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No.14434の一覧
[0] 【ネタ・習作・処女作】原作知識持ちチート主人公で多重クロスなトリップを【とりあえず完結】[ここち](2016/12/07 00:03)
[1] 第一話「田舎暮らしと姉弟」[ここち](2009/12/02 07:07)
[2] 第二話「異世界と魔法使い」[ここち](2009/12/07 01:05)
[3] 第三話「未来独逸と悪魔憑き」[ここち](2009/12/18 10:52)
[4] 第四話「独逸の休日と姉もどき」[ここち](2009/12/18 12:36)
[5] 第五話「帰還までの日々と諸々」[ここち](2009/12/25 06:08)
[6] 第六話「故郷と姉弟」[ここち](2009/12/29 22:45)
[7] 第七話「トリップ再開と日記帳」[ここち](2010/01/15 17:49)
[8] 第八話「宇宙戦艦と雇われロボット軍団」[ここち](2010/01/29 06:07)
[9] 第九話「地上と悪魔の細胞」[ここち](2010/02/03 06:54)
[10] 第十話「悪魔の機械と格闘技」[ここち](2011/02/04 20:31)
[11] 第十一話「人質と電子レンジ」[ここち](2010/02/26 13:00)
[12] 第十二話「月の騎士と予知能力」[ここち](2010/03/12 06:51)
[13] 第十三話「アンチボディと黄色軍」[ここち](2010/03/22 12:28)
[14] 第十四話「時間移動と暗躍」[ここち](2010/04/02 08:01)
[15] 第十五話「C武器とマップ兵器」[ここち](2010/04/16 06:28)
[16] 第十六話「雪山と人情」[ここち](2010/04/23 17:06)
[17] 第十七話「凶兆と休養」[ここち](2010/04/23 17:05)
[18] 第十八話「月の軍勢とお別れ」[ここち](2010/05/01 04:41)
[19] 第十九話「フューリーと影」[ここち](2010/05/11 08:55)
[20] 第二十話「操り人形と準備期間」[ここち](2010/05/24 01:13)
[21] 第二十一話「月の悪魔と死者の軍団」[ここち](2011/02/04 20:38)
[22] 第二十二話「正義のロボット軍団と外道無双」[ここち](2010/06/25 00:53)
[23] 第二十三話「私達の平穏と何処かに居るあなた」[ここち](2011/02/04 20:43)
[24] 付録「第二部までのオリキャラとオリ機体設定まとめ」[ここち](2010/08/14 03:06)
[25] 付録「第二部で設定に変更のある原作キャラと機体設定まとめ」[ここち](2010/07/03 13:06)
[26] 第二十四話「正道では無い物と邪道の者」[ここち](2010/07/02 09:14)
[27] 第二十五話「鍛冶と剣の術」[ここち](2010/07/09 18:06)
[28] 第二十六話「火星と外道」[ここち](2010/07/09 18:08)
[29] 第二十七話「遺跡とパンツ」[ここち](2010/07/19 14:03)
[30] 第二十八話「補正とお土産」[ここち](2011/02/04 20:44)
[31] 第二十九話「京の都と大鬼神」[ここち](2013/09/21 14:28)
[32] 第三十話「新たなトリップと救済計画」[ここち](2010/08/27 11:36)
[33] 第三十一話「装甲教師と鉄仮面生徒」[ここち](2010/09/03 19:22)
[34] 第三十二話「現状確認と超善行」[ここち](2010/09/25 09:51)
[35] 第三十三話「早朝電波とがっかりレース」[ここち](2010/09/25 11:06)
[36] 第三十四話「蜘蛛の御尻と魔改造」[ここち](2011/02/04 21:28)
[37] 第三十五話「救済と善悪相殺」[ここち](2010/10/22 11:14)
[38] 第三十六話「古本屋の邪神と長旅の始まり」[ここち](2010/11/18 05:27)
[39] 第三十七話「大混沌時代と大学生」[ここち](2012/12/08 21:22)
[40] 第三十八話「鉄屑の人形と未到達の英雄」[ここち](2011/01/23 15:38)
[41] 第三十九話「ドーナツ屋と魔導書」[ここち](2012/12/08 21:22)
[42] 第四十話「魔を断ちきれない剣と南極大決戦」[ここち](2012/12/08 21:25)
[43] 第四十一話「初逆行と既読スキップ」[ここち](2011/01/21 01:00)
[44] 第四十二話「研究と停滞」[ここち](2011/02/04 23:48)
[45] 第四十三話「息抜きと非生産的な日常」[ここち](2012/12/08 21:25)
[46] 第四十四話「機械の神と地球が燃え尽きる日」[ここち](2011/03/04 01:14)
[47] 第四十五話「続くループと増える回数」[ここち](2012/12/08 21:26)
[48] 第四十六話「拾い者と外来者」[ここち](2012/12/08 21:27)
[49] 第四十七話「居候と一週間」[ここち](2011/04/19 20:16)
[50] 第四十八話「暴君と新しい日常」[ここち](2013/09/21 14:30)
[51] 第四十九話「日ノ本と臍魔術師」[ここち](2011/05/18 22:20)
[52] 第五十話「大導師とはじめて物語」[ここち](2011/06/04 12:39)
[53] 第五十一話「入社と足踏みな時間」[ここち](2012/12/08 21:29)
[54] 第五十二話「策謀と姉弟ポーカー」[ここち](2012/12/08 21:31)
[55] 第五十三話「恋慕と凌辱」[ここち](2012/12/08 21:31)
[56] 第五十四話「進化と馴れ」[ここち](2011/07/31 02:35)
[57] 第五十五話「看病と休業」[ここち](2011/07/30 09:05)
[58] 第五十六話「ラーメンと風神少女」[ここち](2012/12/08 21:33)
[59] 第五十七話「空腹と後輩」[ここち](2012/12/08 21:35)
[60] 第五十八話「カバディと栄養」[ここち](2012/12/08 21:36)
[61] 第五十九話「女学生と魔導書」[ここち](2012/12/08 21:37)
[62] 第六十話「定期収入と修行」[ここち](2011/10/30 00:25)
[63] 第六十一話「蜘蛛男と作為的ご都合主義」[ここち](2012/12/08 21:39)
[64] 第六十二話「ゼリー祭りと蝙蝠野郎」[ここち](2011/11/18 01:17)
[65] 第六十三話「二刀流と恥女」[ここち](2012/12/08 21:41)
[66] 第六十四話「リゾートと酔っ払い」[ここち](2011/12/29 04:21)
[67] 第六十五話「デートと八百長」[ここち](2012/01/19 22:39)
[68] 第六十六話「メランコリックとステージエフェクト」[ここち](2012/03/25 10:11)
[69] 第六十七話「説得と迎撃」[ここち](2012/04/17 22:19)
[70] 第六十八話「さよならとおやすみ」[ここち](2013/09/21 14:32)
[71] 第六十九話「パーティーと急変」[ここち](2013/09/21 14:33)
[72] 第七十話「見えない混沌とそこにある混沌」[ここち](2012/05/26 23:24)
[73] 第七十一話「邪神と裏切り」[ここち](2012/06/23 05:36)
[74] 第七十二話「地球誕生と海産邪神上陸」[ここち](2012/08/15 02:52)
[75] 第七十三話「古代地球史と狩猟生活」[ここち](2012/09/06 23:07)
[76] 第七十四話「覇道鋼造と空打ちマッチポンプ」[ここち](2012/09/27 00:11)
[77] 第七十五話「内心の疑問と自己完結」[ここち](2012/10/29 19:42)
[78] 第七十六話「告白とわたしとあなたの関係性」[ここち](2012/10/29 19:51)
[79] 第七十七話「馴染みのあなたとわたしの故郷」[ここち](2012/11/05 03:02)
[80] 四方山話「転生と拳法と育てゲー」[ここち](2012/12/20 02:07)
[81] 第七十八話「模型と正しい科学技術」[ここち](2012/12/20 02:10)
[82] 第七十九話「基礎学習と仮想敵」[ここち](2013/02/17 09:37)
[83] 第八十話「目覚めの兆しと遭遇戦」[ここち](2013/02/17 11:09)
[84] 第八十一話「押し付けの好意と真の異能」[ここち](2013/05/06 03:59)
[85] 第八十二話「結婚式と恋愛の才能」[ここち](2013/06/20 02:26)
[86] 第八十三話「改竄強化と後悔の先の道」[ここち](2013/09/21 14:40)
[87] 第八十四話「真のスペシャルとおとめ座の流星」[ここち](2014/02/27 03:09)
[88] 第八十五話「先を行く者と未来の話」[ここち](2015/10/31 04:50)
[89] 第八十六話「新たな地平とそれでも続く小旅行」[ここち](2016/12/06 23:57)
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[14434] 第二十六話「火星と外道」
Name: ここち◆92520f4f ID:bbe4acae 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/09 18:08
そんな訳で、グレイブヤードにやってきて多分一月ほど時間が経過した。それだけの時間で、ロウ・ギュールは剣術の修業と鍛冶技術の習得に時間を費やし、朽ち果てる寸前だったガーベラストレートを見事に再生してみせた。
鍛冶師の修業は何年にも渡ってじっくり技を磨きあげるものだと聞いたのだけれど、まぁこういった主人公の学習速度に突っ込みを入れるのは野暮なんだろう。
一応ガーベラの作り方に関しては完全なデータが残っているし、実際に打つのがロウ自身では無くレッドフレームなのも関係しているのかもしれない。
さて、実際の修復されたガーベラストレートの出来栄えはと言えば、間違いなく極上の仕上がりだった。
抜けば玉散る氷の刃、とはよく言ったもので、濡れたような刀身の輝きはそういうモノに対する関心が薄いあたしでも美事と褒めてやりたくなる。
刀身に映った光輝が水の様に刃の上を流れ、先端から水滴のように零れ落ちる。そんな幻が見える程。
漫画版、しかも戸田版の150ガーベラの時の切れ味とかは流石に誇張だろうと高をくくっていたけど、この美しさを保てるなら有り得ない話では無いと思う。

「どーだい卓也、できたゼッッ!」

そのガーベラストレートを修復した技術で、ロウのレッドフレームはつい先ほどようやくお兄さんのグランドスラムの打ち直しを終えたのだった。
お兄さんの目の前の地面に、ズ、と音を立てて静かに新生したグランドスラムの刃が突き刺さる。
金属の床に金属の刃を突き立てたとは思え無いような滑らかな入り。
これでレッドフレームが柄を持つ手を放したら、そのまま刀身が全て地面に埋まってしまうのではないかと思うような鋭さ。

「お、お、おぉぉぉぉぉぉ……」

その膝はグランドスラムが折れた時と同じように地面に付き、しかし今お兄さんの中に浮かぶ感情はあの時とは真逆のベクトルを向くタイプのもので間違いない。
鈍く光る刀身を見つめる瞳はウルウルと、というかむしろキラキラと、いやいや表現が優し過ぎたか、眼がカメラのフラッシュライトになったのかと疑いたくなるほど光り輝いている。
あたしは子供というとルリだの小介だのそこら辺の一般的な子供に分類できない連中しか見たことが無いけど、たぶんこういう表情の事を『新しいおもちゃを買ってもらった子供のような』と表現するんだと思う。『トランペットを見つめる少年』でもいいかもしれない。
かわいい、というにはお兄さんは大き過ぎるけど、今のあたしの感想はそんな感じだ。
まるで子供みたいというか、いや、年齢的にあたしの方が圧倒的に子供なのは理解しているんだけど、それでも何処か微笑ましいというか。
だけど、それも仕方の無い事だと思う。それだけロウの仕事が見事過ぎるのだから。
折れたグランドスラムと数種のレアメタルを材料に造られたこの太刀は、ロウのレッドフレームが使う、ファンの間で有名なガーベラストレートとはまた違う思想で作られている。
日本刀と言えば、その刃紋の美しさが有名だろう。だが、この太刀の刀身には目立つ刃紋は無く、一般的な日本刀に比べれば無骨な印象を受ける。
オリジナルのグランドスラムにあった刃紋の様な模様に似ていると言えばいいのか、鋭さよりもその刃金の粘り強さ、強靭さを重視したが故の特殊な製法の為らしい。
ジジイが言うには、元のグランドスラムの開発には、ガーベラを打った鍛冶師と同門の鍛冶師が関わっていたのかもしれないとの事。
切れ味ではどうやってもビームサーベルに劣る実体剣。軍での開発に協力する以上は、ビームサーベルとは方向性の違う武器を作り出す必要があった。
それゆえの耐久性。ザフトの重斬刀よりは切れ味に優れ、それでいてエネルギーを喰うビームサーベルよりも長時間連続使用が出来るような太刀を目指したのだろうと。
それをこのグレイブヤードで死の直前まで掛けて技を磨いたガーベラの鍛冶師の技と、ロウがガーベラの打ち直しをしている際に思いついた幾つかのアイディアを加え、見事に再現、いや、更に上等な太刀へと昇華させたのである。
レッドフレームが地面からグランドスラムを引き抜き、簡素ながらも頑強そうな拵えの鞘に納刀し地面に横たえる。
ロウがレッドフレームから飛び降りお兄さんの前に着地した。

「これ、本当に貰ってっていいんだよな!?」

今から返せと言われても絶対に返さないだろうと一目で分かるお兄さんのはしゃぎ様にロウは胸を張って答え、次いで少しだけ申し訳なさそうに謝る。

「おう! つっても、元はと言えば俺が壊したのが原因だからな。一月も待たせちまって悪かった」

ロウの謝罪に少し考える様な表情を取ると、お兄さんは懐から何かディスクの様なものを取り出しロウに向け放り投げる。
ディスクをキャッチしたロウはそのディスクをしげしげと眺めた後、お兄さんに向き直った。

「これは?」

「釣りだ。予想外に上等な物に仕上がったから、その礼みたいなもんかな」

お兄さんの答えに、ロウは少し困ったような顔で。

「まいったな、中身次第じゃ借りが返せないぜ」

「それだけの『価値』が、あのグランドスラムには生まれたって事だ。ありがたく受け取っておけよ」

ニッ、と歯を剥き出しにして笑うお兄さんと、吊られて笑うロウ。
青春っぽいというか何と言うか、ここは何時から少年漫画の一場面にって、そういやアストレイは少年漫画だったか。
どうでもいいけど、この後も最寄りのコロニーまで同じ艦で移動するんだよね。
後でこの青臭いやり取り思い出して、お兄さんがゴロゴロ地面を転がって悶え始めなきゃいいんだけど……。

―――――――――――――――――――

■月◆日(我慢ならん!)

『そんなこんなで最寄りのコロニーに降ろして貰い、ジャンク屋連中との束の間の同道は終了。アストレイファンとしては貴重な経験だった……』

『新生グランドスラムの余り質実剛健ぶりに、思わず木星蜥蜴のジャンクから作れる小型の相転移エンジンの設計図を渡してしまったが何も問題はない』

『むしろここでNJCの設計図とか渡さないあたりは理性的だったと思って貰えると思う。まぁ、そも核エンジンを入手する事が難しいので渡してもすぐには活用できないから除外したって理由もある訳だが』

『閑話休題。ジャンク屋と別れた俺達は、さっそく次の目的地、火星へと跳んだ。目指すは火星極冠遺跡、標的は遺跡中枢ユニット!』

『が、ボソンジャンプ一発で遺跡の中枢に跳べるかと思っていたのだが、どうにもこうにも上手くいかず、少し離れた場所にある廃棄コロニーへとジャンプアウトしてしまった』

『翻訳ミス無しで正確にジャンプ先を指定できる俺達なら楽勝とか、帰りに焼き物に使える火星の土でも探して行こうかなとか、色々雑念が入りまくってしまったのが原因だと思う』

『まぁ、地球に戻るのは連合が三馬鹿の機体を開発してからでいいので時間はたっぷりある。ナデシコに居た時にギガフロート防衛戦の記事は手に入れているからスケジュール管理もばっちりだ』

『というかぶっちゃけた話、オーブでナデシコと別れた直後、俺と美鳥が過去に跳んだ直後辺りに戻れば色々と揃っていて丁度いい。アメノミハシラの座標はオーブで手に入れてあるし、連合艦隊に忍び込めば三馬鹿の機体も楽に手に入る』

『つまり、地球に戻るまでの猶予は実に半年以上! 焦る必要が欠片も見当たらないので、極冠遺跡まではグラドスと蜥蜴どもを蹂躙しながら進もうと思う』

―――――――――――――――――――

まずはじめに、アストレイの話をしよう。
ここで言うアストレイとはオーブで正式に採用されたM1アストレイの事では無く、ヘリオポリスで秘密裏に作られていたプロトアストレイの事だ。
これら五機(正確には完成した三機と二機分の予備パーツ)は、基本的にコンピュータ内のデータ、使用されているOSなど以外で性能・デザイン面では塗装以外全く同じと言って良い。
だが、これら同じデザインの五機は、最終的に全て異なる目的の為に異なる改造を施され、ほぼ別機体と言ってもいい程の差別化がされる。
特にそれが顕著なのが、オーブの影の支配者と言ってもいいサハクのバックアップを受けて改修され続けるゴールドフレームと、コンピューター内部に残された武装データや劾のオリジナルの武装案、更にロウ特注のパーツなどが組み込まれたブルーフレームだろう。
更に後にはミラージュフレームなどもライブラリアンによって大幅に改造され、こちらはほぼ原形が残っていない有様だ。
結局俺が何を言いたいのかと言えば、アストレイは基本の形に縛られない機体だと言う事だ。
基本の形、戦闘用MSの試作機という王道を外れ、思うがままにそれぞれの道を進む。
それがアストレイというMSなのである。
つまり──

「どんな魔改造も、それがアストレイであるならば正当化されるという事だ」

「いやまぁ、無改造アストレイでナデシコ設定の火星ぶらり旅とか難しいからいいけどさぁ」

難しいどころか攻略不可のクソゲーになってしまう事は間違いない。
仮に元のこいつであれば、今現在も此方に向けて絶え間なく発射されているグラビティブラストの嵐に耐えられず、文字通り一瞬でぺしゃんこになって潰れていただろう。
が、動力をバッテリからお決まりの光子力とオルゴンの複合エンジンと次元連結システムの二段構えに換え、辺り前のように高出力のディストーションフィールドを展開しているこのアストレイであれば、それらの攻撃を軽く無視して先に進む事ができるのである。
高重力の嵐により歪んだ景色を眺めながら、増設したコパイシートに乗る美鳥にのんびりと問いかける。

「で、この先にあるのが?」

「なんたらコロニーを三日前に抜けたから、えっと」

美鳥が空中にウィンドウを浮かべ現在地を確認する。
地図を見ながらひとしきりうんうん唸り、後ろのコパイシートから乗り出し俺に見える位置にウィンドウを移動させた。

「今ここで、」

ウィンドウの地図上の一か所を指差し、

「こっちに行くのが、まぁ妥当なルートだよね」

ついっ、と指を真っ直ぐ動かす。
指の動きに合わせウィンドウ上の地図がスクロールし、極冠遺跡を表示した。
地図上の現在地を指し示す矢印は丁度美鳥が示した方向を向いている。

「遺跡にまっすぐ向かうならこのまま直進か」

「まぁ、時々進路確認ぐらいはするべきだとは思うけどね」

「妥当じゃないルートは?」

「うーん、と」

美鳥がウィンドウの端を指先で軽く叩き、極冠遺跡周辺を表示していた地図を現在地まで戻す。
再び地図を別の方向にスクロールすると、その先には赤い点でマーキングされたコロニーが現われる。

「ここのコロニー跡を通って」

地図が更に広範囲を現すものとなり、その赤い点でマーキングされたコロニーと、他のコロニーが点線で結ばれているのが分かる。
やや遠周りになり、というか、火星を軽く半週するほどの道のりだ。

「このルート、かな」

それらの位置にあるコロニーの情報を、俺はナデシコで調べた火星の情報と頭の中で照らし合わせた。
木星蜥蜴が攻めてくる前の都市情報、それこそネルガルの企業秘密なども合わせれば、これらのコロニーの共通点が見えてくる。

「なるほど、地下構造物探索か」

「そゆこと」

ネルガルの研究所、ネルガル傘下の子会社の研究所に加え、ライバル企業の研究所、更には火星入植直後に廃棄されたテラフォーミング実験場。
それらを地下に備えるコロニーを巡って行こうというのだ。
たぶん本命はこのテラフォーミング用ナノマシン実験場跡地。
オーストレールコロニーを表に構えるこの実験場は、火星移住初期の段階において真っ先に入植者の住める場所を確保する意味もあり、小さめの都市一つがそのまま収まる程度の広さを有している。
そういった入植直後の地下施設は外部からの影響を厳重に遮断する為に外壁などが頑強に作られており、上に都市が築かれている事からカモフラージュも容易い。
ユートピアコロニー跡の地下とは比べ物にならない規模で生き残りが潜伏している可能性は十分にある。
しかもその実験場の上にあるのは他のコロニーとは一線を画する技術を持っていたオーストレールコロニー、地下に潜伏し、着々と反撃の準備をしている可能性は大いにあり得る。

「光の翼もどきは望み薄だろうけどねぇ」

「ま、運がよければ基礎技術くらいは手に入るだろ」

確かCE70時点じゃデルタは完成していないが、それでも独自の発展を遂げたMAが存在していたはず。
もっとも、それらのMAなども、本当に生き残りの火星人が居なければ話にならない訳だが……。
まぁ、どちらにしても、だ。

「こういう連中をぞろぞろ引き連れてくのはいかんよな」

レーダーを見る。周囲は一マス分開けてびっしりと敵の反応を示す赤いマーカー。
スパロボで例えるなら、広大なマップ一面が敵ユニットで埋まって真っ赤っか、といった状況。チューリップがあるから、倒しても倒しても撃墜した端から補充されるのだろう。
無人兵器とはいえ俺達に廻し過ぎだ。まぁ、占領してからかなり経過しているから俺達以外に構う相手も居ないんだろうが。
武装の用意、とりあえずテストも兼ねてグランドスラムで少し刻んでみるか。

「グランドスラムレプリカ」

「もう出した!」

指示を出すよりも早く美鳥が大量に複製を作っておいた太刀型グランドスラムのレプリカ改造品を異次元から呼び出し、アストレイに持たせていた。
事前に『オリジナルは大事にとっておこう』と言っておいたが、それでも両手持ちの太刀を片手に一本づつ、俺に言われるまでも無く用意しておいた美鳥。
俺も美鳥もアストレイに半融合状態であるため、アストレイを通して半ば融合している俺の思考を直に読み取っての事だろう。例え話ではなく、文字通りの以心伝心。
まぁそもそも態々複座にするよりもそれぞれ別の機体に乗った方が効率はいいのだが、もうこの世界の火星なら俺達の内どちらか一人だけでも無双出来てしまう為、二機に分かれる必要が無いのだ。
そんな訳でパイロットの居ないソルテッカマンとパラディンは併せて別の次元に収納してある。
実は無改造のアストレイとレッドフレームのコピー、オリジナルのグランドスラムやガーベラのコピーも大事に収納してあったりする。
あくまでもオリジナルのアストレイはコレクションアイテム。改造するなら複製を使うのは当たり前の発想だろう。

「しかし、せっかく即席とはいえ複座に改造して、サブパイが武器を出す辺りまでやったのに、光装甲っぽい素材が一切存在しないのは勿体ない」

一瞬、オルゴン粒子をソードとかと同じように固めて装甲に被せる、とか考えたが強度が危険すぎるのでアウト。
武器にも使える癖にかなりパリパリ景気良く割れるからな。これまでのフューリーとの戦闘記録から考えても脆いイメージしか無い。

「設定上かなり頑丈なのに、アンチゼーガが登場してからあんまり堅くなさそうなイメージが付いちゃったよねぇ」

「破壊されない、って前提を覆されたから仕方がないんだけどな。つうか、強度の話じゃなくて見た目の話なんだよ見た目の」

デザイン的にはアンチゼーガの方が好みだが、それこそどうやって手に入れろって話になるからな。
似たようなクリアパーツ仕様の頑丈な装甲、どっかで手に入ればなぁ。

「じゃああれだよ、決め台詞とかで行こう!」

「あれは戦闘開始の台詞じゃなくて転送時の掛け声だろ」

大体、あれ系の決め台詞って得てして何かしらの理由があるから、何も考えずに台詞だけ頂くってのは恥ずかしいものなのだ。
因みに転送時のお決まりのあれは、量子テレポートの動詞形なのだとか。

「大丈夫、どうせこんなど真ん中から切り込んでたら切りがないし、チャージング終了と同時にこいつらの最後尾、チューリップの後ろに転位するからそん時にでも言えば」

「む、まぁ、そこまで言うなら」

本当はそんな無理矢理な理由であの掛声を使いたくない。好きな作品のネタであるが故に、逆にいざ使う段になると尻ごみしてしまうのだ。
うん、でも可愛い妹っぽいサポート役にここまでお膳立てされては仕方がないだろう。
だってここから全方角に攻撃を仕掛けるとなると手間だしな。どうせ転移するのだし、うん、当然ながら本意では無いのだ本意では。
とりあえずディストーションフィールドに回していた大量のエネルギーを重力制御装置に叩き込んで、と、ああ大変だ。本当に仕方のない。

「チャージ完了。お兄さん、何時でも行けるよ!」

まことに遺憾であるというか、ああもう、参った参った。
ええ、へへへ。

「エンタングルッ!!」

―――――――――――――――――――

きゅお、という何かを吸いこむような音と共に、木連の無人兵器群を吐き出すチューリップと、その正面に展開していた無人兵器群が砕け散る。
一条の超高圧重力波がキラキラと輝く軌跡を描き、その軌跡の中に生まれた無数の爆炎が火星の空を彩る。
高出力のグラビティブラスト。規格外の超エネルギーを元に生み出されるそれは一度では終わらない。
発射する位置、方向を変えながら、千を超え万を超える無人兵器を尽く押し潰していく。
途絶える気配の無い破壊の連鎖。それを生み出すモノは如何なる怪物か。
無情な破壊を生み出すそれは、空を飛んでいた。
両の手に長大な抜き身の太刀を下げ、爆炎や残骸を避け、空を泳ぐ様に飛んでいる。

「まずは、そうだな」

それは人を模した機械の塊であった。白でも黒でもない、精製した金属の塊からそのまま削り出したかのように見える無造作な鋼の色に身を包む機械人形。
その機械人形には未だ正式な名は無く、ただアストレイ(邪道)というその在り方を端的に表した呼び名だけがある。
アストレイは数秒毎にいくつもの方向に向け重力波を放ち、その度に空を行く無人の戦艦を十数隻纏めてクズ鉄へと戻していく。

「コロニー近くのチューリップ、全部潰してみるか」

アストレイを操る男──鳴無卓也が事も無げに呟く。この火星に生き残りが居たのならば、この言葉を聞いていたのならば、口をそろえてこう言うだろう。
『何を馬鹿な』『そんな無茶な』
と。火星に無数に存在していたコロニーを全滅させた木星蜥蜴は、常識的に考えればたった一機の機動兵器でどうにか出来るものではないからだ。
何しろ地球軍の艦隊が全滅させられているのだ。20メートル級の機動兵器でどうにかできると考える方がおかしい。

「その方がゆっくり探索出来ていい感じだしねぇ」

だが卓也の後ろ、コパイシートに座る少女──鳴無美鳥は彼の無茶な提案に気楽そうに返事を返す。まるで夕飯のメニューでも語るように軽い返事。
そう、彼等にとって、木星蜥蜴は気を張るような相手では無い。彼等と彼等の機体にとって、木星蜥蜴の無人兵器は驚異足り得ないのである。
それは本来MSではありえない、不可能な事だ。MSはそんな状況で戦う事を想定していない。
それが可能なのは、このMSがアストレイだからこそ。MSという兵器の括りに入れる事をためらってしまう程の邪道なまでの魔改造を受け、その名の通りMSの王道を外れ、大量破壊兵器として生まれ変わった、この無色のアストレイにのみ許された暴虐。
それ故に、このMSには名前が無い。色も無い。情熱の赤ではなく冷静の青でもなく高貴な金でもない。
ただただ邪道、外道、鬼道を歩むモノ。『アストレイ』という言葉以外ではこのMSの存在を定義する事は出来ないのである。
 ちゃき、という音と共に両の手の太刀を構え直し、手近な距離まで近付いていた虫型の無人兵器目掛け振り下ろす。
本来両手で扱う獲物をなんなく取り回し、流れるような動きで細かい無人機を斬り伏せる。
もはやMSの腕ではない。その腕は、内部の機械は、全てスーパーロボットの様な恐ろしい力を、強靭さを秘めている。
動きの滑らかさはMFのそれですら及ばない。生身の達人にも迫る流れる様な斬撃。
グラビティブラストの弾幕を掻い潜る事の出来る小型の虫型無人機は鏡の様な切断面を見せ、次から次へと解体されていく。
空を駆けるアストレイに近寄られた大型の虫型機動兵器も無人の戦艦も、どういった理屈か、刃渡りよりも分厚いその胴を輪切りにされ、時には二枚に三枚に下ろされ、瞬く間に数を減らしていく。
ディストーションフィールドが薄紙でも切り裂くような気安さで易々と抜かれ、無防備な金属の身体を割断する。
 木星蜥蜴の無人兵器もただ黙って落とされている訳では無い。三連ショックレーザーが、ミサイルが、小型兵器のディストーションフィールドを張った特攻が、グラビティブラストが、アストレイ向けて放たれる。
撃墜される直前まで持てる全ての性能を出し切らんと攻撃を続ける無人兵器。
だが、それらの攻撃は尽く無効化されてしまう。
レーザーとグラビティブラストは強力無比なディストーションフィールドで逸らされ逆に味方を撃ち抜き、機銃は身のこなしだけで避けられ、ミサイルは両の手の太刀で爆発する前に解体され、特攻した無人兵器はディストーションフィールドを無視する謎の斬撃で呆気なく切り捨てられた。
火星の人類をその武力で持って殲滅した木星蜥蜴。しかし、その木星蜥蜴が今、たった一機のMSによって虫を潰すかの気安さで蹂躙されている。
暴力という概念をそのまま実体化させた様な光景。
それを、遥か遠方より観測する者が居た。
SPT、しかしグラドス軍の物では無い。所々のパーツがグラドス製の物ではなく、火星で主に使用されているMAのパーツやASのパーツに組み替えられている。
砂岩迷彩を施したSPTを岩場に隠し、エンジンの火を最小限に絞り息を潜める様にして、それでいて注意深く無人兵器を撃墜し続けるアストレイをメインカメラの望遠機能だけでしっかりと追い続けている。
SPTのコックピットの中、ノーマルスーツを着込んだパイロットは厳しい視線をモニタに向けて送っていた。

「……」

じっ、と、戦いの成り行きを見つめ、木星蜥蜴と駆逐するMSが何者か、自分達の害になるものか、それとも益を齎すものかを見極めようとしている。
半年以上前に火星に降りてきたネルガルの戦艦はチューリップに呑み込まれていった。中途半端な戦力では与するのも危険。
だが仮に戦力的に充分だったとしても、それが自分達にとって好意的な存在であるとは言い切れない。
木星から侵略者がやってくる時代なのだから、また他の星からやってきた別口の侵略者の可能性だってある。MSに見えるあの機体もMSによく似た何かである可能性だってある。
 そんな事を考えている内に、空を覆い尽くさんばかりの木星蜥蜴の無人兵器は殆ど破壊し尽くされてしまったようだ。初撃でチューリップを破壊したのがよかったのだろう、これで暫くは増援も来ない。
状況が一段落しSPTのパイロットは、木星蜥蜴を蹂躙していた機動兵器に通信を入れるべきか、それとも息をひそめてやり過ごすか考える。
あの戦いぶりから考えて戦力になるのは間違いない。だが、ここで判断できたのはそれだけだ。自分達の味方に成り得るかといえば、全く分からないとしか言いようが無い。
だが、あの技術を手に入れる事が出来れば火星の地上奪還も夢では無い。危険だからとあの機動兵器をこのまま見逃すのは惜しい。
ひと先ずは判断を保留とし、機動兵器の尾行を続けようとSPTのエンジンの出力を高めようとした、その時。

「あーもしもし、そこの不自然な岩場のSPTさん?」

通信。仲間が潜伏中の地下コロニーからではない。慌てて空を見上げる。
空にただ一機、悠然と佇む機動兵器が、こちらに太刀を向け自分の隠れている場所を指し示していた。

―――――――――――――――――――

「いけない、いけないな。人のお楽しみの時間を覗くなど、紳士に有るまじき行為、紳士として恥ずべき行為だろうに」

「覗きとかマジ引くわ……」

もっとも殲滅線を始める前に気付かなかった俺達も間抜けと言えば間抜けだ。
チューリップの後ろに転位した後に、すぐレーダーを確認すれば一発で見つけられたと言うのに。
転位直前にレーダーを確認して全画面真っ赤だったから手当たり次第倒せばいいかとレーダーの確認を怠ったのは明らかなミスだろう。
敵を現す赤いマーカーが消えたレーダーには、少し離れた位置に岩場にひっそりと隠れ潜む黄色い中立表示。
そもそも、戦闘を開始する前に木星蜥蜴はグラビティブラストをばんばんぶちかましていたのだから、近隣に生き残りが居たなら気付いて当然。
しかもその攻撃音が鳴りやまないなら、木星蜥蜴の攻撃を受けて生き残り続けられる存在だということ、斥候の一つや二つ放つのは定跡。

「ところで我々はこれから、近隣のチューリップを破壊しに向かうのだが」

「巻き込まれて死なれても困るから、付いて来んのは勘弁な」

「その代わり、三日後には此方から出向こうと思っているので、よろしければ其方のコロニーの座標か、集合場所の指定を。ああいいんですいいんです言い訳も交渉も要りませんよ。其方が此方の技術に興味津津なのは戦闘中の熱視線で理解しているので」

「お前らが二年以内に火星を奪還出来るような技術とか、欲しいだろ? なら大人しく言うこと聞きな」

出来る限り慇懃無礼で超傲慢な態度で反応を窺うが、怒り出す様子も無くじっくりと考えた末に

「──の、──だ」

とあるコロニーを指定した。今は木星蜥蜴とグラドスの攻撃により壊滅状態にあり、人が生きている訳がないと思われている場所。
だが、一番生き残りが潜伏していそうだと俺達が当たりを付けておいた場所だ。

「へぇぇ」

「ほぉー」

なるほどなるほど、確かに記録にあるあのコロニーの技術力の高さから考えれば、SPTの残骸を回収して再利用する程度の事は可能。
残骸をどこから調達したかは少し疑問だが、ナデシコが火星でグラドスと交戦した時に結構な数のSPTを撃破したし、そこから回収したかな?

「──?」

「ああ、なんありません。有名なコロニーだったから少し驚いただけで」

アストレイの進路を一番近くにある別のチューリップへと向ける。
此方を見送るSPTに向け、後ろ手に手を振る。

「では、また後日」

「ちゃんと歓迎の準備してまってろよなー」

さぁ、生き残りが居る事は確認できた。さっさとこの周辺の安全を確保して、技術の蒐集をさせて貰いますかね。

―――――――――――――――――――

謎の機動兵器を見送り、SPTのパイロットはコックピットハッチを開け、外の光景を改めて確認した。
屍山血河、とでも言うのか、空を覆いつくしていた木星蜥蜴の無人兵器は、今や無残な残骸で火星の大地を埋め尽くしている。
これだけの光景を、たった一機の機動兵器が作り出したなどと言って誰が信じるだろうか。
独断で潜伏場所の座標も教えてしまった。これについては散々に絞られるだろう。
今さっきの機動兵器の戦闘はSPTのコンピュータに記録が残っている。
これを見せればあの機動兵器の技術を欲しがる者達は賛同してくれるだろうが、それでも何故不用意に情報を渡した事は追及されるだろう。
敵かもしれない、だから身を隠し息をひそめて遣り過ごそう。そういう意見が多い。
当然だ、今自分のコロニーには他のコロニーからの難民が溢れている。侵略者の驚異にさらされた後ならば引け腰になるのは当然。
だが、あの機動兵器は少なくとも木星蜥蜴の敵ではあるらしい。そうでなければチューリップをわざわざ破壊したりはすまい。
敵の敵は味方、などというのは単純すぎる理屈だが、いつか地球や火星の敵になる可能性のある者でも、今はそいつらの戦う技術が何よりも必要なのだ。
 ノーマルスーツのヘルメットを外し、火星の大気にその顔を晒す。ヘルメットからシルバーブルーの長髪が零れ、溶けた鋼と焦げた機械油の臭いを含む風に靡く。
その燃える炎の様に真紅に染まった瞳は、機動兵器が飛び去った方角へ向けられ、厳しく吊りあげられている。
しかし、それは機動兵器へ向けた感情ではない。
言葉の端々に傲慢な強者の感情を滲ませてはいたが、彼等は積極的にこちらに情報提供、技術提供を行う。怒る理由は一切無い。
そんな、どこの誰ともしれない連中の力を一方的に借りなければ、自分達は先に進む事が出来ないという事実。
自らの、自分達の非力、未熟こそが──

「──我慢ならん!」

オーストレールコロニーの未来の指導者候補、アグニス・ブラーエにはなによりも耐えがたい屈辱だった。




続く
―――――――――――――――――――

ここは切らずに続けてもいいかなと思ったのですが、せっかく我慢弱い人に『我慢ならん!』と言わせたので一旦切り。
色々と中途半端で淡々と話が進む繋ぎ回の第二十六話をお届けしました。

次は多分原作よりも貧窮したオーストレールコロニーからスタート。今更チューリップ破壊活動とか見たい人いないだろうし自分も書きたいネタではないので。
グラドス軍は何やってんの?とか言われそうですが、この頃グラドス軍は火星から地球に向かう真っ最中で火星を留守にしていた、とかそんな設定で除外。
本編最終回までクリアして、またそこら辺の細かい時系列とか確認するのは面倒臭いのでささっと流して頂ければ幸い。
でも多分ソロムコとかはバッタとかその辺と一緒に仲良く火星を見回っているんだろうなとか思いますが関係ありませんね。

短めに言い訳コーナ。久々。
Q,グランドスラムのオリジナル、せっかく直したのに使って無くね?
A,大事な人からの実用品のプレゼント、使うのがもったいなくて戸棚に飾りっぱなしとか、よくある話ですよね。
Q,地下実験場……?
A,独自設定です。参戦作品ごとに火星の開拓事情が全く違うので大胆に設定を捏造。
Q,オーストレールコロニー製SPT?
A,独自設定です。SPTとかはちょっと操縦をレクチャーされただけで学生が戦闘行動できるんだから、MS開発するよりもSPT鹵獲、あるいは残骸から改修した方が効率いいよね、という事で。


ではでは、誤字脱字の指摘、分かり難い文章の改善案、設定の矛盾、一行の文字数などのアドバイス全般、そして、短くても長くても一言でもいいので作品を読んでみての感想などなど、心よりお待ちしております。




段落ごとに文頭に一マス空白を入れる、ってこんな感じでしたっけ。
読みにくければ次回から元に戻します。できればご意見ください。


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