第7話 魔法入門とガンドル先生
SIDE:高畑 里桜
「う~~ん……」
現在自宅にて瞑想中です。
おとーさんは大学に行っています。
私はおとーさんが帰ってくるまでに、魔力の感じを掴まければいけません。
宿題です。
眼を閉じて、自分と大気との境界をぼやかすイメージでマナ(世の中の全てのものに宿るエネルギー)を感じ取る。
何となくでもよい。感じ取ることが出来たら、マナを取り込み体内で練り上げる。
以上がおとーさんに聞いたコツみたいなものだ。
あまり意識してやった事は無いらしく、イマイチ要領を得なかった。
くそう、詠唱が出来ないといってもやっぱり才能あったんだろうな、おとーさん。
むむむ、全然感じがつかめない。
ぐぅ~~
あう、お腹がすきましたね。
お昼を食べて、またがんばろう。
「駄目でした」
「ん? 何か言ったかい?」
「いえ、何でも無いです」
おとーさんと晩御飯です。
結局魔力の魔の字も感じれないままに終了しました。
いやいや、確か原作でゆえっちが 1カ月か2カ月で初期魔法を憶えて褒められていたはずだ。
それから考えれば1日でどうにかなるほうが可笑しいのだ。
結局この日は、見回りに行くおとーさんを見送ってから寝ました。
SIDE:タカミチ・T・高畑
夜の麻帆良を見回りながら、里桜の事を考える。
今日は一日真面目にやっていたみたいだし、やる気は本物みたいだ。
なんで魔法を憶えたいのかは、まだ分からないけど里桜なら間違った使い方をする事は無いだろう。
最初に習う初級魔法の『火よ灯れ』までどれくらい掛るだろうか。
一月? 二月? 才能は未知数だけど意欲はあるし、そう遠い話じゃないかもしれない。
それにしても……
「まさかナギさんより先に子供を持つことになるとはなぁ……」
あの全方向にモテまくり魔人は今何しているのか。
紅き翼の面々で旧世界に居るのは僕と詠春さんだけだからなぁ。
詠春さんには里桜と同じ年の娘さんが居るらしいので、連絡をとってみるのもいいかもしれないな。
この日の見回りは何事もなく完了した。
SIDE:高畑 里桜
あれから1カ月がたちました。
あれから毎日色々と鍛えています。
基本的には、まず朝はおとーさんと軽い運動をします。
びっくりするぐらい体力が無いこの身体を、鍛え上げなきゃいけないので。
運動が終わったらお昼まで家事をします。
前は実家で暮らしていたから、家事はほとんどしていなかったけど
最近グングン家事スキルが上がってるのが実感できる。
全然嬉しくは無いけれども。
食後は2時間ほど仮眠をとります。
さすがに4歳児ボディ、体が睡眠を欲してしまいます。
起き次第瞑想を開始します。
この瞑想が一番つらいですね。
体を動かしたりしないので、何かをしているという達成感が得られないので
時間を無駄にしている感覚にすらなってきます。
おとーさんが大学から帰ってきたら晩御飯を一緒に食べて、食後の運動をします。
いい感じに疲れた所で、見回りに行くおとーさんを見送って就寝です。
と、まあこんなサイクルで、ひたすら過ごしています。
魔力の感知は3週間たった頃に出来るようになり、なんとその後すぐに『火よ灯れ』も成功しました!
あまりにあっさり成功したので、実はすごい才能があると思ったけど、
実際はそんなことは無く、『風よ』や『凍れ』はちっとも上手くいきません。
どうやらすこぶる火と相性が良いみたいです。
火事といい何とも火とは縁が深いようです。
その他に変わった事と言えば、ガンドルフィーニ先生と仲良くなりました。
現在CQCを教わっています。
何か格闘技を習おうと思っていたので、ちょうど良かったです。
なので今はガンドルフィーニ先生が暇なときに色々と教えてもらってます。
SIDE:ガンドルフィーニ
いやまいったな。
そもそもの始まりは、高畑君の娘さんである里桜ちゃんが魔法の事を知ってしまったことから始まった。
まだ事情もよく知らない4歳の子供を、こちらの世界に引き込むことは反対だったんだけれど、
実際に会ってみると、それは勘違いだったことを知った。
4歳児とは思えない立ち振る舞い、強い意志を秘めた眼、
この子はマギステル・マギになる事が出来る子だと思った。
そして自己紹介をした時に事件は起きた。
簡単に名前と自分の特技、CQCを得意としている事を告げた。
まあCQCなんて言っても分からないだろう、という私の考えはまたも裏切られた。
子犬の様にランランと光る里桜ちゃんの瞳によって。
なんだか分からないがCQCに異常に食いつかれてしまい、結局教えることになってしまった。
まあ、生徒としてはこれ以上ないほど優秀だし、育てる楽しみが無いでもない。
なんだかんだで、私も里桜ちゃんに教えることを楽しんでいた。
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後書き
読んで頂いてありがとうございます。青人です。
魔法の練習をするようになっても淡々と進む日常。
そしてガンドルフィーニ先生と仲良し。
ご意見・感想・誤字脱字のご指摘は、随時お待ちしております。