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No.15153の一覧
[0] BROKEN GLASS DEADMAN(ワンピース)[マタンゴ](2009/12/29 04:18)
[1] 父さん母さん[マタンゴ](2010/01/02 06:13)
[2] 家出娘は行き倒れ[マタンゴ](2010/01/23 01:44)
[3] お姫さまは攫われました[マタンゴ](2010/01/28 05:13)
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[15153] BROKEN GLASS DEADMAN(ワンピース)
Name: マタンゴ◆afcf4300 ID:ea6e1754 次を表示する
Date: 2009/12/29 04:18

 ある日のことだった。

 俺が馴染みの本屋に向かっている途中、交差点のところで信号無視したトラックが突っ込んできた。

 俺は死んだ。スイーツ(笑)。

 って感じでおっ死んだ俺だったのだが、ふと気付くとふわふわとした浮遊感に包まれて目を閉じていた。

 手で探ってみると、俺はどうやら狭く柔らかい何かの中で丸くなっているようだった。液体のようなものにも全身包まれているようだ。なぜ窒息しないのだろうか。

 ぬるま湯のような温かさが、見えやしないが何となく心もとない四肢に心地いい。

(何コレ?)

 なんて思わないでもなかったのだが、どうにもこうにも気持ちいい湯加減だったので、ついついゴロゴロ寝返りをうったり、壁の一部分に小さく開いた穴のようなところに指を引っ掛けてカリカリ弄ったりして遊んでいた。こうすると俺を包む何かが変に動いて面白いのである。

 目を開けても真っ暗で何も見えなかったため、どれくらいの時間をそうして無為に過ごしていたかはわからない。

 俺を包む柔らかい何かを突き破って外に出ようとも考えたのだが、俺の中の何かが「それだけはしてはいけない」という警鐘を鳴らしていたために中止した。

 現状に疑念を抱いてもいたのだが、この俺を包む容器の外の情報が何も入ってこない以上、何を考えても妄想と大差無いのでやめた。

 ……そう、何を考えても妄想と大差無いのだ。だから「もしかして」という仮説が一つあるにせよ、確証なんてないのだから詮無い話だ。

 さて、そうして怠惰に温かい液体に包まれながら例の穴をカリカリ弄って遊び暮らしていると、俺ガ覚醒してからどれくらいの時間が経った頃なのか、ふと俺が包まれた容器全体が大きく脈動した。

 正直に言おう。「来たな」と思った。

 容器が忙しなく脈動し続け、それからしばらく経ったところで、容器全体が握り潰されるように下方から収縮し始めた。俺の体はそれに押し上げられて例の小さな穴へと向かい、頭蓋を使って無理やりそれを抉じ開けていく。

 穴を通過した頭が外気に触れた所で、俺はしわがれた大きな手に一気に取り上げられた。

 久々に感じる外気が冷たい。頭皮が縮んで突っ張るような感じがする。

「おめでたいねぇ」

 嬉しそうな枯れた声。

 あんまり馬鹿らしいから否定してた仮説だったんだけどなー……。

「玉のような男の子だよ」

 俺、赤ん坊かぁ。










 まー、何はともあれ俺は死んで赤ん坊に生まれ変わったわけだ。

 前世の記憶は勿論ある。こうして知性を持って周囲を観察できるわけだしな。

 でもなぁ、今生の人生にそれを引き摺っていくっていうのもなー……。特に面白みも無い人生だったし。

「あー、うー」

「きゃあ、どうしましょう! 私の子供超可愛いわあ!」

 ありがとう母さん。母さんこそ超可愛いです。

 確か十七だったっけ、母さん。早くね?

 早すぎるだろ、と。どんな性の乱れだよ、と。

 そしてこの金髪美少女をこましたクソ野郎は当然の如く俺の父親なんだが、周囲の話を聞くに母さんの妊娠が発覚する前に母さんを捨てて海に旅立ったそうだ。

 とんだクソ野郎である。

 ともあれ、俺は十七の女の子の息子として生まれたわけだ。

 常識的に考えれば俺の存在は彼女にとって重石でしかない。だが、母さんは俺を溺愛してくれている。

 父親はクソ野郎だが、母親は聖女だ。

 これが俺が生まれ変わってから初めて抱いたこの人生に対する印象だった。

「こっち来てー、こっち向いてー」

「あーうー、ハーイ」

 イクラサービスである。

「かーわーいーいー!」

 抱かれて頬ずりされた。金髪美少女にそんなことをされれば俺だって嬉しい。母さんの腕の中で小躍りもするだろう。そしてその際に彼女の乳房に手がズニッと埋もれたとしても、そりゃしょうがないことなのですよ。

 あー、早く昼飯の時間になんねーかなー……。

「あ、そうだ! ねぇ見て、今日はいいものを買ってきたのよ」

 へぇ、なんですか母さん。

「じゃーん、カツラー!」

 マジかよ。

 カールのかかった女物のカツラだ。一言で言えば、その髪型と色はお蝶夫人。

 かぽっと装着。

「かーわーいーいー!」

 再び抱擁。うむむ、この感触は何度でもウェルカムなんだが、まさか一歳にして女装を体験することになるとは。

 そうそう、誤解無きように言っておくが、今の俺を見て「可愛い」と評する人間は母さん以外にいないだろうと思われる。女装が似合うような外見は、俺はしていない。

 顔面崩壊と評されるほどの不細工だって、赤ん坊のころは可愛い。それはこの世の真理である。

 だというのに、俺はギョロ目と人より少し長い舌のせいで可愛いとは言い難い顔立ちだと思う。一歳児なのに。

 まぁしょうがないことかもしれんな。将来のことを考えたら。

「あ、お昼の時間だわ。ベラミー、何食べたい?」

「おっぱい」

 ボソッと言ってみた。

「……え?」

 現状を理解しきれていない顔の母さん。

「あーうー」

「かわいいいいいい!」

 かわいいいいいい! この母さん超かわいいいいいい!

 簡単に誤魔化されちゃうあたりがたまんない。もうたまんない。畜生クソ親父ぶっ殺してやる。とっ捕まえてカームベルトに放り込んでやる。

 俺のリクエストに答えて服をたくし上げる母さん。俺が入っていたとはどうにも思えないほどほっそりとした腰、可愛らしいへそ、豊かな乳房が徐々に露になっていく。

 だがこれ以上は描写しない。断固として描写しない。俺以外で母さんの裸を見た奴は皆死ねばいい。隕石カモン。主に親父の頭上にカモン。

「さ、いっぱい飲んでね」

「ゴチです」

「……え?」

 ヤベ、つい。

「バーブー」

「かわいいいいいい!」










 さてと、どうにもグダグダするからさっさと説明させてもらおう。

 ベラミー、カームベルト。

 この二つの単語で連想されるのは、まあ大概がワンピースという漫画だろう。ライトな漫画読みだとどっちも覚えていないかもしれないが。

 何故かはさっぱり分からないのだが、死んだ俺が生まれ変わったのは現世ではなく現世に存在した漫画、ワンピースの中の世界のようだ。

 重ねて言うが、理由は分からない。考えても無駄だ。俺は漫画というものは空想の産物だと思っていたのだが、来てしまったからには実在したのだと思うしかない。

 そう言えば、世のクリエイターというものは一種の超能力者なのだという説を聞いたことがある。別の世界を超能力で覗き見て、それを自分が創り出した空想だと錯覚してしまうという話だったか。

 三文小説のネタにもなりゃしないが、こうしてふと思う分にはあながちただの妄想話でもないのかもしれない。

 とにかく、そういうわけで俺はワンピースの世界に来たわけだ。

 ベラミーとして。

 ベラミーとして。

 大事な事なので二回言いました。本当に大事なのでもう一度言おうと思います。

 ベラミーとして。

 ワンピース全編通しても中々いないほどのかませっぷりを発揮したあのベラミーである。

 こめかみに拳骨めり込ませてダウンしたベラミーである。

 フラミンゴだかフラメンコだかにアッサリ殺られたベラミーである。

 かませである。

 ……まぁ、ベラミー編は読者視点で見ればこそベラミー勢が滑稽な身の程知らずに見えてしまうが、ベラミー側から見れば天狗だった鼻っ柱をブチ折られた上に死亡フラグまで立ててしまった悲劇なわけだ。

 それが俺に降り掛かるのかと思うと恐ろしくてしょうがない。こめかみにあんな小粋なアクセント加えられたくない。なんだよあの拳骨トレンド。

 今は母さんと一緒に暮らしているが、おそらくあと二十年もすれば俺は海に出ることになるだろう。

 この世界に生まれたのなら、どうしてもやりたいことが一つある。

 ベラミーは巨躯の持ち主だ。鍛えれば相当な強さになるだろう。どこで見つけるのかはしらないが、微妙と名高いバネバネの実の能力もある。まず鍛えて弱いことはないはずである。

 俺の目的を達成するには、まず第一に強くあること、そして海へと出ることだ。

 しかるべき時に、持てる限りの力を尽くして『そこ』へ行く。

 ……正直に言えば、俺はこの先あまり苦悩はしないだろうと思う。

 母さんには少し悪い気もするが、俺はこの世界に来たこと、前世で死んだことを感謝している。

 生きながら死んでいるとでも表現すべき毎日の末路は、空想の世界への扉だったわけだ。

 この人生は失敗しない。俺の未来はバラ色だ。

 成り上がってみせる。地位や名誉の話じゃない、人間としてのランクの話。

「おいしそうに飲むのねぇ」

 ……やっぱり乳吸ってる最中じゃ締まらねーなー。










 
 初投稿というわけではないが、最近ワンピースにはまっているのでベラミー憑依物を書こうと思った。

 ちょっと後悔しないでもない。題名は好きな音楽をちょっと変えて適当に。

 そんなこんなでよろしくお願いします。


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