第四十六話 少女達との出会い
闇の書事件から8年。
今日もいつも通り翠屋のマスターをしているユウだ。
で、俺の目の前のカウンター席には、常連客であるサングラスをかけたスカリエッティがいる。
「で? 話ってなんだ?」
俺は、防音結界を張って、スカリエッティに問いかける。
「ああ。 君に、とある研究施設の破壊を依頼したい」
スカリエッティはそう言ってきた。
「研究施設? 管理局絡みか?」
俺はそう聞くが、
「いや、ここは管理局とは直接の繋がりは無い」
スカリエッティはそう答える。
「だったらパスしたいところだが………………理由は?」
管理局関係で無ければ、俺が襲撃する意味は無いため、俺は乗り気ではなかったが、一応話だけは聞く。
すると、
「君は聖王のゆりかごを知っているかい?」
スカリエッティはそう聞き返してきた。
「古代べルカの遺産で、巨大な戦闘艦。 生きている聖王が起動キーとなり、二つの月の魔力が受けられる衛星軌道上まで到達すると、全兵装が使用可能となり、現存の次元航行部隊とも互角以上に渡り合えるポテンシャルを持つとか何とか………………」
俺は、前世の記憶を掘り返してそう答える。
「まあ、大体その通りだ。 それで、そのゆりかごなんだが、私………ひいては最高評議会が手中に収めている」
その辺は原作と一緒か。
「でも、聖王がいなければ、単なるガラクタだ」
「その通りだ。 現在では、聖王の血を引くものは既に途絶えていると言われているし、君のような例外もいるかもしれないが、私の情報網でも君以外に聖王の血を引くものは確認されていない」
「だったら心配ない……………って言いたい所だが、居るんだろ? 俺とはまた違った例外が」
俺は確信を持ってそう問いかけた。
スカリエッティが言っているのは、十中八九ヴィヴィオに関係することだろう。
でも、この時期にヴィヴィオって生み出されていたのか?
「ああ。 君と出会う前の話なんだが、ドゥーエに聖王教会のとある司祭をたらしこませて聖王の遺物から遺伝子情報を採取し、各研究施設にばら撒いたことがあるんだが…………」
「その研究施設の中で、聖王のクローンを生み出すことに成功した、または成功しそうな所がある。 という情報でも入ってきたんだろ?」
「その通りだ」
スカリエッティは頷く。
「ふう………まさに、自分で蒔いた種だな」
「面目ない」
「ま、いいさ。 その依頼、受けるよ」
「すまないね」
「気にするな。 仲間の頼みだ。 無碍にはしないよ」
俺がそう言うと、
「仲間………か」
スカリエッティが呟く。
「どうした?」
俺が尋ねると、
「いや、いい響きだと思ってね」
「おかしな奴だな」
「フッ…………ああ、忘れるところだった」
スカリエッティが思い出したように口を開く。
「今回の研究所、管理局と直接の繋がりは無いが、管理局から遺伝子データが横流しされているとの噂もある。 気にするほどではないと思うが一応知らせておこう」
「わかった。 頭の片隅には留めておくよ」
こうして、俺の次の行動が決まった。
スカリエッティから依頼された研究所は、べルカ自治区にあった。
「聖王なだけにべルカか………安直だな……」
俺はバカなことを呟き、森の中に隠された研究所を見る。
「さて、ここはミッドチルダだから、あまり派手な事は出来ないな。 とは言っても、やることはあまり変わりないか」
俺はグレイソードを出現させ、研究所の入口へと向かう。
完全な非合法研究所の為か、警備員は見当たらない。
俺は、グレイソードを振りかぶり、入口を切り裂いた。
研究所に踏み入ると、生体ポッドがいくつも並んでいた。
近くには、研究員と思われる人間が腰を抜かしている。
俺はその人物に近付き、グレイソードを突き付けた。
「ひぃっ!」
その男は、情けない悲鳴を上げる。
「い、命だけはっ!」
命乞いをする男。
「ならば答えろ。 この研究所では、聖王の遺伝子を元に人造魔導師を生み出そうとしているはずだ。 そこへ案内しろ」
俺はそう脅すが、
「し、知らない!」
その男はそう答えた。
「隠すと為にならんぞ?」
俺はグレイソードを更に近付ける。
「ほ、本当だ! 俺は何も知らない! お、俺は唯の下っ端で、詳しいことは何も知らされていない!!」
俺はしばらくグレイソードを突き付け続けていたが、その男は震えるだけで、何も答えられそうにない。
どうやら、何も知らないというのは本当らしい。
「なるほど。 どうやら本当に知らないようだ……………ならば、貴様の知る最高の上司の元へ案内しろ。 そうすれば見逃してやる」
「わ、わかった!」
その男はガクガクと首を縦に振る。
そして、怯えながら歩き出し、俺もその後に続く。
その途中で、他の研究員たちが俺の姿を見て取り乱していたが、まあ、当然だろう。
すると、俺を案内していた男は、通路の突き当たりにある扉の前で振り返り、
「う、上の研究員達が居るのはこの扉の奥だ。 だ、だが、俺のIDでは、この扉を開けることはできない!」
焦りながらそう言う。
「十分だ。 約束通りお前は見逃してやる。 他の奴に逃げるように伝えるのは勝手にしろ。 ただし、この研究所に残る場合は、身の安全は保証しない」
「わ、分かった!」
その男はそう言って、慌てて駆けだし、逃げていく。
俺はその姿を見送ると、扉に向き直り、
「フッ!」
グレイソードで扉を切り裂く。
かなりぶ厚い扉だったが、グレイソードの切れ味の前には無意味。
ゴトン、と重々しい音を立てて崩れる扉。
その扉の向こうには、かなりの広さの部屋があった。
すると、その奥には、
「ようこそ。 血塗られた聖王」
この研究所の最高責任者と思われる白衣の男が居た。
その男は、堂々と俺を迎え入れる。
相当肝が据わっているのか、それとも単なるバカか。
もしくは、余裕を持てる理由があるのか。
俺は、グレイソードを前に突き出し、
「用件だけを言う。 聖王のクローンは、もう生み出されているのか?」
俺がそう聞くと、
「ああ。 1体だけだが、既に生み出すことに成功している。 とは言っても、まだ幼いから暫くは生体ポッドの中で成長させるつもりだがね」
その男は、嬉しそうな笑みを浮かべてそう自慢げに言った。
「そうか………」
俺は一度目を瞑ると、再び目を開けてその男を見据える。
「ならば、その子を渡してもらおう」
俺はそう言い放つ。
「ククッ。 同じ聖王として、情でも移ったか?」
「否定はしない。 大方、その子が成長したら、聖王教会に売り込みでもするつもりなんだろう?」
「その通り。 聖王が復活するのだ。 聖王教会にとって、喉から手が出るほど欲しいものだろう」
「で、その子は傀儡として、権力の象徴となって扱われる………か………気に食わないな」
俺はそう言ってグレイソードを構える。
「どうせお前は渡すつもりは無いんだろう?」
「当然だな。 折角の金の生る木だ。 みすみす手放すわけはあるまい」
「なら、問答は無用だ」
俺は男を睨みつける。
だが、その男は余裕の態度を崩さない。
「お前………どうしてそこまで余裕で居られる?」
気になった俺は問いかける。
「フフッ………この研究所で研究されていたのは、何も聖王だけでは無いのだよ! さあ、出番だ! 我が最高傑作! サンプルナンバーN-24! F-17! H-28!」
その男が叫んだ瞬間、何処からか魔力弾が飛来した。
「むっ!」
俺は、マントを盾にしてその魔力弾を防ぐ。
煙によって視界が遮られるが、向こうに誰かいるのは分かる。
俺は煙の中を突っ切ってグレイソードを振りかぶった。
そして、煙の向こうの敵に、グレイソードをなぎ払うように振るい始める。
捉えた。
そう思った瞬間、煙が途切れ、相手の姿が視界に入った。
「ッ!?」
その瞬間、俺は思わず振るおうとしていたグレイソードを相手に当たる前に寸止めしてしまう。
その顔は、髪型がショートカットで瞳が水色だが、間違いなくなのはや桜と瓜二つの7、8歳前後の少女。
強引に攻撃を止めたため、俺は大きな隙を作ってしまう。
その時、
「くっ!?」
背中に衝撃を受ける。
衝撃の感覚からして、おそらく斬撃。
俺は思わず後ろを振り返る。
そこには、髪が水色で瞳が薄紅色のフェイト、アリシアと瓜二つの少女。
「何っ!?」
更に、かなり大きい魔力の収束を感じる。
そちらを確認しようとした瞬間、白い魔力砲撃が煙を切り裂いて俺に襲いかかった。
「チッ!」
俺は咄嗟にフェイト似の少女を突き飛ばす。
俺は砲撃に飲み込まれるが、聖王の鎧のお陰でダメージは無い。
煙が晴れていくと、そこには銀色の髪と翠の瞳を持った、はやてにそっくりの少女。
「…………………」
俺は思わず黙り込む。
外見的には、星光の殲滅者、雷刃の襲撃者、闇統べる王。
だが、大事なのはそこでは無い。
スカリエッティの言っていた、この研究所に管理局から遺伝子データが横流しされているという情報。
そして、この子たちのなのは達に似た外見。
それらを踏まえると、導き出される答えは……………
「………答えろ! この子たちの元になった遺伝子の持ち主は、高町 なのは、フェイト・テスタロッサ、八神 はやての3人か!?」
俺は思わず白衣の男に問いかける。
「おや、知っていたのかね? まあ、彼女達はそれなりに有名だからね。 知っていても不思議ではないか」
その男は、肯定するように呟く。
すると、
「見たまえ、この作品たちを! こんなにも幼いながらもオリジナルに匹敵する魔力ランクだ! この研究が完成すれば、管理局を潰し、世界を手に入れることも夢ではない!」
そう高らかに叫ぶ研究者。
だが、俺はそんなことはもはや聞いていない。
俺は、その男に向けて一歩踏み出す。
「む………」
その男はそれに気づき、子供たちに攻撃を加えるように指示する。
次々と魔力弾が飛来するが、そんなものは眼中にない。
俺が見据えるのは唯一点。
白衣の男のみ。
飛来する魔力弾も、俺の聖王の鎧の前に打ち消され、俺の歩みの妨げにはならない。
俺は一歩一歩その男に近付いていく。
全く効かないことは予想外だったのか、その男は慌て始める。
「な、何をしている!? 早く殺せ!!」
その言葉に、子供たちは強力な砲撃を放った。
俺はそれに飲み込まれるも、ダメージは無い。
「や、やったか?」
その男はホッとするように息を吐いた。
その瞬間、俺は飛び出し、右腕でその男を殴りつける。
「ごはっ!?」
その男は吹き飛び、壁に激突する。
そして、俺はその男の目の前まで行き、グレイソードを振り上げた。
俺の大切な奴らを汚したこいつは許しておけなかった。
「死………」
俺がグレイソードを振りおろそうとした瞬間、
「駄目ぇっ!!」
そんな声が響き、俺は思わずグレイソードを寸止めした。
俺は声のした方を向くと、
「駄目………殺しちゃ………駄目………」
なのはのクローンの少女が、涙を流しながらそう呟いていた。
見れば、フェイトとはやてのクローンも、目に涙を滲ませている。
「分からない………自分でも何でこんな事言ったのか………でも、あなたを見てると、胸が温かくなります……」
「お前達………まさか、僅かに記憶を持ってるのか?」
俺は驚いた。
でも、確かにありえないことじゃない。
ならば、俺の取るべき道は一つ。
俺は両手の手甲を消し、
「俺と一緒に来るか?」
手を差し出しながらそう尋ねた。
子供達は、一瞬驚いた顔をした後、同時に俺の手を取った。
すると、
「お願いがあります」
なのはのクローンがそう言ってきた。
「何だ?」
「…………私達に、名前をください」
「えっ?」
「私達は今まで、番号でしか呼ばれていませんでした。 私達は、私たちだけの名前が欲しい」
その言葉に、俺は悩む。
「い、いや、俺ってネーミングセンス無いから、帰ってから皆で考えた方が………」
俺はそう進めるが、
「いいえ。 貴方に名付けて欲しいんです」
子供達はそう言ってくる。
俺は少し考えると、
「じゃあ、お前は星だ」
なのはのクローンの頭を撫でながら言う。
「星………」
次にフェイトのクローンの頭を撫で、
「お前はライ」
「ライ………」
最後にはやてのクローンの頭を撫で、
「そして、お前は夜美。 夜の美と書いて夜美だ」
「夜美………」
俺はそう言いながら内心自己嫌悪に陥る。
ぶっちゃけ、星光の殲滅者、雷刃の襲撃者、闇統べる王の頭文字を取っただけだからな。
俺のネーミングセンスの無さが恨めしい。
それでも、子供達は喜んでくれているようだ。
っと、あんまり長居するのも危ないからな。
「皆、金髪でオッドアイの女の子の居場所ってわかるかな?」
俺は星達に尋ねる。
「………オッドアイかは分かりませんが、金髪の女の子なら心当たりがあります」
星が答えた。
「場所は?」
「こっち!」
ライが率先して動きだした。
俺はライの後に続く。
すると、ある扉に入る。
そこには、生体ポッドの中で眠る、紛れもないヴィヴィオの姿。
だが、歳は4、5歳といった所か。
ふと、俺は思った。
「どうやって出せば良いんだ?」
最初はぶっ壊そうかと思ったが、強引に外に出して、異常が残ったら本末転倒だ。
それだけは避けたい。
「そう言えば、そこの機械を研究者が弄っていたのを見たことがあるぞ」
夜美が横にある機械を指さしながら言った。
俺はその機械に近付き、
「オメガ、解析できるか?」
『『お任せください』』
オメガとその機械を接続し、オメガが凄まじい勢いでデータを解析していく。
すると、プシューという音と共に、生体ポッド内の培養液が抜けていく。
そして、生体ポッドが解放され、眠るヴィヴィオがそこに横たわっていた。
俺はすぐにマントでヴィヴィオを包むと、
「オメガ、剣だ」
『『Yes,Master.』』
俺の言葉で、オメガはオメガソードへと姿を変える。
そして、その機械へオメガソードを突き刺し、
『『Initialize.』』
研究所のデータを完全に初期化した。
俺はオメガソードを引きぬき、
「なら、帰るか!」
星達に笑いかけた。
【Side はやて】
私は今、ひじょ~~~~~~~に不機嫌や。
その理由は、
「元気か? 娘よ」
「はい!リィンはいつも元気ですよ~~!」
リインフォースとリィン。
「エリオ、後で稽古をつけてやるぞ」
「はい! お願いします! お母さん!」
シグナムとエリオ。
「キャロ、ここはこうで………」
「で、ここがこう」
「あ! そういうことだったんだ!」
「キュクルー!」
キャロに勉強を教えているヴィータとユーノ君。
あとフリード。
「お袋、おかわりいるか?」
「ありがとアギトちゃん」
紅茶のポットを運ぶアギトと、ティーカップを差し出すシャマル。
「くぅん………」
「よしよし」
「………………」
子狐形態で丸くなる久遠と、それを覆うようにしているアルフ。
そして、無言ながらも温かい眼差しを向けるザフィーラ。
「………う……うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
私は思わず叫び声を上げる。
「はやてちゃん! 落ち着いて!」
「はやて、しっかり!」
なのはちゃんとフェイトちゃんが私を宥めようとしている。
だが、
「これが落ち着いていられるかい! いきなりユウ君に呼び出されたと思いきや、目の前で親子の営み見せつけられて黙っとれるかぁぁぁぁ!!」
私はそう叫ぶ。
「まあ、確かにこうも堂々と見せつけられちゃ、羨ましくもなるわね」
「そうだね~」
「ううっ、羨ましいよ~」
アリサちゃんと、すずかちゃんと、アリシアちゃんが私に同意する。
すると、
「もう、騒がしいわね~。 いくら貸し切りの状態だからって、もう少し静かにしたら?」
店の奥から桜ちゃんが現れる。
何故か金髪オッドアイの女の子を抱いて。
「……………さ、桜お姉ちゃん………その子は?」
なのはちゃんが声を震わして尋ねる。
「ん。 この子はヴィヴィオ。 この子は………」
「さくらママ。 この人たちは?」
その子が桜ちゃんにそう呼びかける。
さくらママやて………?
「…………桜ちゃんも……なんか?」
私は思わず呟き、
「う、うう………裏切り者ぉおおおおおおおおっ!!」
そう叫んだ。
その瞬間、
「落ち着きなさい!」
「はぐっ!?」
軽めの魔力弾を頭に受け、撃沈される私。
「話は最後まで聞きなさい。 ユウ!」
桜ちゃんはそう言って、店の奥に居るユウ君に呼びかける。
すると、
「さあ、皆。 お披露目だ」
そう言いながらユウ君が店の奥から現れる。
3人の女の子を連れて。
しかも、その連れてきた3人の女の子達の顔が私らとそっくりやったことも、驚きを大きくさせた。
「ユ、ユウ………その子達は………?」
フェイトちゃんが問いかける。
「この子達は、研究所でヴィヴィオと一緒に保護した子供たちだ。 もう気づいていると思うが、間違いなく、お前達の遺伝子を元に生み出された存在だ」
ユウ君がそう言うと、その子達は、それぞれなのはちゃん、フェイトちゃん、私の前に来る。
「あなた達が………私達のオリジナル………」
その子達は、複雑な表情で私達を見上げてくる。
だから私は、
「決めたで!」
私は叫んで私似の女の子を抱きしめる。
「この子は私の子にする!」
「えっ?」
その子は驚いたように私を見上げる。
「名前はなんや?」
「えっ、あ、や、夜美」
「ほうか、夜美ちゃんか。 よーし、じゃあ、夜美ちゃんは今から私の子、八神 夜美や」
「え? ええっ?」
隣では、
「ねえ、名前はなんていうのかな?」
なのはちゃんがなのはちゃん似の女の子に尋ねた。
「星という名前をもらいました」
「そっか、星ちゃんか」
そう言って、なのはちゃんは星ちゃんに笑いかける。
「お名前、教えてくれるかな」
フェイトちゃんも、そう尋ねる。
「………ライ」
「そう。 よろしくね、ライ」
フェイトちゃんも、にっこり笑って手を握る。
すると、桜ちゃんがヴィヴィオちゃんを抱いて、アリサちゃん、すずかちゃん、アリシアちゃんの方へ行く。
「ヴィヴィオ。 この人たちがさっき教えた人たちだよ」
桜ちゃんのその言葉を聞くと、ヴィヴィオちゃんは嬉しそうな顔をして、
「この人たちもママ!?」
そう言った。
「そうよ。 順番に、アリサ、すずか、アリシアよ」
桜ちゃんがそう教えると、
「アリサママに、すずかママに、アリシアママだね」
ヴィヴィオちゃんがそう言うと、
「よくできました」
桜ちゃんが褒める。
「え、ええっ!? さ、桜!? 如何いうこと!?」
アリサちゃんが、驚いた声を上げる。
「だって、ヴィヴィオを独り占めするなんて勿体ないじゃない」
桜ちゃんはそう返した。
「そ、それにしても………ママか………なんかくすぐったいわね」
そう言いながらも、顔を赤らめて満更そうには見えないアリサちゃん。
「えへへ、すずかママか……」
素直に嬉しくて笑うすずかちゃん。
「ねえねえ、パパはもちろんユウだよね!?」
「当然!」
アリシアちゃんの問いに、サムズアップで答える桜ちゃん。
その時、
「お待たせしました~~~」
トレイに飲み物を乗せて現れるファリンさんとリニスさん。
「あっ! ファリンママ! リニスママ!」
そう嬉しそうに言うヴィヴィオちゃん。
って、ファリンさんとリニスさんも『ママ』なんやね。
「はい、ヴィヴィオ」
リニスさんがヴィヴィオちゃんにジュースを渡す。
「ありがとーリニスママ」
ヴィヴィオちゃんは嬉しそうにストローに口をつける。
それにしても、あっという間に大所帯になったなぁ………
私はそう思いつつ、夜美を愛でる事をやめない私だった。
あとがき
第四十六話の完成。
はい、子供達大集合の回でした。
ここで星光の殲滅者、雷刃の襲撃者、闇統べる王の登場です。
性格が違うのは、まだ、未発達だからです。
すぐに同じ性格になるでしょう。
で、ちょっと早いけどヴィヴィオも登場。
子持ちと戦闘機人を除いたヒロインズの子供になりました。
また色々と酷評が来そうな気がしないでもないですが……………
次回は、恐らく聖王教会編になるかと……
ともかく次も頑張ります。