第12話 父の居ぬ間に色々強化 後編
SIDE:高畑 里桜
STEP:3 回復魔法
今日はダブルブッキングです。
いつもの修行場所に行くと、弐集院先生と神多羅木先生の二人が居ました。
今日は二人とも暇らしく、私の修行を見てくれるらしいのですが何をするのでしょうか。
「今日はいつもとは違う事を教えてあげようと思ってね」
「そういう事だ」
むむ、何でしょうか。
出来れば何か強力な技とかだと嬉しいのですが。
バシュ
「あれ? 私の周りに何か……え? 動けませんよ!?」
ギシッギシッ
これはまさか捕縛結界?
「いま里桜の周りにあるのは弐集院先生の捕縛結界だ。動けないだろう」
「これから里桜に向かって魔法を放つ、魔法障壁で出来る限り防げ」
「え、ちょっと待ってくだs「行くぞ」っ!」
パチィッ
「く、魔法障壁!」
完璧には防げなかったけど、軽減出来たおかげでかすり傷で済んだ。
「よし、じゃあ治癒魔法で傷を回復させるんだ。1分後にまた魔法を放つ」
「それじゃあ分かりませんよ。神多羅木先生」
弐集院先生の説明を要約するとこうだった。
今回の修行は魔法障壁と治癒魔法。
神多羅木先生が1分おきに魔法を放つから、魔法障壁で防いで
防ぎきれなかった傷は、治癒魔法で直してね。
また神多羅木先生が魔法を放つので、その繰り返し。
捕縛結界から逃れられるなら、逃げてもいいよ。
「ムカつきますね……」
特に最後の一文が。
とりあえず治癒魔法を……
「プラクテ・ビギ・ナル 汝が為にユピテル王の恩籠あれ『治癒』」
ホウッ
ふう、とりあえず治癒は出来ました。
治癒魔法の特徴として、詠唱が長い事があげられます。
なので初級治癒魔法ぐらいは無詠唱で扱えるようになる必要があります。
その為に、何度も詠唱して慣れる必要があるのですが。
「1分たった。行くぞ」
パチィッ
「これはやり過ぎでしょーっ!!」
結局この修行(拷問)は私が気を失うまで続けられました。
STEP:4 拳銃
今日はちょっと変わったところに来ています。
麻帆良のとある地下にある、射撃場です。
「今日はここで実弾を使った射撃練習をします。実弾を使うので十分注意するように」
「はい!」
今日は初めて本物の銃を使います。
初体験ですよ初体験。めっちゃワクワクします。
それにもう一つ楽しみがあるんですよね。
「ガンドルフィーニ先生。持ってきてくれましたか?」
「ちゃんと持ってきたよ。ほら」
そう言って渡されるブツ。
「おお、これがワルサーP38ですか!?」
ふうむ、これがあの有名なルパン3世の銃ですか……
以外と普通ですが、やはり重いですね。
「ズシっときますね」
「そうだね。それは人の命を奪える物の重みだ。それを忘れないようにね」
「……はい」
「一応説明しようかな」
眼鏡をクイッと上げ、教師モードになったガンドルフィーニ先生の説明だ。
「分かっていると思うけど、この銃はワルサーP38という名称だ」
「ルパン3世のお陰で、日本で一番有名な銃といえるね」
「粗悪品が多い事でも有名だけど、これは大丈夫だから安心してくれ」
「はい」
これから習う事が事だけに、適当な雰囲気は出せない。
「じゃあまず射撃姿勢からだ」
「まず下半身、腰は落として、両膝に溜めを作る事」
「次に肩、力は抜いて脇はしっかり締める」
「両手でしっかりと相手の中心やや上を捉える」
言われた通りに構える。
ガンドルフィーニ先生にちょっとずつ微調整されて。
「よし、撃って……」
「はいっ!」
ガァンッ!!
射撃場内に響く音。
銃弾は見当違いの方向に飛んで、私は尻もちをついていた。
「あ、ああ……」
今初めて自分が、人を殺せるものを持っていると実感できた。
まだ私はこの世界が、どこかメルヘンのような、平和な世界であると考えていたのかもしれない。
しかし私の手の中にある物の存在は余りにもリアルだった。
「大丈夫かい。ほら、こっちで少し休むといい」
ガンドルフィーニ先生に連れられて、ソファに横になる。
「初めて銃を撃った人は、こうなる場合もある。まして里桜ちゃんはまだ幼い、気にすること無いよ」
「は、はい……」
結局その日は何もすることが出来ず、そのままお開きになった。
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後書き
読んで頂いてありがとうございます。青人です。
回復魔法の練習ってどうすればいいのか分からない。
原作でも中々出番ないですからね。回復魔法。
あとは初めての拳銃。
多分主人公には魔法よりもリアルな威力を感じるものだと思います。
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