この作品は本編にあまり関係なかったりします。それとフェリ成分が薄いです。それでも見ますか?
分かりました、ならば止めません。先に言っておきます、ギャグです。
それでは、始まります。
「君達を呼んだのは他でもない……彼らが動く」
「なに?」
カリアンは生徒会室にヴァンゼ及び第一小隊のメンバーを呼びつけ、神妙な表情で言った。
「既に彼らは何度か行動を起こしていてね。今までは傍観してきたが、さすがにこれからもそういうわけには行かない……これは、ツェルニの未来に関わることなんだよ」
「それほどのことか……」
カリアンの言葉、そして今まで見たことも無いような真剣な表情にヴァンゼは息を呑み、このことがそれほどまでに重大なのかと思い知らされる。
「今まで後手に回るしかなかったんだけど、流石に私としてもこれ以上放っておくつもりはない。私はね、護りたいんだよ、この都市を。ツェルニを愛しているんだ」
「その志は俺達も同じだ」
「そうだね……今回の任務はそれを成すにはとても重大なことだ。単純な戦力ならば第十七小隊が最強かもしれないが、私は小隊としての最強は第一小隊だと思っているよ。経験、チームワーク、これらは第十七小隊にはないものだ」
「確かに……第十七小隊は個人の戦力に頼りきっているところがあるからな。エースさえ抑えれば付け入る隙はある」
「頼もしいね」
他愛の無い会話を交わし、カリアンが少しだけ笑うが、その表情はすぐに引き締まる。
「今回の任務では期待しているよ」
「ああ、まかせろ」
「決行は明日だ。今日はしっかりと休み、明日に備えてくれたまえ」
ヴァンゼにそう告げて、カリアンは退室を促す。
それに従い、ヴァンゼが生徒会長室を出たところで、今まで無言だった第一小隊副隊長に語りかけた。
「……ひとついいか?」
「なんです?隊長」
副隊長の顔を正面から覗き込み、ヴァンゼは真顔で尋ねる。
「彼らって……誰だ?」
「知らないんですか!?」
「フォンフォン、待ちましたか?」
「いえ、今来たところです」
「そうですか」
待ち合わせ場所にて遭遇するレイフォンとフェリ。
今日は休日。場所は都市の繁華街。。
今日は2人してショッピングの予定なのだ。
「それじゃ、行きましょうか?」
「はい」
レイフォンとフェリは頷き合い、休日で賑わう繁華街の人ごみの中へと消えていく。
「動いたか、追うぞヴァンゼ」
「ちょっと待てぇぇぇ!!」
そんな2人を背後から観察し、追いかけようとする人物。
フェリの兄であり、生徒会長のカリアンだ。そんなカリアンに向け、ヴァンゼから鋭い突っ込みが入る。
「なんだね?私は急ぐんだよ。でなければ見失ってしまう」
「お前、なにィィィ!?彼らってあれか?要するに妹の彼氏と言うことか!?」
「ふ……ヴァンゼ、何を言っている?確かに最近、レイフォン君とフェリは仲が良い。私としてもフェリの幸せは望むことで、2人が幸せならいいんだ。だがそれとコレとは違う。お兄ちゃんはまだ、レイフォン君がフェリに相応しい彼氏などとは認めていない!!」
「黙れ!俺はお前が生徒会長であることを認めん!!」
強烈な脱力状態になりつつ、ヴァンゼは真顔なカリアンに呆れ果てた視線を送る。
「お前確か……この件は都市の未来を左右するみたいなことを言ってたな?」
「言ったとも。あの2人はツェルニ最強の武芸者と、ツェルニ最高の念威操者だよ。まさにこの都市の行く末を左右していると言ってもいいじゃないか」
それはレイフォンとフェリを当てにし、他の武芸者を当てにはしてないとも取れる言葉。
実際にその通りなのだろうか?
腹立たしいが自分達に力が、実力が無いことは事実であり、それはツェルニを襲った幼生体を撃退できなかったことからも理解できる。
情けない話だが、あの時レイフォンがいなければ間違いなくツェルニは滅んでいただろう。
そのことに苦虫を噛み潰しつつ、ヴァンゼはカリアンに問う。
「つまりお前は、そんな屁理屈で執務をサボり、俺達第一小隊を呼びつけてデートの監視をしろと?付き合ってられん」
「おぃおぃ、ヴァンゼ君。私をみくびって貰っては困るよ。まず、執務なら昨日のうちに全て終わらせた。だから私は今日はフリーだ。そして目的だが、監視ではない。いや、まぁ……監視でも間違いではないが、私がレイフォン君はフェリに相応しくないと判断したら……抹殺だ」
「出来るかァァ!!」
二重の意味で突っ込む。
対面的にもそんな理由でレイフォンを抹殺するわけには行かないし、そして何より戦力的に不可能だ。
レイフォンがその気になれば、彼1人でこの都市は滅ぼされる。
「私は考えたんだ。そりゃ、レイフォン君は良い人物だ。顔も良く、武芸も強く、しかも料理が出来て家庭的。その上優しいと来ている。本当に好物件でフェリを任せてもいいと思えるほどに。だが、彼の周りには彼に好意を寄せる人物がいるじゃないか!もし彼がフェリを捨てたりして悲しませるようなら……私は全権力と力を使ってレイフォン君を排除するよ!」
「色々考えすぎだ!ギャングかお前は!?」
「妹のためならば神にでもギャングにでもなる。それが兄と言うものだよ」
暴走気味なカリアンに盛大なため息をつきつつ、ヴァンゼは第一小隊の隊員達に命じる。
「帰るぞ。時間を無駄にした」
「待ちたまえ!」
だが、そうはさせない。
カリアンががしっとヴァンゼの肩をつかみ、一般人とは思えない威圧感を放ちながら言う。
「君はコレほどまでに力説しているというのに私の気持ちが分からないのか!?」
「分かりたくもない!」
「つれないなぁ……私と君の仲じゃないか」
「金輪際縁を切ろう。お前と俺は無関係だ!」
「はぁ……わがままだねぇ」
「どっちがだ!?」
ため息をついて首を振るカリアンに殺意を抱きつつ、ヴァンゼは疲れ果てた表情で肩を落とす。
「む……ホントにやばいな。行くぞ君達!」
「話を聞けぇ!!」
原因のカリアンは既に遠くとなったレイフォンとフェリを見て、焦りながら追いかけていく。
その様子に一際大きなため息をつきつつ、ヴァンゼは第一小隊の面々に伝えた。
「お前らは帰っていいぞ。あいつの面倒は俺が見る」
「はぁ……隊長も大変ですね」
「まったくだ」
本来なら放っておきたいところだが、あのカリアンを放ってはどんな暴走をするかわからない。
それとは別に、自分はカリアンとは長い付き合いだがいやいやながらも面倒を見ることにした。
「それでは」
「ああ」
ヴァンゼは隊員達を見送り、何度目か分からないため息をついてカリアンを追いかけるのだった。
「服、見に行きますか?またジェイミスさんのお店とか」
「絶対に嫌です」
「そうですか……」
どこか残念そうなレイフォンだが、フェリと楽しそうに会話を交わしながら2人で歩いている。
フェリは無表情だ。表情の変化が小さく、分かりにくい。
だけど家族だからこそ、兄だからこそ分かる変化。
レイフォンの前で比較的楽しそうな表情をするフェリに。カリアンは頬が引き攣った。
「仲がいいじゃないか……」
「落ち着けカリアン。その程度のことで動揺するな」
「そうだね……この程度のことでは……」
深呼吸をし、落ち着くカリアン。
この程度でレイフォンにジェラシーを感じてはいけない。
いくら自分の前ではフェリはそんな顔をしないとはいえ、フェリが楽しそうなのは兄としても嬉しいことだ。
息を大きく吸って、吐きながらカリアンは落ち着こうとする。
「じゃあ、どこ行きましょうか?」
「そうですね……そういえばフォンフォン、新刊が出るらしいので私は本屋に行きたいんですが」
「わかりました。それじゃ、まず本屋に行って、その後に何か食べますか?」
「いいですね。甘いものがいいです」
「う……」
「そういえば、フォンフォンは甘いものが苦手でしたね」
何気ない会話。
だが、その会話でフェリが笑った。
小さく、苦笑するような笑みだが、それでも無表情ではなく確かに笑った。
念威操者故に感情表現の苦手なフェリだが、レイフォンの前では、レイフォンの前だけでは笑えるのだ。
「行けヴァンゼ!」
「行かんわ!!」
それにジェラシーを抱いたカリアンがヴァンゼに行くように言うが、当然ヴァンゼはそれを拒否。
「それはそうと、早く本屋に行きましょう」
「そうですね。フェリ……」
「……はい」
今日は休日ということもあり、人が多い。
人ごみの多いこの場所で、小柄なフェリとはぐれないようにレイフォンは彼女へと手を伸ばす。
フェリはその手を取り、レイフォンと共に本屋へと向けて歩みだした。
「もういい、私が行く!」
「落ち着け!!」
そんなカリアンを羽交い絞めにして止めるヴァンゼ。
いつも余裕のある笑みを浮かべている彼からは想像も出来ない奇行に、付き合いの長いヴァンゼも引いてしまう。
本も選び終え、軽く何か食べようと言う事で喫茶店へと入るレイフォンとフェリ。
レイフォンはパスタを注文し、フェリはケーキセットと紅茶を注文した。
「このケーキ、おいしいです。甘さが抑えてあっておいしいですよ」
「そうなんですか?じゃあ、食べてみようかな?」
「フォンフォン、あーん」
「……フェリ?」
「あーん」
「……………」
「あーん」
レイフォンの口の前にケーキの切れ端を持ってくるフェリ。
それになんとも言いがたい顔をするレイフォンだが、結局はフェリに押し負けて口を開ける。
そこに放り込まれたケーキを噛み締め、レイフォンは口内に広がる甘味を感じた。
「あ、確かに。甘いですけど、これはおいしいです」
「でしょう」
満足そうに頷くフェリ。
「……殺そう」
「1人でやれよ」
引き攣った表情で、実現不可能なことをつぶやくカリアン。
もはやヴァンゼは、真面目に取り合うつもりはなかった。
付き合うのも馬鹿らしくなり、何でここにいるのかと思いながら帰ろうかとさえ考えている。
「……フォンフォン、気づいてますか?」
「へ?ああ、会長と武芸長がつけてきていることですか?」
「そうです」
喫茶店を出て、2人してまた街中を歩く。
その途中で、不意にフェリがレイフォンに尋ねてきた。
「と言うか、気づいてたんなら何で言わないんですか?」
「いや、偶然かなって……敵意とかは感じませんでしたし」
「そんなわけないでしょう。まったく、いつからつけて来たのか……」
ため息をつくフェリ。
何と言うか、レイフォンはこういった事には鈍いと思う。
フェリとしても不満があるわけではないが、もう少ししっかりして欲しい。
そしてレイフォンは気づいていない。敵意なら、カリアンがビンビンに送っていたことを。
「……とりあえず」
「む……これは?」
「念威端子だな……」
カリアンとヴァンゼを取り囲むように浮かぶ念威端子。
まるで逃げ場を奪うようなその羅列にカリアンとヴァンゼは冷や汗を掻く。
「念威爆ら……」
嫌な予感はあった。そしてその予感は現実となる。
念威爆雷。
念威端子を爆弾へと変え、2人を爆発が包み込む。
「これでいいでしょう」
その結果に満足そうにつぶやくフェリ。
「行きましょ、フォンフォン」
「あ、はい……」
呆けるレイフォンを引き連れ、デートを再開するのだった。
「ふっ、ふふ……ばれていたのか」
「カリアン。ひとつだけ言っておく……次は絶対にお前の言うことなど聞かないからな」
ある程度手加減された爆発のため、そこまでの被害はないカリアンとヴァンゼ。
だが、2人ともボロボロで、ヴァンゼは二度とカリアンには付き合わないと心に誓うのだった。
あとがき
原作3巻分が終わったので、前に書いてた短編を。
壊れです、ギャグです。本編にはあまり関係ありません。
既に何度かデートしている設定。落ちが弱かったかなどと没にしようと思いましたが、折角なので上げることにしました。
書いてこのネタ振りで銀魂を思い出しました。
コミック8巻のあの場面ですね。まぁ、お遊びでやった今回の話ですから、次回は4巻を編を始めたいと思います。
その前にありえないIFの物語第二部を上げるかな?そろそろ再開したいと思っているこのごろ。
まぁ、どうなるかは予定は未定ですが。
で、雑談ですがリトバスは現在来々谷唯湖を攻略中。1番手に姉御ですw
現在ちょびちょびやってて、やっと野球の試合のとこまで進めましたが、キャプテンチームつえっ!!
つーか、鈴が打たれすぎ!あれでどうやって勝てと……
エラーも多いんですよね……
恋姫の在庫が手に入らないこのごろ。ネットオークションってのはどうもやり方がわからないと言うか、やるのが怖いと言うか、そんなこんなでそれを利用する気にはならないんですよ。
戯言はこれで締めつつ、次回も頑張ります。