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No.1466の一覧
[0] アーチェリア・デイズ[光明寺](2007/02/21 08:57)
[1] アーチェリア・デイズ 第1話【転校初日とは濃いものなのか?】[光明寺](2007/02/21 09:16)
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[1466] アーチェリア・デイズ
Name: 光明寺 次を表示する
Date: 2007/02/21 08:57
 俺、小鳥遊憐はついに自由を手にした!!
どういう自由を手にしたかって?それは…。
まぁ、後々わかるだろうから、今はそっとしておいてくれ……つらいから。
あ。ちなみに小鳥遊(たかなし)憐(れん)だ。
~第0話【"しょうちょうゆう"ではなく、また"ことりあそび"でもなく、"たかなし"だ!】~
 ガタンゴトン……ガタンゴトン……――――


 電車が揺れるたびに横のおっさんに腕が触れる。
うがぁ……気持ち悪りぃ~おっさんの脂っぽい肌はマジで嫌だ!
ん?なんでそんなおっさんとくっ付きあってるかというとだな……俺の乗ってる電車が飽和状態だからだ。
つまり、満員電車ってことだ。あぁ…やっぱ時間帯が悪かったかな。
夕方の帰りのラッシュに巻き込まれてる俺…初日から最悪だな。
ギュウギュウの電車に乗ること10分、急に進行方向への重力感、慣性の法則が俺を襲う。

「…うぉ………止まった?」

 俺が呟き終わるのとほぼ同時に周りがザワザワし始める。

「何?なんで止まったの?」
「人身事故とかじゃねぇの?」
「遅れる~」

 と、色々聞こえてくる。……ん?
放送のノイズが聞こえる。さぁ説明してもらおうじゃないか!事故か?信号待ちか?それとも……。

「只今、玉城駅構内にて線路に人が立ち入ったとのことで安全確認のため停車しております。只今、玉城駅……」

 立ち入ったってことは、事故じゃないということな。自殺でもしようとしたのか……人騒がせな奴だ。自殺するなら、人に迷惑をかけないようにしろよな。
うぅ……それにしても、暑い!暑い!暑すぎぃ!!
満員電車の中はもう30度くらいに達してるんじゃないかというくらいに感じてしまいそうな暑さだ。
隣のおっさんなんか汗ダラダラだぞ?
俺だって、もうそろそろ汗が噴出しそうな感じがする。
うわっ!?くっつくな、おっさん!って……!?


サワサワ。


 どこ触ってんだ!!


サワサワサワ……。


 ひぃぃぃ、おっさんの脂ぎった手が俺のヒップにお尻に!!
どーする俺?…おっさんに怒鳴るか?
てことは、男の俺がおっさんに痴漢にあったという不名誉な出来事が周りに知られてしまう…。
うん、それだけは避けなければ!!
でも、気持ち悪りぃよー、このおっさんの手の動かし方が!
早く、解放されたい……でも、こんな不名誉なことは知られたくない!
俺の脳内は同道巡りしまくった……だが、結果は出ない。
 どーしよー!!!!!!!!!!!!
「ちょっと、そこのおじさん、何してんのよ!」

 突然、高い声が上がった。俺が声をしたほうを見ると、そこには………………天使がいた。
ちょっとそこの読者!天使って言うのは、あくまでも誇張だからな!
なんせコレは現代系であって、ファンタジー系じゃない!!
まぁ、御託は置いといて、声がしたほうにはキュートな天使がいた。

「この痴漢!そこの女の子から手を放しなさいよ!!」
 え?女の子??
 ……またか。またなのか……そうだよな。
じゃないと、このおっさんも俺には手を出さないわな。
ここで説明しとくと、なんか俺を容姿が女の子っぽく見られることが多い。
格好しだいでは、マジで女の子なんだそうだ……コレは前の学校の奴が言っていたことだ。
ついでのついでに説明すると、『前の学校』っていうのは、俺は明日から違う学校に通うからだ。
んで、転校ついでに一人暮らしをするってわけだ。
つーことで、冒頭で俺が言っていたことがわかっただろ?自由の意味がさ。


 ……現実に戻ってみると、「わ、わしは別に痴漢なんか……」と口ごもりながら、おっさんは手を上げていた。
ついでに電車も動き出していた。

「そんな言い訳通用しないわよ!そこの女の子に聞けば、アンタの犯行は明白なんだから!!」

(な、何!?女の子に聞くだぁ!?ど、どこの女の子に聞くつもりなんだよっ!!ここには純度100%の男の子しかいないっちゅーねん!!)

 心の中でツッコミつつも、俺はどうしようかと考えていた。
い、いっそのこと、もう「俺は男だぁ!!!!!!!」って、叫ぶか?
……いや、それもヤバイ気がする。
んん、このまま女の子の振りをし続けるっていう手もありか……。
先程と同様に脳内が堂々巡りしていると、また進行方向への重力感を感じた。
と、いっても先程とは違って急ではなかった。
どうやら、もうすぐ駅に着くみたいだ。
……ん?駅……玉城駅!そうか!!
駅に着いたら、速攻で電車から逃げよう。幸いにも扉は近くだ。
うん、それがいい。今日のことは闇に葬り去ろう。どうせこのおっさんには、もう会わないだろうし……でも、天使改め、俺のために口論している女の子にもう会えないのはなんか勿体無いな。
……で、でも、俺の不名誉な「男が痴漢に遭った」ということを葬り去るためには仕方が無いか。

「ねぇ、ちょっと!アナタもこの女の敵を…………え?」

 ばれないように俯いて逃げる準備をしていたのに、おっさんと口論していた女の子に急に顔を覗き込まれた。

(や、やばい!!ばれ…………)

プシュゥゥゥゥ。

 その瞬間、電車が完璧に駅に着いて、扉が開いた。それに気づいた瞬間に俺は走り出していた。
一気に階段を下って、改札口を抜けて、駅のトイレに入った。

「はぁはぁ……なんか俺が痴漢したみたい」

 息を整えて、トイレから出たあと、俺はある場所へと向かった。
地図を頼って、駅から1時間、やっと目的の場所に着いた。
駅からの直線距離にして2kmくらいしかないけどね。


 で、そのある場所=目的地は、桜花荘というところだ。
そう、今日から俺が住む場所だ!
思っていたよりもキレイなところだった。
まぁ、桜花荘の向かい側にある貸家のボロさがキレイさ引き立てているのかもしれないけど。
桜花荘の向かい側にも貸家があった。
その名も『ほうれん荘』!!!
嗚呼……両親よ、早まったことをしてくれなくて、ありがとう!
両親に言われのない感謝をしつつ、桜花荘の敷地内に入った。
すると、入ったところのすぐわきに咲いている花に水をやっている女性の人がいた。

「どちら様ですか?」

 見知らない部外者である俺が敷地内に入ったので、すぐに声をかけられた。

「あ、あの……小鳥遊と言います、今日からお世話になるはずの」

すると、女性の人は優しく微笑んだ。

「あぁ……貴方が!遅かったから心配してたんですよ……私はここの大家の眞鍋といいます。宜しくお願いしますね」
「あ。大家さんでしたか……今日から、お世話になります!それと、遅れてしまって、すみませんでした」

 人の良さそうな大家さんで良かった。
これなら、上手く付き合っていけそうだ。
幸先の悪かった電車内を忘れ、俺はこれからの一人暮らしに安堵を覚えていた。

「では、部屋に案内しますね」
「はい、お願いします」

 そして、俺は部屋に案内された。
桜花荘は1階建てで部屋は全部で8つくらいあった。
俺の部屋は右から三番目の部屋だった。

「荷物は運んでおきましたから。何か困ったことがあったら、裏手の屋敷に来てくださいね」
「はい、ありがとうございました」

 大家さんに別れを告げて、俺は部屋に入った。
中もここの外観と同じくキレイだった。
俺はダンボールで溢れた部屋の真ん中に腰をつけた。

「はぁぁ……ついに俺の……俺だけの生活が始まるんだ!」

 グゥゥゥゥ~~~。
俺の決起をはぐらかすようなタイミングでお腹が鳴る。
そういえば、もうそろそろ夕食時だな。
てか、何もないよな……買いに行くか。
幸いにして、徒歩5分くらいで行けるところにコンビニがあったのを確認しておいて良かった。
俺はポケットの財布を再確認して、腰を上げた。
そして、部屋を見回して、思った。

(メシを食ったら、とりあえずは荷物の片づけから始めないといけないな)


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