<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.15881の一覧
[0] この世界で生きていく(憑依・性別反転・原作キャラの養子)[青人](2010/01/25 05:10)
[1] 第1話 出会い[青人](2010/01/27 02:18)
[2] 第2話 出会い タカミチ視点[青人](2010/01/27 02:18)
[3] 第3話 現状整理[青人](2010/01/25 22:01)
[4] 第4話 おとーさんといっしょ[青人](2010/01/27 02:21)
[5] 第5話 家族になりましょう[青人](2010/01/28 19:36)
[6] 幕間1 改めまして自己紹介[青人](2010/01/29 00:39)
[7] 第6話 教えて、おとーさん[青人](2010/01/29 18:53)
[8] 第7話 魔法入門とガンドル先生[青人](2010/01/31 09:12)
[9] 第8話 原作生徒とエンカウント[青人](2010/02/02 21:31)
[10] 第9話 おとーさん魔法世界へ[青人](2010/02/03 22:33)
[11] 第10話 おじいちゃんの後頭部とヒゲグラ先生[青人](2010/02/05 23:10)
[12] 第11話 父の居ぬ間に色々強化 前編[青人](2010/02/07 01:13)
[13] 第12話 父の居ぬ間に色々強化 後編[青人](2010/02/07 23:14)
[14] 第13話 帰ってきましたコブ付きで[青人](2010/02/11 23:49)
[15] 第14話 小学生お母さん[青人](2010/02/15 22:27)
[16] 第15話 おとーさんに宣戦布告![青人](2010/02/21 16:56)
[17] 第16話 それなりに頑張った攻防[青人](2010/02/19 04:17)
[18] 第17話 店内ではお静かに[青人](2010/02/19 04:18)
[19] 第18話 明日菜とちょっと近づいた日[青人](2010/02/24 01:57)
[20] 幕間2 記憶の整理をしましょう[青人](2010/02/24 02:01)
[21] 第19話 幻術はどうでしょう[青人](2010/03/03 23:10)
[22] 第20話 初めてのおつかい[青人](2010/03/10 17:32)
[23] 第21話 近衛木乃香参上[青人](2010/03/10 17:43)
[24] 第22話 ロボット工学研究会と真祖の吸血鬼[青人](2010/07/02 04:48)
[25] 第23話 EVANGELINE'S RESORT[青人](2010/07/02 06:08)
[26] 第24話 哲学者って職業?[青人](2010/07/27 23:49)
[27] 第25話 骨にヒビが入ることが普通になってきた日々[青人](2010/08/16 20:36)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[15881] 第23話 EVANGELINE'S RESORT
Name: 青人◆7ccceca3 ID:30a209e7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/02 06:08
第23話 EVANGELINE'S RESORT


SIDE:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル……!」
 目の前で驚愕の表情を浮かべているこの小娘は誰だ。

 時刻はもう日が変わろうかという時間帯だ。
 私の肉体年齢と同じか、もしくはそれ以下の小娘が出歩く時間はとうに過ぎているが。

「あ、あの、わたし高畑里桜です。お、お父さんがこの辺りにいる筈なんですが……」

「父親だと? そうか、貴様がタカミチの娘か」

「お父さんや私のこと、ご存じなんですか?」

「ふん、タカミチとは同級生でもある。お前の話ぐらいは聞いたことあるさ」
 もっともそれ以上に、じじいの孫自慢で聞かされる事が多いがな。
 近衛木乃香と合わせて自慢話をされるのが、うざったらしいことこの上ない。

「それでお父さんなんですけど、この辺りにいるはずなんですがご存じありませんか?」

「タカミチか……」
 こんな小娘に後をつけられるなど、あいつも衰えたものだな。

「あいつなら私の家にいるぞ。ついてこい、案内してやろう
 どうせ咸卦法の習得に行き詰まっているのるに決まっているのだから、無理やり休憩にさせてやろう。
 それにあいつの澄ました顔を崩してやるのも面白そうだ。

 ログハウス内に入り、地下に降りる。
 大量に置いてある人形の間を抜けて、巨大なフラスコ"別荘"の前に立つ。

 趣味と実益を兼ねて大量に作った人形だが、魔力の封印されている今では飾る以外の用途がない。
 まったくもって煩わしい事だ。

「ほれ、このビンの周りに立て」
 人形の群れに戸惑っている小娘に声を掛け、急かす。

「このビンは……」
 別荘のビンを見た瞬間、眉をひそめて立ちつくす小娘。

「ほう、このビンから何かを感じるだけの力はあるか……。まあいい、特に何もしはしない。さっさと立て」
 さっさと小娘をビンの前に立たせて、別荘内へ入る。

 体が別荘へと引き寄せられる。
 この瞬間の魔力が体にみなぎる感覚は、何度感じても心地よいものだ。

 次に目を開けば別荘の内部。
 細い通路の向こうに建物。そしてその手前にタカミチの姿が見える。

「エヴァンジェリンさん? あの、ここは?」
 辺りをキョロキョロ見回す小娘を無視して、さっさと歩みだす。
 説明は面倒なので後回しだ。

「エヴァンジェリンさん、ここは……あ、お父さん!」
 私達の目には咸卦法に悪戦苦闘するタカミチの姿があった。

 予想通り、まったく上手くいっていないようだな。
 仮にも究極技法などと呼ばれる咸卦法だ。そうそう簡単にいかれては咸卦法も立つ瀬ないだろう。

「あれが咸卦法……?」

「貴様、咸卦法を知っているのか?」
 咸卦法は存在が秘匿とされているわけでは無い為、知ること自体は不可能ではない。

 しかし十把一絡の魔法使いが知っているようなレベルの物ではないはずだ。

「魔法使いの教師共がこぞって鍛えているという話は事実のようだな……」
 中々面白そうだ。後で実力でも見せてもらうか。

 とりあえずは目の前で、四苦八苦しているバカを止めるとするか。

「おいタカミチ」

「右手に……エヴァ? それに……!?」

 私の後ろにいる小娘の姿を見た時のタカミチの顔は実に見物だったな。



SIDE:タカミチ・T・高畑

 エヴァの別荘を借りるようになって、早くも1週間がたった。
 大体毎日3~5時間借りているので、体感時間的には半月以上はいる計算になる。

 体を休める時間を除いては、全て咸卦法の習得に回しているけどまったくつかえる気配がしない。
 エヴァから借りた魔導書を見ても、どうにも要領を得ない。

 究極技法と呼ばれるだけの技術だ。
 そうそう身につけられるとは思っていなかったけど、こうも音沙汰なしだと不安になる。

 こんな時に師匠が、ガトウさんが居てくれればと考えてしまう。

 感傷に浸りそうになるのを頭を振り、再度咸卦法の習得を続けようとした時
 背後からエヴァの声が聞こえ、振り向いた僕の目に映ったのは……




 珍しく休憩にお茶を淹れてくれた(正確には別荘内の人形が淹れた)お茶を飲んで休憩している。
 やっぱりエヴァの所にあるお茶は良いものだね。

 カチャ
 ソーサーにカップを戻す。

 さて、いつまでもお茶に逃避しているわけにはいかないか。

「なんでここに居るんだい? 里桜」
 目の前でオレンジジュースをストローで吸っている愛娘に目を向ける。

「ちょっとお父さんの後を付けまして……」
 悪びれもせず、笑いながら答える里桜にため息をひとつ。

 普段はとてもいい子なんだけど、たまにこう言った思い切った行動をすることがあるから困る。
 しかも悪いと分かっていながら開き直っているのが、またタチが悪い。
 自分の娘ながら将来が少し不安になるよ。

「まったく、こんなものまで使って……」

 右手にはポケットに入れられていた発信機。
 こんなものまで使うとは恐れ入る。

 最近大学部にあるロボット工学研究会に顔を出していると来てるけど、まさかこんな事になるとは。

「まあ、僕を尾行したことについては後でお話ししようか」
 家に帰ったらたっぷりとお話しするとしよう。

「そもそもなんで僕を尾行なんてしたんだい」
「お父さんが夜にコソコソ出かけるんで、さすがに気なったんですよ」

 里桜が寝静まるのを見計らって家を出ていた筈なんだけど、里桜は誤魔化せなかったか。

「まあ来ちゃったものはしょうがないか。里桜が出れるようになったら僕が送って行くから、それまで大人しくしてるんだよ」
 エヴァの別荘は24時間単位でしか出ることしか出来ないから、それまでは僕の修行も中止だね。

 ポケットからタバコを取り出し、口に銜えたところでエヴァが睨んでいるのに気づいて、ポケットにしまった。
 そういえば別荘は禁煙だった。

「あの、私もここで修行とかしたいんですけど駄目ですか? ここなら時間もたっぷりとれますし」

 里桜は僕と一緒にエヴァの別荘で訓練したいようだ。
 でもそれは認めることはできない。

 もう大人である僕と、まだ子供の里桜では時間の貴重さが違う。
 僕の一年後なんてそう変わらないだろうけど、里桜の一年は見た目にも、精神的にも大事な成長期だ。
 魔法の訓練だけで過ごさせるわけにはいかない。

「え~、ダメですかぁ。お願いしますよ」
「ダメダメ。それは認められないよ」

「そこを何とか。お願いですおとーさん」
「何と言われても駄目だよ」

「でもおとーさんだけずるいです」
「ずるいとかじゃなくて、里桜だけ急に成長して身長とか伸びたら明日菜ちゃんとかも驚いちゃうだろ?」

 こんな問答を何度も繰り返してると、静かにお茶を飲んでいたエヴァが急に立ち上がり、

「貴様らいー加減にしろおっ!!」

 ティーセットを吹き飛ばさん勢いで怒声を上げた。



SIDE:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

「貴様らいー加減にしろおっ!!」

 派手な音を立てて、吹き飛ぶカップと紅茶、お茶請けのクッキーも。
 しかしそんな事はどうでもいい。

「貴様らは人を無視して話を進めおってっ! ここは私の別荘だぞ!!」

 それをグダグダと言い争いおって、まず私に聞くのが筋だろう。
 この親子を別荘出入り禁止にしてやろうか。

「やあ、それはすまないね、エヴァ」
「どうも申し訳ありません。え~と、マクダウェルさん」

 う…むぅ、自分の見た目より下の人間に敬語を使われるのは、何ともおかしな気分だな。

「……まあ分かれば良い。それに私の事はエヴァンジェリンで良いぞ」

 何となく勢いも削がれてしまった。
 餓鬼になめた口を訊かれるのには慣れているのだがな。

「それではエヴァンジェリンさんで。それでさっそくなのですが、ここを私にも使わせてほしいんですが……」

 真っ直ぐこちらを見てくる瞳。
 その瞳から感じる意思は、到底小娘のそれとは違うものを感じる。

 後ろで、断ってほしそうな目でタカミチが見ているがそんなものは無視だ。
 個人的には面白そうな暇つぶしになりそうなので、ここを貸すことはやぶさかではない。
 どうせタカミチに貸してるのだしな。

「ふむ、別に貸してやるのは構わんが……」

 そのまま貸すのも面白くないな。
 そう思い、思考も巡らせながら周りを見ると、立てかけてある杖を見つけた。

「この杖は小娘、貴様のか?」

「え? あ、はい。我流ですけど、杖術を学んでます」

 特に魔力的なものは感じないが、良く手入れされている杖だ。

「ふむ、棒術なら私も心得があるな。まあ100年ほど前の話だが」

「ひゃ、100年っ……」
 人間には途方もない長さに感じるだろう。実際暇つぶしに学んだものの、ほとんど使った事の無い棒術は記憶があいまいだ。

「どれ、貴様の腕を見てやろう」
 小娘に杖を投げ渡してやる。

「ふぇ?」
 私の言葉が意外だったのか、小娘は杖を受け取った形で固まっている。

「聞こえなかったのか? 手合わせをしてやろうと言っているんだ。その結果如何でここを貸してやるかを決めてやる」

「ええっ! いや、でも私なんか瞬殺されるに決まってるじゃないですかっ!! せめて別荘の外でやりませんか!?」

 この小娘、この別荘内では私の魔力が回復している事を感知しているようだな。
 なかなかの感知力だ。面白い素材かもしれんな。

「もちろん加減はしてやる。間違っても命を奪うような真似はしないから安心しろ」
 そう言いながら、従者から自分用の杖を受け取る。

 ついでに後ろで気が気じゃないといった顔をしているタカミチにも確認をとってやる。
「タカミチ。貴様もそれで文句はないな?」

「僕が言ったところで君は止めないだろうし、無茶さえしないように気をつけてくれればいいよ」
 苦笑しながら言うその態度が気に食わんが、まあいいだろう。

 ヒュン、ヒュンッ

 馴染ませるように2、3度振ってみる。
 ふむ、かろうじて体は覚えているようだな。

「ではいくぞ」

 慌てて構える小娘。

 小刻みに動きながら、連続で突き出しを行ってくる。

 我流であるというのは、本当の様だな。
 杖術を知っている人間なら、杖同士の戦いで突きを多用する馬鹿はいない。

 杖術の本分は「間合取り」にある。
 相手がナイフなどの短い間合いの武器の場合は有効であるが、この場合に突きの利点はない。

 杖術の戦い方とは間合い、すなわち領域の奪い合いであると思え。
 そんな事を確かチンチクリンのおっさんが言っていたな。

 すなわち突きで間合いを測ってくる小娘に対しては、
 一気に間合いに踏み込み、突きだされた腕に杖を絡め、投げるっ!

 ドサッ

「ぐうっ!」

 受け身はとれたようだが、もうおしまいか?

「痛っ、ま……まだまだですよっ!」

 一気に突っ込んでくる小娘。
 動きは単調だが、後手に回らず攻めてくる気概は良しとしよう。

 見たところ魔法などで身体強化を行っている様子もない。
 素の運動能力でこの位ならば、まあ悪くはないか。

 繰り出された突き込みを回避し、再度懐に潜り込む。
 そろそろ決めるか。

「舌を噛むなよ?」

 そう言って、杖を顎めがけて振り上げる。

 ガッ

 小娘の体が一瞬浮き、そのまま崩れ落ち、
 そのまま、動かなくなった。

 さすがに気を失ったか。

「ふむ、まあこんなものか」

 魔法の類を一切使ってこなかったのは気になったが、動き自体は悪くはない。
 教師どもが寄ってたかって、小細工をしているだけはあるな。

 まあタカミチがここを使っている間ぐらいならば、使わせてやってもいいだろう。
 どうせタカミチに貸しているならば、大差はない。

「タカミチ。小娘が目を覚ましたら今日は連れて帰れ。今度からはその小娘も連れてきても構わんぞ」


「ほ…ほんとでぇすかぁ~」

 タカミチに掛けたはずの声に、答えたのは気絶しているはずの小娘だった。

「里桜。大丈夫かい?」
 タカミチがあわてた様子で駆け寄ると、案外平気そうに立ち上がってきた。
 顎こそ赤くなっているが、足に来ている様子はない。

「確実に気絶するレベルで打った筈だが、案外頑丈にできているな」

「エヴァンジェリンさんが攻撃の前に声を掛けてくれたおかげで、ギリギリ障壁が間に合いました。といっても最小限ですけど」

 ほう、あの状態から最小限の範囲に絞って障壁を展開できるとは中々良い判断だ。

「ついでにもう一つ聞かせてもらおうか。なぜ他の魔法を使わなかった?」
 それだけの障壁が展開出来て、まさか身体強化ができないとは言わせんぞ。

「いえ、あくまで杖術の腕を見てもらうという話だったと思うので、使用は控えてたんですけど……」

 話す小娘の後ろでタカミチが額に手を当てている。
 真祖の吸血鬼相手に手加減を加えるなどという話は聞いたことがない。

 本当におかしな奴だ。

「それで私は今度からここに来ても……ンガ、あれ? 何か口の中に……」
急にモゴモゴやりだした小娘の口から何かが落ちた。あれは歯か?

 どうやら障壁も完全に防げたわけではないようだな。
 もしくは障壁が間に合っていなかったか。

「里桜っ! 歯がっ、歯が! 大丈夫かい!」
「大丈夫ですよおとーさん。折れたというよりはほとんど抜けたみたいなものですし、何より乳歯ですから」

 取り乱すタカミチに比べ、小娘は実にあっけらかんとしたものだった。

「くくっ、くくくっ……」

 おもしろい。
 どうやらこの小娘は、私の知る餓鬼とは全く違う人間であることは確実なようだ。

 そして私はどうやら、この小娘を気に入ってしまったらしい。

「はははははは、気に入ったぞ小娘。この別荘は私が居る時なら自由に使って構わん」

「ほ、本当ですか!」
「ちょっと待て、エヴァ!」

 あわてるタカミチなんぞ無視だ。
 これは私と小娘の問題なのだからな。

 しかし結局は、タカミチが保護者権限なんぞを持ち出したため、小娘がここに来る頻度は相当下がりそうだ。



<-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><-><->



後書き


 読んで頂いてありがとうございます。青人です。

 長々と更新を停止してしまい、申し訳ありませんでした。
 こんな駄文ですが待って頂いていた方に、謝罪申し上げます。

 急に忙しくなった&パソコン買い替え時のデータ損失で、執筆が止まっていましたが、ようやく再開の目途がつきました。

 さて今回の話ですが、主人公強化には避けては通れない道、エヴァの別荘が登場しました。
 でもタカミチが許してくれないので、ほとんど来れないと思います。
 そしてエヴァとのやり取りを書いたのですが、執筆期間が空いたせいで書き方を忘れてしまっていました。

 書いてて違和感を隠しきれませんでしたが、読んでる方も違和感を感じるかもしれません。
 引き続き書いているうちに落ち着くと思いますので、しばし温い目で見守ってください。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.03857421875