番外編です。
本編とは全く、それは微塵も関係ないです。
もし、「本編のイメージを壊したくない」「動物は嫌い」と言う人は見ないことをお勧めします。
また、この作品はとてつもなく妄想なので、
気にしたら負けです。
では、どうぞ!
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夢、それは遠い夢。
こんなでだしだと、どこぞの人生と勘違いされるかもしれないが、
そういう訳ではないので、勘違いしないでくれ。
問題は、今、俺の状態でこれが夢なのか、はたまた現実なのかも分からないほどに
寝ぼけていることだ。
それでも、必死に起きようと、目を開けてみる。
「うぅ、やっぱり眠い」
無理だった。
目を開けようにも、非常に瞼が重たい。
俺の意思が弱いとも言うかもしれないが……
原因は分かってる。
寒いからだ。
ここのところ非常に冷え込む。
俺の部屋には暖房器具は完備されておらず、
また、あったとしても非常にお金がかかるので使われないだろう。
そんな俺の部屋には、こたつが配備された。
こたつ、それは日本のよき文化の一つ。
もしくは、俺の考えた三種の神器の一つだと思う。
他の二つは、パソコンとケータイだ。
こたつはこの二つと比べるとひどく見衰えするが、
庶民……つまりは俺のような貧乏人にとっては、もしかするとケータイやパソコンよりも神に近いかもしれない。
さて、問題はなぜ寒いと眠いからなのか、それはこたつの話と関係がある。
普通に寒いだけなら、眠いどころかむしろ目が覚めるであろう。
しかし、眠いのは寒い状況に投げ出されるからだ。
何が言いたいのかというと、寒いと言う現実から、こたつという暖かい幻想に逃げたいがために、
眠気が襲ってくるのだ。
人間、寒ければ行動したくない。
それは誰もが同意権という世界の真理を俺は知っている。
たまに、例外もいるようだが、そいつはきっと人間じゃないと思う。
よって寒いと眠くなるという事実になる。
しかし、このままジッとしていられない。
いや、ぐうたらしすぎると言うのは問題だと思う。
今起きなければ、確実にぐうたらしていただろうが、俺は偶然にも、いや必然だろう。
少し目が覚めた。
まぁ目が覚めた理由が、なぜか身体が重いからなのだが……
最初、意識が戻ってきたときは寝すぎでだるいのかと思ったが、
意識が回復してきている今、認識しているのは明らかに他の物体による重さだ。
目を開け、現実を確認する。
ここまでに至るまで、自分の中の時計ではだいぶ時間がかかったが、
寒さのあまり、夢心地のあまりだと、いいわけをしたい。
「……え?」
現実は時に背きたいものだと思う。
たぶんそれは、より受け入れがたい現実の時に。
俺が目を開け見たものは……
「猫が俺の脚に……乗ってる」
よく言うことわざ? で「猫はコタツで丸くなる」というものがあるが、
その光景が俺の目の前に起きているものだった。
「にゃ? にゃ~ん」
俺が動いたの気付いたのか、猫も目を覚ましたみたいだった。
どうやらこの、『白い』猫は俺によく懐いているらしい。
どこかで見たことある、顔だった。
いや、実際には猫ではないのだが、俺にとっては猫も同然の扱いをしてきた者だ。
「にゃ? どうしたの竜也君?」
たぶん、今日初めて聞く日本語だ。
安心した。
なぜだろう、それと同時にちょっと残念な気がする。
「いや、なんでもない。どうしてここにいるんだ、なのは?」
俺は未だこの状況が理解できないでいる。
一応ここは俺の部屋だ。
そして、俺の記憶ではなのはをここに呼んだと言う事実はないはず。
「それはね、竜也君」
なのはがジーッと俺の目を覗きながら、真面目な雰囲気を出しながら言う。
「竜也君がなのはの飼い主だからだよ?」
俺はまだ眠っているのか?
分からない、そのため漫画でありがちのほっぺをつねると言う行動をとってみる。
「痛っ……夢じゃない」
「何を言ってるの? あたりまえなの」
「そ、そうか。じゃあ、なのは」
「何?」
どうなんだろう、本当にこれは現実なのだろうか……
物は試しである。
ちょっとなのはに悪戯してみる。
「なのは、俺に抱きつけ」
「にゃ~ん!」
そうすると勢いよく飛びかかって、抱きついてくるなのは。
それはもう、喜びながら。
「うおっ!」
俺はあまりのことに驚いた。
いくら猫状態でもなのははここまではやらないと思ったからだ。
でも……これはいいかも。
なんというかふかふかと言うか、生暖かいと言うか……
これが本当の夢心地なのか……
「にゃ~ん、にゃ~ん」
「な、なのは、そんなに思いっきり抱きつくな」
気持ちがいいのだが、なんだかとても恥ずかしい。
そんな事を思ってると、なのはの勢いが、力が強かったので俺は倒されてしまった。
「あ!」
頭を打ったせいか、意識が……遠のく……
あの、なのはの夢。
いや、あれが夢かも現実かも分からないが、あの現象から一体どれくらい経ったのだろうか。
一体どれくらい寝ていたのだろうか。
ようやく、意識が戻ってきた。
今度ばかりは眠くてではなく強制的だったが……
さっきのなのはに抱きつかれたときの感触……未だ残っている。
どうなんだろう、これはやはり現実なのだろうか。
そんな事を思いながら目を覚ますと、そこには……
「金色の犬?」
どうなんだろう、このワンパターンな起き方。
ギャグを狙うにしても原点対象なのかもしれない。
まてまて、こんな意味の分からないことを考えるより確認することがある。
「フェイト……だよな?」
「ん? そうだよ、竜也」
あの公園以来、しばらく会うことはないだろう何て勝手に悟りながら、
こうやって会うと恥ずかしいものがあるな。
「そうか……フェイトか……」
「どうしたの、竜也。今日は可笑しいね」
フェイトに可笑しいといわれてしまった。
そうか……俺もまだ完全に目覚めてはいないようだ。
「いつもみたいに、お手、とか言わないの?」
目が覚めていたいのは、フェイトなんじゃないかな?
俺はそう激しく思う。
その言葉、フェイトにバットで打ち返したいと。
「いつも言ってたか?」
「うん! いつも、その言葉を言ってるよ。私も好きなんだ」
私も好きなんだ……お手がか?
どうなんだろう、やっぱりここは現実ではないのだろうか?
再びそう思う。
しかし、さっきもつねってみたが……
念のためにもう一回、つねる。
でも、やっぱり痛かった。
まぁいいや。
とりあえずは、フェイトのお望みのことをしてやろう。
「じゃあ、フェイト、お手」
「わん!」
フェイトの暖かい手がと俺の手が重ね合わさる。
普段、なのはにやるのとは大違い。
たぶん、それは俺の慣れの問題なのだろうが、フェイトにお手をするのは、何故か俺が恥ずかしい。
でも、これほどに新鮮にそして、気持ちいいお手もないのではないだろうか。
さすが、本家犬ということなのか。
そして、肝心のフェイトは実に楽しそうにお手をした後、
あるはずのない尻尾を振ってるかのように見える。
これを含め、やはりここは幻想なのだろうと思う。
なら、もう一回目を閉じれば、現実に戻れるのではないだろうか?
そんな根拠もないことが不意に頭をよぎる。
しかし、早く現実に戻りたいので、目を閉じる。
どうか元の世界に戻れますように……
強く願い、力いっぱい閉じた目を開けてみる。
空けた先の光景は……一面の草原だった。
いや、草原ではない。
どこかで見たことある風景。
どこかで……
「あ、やっと目が覚めたの竜也君」
長い黒髪の少女がそこにはいた。
根拠のない理屈だったが、元の世界に戻ってくれたのだろうか?
一応は今までに比べれば現実的ではあるのだが……
「すずか!」
恐る恐る、それでも確固たる意識を持って、黒髪の少女、すずかに話しかける。
「にゃに? 竜也君」
俺はもう元の世界に戻れないかもしれない……
すずかの一言で淡い幻想は消えていった。
いや、これ自体が幻想だとは思うのだが。
もうだんだんと慣れてきている自分がいるのも確かだった。
こうなったらあれです。
徹底的にぶち壊していきます。
俺の今までの世界のイメージを、すずかのイメージを!!
「猫による大合唱!はじめ!」
「にゃ~にゃ~にゃん、にゃにゃにゃ……」
すずか猫による独唱が始まった。
そう、独唱だ。
ふふふ、ここまで来れば今までのすずかのイメージはない。
なんてことを思ってると、猫が集まりだした。
『にゃ~にゃ~にゃん、にゃにゃにゃ……』
1匹や2匹じゃない。
10数匹、20数匹とどんどん集まってくる。
『『にゃ~にゃ~にゃん、にゃにゃにゃ、にゃ~にゃ……』』
いつの間にか猫による大合唱と化していた。
黒縁や、灰色の猫。また血統書つきっぽい猫から、野生の猫と思われるものまでいる。
そして、『白い』猫もいつの間にか混ざっていた。
「もう……どうにでもなれ」
俺の精神も限界に近づいてきた。
あまりの現実との違いにだ。
しかし、現実は残酷だった。
この発言と同時に、大合唱が止み、そして……
『『『にゃーーーーーー』』』
この圧倒的な数の猫に襲われた。
というより飛びついてきた……
息をすることができない……
そうか、これが噂の猫圧迫死。
俺はそのまま意識を手放した。
「はっ!」
再び目を覚ました。
どうやら悪い夢を見ていたようだった。
目を覚ました場所は自分の部屋。
そう、こたつのある部屋だ。
よくよく考えれば、おかしな話だ。
あんなことが起きるはずがないじゃないか。
俺もどうかしてたのかもしれない。
でも、あんなのはただの夢。そう思えばなんだかついさっきのことだったが、懐かしく感じる。
そして、
「残念だったなぁ」
なのは猫の抱きつき、フェイト犬のお手、すずか猫の独唱。
どれも夢に終わらすにはもったいなかったかもしれないと、冷静に考えればそう思う。
「何が残念だったのかしら?」
「ああ、夢の中でな……え?」
お、おかしいじゃないか!?
俺は夢から覚めた筈だ。
そうだ、これは現実のはずだ!
それなのに、目の前にいるのは……
「アリサ?」
「どうかしたのかしら?」
さもここにいるのが当然かの様なアリサがいた。
ここは俺の部屋だぞ。
アリサをここに呼んだ記憶はない。
「アリサ、何でここにいるんだ?」
「い、いちゃ駄目だったかしら?」
ちょっと悲しそうな目をして、その目にはすこし涙を浮かべている。
ど、どうすればいいんだ。
いつもならここで、「わ、私の勝手でしょ!? それともいたら迷惑かしら!」
と強気に出るはずなのに、このアリサはそうではなく、
本当にここが居場所であるかのように、そう見える。
「べ、別にいいけどさ。いやいいんだよ?」
「そう、ありがとう。竜也」
アリサの皮を被った偽者なんじゃないのだろうか?
それともまだ幻想の世界なのか?
そう思うほどに元のアリサの原型がない。
いや……やっぱりありえない。
素直にお礼を言うなんて。
「あのね、竜也聞いて? 今日ね……」
ちょっと恥ずかしそうに、顔を赤くしながら、今日の出来事を話すアリサ。
この様子を見てると普通に恋に焦がれた少女のようだ。
……え? いや、まさかそんなはずはない。
これは本当に現実なのか?
さらに、現実かどうかを確認する為に一つ、試してみる。
「アリサ」
「なにかしら、竜也」
「お手、やってもらえないか?」
やはり、これだろう。
例えば俺の知ってるアリサなら、怒り狂って怒るか、めっちゃ恥ずかしそうに、いやいやながらお手をするかだ。
「た、竜也のためなら」
顔を真っ赤にして、俺と目が合わないように顔をそらしながら言った。
そうか……人間死ぬときに走馬灯を見るという。
たぶん、それなのだろう。
俺は死ぬのかな?
もしそうならば、最後の記念だ。
もう、自重という枷をはずそう。
ああ、ありのままにやろう!
「お手!」
「にゃ……にゃん!」
顔を真っ赤にしながらも、ハッキリと言うアリサ猫。
これだけでも、十分にかわいい。
しかし、俺は止めない、もう俺を止められる者はいない!!
「よし、俺に抱きつけ!」
今日二度目の猫に対する命令。
俺はもう死ぬんだ、これぐらい夢を見たっていいじゃないか!
「にゃ~ん!」
アリサは勢いよく俺に抱きつく。
なのはと同じく、暖かく気持ちい。
しかし、それだけじゃなく、その金髪の髪からもとてもいい匂いがする。
「にゃーにゃー」
そう言いながら、スリスリするアリサ猫。
アリサも枷が外れたのかもしれない。
そのスリスリは少しくすぐったくそれでも……一生の思い出に残るものだった。
この時間を俺は死んでも忘れはしないだろう。
俺は、そう心に決心して目を閉じた。
そういえば、一匹何か忘れているかもしれないが、気のせいだろう。
「わ、私はおち扱いかいな!」
「…………」
「ほ、ほんまにこれで終わりかいな!? え、そんなの……なしや。
あれか、子狸が表現しにくいんか? そうなんやな!」
「…………」
「分かったわ。私も一大決心するで」
「…………」
「私を忘れないでぽん!!」
あとがき
や、やってしまったあああああああ!後悔はしてない。
作者のタピです。
今日はひな祭り。
うpしたのはひな祭り後ですが、書いたのはひな祭りの日なので問題ないです!
ということで、ひな祭りスペシャルです。
女の子がいっぱいだったでしょ?
あれ? 動物でしたか?
どっちでもいいです。
ええ、批難される覚悟はできています。
さぁどうぞいいなさい!
ただし、一瞬でもかわいいとか、萌えたら言わないでくださいよ?
作者は自分の夢、もとい幻想、あるいは妄想が書けておなか一杯です。
ごちそうさまでした。
たぶん、竜也がの動物王国作ったらこんな感じでしょうね。
次回は本編に戻ります。
この話がなかったかのように戻りますから、気をつけてくださいね。
最後に
たくさんのコメントありがとうございます。
ついには200コメですよ!?作者初ですよ、こんな快挙!
こんな作品ですが、これからも生暖かい目で見てもらえれば光栄です。