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No.16394の一覧
[0] F REAL STORY  【スーパーロボット大戦Fっぽい】 [まくがいば~](2010/02/18 22:25)
[1] F REAL STORY  プロローグ01 【これだけR-15位】[まくがいば~](2010/02/22 22:20)
[2] F REAL STORY  プロローグ02[まくがいば~](2010/02/23 23:05)
[3] F REAL STORY  幕間 -私がいない所で-[まくがいば~](2010/02/14 22:47)
[4] F REAL STORY  第一話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:16)
[5] F REAL STORY  第一話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/18 22:24)
[6] F REAL STORY  第二話 Aパート[まくがいば~](2010/02/22 22:08)
[7] F REAL STORY  第二話 Bパート&幕間[まくがいば~](2010/02/21 00:32)
[8] F REAL STORY  第三話 Aパート[まくがいば~](2010/02/23 22:31)
[9] F REAL STORY  第三話 Bパート[まくがいば~](2010/02/24 23:37)
[10] F REAL STORY  幕間  -私のいない所で-[まくがいば~](2010/02/27 22:04)
[11] F REAL STORY  第四話 Aパート[まくがいば~](2010/03/02 17:08)
[12] F REAL STORY  第四話 Bパート[まくがいば~](2010/03/06 21:49)
[13] F REAL STORY  第四話 Cパート[まくがいば~](2010/03/06 21:53)
[14] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/03/09 00:09)
[15] F REAL STORY  第五話 Aパート[まくがいば~](2010/03/11 21:19)
[16] F REAL STORY  第五話 Bパート[まくがいば~](2010/03/16 21:47)
[17] F REAL STORY  第五話 Cパート[まくがいば~](2010/03/17 22:32)
[18] F REAL STORY   幕間[まくがいば~](2010/03/28 20:29)
[19] F REAL STORY  第六話 Aパート[まくがいば~](2010/03/28 20:30)
[20] F REAL STORY  第六話 Bパート[まくがいば~](2010/04/02 22:08)
[21] F REAL STORY  第六話 Cパート[まくがいば~](2010/04/02 22:12)
[22] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/05 23:17)
[23] F REAL STORY  第七話 Aパート[まくがいば~](2010/04/08 22:36)
[24] F REAL STORY  第七話 Bパート[まくがいば~](2010/04/11 22:00)
[25] F REAL STORY  第七話 Cパート[まくがいば~](2010/04/13 18:47)
[26] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/15 21:25)
[27] F REAL STORY  第八話 Aパート[まくがいば~](2010/04/19 21:29)
[28] F REAL STORY  第八話 Bパート[まくがいば~](2010/04/21 23:11)
[29] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/04/24 22:58)
[30] F REAL STORY  第九話 Aパート[まくがいば~](2010/06/04 22:54)
[31] F REAL STORY  第九話 Bパート[まくがいば~](2010/06/04 22:57)
[32] F REAL STORY  幕間[まくがいば~](2010/06/24 15:51)
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[16394] F REAL STORY  第八話 Aパート
Name: まくがいば~◆498b3cf7 ID:361a872e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/19 21:29
テスラ=ライヒ研マオ分室副室長。
 Drショータロー=カネダ氏。
 IRONMAN-28、鉄人28号の操縦者。
 ロボット工学を齧った者ならその名を知らぬ者はいない、伝説の人。
 連邦調査機関の協力者として世界で初めて、『スーパーロボット』の称
号を与えられた鉄人28号を若干12歳で操り、様様な『世界の敵』と戦
い続けた彼も15年ほど前に一線をしりぞき、ロボッ
ト工学者としてこの研究所に招かれて、今に至る。
 あぁ駄目だ、見まい見まいと思っても視線が蒼い機体を追ってしまう!
「またなんか凄そうなロボットが出てきたよ、リン」
 ちなみに今、私のゲシュペンストは数機の敵機グライアに半分包囲され、
ビーム兵器が雨霰と降り注いでいてピンチなんてモノじゃない。
 でも、その危機感も現実的に思えないほど、私は、私は舞い上がってしま
っているのだ!
 あぁ、こんなんじゃいけない!
 集中しろ、リン=マオ!
「あぁ、背中のロケットみたいので飛びあがった! あのロボットもビーム
が全然効いていないわよ、すご~いリン!」
 しかしそんな決心をすぐに揺らがせる、隣に座るファンネリア=アム嬢の
実況。私の首は無意識に飛びあがった鉄人を追ってしまった。
 しかし、慌てて視線を私を包囲するグライアどもに戻す。
 私にとって幸運だったのは、私を半包囲していた敵ヘビーメタルも鉄人に
目を奪われていたことだ。
「余所見をしてる場合かぁ~~~!?」
 半分自分に発破かけるようにトリガーを絞る。
 追加されたマシンガン式連射システムで大まかな狙いでニュートロン・
ビームライフルを発射!
 気を反らした間抜けな一機のグライアの右腕を吹き飛ばした。同時に敵の
半包囲を突破できた。
 よっし!
「きゃ~~、なに! 飛び蹴りよ、飛び蹴り! わ、あっちのロボットは今
度は口から変な風起こしてるわよ!! すっごくない、リン!?」
 ・・・・・・
 せっかく盛り上がってきた気分をぶち壊してくれるアムの歓声。
 彼女の見ていた光景を解説すると、鉄人が飛びあがるや、急降下をかけグ
ライアに蹴りを見舞った。その後、たまたま落とした視線の先にルストハリ
ケーンを放ちグライアを牽制しているマジンガ-Zが写ったようだ。
「アム。頼むから、もうちょっと静かにしてくれないか? 集中できないん
だ」
 懇願口調になってしまう私。アムはペロッと可愛く舌をだして
「ゴメンゴメン」
 と言うけど、視線はすぐにヘビーメタルを蹴散らすスーパーロボットに戻
っている。はぁ・・・・・・ きっとまたすぐに騒ぎ出すんだろうなぁ。
「レナン! 全体状況!! できたら上のからの俯瞰で!」
 敵HMは十機以上、上には軽戦闘機的なランドブースターも同数くらい
まだ残っているはずだ。確実に見こめる増援といえばもうすぐ出てくる隼人
さん&グレースのゲッターGだけだ。
 ここらで全体の戦況を把握して作戦をたてないと、マジンガーや鉄人はと
もかく私やダバ君やレッシィが危ない。あ、ボスさんもいるか。でも、あの
人はきっと何やっても死ななそうだろうからいいか。
 視界の左端あたりに、いろんなところからデータを引き出してきたらしい
レナン作成の全体状況図がでる。ゲシュペンストを基点に研究所三キロ範囲
の俯瞰地図に敵味方を色分けして光点でしめしてくれている、いい仕事だぞ、
レナン。
 やはり、上の方にいるのがレッシィだけなのため、制空権は連中に取られ
てしまっている。さっきから、何とか避けているけど上からのパワーランチ
ャーの攻撃が厳しくなってきているし。
 やっぱり手駒が足りなすぎる。こうなったら・・・・・・
「甲児さん! 聞こえますか、リンです!」
 まるでボクサーのように腕を眼前に交差させ、グライア数機からの砲撃を
モノともせずにジリジリと前進するマジンガーZに、私は通信を送る。
『おう、リンか、大丈夫か?』
 甲児さんの声は、いつもと変わらず平静そのものだ。
「甲児さん、ゲッターGが出るまで上をお願いできますか!? 少しでも空
の連中大人しくさせたいんです!」
『上って、パイルダーでかよ?』
 甲児さんの声は驚いているというより、呆れている、そんな感じだ。無茶
を頼んでいるいるのはこちらも承知だ。でも、頼れる航空戦力は今は甲児さ
んのパイルダーしかないのだ。
『わかったよ、マジンガー頼んだぜ。パイルダー、オフ!!』
 仕方ないなぁって感じで頷く甲児さん。多くを語らなくても察してくれた
みたいだ。
 マジンガーの頭部から飛び立つ超小型VTOL、ジェットパイルダーは、
そのまま煩く飛びまわっているランドブースターに向かって行く。これで上
からの攻撃は少しは静かになってくれるだろう。
「リンリン!」
 飛び立つパイルダーを見てまたアムが興奮気味に話し掛けてきた。リンリ
ンって鈴じゃないんだぞ、私は。
「あれ、何あれ!? 頭からボーンって!」
「アレはパイルダーって言ってマジンガーのコックピット兼戦闘機みたいな
もんなんだよ。エルガイムのスパイラルフローだっけ、あれと同じような
ものだと思えばいい。レナン、隼人さん呼び出せるか?」
 カネダさん操る鉄人は、こちらがなにも言っていないのに主が抜けて超合
金ニューZ製の立像と化したマジンガーのフォローに回ってくれている。さすがだ。
 小さなFWが現れて【神 隼人呼出し中】と出た。隼人さん、Gに乗りこ
んだらしい。
『リンか、そっちはどうだ?』
 程なく、いつもの戦闘服に着替えた隼人さんが通信に出た。
「甲児さんにパイルダーで上にあがってもらってるくらい、けっこうシビア
な状況です。Gはどうですか?」
 マジンガーに駆け寄り、無人となった鉄の城を攻撃するグライアをミサイ
ルで牽制しながら、私は喋る。ああ、舌かみそうだ。
『今、ドラゴンのオート操縦のセットをしているところだ。あと、二分って
ところだな』
 憎たらしいくらいのクールな声で隼人さんが言う。ん、ドラゴンがオート
ってことはどういう組み合わせで乗っているんだ、今回は?
 頑丈なのをいいことに、マジンガーZを盾代わりにして、私はグライア五
機と射ち合っている。私の背後では鉄人が鉄拳を振りかざしグライア三機を
相手にしている。飛び道具がない機体ではやっぱり苦戦しているみたいだ。
「隼人さんがライガーで、グレースがポセイドンですか、今回は?」
『あぁ、グレースは器用だからな。俺より上手くポセイドンを扱えるだろう』
 なぜか苦笑している隼人さんがちょっと気になるっていえば気になるが、
今はそれどころじゃない。これ以上マジンガーを盾に使ったら甲児さんに上
から狙い撃ちされるかもしれないし。
「できるだけ早くお願いします。レナン、ダバ君はどうなっている!?」
 隼人さんとの通信を切ると、ここからかなり離れたところでやりあってい
るダバ君の現状確認。
「えっと、ダバはねぇ・・・・・・」
 レナンに訊いているんだけど、何故かアムがどこからか双眼鏡らしきモノ
を取り出してダバはダバはと捜してくれている。
【エルガイム確認:状況】
 と今度は右横の邪魔にならないあたり6インチくらいの映像が出て、そこ
ではバッシュと斬り結んでいるエルガイムの姿が映った。
「きゃぁ~~、ダバぁ! 頑張ってぇ!!」
 アム嬢もエルガイムを見つけたらしく、キャアキャアと喜んでいる。
 どうやらダバの上空ではレッシィがサポートしていて、二人で上手く協力
しあって上下合わせて二対十くらいの戦力差を補っているらしい。
 けど、ダバ君のエルガイム、こんな小さな映像でもわかるくらいにバッシ
ュに苦戦しているようだ。無理もない。あのロン毛のたれ目男はダバ君だけ
を狙えばいいのだけど、ダバ君の周りには他にも敵がいっぱいなのだ。
「あぁ~、ダバ、危ないってばぁ! こら、レッシィ、しっかりやれぇ!」
 手を振り上げて応援に熱を入れるアムは意識の外に放っておいてと。
 状況を簡単に整理すると、いま戦場は三つ、いや四つに分かれているのか。
 一つは私と鉄人を中心とした戦場。二つ目はここから二キロちょっと離れ
たダバ君とギャブレットとやらを中心とした戦場。三つ目は上でパイルダー
で空中戦を行っている甲児さんの戦場。そして四つ目はさっきから気になっ
ている敵大型艇が着陸したあたり。何もないところ、なんだけど、動きが見
えない分だけ少し不気味だ。あれ、ボスさんのボスボロットが居ないぞ。ど
ちらへ行ったのだ、あの御仁は?
 まぁボスさんもへクトール以上にしぶとそうだから大丈夫か。
 そして私は少し考える。ここはこのままゲッターGが出てくるまで現状を
維持するか、それとも無茶を承知で突貫するか。
 フン、考えるまでもないか。このまま現状維持なんて消極策、私らしくな
い。なんの為にゲシュペンストに乗っているんだ。
 よし、考えは決まった。
「アム、しっかり掴まっていろ! 荒っぽく行く!」
 主に格闘戦を担当する左腕のレバーに力強く握る。
「うん、わかった、いっけぇ、リン!!」
「ゲシュペンスト、GO!!」
 アムの掛け声に合わせてるように私も気合を入れる。
 脚部ホバー、フルスロットル、スラスター最大出力!
 地面からわずかに浮いているゲシュペンストは、まるで飛ぶようなスピー
ドでさっきからマジンガーを狙っていた五機のグライアに向かっていく。
「むぎゅう!」
 アムが急発進でコックピット後ろに行ってしまったようだが気にしていら
れない。こっちもGで潰れそうなのだ。
 常識はずれの急加速で近づいてくるゲシュペンストに敵は反応できないよ
うだ。チャンス!
「ゲシュペンストバイトォ、レディ!!」
 手近な敵にすれ違いざまに左腕を振り上げる。そして音声認識の接近戦用
新武装【ゲシュペンストバイト】を発動する。
「アタァーーーック!!」
 ゲシュペンストの左五指がガチンと鋭角化。それをそのまま敵頭部に叩き
こむ!!
 グシャァァァ!!!
 そのまま敵グライアの頭部を握りつぶしもぎ取る。圧縮空気を利用したら
しいけど、すごいパワーだ。
 敵HM一機撃破! そのまま加速を維持しつつ、二機目狙いをつける。ダ
ッシュをしてからまだ十秒たっていない、敵はまだ錯乱している!
 滑るように狙いを定めた二機目の右側面につく。そのまま再びゲシュペン
ストバイトを食らわせようと左腕を振りかぶったら・・・・・・
【左マニュピレター、可動不能】
 ふざけた警告が現れた。頭に血が一気に上る。
「一回で壊れるような武器をつけるなぁ!!」
 そのまま怒りを思いっきり乗せた左ストレートを、グライアに叩きつけた!
 半分以上やつ当たりが入っている。
 すごい反動がこっちにも来た。シートに固定されていてもグラングランと
身体が前後に揺さぶられる。アムなんかシートの後ろであっちこっちに身体
をぶつけて目を回している。
 左拳がグーのまま動かなくなってしまったけど、二機目のグライアも撃破
だ。
 残った三機が高速で動く私に反応しはじめた。ちっ、さっきのパンチで
速度にブレーキがかかってしまったみたいだ。
 でも!!
 この五機は私がやるって決めたんだ! 諦めるかぁ!!
「レナン、ライフルエネルギーフルチャージ!! 対艦モード!!」
 右腕のライフルを構える。狙いはつけない。
 この急速チャージシステムも一回でぶっ壊れるなんてことないだろうな。
 今までの半分以下の時間でエネルギーが溜まる。
 急制動、凄いGと共にゲシュペンストが停止する。
 グライア三機がパワーランチャーが光条を放つが無視。ビームコーティン
グは伊達ではないのだ。
 そして足裏のスパイクを地面に噛ませる。固定確認! 
「いっけぇ~~~~!!!!」
 ニュートロンビームライフルから放たれる大光条! 銃身をわずかに移動
させ三機をサーチライトで照らすかのよう薙ぎ払う!!
 一機、二機、ちぃ、三機目にはかわされたか!!
 間一髪のところで私の狙いを外したグライアは、パワーランチャーを捨て
ビームセイバーを振りかざしゲシュペンストに迫る。
 ライフル! と狙いをつけようとした私だがそれを遮る新たな警告表示が
現れた。
 しまった! 大気圏内じゃ対艦モードを放った後の銃身冷却時間が宇宙の
数倍かかるんだった!
 一瞬の躊躇の間に、敵は目前に迫ってきている。捨て身の特攻か!
「小賢しいぞ!!」
 左手甲少し下あたりに固定されたプラズマソードを起動させる!
 敵グライアがセイバーを振りかざした! こっちの方が早い!
「伸びろぉ!! プラズマジャベリン!!!」
 格闘戦用新装備その二を、私は絶叫ととも発射する。甲児さんや竜馬さん
が武器の名前を叫ぶ気持ちが少しわかった気がする。のる気合いが全然ちが
う。クセになりそうだ。   
 ジャベリンと言ったって柄が生えるわけではなく、瞬間的にソードの部分
が伸びるのだが、不意打ちとしてはいい武器だ。光の剣は敵よりわずかに早
くグライア胸部を貫いた! そのまま崩れ落ちる敵機。
 よし、五機撃破!
 ふぅ~~、とため息をつく。時間にして30秒もたっていない速攻だった。
これでダバ君のフォローに回れるか。
『リンさん、無茶しますね』
 感心したような呆れたようなカネダさんの声。この人だけはマイペースに
グライアの相手を続けている。あきらかにグライアより地上速度が遅い鉄人
で、どうしてああもパンチを当てたりできるのかな、この人は。
「いや・・・ これでもロンド=ベルの一員ですから・・・」
 応えながら呼吸を整えようとするがなかなか静まらない。汗も全身にジワ
リと滲んできて不快だ。
 あれ、目も霞んできた。ちょっとマズイぞ。
 そこで私は気がついた。私はかなり疲労している。さっきの速攻が成功し
たせいで張り詰めていた精神の箍がゆるんで、疲労が一気に噴き出してきた
ようだ。
 思えば、大気圏上でのガンダムとの勝負と無茶な大気圏突入で地球に戻っ
てきてから、まだ半日も経っていないんだよな。自分でも気づかないうちに
かなり疲労が蓄積していたのか。不覚だな。
 レナンに周囲の警戒と機体のセルフチェックを命じて、私はシート右横に
あるメディカルボックスを開け、強壮薬のピストル型無針注射器をだし、左
肘の血管に押し付け射ち込む。
 あぁ、薬液が染み渡る。
 戦場だろうというのに妙に気が抜けた私の視界に、鉄人28号がグライアの脚
に蹴たぐりを食らわして転倒させ、なおかつその脚をつかんで豪快にジャイ
アントスイングを決めている勇姿が映った。
 私のゲシュペンストであんなことやったら、まずコックピットの中の私が
目を回してダウンだな。
 あ、もう一機にグライアが旋回を続ける鉄人に斬りかかろうしている。け
ど、その敵が見えているのか鉄人はその斬りかかってきたグライアに向けて
振り回していたグライアを投げつけた。
 激突! そしてふっとぶ二機。豪快だ。
 それにしてもカネダさん、『場』の把握が凄い上手い。鉄人が戦場のどの
あたりに居て、敵がどのあたりからくるのかを完全に見切っているし。
 そこまで考えて気がついた。鉄人は無線操縦なんだ。だから無人機ならで
はの無茶な機体操縦も可能で、尚且つ離れたところからの操縦だから鉄人の
周りにも注意がいくのか。
 そういうメリットも無人機にはあるんだな。
 一方、私の無茶な頼みで空へあがった甲児さんは・・・・・・
 レナンにモニターさせると、上空五百メートルほどで超小型機ならでは
の旋回性能を発揮して、四機ほどのランドブースターを撹乱してくれている。
でも武装が悪いけど貧弱なので、撃墜までにはいたっていないみたいだ。
「甲児さん、下は片付けましたから戻ってもらって大丈夫です」
 強力強壮剤のおかげで身体が火照ってきた。疲労感もだいぶ和らいできてくれ
た。じゃあダバ君の応援にいこうかと、私は自分の頬を叩いて気合を注入す
る。
 と、甲児さんからは叱声が飛んできた。
『リンか、それどころじゃないぞ、ボスのほう見てみろ! 増援が出てきて
いるぞ!』
 え、増援? 甲児さんからの通信に私は一瞬ポカンとしてしまったが、あ
わててその増援というのを捜す。
 ・・・・・・居た、着陸していた大型輸送艇から敵機らしい機体がワラワ
ラと出てきている!
 HMか、タイプ照合、アローンとかいうタイプの量産機が五機のグライア
が一機、計六機か。
「わかりました! 私はこの増援のところに向かいます!」
 しかし、なんてタイミングで出してくるんだ、敵は! 戦術も知らない奴
が指揮官なのか?
 最初から敵があの兵力を出していたら、きっと戦況はもっと不利になって
いたはずだ。地下に降下した研究所施設に侵入を許していたかもしれない。
つまり敵は勝機をまんまと逃していたのだ。
 敵のことながら不甲斐なさに腹が立つ! 私はなめられていたのか!?
『俺は、このまま隼人さんがくるまで上で頑張るからよ。ボスのほう任せた
ぜ』
「ボスさんが、もう行っているんですか?」
 カネダさんに空のマジンガーの護衛をお願いして、私はゲシュペンストに
リスタートをかける。
 ボスさんの素早い対応、ちょっとビックリだ。
『もう行くもなにも、アイツ大物狙いで最初っからあっちに行ってたみたい
だぞ。輸送艇の蓋が開きそうなのを必死で塞いでいたらしいけど、駄目だっ
たんだな。さっき情けない声で俺んトコに泣きついてきたぜ』
 ・・・そうか。敵は出なかったんじゃなくて、出られなかったのか。
 ボスさん、凄い! この戦いでの一番の功労者かもしれないぞ。見なおし
ました!
「わかりました! 私は敵増援の方に向かいます。甲児さんはマジンガーに
再ドッキングできたら、ダバ君の手助けお願いします!」
 するとそこに割り込み通信が入った。えっと、さやかさんからだ。
『甲児くん! マジンガー借りるわよ!』
 さやかさんの甲高い声が響く。マジンガー借りるって、さやかさん、何す
る気だ?
 先ほどマジンガーが出てきた格納庫の扉が開くや、赤い超小型VTOLが
飛び出してきた。え、あれもパイルダーだぞ?
 あ、そうか。甲児さんたちジェットパイルダーの他に自分達の脚用にって
ホバーパイルダーも持ってきていたんだっけか。
『え、おい、さやかさん!?』
 甲児さんの困惑も無視して、さやかさんは『パイルダーオン!!』とマジ
ンガーZの頭部にドッキングしてしまった。
『リン! 異星人の人たちのサポートは任せて! 久々にいくわよぉ~、Z
!』
『ちょっと、おい、さやか! さやかさぁ~~ん!』
 出番がなくてストレスでも溜まっていたのだろうか。嬉々としてマジンガ
ーを走らせて行く。
 さやかさん、いきなり出てきてマジンガーかっぱらって行っちゃった。
 思わず呆然とする私と甲児さん。
『俺こいつらの相手終わったら、何すればいいんだよ?』
 上空で相変わらず四機のランドブースターから逃げ回っている甲児さんも
当惑気味だ。
 そこに再び割り込み通信。
『甲児くん、もう引っ込んでお茶でも飲んでいていいぞ』
『私たちに、お任せくださいですぅ~~♪』
 イヤミなくらいクールな声と、お花畑がみえそうなくらい脳天気な声が重
なった。
 ゲッターGがスタンバイ完了したみたいだ。
 また新たに格納庫の扉が重々しくスライドしていく。
 そして飛び出してきた3機の特異なフォルムを持った戦闘機! ライガー、
ポセイドン、ドラゴンの順で。
 いろいろ諸説分かれるけど、私がこの地球で一番の性能をもつと思ってい
るスーパーロボットの登場だ。
『チェンジ、ライガー!!』
 そのまま急上昇を駆ける三機のゲットマシン。隼人さんの掛け声とともに
その各ゲットマシンが重なるや・・・・・・
 瞬きする間に、蒼い流線型のフォルムをもつロボットが完成していた。そ
してライガーは背中のロケットバーニアを開いて凄まじい勢いで上空を飛翔
というより滑空していく。
 あ、また見惚れてしまった。
 甲児さんの周りをまとわりついていた四機のランドブースター、そのうち
二機はライガーが傍を通過しただけで羽根などがもげて、そのままグルグル
と墜落していった。   
 そしてライガーは空中で信じられない急停止をかけ、まるで宙で何かを蹴
ったかのよな凄い角度の方向転換をし更に残り二機を狙う。
『うわぁ、あぶねぇな、隼人さん!』
 ソニックブームに煽られて独楽のようにクルクル回っているパイルダーか
ら甲児さんの悲鳴混じりの声がした。よく墜落しなかったな。
 いきなり現れた最非常識ロボットの登場にいまだに回避運動もとれないラ
ンドブースター二機の合間を一瞬にしてすり抜けたゲッターライガー。
 そのままの勢いで着地し、地面を削るようにして止まったと同時に、宙で
起こる二機の爆発。決まりすぎだ。
『ふっ・・・・・・ 甲児くん、腕がなまっているんじゃないのか?』
 どこまでもクールに言う隼人さん。甲児さんも多少ムカッとは来たみたい
だ。通信に映る顔の目のあたりが多少釣りあがっている。
『リンちゃんリンちゃん、大丈夫ですかぁ~』
 そして今回ポセイドンに搭乗中脳みそお花畑娘から通信が入った。何気な
くその映ったモニターに目を移すと・・・・・・
 シートから思わずズレ落ちるほどコケてしまった。
「ぐ、ぐ、グレース・・・・・・ そのカッコは?」
 うめく様にそう口にする私。グレース、どこに用意していたのかソフトボ
ールのキャッチャーでもやるような格好をしていたのだ。
『えへ♪ こんなこともあろうかと、ちゃんと弁慶さんバージョンも用意し
てたんですよ、似合うでしょ?』
 どうやら、今度はポセイドン操縦となるから弁慶さんみたいな格好をして
いるというらしいが・・・・・・
 この娘、どうやってこんなモン用意したんだ?
「で、グレース。ポセイドンはどうなんだ、操縦できそうか?」
 気を取り直してグレースに訊く。すると彼女、身を乗り出すようにして嬉
しそうに説明してくれた。
『すっごいんですよ、このゲッターGちゃんって。ゲッターロボよりずぅ~
~~っと操縦しやすいんですぅ♪』
『Gはゲッターでのノウハウが活かされていて、操縦系が向上しているんで
な』 
 グレースの喜びの言に隼人さんの簡単な解説が続く。 これは意外だ。
Gの方がゲッターロボより操縦しやすいのか。 
『リン、和んでいないで増援の方を片付けるぞ』
 隼人さんの軽い叱責で思い出す。そうだ! 急がないとボスさんのボロッ
トがスクラップに逆戻りだ。
「了解しました!」
 そして私が気合をいれて操縦レバーを握りなおした時だった。

 ゾクッ!!

 今までに経験したことのないくらい、純粋な『恐怖』が私の全身を貫いた。
身体が金縛りにあったようにピクリとも動かない。
 ・・・・・・なんだ? どうしたんだ!?
 突然の『恐怖』に思考も一瞬にして真っ白になる。
 ほんのわずかに残った理性の断片が、その『恐怖』の発信源を探そうとす
る。
 いや、私にはわかっていた。
 それはすぐ傍にきているのが・・・・・・

 -第八話 Bパートへ-

 【後書き】
 鉄人無双中。鉄人の材質は知らんのですが、何か硬そう
なんで、こういう扱いになってます。しかし、武器のないロボット
は書くの大変です。


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