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No.15442の一覧
[0] 【お久しぶりです】夕焼けを飛ぶ鳥(現実→ネギま)[睡眠坊](2010/02/25 21:27)
[1] プロローグ[睡眠坊](2010/01/15 17:21)
[2] 第一話[睡眠坊](2010/01/09 17:29)
[3] 第二話[睡眠坊](2010/01/10 12:57)
[4] 第三話[睡眠坊](2010/01/10 12:52)
[5] 第四話[睡眠坊](2010/01/15 17:21)
[6] 第五話[睡眠坊](2010/01/23 17:13)
[7] 第六話[睡眠坊](2010/01/12 16:51)
[8] 第七話[睡眠坊](2010/01/12 22:24)
[9] 第八話[睡眠坊](2010/01/13 18:23)
[10] 第九話[睡眠坊](2010/01/14 16:16)
[11] 第十話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[12] 第十一話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[13] 第十二話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[14] 第十三話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[15] 第十四話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[16] 第十五話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[17] 第十六話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[18] 第十七話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[19] 第十八話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[20] 第十九話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[21] 第二十話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[22] 第二十一話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[23] 第二十二話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[24] 第二十三話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[25] 第二十四話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[26] 第二十五話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[27] 第二十六話[睡眠坊](2010/02/25 11:34)
[28] 第二十七話[睡眠坊](2010/02/06 21:20)
[29] 第二十八話[睡眠坊](2010/02/06 21:21)
[30] 第二十九話[睡眠坊](2010/02/25 11:35)
[31] 第三十話[睡眠坊](2010/02/04 21:21)
[32] IF きっとあり得た1つの可能性[睡眠坊](2010/02/05 17:21)
[33] 幕間 第一話[睡眠坊](2010/02/06 20:31)
[34] 幕間 第二話[睡眠坊](2010/02/08 19:48)
[35] 幕間 第三話[睡眠坊](2010/02/11 19:09)
[36] 幕間 第四話[睡眠坊](2010/02/25 21:27)
[37] 設定&考察[睡眠坊](2010/02/25 21:23)
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[15442] 第三十話
Name: 睡眠坊◆37763615 ID:6de4862d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/04 21:21
父王を殺し、自らの国を滅ぼし、各国へ難民の受け入れを承諾させて社会不安を増大させ、『死の首輪法』の俗称で悪名高い国際的な奴隷公認法を通した。

そんな風にアリカ姉にとっての悪い話は沢山ある。

風評も、他国からの評価も、自国の民の一部にだって悪い評価を受けている。

でもソレは全部仕方のない事だったし、アリカ姉だって自ら望んでやったわけじゃない。

それに後者2つの対策がなかったら難民となった人達がどうなってたか分からない。

奴隷制度にしたって過度な暴力は出来ないようになってるし、体を質に入れて金を得るようなもんだって思ってる。

つまり奴隷制度の容認によって難民の生活を守ったのだ。

でも、そう思わない奴は沢山いる。

難民生活になった奴らの不満の捌け口、その対象としてアリカ姉は処刑される。

メガロメセンブリア元老院によって。

「マジかよ……」

名目は『戦争の黒幕』として。

『完全なる世界』との関与の疑いがあるとしてアリカ姉は生け贄となったのだ。

その決定に『紅き翼』は何も言う事が出来ない。

『終戦の英雄』と『連合トップ300人』

その権力の差は歴然で俺達はただただ黙ってるしかなかった。



でも、それで終わる俺達じゃない。



「……おいアスカ、耳貸せ」

「いいぜ、ナギ。ちょっと俺もキレてっからな、悪巧みは喜んでだ」




俺達は計画を立てた、アリカ姉救出の計画を。




第三十話




Side ナギ


終戦してからもまだ戦いは続いている。

大規模な戦争が終了してからも小さなドンパチは後を絶たない。

そんな被害を受けた跡地に俺達は足を運んでいた。

そこで見つけた怪我をしている少女。

「う……」

助け起こしたその子に俺は声を掛ける。

「もう大丈夫だ。すぐに治療してやる」

「あ……ありがとう……立派な魔法使い……ナギ……」

焦点の定まらない瞳を開いた少女は俺のことを『立派な魔法使い』って呼んだ。

そりゃ、間違いだ。俺は立派でもなけりゃ、英雄なんて大層なもんじゃない。

やりたいようにやって、日に日に死んでいく命が嫌で、足掻いて……

その末に俺は『英雄』になった。

これが単なる偶然だなんて言うつもりはない。俺より強い奴が世界には沢山いるとも言わないし、俺が英雄になったのも『たまたま』なんてもんじゃない。

でも、俺は『英雄』なんて呼ばれるのに相応しいのか?

そんな事を考えた。

「《ナギ、陛下の処刑日程が決定しましたよ!!!》」

唐突にここにはいないハズのクルトの声が耳に入った。

通信が入ったんだろう。

背中に画面越しのクルトの視線を感じた。

「知ってる、2ヶ月後だ」

「《分かってるなら、助けに行きましょう!!!行くべきです!!!》」

……そりゃ魅惑的な誘いだ。正直、そうしたいのは山々だ。

でも俺は…

「いや、俺はここで人を助ける。」

「《何故です!!?》」

「……」

響き渡る悲痛の声に何も返す言葉はない。

何かを言えば、途端に心の底で燻らせている思いが爆発して、歯止めが効かなくなりそうだった。

「《あなたが行かねば誰が彼女の名誉を守るのです!!!好きな女の一人も救えず、何が『英雄』ですか!!!彼女を救い、奴らを告発し、真実を明らかにせねば……っ》」

だから、俺は言葉を返さない。

返さないでただ腕の中の少女に治癒の呪文を唱えた。

「《ナギッ!!!》」

背中に投げ掛けられる悲鳴のような叫び声。

アリカと最も長い時間をメンバーの中でも一緒にいたから……だから、アイツの一途さは俺達の誰よりも『硬い』

「《くっ……見損ないましたよ、ナギッ!!!》」

でも、俺にだって誰にも負けない『思い』がある。

罵声を浴びせられようとも俺は今、動かない。

「《あなたの今の力と名声があれば、もっと大きく世界に関われるハズです!!!それを何故、こんな地味な活動を続けるんですか!!?それで世界の何が変えられると言うんです!!!」

「……」

ふと視線が外れるのを感じた。

「《貴方もです、アスカ。》」

「……」

隣に立つアスカにその矛先は向けられる。

押し黙るアスカにクルトは続けた。

「《貴方にはウェスペタリア王国の王位継承権がある。領土を失った今も貴方は『王族』としての…いや陛下に代わって『王』となればそれだけの『力』が手に入る。》」

「……だから何だ、クルト?」

呟かれる言葉はただ平坦で感情を感じさせない。

「《その『力』を使って奴ら陛下の解放を要求するんです。そうすれば……》」

「無理だ」

「《何故ですっ!!!》」

「ウェスペタリア王国には大きな『責任』がある。戦争を引き起こした元凶になってた『責任』がな。そこの『王』が何を言ってもアイツらは耳を貸さねぇよ」

『完全なる世界』とね繋がりが最も強かったのが『ウェスペタリア王国』だ。今のままでも心象は悪いに決まってる。

「《なら貴方の『英雄』としての名声を併用すればあるいは!!!》」

だが、まだそう言うクルトにアスカの雰囲気が変わった。

「……お前はアリカ姉の『意志』と『名誉』。どっちを取る?」

「《?どういう……意味ですか?》」

戸惑いの声を上げるクルトにアスカの言葉は掛けられる。

「俺にはアリカ姉が目の前で倒れてる奴を見殺しにしてまで助けて欲しいとは思えない……お前はどうだ?」

「《そんなの関係ありません!!!なら陛下を見殺しにしろって言うんですか!!?》」

「……少なくとも、今はダメだ」

言葉は簡潔に、そしてそこで完結する。

これ以上の話は無用だとアスカが全身で誇示していた。

「《……貴方もですか、アスカ。本当に見損ないましたよ、二人とも》」

その言葉を最後に通信は切れた。

「……なぁアスカ、これでいいのかな?」

「まだ時じゃねぇ、お前には特に辛いと思うけど……まだだ。まだ時は満ちてない」

分かってる。

ここで我慢しなきゃいけねぇのは分かってる。その為に今、俺達はこうして目の前の命を救い続けるのだから。

「アリカ……今日もまた一人、助けられたぜ?」

呟く。

見上げた空は青々としていた。



Side out





2ヶ月。

それがタイムリミットだ。

でも、それまでに俺達が出来るのはただ救助活動をし続けること。

目の前の命を救い続けること。

そうやって時を待つしかなかった、そしてジリジリとした時間の流れはやがて2ヶ月を迎える。

アリカ姉の処刑日当日。

処刑場所はケルベラス渓谷、古く残虐な処刑法でアリカ姉は処刑される。

その方法は一切の魔法を使えぬ谷底に落とされ、そこに生息する魔獣に喰われる。

「……」

準備は万端。

後は天に全てを祈るのみ……まぁ、そんなのは性には合わないけどね。

掴み取ってやれよ、ナギ。アリカ姉の手をしっかりとな。





Side とある精鋭部隊の一兵


災厄の女王。

その悪名は高く、成したことは災いとしてオスティアを滅ぼした。

彼女の処刑が今日、行われる。

「歩け!!!」

細い板の上に立たされ、槍を背中に向けられる災厄の女王。

「触れるな下郎、言われずとも歩く。」

その口から出るのはやはり悪態。

見かけと中身はまた別物ということか。

類い稀なる美貌の下には悪魔が潜んでいた。

分かってはいたが、その身は悪に染まっていたのだな。

「……」

静寂の中、罪人は一歩一歩足を進めていく。

谷底に蠢く魔獣の元へと、地獄の淵へと歩みより……

「……」

そしてその身を谷底へと消した。

まるで何も起きなかったかのような錯覚が辺りを支配した。

しかし確かに悪の根源は消え去り、本当の平和が訪れたのだ。

「やった……のか」

溢した言葉と共に歓喜の感情が込み上げてきた。

そう、やったのだ!!!戦争に巣食っていた悪魔が死んだ!!!

中継を通して全世界で見ている者も同じ気持ちだろう。

そう思っていたのだが…

「……!!!………!!!」

前方で一人の兵が何やら騒いでいる、一兵の身分にも関わらず急にその場を仕切っているようだ。

どこの部隊の所属だ?少し顔を見てやろう。

少し身を乗り出してみる、ちょうど騒ぎの中心となっている大男に上官が叱咤の声を掛けている所だった。

「これ生中継じゃねぇよな、そうだったら流石にちぃっとヤベェけどよ。」

しかし様子がおかしい。

鎧を脱いでいくその下から現れたのは…

「J・ラカン…ッ!!!」

『紅き翼』の英雄の姿だった。

どよめきが処刑場を戦場に変える。

事前に伝えられていたことだ、『紅き翼』が何らかの行動を起こす事は。

それが例え『終戦の英雄』だとしても、我々は敵対する。

しかし、ラカンの登場だけでは終わらなかった。

「近衛…詠春ッ!!!」

「アルビレオ・イマ!!!」

「ガ…ガトウ!!!」

各地点に出没する『紅き翼』の面々。

そしてそれはこのすぐ側でも例外ではなかった。

「アスカ・スプリングフィールド!!!」

飄々とした雰囲気を纏う少年、しかしその顔に浮かぶのは明らかな怒り。こめかみを痙攣させ、ただ歩を進めている。

「『紅き翼』……馬鹿なッ。では谷底の女王は……」

焦る上官の声を聞きながら、何となく理解した。

きっと谷底では姿を見せぬ『サウンドマスター』が災厄の女王を助け出しているということを。

一点に集結する彼らを見ながらそれを悟った。

「なぁ、これから一暴れするんだけどさ……この程度の戦力でいいの?」

響く少年の声。

高まる『紅き翼』の力の圧力を見に感じながらも上官は余裕があるように見えた。

「ふふ……その程度の戦力だと?愚か者が。このイベントの警備はここに見えるだけではない。周囲数十キロ二個艦隊と三千名の精鋭部隊が包囲してる。いくら貴様らでもこれを…」

「だから、」

言葉を遮るのはラカンの声。

「その程度の戦力でいいのかって聞いてんだよ」





その瞬間に悟った、絶対に勝てない。





数の暴力などという生易しいもので『紅き翼』に勝てる訳がない。

『理不尽な力』を持っていることを肌で理解してしまった。

艦隊も撤退を始めている、あんな命知らずな上官についてくのはもうゴメンだ!!!

背を向けて逃げ出すことを恥とは思わない。

何せ、周りの兵もこぞって逃げ出し始めているのだから。

自分達は『賢い』のだ、『愚か』な真似などはしない。

そう、『紅き翼』に挑むなどという『愚か』な真似を。

だから、これは決して恥なんかではない。

一心不乱に私は戦場を逃げ出した。


Side out





結局、武力による圧力をかけることでメガロメセンブリア元老院を黙殺させる。

それが『紅き翼』での作戦だった。

そしてそれを決行させるのは処刑の時でないとダメだ。

中継を通して全世界の人間が『災厄の女王が死んだ』ということを目撃してからでないとアリカ姉は逃亡生活を続けることになる。

まぁ、そうなるとナギは谷底からアリカ姉を連れて脱出しなきゃいけなくなるんだけどね。

問題点はそこだった。

魔法を使えない『サウンドマスター』は唯の『人間』へとなり、力を失う。その状態で魔獣の巣を駆け抜けることが出きるのか?

「魔力も気も使えないくらいでヤツが死ぬかよ」

「それもそうだ」

なら俺達の仕事はただ一つ。

この場で思いっきり暴れまわって『アリカ姉の事を黙認しろ』ということを力ずくで承認させる。

そうやってお膳立てはしてやったんだ。

後はナギ、お前だけだぜ?

でもまぁ、結果は見えてる。何てったってアイツは『無敵』の魔法使いだ。

「好きだからに決まってんだろぉが!!!」

「ほらな。」

谷底からの脱出に成功したナギの叫び声が響いた。

そんなデッカイ声で告白すんなよな……清々しくてナギらしいけど。

対してのアリカ姉の返答は…

「あぁ、そうじゃ。この二年間、一日たりとも主の事を考えぬ日はなかったわ!!!それがどうした、悪いか!!?」

こちらも大声。

っていうかナギがからかってキレたな、多分。

「っとと……まだ戦ってたんだった、な!!!」

拳を振り回す俺は意識をまだ残る兵士達に向ける。

でも…

「結婚すっか」

「……はいっ」

風に乗って聞こえてきた二人の声に思わずニヤニヤと笑みを浮かべた。

実際にはまだアリカ姉の汚名は削がれていない。アリカ姉の『全て』が助かった訳じゃない。

でも、今はこれでいい。アリカ姉の命が助かって幸せに生きていけるならそれはハッピーエンドだ。





「お幸せに、二人とも」





祝福の言葉は雲ひとつない青空に舞い上がって消えた。




あとがき

今回、書いてて改めて『紅き翼』ってチート集団だなって思いました。
きっと彼らならメガロセンブリアの全兵力相手でも勝ちそうですよね(汗
ナギとアリカのラブストーリー、その結果でした。
そして大戦期終了、やっとだよ!!!
次回からは幕間の話に入ります。でもその前にif話かな?
そう言えば【解説】を近いうちにまとめて違うページに移そうと思います。
いつになるかは分かりませんが、近いうちにです(汗

とにかく長かった大戦期は終了です。
でも『夕焼けを飛ぶ鳥』はまだまだ続きます、今後ともどうぞよろしく。


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