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No.1457の一覧
[0] 交錯始点[yu](2006/11/05 17:07)
[1] Re:交錯視点[yu](2006/11/05 16:40)
[2] Re[2]:交錯視点[yu](2006/11/11 12:01)
[3] Re[3]:交錯視点[yu](2006/11/11 12:54)
[4] Re[4]:交錯視点[yu](2006/11/11 13:27)
[5] Re[5]:交錯視点[yu](2006/11/14 02:39)
[6] Re[6]:交錯視点[yu](2006/11/10 21:53)
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[1457] 交錯始点
Name: yu 次を表示する
Date: 2006/11/05 17:07
父親。
攻性。
父性。
支点:護性。
母性。
防性。
母親。

ぎいん、ぎいん。

剣戟の音。

立ち向かっているのは二人のがっしりとした男。
体格は同じぐらいだろう。

しかし、一人は粗野にも見える様相であり、もう一人はどちらかといえば理知的な感じがする。
粗野に見える男の闘争としての斬撃を舞うようにして受ける。
此処を切り取れば柔良く剛を制している様で……。
けれど、次の瞬間には受け止められた刃による重心の移動を加速の基点として回転の運動。
回転による追撃の軌道は技術による受けの反応を許さず、しかし、反射による受けによって防がれる。
受け手もただ受けているだけではない。
受けの行動の全ての奥で視線を尖らせ致命的な一撃を滑り込ませる隙間を狙っている。
攻め手はその攻めに隙間を作らない様に、そして、そのまま相手を封殺しきれるようにとさらに斬撃の速度を上げようとする。
悪手が許されない攻め手と失態を誘発する圧力を掛け続ける受け手。
長時間続く拮抗は正しく一進一退。

だからこそ鳴り響いている音は爆ぜる木の音を背景に打ち鳴らされる金属の悲鳴。

しかし、

ぎいん、ぎいん。

打ち鳴らしあう両者の獲物、片方が偃月刀であるのに対して、もう片方はどう見ても布である。
少し長いマフラーと言った長さのそれ、素材はマフラーのような暖かさを感じるものではなく印象としては『羽衣』と言った感じである。
それが刃と触れ合って、しかし、羽衣も自身の形を崩すことなく存在している。
炎を纏った黒竜が柱の様な物に巻きついている意匠の羽衣。
なのに、偃月刀と接触し不可思議にも金属音を立てる。

偃月刀が辺りで爆ぜ鳴る木の炎を照り返すところを見ると刃、少なくとも金属の光沢を有したもの。
であれば、羽衣もそれ相応の硬度を持っているのであろう。

両者続ければジリ貧となる状況に焦れたのか調子を変えようとする攻め手が虚実を混ぜて一瞬の間隙を作る、それは斬撃を滑り込ませるに

足りる程の時間間隔ではない。
しかし、その隙に一つの行動、短い起動詠唱と共に袖口から何本もの短い黒針が飛び出す。
起動詠唱によって加速を得た黒針、単体では閉じた結界の意味のみを持つ、それは桔梗紋の頂点を指すことで外延し結界を繋ぎ束縛とする


闇夜の元、見ることすらも困難であるはずの黒針、秘中の一手にして必中の一手。
起動詠唱する事で微細に狂う呼吸分を合わせてお釣りが来るはずの不意打ちの秘手。
その来るほうを見た受け手は起動詠唱分程度の驚きの後、なんと、視線の一つのみを持って無効化した。
単体の結界のみで構成されていた黒針は無効化と同時に存在を否定され粉々に砕け去る。
さら、と黒い残滓が残る印象を残しながらも風に乗って夜に解けていく様は影の様でもある。

ひゅう、と、どちらからとも無く息を吐く。
冬の大気ではないが運動の熱は白い息として吐き出される。

黒針による結界。
結界破りの異眼。
両者共に相手に隙を作る為の異能を相手に晒し、既に次からはこの異能は手段の一つでしかない。
実力の拮抗している両者にしかも、相手に通じると確信できる未知の一手は双方既に尽きている。
単純な手段の応酬しかないならば、現時点が両者共に千日手の入り口といえる場所。

攻め手は偃月刀をチキリと音を立てて構える。
受け手は羽衣を持ってするりと踏込み構える。

永遠に続くか、そうでなければすぐさまにでも終わりそうな緊張が広がった。


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