第9話 おとーさん魔法世界へ
SIDE:葉加瀬 聡美
わたしが図書館島でロボットの本を読んでいると同じ位の年の子がこっちを見ていた。
その女の子と話してみると、私と本当に同じ年らしかった。
その子は同じ年なのに難しい歴史の本を持っていて、話してみると凄く頭が良かった。
私の持っている本も見てもらうと、ちゃんと理解していてびっくりした。
私以外に、同じ年でこんなに頭が良い子は初めて見た。
その後も私のロボットの話や工学の話をいっぱい聞いてもらった。
ちゃんと理解して、お話を聞いてくれるのがうれしかった。
他のお友達は私とお話しすると、いっつも寝ちゃったりするから。
それからいっぱいお話して、今日はお別れした。
リオちゃんとはまた会えたらいいなと思う。
SIDE:高畑 里桜
まいった。
二つの意味でまいった。
まさか図書館島で原作キャラに会うとは。
そして葉加瀬がこの頃からあんなに頭が良いとは。
まさに天才という奴だった。
ちょっと私みたいに転生しているのかと疑ってしまった。
恐ろしい、あれで4歳ですか。
というかあの葉加瀬で学年2位ってことから、超の天才っぷりが良く分かる。
出会いがしらにネギの男性器を捻り潰したら、超消えないかな?
止めとこう、麻帆良中の魔法使い敵に回すことになるし。
「さて、帰るとしますか」
適当に借りてきた歴史の本数冊と、葉加瀬に押しつけられた本『ロボットのロマン』を手に家路を急ぐ。
4歳ボディではでかい本を数冊持つのもキツイけど、魔力で身体を強化してるので平気です。
『戦いの歌』とは別のこの身体強化は便利で良い。
原作でネギが日常的に使っていたのもうなずける。
あと『戦いの歌』の重ね掛けとかできたら良いかも。
あとで聞いてみよう。
SIDE:タカミチ・T・高畑
里桜が他の先生達に教えを請うようになってからさらに半年がたった。
あれから里桜は様々な事を頑張っている。
5歳になり身体も少し大きなった事で、CQCも板に着いてきたようだ。
弐集院先生は練習が終わった後、いつも里桜に肉まんを買ってあげているらしい。
晩御飯が食べられなくなるから止めてくださいと言っているんだけど、全く困ったものだ。
そんな里桜が魔法の射手 炎の1矢を使えるようになったある日。
僕のもとにガトウさんから連絡がきた。
何でもナギさん達が、ウェスペルタティア王国から『黄昏の姫御子』の一人を保護したらしい。
それに合わせてかなり大規模な行動を起こす必要があるらしく、僕にも魔法世界へ来て欲しいというものだった。
相変わらずやることのスケールが桁外れだな、ナギさんは。
しかしこれは困った。
わざわざ僕にもお呼びが掛かるという事は、相当大規模な事になるだろう。
もちろん行かないなんて選択肢は無い。
となると里桜をどうするか考えなくてはならない。
連れて行くのは……無理だろうなぁ。本人は行きたがる気がするけど。
いくら『紅き翼』が精鋭揃いでも、『黄昏の姫御子』に加え里桜まで連れて歩くのは危険だ。
仕方がない。
学園長に頼んで里桜を預かって貰おう。短くても1年、いや2年はかかるかもしれないけど。
SIDE:高畑 里桜
個人練習(瞑想から運動、昨日の復習など)
葉加瀬との熱いディスカッション(テーマはロボットのロマン)
神多羅木先生との練習(習うより慣れろ方式)
以上の経過を経て、ヘロヘロの状態で家に帰るとおとーさんにおじいちゃんの所へ連れて行かれた。
何でもおとーさんが1年以上の長期出張をしなければならない為に、私の身柄をおじいちゃんに預けるらしいです。
勝手に決めないで欲しいとも思ったが、5歳のこの身にそんな決定権があるとは思えない。
それにさっきからどうも出張先を濁しているあたり魔法界くさい。
魔法界なんかに今の状態で行ったら、ちょっとした事故で死にかねない。
ここは大人しく待っているのが得策だろう。
「分かりました。おじいちゃん、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる。いつだって礼儀は大事だ。
ついでとばかりにおとーさんを気をつけるよう言っておく。
「おとーさん、お気を付けて。ちゃんと無事に帰ってきてくださいね」
まあおとーさんが負ける所とか想像できないけどね。
さて今日からおじいちゃんの家にお泊まりだ。
どんな家かはちょっと楽しみ。
SIDE:タカミチ・T・高畑
もっとごねられると思ったけど、里桜への説得はすんなりと済んだ。
こうもあっさり承諾されるとさみしく感じるのは、僕のわがままかもしれない。
自分が一端の親みたいな事を考えてる事に思わず苦笑してしまう。
こんな自分の考えは嫌で無いけど、ナギさんが知ったらきっと笑うんだろうな。
詠春さんなら分かってくれるかもしれない。
さて、もう出ないと飛行機の時間に間に合わない。
誰もいないマンションを出て、僕は空港へと向かった。
~おまけ~
5歳の誕生日の日にガンドルフィーニ先生からプレゼントをもらいました。
モデルガンと木製のナイフです。
私のCQCのスタイルは左手に銃、右手にナイフ(逆手)という形にしたので、その為のプレゼントです。
さすがにまだ本物の銃とナイフは持たせてもらえませんでした。
なのでこのモデルガンと木製ナイフでしっかり練習しようと思います。
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後書き
読んで頂いてありがとうございます。青人です。
明日菜がちょっと話に絡んできました。
さすがに長期出張の場合は主人公は学園長宅へ厄介になります。
次は学園長との話にしようと思います。
それにしても主人公の始動キーが決まらない。
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