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No.15302の一覧
[0] 【完結】リリカルなのは ~生きる意味~(現実→リリカル オリ主転生 最強 デジモンネタ)[友](2015/01/12 02:39)
[1] プロローグ[友](2010/01/04 15:51)
[2] 第一話[友](2010/01/04 15:52)
[3] 第二話[友](2010/01/04 15:55)
[4] 第三話[友](2010/01/05 00:19)
[5] 第四話[友](2010/01/17 13:53)
[6] 第五話[友](2010/01/17 14:31)
[7] 第六話[友](2010/01/24 12:46)
[8] 第七話[友](2010/01/31 15:55)
[9] 第八話[友](2010/02/07 10:27)
[10] 第九話[友](2010/02/14 15:40)
[11] 第十話[友](2010/02/21 11:01)
[12] 第十一話[友](2010/04/04 09:45)
[13] 第十二話[友](2010/04/04 09:46)
[14] 第十三話[友](2011/05/03 21:31)
[15] 第十四話[友](2010/03/28 07:45)
[16] 第十五話(前編)[友](2010/04/04 09:48)
[17] 第十五話(後編)[友](2010/04/04 09:49)
[18] 第十六話[友](2010/04/04 09:51)
[19] 第十七話[友](2010/04/18 07:24)
[20] 第十八話[友](2010/04/25 14:47)
[21] 第十九話[友](2010/05/02 21:59)
[22] 第二十話[友](2010/05/09 07:31)
[23] 第二十一話[友](2010/05/16 15:36)
[24] 第二十二話[友](2010/06/06 15:41)
[25] 第二十三話[友](2010/05/30 09:31)
[26] 第二十四話(前編)[友](2010/06/06 15:38)
[27] 第二十四話(後編)[友](2010/06/06 15:39)
[28] 第二十五話[友](2010/06/06 15:36)
[29] 第二十六話 (2013年11月14日 改訂)[友](2013/11/14 22:27)
[30] 第二十七話[友](2010/06/27 17:44)
[31] 第二十八話[友](2010/08/17 21:11)
[32] 第二十九話[友](2010/08/17 21:11)
[33] 第三十話[友](2010/09/19 16:35)
[34] 第三十一話(前編)[友](2010/09/19 16:30)
[35] 第三十一話(後編)[友](2010/09/19 16:34)
[36] 第三十二話[友](2010/11/07 14:58)
[37] 第三十三話[友](2010/12/05 15:37)
[38] 第三十四話[友](2010/12/05 15:36)
[39] 第三十五話[友](2011/01/16 17:21)
[40] 第三十六話[友](2011/02/06 15:02)
[41] 第三十七話[友](2011/02/06 15:00)
[42] 第三十八話[友](2011/03/13 18:58)
[43] 第三十九話[友](2011/03/13 18:56)
[44] 第四十話[友](2011/03/27 15:55)
[45] 第四十一話[友](2011/04/10 20:23)
[46] 第四十二話[友](2011/04/24 16:56)
[47] 第四十三話[友](2011/05/03 21:30)
[48] 第四十四話[友](2011/05/15 14:37)
[49] 第四十五話[友](2011/05/29 20:37)
[50] 第四十六話[友](2011/06/12 22:18)
[51] 第四十七話[友](2011/07/10 23:20)
[52] 第四十八話[友](2011/07/25 01:03)
[53] 第四十九話[友](2011/07/25 21:26)
[54] 第五十話[友](2011/09/03 21:46)
[55] 第五十一話[友](2011/10/01 16:20)
[56] 第五十二話[友](2011/10/01 16:27)
[57] 第五十三話[友](2011/10/01 16:19)
[58] 第五十四話[友](2011/10/30 20:17)
[59] 第五十五話[友](2011/11/27 20:35)
[60] 第五十六話[友](2013/04/21 19:03)
[61] 第五十七話[友](2013/04/21 19:00)
[62] 第五十八話[友](2013/04/21 18:54)
[63] 第五十九話[友](2013/08/22 00:00)
[64] 第六十話[友](2014/03/23 23:15)
[65] 第六十一話[友](2014/03/23 23:13)
[66] 第六十二話[友](2014/05/06 17:27)
[67] 第六十三話[友](2014/08/13 19:34)
[68] 第六十四話[友](2014/11/30 22:33)
[69] 第六十五話[友](2014/12/31 20:29)
[70] 最終話[友](2015/01/12 02:26)
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[15302] 第二十五話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/06 15:36

第二十五話 生きる意味(前編)





【Side グレアム】



前回の闇の書の悲劇より11年・・・・・・

闇の書の転生先を見つけ、永久封印の目処もたった。

闇の書の主であるあの少女を犠牲にする事は辛いが・・・・

これ以上、闇の書の悲劇を繰り返すわけにはいかんのだ。

そう、もうクライドのような悲劇を繰り返さない為にも・・・・・・・

全てが終わったら、どんな罰でも甘んじて受けよう。

そう考えていた。

だが、リーゼ達の報告を聞いて、私は驚愕した。

闇の書の主である八神 はやてを監視していたリーゼ達が、何者かに襲撃され、敗北したというのだ。

そして、八神 はやての家の周りには、強力な結界が張られ、中の様子が全く分からなくなってしまった。

時期的にそろそろ守護騎士が目覚める頃。

何故この大事な時に・・・・!?

襲撃者について調べると、直ぐに見つかった。

それは、同じ海鳴市に住む、利村 ユウ。

本名、ユウ・リムルート。

類稀な魔導資質を持ち、優秀な猫が素体の使い魔を従える少年。

彼が八神 はやてと面識を持った事は完全に誤算だった。

SSSオーバーの魔力を持つ彼は、クロノからの報告で管理局に対して、これ以上無いほどの嫌悪感を有しているらしい。

本来ならば、守護騎士が目覚めれば、何れ主の為に蒐集を開始する。

そして、闇の書が完成する寸前に、守護騎士と共に闇の書を確保し、守護騎士を蒐集して闇の書を完成させた後、デュランダルによる凍結魔法で永久封印するという手順を踏む計画だった。

しかし、彼が闇の書側に付くとなれば、話は大きく変わってくる。

彼は、八神 はやてを救うために蒐集を行なうだろう。

だとすれば、リーゼ達だけでは、彼の相手は不可能だ。

彼は、闇の書が完成した時点で暴走することは知っているようだが、甘く見すぎている。

闇の書は、人間が・・・・・・それも、八神 はやてのような単なる子供に何とかできるものではない。

それを、何とかなると思っているのだろう。

幾ら資質は高くともやはり子供だ。

そこまでの考えが至っていない。

やはり、恨まれるのを覚悟で、最後に隙をみて封印するしか無いだろう。

そう思い、行動した。

その結果が・・・・・





「ユウーーーーーーーッ!!!」

辺りに響く悲鳴のような叫び声。

彼は、目の前で闇の書に吸収されてしまった。

しかも、デュランダルを持ったまま。

なんという事だ。

これでは封印も出来ない。

何たる失態。

「そ、そんな・・・・・・ユウ・・・・・・」

彼と共に居た少女が呟く。

すると、その少女が私を睨み付ける。

「ああもう!余計な事してくれたわね!折角考えてた計画がメチャクチャじゃない!」

その少女は、私に向かって吐き捨てるように言った。

「しかし!闇の書は君達が考えてるような甘いものでは・・・・」

「知ってるわよそんなこと!」

私の言葉を遮って少女は言った。

「幾ら魔力が強くたって如何にもならないことぐらい分かってたわよ!けどね!ユウには何とか出来る手段があった!ユウは、後ろ向きで自分を過小評価しすぎる性格をしてるけど、それは逆に言えば、出来ない事を出来るなんて言ったりする見栄を絶対に張らないって事!ユウが、自信を持って出来ると言った事なら、ほぼ確実に出来るってことよ!だから、今回だって何とか出来る方法を持ってた筈!それに、ユウは全員助ける事を目指してたけど、最悪、はやてや守護騎士を犠牲にする覚悟もあった!アンタはそれを台無しにしたのよ!」

少女は叫び続ける。

「別にアンタのやろうとした事が間違ってるとも思わないし、正しいとも思ってない!でも、犠牲になるのがはやてだった!私達はそれが気に入らない!」

その少女の言葉に、私は、

「子供に・・・・・子供に何が分かるっ!!」

思わず叫んでしまった。

怒鳴るつもりなど無かったが、一度箍が外れてしまうと、口から次々と言葉が出てきてしまう。

「私はっ!私はクライドを!・・・・・自分の部下をこの手で撃たねばならなかったのだ!そのときの気持ちがお前に分かるか!? だからこそ、最低限の犠牲で闇の書を封印しなければならなかった!もう二度と、クライドのような悲劇を繰り返さない為に!!」

「知らないわよそんなこと!!第一、アンタがやりたかったのは、悲劇を繰り返さない為じゃない!単なる復讐でしょ!?」

少女の言葉に、私は胸を貫かれたような衝撃に襲われた。

「・・・・・・・・・・そうだな・・・・・その通りだ・・・・・・」

私は呟く。

「私は許せなかった!闇の書を!そして、クライドを撃つ事しかできなかった自分を!故に、その時に私は誓ったのだ!どんな方法を取ろうとも、必ず闇の書をこの世から無くすと!」

これは、今まで自分すら気付いていなかった・・・・・いや、気付かない振りをしていた本当の本音。

「それで、その答えがはやてを犠牲にする事!?それでクライドさんが喜ぶと思ってるの!?」

「クライドはそのようなことは認めんだろう・・・・・・だが、これは私の問題だ!」

私はそう区切り、次の言葉を発しようと・・・・・・

「そこまでです、グレアム提督」

何者かに名を呼ばれ、私は其方に振り向き、

「なっ!?」

驚愕した。

そこには、クロノとリンディ提督に肩を支えられているクライドの姿。

「ク、クライド・・・・・?」

私は信じられなかった。

何故彼がここに居る?

クライドは11年前に死んだ筈。

「グレアム提督、クライドは、闇の書の守護騎士となっていたんです」

リンディ提督がそう言った。

「ほ、本当なのか、クライド?」

「はい、私は、家族と再び会えるチャンスを貰う代わりに闇の書の守護騎士になるという取引をしました。我ながら情け無い話です」

そう言って、クライドは自傷気味に笑う。

「グレアム提督、復讐などはお止めください」

「だ、だが、私はお前を・・・・・・」

「グレアム提督、私は、自ら進んであの役を引き受けたのです。グレアム提督が気にすることではありません。そして何より、『私』は、『今』『ここ』にいます」

クライドは、そう言うと、視線を闇の書の管制人格に向けた。

「そして何より、『未来』は、子供達が切り拓いていくものです!」

クライドがそう言ったとき、不自然なほどに沈黙を保っていた闇の書の管制人格が光に包まれた。





【Side Out】








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・




・・・



「・・・・・ウ・・・・・・ユ・・・・・・・・・ユウ・・・・・・・・ユウ!」

俺の名を呼ぶ声がする。

「ユウ!起きてください!朝ですよ!」

その声に、俺はゆっくりと瞼を開く。

「あ、やっと起きましたね」

そこには、人間形態のリニスの姿。

「リニス?」

俺は尋ねる。

「ほら、早く起きてきてください。朝御飯が冷めてしまいますよ」

「え・・・・・・?」

俺は起き上がる。

ここは、自分の家のベッドの上。

「すぐに来てくださいね」

リニスはそう言って、部屋を出て行く。

「・・・・ここは・・・・・?」

俺は疑問に思ったが、すぐに答えに行きついた。

「そうか・・・・・ここは夢の中か・・・・・・」

闇の書が見せる自分の望んだ世界。

俺は立ち上がる。

自分の部屋を出て、朝食を食べていた居間へと向かう。

俺は居間へと続く扉の前で立ち止まる。

「俺の・・・・・望んだ世界・・・・・・・」

俺の、望んだ世界は・・・・・・

その思いを胸に、俺は扉を開けた。

そこには、

「おはよう。ユウ」

「おう、ユウ。おはよう」

朝食をテーブルの上に並べている母さんと、座って新聞を読んでいる父さんの姿。

「父さん・・・・・母さん・・・・・・」

俺は思わず目尻が熱くなる。

「うん?如何したユウ?」

「ユウ?」

父さんが、そんな俺の様子に気付いたのか、心配そうな声をかけてきて、母さんが俺の顔を覗き込む。

「・・・・・っく・・・・・・・ううっ・・・・・・」

俺は我慢できなくなり、涙を流した。

父さんと母さんがいる普通の生活。

これが、俺の望んだ世界・・・・・・・・








【Side はやて】




私は今、車椅子に乗って真っ暗な暗闇の中におった。

「眠い・・・・・・」

この場所はとても眠い。

あかん、ユウ君は私を信じてくれとるんや。

起きなあかん。

そうは思うけど、凄く眠い。

すると、目の前に銀色の髪と赤い瞳をもった女の人が現れた。

『そのまま御休みを、我が主。目を閉じて・・・・・心静かに夢を見てください』

その女の人がそう言ってくる。

この人がユウ君の言っとった闇の書の管制人格ってやつなんやろか?

「・・・・・・夢?」

私は呟く。

『健康な身体。愛する者達と、ずっと続いていく暮らし。眠ってください。そうすれば、夢の中であなたはずっと、そんな世界にいられます』

確かに、そんな世界には憧れるわ。

けどな・・・・・

「・・・・・・ちょっと・・・・近くに来てくれへんかな?」

私は、管制人格さんに呼びかける。

『なんでしょうか・・・・・・主?』

管制人格さんは近くに来て、律儀にも跪いとる。

けど、丁度ええわ。

私は、可能な限り上半身を仰け反らせる。

『主・・・・・?』

「ふん!!」

管制人格さんが怪訝そうな声をかけて来たけど、私は構わずに、思いっきり頭を振り下ろした。

――ゴチン!

正にそんな擬音語がピッタリの音がした。

簡単に言えば、私は、管制人格さんに思い切り頭突きをかました。

『ッ~~~~~~~~!!?? あ、主? いきなり何を!?』

管制人格さんは頭を押さえつつ、涙眼でそう問いかけてきた。

こういったら何やけど、かわええ反応や。

「っしゃっ!!目ぇ覚めたで!!」

私は気合を入れなおすように叫ぶ。

『あ、主!?』

「なあ、管制人格さん。確かにさっき言ってたような世界には憧れとる」

私は言った。

『ならば何故?』

「決まっとる。それはただの夢やからや」

『え?』

「私は、夢で満足するほど大人しい子やないで。それを現実にしてこそ意味があるんや!」

『主・・・・・・』

「だから、私は目覚めなあかん。外で頑張ってくれとるみんなの為にも・・・・・・何より、私自身の為に」

『私の感情は、騎士達の心と深くリンクしています。だから騎士達と同じように、私もあなたを愛おしく思います。だからこそ、あなたを殺してしまう自分自身が許せない・・・・・・・自分ではどうにもならない力の暴走。あなたを侵食する事も、暴走してあなたを喰らい尽くしてしまうことも、止められない』

管制人格さんは、悲しそうな表情でそう言う。

「覚醒の時に、今までのこと少しはわかったんよ。望むように生きられへん悲しさ。私にも少しは分かる!シグナムたちと同じや!ずっと悲しい思い、寂しい思いしてきた・・・・・・」

私は、一呼吸置き、

「せやけど、諦めたらあかん!今のマスターは私や!マスターが諦めん限り、貴女も諦めたらあかん!」

『主・・・・・・』

「私がマスターである限り、諦める事はゆるさへんで!リインフォース!!」

『リイン・・・・・・フォース・・・・・・・?』

「貴女の名前や!もう“闇の書”とか“呪いの魔導書”とか言わせへん。私が呼ばせへん!」

『私の・・・・・名前・・・・・・・』

「そうや!強く支える者、幸運の風、祝福のエール。“リインフォース”。それが私が付けた貴女の名前や!」

リインフォースが大粒の涙を流す。

『主・・・・・私に・・・・・・名を下さるのですか・・・・・・・・?』

「当たり前や!リインフォースは私の家族や!家族に名前があるのは当然やろ!?」

『私を・・・・・・・家族とまで・・・・・・』

すると、リインフォースは立ち上がる。

『わかりました、我が主。家族を守る為に、私も運命に逆らってみましょう』

「うん」

リインフォースの言葉に、私は頷く。

『では主、まずはこれを・・・・』

リインフォースがそう言って手を前に翳すと、そこに一本の杖が現れた。

『主の杖です』

差し出された杖を、私は掴む。

その瞬間、私の服装が変化し、背中に黒い羽根まで生える。

これがバリアジャケットって奴やな。

『それから、魔導の知識をあなたに譲渡しました』

言われたとおり、魔力の扱い方や魔法の知識が頭の中にある。

『守護騎士プログラムも切り離し済みです。さあ、お行きください主』

「・・・・え?」

リインフォースの言葉に、私は声を漏らす。

『私は、この場で転生機能を一時的に停止させます。その間に闇の書を破壊すれば、闇の書は転生せず、破壊する事が出来ます。無限再生は止められませんが・・・・・・管理局のアルカンシェルならば、問題ないでしょう』

「そんなことしたら、リインフォースが!」

『良いのですよ主。私は罪深き魔導書です。主はそんな私に、綺麗な名前と心をくださいました。長き時の中でも、これほど嬉しい事はありません・・・・・・だから私は、笑って逝くことができます』

「あかん!そんなんあかんて!」

『大丈夫です。守護騎士達もあなたの傍にいます。何も心配することはありません』

「違う!心配とかそんなんや無い!」

『主・・・・・お願いです。私を、この無限の地獄から救ってください・・・・・・』

「助ける!絶対に助けるからお願いや!逝かんといてリインフォース!」

『そのお気持ちだけで十分です。ありがとうございます。主』

リインフォースがそう言うと、足元にベルカ式の魔法陣が現れる。

「リインフォース!」

私は、リインフォースに手を伸ばそうとした瞬間、白い光に包まれた。

『主・・・・・私は、世界で一番幸福な魔導書です』

そんな呟きと共に、リインフォースは微笑んだ。

「リインフォースッ!!」

その瞬間、私は外へ弾き出された。





【Side Out】




【Side 桜】




リインフォースが光に包まれて少しすると、光の中から、はやてが弾き出されるように飛び出した。

「はやて!」

私は咄嗟にはやてを受け止める。

「ッ!桜ちゃん」

「はやて、大丈夫?」

私はそう声をかけるが、おかしい事に気付く。

はやての今の姿は、アニメの通りの杖を持っており、バリアジャケットも同じだが、髪の毛と瞳の色が元のまま。

つまり、リインフォースとユニゾンしていない事をあらわしている。

如何いう事?

はやては、私に振り向くと、

「お願いや桜ちゃん!リインフォースを助けて!」

はやてはそう叫ぶ。

「ど、如何いう事?」

私はなんとかそう尋ねる。

その時、精神操作が解けたのか、守護騎士達と、なのは達が集まってきた。

「はやて!」

ヴィータが一目散に飛んでくる。

「ヴィータ!」

「はやて、無事だったんだな!」

ヴィータが嬉しそうにそう言う。

「主はやて・・・・・」

「はやてちゃん・・・・」

「主・・・・・」

シグナム、シャマル、ザフィーラも安堵の表情を見せている。

すると、転送用の魔法陣がその場に現れ、プレシアさん、アリサ、すずか、アリシアが転移してくる。

非魔導師の3人は、プレシアさんの魔法で宙に浮かんでいる。

「状況が変わったようだから様子を見に来たんだけど、どういう状況なの?」

プレシアさんが尋ねる。

すると、

「お願い皆!リインフォースを助けて!」

はやてが泣きそうな声でそう叫ぶ。

「リインフォース?」

なのはが首を傾げる。

「夜天の魔導書の管制人格のことや!リインフォース、転生機能を一時的に停止させるって・・・・・あの中に残ったんや!」

はやては、黒く巨大な淀みを指差す。

「そんな・・・・・・・・そういえば・・・・ユウは?」

フェイトが気付いたように辺りを見回す。

「そういえば・・・・・何処に行ったの?」

アリシアも気付き、尋ねてくる。

私は言い辛かったが、

「ユウは・・・・・・・闇の書に吸収されたわ」

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

全員が驚愕した表情を浮かべる。

「まさか・・・・・ユウが吸収されるとは・・・・・・・」

シグナムが呟く。

闇の書に吸収能力が有るだろうことは、予想の範囲という口実で皆に知らせてある。

「それで如何すんだよ?ユウが吸収されることなんて想定してねえぞ!」

ヴィータが言う。

皆も焦りの表情が窺える。

だが、私はその時、ユウが吸収される寸前に言った言葉を思い出した。

「そうだクロノ!ユウ、“プランΩ”って言ってた!」

私はクロノに叫ぶ。

「プランΩ?リニスさん、知ってる?」

なのはがリニスに尋ねる。

「いえ、私もそんなプランは聞いてませんが・・・・・」

リニスも知らない事らしい。

クロノを見ると、驚愕の表情を浮かべていた。

「・・・・・・プラン・・・・Ωだと・・・・・・・」

クロノは震える声で呟く。

「ど、如何したの?」

私は尋ねる。

「プランΩ・・・・・策なんて言える物じゃない・・・・・・・・・ユウが闇の書に吸収された場合に行うもの・・・・・・・・」

「い、いったい何なの!?」

嫌な予感がした。

「八神 はやて。及びに管制人格が闇の書の内部から脱出した後、アルカンシェルで全てを吹き飛ばす」

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

再び全員の顔が驚愕に染まる。

「ちょっと!それ如何いう事よ!」

アリサが声を上げる。

「聞いての通りだ・・・・・ユウは、自分諸共闇の書を消滅させろと言ったんだ」

「嘘・・・・・だよね・・・・・・・」

すずかが、一途の望みを託すように聞くが、

「・・・・・・こんな事、冗談で言えるわけ無い」

クロノが絞り出すような声で言った。

クロノも、握った拳が震えている。

「何で・・・・・そんな選択を・・・・・・」

「ユウは・・・・・・“自分では、闇の書の夢から自分で覚められるほどの心の強さを持ってないから”と言っていた」

クロノの言葉に、私は俯く。

「それから・・・・・リニスの事は、プレシア・テスタロッサか、母さんに頼んでくれ、と・・・・・・」

そのクロノの言葉に、リニスは表情を青ざめさせる。

「ユウ・・・・・・」

リニスは呟く。

「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」

全員が、この後の行動を決めかね、沈黙してしまう。

「・・・・・・・・アイツは・・・・・・・本当にバカなのよ・・・・・・・」

私は思わず呟く。

「桜お姉ちゃん?」

なのはが私の名を呟く。

「アイツは・・・・・・どれだけ大切に思われてるか・・・・・・全然分かって無い・・・・・・・・・・・何時だって、自分を卑下して、みんなの気持ちを否定して・・・・・・・・・なのはも・・・・・・フェイトも・・・・・・アリシアも・・・・・・はやても・・・・・・・アリサも、すずかも・・・・・・リニスからも・・・・・・・・皆からとても想われる事を認めようともしない・・・・・・・」

私は、呟きながら目尻が熱くなるのを感じる。

「それに・・・・・・・私だって・・・・・・・・」

ユウが闇の書に吸収されて、初めて気付いた。

私自身の、本当の想いに・・・・・・

「桜お姉ちゃん・・・・・・・もしかして・・・・・・」

なのはが、気付いたように呟く。

私は、懺悔するように呟いた後、涙を拭って顔を上げ、闇の書の闇に向き直る。

「お、お姉ちゃん!?如何するの!?」

私の行動に驚いたのか、なのはが声を上げる。

「決まってるじゃない!1人じゃ起きられないって言うのなら、叩き起こすだけよ!!」

私はそう答えた。

「んなっ!? そんなデタラメな・・・・・!」

クロノが驚いた声を上げる。

すると、リニスが私の横に並び、

「私も協力しましょう」

そう言った。

その姿を見たなのはが、

「そうだね・・・・・・それがいいかもしれない」

私の案に同意する言葉を呟く。

「お寝坊さんのユウ君を、私達で起こしてあげよう!」

なのはがみんなにそう言った。

すると、

「そうやな・・・・・ユウ君だけや無く、リインフォースも起こしてあげなあかんし・・・・・」

はやてが同意し、

「私も手伝う!」

フェイトもそう言った。

「どのみち、このままでは埒が明かん。僅かな可能性でも、賭けてみるべきだろう」

シグナムがそう言い、守護騎士達も頷く。

「君達は・・・・・・」

クロノは、若干呆れたような顔をするが、

「だが・・・・・ユウに借りを作ったまま消えられるのは、僕としても不満だ。僕もその賭けに乗らせてもらおう」

クロノの言葉に驚いたのは、グレアム提督だった。

「ク、クロノ・・・・!?」

すると、クロノはグレアム提督の方を向き、

「グレアム提督、彼女達を管理局の定義に当てはめるのは無粋ですよ」

クロノはそう言った。

「彼女達は、最善や確率などで作戦を決めているわけではありません。ただ、彼女達がやりたいと思ったことをやっているだけです」

クロノは続ける。

「確かにそれは、管理局から見れば無謀なのかもしれません・・・・・・ですが、それこそ新たな未来を切り拓く道しるべになると僕は思います!」

クロノはそう言い切った。

「なら決まりね」

私の言葉に、みんなが頷く。

「ならゴチャゴチャ言わないわ!ありったけの魔力と想いを込めた一撃を叩き込む!!これだけよ!!」

「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」

私の言葉に、みんなが唱和する。

「なら、シャマル!」

はやてがシャマルに呼びかける。

「はい!皆の回復と補助ですね!」

シャマルは分かっていると言わんばかりに頷き答えた。

「聖なる風よ・・・・・・大いなる闇に立ち向かいし戦士達に、安らぎと祝福を与えよ・・・・・・」

シャマルは両手を横に広げた後、そのまま両手を天に翳し、

「セイント・エアー!!」

光の粒が私達を包んだ。

「これって・・・・・怪我が治ってる?」

なのはが自分の身体を確かめるように呟く。

「それだけじゃない。力が漲って来る」

フェイトが気付いたように言った。

「私に出来るのはこれくらいだから・・・・・・お願いね、皆」

シャマルはそう言うと、少し寂しげな表情を浮かべた。

すると、

「任せろシャマル。お前の想い、私が一緒に届けてやる」

シグナムがそう言った。

「ええ、お願いねシグナム」

シャマルが笑みを零す。

「それじゃあ、あたし等は露払いだね!」

「うむ!盾の守護獣の名は伊達ではない所を見せてやる!」

「サポートは、僕達に任せて!」

アルフ、ザフィーラ、ユーノがそう言う。

「なら、行くわよ皆!」

「「「「「「「「「「ええ(うん)(おう)!!!」」」」」」」」」」

その時、黒い淀みが膨れ上がる。

「夜天の魔導書・・・・・呪われた闇の書と呼ばせたプログラム。闇の書の・・・・・闇」

はやてが呟くと、黒い淀みが砕ける。

アニメでは、虫と獣が融合したような化け物だったけど、今、そこにいたのは・・・・・・

「ディアボロモン・・・・・・」

私は、小声で呟く。

その姿は、デジモンのディアボロモンそっくりだった。

でも、そんなことは気にしていられない。

「よっしゃ、先ずはアタシが邪魔な結界をぶっ壊してやる!」

ヴィータがそう勇んで飛び出すが、ディアボロモンの胸部にある砲口に魔力が集中する。

その魔力量は、スターライトブレイカーに匹敵する。

「いけない!ヴィータ!」

私が叫ぶとほぼ同時に、魔力弾が放たれた。

それは、一直線にヴィータへ向かう。

「やばっ!?」

ヴィータは逃げようとしたが、それも遅く、

――ドゴォォン!

ヴィータが爆炎に包まれた。

「ヴィータちゃん!?」

なのはが声を上げる。

すると、煙が吹き飛ばされ・・・・・・

ヴィータの前で、3枚のシールドでヴィータを守るユーノの姿があった。

「ヴィータ!大丈夫?油断しちゃ駄目だよ!」

「お、おう・・・・すまねえ・・・・」

そう礼を言うヴィータの顔は赤い。

それにしても、スターライトブレイカークラスの砲撃を防ぎきるなんて、ユーノの防御って凄いわね。

すると、ヴィータは気を取り直し、

「そんじゃあ、いっくぞぉおおおおおっ!!」

グラーフアイゼンがカートリッジをロードする。

『Gigantform.』

グラーフアイゼンが巨大なハンマーになる。

「おら!ユウ!!はやてを泣かすのは許さねえからな!さっさと起きろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

ヴィータが巨大なハンマーを振り上げ、

「轟天!雷鳴!!」

ヴィータの叫びと共に、ハンマーに電撃が宿る。

「ハンマースパーーーーーーーーークッ!!!」

そのまま思い切り振り下ろした。

――バキャァァァン!

ヴィータの一撃は、一枚しかないがアニメより強固な結界を見事に砕いた。

「ユウ!フェイトを泣かしたら絶対に許さないからね!だから、早く起きな!!」

アルフは、チェーンバインドでディアボロモンの両手を縛りつけ、動きを封じる。

「ユウよ!お前は長き時の中でも稀に見る善人だ。この場で死なすわけにはいかん!!」

ザフィーラは、鋼の軛を発動させ、砲口を串刺しにし、砲撃を封じる。

その時、シグナムはレヴァンティンのボーゲンフォルムを構えていた。

「ユウよ・・・・・この気持ちがそういうものなのか私にはまだ分からない・・・・・・だが、私はお前に消えて欲しくは無い!シャマルも同じ気持ちだ!だから、目覚めろ!ユウ!!」

シグナムは弓矢を引き絞る。

「羽ばたけ!火の鳥!!」

シグナムの弓矢は激しい炎を纏った。

「シャドーウイング!!」

シグナムが矢を放つと共に、炎は更に激しさを増し、火の鳥を形作った。

火の鳥は羽ばたき、ディアボロモンに向かい、左肩部分に直撃、左腕を吹き飛ばす。

続いて、クロノがデバイスを掲げ、巨大な一本のスティンガーブレイドを発生させていた。

「ユウ・・・・・君には借りを作ってばっかりだ・・・・・・君のお陰で、父さんも戻ってきた・・・・・・・だから、少しぐらい、礼を言わせろ!!」

クロノは、その叫びと共にデバイスを振り下ろす。

「スティンガーブレイド!!ベルセルクシフト!!」

クロノの放った巨大なスティンガーブレイドは、ディアボロモンの右腕を切断する。

更に上空では、プレシアさんが巨大な魔法陣を発生させている。

「ユウ!こんな美少女達を放っておいて、勝手にいなくなろうとしてんじゃないわよ!!起きなさい!」

アリサが、

「ユウ君!お願い、起きて!!」

すずかが、

「ユウ!夢なんかで満足しないで!私達と一緒に生きようよ!」

アリシアがそれぞれの想いを叫ぶ。

「ユウ君・・・・・・あなたにはアリシアとフェイトを貰ってもらうつもりなんですからね。こんな所でいなくなるのは許さないわ。起きなさい!!」

プレシアさんがその言葉と共に巨大な雷を落とした。

その雷は、ディアボロモンに直撃し、その余波で千切れていた腕を粉々に引き裂く。

「ユウ・・・・・私はもう、あなた以外を主とするつもりはありませんよ!起きてください!」

リニスは、7つの魔力弾を発生させ、

「セブンヘブンズ!!」

それを放った。

その攻撃は、ディアボロモンの頭を吹き飛ばす。

そして、残った私、なのは、フェイト、はやては、それぞれの最強の魔法を準備していた。

因みに、なのはとフェイトは、既にフルドライブを発動させている。

「ユウ君!リインフォース!私達は、皆で幸せになるんや!だから、はよ起きるんや!!」

はやての、

「ユウ・・・・大好きだから・・・・・一緒に居たいから・・・・お願い!起きて!ユウ!!」

フェイトの、

「好きだよユウ君・・・・・だから、起きて!!」

なのはの想い。

「全力全開!!スターライト・・・・・」

「雷光一閃!プラズマザンバー・・・・・」

「響け!終焉の笛!ラグナロク!」

「「「ブレイカーーーーーーーーッ!!!」」」

その想いと共に、特大の砲撃を放つ。

そして私は、この一言を・・・・・・

「ッ・・・・・起きろバカァァァァァァ!!!」

その叫びと共に、ルナライトブレイカーを放った。

4つの特大砲撃は、ディアボロモンを粉々に引き裂き、粉砕する。

「はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・」

私は肩で息をする。

出来る限りの事はやった。

後は待つだけ。

私はそう思い、高度を下げながら息を吐き、何気に着弾点を見る。

そして、立ち上っていた煙が風で吹き飛ばされ・・・・・・・・

「なっ・・・・・・」

私は絶句した。

私の視線の先には、小型化したディアボロモンの群れ。

よく見れば、粉々になったディアボロモンの破片1つ1つが、小型のディアボロモンとなっていた。

その小型のディアボロモンが、一斉に私の方を向いた。

恐らく、皆よりも高度を下げていた所為。

そして、一斉に私に向かって砲撃が放たれる。

「ッ!?」

私は咄嗟に動こうとしたが、先程の全力の砲撃の所為で、魔力が激減しており、上手く飛行が制御できなかった。

私の視界いっぱいに広がる魔力弾の嵐。

「桜お姉ちゃん!!」

なのはの悲鳴が響いた。





あとがき

やりたい放題の二十五話が完成。

この話で決着つくかと思ってたんですが、長くなりすぎたので二話に分けます。

ユウの切り札も次回にお預け。

楽しみにしてた人ごめんなさい。

そんで今回は原作とはちょっと違い、リインフォースが闇の中に残りました。

話の流れが強引かな?

あと、全体的に話がグダグダになった気もする。

守護騎士達にもデジモン技をかまさせてみた。

あと、メガデスよりも集束砲同時斉射の方が強いので、4人娘はああなりました。

さて、次回は早めに投稿できると思うのでお楽しみに。




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