■月×日(火星の食べモノは総じて不味いらしいが、ここの飯の不味さは火星でも群を抜いていると思う。ナデシコの火星丼は味を極限にまで美化していたのだ……!←『……!』まで文章化するくらい不味い)
『さてさて、オーストレールコロニーに程近い場所にあるチューリップを破壊し尽くして早数週間が過ぎた』
『端折り過ぎだ、と言われそうな気もするが仕方ない。最初の一戦こそグランドスラムの試し斬りの為にまともに戦ったが、それ以降はすべて単純作業の繰り返しだ』
『ぶっちゃけた話、相転移砲連射ゲーと言ってもいい。文字通りのお掃除を繰り返しただけであるので、詳しい説明など出来ようはずも無い』
『待ちあわせの場所に到着した俺達に対し、オーストレールコロニーの連中はそれはもう警戒心バリバリ、持てる限りの鹵獲SPTで出迎えて、脅しつけて俺達の乗るアストレイを奪おうと──』
『なんて展開にはならなかった。まぁ、大型戦艦多数を含む木星蜥蜴の無人兵器群相手に無双できるような無茶な機動兵器を敵に回すほど愚かではない、という事だろう』
『では、アストレイを降りた後に拘束されて、ドギツイ尋問で技術を絞り出されたかと言えばそうでもない』
『俺と美鳥は客人扱いで迎えられ、それなりに立派な工房と自室を与えられてのんびりと兵器開発を行っている。追い詰められている割にはそれなりに紳士的な連中である』
『もっとも、今のアストレイの動力炉は光子力反応炉とオルゴンエクストラクタの融合した特殊なモノだ。バラして解析してもサイトロンに適性を持つ者がそもそも居ないし、光子力は火星では生成する事もできない』
『そういった諸々の事情を知っていた訳では無いだろうが、あくまでも友好的に協力関係を結ぼうと努力するオーストレールコロニーの連中の気風は中々に好ましいモノだと思う』
『今なお過酷な環境である火星では、無駄に敵を作る様な生き方は一般的な物ではないのだろう。そういう意味では、火星人の中ではテンカワ・アキトはやや攻撃的な気風の持ち主だったのかもしれない』
『イグニスは少しばかり堪え性が無く、色々とらめぇ我慢できないのぉみたいな熱い所がある奴だが、それでも基本的に争いを起こすこと自体が我慢ならんらしい』
『つまり統計的に見てやっぱり我慢弱い男だということだが、それでも木星蜥蜴に対抗する為の武器、機体を作る事に関しては時間をかけてでもしっかりした出来の物が必要らしい』
『まぁこれだって結局のところ、納期を早めて粗製が出来上がるのが我慢ならんという理由がある訳で、どうしたって堪え性などは持ち合わせていないのだろう』
『そろそろ木星蜥蜴に対抗できる機体の開発と、しばらく研究すれば使いものになるだろう技術の受け渡しも完了する、せいぜいそれまでは苦手な我慢を続けて貰おう』
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以前ナデシコで火星に来た時、ユートピアコロニーの地下に生存者が群れているのを見たが、それとは明らかに異なる部分がある。
あそこに居た連中は本当にただ生き残りが肩を寄せ合い震えているだけで、統率がとれているとか居ないとか以前に、何かしよう、という気力が無いので、乱れるようなものが無い、という感じだった。
食料の配給などがほぼ完全に平等で奪い合いなどが無かったのも、和を乱して異物になればそこに居ることすら出来ない、なので争わない、といった後ろ向きなモノ。
だがここは、オーストレールコロニー地下は違う。
「活気があるな」
地下街を歩き、周囲を見回しながら呟く。
配給が云々ではなく、それなりに商売のようなやり取りも行われており、急造の掘っ立て小屋のような屋台で野菜や果物を売る者まで居る。
それでいて飢えているような者が居る訳では無く、変にギスギスした閉塞感も無い。
店先で商品を値切るおばさんなどが居て、なんというか、制限された生活に慣れているような感じが見える。
掘っ立て小屋のような店舗にもそれぞれナンバーが振られ、商売人もキッチリ管理されているらしい。
「ここは木星蜥蜴が攻めてくる前にも、入植当時と同じように管理された生活が普通だったからな」
「もともと好き好んで制限された生活をしていた連中だから、多少生活が苦しくなっても大事無い、か」
ガイドするイグニスの言葉に頷きながら通路を歩く。
扱う商品の種類が微妙に少ないような気もするが、それは元から火星の食料のバリエーションが少ないというだけか。
「テラフォーミングが済んだとはいえ、火星は暮らしやすい場所ではない」
その為に普段から節制を心がけていたのが今生きている事に繋がったのだろう、と、感慨深げに頷くイグニス。
「そりゃ結構な話だけどさぁ」
後ろから付いて来ていた美鳥が口をはさむ。手には先ほどの屋台で購入したものだろう林檎を持ち、顔を顰めている。
林檎に齧り付くと、モシュ、という余りにも爽快でない類の音が響き、そのまま数度嫌そうな顔で咀嚼し、飲み込む。
周りに聞こえないように一応声のボリュームは控えめに、手に持つ林檎の批評を始めた。
「スカスカなのも味がおかしいのも、まぁ戦時下だから問題無いのかも知らんけど、栄養素が致命的に足りてねぇよこれ」
「不足分は栄養剤の配給で補わせていますよ?」
疑問形で返す独特な喋りの褐色の男──ナーエ。木星蜥蜴の襲来で人手が足りないため、周囲やイグニスに押される形で様々な役職をかけ持ちしているのだとか。
今回は俺達外から来た人物との仲を取り持つことが仕事であるらしい。他の職業を兼業していても、やはりこの仕事における適正は一番高いと見られているらしい。
そんな彼も、今現在取引されている食料が酷く不完全なものである事は否定しないようだ。
「地下で使用されているテラフォーミング用のナノマシンは、火星入植最初期のものだからな。これでも地上のナノマシンで改造された土よりは、栄養価が高い筈なのだが」
「限界が来ているって事か」
こくりと頷くアグニス。
火星入植最初期、まだ火星全体が完全に改造されていない頃のナノマシンは、土の養分を極端なものに作り替え、気候の合わない野菜や果物でも無理矢理に作れてしまうようなモノだったらしい。
当時は火星と地球の横断は今の何倍も時間が掛かり、生活環境も整っていなかったが為に、まずは生きていくこと最優先で、痩せた土地からでも栄養価の高い食料を作れるように調整してあった。
この地下実験場の土は当時のモノそのままで、それ故に肥料を満足に与えられない今でもしっかりと実をつけさせる事が可能だとか。
だがいくらそんな無茶な改造を施された土壌でも、こう連続して大量の作物を収穫しては限界がくる。
「農地の土も定期的に地上の土と入れ替えようとはしている。しかし」
「ここの連中を養うだけの作物を作れる広さの農地、木星蜥蜴に見つからないように土を入れ替えるのは難しいか」
作業用MAや重機では脚が遅いし木星蜥蜴の兵器にもグラドスのSPTにも敵わないのは分かっている。当然護衛には鹵獲したSPTが付かなければならないが、そもそもの絶対数が足りないのでどうしようもない。
まともに戦闘をこなせる軍人連中は、木星蜥蜴が初めて火星にやってきた時、地下に民間人などを避難させる為の時間稼ぎで大半が死んでしまい、まともに護衛に回れる者も少ないとの事だ。
「まーまー、そう暗い顔すんなって、今はてめーがここの顔なんだろ? その辺もこっちで手ぇ貸してやっからよ、とりあえず今は武器の話しようぜ武器の話」
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武器の話、つまり先日別れ際に話した事だ。
二年以内に火星を奪還出来る程の兵器、更に火星でもどうにか材料が調達でき、古い設備しか存在しないこの地下でも頑張ればどうにか量産できそうな物を見繕ってやる事になった。
ただ非常に残念な事に、引き換えに手に入れるつもりだった光圧推進システムは殆ど研究が進んでおらず、デルタに至っては影も形も存在しなかった。
当たり前と言えば当たり前だ、今の火星、オーストレールコロニーにはそれほど余裕はない。
そもそも使い勝手のいいSPTが何機も鹵獲して使われている時点でMSが主流になる可能性はとてつもなく低い。
とりあえずこんな感じで作れるよ、といった基本的なデータだけは手に入ったが実用には程遠く、コレクションに加える様なものにもならないだろう。
が、それでも何もせずに帰るというのも癪なので、ロウに先駆けて火星産MSの第一号を作ってみる事にしたのだ。
そんな訳で、技術の出所とか何やらを詳しく話す訳にもいかないので、顔役のイグニスをやや素通りして頭役の古くて偉い、現在ここ地下コロニーを運営している連中を説得という名の軽い洗脳にかけて話を通し、現在に至る訳だ。
「ここまで開発が速く進むとは。あれもこれもと、感謝しているよ」
「まだ試作だ試作、一応このままでも使えるが、量産して万全の状態で運用するなら工場に専用のラインを作ってからにしとけ」
俺の返答にナーエが首を傾げる。
「MAや重機のパーツを流用できるようにつくられているのでは?」
「一応パーツの流用は出来るけど、細かいパーツはできるならそれ用に調整して使った方がいいよ。早死にしたくなけりゃね」
「どっちにしろ、何機か作ってテストしたら仕様変更入れるつもりだったんだろ? これは先行量産型みたいな感じだと思ってくれりゃいい」
市場の様な場所を抜け工房に到着した俺達は、完成寸前の兵器の前で話し合う。
俺達の目の前に直立する20メートル級の機動兵器、色々と他作品の技術が盛り込まれてはいるが、とりあえず分類するならMSになる。
この地下実験場で作業用に使われていた三本脚のクラゲの様なMAのマーズタンク(火星丼に乗っているタコさんウインナのモデル)をベースに、地球ではネルガルの独占技術になっているディストーションフィールドなどの古代火星文明の技術を多く盛り込んだ機体。
一応は可変MSに分類されるもので、元のMA形態からMS形態に移行する事であらゆる場面に柔軟に対応する事が可能である。
まぁ、マーズタンクがモデル、という時点で分かってしまうだろうが、これは原作のデルタアストレイに登場したガードシェルのスパロボ技術混合版だ。
ナデシコにもアークエンジェルにも可変機が少なかったお陰で変形の際に幾つかの擬装用パーツが余ってしまうが、運用上は余り問題無い。
そもそもこのガードシェルもどきは耐ビームシールドの代わりにディストーションフィールドを搭載しているのでより広範囲を守ることが可能。
重力制御装置も少し安価で単純な作りのものだが一応搭載しているので移動速度も申し分ない。火星のやや弱い重力なら多少の無理も効く筈だ。
重力制御推進の素晴らしいところは推進材を余り必要としない所だろう。装置を稼働させる電力さえ賄えればかなり自由に飛び続ける事が出来る。
更に、火星にはニュートロンジャマーが存在していないので気兼ねなく核エンジンを搭載する事が出来る。
核エンジン自体は火星のMAには標準装備されていたので腐るほど余っているし、もしもの時の為にNJCの設計図も渡してある。
武装はDFアタックとピンポイントDFパンチと両手持ちの大型リニアカノン、原作でも搭載されていた有線シールドフリスビー。
最初の二つはディストーションフィールド発生装置を搭載しているなら出来て当然として、見どころはリニアカノンとシールドフリスビーだろう。
リニアカノン(ぶっちゃけ電磁加速なのでレールガンと変わりない)は次にボウライダーで戦う時の事を考えて、実験として徹底的な小型化を図ろうと思っていたのだが、ここにある資材、しかも大量生産できる様なありふれた材料では無理っぽいので諦め、その代わりに口径を大型化し、加速度と連射力を上げた設計にした。
ここら辺は既に地球軍がメビウスで似たようなものを作っている上に、フリーダムなどに搭載されている物も参考にしているのでそれなりにいい感じのものが出来たと思う。
更にシールドフリスビー、有線式ではあるが、ケーブルを切断されてもビームチェーンで即座に再接続が可能。ここにきてボルトガンダムの不思議技術が役に立つなど誰が予想できただろうか。
シールド自体にもフィールドランサーと同様のディストーションフィールド破壊機能が内蔵されているため、余裕こいてフィールドで受けようとすると直撃してかなりいい感じのダメージが入る。
ここまでの代物が本当にジャンクから作れるか疑問に思うかもしれないが、俺はナデシコに居る間にボスからガラクタから巨大兵器を製造する技術を聞き出した。
おそらく、あの理論はまともな人間が聞いても『ボスボロットなら仕方ない』で済ませてしまい理解できないだろうが、機械系の技術とすこぶる相性が良い俺は、このガラクタから人型二足歩行の大型機動兵器を作り出す奇跡のような理論を完全に理解する事に成功した。
俺はこの技術を分かり易くオーストレールコロニーの技術者にも教授したのである。
常人である彼等は噛み砕いた説明でも半分程しか理解できなかったが、まだガラクタとも言えないような中古MAと中古重機から設計図通りにMSを組み立てる程度の事は可能だろう。
メインの材料がMAなので外に出てSPTのジャンクを集める必要も無い上に、基本性能も此方が上、オーストレールコロニーのメインを張る機体はジャンク寄せ集めのSPTからMSへと移行していくことだろう。
「ま、これ一体で作業やら戦闘やら防衛やら、大概の事はこなせるようにしといたから、できればテストで使い潰すんじゃなくて最後まで大事に使ってやってくれ」
「当然だ。資源を無駄にできる状況ではないのだからな」
ここも原作との明確な違い。
俺は木星蜥蜴に対抗する為に戦闘用のMSをでっちあげてやるつもりだったのだが、面白い事にイグニスの、というか、オーストレールコロニーの希望したモノは違った。
なんとこいつら、木星蜥蜴に対抗できる戦闘能力を備えつつ、それ以外の作業もこなせて安価に量産が可能な高性能機を作って欲しい、などと言い出したのである。
無茶苦茶な要求だ。普通の兵器開発会社にでもこんな注文をしたら鼻で笑われるか頭がイカレた可哀想な奴とでも見られてしまうだろう。
だが、それこそが今のこのオーストレールコロニーにとって紛れもなく必要な機体なのである。
原作のように侵略者が無く、過酷ではあるがMSやMAの材料には事欠かない状況であれば、それこそ作業用や戦闘用といった分類が重要になってくるのだろう。
だが、今のオーストレールコロニーは豊富な資源、という言葉からはかけ離れた状況にある。
人も資源も限られた状況では、遺伝子に定められた仕事だけをこなしていれば良いというものでもなく、当然機械も様々な場面で使い回せるものでなければいけない。
そんな訳で戦闘力ばかりが前面に出がちなデルタではなく、このガードシェルもどきを組み上げる事になったのだ。
火星初のMSがガードシェルというのも地味な話だが、そこら辺は火星に二種類も侵略者がやってくるこの世界の運命を呪っておけばいいと思う。
「言うまでも無いだろうけど、このガードシェルだけで木星蜥蜴と全面戦争ができる訳じゃない。これはあくまでも戦力を整えるまでの繋ぎで、新兵器のベースになるものだと考えてくれ」
「チューリップを速攻で破壊出来る程度の戦力を整えないと、木星蜥蜴と戦うのは難しい、ですか?」
「ボソンジャンプだったか、説明も受けたし理論も理解できるが、それでも信じ難いな」
「でもチューリップから無尽蔵に機動兵器が湧き出してくる事にもこれで説明が付くだろ?」
このガードシェルだけで攻め始めるとは思っていないが、万が一の事を考えてチューリップの仕掛けやら何やらも教えてある。
ボソンジャンプの実験を行うにしても火星生まれの火星育ちしか居ないここなら死人も出ないだろうし、実験にはチューリップクリスタルを手に入れるところから始めないといかん。
暫くはガードシェルのテストと量産に時間が必要だろうから、実際にボソンジャンプ実験を開始して成功させるまでにはそれなりに時間が必要になってくるだろう。
「ま、ぼちぼち完成する予定だから、期待して待っててくれ」
「ああ、よろしく頼む」
上手く話が纏まった所でナーエ口を開いた。
「そういえば、このMSの名前は決まっているのですか?」
そういえば俺の中ではガードシェルで決まっていたが、話題にする時は『アレ』とか『あのMS』とかしか言って無いのだよな。
設計図にも『記念すべき火星第一号MS一番乗り!』とかしか書いて無い。デルタアストレイみたいに元の企画名みたいのがあれば楽だったのだが。
「イグニス、パス」
特に思いつかないしイグニスにパス。実質的なリーダーが決めたなら他からも文句は来ないだろう。
ネーミングにケチ付けられるほど精神的な余裕があるかは知らないけどな。
「お、オレか。そうだな……」
突然のキラーパスに一瞬戸惑うも、直ぐに真剣に考え始めるイグニスと、それをニコニコと微笑みながら見守るナーエ。美鳥はにやにやと成り行きを見守っている。
「リベレーター。こいつの名前は、リベレーターだ」
「リベレーター、解放者ですか。良い名前じゃないですか?」
ナーエが微笑みを浮かべてMS『リベレーター(仮)』を見上げる。
奪われた火星の地上を取り戻し、この不便な地下から解放する。そんな思いが詰まったネーミング。
リベルタスなら玉無し短命と酷く縁起の悪い名前になったが、イグニスが素直なネーミングセンスの持ち主で助かった。
あー、リベルタスとか言ってたらなんか、久々にガイバー読みたくなってきた。この世界ガイバーが無い。当然だけどゼオライマーも描いてないし。
ガイバーが連載されていない代わりに高屋さんラブコメが連載されている。
主人公はガイバーと同じく晶だけど、別に変身もしない平和なお話。しかしこれが中々王道で面白い。
現在二十七巻まで刊行されていて、最近は主人公をライバル視していた転校生のアプトムが男装美少女だった事が明らかになるなどのイベントが目白押し。どうでもいいか。
「まぁ、かっこよく『リベレーターだ(キリッ)』とかやってもその名前が通るかは謎だがなー。他の偉い人の意見も聞かなきゃならんのだろ?」
「きさま……!」
「落ち着いてくださいイグニス、相手は客ですよ?」
「お、また我慢できねぇか? んん? 堪え症の無いやつだなぁおい、ほぉらほらぁ、少しは我慢してみたらぁ?」
グギギとでも言いだしそうなイグニスとそれを宥めるナーエ、更に追加で挑発する美鳥を横目に考える。
これでこの地下に潜った連中が生き残る可能性は増えた。今の今まで生き残ってこれたのなら、どこからどこまでが無茶でどこからどこまでがやれる事か位は分かるだろう。
もうしばらくして余裕が出来たら、改めて光圧推進システムの開発に関する話を持ってくるのもいいかもしれない。あれはあれで加速力に優れる素晴らしい機能だ。
何はともあれ、今はこいつを仕上げる事だけ考えよう。
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……………………
…………
……
あれから更に数日かけて火星第一号モビルスーツ(結局俺達がコロニーを発つまでに名前は決まらなかった)を完成させた。
現段階の試作機では飛行やGの軽減程度にしか使えないが、もう半年も駆ければグラビティブラストも試作を完成させる事が出来るだろう。
とはいえあの地下施設の機械は古い、無理矢理人型を保たせるよりは、バレリオンの様な砲撃戦特化の特異な形に仕上げるのが妥当な線。
更に半年、木星蜥蜴が木連として認識され地球との和平に乗り出す頃、つまりエンディングの少し後の頃には木連とまともに戦争が出来る程度の戦力が整っている筈だ。
その時点で木連側が和平を求めてきた時、あそこの住人がどう反応するか、実に興味深い問題だ。
無駄な争いは避けるべきだと言ってはいるが、火星の住人、それこそあのオーストレールコロニーの連中からしてみればとてつもなく勝手な話になる。
勝手に戦争を仕掛けてきた上に勝手に戦争を御終いにしませんか、などと言い出すのだ。しかも実際に戦場に出た軍人や、逃げ遅れた子供など、死人は数えきれない程出ている。
そこで感情的にならずに対等な和平の道を探せれば奇特だが素晴らしい判断だと思う、会場総立ち拍手喝采。殺された連中の恨みを背負って戦ってもそれはそれでドラマチックで素晴らしい。
惜しむらくは、俺達がエンディングの途中で帰る感じの設定になっている為、その面白そうな状況を見れない事か。
ついでに、まだあの地下で粘るつもりらしい連中の為に、生活環境を改善するのに一役買った。
テラフォーミング用のナノマシンを改良したり、地上の土に含まれるナノマシンも取り込んで掛け合せてみたりして、更に高度な農業用ナノマシンを開発してやったのだ。
実はこのナノマシン、超々簡易型の次元連結システムを搭載しており、連中に提供した技術の中では一番高度な物だったりする。
異次元とこの次元を連結させるのでは無く、火星という限定された範囲内で作物を育てるのに最適な土壌をオートで検索し、不自然にならないレベルで周囲の土を入れ替える。
更には、近くに使用されていない家畜の糞や塵、生ゴミ等を粉々に分解した状態で自らの元に呼び込み周囲の土と攪拌。
これらの不自然で無い、ばれないレベルという判断も簡易型の自己推論AIにより完全制御。農業の素人が痩せた土地で農業を始めても、このナノマシンさえ使えば簡単に栄養満点で美味しい野菜を作ることが出来る。
更にUG細胞の自己増殖機能を搭載、カプセル一つ分のナノマシンで、東京ドーム一つ分の農地を賄える優れもの。増殖したナノマシンは株分けも可能だからとても経済的。
増殖しすぎる事を不安に思う人の為に、自己増殖の回数には制限を付け、古いナノマシンは順次寿命で朽ち果て田畑の肥しになる自然に寄り添うエコ使用。
色々と説明が面倒臭くなってしまったので、あそこの連中には新型テラフォーミング用ナノマシンの試作品と言い訳してある。
ともあれ、最終的には人が手を貸すのは雑草の処理と収穫だけ、完全自農ナノマシンの一つの完成系とも言える、この世界でやってきた事の総決算と言ってもいい出来栄えの作品だ。
素晴らしい、ワンダフル、スプレンディッド!
もしもオーストレールコロニーの連中が無事に地上に復帰する日が来たのであれば、その日は火星農業界における一つの節目となるだろう。
「あれこそがDGガンダムに冥王のパワァを纏った火星の伊達ワ──新世代ナノマシン」
「ごめん、日本語でお願い」
「そりゃ無理だな、なにしろ、ガイアが俺にもっと輝けと囁いているのだから」
「素で言うけどお兄さん伊達ワルとかあまりにも似あわないよね」
「その心は?」
「殺人だの触手凌辱捕食だの洗脳だのする人は、伊達ワルじゃなくて極ワル」
「極悪じゃない辺りが救いか……」
こんな間抜けな会話を何処でしているのか。
オーストレールコロニーではない。そこは数日前に発ったばかりだし、与えられた自室は監視カメラや盗聴器の類が多量に設置されていたのでこんな迂闊な話が出来るわけがない。
ならば地球かといえば当然違う。今戻っても特にするべき事が無いし、火星に来た最大の目的を果たしていないのに帰ろうなどと思える筈も無い。
ではここは何処か、ナノマシン煌めく火星の空は遠く、ここに太陽の光は届かない。
周囲を見渡す、ぐるりと三百六十度全方位、存在感抜群の機械の壁。
時折壁より突き出ているのはディストーションフィールド発生装置か。相転移砲を防げる所から見て上位互換でらる可能性は高い。
そう、ここは火星極冠遺跡中枢へ続く縦穴の途中、俺と美鳥の乗ったアストレイはこの無駄に長いすり鉢状の穴をゆっくりと降下している途中なのである。
今さっき十二枚目のディストーションフィールドを突破したから、うん、見えてきた。
一キロほど下にある遺跡中枢、演算ユニット。
「取り込むのはこの遺跡だけでいいんだよね」
「ああ、現状で他の場所に行けるか微妙だし、跳んだ先の文明が全員全能クラスのチートパワーの持ち主だったりするといやだしな」
火星の遺跡、というか跳躍装置はこの銀河の至る所に同じような物が存在しており、この火星の遺跡からもやり様によってはそれらの跳躍装置の場所にボソンジャンプする事が可能らしい。
太陽系の外からやってきた古代火星文明と呼ばれる連中はまず木星に遺跡を造り、そこを中継して火星にやって来たのだとか。
が、火星に移住したのかと言えばそうではなく、この火星も中継点で目指す場所は更に遠い星なのだそうだ。
この辺の詳しい設定はあまり存在しないらしいのだが、木星の遺跡も火星の遺跡も間違いなくオーバーテクノロジーになるのは分かっていた筈なのに完全放置とか、かなり大雑把な連中だったのだろう。
むしろこれは大雑把というよりも気風がいいと言うべきか、『自分達の持つテクノロジーは現地の文明に渡すには影響が大き過ぎる(キリッ』みたいな事を言い出す連中に少し見習わせてやりたいものだ。
「はい到着ぅ」
美鳥の声と共に着地、目の前には縄の塊を四角い型に押し込んだような形状の演算装置。
時折遺跡の壁と共に光り輝いているのは木連のチューリップが絶え間なく無人兵器を送り込んでいるからか。
アストレイのコックピットハッチを開き飛び降り演算装置の上に着地。
ずる、という音と共に爪先から身体を演算ユニットに融合させ、演算ユニットから更に遺跡全体に向けて根を張る様に融合を開始する。
深さ10キロメートル近い巨大遺跡、しかも時間移動を計算する事の可能な超高性能コンピューター。完全に融合が終了するまでに何時間掛かるだろうか。
腰まで演算装置に融合した辺りでアストレイのコックピットの中の美鳥に向かって振り向く。
「良いか美鳥、敵が来たら──」
「問答無用で口封じ、だね」
「いい子だ、飴ちゃんをやろう」
飴玉を一つ美鳥に投げ渡し、今度こそ頭まで演算装置に融合した。
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演算装置との融合を開始したお兄さんを見送り、掌を広げ投げ渡されたモノを確認する。
紐のついた歪な三角形、表面はザラザラとしていて、合成着色料でわざとらしく色づけられている。
「駄菓子屋かよ」
文句を言いつつにやけてしまう。
お兄さんがジャンクフードを好む様に、あたしもまたこういった合成着色料などの科学的な材料で作られた食べ物を好む傾向がある。
お兄さんは普段から自然食ばかりで滅多に食えないから好物になったらしいけど、あたしは少し事情が違う。
お兄さんのジャンクフード好きが精神的な物が原因であるのに対して、あたしは体質的にこういう食べ物とすこぶる相性が良い。
作り物の身体は作り物の食べ物を好む、お兄さんが科学系の能力と相性が良いのと大体理屈としては同じだと思う。
実際何を食べた所で栄養として取り込む訳でもないので関係無いのだけど、食べたあとの満足感の様なものがまるで違う。
まぁ、どんなものでも元を正せば地球から生まれた天然自然のものなのだけれど、製造工程に明らかに身体に悪そうな科学的な加工が施されていれば、それだけで一味違うように感じられるのだ。
とはいえ、科学的なものなら何でもいい訳でもない。
味覚は基本的に人間のものと変わらないので、サッカリンをザラザラ流し込んだり青色一号をペロペロ舐めて満足できる訳でもない。
そんな複雑怪奇な味と材料の妥協点として、適当な位置に存在するのが駄菓子という訳である。閑話休題。
「さて、さて」
掌を握り直し一度取り込み記憶し、改めて複製を作り出し口の中に放り込み、口の中でコロコロ、カリカリと飴玉を転がしながら身体から数冊の本とノートパソコンを作り出す。
小説が八冊、ノートパソコンには二クールアニメが二種類にエロゲ数種類。
それらを抱えたまま、警戒の為にさっきまでお兄さんの座っていたシートに、シートに──
「すんすんすん、くんかくんか、すぅぅぅ」
一瞬意識が途切れ、気が付いたらお兄さんの座っていたシートに顔を埋めていた。
口の中の飴玉はすでに消え失せている。たぶん臭いを嗅ぐのに邪魔だからさっさと飲み込んでしまったんだろう。
「…………はぁぁぁぁぁ♪」
やや蒸れ気味のシートから、お兄さんの股間から臀部にかけての匂いを肺一杯に吸い込み、思わず恍惚の溜息を漏らす。
何日も座りっぱなしだったせいか、あたしの超嗅覚がかなり濃ゆいお兄さんの匂いを検出してしまったらしい。
まいった、これじゃあ興奮して読書もエロゲも集中できないじゃないか。
仕方ない、とりあえずお兄さんの臭いが消えるまで、ちょっとだけ臭いを嗅いでお兄さん分を貯めておこう。
改めてシートに染みついた臭い、臭いを──
「やっぱり味も見ておくべきじゃね?」
誰にともなく宣言し、あたしは高鳴る動悸に背を押されるようにして、お兄さんの座っていたシートに舌を伸ばした。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
そして、半日程が経過し、ようやくシートからお兄さんの味や臭いが消えうせた。
消えうせたというか、くんかくんかしたりぺろぺろしてるうちに、あたしの臭いが上書きされてしまったというか、変態過ぎて大変面目ないというか、どうせなら臭いの染みついたシートを取り込んでおけば後々複製して楽しめたんじゃないかとか、そんな事を朦朧とした頭で考える。
「はっ、はっ、はっ──うっ、…………ふぅ」
ともあれ、ようやく落ち着いた。後処理をしないと怒られる。
涎で水溜りが出来てしまっているお兄さんのシートを、素早く作り出したタオルで拭き更にファブリーズを噴きかけて脱臭。
足元に溜まっている別の液体もささっとタオルで一拭きしてコックピット内部は洗浄完了。
人間に擬態したままだったせいで、激しい運動によって汗が噴きだし、服がぐしょぐしょで気持ち悪い。
あたしはコックピットから乗り出し、遺跡内部の空気に身を晒す。
「おおぉ、これは」
不思議な感覚。
この火星の極冠遺跡最深部、地下十キロという深さに存在している為か、少しばかり大がかりな空調で空気を対流させているらしい。
お陰でこんな日の光も届かない様な地下でありながら、新鮮な空気がさわやかに吹き抜けている。
湿った上着の前を肌蹴ると、ぐしょぐしょに濡れた下着を風が優しく撫でた。
「すーすーして気持ちいい……!」
そして一糸纏わぬあたしの下半身が、拭きぬける風による未知の刺激により驚くべき清涼感を感じている。
驚くべき開放感。驚くべき爽快感。圧倒的ゾクゾク美!
あたしは足首に引っかかっていたパンツを脚の動き一つで放り投げ、天に向け両手を広げる。
「ハレェェェルゥゥゥヤァァァァァァァァ!」
未知の感情に、何時の間にかあたしは喉が裂けんばかりに叫んでいた。
これが、人間──!
嗚呼、なぜあたしは今の今までパンツを穿いていたのだろうか。パンツを脱ぐだけで、こんなにも心は自由になれるというのに。
そう、思い返せばブラスレイター世界に自力で生まれ落ちた時、既にあたしはパンツを装着していた。
そもそも人間の姿を模倣するというのなら、人間の存在を模倣するというのなら、それは盛大な間違いだったんだ。
人間は誰しも、生まれてきた時はノーパンだった。お兄さんもそうだし、あの強壮なるお姉さんだってそう、みんなみんな、最初はノーパンで人生を始めている。
そんな単純な世界の真実を、当時のあたしは理解していなかった。
その為に、お兄さんの布団の中に潜っているという好条件でありながらパジャマ姿などという邪道を認めてしまった。
ここまで考えて、気付いてしまった。
その邪魔なパンツも言わばあたしの一部、つまり分身も同然。
あたしは、パンツと人間に対する認識が浅かったが為に、生まれながらにして存在意義の無いあたしを産み出してしまったんだ。
驚愕、愕然。
戦慄、慄然。
その感情のままに、あたしは声を荒げる。
「神様とやら、あんたは残酷だぞ!」
天を振り仰いだ姿勢のまま、がっくりと膝を落とす。
「パンツはお腹が冷えるのを防いでくれて、見えないワンポイントのオシャレにもなる!」
天に向けられていた両の拳を地面──展開したコックピットに叩きつける。
「だがその結果、お腹を壊す事は無くなり、オシャレに気を使う余りパンツを脱ぐのを躊躇う事が多くなり、多くのパンツ否定派が絶望する!」
叩きつけていた手を、再び天に掲げる。
その手には、先に蹴り飛ばした筈のパンツが握られていた。
全体的に湿り気を帯び、一部はぐっしょりと濡れそぼっている。
パンツが泣いているのか、自らの宿命を嘆いて。
「そいつがあんたの思し召しか。パンツはいったい、パンツは何の為にあるんだ!!」
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半日ほど掛けてパンツの宿命に涙を流し、泣き疲れて眠りこけ、一日半ほど経ってから起床。
ここからは太陽は拝めないけど、体内時計によれば今は太陽系標準時間で朝。
時間が経ったせいか、涙と何かの汁の後で顔も股も握りしめたパンツもかぴかぴになっている。
パンツをプラズマ発生装置で燃やし証拠隠滅、アストレイから飛び降り、シャワー室と貯水槽を異次元から召喚して身体を洗ってさっぱりリフレッシュ。
シンプルなシャツとズボンに着替え、テーブルとイス、そして簡単な朝食を作り出す。
ささっとトーストを焼き、ピーナッツバターを塗りたくって齧る齧る齧る齧る。
口の中いっぱいに詰め込まれたトーストをもっしゅもっしゅと咀嚼し、ホットミルクで流し込む。
一息。
うっすらと輝く演算ユニットに向けマグカップを優雅に掲げ、一言。
「パンツの運命とか、マジでどうでもいいわ……」
初めての露出の快感で一時的に頭がどうにかしてしまったんだと思うよ、うん。
そんな訳であれは黒歴史認定、以下何事も無かったかのように作業続行。
「それっ」
触手を勢いよく伸ばし、コパイシートに置きっ放しの本とノートパソコンを掴み上げテーブルの上に引き寄せる。
小説九冊の内訳は、上下巻が二セットと、三巻完結一セット、三巻完結の外伝が一冊。
上下巻二セットは同じ世界で、作中で事件が起きる時期は一九九六年の年末と一九九七年の六月。
三巻完結は正確な年代は不明だが短い期間で終わって、外伝は本編開始二年ほど前。これは更にパソコンの中に続編がインストールされている。
更に三巻完結の作品とは表向き関係無い事になっているエロゲが一本。
二クールアニメは長くなるから後回しでいいとして、先に小説とエロゲを片付けよう。
「ふむむ」
ず、とホットミルクを啜り、とりあえず小説を片手でパラパラとめくり読み、内容を把握する。
この八冊とノートパソコンはお姉さんがあたしにこっそりと託していたモノで、このスパロボ世界での技術収集が終わりに近づいた時に取り出しが可能になるという仕掛けになっていた。
スパロボ世界でお兄さんがどれほど強くなったかを考えて、これらの作品のどれが次のトリップ先として適切か考えておいてと言われている。
お姉さんも一応考えてはみるらしいけど、お兄さんと殆ど同じ能力で、なおかつお姉さんの経験を極々一部とは言え引き継いでいるあたしの意見はかなり参考になるらしい。
まぁ、お姉さんはそこら辺の力の感覚が大き過ぎてイカレ気味なのでそこら辺正常なあたしにアドバイスを求めるのは間違っちゃいないと思う。
思うのだけど……。
「これは、ちょっと過保護過ぎねぇ?」
上下巻二セットは難易度が低く、お兄さんを殺しきれる存在がほぼ存在しない。
三巻完結の小説は結構苦戦しそうな難易度だけど、最後の方に挟まっていた栞には『こっちに行くならお姉ちゃんも保護者として同行』とかサインペンで書かれていた。
「どっちにしてもヌルゲじゃん……」
呆れる。
修行トリップには同伴しないんじゃなかったのかよ。これならお姉さんの持ち物から適当なアイテムでも取り込ませる方が手っ取り早いって話になってしまう。
少し冷めたホットミルクを飲み干しマグカップをばりばりと噛み砕き飲み込む。
ノートパソコンを開き電源を入れ起動、エロゲとアニメのデータ、それを動かすのに必要な最低限のソフトしかインストールされていないおかげで無駄に立ち上がりが早い。
インストールされているゲームは二種、片方は三巻セットの続編だから難易度も似た様なものとして、もう片方は──
「ん、今のところはこれが一番丁度いい、かな?」
これはお兄さんが前プレイしていたのを後ろから見ていたので大体のあらすじは分かる。
科学系の能力はかなり手に入ったし、次は一旦不思議能力とか不思議存在を取り込むのが賢いと思うし、敵を選べば苦戦もするけど死にはしない適度な難易度。
ただ、この作品世界に行くと、ちょっとした問題が発生してしまう。
逆に言えばその問題を無視出来れば、これ以上無いほど次のトリップ先として相応しい世界ではある。
相応しい世界ではあるんだけど……
「キャラ被りとか、マジで勘弁して欲しいなぁ……」
これまでに見てきた、ブラスレイター世界とスパロボJ世界の二次元キャラの三次元化後の姿。
そのパターンを考えると、この作品のとあるキャラは、なんというか、あたしの、ねぇ?
遺跡の壁を見上げる。まだまだ遺跡全体との融合には時間がかかるようだし、考える時間だけは腐るほどあるしまずは自力で全編通してプレイしてみるべきだよね。
それに万が一あたしがこれを選んでも、お姉さんが何か反論を入れて他の作品に変更してくれるかもしれない。
本家本元の姿を突き付けられた中国某遊園地のパチモノマスコットの気分を味わいながら、あたしはぺしぺしとエンターキーを叩きテキストを読み進めた。
続く
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人は何故パンツを穿いて生活するのか、そんな事を考える夏の一コマ。
技術説明やらなにやらばっかでだんだんダレてきた第二十七話でした。
オーストレールコロニーの現在の状況とか、まるきりオリ設定です。
何だかんだで今のところどうにか維持してるけど、下手をすればその内ソイレントグリーンとかミートキューブが作り出されていたかもしれない程度には切羽詰まって居た感じで。
暑くて頭が上手く働かないので自問自答コーナーはお休みです。不明瞭な点に関しては感想板にでも書き込んで頂ければ。
次回で盛り上がりに欠ける外伝も最終回。
その後に日常編とセットになった一話完結強制トリップ話を挟んだ後で第三部開始になります。お楽しみに。
ではでは、誤字脱字の指摘、分かり難い文章の改善案、設定の矛盾、一行の文字数などのアドバイス全般、そして、短くても長くても一言でもいいので作品を読んでみての感想などなど、心よりお待ちしております。