中寸前のビームの光条を遮る。
 あのヤロー、二種類のまったく違う攻撃を同じバリヤーで防ぐか!? 
 オマケに私のゲシュペンスト最大の攻撃にゲッターサイクロンを加えても
あのバリヤーは破れないのか!
 だけど、あることがはっきり確認できた。ビームが命中した時、八角形が
今にも破れんばかりに大きく揺らいだのだ。
 あのバリヤーにも攻撃を受けられる限度があるのだ。
 しかし、その限度が半端じゃなく高いらしい。
『グレース、俺に代われ! リン、甲児くんが来るまで散開して次の攻撃の
準備をしておくんだ! タイミングを合わせて三機で一斉に攻撃をかける!』
 ポセイドンが分離して、再びライガーにチェンジする。
 私もかませていたスパイクを外し、いったん使徒と距離をとる。さっきか
ら私の中でチリチリとした何かが感じられて、妙に不快だ。
 マジンガーZがドスンドスンと地響きを立てて近づいてきた。
 さぁ、コイツはどう出る・・・・・・
 胸の両横にある触手みたいのが、わずかに光を放ち始めた。
 来るのか・・・?
『リン、聞こえる? こちら弓さやか!』
 突然、さやかさんから通信が入った。マジンガーを甲児さんと変わって、
この人は今どこにいるんだろうか? 
「さやかさん、どうしたんです?」
 気だけは動きを見せ始めた使徒に集中しつつ、通信に応じる。
『気をつけて! いまボスのところに来ているんだけど、ボスボロット、切り刻ま
れているわ!』
 通信装置の規格の違いと、大気中に漂っているミノフスキー粒子のせいで
通信状態は良好とは言えないが、さやかさんが通信で知らせてくれた事の意
味は大きい。
 ヤツの攻撃は切断系か。じゃあ、あの光っているのはビームサーベルみた
いなものか?
『行くぜ、バケモノ!! マジンガーZが相手だ!』
 マジンガーZが戦闘エリアに到達。腕を突き出す。
『アイアンカッター!!』
 ゴッツイ刃が現れ、それと共発射されたマジンガーの左腕!
 そしてそれに呼応するように隼人さんのライガーも動いた。凄まじいスピード
でマジンガーがアイアンカッターを放った正反対の位置につき攻撃を仕
掛けた。
『チェーンアタック!』
 左腕の蕾のような部分が、発射された! そのスピードはマジンガーのア
イアンカッターに劣るものではない。
 上手い、隼人さん。これなら反応が遅れるはずだ。それにこれなら妙なバ
リヤーで弾かれても連続攻撃につなげられる!
 だが・・・・・・
 何かが使徒の懐で閃いた。そして次の瞬間私が見たものは・・・・・・
 使徒から伸びた光る鞭のようなモノに串刺しされたマジンガーの腕と、鎖
を切り落とされ、地に落ちたライガーの左腕だった。
 なんだ、あの常識外れのスピードは?
 さやかさんが教えてくれたのはいいけど、あれじゃ反応できませんって・・・
『ちぃ! 甲児くん、リン、ダバくん、接近戦を仕掛ける!! 援護してく
れ!!』
 しかし隼人さんはすぐさま次の手をうつ。私も呆けてないで見習え!
「了解!」
『おう!』
『わかりました!』
『な、なんだかわからんが、承知した』
 私や甲児さん、ダバ君に勢いにつられたギャブレーまで加わって、使徒に
攻撃を開始する。ダメージを与えるのが目的じゃない。ライガーの援護だ。
『ドリルミサイル!!』    
「スプリットミサイル!」
 あ、甲児さんにつられて私まで武器の名を叫んでいる。
 使徒前面に向け、小ミサイルとダバ君とギャブレーのパワーランチャーや
Sマインが雨アラレと降り注ぐ。
 予想通り使徒は前面にバリヤーを展開した。そしてライガーが視認不可能
な超スピードで背面に回りこむ。
『ライガァーーーードリル!!!』
 ライガーが背後からゲッター必殺のドリル攻撃を加えた。どうだ!?
 ち、背面にもバリヤー展開を確認。ライガーのドリルも防いでいる。
『まだまだぁ! アイアンカッター、もう一丁!!』
 残る右腕を繰り出すマジンガー。よし、これにゲシュペンストのビームラ
イフルを最大出力で繰り出せば!
 スパイクを噛ませライフルのエネルギーチャージを!
 その時、アイアンカッターとドリルを食い止めていたバリヤーが消えた。
そして瞬きにも満たない光の閃きのあとに私が目にしたのは。
 無残にも縦に切り裂かれたマジンガーの右腕と、間一髪で光の鞭の追撃を避
けつづけているライガーの姿だった。
 あの鞭はこうも簡単に超合金ニューZを切り裂けるのか? あれは、
地球人が作った中では、もっとも硬い合金なんだぞ?
 光の鞭はマッハと言うスピードで、あの鞭の攻撃をさけることが出来たよ
うだ。
 マッハスペシャル! 追撃を続ける光の鞭はライガーの移動後に出来る残
像に攻撃を加えることしかできない。
 そしてある程度の距離を離したところで、その鞭の攻撃が止んだ。   
 あそこまでが、鞭の範囲とみていいのか? 
 自分の勘を信じてレナンに計算を命じておく。あの鞭の有効範囲に入った
ら警告を鳴らすようにセットもしておこう。
 するとすぐに警告音が!
 まさか、ここも鞭の有効範囲なのか!?
「ダバ君! タレ目男! 甲児さん、引いてください! 鞭が来ます!!」
 悲鳴を上げるように皆に知らせる。私も急速後退だ。残念だけど私では、
あの鞭の攻撃に反応することも出来ない、鞭を振るわれたらお終いだ!
 超合金ニューZをも斬り裂く、あの光の鞭の前じゃゲシュペンストの装甲
など紙も同然だし。
『わかりました!』
『誰がタレ目だ!? 木っ端娘!』
 エルガイムとバッシュは私の警告にしたがって引いてくれたけど・・・・・・
 甲児さん!!
 私は我が目を疑った。甲児さん操るマジンガーが敵に向かって逆に向かっ
ていったのだ。
「甲児さん、危ないです!!」
『黙ってみてろ、リン! マジンガーにはマジンガーの戦い方があるんだ!!』
 声の迫力に思わず気圧される。で、でもマジンガーZは手がないんだぞ。
 死ぬ気なんですか、甲児さん!?
 また、光の鞭が閃いた。
 そして、次の瞬間、私が見たのは・・・・・・
 あぁ、マジンガーZの左胸と腹を光の鞭が貫いている・・・・・・
「甲児さん、甲児さん!!」
 私はライフルを構える。効かないと分かっている攻撃だけど、やらずには
いられない。甲児さんを見殺しに出来るか!
『・・・・・・かかりやがったな。マジンガーZ、フルパワー!!!!』
 甲児さんの雄たけびが轟く。そしてマジンガーZは何と、光の鞭に貫かれ
たまますごいスピードで前進を開始したのだ。
 そしてマジンガーZの胸の発熱プレートが灼熱する。
『ブレストファイヤーーーーーーーーー!!!!』
 赤熱の溶解光線が使徒を襲った。また八角形が浮き上がりブレストファイ
ヤーをも跳ね返している。
 でも!!
 来た、チャンスが!
「隼人さん、グレース!!」
『あぁ。甲児くん、よくやった!』
『はいですぅ~!』
 ライフルエネルギーフルチャージ、これで撃てなくなっても構わない!
 銃身からこぼれ出さんばかりのエネルギーが溜まって行く。リミッターも
解除したから今までゲシュペンストが放ってきたビームの中で最大の光条が
発射されるはずだ。
 そしてゲッターライガーはオープンゲットで分離して、再び三つが一つに
なる。
『チェンジ、ドラゴン!』
『スイッチオンですぅ~~♪』
 姿を見せたのは赤い巨人、ゲッタードラゴン。きっと隼人さんの操縦だろ
う。
 マジンガーZはブレストファイヤーを放ちながら、まだジリジリと前進を
続けていた。そしてついにあの八角形のすぐ前まで辿りついた。
「いきます!」
『おう、マジンガーZの底力、くらいやがれぇ~~~~~~~!!』
 ターゲットスコープを覗きながら、私はゲシュペンストを疾走させる。少
しでも近づいて、ヤツに全エネルギーを食らわせてやる!
『マジンガーZ、フルアタァーーーーーーーーック!!』
 マジンガーZから、光子力ビーム、冷凍ビーム、ルストハリケーン、ドリ
ルミサイル、そしてブレストファイヤーが一斉に発射された!
『ゲッタービーーーーーム!』
 ゲッタードラゴンからはゲッターロボの十倍の威力を持つというゲッタービー
ムが額からはなたれる!
「いっけぇ~~~、リン!!」
「これで、終わりだぁ~~~~~~!!」
 興奮したアムの歓声に後押しされて、私はトリガーを押す。
 スパイクを噛ませていなかったので反動で機体が後ろに押される。でも、
この狙いは絶対外すわけにはいかない!
 脚にかかる無茶は承知で、その場に踏みとどまる。膝の関節が壊れたみた
いだけど気にしていられるか!
 死力を尽くした私達の攻撃が使徒に叩きこまれる。これで効かなかったら
嘘だ。
 八角形のバリヤーが弾けて消えた!
 ふざけた形の本体に破壊エネルギーの奔流が叩きこまれて行く。

 そして、数百メートルにも及ぶ爆煙が巻き起こった。

 マジンガーが立ちあがる黒煙から崩れるように抜け出してきた。
 あの鉄の城もボロボロだ。
 それに私のゲシュペンストも、あっちこっち故障しちゃった。 
 右膝の間接がいかれたし、ライフルの熱量に耐え切れなかったのかセンサー
系も軒並みいかれてしまったし。
 まぁ、あんなに無茶なパワーで発射したニュートロンビームライフルは回
線も焼き切れずに無事だったのは、不幸中の幸いかな。
 私はこの時、すっかり気を抜いてしまっていた。
 もう、あの使徒を倒せた気でいたのだ。

 しかし・・・・・・

「リン! あれ、あれ!?」
 アムの悲鳴まじりの声に、気の抜けていた意識が覚醒する。
 まだ、立ち上る黒煙の中から、あの光る鞭のようなモノが悪夢のように生
え出てきたのだ。
「ま、まさか?」
 思考が真っ白になる。
 その鞭が崩れ落ちたマジンガーZを貫いて持ち上げても、私にはそれが現
実の光景に見えなかった。
 マジンガーZが、まだ地上に残っていた格納庫施設郡に放り投げられた。
凄まじい音がしてマジンガーが格納庫を壊していく。
 黒煙の中からゆっくりと、使徒が姿を表した。
 ところどころ焼け落ちて、グロテスクな姿に変わってはいるが、アイツは
健在だ。
「リン、リンってば!!」
 シート越しに思いっきり肩を揺さぶられ、私はようやく現実に立ちかえっ
た。
 所々溶けて、いまだに身体中から煙を吹き上げている使徒が、ゆっくりで
はあるが、こちらに近づいてきているのだ。
 まずい! 呆けている場合か、私。
 レバー、ペダルをガチャガチャと動かすが・・・・・・
 反応がない。右腕だけは動くけど・・・ 脚部系統はほとんど死んでしま
ったようだって・・・ どうするんだよ私!?
 使徒はゆっくりと近づいてくる。
 血の気がサァーっと引いていくのがわかった。
 動けないゲシュペンストの中、私は間近に迫る形を持った悪夢に、ただ純
粋に恐怖した。

 -幕間へ-

 【後書き】
 使徒が登場。しかも第四からです。この使徒戦、たしかこの頃読んだ
どっかのスパロボSSで、使徒が二十行足らずでやられたのを読んで、
「そんな簡単に倒せるわけねえだろう!」と思って書いた記憶があります。


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