「―――――――ふむ、ネギ君達は眼を覚ましたようじゃな・・・」
テスト2日前の土曜日。ココは学園長室。
この部屋の主である翁は、図書館島地下深くに落ちたネギ一行が覚醒したのを遠見の魔法で確認していた。
「フォフォッ、事がウマく運んで何よりじゃわい」
そう、何を隠そう今回の図書館島侵入騒動はすべて、この老人が仕掛けた臨時処置なのである。
『成績不振者は小学生からやり直し』や『頭が良くなる本の存在』などの噂を流し、地下遺跡に誘き寄せ、ネギとバカレンジャー達に悪ふざけと言う名の試練を与えたのだ。
理由は単純明快、「面白そくなりそう」だから。
どうやら目論見通りネギに触発され、生徒達は勉強をヤル気になったようだ。
コレでイイ、後はタイミングを見計らって脱出させれば計画完遂である。
・・・だがこの計画を実行するためには1つの障害があった。そう、海里の存在である。
普段から見てもわかるが、彼は木乃香や刹那を始めとした友人連中を若干過保護とも言えるくらいに大切にしている。
その海里に「面白くなりそうだからネギ達を地下に落とすんでヨロシク」などと言えば、「ハイそうですか、ヨロシクです」なんて言うハズが無い。間違いなく止めにかかるだろう。
当然だ、そんなアブナイ真似などさせるわけがない。
そこで学園長の灰色の脳細胞は閃いた。
海里に連絡が行く前に個人任務を与え、事態を把握される前に眠らせてしまえばいいじゃないか、と。
結果は大成功。睡眠作用のある魔法薬を混ぜたドリンクを飲んだ海里は、見事にグッスミンである。しばらくは起きないだろう。
「・・・・しかしのう・・・」
ふと、老人の顔に思案の表情が浮かぶ。
今回の作戦にはもう一つの目的があったのだ。その内容と言うのも・・・
「やはり彼の魔法は興味深いのう・・・」
―――――そう、海里が使用している新種の魔法についてだ。
以前から、学園長はこの西洋魔術とは似て非なる魔法に興味をそそられていた。
この自称オリジナル魔法は、始動キーを必要とせず、今まで見たことの無い形態の術を多種多様に揃えている。協会の長たる学園長が眼を付けるのは当然ともいえることだ。
ともすればコレは魔法の大革命なのかもしれない、あわよくば独自に検証してみたい、などと、この爺様は考えていたりする。
そんな知的好奇心から、学園長は常日頃から遠見の魔法で彼の仕事ぶりを覗いたりしている。
だが、自身の術の希少さに気付いている海里は、あまり魔法を他人に進んで教えようとしないし、人前で大っぴらに使おうともしない。1つの任務で2回使えば多い方だ。
なので遠見の魔法で仕事の様子を見ても、その実態を掴めずにいるという訳だ。
彼の魔法を詳細に知っているのは、幼馴染の木乃香、相棒の刹那、そして練習場所を貸し与えているエヴァくらいである。
だが訊き出そうにも、木乃香と刹那が海里の秘密を簡単に漏らすような真似をするハズもないし、エヴァも訊かれて正直に答えるようなタマではない。どうすりゃいいんだコノヤロウ。
そこで学園長、またもや閃いた。彼に単独任務を与えれば、人目を気にせず思う存分魔法を使ってくれるのではないか、と。
その予想はある程度的中し、海里は普段よりも多くの術を使い勝利。見れば見るほど、その効果の多彩さに驚かされた。
「実に興味深い・・・。彼の魔法は、西洋魔術に革新を起こすやもしれんのぅ・・・」
そしてその頃、当の本人は―――――――――――――
「・・・お、おれは、悪くヌェ・・・・・、・・・なに、気にすることは無い・・・・・ぐぅ・・・・」
―――――――起きる気配が皆無だった。というか、どんな夢見てるんだコイツ・・・。
「何ですって!?2-Aが最下位脱出しないとネギ先生がクビに!?ど、どーして、そんな大事なこと言わなかったんですの、桜子さん!?」
「あぶぶっ!だって先生に口止めされてたからー」
「皆さん!テストまでにちゃんと勉強して最下位脱出ですわよ!その辺の普段真面目にやってない方々も!」
「げ・・・」
「仕方ないなぁ」
「問題はアスナさん達バカレンジャーですわね。とりあえずテストに出て頂いて、0点さえ取らなければ・・・」
「みんなー大変だよ!ネギ先生とバカレンジャーが行方不明に!!」
「「「え・・・」」」
そんな感じで、2-A教室が「やっぱダメかも」的絶望に満ち溢れたりした土曜日―――――――――
――――――――そして放課後。
「ジジイ、入るぞ」
そういって、学園長室の扉をノックも無しに開け放つブロンド幼女ことエヴァンジェリン。茶々丸は先に帰したようだ。
「おおエヴァ、ようやく来たか。昨日は直帰しちゃったから、がくえんちょションボリじゃよ」
「気持ち悪いしゃべり方をするなクソジジイ、こうして報告に来てやるだけありがたく思え」
報告というのは、昨晩の海里の単独戦闘についてである。
通常は不測の事態に備えて数人のチームで任務に当たるのが一般的だ。
だが今回は海里が単独で行ってこそ初めて意味が生まれる。付き添いを付けてしまってはまた出し渋られるかもしれないのだから。
そこでこの老人は、海里の術について詳細を知る人物の1人であるエヴァンジェリンに、彼の近くで待機するよう依頼したのだ。
一応は海里にも配慮して情報の漏洩は最小限で済むようにし、彼女なら不測の事態に陥っても助け船も出してくれるとの考えからである。
そのハズだったのだが・・・・・
「かなり危ない場面もあったじゃろうに、少しくらい援護してやってくれてもええじゃないか・・・」
「あの程度で死ぬなら、奴はそれまでの男だったということさ」
・・・この幼女、海里が苦戦しようがヤバかろうが全然助けてくれなかった。
「本当の本当に死にそうになったら助けてやったさ。だが奴は完遂した、だから何もしなかった、それだけだ」
「それはそうじゃがのう・・・」
「それに、私も奴の多対一の戦闘を見るのは初めてだったからな、じっくりと見物したかったんだよ」
これでもエヴァは海里の事は気に入っている方だ。普段から練習の場を提供している彼女も、彼の魔法や剣技については興味が尽きないようだ。
それに、海里はエヴァの呪いを解く上で欠かすことのできないキーパーソン、そう易々と見殺しにしたりはしない。
あと、例のパイがポイント高かったようだ。「茶々丸がレシピ通りに作っても、あの味が再現できない」と零したこともある。
何故だかあのパイは海里以外はうまく作れないのだ、マーボーカレーも同様である。
ちなみに普通の料理はあまり得意じゃない、ネタ的な料理専門のシェフなのだ。普通の料理は木乃香に丸投げである。
「・・・ったく、せっかく私が習得の機会を与えてやったというのに・・・」
「なんか言ったかの?」
「別に」
エヴァの言う「習得の機会」とは何のことかと言うと―――――――――――――――
==================================================================
――――――――ある日の別荘――――――――
「――――――ふっ!はっやぁっ!てやっ!!」
エメラルドグリーンの海に面した砂浜で、一心不乱に剣を振るう紅眼の少年。言うまでも無く、俺である。
空を断つように木刀を薙ぎ、逆袈裟に斬り上げ――――――――
「【散葉塵】!」
舞い散る木の葉を斬るような連撃を放つ。その後も、今まで習得した剣技をおさらいするかのように連続して繰り出す。
【散葉塵】から、突き刺し、引き抜くように【散葉枯葉】に繋ぎ、間を置かず【虎牙連斬】、着地と同時に踏み込み【瞬迅剣】で眼の前の空間を刺突。
突きだした剣を振り上げ三日月型の剣閃を描き、勢いそのままに地を駆ける衝撃を繰り出す【魔神月詠華】を放ち、【爪竜連牙斬】で見えざる敵を流水の如く斬り付ける。
気合いを入れて木刀で3連斬、振り抜いた勢いで回転しながら跳躍し【飛燕連脚】、2段蹴りの直後に空中で体勢を整え、剣の切っ先に炎を宿し―――――――
「【鳳凰天駆】!!」
豪火を身に纏い、前方に突撃を仕掛ける。火の鳥が地を滑るように着地し―――――――――――――――――ここからだ!
「うおおおおおおおお―――――――――――!!!」
――――――刹那、数メートルの距離を瞬く間に駆け抜け、大地を大きく薙ぎ払う―――――――
だが・・・・・・・、
プスン・・・・
・・・・砂浜からは、情けないような渇いた音しか響かなかった。
「・・・不発かよ・・・・」
潮風香るビーチで、俺はガックリとうなだれた――――――――――――
――――――――俺が剣やら斧やらを振り続けて、かれこれもう10年近く時が流れたことになる。
もちろん鍛練をサボったことなど無い、秘奥義にかける情熱は生まれたときから燃え続けているのだから。
今日はどうにかして秘奥義をモノにしようと躍起になっていたんだけど、どうにもうまくいかない。何がいけないんだろうか?
俺の腕が秘奥義の域まで達していない、と言う訳でもない。これでも一応、成功例はあるんだ。
だが敵も然る者、「秘」奥義と言うだけあって難易度は通常の奥義を遥かに上回る。いつでも好きな時に引き出せる訳じゃないみたいなんだよねえ。
「なかなか、ままならねえなぁ・・・・」
「何を辛気臭い顔をしているんだキサマは」
「お疲れ様です、ミサトさん」
「ケケッ」
「あ、エヴァさん達・・・」
姫が家来を引き連れ現れた。この鍛練は、御覧の幼女の提供でお送りします。
「いや、秘奥義の練習してたんですけど、なかなかうまくいかなくて・・・」
「・・・秘奥義?」
「そうです。こう、カッコいいカットインがズバッと入るようなスゲーヤツです」
「カットインてオマエ・・・、ゲームのやり過ぎじゃないのか?」
・・・よくご存じで。さすがは【闇の福音】、その眼力は千里を見通すか。
「まったく、年甲斐もなく秘奥義だのなんだのって・・・」
「コレガ噂ニ聞ク『ちゅうに』ッテ奴カ」
「中二っていうな。いや年齢的には中二だけど、中二じゃない。仮に中二だとしても、中二と言う名のロマンだよ」
「わかったから中二を連呼するな、激しく鬱陶しい」
コレは失敬。
「どうぞ、冷たいお茶です」
「オマエは淡々としてるなぁ、チャチャマル・・・」
いや、気遣いはとてもありがたいんだけどね。なんか「コレで頭冷やせバカ」って言われてるみたいで腑に落ちない・・・。
「キミ達に足りないのは情熱ですよ。有名なあの人も言ってるでしょ、「もっと熱くなれ」って」
「ここで松岡修造を引き合いに出す意味がわからん」
「違いますよ、大黒摩季ですよ」
「どっちでもいいわ、そんなモノ。・・・で、その秘奥義とやらがどうしたって?」
軌道修正された。俗に言う『閑話休題』というヤツだ。
「反復練習は欠かしてないんですけど、ことごとく不発なんですよねえ・・・。完成形は頭に入ってるんですけど」
「ドンナ奥義ナンダ?」
「えっと、―――――が――――――したりする奴とか、――――――の後に――――――を放つ奴とか・・・・」
構想にある秘奥義を数例挙げて説明。技名も教えてあげた。
「・・・ことごとくクドイ技名だな」
「魔法の秘奥義もありますよ、――――――が―――――――になったりするのが」
「ほう?」
エヴァさんが喰いついてきた。やはり魔法の方に興味があるようだ。
「デ、1回モ成功シネエノカ?」
「できるにはできるんだけど、練習で成功したこと無いんだよなぁ・・・。テンションが上がりきらないって言うか・・・」
「モチベーションの問題なのか?」
「戦闘中にテンションが異常にハイになった時とか、なんていうか、脳にピキーンッて来たりするんですけど・・・・」
それと、あとは・・・・・・・
「・・・命の危機に瀕した時とか、突発的に出たりするんですけど・・・・・・」
“あの時”はマジで死ぬかと思ったからな・・・、火事場の馬鹿力って奴だろうか?
「―――――――ホォ、ジャア死ニソウナメニ遭ワセテヤルヨ」
ビュオッ!
「どわああああ!!?」
殺戮人形がいきなりクビを狩らんと襲ってきた。なんとかギリギリで回避できたが・・・・。
「な、何しやがんだチャチャゼロ!?」
「死ニソウニナレバ秘奥義ガ出セルンダロ?」
「間違ってないけど完全に間違ってる!!!」
「遠慮スンナッテ、オレトオマエノ仲ジャネエカ」
「オマエはただ単に俺を斬りたいだけだろ!?」
「ですとろーいっ!!!」
「にぎゃああああ!!?」
――――――それからしばらく、夕陽の海岸でチャチャゼロと斬り合った。
その日のチャチャゼロの刃は、随分とおしゃべりだったなぁ―――――――――――
==================================================================
―――――――というやり取りがあったのだ。
そう云う訳で、エヴァは海里の秘奥義習得に協力してやろうと『あえて』手を出さず、ヤバい状況を演出してやったのである。
エヴァも割と秘奥義、できれば魔法の方を見てみたかったので、今回の監視を快く引き受けたのだ。結局、秘奥義は出ずじまいだったけど。
「・・・ふむ、こんなところかのぅ」
「じゃあな、私は帰るぞ」
その後大体の報告も済んで、エヴァが学園長室から退室しようとしたその時、ふとエヴァが足を止め口を開く。
「まあ、アイツが起きる前に言い訳の一つでも考えておくことだな」
「ほ?」
「キサマが如何に画策しようが、今回の件は必ず奴の耳に入る。あのバカレンジャー達がミサトに報告しない訳が無いからな」
・・・するとどうなるか?
「過保護なアイツのことだ。その原因がジジイの悪ふざけだと知れた日には、キサマはこの部屋ごと壊滅するかもしれんぞ」
「ふぉ!?」
「せいぜい上手い言い訳でも考えるんだな」
そんな不吉な予言と共に、エヴァはケラケラ笑いながら学園長室を後にした。
チチチチチ・・・・
「・・・・闇の炎に抱かれて、馬鹿な・・・・・・・・・・・・・ムニャ・・?」
敵が炎に包まれながら鳥の囀りのような悲鳴を上げている、という夢を見た・・・・。
・・・なんだ、夢か・・・、せっかく秘奥義が出せたと思ったのに・・・。
イイ感じにまどろんでいた俺は、カーテンの隙間から差し込む日の光に瞼をこじ開けられ目が覚めた。
「・・ふぁ~~~・・・・・、よく寝たべ・・・」
あの栄養ドリンクが効いたかな?寝起きだというのに身体の調子がすこぶるイイ。
気分良く部屋の壁かけ時計に目を向け、時刻を確認する。長針は12の直前、短針は7を指していた。7時か・・・、余裕だな、サッサと朝飯食って学校に行かなきゃ。
シャッと勢いよくカーテンレールを滑らせ、溢れんばかりに降り注ぐ日光を浴びる。
そして流れるように手を動かし、リモコンを拾い上げテレビを付ける。習慣は身体が覚えてるモンなんだね。
プッ、プッ、プッ、ポーーーン
《――――おはようございます、モーニングサンデーの時間です》
「・・・・・・・・へ?」
今なんつった?サンデーとか言わなかったか?今日は土曜のハズじゃ――――――――
「・・・・いやいや、まさか?」
窓辺からベッドサイドまで一歩で移動し、ベッド脇のデジタル目覚まし時計を掴みあげ、食い入るようにディスプレイを確認する。
[ AM 7:01 SUN ]
・・・SUN?
SUNって、日曜ってことなんだよね・・・・・?
「・・・・・・うえええええええ!!!?」
え、ちょ、ええ!?もう日曜の朝!?30時間以上寝てたの!?どんだけ爆睡してんだよ俺!!?どうしよう、学校サボっちまったよ!!
と、とりあえず、無断欠席の連絡を刀子さんにしないと・・・。あぁ~、ヤだな~、あの人厳しいから、寝過ごしたなんて言ったらどんな説教が待ってるか・・・。
とにかく連絡しないことには始まらない、2つ折りのケータイを手に取りパカッと開ける。
・・・ん、着信履歴がある。発信者は、・・・セツナ?
時間は金曜の夜、俺が部屋を出てすぐか。何の用だったんだろう?
コンッコンッ
と、ケータイの画面とにらめっこしていた俺の耳に、訪問者の到着を知らせるノック音が届く。
ノックするってことは、アイツらじゃないよな?
「どうぞー、開いてますよー」
ドア越しの訪問者に入室を促す。・・・あ、部屋の鍵も閉めないで寝ちゃったんだ。
俺の返答を聴いて、ガチャリとドアを開けて入ってきたのは、意外や意外。
「失礼するぞい、ミサト君」
「学園長?」
珍しいにも程がある来客だ、学園長室に根をはったまま動かない存在だと思ってたのに。
・・・あ、そうだ!
「すんません学園長!うっかり30時間ほど眠っちまいました!!学校サボってすんません!!」
深々と謝罪。
「いや、気にするでない、ワシもオーバーワークを要求したからのぅ。刀子君には、ワシからちゃんと言っておくから安心せい」
「マジですか!?」
ありがとう学園長!融通が効く先生って大好きさ!!
「それと、ついでにもう1つ頼みたいことがあるんじゃが・・・」
「なんです?」
「ネギ君達を迎えにやって行ってくれんかの?」
「迎えにって、駅にですか?」
こんな朝早くに?
「いや、図書館島の地下遺跡じゃ」
「・・・・・は?」
あの島、地下遺跡なんて有ったのか・・・、いや、問題はそこじゃない。
「アイツなんでそんなとこに居るんですか?」
「金曜の晩にアスナちゃん達と一緒に侵入して落っこちたんじゃよ」
何やってんだアイツ・・・・・。
「『達』って、他に誰が居るんです?」
「楓君と古菲君と、夕映君にまき絵君、それと木乃香と刹那君じゃ」
「アイツらまで何やってんの!?」
話によれば、図書館島地下にある「頭が良くなる魔法の本」の噂を信じて侵入し、そのまま警備システムに捕まり地下で勉強中らしい。
「そんな本あるんですか?」
「ある訳無かろう」
「ですよね」
アイツらも学校サボったのか・・・。なんで止めなかったんだよコノカ、もしくはセツナ。
あとネギ、一番止めなきゃいけない奴が一緒に行ってどうすんだよ。止めろよ先生。
「その3人は他の5人の勢いに勝てなかったみたいじゃから、あまり責めんでやってくれ。ネギ君は寝ていた所を強引に連れ出されたようじゃし」
「あ、そういやセツナから着信あったのって・・・」
「自分たちじゃ止められんから助けを呼んだんじゃろうな」
・・・・はぁ、しゃーない。
「・・・わかりました、行ってきます」
「おお、助かるぞぃ」
「で、どうやって行けばいいんスか?」
「地下までの直通エレベーターがあるからソレを使うがいい。普段は地下から一階までの一方通行じゃが、特別に往復できるようにしておこう」
ホントすみません、ウチの馬鹿どもが御迷惑かけて。
学園長からエレベーターの場所を聴いて、いざ出発―――――――――の前に・・・。
「・・・あの、アイツらには俺からよ~く言って聞かせますんで、無断侵入のペナルティは・・・・」
「ふ、ふむ・・・。まぁ、今回は特別にお咎め無しにしておこうかの」
「あざーっす!!」
んじゃ、行ってきまーっす。
「・・・・・なんか、良心が痛むのぅ・・・」
魔法薬入りのビンを回収しながら、しゃがれた声を零す。ぬらりひょんにも、一応人並みに良心があったようだ。
「あ、そうじゃ、急いで石板の問題を撤去せねば・・・、ミサト君にバレてしまうからのう・・・」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
だんだんリアルの方が忙しくなってきました。