「えっと、つまり……ここは守護獣(ガーディアン)計画という実験や研究の行われていた施設で、この怪物はその生き残りだとでも言うんですか? なにそれ? 馬鹿なんですか? 馬鹿なんですね。そんな危険な場所で肝試しなんかやって、もしフェリの身に何か起こったらどう責任を取るつもりだったんですか、武芸長」
「あ、そ、そのだな……」
仁王立ちで見下ろしてくるレイフォンを前にし、ヴァンゼは右顔面を腫らして、正座したまま俯いた状態で言いよどんでいた。
今のレイフォンはまさに悪鬼。下手な言い訳は許されず、先輩や武芸長という立場は何の役にも経たない。
口答えしようものなら、ヴァンゼの後ろで果てている怪物と同じ末路を追う破目になりそうだ。
ヴァンゼと交戦していた怪物。守護獣計画の副産物であるこれは、レイフォンが一撃で屠った。長い胴体を切断し、真っ二つに分かれている。ヴァンゼがあれほど苦労し、苦戦していた存在を瞬殺。
その力が今度はヴァンゼに向こうとしていた。それだけは、どうしても避けなければならない。
「き、危険はないはずだったんだ! この計画自体も既に三十年ほど前のものだし、まさか生き残りがいるとは思わなかった。それに、こういった場所は肝試しだとか探索だとかで、知的好奇心を満たそうと無断で入ってこようとする輩がいる。だからこそ、この怪奇愛好会なんだ。完全に隠すのではなく、このようなイベントを開いてある程度の情報を与える。今まではそうしてこの廃墟、施設の存在を隠してきたというわけだ」
「だから、そういうのはどうでもいいんですよ。僕が言いたいのは、フェリに危害が及ぶ可能性があったからです。現に今は何人もの生徒が行方不明になっている。もしその中にフェリが混じっていたら、ツェルニは物理的に真っ二つに割れますよ。というか、僕が割ります。それに最初から気になっていたんですが、なんで僕のペアがハイアだったんですか? 僕がフェリとペアだったら最初から問題は起こりませんでしたよね? こんな危険な場所で僕とフェリを引き離すだなんて……武芸長は本当に死にたいんですか?」
「いや、だから本来なら、本当に危険はないはずだったんだが……それにペアの組み合わせは、厳選なくじ引きの結果で……」
「わかりました、死んでください武芸長」
「まったくわかってないだろ!?」
「はぁ……」
まったく進展しない会話に、フェリはため息を吐いて頭を抱えた。レイフォンが自分のことを大切に考えてくれているのは嬉しいが、今は時と場合を考えてほしい。
既に何人もの生徒が行方不明となっており、その中にはエーリまでいる。つまり人命がかかっているのだ。なので早急に話をまとめ、状況を把握する必要があった。
「フォンフォン、一旦落ち着いてください。私が話を聞きますから、その間は大人しくしているように」
「はい、フェリ」
「それでヴァンゼ」
「先輩を呼び捨てに……あ、いや、なんでもないです」
自身を呼び捨てにされたことを突っ込むヴァンゼだったが、フェリの隣にいたレイフォンからすかさず視線が飛んできた。それはもはや殺意。ヴァンゼは日和、すぐさま発言を撤回した。
「あの怪物が対汚染獣用の生物兵器、いえ、もはや自爆兵器ですね。それはわかりました」
守護獣計画で作られたこの怪物達。これは汚染獣を駆逐するために造られたものだ。
汚染獣との戦いは、この世界を生きるならば避けては通れぬ道。圧倒的な巨体、強靭な肉体を持ち、人を喰らう化け物。まさに、この荒れ果てた大地に君臨する王者と言っても過言ではないだろう。
そんな存在だ。汚染獣と交戦となれば、たとえ勝てたとしても都市には少なからずの被害が出る。それは他都市と比べ、圧倒的な戦力を持つグレンダンでも同じことだった。
汚染獣との戦闘により、都市の重要な防衛手段である武芸者が死傷し、消耗するのはどの都市も避けたいことだろう。なので、汚染獣に対する武芸者以外の防衛手段として考えられたのがこの怪物、守護獣(ガーディアン)だ。
錬金科生物部門により、致死性の寄生虫をベースに遺伝子操作を施し、作られた。これは、都市内に侵入した汚染獣にあえて喰われることで体内に侵入し、内臓を食い荒らし破壊する自爆兵器として考えられていた。如何に頑丈な甲殻を持とうと、その体内までは守れない。柔らかい内臓を食い荒らされた汚染獣は呆気ない最期を迎えることになるだろう。
だが、それには問題があった。守護獣の凶暴なこの性質だが、それをどうやって汚染獣にのみ向けるかという問題だった。
当初は念威端子を守護獣の脳内に埋め込み、電気的刺激によって行動を制御する予定だった。だが、それはあまりにも高度な術であり、実現できる念威繰者がいなかったために出来なかった。
また、守護獣には念威を吸収してしまうという奇妙な性質を持ってしまい、いよいよお手上げとなってしまう。フェリの念威にも反応しなかったのはこのためだ。
最終的に別の案で守護獣を制御しようと、開発や研究が進められていた。だが、ちょうどその時に起こった爆発事故でそれは中断。さらには守護獣の暴走と悪いことは続き、ついには守護獣計画は凍結となった。
施設は一部が封印状態のまま放棄されることとなり、建物も取り壊されることがなく今日まで残っていた。そしてそのことが、ツェルニが完全に大人を排除した学園都市となるための運動を起こす切欠になったらしいのだが、それはフェリとレイフォンからしてみれば心底どうでもいいことだった。
「それじゃあ、あれはなんなんですか?」
フェリの言うあれ。地下に隠され、レイフォンとハイアが偶然見つけたあの少女。
ここが本当に守護獣の研究施設というのなら、あんなものは必要ないはずだ。そもそも、少女があのような場所で、液体漬けでポッドの中に入っているというだけで、とても危険な犯罪臭のようなものがする。
「……ここで事故が起こった時、その影響で都市の地下を走るエネルギー網に大きな損傷を受けたらしい。そのエネルギーは暴走することもなく、この場所に留まり、そしてあの形になったのだとか」
「は?」
「つまり、あの少女は人間ではない。電子精霊の、ツェルニの一部。当時の錬金科の研究者達はそう結論付けた」
「そんな話を信じろと?」
フェリの胡散臭そうな顔に、流石のヴァンゼも表情を引き攣らせた。
「まぁ、正直なところ、俺もすべてを真に受けているというわけじゃない。だが、あの少女の細胞は人のものではなく、高位の電磁結界と結論付けられた。また、発見されてから今まで、あのような状態で眠り続けたまま。何もわかっていないというのが現状なんだ」
「本当に胡散臭いですね。ヴァンゼ、あなたがこれを知っているということは、当然兄も知っているのでしょう? まったく、あの陰険眼鏡はなにを考えているんですか?」
この都市の長である兄に呆れを抱きつつ、フェリは腕を組んで考える。
この場所がどういった場所で、あの怪物がなんなのかも理解した。例の少女の件は気になるが、今の状況ではかなり優先度が低くなる。
「ともかく、今は行方不明となった生徒達の探索ですね。あの怪物には念威が通じませんが、人ならばなんら問題ないでしょう。生き残りがいたとしても、フォンフォンが狩ってくれますし」
「はい、任せてください!」
フェリの言葉に元気よく返すレイフォン。荒事でこれほど頼りになる存在はいないだろう。
次いで、フェリはヴァンゼとミュンファに指示を出す。
「ミュンファ、あなたはユーリを連れてヴァンゼと共に外に出てください。ヴァンゼは一応、既に外に出ていた人達を安全な場所まで退避させなさい。都市警などへの連絡は私が済ませておきます」
「は、はい」
「わかった……だが、お前はどうする?」
ヴァンゼの問いかけに、フェリはレイフォンの腕を取って言い放った。
「私はフォンフォンと一緒にいます。フォンフォンの傍ほど安全な場所はありませんし。ちゃんと守ってくれますよね? フォンフォン」
「もちろんです!」
レイフォンはまたも元気よく頷く。フェリに頼られたことがとても嬉しそうで、その頭には犬の耳、背中には犬の尻尾がある幻影を見れるほどだった。
幻影の耳はぴくぴくと動き、尻尾はぶんぶんと引きちぎれそうなほどに激しく振られている。
何はともあれ、この騒動の収束は時間の問題だった。
†††
緊急車両の赤いランプが、真っ暗な闇を赤く染める。車両の中には廃墟から助け出された生徒達が次々と運ばれていた。
守護獣には逃げ遅れた人やけが人などを救出するために、蜘蛛のように糸を出す能力を持っていた。これで人を引きずって運ぶのだろう。
廃墟のある一室、おそらくは守護獣の巣穴であろう場所に生徒達はいた。幸いにも、けが人は一人もいない。レイフォンと共に廃墟内を探索したが、隅々まで見て回り、もう守護獣の生き残りもいないはずだ。
だが、フェリにはひとつだけ気がかりなことがあった。
「エーリさんがいません……」
「まさか、あの怪物に食べられちゃったんですか!?」
このイベントにフェリ達を誘った少女、エーリがいない。てっきり守護獣にさらわれたと思ったのだが、巣穴の中にエーリらしき人物はいなかった。
守護獣というたいそうな名前があっても、所詮、それは寄生虫を基に作られた怪物。もしかしたら食べられてしまったのかもしれない。
そんな最悪な想像をしてしまい、顔を青くするフェリとミュンファだったが、その背中にのんきな声がかけられる。
「あれ、みなさんどうしたんですか?」
「「エーリさん!?」」
その声の主こそ、フェリ達が探していたエーリだった。エーリはキョロキョロと辺りを見渡し、なぜか廃墟の壁にめり込んでいるヴァンゼの姿を発見する。
「あの……武芸長はどうしたんですか?」
「ああ、あれはですね……」
フェリは先ほど、ヴァンゼが言っていた言葉を思い出す。
『エーリ、あの娘は怪奇を望むくせに、いざそれと遭遇するとたんにとんでもない鈍感さを発揮するんだそうだ。ただ、あの娘がいる時には怪奇現象に遭遇する確立が恐ろしく高い。だから『イラ』は、自らが管理しながら記録が消失して不明となっている封印区画の入り口を見つけるために彼女を利用した。生徒会役員として正当な申請だ。だから俺も一役買った』
ちなみに、イラとは怪奇愛好会会長の名前だ。彼女はこの廃墟を管理し、このようなイベントを開いて好奇の視線を逸らしていた。れっきとした生徒会役員である。
そう説明したヴァンゼは、次の瞬間、レイフォンの手によって壁にめり込む羽目となった。
ヴァンゼが先ほど言っていた『危険がないはず』という発言に矛盾し、そんな彼女と共にフェリを組ませたため、ヴァンゼはレイフォンの怒りをもろに買ってしまった。
生徒会役員として正当な申請だったということもあり、今頃レイフォンは生徒会に向かっているはずだ。あとで、というか今すぐにフェリがフォローを入れておかないとカリアンの身が危ないが、正直、今はそれどころではない。
「あなた、どうして?」
「今までなにをしていたんですか?」
「え? 迷子の女の子がいましたから、追いかけて建物の外に案内したんですよ。言いましたでしょう?」
問いかけるフェリとミュンファに、エーリはあっさりと返答を返す。
言ったというが、フェリは覚えていない。念威を使うことに集中し、気がつかなかったというのか?
ならば、ミュンファはどうだ?
「えっと……言いましたっけ?」
「言いましたよ」
ミュンファはミュンファで、色々と精一杯だった。こういったイベントや怖いものはてんで駄目であり、焦りと恐怖で覚えてなかったとしても無理はない。
だから、二人とも気づかなかったのだろうか?
「それで、その女の子というのは?」
「それが……建物を出たところで突然いなくなってしまって、ずっと探していたんです。一人ではどうにもならないから、助けを呼ぼうと思って戻ってきたんですけど」
「え……?」
ミュンファの表情が引きつる。フェリは天を仰いで呆れた。
建物の中に女の子。こんな夜中にしかも廃墟の中に。しかもこの都市は学園都市なのに。
学生以下の年齢の子供もいることにはいるが、そしてこの場所にユーリという例外もいるが、それでも、そんな希少な子供がこの場所に来る可能性だなんて、幽霊と出会うよりも低いのではないだろうか。
「本当に気づいていないんですか?」
「なんのことですか?」
きょとんとした様子のエーリに、フェリは再度呆れる。ミュンファはもはや泣きそうで、羽虫の羽音よりもか細い声でハイアの名を呼びながら彼を探しに行ってしまった。
ミュンファが行ってしまったので、フェリが眠ってしまったユーリの面倒を見ることとなったが、小さな子供とはいえフェリに人を支えるのは辛い。
なので、フェリは近辺にあったベンチに腰掛け、膝枕という形でユーリを寝かせる。
その手伝いをしてくれたエーリの顔を覗き込み、わずかにだが笑った。
「まぁ、無事だったからいいです」
友達は無事だった。状況を把握できていないエーリは首をかしげる。
それからしばらくして、とても良い顔をしたレイフォンが戻ってくる。そのレイフォンがユーリを背負い、フェリはそのまま帰宅した。
この騒動で救出された生徒達は糸に巻かれて気絶していただけで、けが人は一切いなかった。ただ、そのけが人の中に、武芸長と生徒会長の名がなかったことをここに明記しておく。
あとがき
これにて肝試し編完結。レイフォンとハイアが一足早くなぞの少女も発見しましたが、そこはおいおい絡めていきます。
それにしても、去年はあまりSSを進められなかった……
一部完結してもう一年以上経つので、そろそろ話を進めたいですね。でも、もう少しやりたいイベントが……
そこはもういっそのこと、短編というか、おまけでやっちゃうかな?
なので今回は、ちょっとしたおまけをいくつかやりたいと思います。それでは、どうぞ。
おまけ1
「意外と人懐っこいのですね」
「かわいいですよね。あ、勿論フェリの方がかわいいですよ」
「動物と比べないでください」
「すいません」
ある日、レイフォンは動物を拾った。道を歩いているとなぜだか付いてきて、そのまま連れてきてしまったのだ。
その動物を、フェリは気に入った。
「………」
「ユーリも興味津々ですね」
「かわいいですからね、フェレット」
レイフォンが拾ってきた動物、それはフェレットだった。
白い毛並み。長い胴体と尻尾。つぶらな瞳。動物好きでなくとも、この愛らしさには無性に保護欲がそそられてしまう。
「名前、どうしましょうか?」
「え、飼うんですか?」
「いけませんか?」
フェリはその愛らしさに射止められ、フェレットを飼おうとしていた。
レイフォンは自分でつれてきながら驚き、困ったように頬を掻く。
「でもこの子、脚にタグが付いてるんですよ。もしかして養殖科あたりから逃げ出してきたんじゃないですか?」
「そうですか。前いたところが嫌だったんですね。ならばうちにいても構いませんよ」
「いや、あの、フェリ……」
フェリは既にメロメロだった。ユーリと一緒にフェレットで遊んでいる。その姿を見て、レイフォンの内にもやっとした気持ちが生まれる。
「でも、うちはマンションですし」
「このマンションはペットもOKですよ。まあ、そこら辺で用を足さないように、トイレだけは躾ける必要がありますが」
「でも、養殖科に返しませんと……」
「ならば一旦連絡を取り、その上で買い取りましょう。お金には困ってませんから」
「そういう問題じゃ……」
言うが、それ以上レイフォンに反論の言葉は思い浮かばなかった。けれど、とても面白くない。
フェリがフェレットと遊んでいる姿を見るのは、なぜだか非常に面白くない。
「では、名前を決めませんとね。ユーリはなにがいいと思います?」
「………」
フェリはユーリと一緒になって、フェレットの名前を考え始める。
レイフォンはキッチンへと行き、お茶を入れることにした。確か、戸棚にはクッキーが残っていたはずだ。
「では、ブリリアント・エクスカリバーで」
「それが名前ですか!?」
数分後、フェリの考えた名前が決まる。レイフォンの手にはトレイが握られ、紅茶が湯気を立てている。
「将来、強く、気高く育つよう願いを込めて。そして伝説へ……」
「君も大変だね」
フェレットを気に入らなかったレイフォンだが、この時ばかりは同情の視線を向ける。
レイフォンとフェリの子が生まれてきたら、その時はどんな名前をつけようかと考えながら、レイフォンはテーブルに紅茶とクッキーを置く。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
レイフォンはイスに座り、紅茶のカップを手に取った。
フェリもカップを取り、ユーリはクッキーを割ってフェレットの前に差し出す。
「そういえば、フェレットってなにを食べるんでしょう?」
「えっと、確か肉食でしたよね? 冷蔵庫に豚肉があったかな」
「動物を飼うからにはちゃんと調べないといけませんね。あとで、図書館にでも行ってきます」
「隊長の住んでる寮の寮長、セリナさんでしたっけ? 確かあの人もフェレットを飼っていましたよね」
「そうなんですか? 一度、話を伺ってみるのもいいですね」
フェレットはユーリの膝の上で、クッキーを頬張っていた。
だが、動物に人間用の食事は塩分や糖分が多すぎるため、あまりよくない。ものによっては中毒を起こしてしまうこともある。
やはり、ペットを飼うからには最低限の知識が必要だった。
「でも、ペットですか。僕は今まで飼ったことがありませんので、少しだけ興味があります」
「フォンフォンは……その」
「あ、別に気にしなくてもいいですよ。僕は孤児でしたし、そんな余裕がなかったこともわかっていますから」
レイフォンは孤児だった。当然、そんな状態でペットを養うことなんてできるはずがない。
「それに、一時期グレンダンではどこの家庭でもペットを飼うのは不可能でしたから」
「え?」
「食糧難がありましてね。だから食べちゃうんですよ、動物を。野良犬や野良猫まで、もちろんフェレットなんかも」
グレンダンで起こった食糧難。それはそこに住む人々に深刻なダメージを与え、貧しい人々は切羽詰った状態へと追いやられた。
当然、レイフォンのいた孤児院もそうだ。
「あの鍋はおいしかったなぁ。もう一度食べたいくらいですよ」
「……………」
「………」
レイフォンは笑っていた。だが、フェリとユーリの視線が冷たい。
フェレットをかばう様に抱え、レイフォンに冷めた視線を送り続ける。
「いや、あの、冗談ですよ。本当に食べたりしませんからね」
「当然です」
場の空気は冷たくなるものの、何はともあれロス家には新たな一員が加わった。
名はブリリアント・エクスカリバー。強く、気高く育つよう願いを込めて。そして伝説へ……
あとがき
原作者の漫画版レギオス、コミック三巻で出てきたあのフェレットです。
この話では本来、レイフォンは練武館にフェレットを連れ込んでましたが、今回は自宅へ。
フェリがもうメロメロ。ユーリもお気に入りです。
旦那、レイフォン。妻、フェリ。義兄、カリアン。娘分、または妹分、ユーリ。ペット、ブリリアント・エクスカリバー。
ロス家もずいぶん充実してきましたね。しかしフェレットの名前なげぇ……
そしてもし、漫画版どおりフェレットを練武館に連れて行ったら。
おまけ2
「おっと……」
ニーナはフェレットが嫌いだった。レギオス原作を読んだ方なら当然ご存知だろう。
説明は省くが、フェレットだけは大の苦手だった。そしてこのこととなると暴走しがちで、被害妄想でどこまでも突っ走ってしまう。
フェレットに殺されると想ったニーナは、殺られる前に殺るという理論でフェレットに殺意をむき出しにする。
「手が滑ったああぁぁ!!」
そう言いつつ、懇親の一撃。訓練で使用する硬球を宙へ投げ、それを思いっきり鉄鞭で打ち付ける。
狙いはにっくき敵、フェレット。硬球はフェレットへと真っ直ぐ向かっていった。
「うわぁ、渾身の一撃!!」
レイフォンが叫ぶ。
「危ない」
フェレットの近くにいたフェリが、フェレットを守ろうと前に出る。レイフォンの瞳の色が変わった。
フェリは念威を使い、硬球を跳ね返そうとした。
「え?」
だが、それよりもレイフォンの方が速い。一瞬でフェリの前へと移動し、錬金鋼を復元し、硬球目掛けてフルスイング。
「ぐはっ!?」
レイフォンが打ち返した硬球は、そのままニーナへとはじき返された。硬球はニーナが放った何倍もの速度を得て、ニーナの腹部にめり込む。
腹に食い込み、その威力に吹き飛ばされ、もんどりうって倒れるニーナ。けれどそれだけで気の済まなかったレイフォンは、つかつかとニーナの元に歩み寄る。
「死ねコラ!」
「ごふっ!?」
「レイフォン!?」
さらにニーナの腹を蹴り上げる。唖然とする第十七小隊の面々を一切気にせず、さらにニーナに攻撃を仕掛けた。
「フェリに何するんですか? もしフェリに当たってたらいくら隊長とはいえ殴りますよ」
「もうやってるだろ! ってか、殴るより酷いことしてる!! ストップ、ストップだレイフォン! ブレイク、ブレイク。もうニーナのライフはゼロだ!」
ニーナを何度も踏みつけるレイフォンを、シャーニッドが必死で抑止する。
暴走しがちでバイオレンスな第十七小隊だが、何はともあれ平和……だった?
あとがき2
フェレット(フェリ)に向け硬球を放つニーナに対し、ヤンデレイフォンならするであろう行動を取らせました。
フェリに危害を加えようとすれば、隊長どころか親(デルク)や幼馴染(リーリン)でも悪鬼となるレイフォン。それがヤンデレイフォンクオリティ。
こうなってしまえば、フェリでないと止められません。
次回はこういった感じのおまけを盛り合わせでお送りしていきたいと思います。
グレンダン編をやる前に、やりたいことをやるという感じですね。今年の目標はとにかくグレンダン編に突入すること。六月までには入りたいですね……
何はともあれ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。