第3話 現状整理
SIDE:篠岡弥生?
半狂乱になる程驚くことが立て続けに起きた日の夜。
俺は現状の確認をしてみることにした。
とりあえず今日知ったことの羅列(驚いた順)
1.幼女になっている
2.どうやら俺がいた世界とは別の世界に居るらしい
3.しかもネギま!の世界っぽい(ネギま!?の可能性もある)
4.こっちの世界でも火事にあっていて、家族も全員死んでしまっている
5.というか親戚も居ないので天涯孤独だ
6.こっちの世界での名前は篠岡 弥生らしい
7.つーかさっきのタカミチじゃん
最後のほう何か変わっているが、おおよそこんな所だ。
とりあえず問題なのは1番と2番か。あと地味に4番と5番。
家族が死んでしまった事は悲しむべきだが、幼女化と別世界であることには適わない。
幼女化と別世界である事は受け入れるしかない。というのが結論である。結局のところ。
というか他に選択肢はない。
昼間に取り乱したいだけ取り乱したせいか、驚くほどあっさりと受け入れることができた。
となるとやっぱり地味にキツイのが4番と5番か……。
しかし、これもどうしようもない事といえる。
天涯孤独であることは変えようもないし、大人しく孤児院にでも行こう。
ネギま!の世界だとしたら、そんなに殺伐とした事にはならないだろうし、違ったら違ったで何とかするさ。
結局全ての問題を『どうしようもない』で片づけ、さっさと眠ることにする。
なにせ幼女の身体のため、まだ9時半なのにすこぶる眠い。
おやすみなさい。
SIDE:タカミチ・T・高畑
病院を出た後、僕は一人公園のベンチに腰かけていた。
あの後、目を覚ました弥生ちゃんと話したがことごとくかみ合わない。
日付の事、名前の事もそうだが、他にも家族構成を聞けば
「父と母と妹が一人です」
と答える始末。彼女は両親と兄が一人の4人家族だ。
年齢を聞けば
「22です。大学生ですよ。」
などと返ってきた。僕より年上の訳が無い。
あと彼女が名乗った謎の人物『やまうちりお』という人物についても不明だった。
学園長に聞いてみたものの、近辺にそんな名前の人物はおらず、学園長も知らないとのことだ。
謎が多すぎる……。
それに僕の名前を聞いた時のリアクションもおかしかった。
尋常ではない取り乱し様だった。
僕の事を知っていたのだろうか?
僕の事を知っていて、かつあれほど取り乱すとなると考えられるのは裏の世界の住人ということけど……
それこそ馬鹿な考えだ。
相手はまだ4歳なんだから。
それにあれほど麻帆良の傍に潜み続けるなんて不可能だ。
「結局何も分からないか……」
そう呟いてから、ふと思う。
別にここまで気にする必要はないはずだ。
魔法が原因で火事が起きたわけでもないし、むしろ僕は助けてあげた側なわけだし。
このまま深追いせずに、成行きに任せるのが一番だろう。
「…………」
何か納得のいかない心を無理やり抑え込み、僕は家時へと着いた。
SIDE:篠岡弥生?
翌日、警察が来たり医者にあちこち検査されたりと色々と忙しかった。
といっても、警察に火事の原因云々を聞かれても分かるはずもないし、検査結果も異状なしだった。
カウンセリングっぽいものも受けたが、結局は記憶が混乱しているということに落ち着きそうだ。
夕方あたりから暇になったので、休憩所のようなところで適当に雑誌を開いてみた。
するとチラホラと『麻帆良』『学園都市』といった単語が見える。
どうやら本格的に『ネギま!』の世界で間違いなさそうだ。
そうなると今って、いつ頃なんだろうか。
今が1992年ってことは分かってるけど、マンガでは何年だったかなんて覚えてはいない。
ただ昨日会った。タカミチがやたらと若かったので、開始時より前であることは確定だな。
へたすりゃ、まだネギは生まれてないのかもしれない。
「さて……」
そう呟いて、自分の病室に戻ろうとしたが
やはりこの身体に違和感を感じてならない。
さらに言うなら視点が低い、歩幅が短い、体力が無い。
違和感だらけで嫌になる。
病室に戻り、またちょっと考えてみる。
ネギま!の世界に来てしまった理由は何だろう。
こっちの世界に来る直前の記憶は、原因不明の火事だ。
居間で昼寝していた俺が起きたらすでに火の海だった。
周りに母親と妹が倒れていた。
父親は…休みの日だから、たぶん書斎にいたと思う。無事だったのだろうか。
燃え盛る炎に身体を焼かれて、酸欠になりながら出口を目指したのは憶えてる。
「でもそこから先の記憶は無くて、起きたらここにいたと……」
こっちの世界の、この身体も火事にあっていたらしいので、その辺にこっちの世界に来た原因がありそうだな。
もし戻ろうとするならば、もう一度同じ状況になってみるのも手だけど。
「……無理だな。つーか死ぬわ」
そもそも戻った先の俺が生きているかどうかも怪しいものだ。
結局のところ打つ手は無し。
昨日と同じ結果になったところで考えるのを止めた。
<-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><->
後書き
読んで頂いてありがとうございます。青人です。
今回は主人公の現状認識とタカミチの葛藤の話でした。
しかし話が進まないです。
ご意見・感想・誤字脱字のご指摘は、随時お待ちしております。