「【サウザンドマスター】の息子が?」
「ああ。イギリスから修業のため、この地にやって来るそうだ」
ただいま夏休み真っ最中。今日はリゾートも兼ねてエヴァさんの別荘にお邪魔させてもらっている。紅茶飲みながらニシンのパイをパクついてます。
別荘と言っても、遠出している訳ではない。魔法でボトルシップの中に異空間を作り上げて、そこを別荘として使っているのだ。
内部は南国リゾート風、海もあるしプール完備ときている。エヴァさん泳げないのになんであるんだろう?
オマケにこの空間は、外界の1時間が1日になるという優れモノ。こういうのを見ると、エヴァさんてスゲエ魔法使いなんだなあと、改めて実感するよ。
俺も魔法の練習とかのために、よくココを利用させてもらっている。便利だよ、上級魔法ぶっ放しても怒られないし。
ソレはそうと先程の話だが、エヴァさんを麻帆良に縛り付けた野郎の子供が来日するとの情報が入ったそうな。
「ソレはいつごろの話なんです?」
「今冬、3学期が始まって少ししたらだな」
なんでも魔法学校を飛び級で卒業し、一人前の魔法使いになるための修行の地として日本が選ばれたらしい。
そして出された課題と言うのが――――――
「日本で教師をすること、ですか・・・・魔法全然関係ないっすね」
「教師云々は、ただの口実かもしれんがな。多くの魔法関係者が集い、なおかつ癖者ぞろいのこの街で揉まれてこいってことなのだろう」
「オマケに親父と因縁のある【闇の福音】がいるから、と・・・・」
「大方、試練として私をぶつけようなどと考えているのだろうさ」
あれ、でも確か・・・・
「飛び級ってことは、結構若いってことですよね?」
「数えで10歳だそうだ」
「10歳!?」
そんなガキに教師やらせようっての!?何考えてんだお偉いさん方は!?
「なんせ英雄の息子だ、奴らの期待も高いんだろうよ」
「それにしたって限度ってモンがあるでしょ・・・」
ちゃんと教員免許とった大人でさえ大変な仕事なのに、そんなチビ助に勤まるのか?
「あと5ヶ月か、ククククク・・・・・・」
・・・・幼女が悪い顔してる、何か企んでやがんな?
「これでやっと、このふざけた呪縛から解放される、クフフフフフ・・・・」
「・・・何する気ですか?」
「決まっている!この呪いを解くには、かけた本人に解呪させるか、血縁者の血を大量に頂くのが1番手っ取り早いんだ!」
「・・・女子供は殺さないんじゃなかったんスか?」
ソレが【闇の福音】のポリシーのハズだけど?
「ふんっ、親の後始末は子供の仕事だ」
「駄目っすよ、親の失態を子供に押し付けるなんて最低ですよ?」
「じゃあどうしろと言うんだ!このまま永遠に能天気連中と学校に通えというのかキサマは!!」
「そうならないために、こうして俺が解呪しようとしてるんじゃないっスか」
そう、エヴァさんと交流を持ってから、俺は2週に1回くらいのペースでエヴァさん宅を訪れ、浄化魔法を掛けまくっているのだ。
元々俺の浄化魔法は、状態異常を問答無用で正常化させる回復魔法なんだ。だから【登校地獄】も解呪できたっておかしくは無い。
だが俺の魔力では、【サウザンドマスター】が力任せにかけた呪いに太刀打ちできないのだ。
コレでもいろいろ試行錯誤してみたんだよ。
これでもかってくらい集中して魔力を練り上げたり、はたまた続けざまに魔法を重ねがけしてみたり、他の回復魔法を手当たり次第にかけてみたり。
「だが、その結果がコレじゃないか」
仰る通りでございます、面目ねえ。
「コレは千載一遇のチャンスなんだ。そのためにも、奴が来日する前に力を貯めなければ――――」
「力を貯めるって・・・、まさか一般人から吸血するつもりですか!?」
それは駄目だ!関係ない人まで巻き込むのはイカン!!
――――――あ、そうだ!!
「エヴァさん、こういうのはどうです!?」
「ん、なんだ?」
「それはですねえ、―――――――、――――――」
とっさに思いついた計画を早口で説明、コレで丸めこまれてくれ!
「――――――っていうことなんですけど・・・、どうでしょう?」
「・・・・」
・・・・駄目っすか?
「・・・・・いいだろう」
よかった、なんとか納得してくれたか。
「じゃあとりあえず、4月ごろまでは様子を見るということで・・・」
「そのかわり、これから定期的にキサマの血を頂くからな」
「吸血鬼化させないでくださいよ?」
もしもの時のエヴァ案実行のために、力を貯めることをやめる気は無いそうなので、俺の血を献上することで決着がついた。
・・・・なんで俺がこんな気苦労しなけりゃならんのだ。
くそぅ、【サウザンドマスター】め、覚えてろよ・・・。
「話ハ終ワッタカ、御主人?」
「お、チャチャゼロじゃん、元気してたか?」
「元気スギテ、ナンデモイイカラ斬リタイ気分ダゼ」
「ソレいつもじゃねえか」
この物騒なことをほざいてる人形は『チャチャゼロ』、【人形使い】エヴァさんの従者の中でも最古参の殺戮人形だ。
エヴァさんの魔力供給で動いているから、普段はしゃべれても動けない状態なんだが、この別荘の中だとエヴァさんは力を取り戻すので、こうして自由にウロウロできるという訳だ。
最古参だけあって戦闘技術は群を抜いている。ときどき戯れに手合わせするんだけど、一撃ずつが重いの鋭いのって。
「ミサト、久シブリニ斬リ合オウゼ」
「え゛、・・・マジでか?」
「オマエハスジガイイカラ、ヤリアッテテ楽シインダヨ。思ワズ殺シタクナルクライナ」
「オマエの気分で殺されちゃたまんないっての・・・」
だが、断ることもできない。いや、断ることはできるが、その場合は問答無用で斬りかかって来る。だったら素直に受諾した方が建設的だ。
とはいえ、進んで斬りあいたいとも思わない。どうすれば・・・・
「・・・よし、今日は少し趣向を変えてみるか」
「ン?ナニスル気ダヨ?」
なるべく俺の身の安全が保障された状態でやりたいからね。
カードを出して、思い描くはアノ姿。
「【来たれ】!」
カードが輝きを放ち、姿を現したのは―――――――――――
―――――――腕がダランと伸び、猫のような耳を携え、なんとも形容しがたい笑みを浮かべたツギハギだらけの人形であった。
「なんだ、この不細工な人形は?」
「俺のアーティファクトの1つ、その名も『トクナガ』!!」
「ソイツデ闘ウノカヨ?」
「まあ見てなって」
トクナガの頭を掴みながら地面に置く。そして――――――
「―――ふっ!!」
ぼわんっ
――――――一気に俺の背丈を越えるほどに巨大化した。
「デッカクナッチャッタ!?」
「古いぞ、それ」
「ほう、【人形使い】の私でも初めて見るシロモノだな」
エヴァさんが【人形使い】なら、俺は【人形士】なのだよ。
コレ出すのも久しぶりだなぁ。昔はよくコノカやセツナと一緒にトクナガに乗って遊んでたっけ・・・。
ただ、ぬいぐるみの上にイイ歳した男が乗っかるのは、画的になんか嫌だ。
なので、試行錯誤の末――――――
『憑依合体inトクナガ!!』
――――――着ぐるみのように着こむことに成功した。こうすることにより防御面の心配が減るんだよ、防刃ジャケットみたいなもんだ。
『準備万端!!さあ、どっからでもかかってきちゃってくださぁ~い!!』
「・・・ソレはいいんだが、なんだその甘ったるいしゃべり方は」
「声モ変ワッテルナ、年頃ノ女ミテエダ」
『ボン太君効果とお呼びください、大佐ぁ♪』
「誰が大佐だ」
この状態になると、何故か自動的にアニス声になってしまうのだよ。
まあ、この方が気分が出ていいんだけどね。
「ナンデモイイ、ハヤク殺リアオウゼ」
『ボクのチカラを見せてあげましょう!』
今の俺は『ミサト』ではなく『トクナガ』だ。なので一人称は「ボク」だ、なんとなく。
「イクゼェ!ケケケケケケケケッ!!」
『おりゃああ!【流影打】ぁ!!』
対の刃と流れる拳が激突する――――――――――!!
―――――――――結果、ボコボコにされました。
「動作ガデカ過ギダゼ」
トクナガは機動性に難があるのを忘れてたよ・・・・。
『・・・・月夜ばかりと思うなよ、・・・ガクッ』
「オマエは何がしたかったんだ?」
それからしばらくは去年に引き続き、とても楽しい毎日が続いていった。
「ミサトお願いっ!宿題手伝って!!」
「リミット寸前でござる!!」
「ヘルプウィーアル!!」
「学習しろよ、オマエら」
―――――――コントバカ信号の夏休みの課題に付き合わされたり。
「ニノ、一緒にボウリング行かない?」
「女の子何人か連れて来てくれよ」
「ソレが狙いか」
―――――――野郎共の飽くなき挑戦に付き合わされたり。
「セツナ、ソッチ行ったぞ!」
「はああ!【斬岩剣】!!」
「残党は私に任せてもらおうか」
―――――――傭兵組で仕事に勤しんだり。
「ユエ、髪のベタ塗って!!ミサト君、ここペン入れして、早く!!」
「なんでハルナはいつもいつもギリギリまで溜めるんですか!」
「す、すみません、ミサトさん・・・」
「・・・・ノドカ、いい加減俺に慣れてくれよ」
―――――――ハルナの強行軍に付き合わされたり。
「ケーキ焼けたえ~♪」
「やっぱり俺の部屋なんだな」
「いつものことでござるよ」
「それもそうか、・・・・・ほんじゃあ――――」
「「「「「「―――――メリークリスマースっ!!!」」」」」」
―――――――聖なる夜を星達と共に過ごしたり。
「おっす、あけおめ」
「今年も参拝に来たのか、何か買っていけ」
「いきなりたかるんじゃねえよ」
「今川焼が美味しそうアル」
「俺を見ながら言うんじゃねえ、他4人もコッチ見んな」
―――――――年が明けてスグに奢らされたり。
―――――――そして。
本日、2月某日。3学期も半ばである。
《学園生徒の皆さん、こちらは生活指導委員会です。今週は遅刻者ゼロ週間。始業ベルまで10分を切りました。急ぎましょう。
今週遅刻した人には当委員会よりイエローカードが進呈されます。くれぐれも余裕を持った登校を―――》
そんなアナウンスと共に、駅前改札口の喧騒が耳に入って来る。ココの朝はマジでうるさい。
ヌーの大行進の如く猛進する生徒達を横目に、俺はコノカ、セツナ、アスナと共に改札前で待ちぼうけ。
ソレと言うのも、俺達に本日付で麻帆良に赴任してくる新人教師を迎えに行くようにと学園長が頼んできたからである。
新人教師と言うのは、例の子供。エヴァさんの情報通り、修業のために麻帆良にやって来るのだ。
それで俺らが迎えに来た訳なんだけど、これ他の先生に頼めなかったのか?早起きしなくちゃならなかったから超メンドイんだけど。
ちなみに俺達と言ったが、正確には【漆黒の翼】の3人が頼まれたことであり、アスナは付き添いである。
「危うく寝坊するところだったわね」
「総統にモーニングコール頼んどいてよかったわぁ」
さいですか。
「でもさ、学園長の孫娘のアンタが何で新任教師のお迎えまでやんなきゃなんないの?」
「スマンスマン」
「いろいろ事情があんじゃねえの?」
「すみませんアスナさん、付き合わせてしまって」
「まあ、私が勝手について来たんだから文句言ったってしょうがないんだけど・・・
でもさ、他の先生に頼んだっていいと思わない?大体、ジジィの友人ならそいつもジジィに決まってるじゃん」
残念、的外れだ。ジジイの対極を行く奴がやって来るぞ。
「でもアスナ、今日は運命の出会いありって占いに書いてあるえ」
「え、マジ!?」
そう言ってコノカが取り出したのは購読している占い雑誌。コノカは占いが趣味なので、よくこの手の本を読んでいる。
でもよく考えろアスナ、今日運命の出会いがあるってことは、既に面識のある高畑さんは運命の人じゃないってことになるぞ。
「ほら、ココ。しかも、好きな人の名前を10回言って『ワン』と鳴くと効果ありやて」
「お、ホントだ。それに『ワン』の直後に『○○、大好きだニャン』て言うと更に効果倍増だって」
「うそ!?
―――――高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生(以下略)ワンッ!!高畑先生、大好きだニャンッ!!!」
・・・・ホントにやりやがった。スゲエ度胸だな、こんな往来でそこまでするとは。
「・・・すごいですねアスナさん、高畑先生のためなら何でもしますね・・・」
「・・・殺すわよ?」
「いいや、褒めてんだよ。本人の前じゃないにしても、この往来で大好きとまで宣言したその度胸があれば、きっといつか高畑さんは振り向いてくれるさ」
「え、ホントに!?」
「ああ、今すぐ『ムーンライトパワー』って言いながらセーラー服に着替えればきっと叶うってココに書いてある」
「アンタを月に代わってブチノメシてもイイ?」
やっぱりノセやすい奴だよな、アスナって。
「あのぉ・・・・」
ん、誰だ?
声のする方に顔を向けると、アスナの顔を窺いながら朗らかな笑みを浮かべる少年が一人。
背中には杖らしき棒を差してるし・・・、もしかしてコイツが件の子供か?
その利発そうな眼鏡の少年は、こう続ける。
「――――あの、・・・・・アナタ、失恋の相が出てますよ?」
・・・・うわぁ、ちょーしつれーボーイ。
対してアスナ、どう反応する?
「なっ、・・・し、しつ、しつれ、・・・・」
そうだね、失礼だね。
「――――んだと、このがきゃああぁ!!!」
「うわあああああ!?」
般若降臨。少年、デリカシーという言葉を覚えよう。俺は女2人に囲まれて育ったからその辺敏感だぜ、多分。
「い、いえ、何か、占いの話が出ていたようだったので・・・」
「ど、どど、どういうことよ!テキトーなこと言うと承知しないわよ!?」
「い、いえ、かなりドギツイ失恋の相が・・・」
「ちょっとおおおお!?」
「泣くなよ、ガキの戯言程度で」
「私はね、ガキは大ッ嫌いなのよ!!」
「いえ、戯言じゃなくて本当に・・・」
「オマエはちょっと黙っていようか」
テメェがしゃべると収まるものも収まらなくなりそうだ。
「あ、アナタ・・・・」
「今度は何だ」
「軽く浪費の相が出ていますよ?」
「・・・ソレは去年あたりから出始めたヤツだ」
・・・結構信憑性あるかもな、コイツの占い。
と、アスナの手が少年の頭に伸びる。そのままワシっと掴みあげ、万力の如く締め付ける。おおスゲエ、アイアンクローだ。
「取・り・消・し・な・さ・い・よおおお・・・!!」
「い、いだい、いだいですよおお・・・」
このまま観戦してもいいが、いつまでもココに居る訳にもいかんな。
「アスナ、ストップ」
「邪魔しないでよミサト!このガキを火星に代わって折檻するんだから!!」
「ソレはまた時間のある時にしてくれ」
とりあえず手を離してもらうことには成功した。少年涙目っす。
「んで、頭痛に苦しんでるところ悪いんだけど」
「は、はい・・・・」
「キミが『ネギ・スプリングフィールド』か?」
「え、・・・あ、ハイ、そうです!」
やっぱそうなんだ、本当に10歳なんだ。
「じゃあ総統、このコがおじいちゃんがゆうとった・・・?」
「そうみたいですね、このちゃん」
「え、ちょっと、何よ、何の話よ。なんでミサトがこのガキの名前知ってんのよ?」
アスナの疑問に答えようとしたその時、
「――――いやあ、済まなかったねキミたち、面倒を押し付けてしまって」
「あ、高畑さん、おはようございます」
「た、高畑先生!? お、おはよーございましゅ!」
「おはよーございまーす」
「おはようございます」
タキシード眼鏡様、じゃなくて高畑さんが来てくれた。来れるなら初めから来てくれよ。
「お久しぶりです、ネギ先生」
「久しぶりタカミチーッ」
この2人って面識あったのか、知らんかった。
アスナもかなり動揺してるな。そりゃそうか、憧れの人と失礼なクソガキが知り合いだったんだから。
「麻帆良学園へようこそ、いい所でしょう?ネギ『先生』」
「せ、先生?」
「あ、ハイ、そうです」
少年は頷いた後、咳払いして一礼。ココでようやく自己紹介か。
「この度、この学校で英語の教師をやるコトになりました、ネギ・スプリングフィールドです」
「・・・・え、ええ、えええええええええええええぇ!!!!?」
まあ、当然の反応だよな。あり得ないもん、常識的に考えて。
「ちょ、ちょっと、どういうことですか!?こんなガキが先生って・・・、何かの間違いじゃないんですか!?」
「ハハハ、彼は頭がいいから問題ないよ」
大ありだろ、ダンディに笑い飛ばせば誤魔化せると思うなよ。
「い、いや、でも・・・」
・・・・誤魔化されかけてるのが1人居るな。
「それと、今日から僕に代わってキミ達A組の担任になってくれるそうだよ」
「はあああああああああ!?」
驚愕の余りこんな声が出るアスナ。
おい、そんな話聞いてねえぞ?このノーデリカシーボーイがコノカやセツナの担任?なんで担任なんだよ、せめて副担とか教科のみとかにすればいいのに。
「そ、そんなぁ、・・・私、こんな子イヤです。さっきだってイキナリ失恋・・・いや、失礼な言葉を私に・・・」
「でも本当なんですよ」
「本当とか言うなああああ!!!」
アスナにとっちゃ一大事だろうな、担任が大好きな人から気に食わないガキに代わっちまうんだから。
高畑さんの前だというのに、ネギに無神経だのミジンコだの罵声を浴びせ続けるアスナ。それだけ切羽詰まってんだろうな。
「まあまあアスナ、ちょお落ち着こな?」
「そうですよ、そう頭ごなしに否定しては・・・」
コノカとセツナに肩を掴まれるも、いっこうに勢いの落ちないアスナ。
あまりの罵声に、ネギ少年も困り顔から怒り顔にシフトしてきた。怒るのは勝手だが、原因はキミだよ、わかってる?
――――と、ヒートアップしてネギに近づいたアスナの髪の毛が、眼鏡の掛かった小さな鼻をくすぐるのが見えた。
―――――――そのときはまだ、このガキの恐ろしさを、俺達は知らなかったんだ。
「はっ・・・、はぁっ・・・」
ネギの鼻腔は刺激を受け―――――――
「――――はくちんっ!!」
――――――瞬間、魔力がその場を渦巻いた。
暴走を起こしたその噴流は、少年を掴みあげていたアスナ、そのアスナを宥めていたコノカとセツナの制服を、下着を残し、すべて塵と化した――――――
「「「「・・・・へ?」」」」
――――――何が起きたのか、一番早く理解できたのは、俺だった。
「―――――見るなあああああああああぁ!!!!!!!」
「ひぎゃあ!?眼がああああああ!!?」
光の速さでネギに眼つぶしを喰らわせる!
ガキが悶絶しているが無視!瞬時にコートと制服の上着、Yシャツを脱ぐ!
コートをコノカに!!
上着をセツナに!!
Yシャツをアスナに!!
「あ、ありがとお、総統・・・」
「た、たすかりました・・・」
「・・・・な、なんなのよコレはああああああ!?」
・・・・なんとか、コイツらの痴態を曝さずに済んだか。俺もTシャツ着てるし。
幸いなことに、今は通学ラッシュを過ぎた時間帯。周囲に人影らしきものは無かった。
高畑さんは・・・・、そっぽ向いてるな、アンタ紳士だよ。
「え、あ、あの、・・・ご、ごめんなさい!わ、ワザとじゃなんです!!」
・・・・このガキャァ、ウチの構成員をキズモノにする気かテメェ・・・。
――――――これが、【英雄の息子】ネギと俺達の初邂逅だった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ついにネギ来日。いったいどうなるミサトの平和!?
ネギ着任の日を間違えました、修正します。