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No.14611の一覧
[0] 八神家のそよかぜ【完結済・おまけ投稿】[dragonfly](2011/12/25 02:18)
[1] #1  それは少女たちの出会いなの[dragonfly](2011/12/14 10:34)
[2] #2  名前の意味はそよ風なの[dragonfly](2011/12/14 10:38)
[3] #3  それぞれの胸の光なの[dragonfly](2011/12/14 10:38)
[4] #4  それは早かりし目覚めなの?[dragonfly](2011/12/14 10:38)
[5] #5  わかりきれない気持ちなの?[dragonfly](2011/12/14 10:39)
[6] #5.5 Nain to Boin[おまけ][dragonfly](2013/03/31 13:50)
[7] #6  はじまりは突然になの[dragonfly](2011/12/14 10:38)
[8] #7  街は【瞳】でいっぱいなの?[dragonfly](2011/11/08 09:20)
[9] #7.5 シネマ・アレスタ[突発おまけ][dragonfly](2011/12/14 10:37)
[10] #8  新たなる力、浮上なの?[dragonfly](2011/12/14 10:37)
[11] #9  脅威は追憶の彼方からなの[dragonfly](2013/03/31 13:24)
[12] #10 未完の遺物と現在となの[dragonfly](2013/03/31 13:23)
[13] #11 秘めた決意、隠れた選択なの[dragonfly](2011/12/14 10:36)
[14] #11.5 静夜の捧げ物[IF][dragonfly](2010/02/04 11:30)
[15] #12 それは小さな出会いなの(前編)[dragonfly](2010/04/01 07:23)
[16] #13 それは小さな出会いなの(後編)[dragonfly](2010/06/24 12:21)
[17] #14 招待、そして謝罪なの[dragonfly](2011/12/14 10:35)
[18] #15 なまえをよんで[dragonfly](2011/12/14 10:35)
[19] #16 繕われた過去と現在となの[dragonfly](2010/07/30 09:41)
[20] #17 ここは湯のまち、海鳴温泉なの?[dragonfly](2011/12/14 10:34)
[21] #18 決戦は海の中でなの[dragonfly](2013/03/31 13:39)
[22] #19 夜の終わり、旅の終わり[dragonfly](2011/03/16 05:50)
[23] #19.5 使命の理由[dragonfly](2010/02/04 11:34)
[24] #19.8 集結?[突発おまけ][dragonfly](2010/06/24 12:30)
[25] #20 その日、時空管理局本局[おまけ][dragonfly](2010/06/24 12:29)
[26] 【ネタ】グレアム家の旋風[dragonfly](2010/06/24 12:29)
[27] #66-1 ファースト・ビジット[dragonfly](2010/01/31 19:10)
[28] #66-2 特遮二課[dragonfly](2010/06/24 12:28)
[29] #66-3 Master&Pupil[dragonfly](2010/07/30 09:37)
[30] #66-4 Sisters&Parents[dragonfly](2010/06/24 12:27)
[31] #67-1 魔法の呪文はじゃんけんなの?[dragonfly](2010/06/24 12:26)
[32] #67-2 その日、聖王医療院[dragonfly](2011/03/16 05:44)
[33] #67-3 八神あゆのある1日(前編)[dragonfly](2010/06/24 12:25)
[34] #67-4 八神あゆのある1日(後編)[dragonfly](2010/07/30 09:36)
[35] #67-4.5 ターニング・ポイント[dragonfly](2010/07/30 09:47)
[36] #67-5 管理局は危険がいっぱいなの?[dragonfly](2011/03/16 05:49)
[37] #67-5.5[IF]それは不可思議な出会いなの?[dragonfly](2010/06/24 12:35)
[38] #68-1 バレンタイン・デイ[dragonfly](2011/03/16 05:46)
[39] #68-1.5 泣いた赤鬼、ふたたびなの[dragonfly](2010/02/24 10:52)
[40] #68-2 それは小さな願いなの[dragonfly](2010/02/10 08:54)
[41] #68-2.5 その日、テスタロッサ邸[dragonfly](2010/07/09 12:33)
[42] #68-3 新たなる力、起床なの![dragonfly](2020/08/25 05:09)
[43] #68-3.4 [IF]第101監視世界の「うだるような暑い」一日【ネタ】[dragonfly](2011/12/14 10:39)
[44] #68-3.5[IF]三人目の使い魔なの!?【ネタ】[dragonfly](2010/06/24 12:20)
[45] #68-4 ファミリーズ[dragonfly](2010/07/09 12:28)
[46] #68-4.5 夜の終わり、夢の終わり【ネタ】[dragonfly](2010/07/30 09:38)
[47] #68-5 涙、ふたりで[dragonfly](2010/07/30 09:40)
[48] #69-1 Book's Strike[dragonfly](2010/07/22 05:00)
[49] #69-2 それは大いなる危機なの?[dragonfly](2010/07/30 09:35)
[50] #69-3 なまえをつけて[dragonfly](2010/07/09 12:27)
[51] #69-4 サモナーズ[dragonfly](2010/07/09 12:27)
[52] #70-1 約束の時へ[dragonfly](2020/09/08 21:26)
[53] #71-1[IF]祝福が芽吹くときなの【ネタ】[dragonfly](2011/10/12 09:59)
[54] #71-2[IF]無限の志望【ネタ】[dragonfly](2011/09/28 10:12)
[55] #71-3[IF]虚空からの翼[dragonfly](2011/08/31 12:26)
[56] #71-4[IF] 千尋の谷へ[dragonfly](2011/08/31 12:25)
[57] #72-1 スタンバイ・レディ[dragonfly](2010/07/30 09:40)
[58] #74-1[IF]Sisters&Sisters【ネタ】[dragonfly](2011/07/27 09:32)
[59] #74-2[IF]ファースト・え~ど【ネタ】[dragonfly](2011/05/25 08:22)
[60] #75-2 機動六課のある試験日[dragonfly](2010/03/06 11:04)
[61] #76-1[IF]ここはゆりかご、発掘前線なの【ネタ】[dragonfly](2010/09/18 08:32)
[62] #76-2 炎と氷[dragonfly](2012/08/21 21:33)
[63] #77-1 それは小さな始まりなの[dragonfly](2010/06/24 12:22)
[64] #78-1[IF]スタンバイ・レティ【ネタ】[dragonfly](2010/10/15 09:30)
[65] #78-2 [IF]タリーア!?もうひとりのベルカ王なの![dragonfly](2011/04/01 10:59)
[66] #78-3 魔法の呪文は250万Kなの?[dragonfly](2011/11/08 09:20)
[67] #78-4 [IF]機動六課のある出動【ネタ】[dragonfly](2011/03/16 05:48)
[68] #79-0.1[IF]アナレタ!?もうひとつの魔法術式なの!【ネタ】[dragonfly](2011/03/16 05:46)
[69] #79-0.2[IF]その月、軌道砲架【ネタ】[dragonfly](2010/08/30 10:39)
[70] #79-0.5[IF]それは武式な出会いなの[dragonfly](2011/08/31 12:25)
[71] #79-1 集結[IF][dragonfly](2010/02/26 10:06)
[72] #79-2[IF]それは覆いある利器なの【ネタ】 おまけのおまけ加筆[dragonfly](2012/02/14 20:48)
[73] #84-1[IF]街はなのはがいっぱいなの【ネタ】[dragonfly](2011/10/12 09:56)
[74] #79-ex [IF]思い出は時の彼方なの(前編)[dragonfly](2012/02/14 20:45)
[75] #79-ex [IF]思い出は時の彼方なの(後編)[dragonfly](2012/02/14 20:46)
[77] エイプリルフール冗談企画[dragonfly](2013/04/01 00:00)
[78] 母の日企画[dragonfly](2013/05/12 11:11)
[79] 独自設定、オリジナル解釈、お遊び設定等【本編補完資料】[dragonfly](2012/08/21 21:32)
[80] 七夕企画 #18 決戦は天の川でなの【ルート分岐】[dragonfly](2013/07/07 11:27)
[81] あゆの騎士服[dragonfly](2020/09/08 21:30)
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[14611] #79-ex [IF]思い出は時の彼方なの(後編)
Name: dragonfly◆23bee39b ID:309fc8f8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/02/14 20:46




 ≪ Eisvogel ≫

急降下爆撃さながらの勢いで、シグナム姉様!

さては、次元跳躍で距離を詰めて来ましたね。

まさしく星火燎原。
充分な空間情報を得られるのなら、烈火の将の前に、距離や障害は意味を成さない。……のでしょうが、

「なにっ!」

驚かれるのも、無理はありません。

「マリア、良く防ぎました。上出来です」

その突撃を阻んだのが、紙切れ一枚から組み上げられたカメさんとなれば。

「折り紙だと!?」

「直援の使機紙、【ガーディアン カートリッジ】なのです」

あるいは、紙吹雪の騎紙、【コンフェッティリッター】

「そのコは特に防禦に秀でた、【折り亀型】のマリアちゃん。なのです。
 八神・W・シグナム。
 たとえ貴女でも、「ついで」の攻撃では、墜とせやしませんよ」

勿論ハッタリです。

シグナム姉様の目的は「小さな融合騎の身柄」だったでしょう。

でなければ、5体中で最高の防御力を誇るとは云え、所詮は一遠隔操作機に過ぎないマリアがその攻撃に耐えられたワケ、ないのですから。


「ふふっ」

そうして得られた時間的空白を利用して、城砦のように押し建てるのは、空間モニター。ずらりと。

「よく撮れてます」

そこには【シグナム姉様がカートリッジロードしてから、別次元に潜る迄】が、連続したスチルショットとして表示されています。


先程、魔力素を視てシグナム姉様達の動向を探ったように見えたでしょうが、それは叙述トリックというモノです。

戦闘機人化に伴っての魔力量増大は微々たるもので、探知範囲は2倍にしか増えませんでした。

2倍と云うと凄いように聴こえますが、「距離が2倍」では無くて、「体積が2倍」なので推して知るべし、なのです。

まあ、仮に半径4メートルの球体の「体積が2倍」になったとして、その「半径」がどれだけ増えたか、計算してみてください。立方根は習いましたね? 勿論、「2倍で半径8メートル」ではありませんよ。

ここ、重要です。

テストに出しますよ。


と云うワケで実際には、マリアージュ達――視神経だけが生き残っていたような残骸も含みます――からの報告を基にガーディアン カートリッジの一体、【折り鶴型】の「ファリス」に斥候させたダケ。なのです。

「駒鳥のコマ撮り。なのです。
 可愛らしいこと」

くすくすと嗤いながらシグナム姉様を小鳥扱いするのは、牽制と挑発と、なによりも相手を呑んでかかるための、云わば自己暗示。なのです。

……そうして、密かに合図を送ります。

「居直り強盗に要らぬチョッカイを掛けたらどうなるか、どうやら実地でお教えしてあげたほうが宜しいようで。なのです」


 『……きゃっ!』

さて、シグナム姉様達をマークしていた【折り鶴型】のファリスが、次に何をしていたか。

「なんや? ……シャマル!? どないしたん?」

その成果が、シャマル姉様の位置特定。なのです。



トランプには、ジョーカーが2枚。入ってますよね?

つまり「切り札は2枚用意しておけ」と云う先人達からの教訓なのです。


 『桃花舞い散る銃剣撃――
  おなかいっぱい、ご馳走しますっ!』


嘘です。
ただの、予備ですよね。

でも、もしものための切り札がもう1枚在ったのは、事実。

周囲を徒に巻き込みかねない物騒な時間転送の、やたらと魔力を使うシミュレーションを何度も繰り返してたお姉さんに声をかけた、結果。なのです。


 『……そん、なっ』

「シャマルっ! シャマルっ!? 応答しぃ!」

 『やっぱりわたし、無敵でステキ♪』


そうして、もう1面。

折り鶴から送られてきた映像を、空間モニターに繋ぎます。

「シャマル!!」

「……あれは、 誰だ?」

『ふふん♪
 エルトリアの「ギアーズ」キリエ・フローリアン。よ~ろしくねっ♪』

ザフィーラ兄様の疑問に、律儀に自己紹介して下さりやがりました。

「キリエ。
 そのお方に傷ひとつ、ないでしょうね?」

『あら~? ごめ~んなさ~いねー。
 ちょっと斬らせて貰っちゃった♪』

なん……だと……。と、睨みつけたくなるのを堪えます。

彼女は部下でも仲間でもない単なる協力者ですし、たかだか自動作業機械に過ぎない「ギアーズ」では、闇討ちでもしないとシャマル姉様には勝てないでしょう。
手加減なんて以ての外、なのですね。

『だって、この緑のお姉さん。
 治癒術師は戦闘力弱めって、いろんな世界のスタンダード、無視してくれちゃってるんだもの』

全く悪びれない様子に思わず、【折り鶴】を【手裏剣】に折り換えたくなりましたが、我慢です。忍耐は得意ですとも、ええ。

「まあ、でも。このわたしにかかればチョチョイのチョイ。
 K・B・V!
 キリエ・ビューティフル・ビクトリ~♪」

出身世界は明かすは、本名は名乗るは、かなり迂闊な異世界の復旧機材ですが。と云うのは言わぬが花。ですね。

「致し方ありませんか。
 では、その方を出来るだけ遠い世界に、飽くまでもご丁重に」

『それはいいけど~、本当にシステムU-Dについて教えてくれるんでしょうね?』

 「システムU-D? ……って、なんや?」

……本当にっ! 迂闊な方です……

「この名に懸けて、嘘は申しません」

偽名。なのですけどね。

『判ったわ。それじゃあ、
 キリエ・エレガント・エスケープッ!
 K・E・Eッ!』

逃げ足だけは、一流ですね。


それにしても、本当に迂闊な方です。

まあ、システムU-Dについて知っていることをお話しするくらい、わけはありませんが。

「あゆ! 今すぐシャマルを返しぃ。
 それに、システムU-Dってなんや?」


――

なぎが虚数空間を渡れることを知って、初めて頼んだのが【闇の書】の消息を追わせること。でした。

その結果……、

案の定【闇の書】は、魔力障壁を巧みに調整して、虚数空間で耐えてました。

消耗しきって、崩壊寸前だったそれを――反魔力素を操れる――レリックを使って確保したのは、割と前の話になります。


そうして判明したのは、【闇の書】が抱えていた【闇の書の闇】。さらにそのコアとでも云うべき部分が、システムU-D ――砕け得ぬ闇――と呼ばれるモノだったことです。


話は棒高跳びしますが、なぜ【夜天の魔導書】が【闇の書】になったのか、その明確な原因を、古代ベルカに造詣の深いドクターが教えてくれました。

 ――「政争の具にされたのさ。タカ派とハト派のね。
    ハト派の領袖だった当時の【夜天の主】は、その魔導書に細工を施されたんだよ。
    敵対勢力との調停の場で発動するよう仕組まれた、【砕け得ぬ闇】をね」――

そうして、永き混迷のベルカ戦役が始まったのだそうです。


さて、……では。つまりは、知らぬ間に自爆テロ用の爆発物に仕立て上げられてしまった【夜天の魔導書】に、一体どんな細工がなされたのか。

魔導士であり、自爆テロ要員だった此の身には判ってしまいました。


【砕け得ぬ闇】

それは、魔力を際限なく喰らっていく、云わば【魔導のブラックホール】なのです。

ブラックホールは、その名称とは裏腹に、とても明るい天体です。ネオンサイン瞬く、宇宙の繁華街。なのです。
呑まれる直前の物質が、周囲で盛大に崩壊しますから。

それと同じで、【砕け得ぬ闇】も魔法を使って周囲を、無差別に攻撃します。より多くの魔力を手に入れるために。

云わば、魔法のホーキング輻射。でしょうか?


そうして魔力をただただ溜め込んでいく……、

あれは、稼動させたが最後、2度と止められぬ闇の永久機関。でした。

それに、キリエさんの欲していたエグザミア【永遠結晶】とは、ブラックホールに於ける特異点のようなもので、システムU-Dの外に出すこと自体が不可能事でしょう。

絶対に溶融しないからこそ、【永遠結晶】なのです。

当然、システムU-Dを使って、エルトリアの死蝕を止めるのはムリ。なのです。

そのことも、きちんとキリエさんには伝わるようにしておかねば。



ああ、もちろん。エルトリアを襲っている死蝕とやらについても、見当がついてます。

あれは、おそらく大地や植物から魔力素を奪いすぎたのです。

生命維持に問題がないのに、その空間では生き長らえない。
それは、其処に――命にとって必要不可欠な――魔力素が莫いから。なのです。

水が少ない、あるいは莫いのが沙漠です。生存には、あまり適してませんよね?

魔力素が少ない。あるいは莫いのが死蝕。なのです。やはり生存に適してません。


魔力素を直に視れる此の身だから、よく判ります。


……そうですね。
――どうすれば大地に魔力素を還せるのか―― そのことも、きちんとキリエさんに伝わるようにしておかねば、なりませんね。


何と言ってもキリエさんは、【姉たる戦闘機人達に敵わない妹】と知って、「お姉ちゃんは妹に勝てないって事、教えてあげる」と励まして、下さいましたから。


                            ――

「……」

余談が過ぎた。なのです。


「あゆ! もう1度言うで、
 今すぐツヴァイとシャマルを返しぃ。
 それに、システムU-Dってなんなん? 正直に答ぇ」

「八神捜査官は、どうやら御立場を理解されてない御様子。なのです」

ちらり。と目配せするまでもなく、なぎの左掌に【折り蛇型】ガーディアンカートリッジ。

「えっ?」

驚いたのではなく、状況が呑み込めてない表情で声を上げたのは、狙われた当の小さな融合騎。

「フリーズ!」

制止しようと声を上げかけた面々を、黙らせます。

「同じことを、3度は言わせないで下さい。なのです」

舌っ足らずだったときの名残。なのでしょうか?
同じ言葉を何回も繰り返すと舌下神経が摩滅するような気がして、落ち着かないのです。

それが、お姉ちゃん達に対する仕打ちとなれば猶のこと。


ああ、シュークリーム分が足りない! なのです。

こんな時は、サービス残業に勤しんでいる自分への御褒美として、翠屋のシュークリームを食べるべきです。……じゅるり。

海鳴市はおろか、第97管理外世界にだって行けない身の上、なのですけれども。


「次は、こんなモノでは済みませんよ」

指し示した先では、ヘビの舌先でくすぐられた融合騎がそりゃもう凄いことになってますが……。 まあ、ご想像にお任せします。


「では、八神捜査官、E-SWATの皆様方。
 この先、指一本でも動かせばどうなるか、態々説明させないようにして下さいね」

続けて、

「ドクターも。
 この足の下に、貴方の可愛い可愛い芸術品が1体、組み敷かれていることを努々お忘れなきよう」

ドクターの方に視線なんか遣りません。

【折り猫型】ガーディアンカートリッジが、睨みを効かせて呉れてますしね。

「一応言っておきますが、
 レリックからのエナジー供給の無い戦闘機人の装甲くらいは一撃でクリアー。なのですよ。
 これでも戦闘機人の端くれ、なので」

第一、どうせ視界に収めるなら、お姉ちゃんのほうが断然いいに決まってます。眼福なのです。目のトク。なのです。



……

そのお姉ちゃんが……、湿ったまなじりを上げました。

 ……やっぱりお姉ちゃんは、すごい。なのです。改めて尊敬、なのです。

傷つくかもしれない誰かの為に、自ら十字架を背負える人。なのです。

自慢の、敬愛する姉なのです。大好きです。


さあ、お姉ちゃん……

「次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティ。
 犯罪者ID,GG-W-85494-D765642137443-11.
 ならびに次元間テロリスト、八がっ!……フ……ロンテラ・カデット・ロプノール!
 犯罪者ID,YA-B-173205-O548141421356-54.
 
 時空管理局法に基づき、貴方達を拘束します。
 抵抗しなければ、情状酌量の余地もある。おとなしゅう投降しなさい!」

「八神捜査官。いまの貴女にうちを捕えることは無理、なのです」

「!」

ロプノールと、偽名で呼ばれたことが哀しくてつい口走った言葉に、お姉ちゃんが反応しました。

お姉ちゃんだけが、反応しました。

大事なことなので2度、云いました。




*****





「うち……?」

家族になったばかりの少女が、聞き憶えのない言い回しに首を傾げた。

「ん、ああ。自分自身のことや。西のほうの言葉でな」

自らを指差して見せたはやては、そういえばと思いをはせる。



はやての両親が亡くなったのは3年ほど前。この海鳴市に引っ越してきて、暫くしてからのことであった。

頼るべき知己もない異郷に独り取り残されたはやては、前後して動かなくなってしまった脚のこともあり、なかば閉じ込められるようにして引き篭ってきたのだ。
会ったこともない後見人が、代理人を通じて全て取り計らってくれた。


このあたりは西の言葉になじみがないらしく、口を開くたびに注がれる好奇の視線もそれに拍車をかけただろう。

それでも、両親から受け継いだ数少ないものである。
寂しさに泣いた夜、はやては噛み締めるようにして父母の言葉を繰り返した。



「うち……か」

あらためて呟いてみると、その当時のことがありありと瞼に浮かんだ。




****




はやてが「うち」という呼び方を知ったのは、西の言葉が薄れかけた頃。
自身を「私」と、こちら風に名乗りだし始めた頃のことである。

言葉の合わぬ土地で身寄りもなしに、独りで生きていけるような、そんな子供は居ない。

せめて奇異に見られたくないと、はやての心が揺れだした。そんな時だった。

――納戸の棚の上に置かれていた手紙の束が、落ちてきたのは――


まだ慣れない電動車イスの操作を間違えなければ、脚の動かないはやてでは気付きもしなかっただろう高さの、紙箱に仕舞われていた封書の数々。

もちろん当時のはやてに、その内容が全て読めるはずもない。ひらがなとカタカナがなんとか追える程度だ。

それでも、その筆跡が母親のものだということは判ったし、それが父親に宛てられたものであろうことも解かった。

可愛らしい小さな文字はやさしくて、しかし焼き締めたかのように芯が強い。

強弱の激しい独特な筆跡は、エンピツでもボールペンでもなく、万年筆。しかもペン先は、楽譜向けのミュージック。

珍しい稲穂色のインクが、目に優しい。


その筆致に母親の面影を見出して、はやては泣いたことだろう。これまでに落とした、泪滴の数を越えて。

そうして知ったのは、母親が自身のことを本当は「うち」と呼んでいたことだった。娘の前では「お母さん」と言っていたのに。

文中の「うちはな」という言葉を母親が口にするさまを想像して、はやては頬をほころばせる。

思い出の中に居る母親らしい、やさしい音だった。


「……うちはな」

実際に口にしてみると、よく似た声音もあいまって母娘であることが胸に沁みる。


「うちはな」

これまではやては、自身のことを「はやて」と呼んでいた。幼い子供が、周囲に呼ばれるままに自身をそう呼ぶように。

しかし、それは自身を周囲から切り取る行為である。
自我を確立していく過程で必要な時期とはいえ、独りぼっちの子供には、あまりにつらい。

なにより天涯孤独になってしまったはやては、もうそう云った意味で子供ではなかった。


「うちはな、おかあちゃんと おとおちゃんのこ、やねんな」

刻み付けるようにしてその全てに目を通したはやては、その手紙たちを元通り箱に収めて、できるかぎり高い棚に戻した。


母親を偲ぶよすがではあるが、両親にとっての大切な思い出であろうそれは、そっと仕舞っておくのがよいと思ったのだろう。




そうして自身のことを「うち」と呼び始めてから、はやては少し外に出られるようになった。

却って臆さずに西の言葉を話せるようにも、なったのだ。




****




「……わたしも、うちと いったほうが よいでしょうか?」

姉妹になるのなら、共通項が多いに越したことはない。
組織に押し付けられた「わたし」という呼び方に思い入れがあるわけもなし。

「気持ちは嬉しいけど、そうするに足る充分な理由があゆの中にあるんやないなら、したらあかんで。
 自身を示す、大切な言葉なんやからな」

「はい」

自身にその、「そうするに足る充分な理由が」在るかどうかは判らない。

あゆに解かったことは、ただひとつ

はやてにとって「うち」という呼び方が大切なものだろうということだけだ。

だから、それは盗るまいと決めた。





*****





「あゆ! あんたは、もしかしてあんたは、あん時!?」

「なんのことでしょう?
 詰まらぬ言いがかりは止して下さい。なのです」

ああ、お姉ちゃん。

あの時の、たったあれだけのことを、ちゃんと憶えていてくれたんですね。

それだけで、あゆは……、うちは、 充分。なのです。



据わりきってなかった覚悟が、今、決まりました。

そうして視線の先、3オングストロームのアイコンタクト。

なぎとは、阿吽の呼吸です。

踏みつけていた足を退けると同時、空いてた左手でセインさんの延髄を掴んで引っ立てました。そのままドクターとお姉ちゃんを同時に牽制できる位置へ、跳躍。

「待って! あゆ、待ちぃ!」

「八神捜査官。貴女の指図を受ける謂れなど在りません」

嘘です。

あゆは……、うちは……、お姉ちゃんの為なら、なんでもします。ホントですよ。


「それでは、八神捜査官とE-SWATの皆様方、ごきげんよう」

こうして会話を続けておいて、後ろ手に撃鉄を起こす。裏で密かに術式を練る。暗殺者としては当たり前の手管。なのです。



しかし、

「あゆっ!」

それは、うちを制止する言葉ではありませんでした。そのことが、とても嬉しい。なのです。

「ヤガミアユ。
 いいえ、敢えて呼びましょうか【ナンバーレス】と」

「そも……そも…、数字の名前など、こちらか…ら願い下げ。……なのです」

気付けば、鋭いツメが白衣から飛び出ていました。痛いじゃないですか。

痛いのは、痛いんですよ。アンドロイドならぬ、戦闘機人の人でも。

「ドゥーエ。
 貴女のISはやはり……、光学迷彩、音響迷彩としても……使えましたか」

もちろん、臭覚、触覚、味覚だって騙せるでしょう。

ライアーズ・マスクとは、そういうISでもあったようです。

「そうとお気付きでありながらこのドゥーエのことを失念されるとは、貴女らしくもない」

「そう……ですね。
 しかし、そう言う貴女は、この白衣がバリアジャケットであることを存じ上げなかったようですね?」

特殊遮蔽内で使うことを前提にしたこの白衣は、感知能力に長け、受けた被害をいち早く報告するセンサーです。
魔法ならではのインチキで、光速より早く届きます。ワープ・ファクター・3くらいでしょうか?

防禦力は金魚掬いに使うポイのごとくですが、その一瞬があれば対抗してみせます。

「……っ!」

魔力還元で消した白衣の下には、チェーン・メイル。鎖の渦。

そうしてドゥーエさんの一突きを二ノ腕と脇腹の間に誘導したチェーン達が、牙を剥きます。

鎖間に刃を生やし、ピアッシングネイルを、ドゥーエさんの右手を、右腕を、そして体を巻き込み、吐き出す。


  ―― 触れたモノに災厄を齎す、不幸の便り ――

うち最大のカウンター攻撃。刃金の歯車、カラミティ・チェーン。なのです。


「ドゥーエ。
 貴女は比較的強力な戦闘機人だったようですが、接触しなければ標的を斃せないのでは暗殺者としては今一です」

ヒトのことが言えた身では、ありませんが。



「さて、ドクター。
 そろそろ参りましょうか、家路の無い、旅へ」

なぎの位置取りは完璧です。

お姉ちゃん達とドクター達を、見事に牽制してました。


よく出来ましたね、なぎ。とてもえらいのです。褒めたげます。

貴女はうちの自慢の妹、なのですよ。うちなどより、よほど強く成れます。

引き際は心得てますね? これからは自分の道は自分で見つけて、自分の脚で歩むのですよ。
うちが、高い高い、宇宙一高い塔から見守ってますからね。


「ウーノ、下がり給え」

「ドクター!?」

ドクターとウーノさんの間で、目配せが2往復。

「すべては、ワークフローの流れのままに。解かってるね?
 あとは任せた。
 ウーノ、君にしか頼めない」

「 は……い、ドク……ター 」

お腹に手を当てたウーノさんが、1歩2歩と後じさります。


一応云って於きますが、戦闘機人さん達の誰一人として、殺めたりはしてませんよ? うちは。


ウーノさんが下がった分、うちは2歩3歩と間合いを詰めます。

「見事なお覚悟です、ドクター。
 それとも、目的の為なら自らの命さえも手段にしてしまえる?」

「生命にとって、生きることはいつでも手段だよ。ヤガミアユ」

至言ですね。

「生きることが大切なのではない。
 生きて、何を為すかが大事なのだ」

仰るとおり、なのです。ドクター。

ですから、うちの命とドクターの命。

何事かを為すために、遣わせて頂きます!

「……」

格納領域から取り出したのは、したたり落ちた水滴のようなカタチの、結晶。

うちの、ロストロギア研究の粋。

【瞳】と【思い出】から生まれた、それは【涙】

遺産の落とし種、Legacy Seed。つづめて、レガシード。なのです。


「S2U。
 貴女もこれで、用済み。なのです」


長い間、ありがとう。


貴女のランタンのような杖頭は、うちにとって文字通りの灯明でした。
 貴女のお陰でうちは、どんな暗夜航路も旅路を見失ったりしなかった。


貴女の無駄のないアーキテクチュアは、幾たびもうちを援けてくれました。
 貴女のお陰でうちは、孤立無援で敵中に在ってもちっとも心細くなかった。


貴女のコード詠唱は、うちにとっても子守唄でした。
 貴女のお陰でうちは、独りきりの夜でも、悪夢に魘されることがなかった。


エルトリアの件、よろしくお願いしますね?


いままで本当に、ありがとう。なのです。

さよなら、Song・2・You.うちの、優しい子守唄。


カード形態のS2Uを、トランプ投げの要領で投げます。
手先は器用な方なので、パームマジックは得意なのです。大根なんかスパッ、です。我に断てぬ大根なし、なのです。

狙い過たず空を切ったS2Uが、なぎに蹴り上げられました。くるくると落ちてくる灰色のカードを、なぎは歯を立てて銜えます。

ああんっ! もっと大切に扱ってください。
両手が塞がっているのは解かりますが、大事な大事なうちの相棒だったのですよ。杖だけに。


それに、おパンツが丸見えでした。
ボーダーの一本一本まで確りと数えられたではないですか。

女の子はエレガントに。
そんなはしたない真似、お姉ちゃんは教えた憶え、ありませんよ!


するな。とも教えてませんでしたね。……至らぬ姉でゴメンナサイ orz



……

閑話休題。……なのです。



ふふっ(笑)益体もないことが思考を占領しようとしているのは、きっとうちも緊張しているのですね。

遠き理想郷に渡りかけた意識を、諧謔に満ちた現世に引きずり堕とすため。なのでしょうね。

ちらりと、お姉ちゃんの姿を心に焼き付けます。


……それでは、終わりを始めましょうか。

 「 ― 偽リノ誘イヨ.偽リノ誘イヨ.偽リノ誘イヨ ― 」

八神はやてが一妹、八神あゆ。一世一代の極大魔法、推して参ります。

 「 ― 汝ノ魂胆ヲ我ハ悉ル.汝ノ魂胆ヲ我ハ悉ル.汝ノ魂胆ヲ我ハ悉ル ― 」

蒙古族が伝えるホーミーの技法を以って、独りでして輪唱を為さしめる。

これがうちの子守唄、なのです。

 「 ― 以ッテ我ハ拒マン.以ッテ我ハ拒マン.以ッテ我ハ拒マン ― 」

こんなこともあろうかと用意していた、うち特製のサンダードーム。2人入って、出るのは1人。なのです。

さあ、全てをこの場から引き剥がし吹き飛ばして、うちとドクターだけに、なりましょう。

そうしないと、お姉ちゃん達を巻き込んでしまいます。

それに、この先のことは、見られたくありません。


 「 ― Temple-Tower In Repulsion ― 」

デバイス無しは……、かなりキツいですね。
今までS2Uに頼りっぱなしだったのが、バレバレです。

ああ、コメカミの血管が、ぷちんと逝っちゃいそうです。

レガシードの制御と術式へのリソースが大きすぎて、それ以外の思考がフラグメンテーションを起こし始めています。熱暴走ならぬ、失熱停止。でしょうか?

身体の制御が覚束なくなって、顔から倒れました。

鼻の奥に鉄サビの匂いがして、しかし即座に感じなくなりました。

鼻腔が詰まって、息苦しいのです。

でも、失うものなんか無いから、へっちゃらなのです。もってけドロボー、なのです。






……

うちにとっては永劫とも感じられた時間を要して、術式が完全な循環参照ループを形成しました。

「    」

……同時に、限界を超えたレガシードが砕け散ってしまいましたが、

「……」

もう、音なんか、届きません。

うちとドクターを震央にして、あらゆるものが撥ね退けられましたから。


擬似偏向質量操作で、重力を制してみせたうちの、最後の最期の斉悟の切り札が此れ。なのですよ。


重力とは正反対の力、すなわち斥力。

ブラックホールが万物を呑み込む重力の井戸なら、全てを拒む斥力の塔。

ブライトタワー。

何物をも寄せつけぬ、白い巨塔。なのです。


その外壁には、光すら取り付かせません。

だから、全くの無明。なのです。



しかし、魔法は違います。
物理法則に縛られぬ魔力素だけは、此処にも在りました。

だから、うちにはドクターの姿が影のごとく視えました。そう、あの時の、パンを独占していた少年のように。

同じようにして、立ち上がります。

ふと鉄サビの味を覚えて、味覚と臭覚が復帰していたことに気付きました。

指先で鼻の下を拭い、そのまま頬に3本、線を引きます。

――「力」は、「血から」産み出されるもの。「3」は、遮り封じ込める数字 ――

施した化粧は、うちに力を与えてくれる援軍の紅、レインフォース・マゼンタとなってくれるに違いありません。


『ドクター。死出の旅路は暗いでしょう?
 夜目の利くうちが、介錯仕りますね』

うちと貴方は、犯罪者同士の縄張り争いの結果として、相討ち、果てる。

誰の経歴も、汚すことなく。


なにより……、

『斥力に身を任せて、肉体が千々に散るのは痛いでしょう』

ただの人間なら、囚われた瞬間にクォーク単位で吹き散らされた筈です。

それに耐えているドクターはやはり、御自身を戦闘機人化してましたか。


……ですから、これは慈悲なのです。

 評議会メンバーの末路を、見ましたね? ドクター。

  あんな目に遭う位なら、死んだ方がマシ。ですよね?


なのに、

『ヤガミアユ!
 僕が君の言いなりになると思ったら大間違いだ。
 生命は、最後の最後まで足掻いてこそ、生なのだから』

途端……、目に映ル、アラユルモノヲ、コワシタクテ、ヤキハライタクテ、キリキザミタクテ、ツブシタクテ、ヤブリステタクテ、タマラナク、ナル。

もちろん、自らが組み上げた術式でさえも。

まさか、コンシデレーション・コンソール? 完成していたのですか!?

『忘れていたようだね、ヤガミアユ。
 君は、この僕が産み出した戦闘機人、レリックウェポンなんだよ!』

ですが……、

『貴方こそ、お忘れなのです。
 うちは、失敗作。なのですよ!』

破壊衝動に突き動かされて伸ばした手は、しかしあくまでゆっくりと、ドクターの胸元へ。

『お姉ちゃんに似てうちは大変優しいので、殺してあげる。なのです。
 苦しまずに逝かせてあげる。なのです』


うちのレアスキルは、【魔力支配】と云うそうです。

とても凄そうな字面ですが、使い手たるうちのランクでは到底真価を発揮し切れません。

 『 ― 汝ガ命運,既ニ我ガ掌中ナリ.最早,風前ノ灯火ニテ,俎上ノ鯉ナリ ― 』

しかし、距離を縮め、範囲を狭めれば本来の威力に近づけられることに、うちは気付いてました。

 『 ― 掛ケタリハ因果ノ爪,即チ逃レルコト能ワズ ― 』


そうしてドクターの心臓、別けても僧帽弁の魔力素を、掌握します。

 『 ― シカシ,抗ガエ.蜘蛛ノ糸ニ囚ワレシ蝶ヨ,籠ノ鳥ヨ,蟷螂ノ斧ヨ ― 』

抵抗力のカタマリのようなリンカーコアなんか、相手にしません。無視です無視、ポポイのポイなのです。

 『 ― ソハ,命ノ権利ニシテ義務ナレバ ― 』

支配するのは、実質、ピンポン球ほどの魔力素。

 『 ― ソウシテ,命ノ儚キヲ汝ハ知ル.尊サヲ悟ル.
   我ガ名ニ怯エ,我ガ力ニ震エ,我ガ赦シニ啼イテ,
    一握ノ砂ト化セ,一撒ノ灰ヘ還レ,一塊ノ土ニ戻レ ― 』

命は、魔法です。逆も亦、然り。

非殺傷設定の魔法だって、痛いのです。痛すぎれば、それだけで人は死ねます。

さあ、

 『 Greifen Herz 』

   循環器系を堰き止められて、冠状動脈血栓でお逝きなさい。

『……ぐっっっっっっっっつ! っがぁぁぁああああ……!!』

……?

   ……あぁっ! しまったことをしてしまった。なのです。

心筋梗塞系の疾患は死ぬほど……、いえ「早く死なせて呉れ」と泣き喚くほど苦しいのでしたね。―― 一命を取り留めた患者が、「なぜ引き戻した!」と当直医に殴りかかる程の苦痛だと、伺った事があります――


ごめんあそばせ、ドクター。

でも、うちが「ないない」していた破壊衝動なんかを暴き立てた貴方がイケナイのですよ、ドクター。プライバシーの侵害イクナイ、なのです。
悪しからず、あらあらかしこ。なのです。


勿論、それだけでは終わりません。相手が戦闘機人では、終わらせて貰えません。ですから……、

『ダイレクト・コントロール、発動。全ての情報を【チャンネル - ゼロ】に、最優先』

心臓発作が齎す苦痛にのた打ち回るドクターから、そのレリックの制御を奪い取ります。

ドクター。うちに、いくつものレリックを調整させたのは拙かったですね。
お陰様で、どのレリックであろうとクラッキングできるアドミニストレーターコードを割り出せてしまったのです。

戦闘機人相手に、戦闘機人として戦ったりはしませんよ。うちは。


『っぐ、う……』

循環器系とレリックと、2つのエネルギー源を止められて、どさり。とドクターが崩れ落ちました。


……

「騎士の情け」なのです。
その瞼を下ろしてあげましょう。……いえ、この場合は「悪女の深情け」でしょうか?


『そうそう、一言、言い忘れてました』

心臓が停止しても、脳神経系は暫く生きているそうですから、聴こえますよね? ドクター? 返事は訊いてない。ですけど。

『一粒の麦。もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん。
 死なば、多くの実を結ぶべし。ヨハネ伝 第12章24節』

ドクター。死ぬことも亦、いのち。なのですよ。
ご存知でしたか?
「死に方を見つけてこその生」かも、知れませんよ?


どうせ子宝には恵まれぬ身、せめてお姉ちゃんの為に使い潰してやるのです。
利己的遺伝子万歳、「うちの屍を越えてゆけ」なのです。

妹道と云ふは、死ぬ事と見付たり。なのです。すなわちコノ葉隠ノ術、なのです。霧隠才蔵は伊賀忍者。なのです。











ふう……


『……ああ、すべてが終わりました』

でも、ドクターにはもう一言、伝えてないことがあります。

お姉ちゃんに似てうちはとても優しいので、死に逝く者に鞭打ったりはしないのです。


プレシアの弟子でもあるうちには、プロジェクトF.A.T.Eを悉っているうちには、ドクターが何を企んでいたかまるっとお見通しでした。

ドクター。申し訳ありませんが、その策が発動する可能性は限りなく低い。なのです。

戦闘機人のお姉様方はほとんど、マリアージュに拠って手傷を負わされましたね?

彼女達に殺められた者がどうなるか、ドクターも御存知でしょう?


なにしろ今日連れて来たマリアージュ達は特別製、まさしく地獄の花嫁達。

それに、貴方達がトレディア・グラーゼにどんな情報を吹き込んだか、教えてあります。

黄泉平坂の、奥の奥まで引き擦り込むことでしょう。情念深く、執念深く。たとえ掠り傷であろうとも。

ウーノさんも油断して、セインさんにばっさり殺られること請け合いです。


それにドクターは、戦闘機人1体を維持するだけのエネルギーがあれば、どれだけの人が救われるか、考えたことがおありですか?

 ――瞬間的な出力こそ抑えられていますが、レリックは恒星に匹敵する規模の反応炉なのです――

その恵みで、どれほどの人々が飢えずに済むことか。

オルセアの内乱だって、すぐに終息したことでしょう。


ああ、心配御無用。なのです。

マリアージュ達にお願いして、回収したレリックとその制御法はプレシアに届けられるように手配しておきました。

あの方なら無為無策で管理局に渡すことも無いでしょうから、レリックはきちんと平和利用される筈です。

それで数百億の人々が救われるのですから、戦闘機人のお姉様方も浮かばれることでしょう。




それにしても、戦闘機人ベースのマリアージュ。ですか。

レリック無しにしても、さぞや面白いモノになったでしょうに。

いったい、どんな変化を遂げたのか見届けられないことが唯一の心残り。なのです。











『この際、ダブルデートでもご家族連れでも一族郎党引き連れてでも構いませんから、カニさんが這い登ってきたり、しないでしょうか?』

どうにもやはり、独り言が増えますね。

……益体もない話のついでですが、各地に残してきたうちの定期預金がどうなるのか、少々気懸かり。なのです。

お姉ちゃんが相続できるのが一番、なのですけれど。


『どうせなら、1人しりとりでもしましょうか?』


悪事一つ行うのにも元手と保証が要りますから、銀行に金銭を預け、その金融システムを利用することは必須。なのです。
社会的信用が有るに越したことないですし、マネーロンダリングの勉強にもなりましたし。


『八神はやて。……て、て、て…… ティアナ。……ナ、ナ…… なのは。……は、は、は…… ハラオウン。……終わってしまいました……』


例えば、モリアーティ教授が駐車違反でキップ切られた。なんて話、聞いた事がないですよね?

大悪党になればなるほど、小さな悪事を身から遠ざけるもの。普段は善人の皮を被るもの。なのです。


『それにしても……、しりとりが苦手だったとは今の今まで知りませんでした…… orz』


ですから、品行方正なテロリストであるうちも、雌伏の間はせっせと定期預金などを積み立てて、住宅ローンなんかも組んでました。

『……しりとりを強制的に終わらせる方とか、今やうちの敵。なのですね』

ほとんどはこっそり、アジトの改装に使いましたが。











……ふう、なんだか疲れました。


  ……もう、休んでも、いいですか?


全てを撥ね退ける斥力の塔はその結果、時間すらも退けるのに、疲労を感じるなんて、可笑しいものですね?

だって、中心にして頂上たるうちは、歳を経ることも出来ないんですよ。

この術式は、此の世界の物理法則が変わるまで、つまり此の宇宙の終焉まで続きます。

エントロピーが果つるまで朽ちぬ、慙劫の棺。なのです。


うちは、凍れる時の彼方、遙か高き塔――周囲からは、鏡のような表面の球体としか見えないでしょうけれど――で、氷の女王として君臨するのです。

機会があれば是非、「シヴァ」と名乗ることにしましょう。











  ああ、なんだか……、眠くなってきました。

S2U、子守唄を、

         ……そうでした。……もう、居ないのでしたね。


致し方ありません。自力で賄いましょう。唄なんか、歌ったことない。なのですが……。


すう。と深呼吸。

 『♪ よ せては 返す さざなみの よに よ るのと ばりが まぶたを押 すよ  』

誰が聴いていると云うワケでもないのに、なんだか緊張しますね。

 『  き みよ こ の日を 思い出に 刻み ゆ めの まほろば 朝まで あ そぼ ♪』


途中で寝付いてる筈なのに、意外と憶えているものなのです。

2番はどうでしょうか?


 『♪ 欠 けては 満ちる 月影の よに きょうのこ の日が さよなら告げ るよ  』

下手だからと云って、笑わないで欲しいのです。
 
 『  あ すの約束 指きり交わ せば な ごり惜し んで 流れ星 ひとつ ♪』

ああ、やはりS2Uの声で、お母さんの歌声で聴きたいのです。自分の為だけに歌うのは、寂しいのです。歌えば歌うほど寂しいのです。

S2Uの隠し機能だった子守唄の歌唱を発見したのは、…… …パサンカユのケシ畑をヤきハラったとき…、
……だったでしょうか? どうもうまく、オモいダせ…ない。なので…す……。

   … …  ………   …  …  …………,…… …   カユ ……… … ……    …,
……        …    うま ,…… … …  .なので…す…….






















































 ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい


……おねぇちゃん

わるい いもうとで ごめんなさい なのです……


『どくをもって、どくをせいす』ために あゆは わるいこにならなくては ならなかったんです

『どくたー』を こえる どくに ならなくては ならなかったんです 『どく』たー だけに

ほかにも ては あっただろうと はんせいは しています

でも こうかいは してません

けれど ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい

いくら あやまっても あやまりたりませんが ごめんなさい なのです


そして さよなら おねぇちゃん

いまは いっぱい かぞくがいますから もう あゆがいなくても だいじょうぶ ですよね

いらなくなったら そういってほしいと やくそく しましたよね


あゆは やくそくをまもります

すこぅしだけ ほんとにほんとに すこぅしだけですけど えらいですよね?

だから さいごに1かいだけ おねぇちゃんだけのものを くちにだして つかわせてください 

こころのなかでは なんども なんども なんども なんども つかってた おねぇちゃんとおなじ なのりのことば











                 うち と











「うちは、やがみあゆ。なのです
 
 ココニイル。なのです
 
 みなさま、どうぞ おみしりおきを
 
 いっきくのなみだを たまわれれば、さいわいです」





                               「八神家のそよかぜStS?篇」-TRUE BAD END- 終演 あるいは終焉













―― 一応の最後に ――

無印篇での最初期プロットは「はやての身代わりとして、グレアムの下であゆが進んで氷漬けになる」でした。
これに、StS篇の第2プロットであった「あゆ悪人ルート」と、その遠因となる隠しエピソードを2つ加えて、IFではありますが「八神家のそよかぜ」最終回とさせていただきます。

さて、本当ならこのエピソードを発表した時点で「八神家のそよかぜ」完全完結と言いたかったのですが、ゲームの新作も出てるので、もし触発されたら何か書きます。つか2度も最終回やっておいて、これまでもダラダラと書いてますしね(苦笑


なお「魔杖機」と云うのは、デバイスを指す造語です。



 ――2年前に連載を始めたこの月に我が家に来た、小さな[くれないの鉄騎]より―― ←と書きたかったけど、出来ませんでした(苦笑)

                2011年12月吉日 Dragonfly 拝






















































「あゆっ!」




……?


 ……なんでしょう?



  なんだか……、あたたかいのです。




     なにやら、……やわらかいのです。





        なぜか、懐かしい匂いが……するのです。



此処には、何も莫いと云うのに。


   とうとう、うちも心が保たなくなって……、来たのでしょうか?


 ……天罰ですよね。



でも、ありがたいのです。

  ……狂気は、絶望に効くクスリ。なのです。

万金丹です。エリキシルです。ウィスケベサです。ヨーメイシュ、なのです。


ああ、ようやく瞼を上げれました。

「……」

うちの狂気は、お姉ちゃんの形をしてるのですね。こんな罰なら、こんな狂気なら、……大歓迎。なのです。


  ……うれしいなぁ。


神様なんて信じてませんでしたが、こんな粋な計らいが出来るお方だと知っていれば榊のひとつもお供えしましたのに。

余生は、感謝の祈りで過ごしましょうか?


 「……」

今一度、お姉ちゃんの姿を網膜に焼き付けます。

自決にすら倦み疲れてたうちですが、これで後10年は戦える。なのです。


「しっかりしぃ、あゆ!」


……え? なのです。

「……お…ねぇ……ちゃん?」

「そうや。八神あゆの姉、八神はやて。此処に在り、や」


霞む視界の向こう。お姉ちゃんの肩越しに、大勢の人影。


「なにものも辿り着けない場所、……なのに」

「うちを誰やと思とるんや?」

ぎゅっと、強く抱きしめられました。

「最後の夜天のあるじ、やで」

ああ、あの穂先はレイジングハート。あの斧頭はバルディッシュ。

「どんな無理も魔力で推し通して、道理なんか叩き伏せたる」

レヴァンティンに、グラーフアイゼン。デュランダルに、ヴィンデルシャフトも。

それに、見覚えはあるけど、名前が思い出せない槍型のデバイス2本を始めとして、様々なストレージデバイス、インテリジェントデバイス、アームドデバイス、ブーストデバイス、ユニゾンデバイス。

イノーメスカノンやライディングボードなどの、固有武装まで。

それと、あれは確かヴァリアントザッパー、と言ったでしょうか? エルトリアが復興、したのならいいのですが。

さらには、両腕を滑腔砲にしたシルエットが、ずらり。



それらの向こうには、白天王とヴォルテール。フリードリヒもちゃんと、居ますね。


なにより、彼らより巨大で ――長い―― 龍。

あれも、誰かの使役龍。……なのでしょうか?
アースラを始めとするABLISの艦隊が、時の庭園が、聖王のゆりかごが、オモチャに見える。なのです。



……

あははっ♪

何をかも拒む斥力の砦塔を、魔力尽くで吹き飛ばした。のですね?

お姉ちゃん達、らしいのです。

道理も物理法則も、うちのちっぽけな思惑すらも、みんな問答無用で張り倒されたのですね。

あはははっ♪


…あは♪

 ……あれ。おかしいのです。

こんなに愉快なのに、視界が滲んでしょうがない。なのです。


……

そう……、そうでした。

「……私は、咎人。なのです」

  こんなに大勢の方にお出迎え戴くような……。と、最後まで言わせて貰えませんでした。

「あかんなぁ、あゆ」

優しく体を引き剥がしたお姉ちゃんが、うちの唇をそっと人差し指で押さえたのです。

「自分のことは正しく呼ばんと、“めー”やで」

自分の、ことを? ……

「うちは仏様とは違ゃうねんから、2度目は赦さへんよ」

    …… 正しく? ……?

「さあ、やりなおしぃ。もう一度、な?」


それは……、

  ……つまり…

   …… ……いいので、
             しょうか?

「……」

だって、
    お姉ちゃんの、
           ……大切なものでは?


「うちはこう見えて、けっこうイラチやねん。早よ、しぃ」

♯桁マークが、ちょっと怖い。なのです。

「……」

ふふっ。まったく、お姉ちゃんにはかないません。


「……うちは、」
      「家族水入らずのところをすまない」

よう言えたな。と再び抱きしめてくれたお姉ちゃんの向こうに、クロノ……お兄ちゃん。

またさらに背が伸びた御様子。なのです。


「八神あゆ。
 君には黙秘権と、弁護士を呼ぶ権利がある。
 以後の発言は裁判で不利な証拠と成り得るので、留意すること」

「……はい」

カードに戻したデュランダルを懐手にしつつ、歩み寄って来られます。

「なお、君の事情についてだが、重要な証人が名乗り出ている。
 彼らの証言に耳を傾けて、迂闊な言動は厳に慎むことだ」

「……証人。ですか?」

ああ。と背後に流された視線の先に、ドクター・スカリエッティと、見知らぬご老人が立っておられました。


ドクターは、……ああ、戦闘機人のお姉様方が無事なのですから、例の策が発動したのでしょうね。

案外マリアージュ達と交渉が成立したか、或いは本当のあるじが目覚めたかしたのでしょう。


さて、もうひと方。 恰幅のよいご老人は、はっきり言って異相です。

中肉中背、目尻に皺の多い優しげな好々爺に見えますが、額より上はドーム状のガラス容器で、中に納まった脳髄が丸見えです。

……もしや、

「察しがついたか。
 その通り、【元】評議長閣下だ」

「新暦体制は改められて、最高評議会は解体されたからな」

老人そのものの外見に似合わず、颯爽と大股で。

「戦闘機人化技術……。
 君たちの世界ではサイボーグ化、あるいは改造人間化と言ったほうが通りがいいみたいだね?
 ……まあ、僕の技術を持ってすれば、無い肉体を与えるなんて容易いことさ」

ドクターは、その場に立ったままで。

「無論、普段は仕舞っておる」と、元評議長が御自身の脳髄を指差されました。

「己への戒めとしてな。
 時おりこうして、眺めて居るよ」

……

こほん。との咳払いは、クロノお兄ちゃん。

「とにかく、今は各世界間の利害調整を担う調停官として活躍されておられるんだ」

うむ。と、評議長。……いえ、調停官。「あとの2人も、それぞれに、な」と、口元をほころばせて居られます。

「さて、八神あゆよ。
 儂が此処まで出向いてきたのは他でもない」

長いあごひげを撫でるさまが、とても愉しそう。なのです。

「当時の状況を鑑みて、
 おぬしの行動は全て、姉と己を守る為の正当防衛であり緊急避難ではないかとの意見が大勢を占めておる」

「……」

「さらに、まさしく何も莫いこの斥力の牢獄での4年半は、軌道拘置所での禁固刑800年に値するとの分析結果も報告されておる」

でも……。と差し挟もうとした口を、今度はお姉ちゃんの手のひら全体が閉ざします。

「無罪放免とは行くまい。
 しかし、執行猶予、保護監察程度で済むだろう。と、見解の一致をみた」

「もごもご、むぐー」
「黙っとり」
「……」

「まあ管理局法が牽強付会に過ぎるのは、儂の債だな。
 それもまた今回の判例が取り沙汰されれば、向後に改められるだろうて」

すっ……と、額を撫でる、仕種。

いつの間にかそこには、白髪頭が。

「きちんと、まっとうに生きるのはいいぞ。八神あゆ」

踵を返して、やはり颯爽と歩み去っていかれます。

 「儂も、罪滅ぼしが済んだら命の本分を全うする。
  おぬしも、生きてる間にしか出来ないことをすることだ」

「なんなら、元の体に戻してあげるしね」と、ドクターが追いかけざまに。

 「司法取引の材料に、なるよねぇ?」

「一考の価値はある」

即答したクロノお兄ちゃんは、しかし苦虫を何匹も噛み潰したよう。なのです。

……あはははは♪

あは…は……

「……なんだか、うちはもう、いっぱいいっぱい。なのです」

「まあ、ゆっくり考えたらええ」

せっかくお姉ちゃんがそう言って下さったのに、目前の床から浮かび上がる影が。

「……貴女のことも姉と呼べと、はやて姉が。許可を……」

「今は、【八神なぎ】ですか?」

……そう……。と、動作少なく微妙な首肯。

「なら、貴女のしたいようにやりなさい。なぎ」

「……解かった。
   ……では、あゆ姉。受け取って……」

差し出されたのは、灰色のカード。待機状態のS2U。

「……」

受け取っていいものか迷って、傍らのクロノお兄ちゃんを見上げます。……が、知らんぷり。されました。


 ≪ あゆちゃん、私は還って来ました ≫

会話機能? ……いえ、ただの記録音声ですね。


 ≪ あなたは、どうですか? ≫

「……」


それしか出来ることがなかったので、

                 ……そっと手を、伸ばします。



  「ただいま……、なのです」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 おかえりなさい 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」







      ――【 新暦79年/地球暦9月 】――


                                       「八神家のそよかぜStS?篇」-TRUE END- 劇終




まあつまりは、ボツネタのほとんどが「あゆ悪人ルート用」だったワケですね(苦笑
あと、空白行が54行あったりするのは、仕様です。
























































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