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No.14434の一覧
[0] 【ネタ・習作・処女作】原作知識持ちチート主人公で多重クロスなトリップを【とりあえず完結】[ここち](2016/12/07 00:03)
[1] 第一話「田舎暮らしと姉弟」[ここち](2009/12/02 07:07)
[2] 第二話「異世界と魔法使い」[ここち](2009/12/07 01:05)
[3] 第三話「未来独逸と悪魔憑き」[ここち](2009/12/18 10:52)
[4] 第四話「独逸の休日と姉もどき」[ここち](2009/12/18 12:36)
[5] 第五話「帰還までの日々と諸々」[ここち](2009/12/25 06:08)
[6] 第六話「故郷と姉弟」[ここち](2009/12/29 22:45)
[7] 第七話「トリップ再開と日記帳」[ここち](2010/01/15 17:49)
[8] 第八話「宇宙戦艦と雇われロボット軍団」[ここち](2010/01/29 06:07)
[9] 第九話「地上と悪魔の細胞」[ここち](2010/02/03 06:54)
[10] 第十話「悪魔の機械と格闘技」[ここち](2011/02/04 20:31)
[11] 第十一話「人質と電子レンジ」[ここち](2010/02/26 13:00)
[12] 第十二話「月の騎士と予知能力」[ここち](2010/03/12 06:51)
[13] 第十三話「アンチボディと黄色軍」[ここち](2010/03/22 12:28)
[14] 第十四話「時間移動と暗躍」[ここち](2010/04/02 08:01)
[15] 第十五話「C武器とマップ兵器」[ここち](2010/04/16 06:28)
[16] 第十六話「雪山と人情」[ここち](2010/04/23 17:06)
[17] 第十七話「凶兆と休養」[ここち](2010/04/23 17:05)
[18] 第十八話「月の軍勢とお別れ」[ここち](2010/05/01 04:41)
[19] 第十九話「フューリーと影」[ここち](2010/05/11 08:55)
[20] 第二十話「操り人形と準備期間」[ここち](2010/05/24 01:13)
[21] 第二十一話「月の悪魔と死者の軍団」[ここち](2011/02/04 20:38)
[22] 第二十二話「正義のロボット軍団と外道無双」[ここち](2010/06/25 00:53)
[23] 第二十三話「私達の平穏と何処かに居るあなた」[ここち](2011/02/04 20:43)
[24] 付録「第二部までのオリキャラとオリ機体設定まとめ」[ここち](2010/08/14 03:06)
[25] 付録「第二部で設定に変更のある原作キャラと機体設定まとめ」[ここち](2010/07/03 13:06)
[26] 第二十四話「正道では無い物と邪道の者」[ここち](2010/07/02 09:14)
[27] 第二十五話「鍛冶と剣の術」[ここち](2010/07/09 18:06)
[28] 第二十六話「火星と外道」[ここち](2010/07/09 18:08)
[29] 第二十七話「遺跡とパンツ」[ここち](2010/07/19 14:03)
[30] 第二十八話「補正とお土産」[ここち](2011/02/04 20:44)
[31] 第二十九話「京の都と大鬼神」[ここち](2013/09/21 14:28)
[32] 第三十話「新たなトリップと救済計画」[ここち](2010/08/27 11:36)
[33] 第三十一話「装甲教師と鉄仮面生徒」[ここち](2010/09/03 19:22)
[34] 第三十二話「現状確認と超善行」[ここち](2010/09/25 09:51)
[35] 第三十三話「早朝電波とがっかりレース」[ここち](2010/09/25 11:06)
[36] 第三十四話「蜘蛛の御尻と魔改造」[ここち](2011/02/04 21:28)
[37] 第三十五話「救済と善悪相殺」[ここち](2010/10/22 11:14)
[38] 第三十六話「古本屋の邪神と長旅の始まり」[ここち](2010/11/18 05:27)
[39] 第三十七話「大混沌時代と大学生」[ここち](2012/12/08 21:22)
[40] 第三十八話「鉄屑の人形と未到達の英雄」[ここち](2011/01/23 15:38)
[41] 第三十九話「ドーナツ屋と魔導書」[ここち](2012/12/08 21:22)
[42] 第四十話「魔を断ちきれない剣と南極大決戦」[ここち](2012/12/08 21:25)
[43] 第四十一話「初逆行と既読スキップ」[ここち](2011/01/21 01:00)
[44] 第四十二話「研究と停滞」[ここち](2011/02/04 23:48)
[45] 第四十三話「息抜きと非生産的な日常」[ここち](2012/12/08 21:25)
[46] 第四十四話「機械の神と地球が燃え尽きる日」[ここち](2011/03/04 01:14)
[47] 第四十五話「続くループと増える回数」[ここち](2012/12/08 21:26)
[48] 第四十六話「拾い者と外来者」[ここち](2012/12/08 21:27)
[49] 第四十七話「居候と一週間」[ここち](2011/04/19 20:16)
[50] 第四十八話「暴君と新しい日常」[ここち](2013/09/21 14:30)
[51] 第四十九話「日ノ本と臍魔術師」[ここち](2011/05/18 22:20)
[52] 第五十話「大導師とはじめて物語」[ここち](2011/06/04 12:39)
[53] 第五十一話「入社と足踏みな時間」[ここち](2012/12/08 21:29)
[54] 第五十二話「策謀と姉弟ポーカー」[ここち](2012/12/08 21:31)
[55] 第五十三話「恋慕と凌辱」[ここち](2012/12/08 21:31)
[56] 第五十四話「進化と馴れ」[ここち](2011/07/31 02:35)
[57] 第五十五話「看病と休業」[ここち](2011/07/30 09:05)
[58] 第五十六話「ラーメンと風神少女」[ここち](2012/12/08 21:33)
[59] 第五十七話「空腹と後輩」[ここち](2012/12/08 21:35)
[60] 第五十八話「カバディと栄養」[ここち](2012/12/08 21:36)
[61] 第五十九話「女学生と魔導書」[ここち](2012/12/08 21:37)
[62] 第六十話「定期収入と修行」[ここち](2011/10/30 00:25)
[63] 第六十一話「蜘蛛男と作為的ご都合主義」[ここち](2012/12/08 21:39)
[64] 第六十二話「ゼリー祭りと蝙蝠野郎」[ここち](2011/11/18 01:17)
[65] 第六十三話「二刀流と恥女」[ここち](2012/12/08 21:41)
[66] 第六十四話「リゾートと酔っ払い」[ここち](2011/12/29 04:21)
[67] 第六十五話「デートと八百長」[ここち](2012/01/19 22:39)
[68] 第六十六話「メランコリックとステージエフェクト」[ここち](2012/03/25 10:11)
[69] 第六十七話「説得と迎撃」[ここち](2012/04/17 22:19)
[70] 第六十八話「さよならとおやすみ」[ここち](2013/09/21 14:32)
[71] 第六十九話「パーティーと急変」[ここち](2013/09/21 14:33)
[72] 第七十話「見えない混沌とそこにある混沌」[ここち](2012/05/26 23:24)
[73] 第七十一話「邪神と裏切り」[ここち](2012/06/23 05:36)
[74] 第七十二話「地球誕生と海産邪神上陸」[ここち](2012/08/15 02:52)
[75] 第七十三話「古代地球史と狩猟生活」[ここち](2012/09/06 23:07)
[76] 第七十四話「覇道鋼造と空打ちマッチポンプ」[ここち](2012/09/27 00:11)
[77] 第七十五話「内心の疑問と自己完結」[ここち](2012/10/29 19:42)
[78] 第七十六話「告白とわたしとあなたの関係性」[ここち](2012/10/29 19:51)
[79] 第七十七話「馴染みのあなたとわたしの故郷」[ここち](2012/11/05 03:02)
[80] 四方山話「転生と拳法と育てゲー」[ここち](2012/12/20 02:07)
[81] 第七十八話「模型と正しい科学技術」[ここち](2012/12/20 02:10)
[82] 第七十九話「基礎学習と仮想敵」[ここち](2013/02/17 09:37)
[83] 第八十話「目覚めの兆しと遭遇戦」[ここち](2013/02/17 11:09)
[84] 第八十一話「押し付けの好意と真の異能」[ここち](2013/05/06 03:59)
[85] 第八十二話「結婚式と恋愛の才能」[ここち](2013/06/20 02:26)
[86] 第八十三話「改竄強化と後悔の先の道」[ここち](2013/09/21 14:40)
[87] 第八十四話「真のスペシャルとおとめ座の流星」[ここち](2014/02/27 03:09)
[88] 第八十五話「先を行く者と未来の話」[ここち](2015/10/31 04:50)
[89] 第八十六話「新たな地平とそれでも続く小旅行」[ここち](2016/12/06 23:57)
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[14434] 第十九話「フューリーと影」
Name: ここち◆92520f4f ID:30a41880 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/11 08:55
……………………

…………

……

四桁に迫るフューリーの機動兵器からの飽和攻撃を受け、白い歪な人型と黒い鳥のような戦闘機が爆炎に包まれる。

「……やったか? はは、なんだ、思ってたよりも大したことなかったじゃあないか」

並みの機体どころか、堅牢な守りを持つ要塞とて無事では済まないだろう弾幕を浴びせられた二機を見て、ジュア=ムは勝利を確信した。
既に白い人型の居た辺りの地面は地下構造物まで根こそぎ吹き飛ばされ、黒い戦闘機の居た空間はもうもうと火と煙に覆われている。
いかにあの二機が異常な性能を誇っているとはいえ、この総勢1千に届かん数の機動兵器群による隙間の無い弾幕は避けることも防ぐこともできよう筈がない。

「いえ、まだよ。まだ反応がある!」

レーダーに映る敵機の反応を確かめ、フー=ルーが叫ぶ。
次の瞬間、『オーブ周辺に展開する全ての機動兵器』のコックピット内にロックオンアラートが響いた。

「各機散開せよ!」

アル=ヴァンの号令に咄嗟に反応出来たものは極僅かな数しか存在しなかった。
空間に無数の切れ目を入れたかのように無数の光の線がジグザグに走り周り、咄嗟に回避行動を取れなかった全ての機体を貫いて行く。
直径3センチ程の光線。
20メートル級の機動兵器からすれば細めの紐ほどの太さしか無いそれが貫通すると、爆発を起こしたように見える程の勢いで融解、蒸発。金属雲が発生した。
自動誘導、追尾型のレーザー兵器。しかもあの数えきれない光線の一本一本に、最低でもフューリーの星間戦争時に用いられていた主力戦艦の主砲に倍する程のエネルギーが込められている。
一瞬で蒸発した機動兵器の構造物が人体に有害な煙となり辺りを覆い、機動兵器を爆発するよりも早く蒸発させた超熱量により大気は焼け、辺りを地獄のような有様へと変貌させた。
辺りを覆う金属の雲の中から、白と黒の機体が現れる。
無傷。一切の欠けも汚れも無く、依然として力を衰えさせることも無く、悠然とそこに佇んでいた。

「は、ははは、はは。なんだよ、なんなんだよ、お前は」

ジュア=ムの咽喉から乾いた笑い声が漏れる。
一瞬にして部隊の九割が撃墜、いや、焼滅させられてしまった。
決して未熟だった訳では無い。従士は準騎士に迫る実力の者を集めた。準騎士は自分と同じく騎士に上がる直前の者も居た、自分よりも優れているだろうという者も居た。
自分が生き残れたのは純粋にアル=ヴァン様のお言葉に素直に従うように心がけていたからだろう。自力では避けることも認識することも出来なかった。
笑うしかない。なんなんだ、その馬鹿げた火力は。なんなんだ、その馬鹿げた装甲は。
腹の奥底から湧き出す、冷たく、自らの動きを止めかねない感情を押さえこみ、白い人型と黒い戦闘機を見据えるジュア=ム。
コックピットの中で数度大きく呼吸をし、ジュア=ムの駆る赤いラフトクランズがオルゴンクローを構え、突撃した。

『待てジュア=ム! 連携を──』

聞こえない、如何に敬愛するアル=ヴァン様の言葉といえど、こればかりは聞く事が出来ない。この敵に対して連携は意味を持たない。そうジュア=ムは予感していた。
まともに向かっても勝ち目は薄く、アル=ヴァン様の言っていた最後の策、それ以外に有効打を与える方法は無い。サイトロンがそう告げている。
ジュア=ムは気を抜けば身を縮めて震えそうになる身体を使命感で無理矢理動かし、オルゴンクローで掴みかかった。

『俺が、何か、か?』

通信から鉄器のパイロットの声が聞こえる。何の特徴も無い、どこにでも居そうな男の声。しかし、どこか脳にじりじりと侵食するような響きを孕んでいると感じたのは恐怖からくる錯覚か。
オルゴンクローを振りかぶる。時間がスローになったかの如く遅々として進まない。
あと数メートルで接触というところでゆっくりとこちらに振り向く白い機体。そのカメラアイと思われる緑色の光がやけに目につく。
白い機体はいつの間にか無手になり、片腕を後ろに引き、もう片腕をこちらに向けて真っ直ぐに伸ばしている。

『お前達にとっての──』

聞き取れない、しかし決定的な何かを聞いた気がした。そして、カチン、と、安っぽいスイッチを入れるような音を耳にした瞬間、ジュア=ムの意識はこの世から消失した。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

人か一人横になれるサイズのカプセルの中で、ジュア=ムは目を覚ました。
プシッ、という空気の漏れる音と共にカプセルが開き、身を起したジュア=ムは辺りを見回す。
ここは、月にあるフューリーの移民船、ガウ・ラ=フューリアの内部にある医療区域。
その中でも通常の治療では間に合わない危険な負傷を負った患者を治療する為の肉体再生施設だった。
現在は使用されることも少なく、何よりも民の眠るステイシスベッドへのエネルギー供給のために節電しているからか、照明は殆どが消され、ジュア=ムの入っていたカプセルの周辺以外は薄暗く闇に覆われている。

「目覚めた様ね、ジュア=ム。だいぶ再生に時間がかかったみたいだけど」

「フー=ルー様……」

フー=ルー・ムールーが、未だカプセルの中に座ったままのジュア=ムへと話しかける。
患者服を着ている訳でも無ければ自分のように全裸という訳でもない事から、先の戦闘では軽い傷しか負わなかったのだろうと、朦朧とした頭でジュア=ムは推察した。

「俺は……」

そう、全裸。自らの身体を見下ろし、ジュア=ムは安堵の息を漏らした。
服を着ていないが、肉体には一切の損傷は無い。
このカプセルに入れられるということはかなりの重傷を負っていたのだろうが、どうにか治療が間に合ったのだろう。

「そうか……俺は真の死を免れたのか……。そ、そうだ! アル=ヴァン様は!?」

カプセルから腰を浮かし、慌ててあの場に居た師の生死を確かめるジュア=ムに、フー=ルーは静かに首を横に振る事で答えを返した。

「そ、そんな……」

「慰めには為らないでしょうけど、ジュア=ムは勇敢に戦って、最後には目的を果たしたわ」

「では、あの白と黒の二機は?」

恐る恐るの問いに頷き答える。

「そう、我らフューリーの驚異には成り得ないわ。──ジュア=ム、貴方はアル=ヴァンの騎士の位階を受け継ぎ、これからも我々の主君に忠義を尽くしなさい」

―――――――――――――――――――

ジュア=ムがカプセルから出て、正装に着替え総代騎士の元へと向かい、医療施設内部にはフー=ルー一人が残っているだけ。
が、突如として虚空からパン、パンと手を叩く音が響いた。
ついで、暗がりの方から滲みだすように人影が現れる。膝ほどまである少し癖のある黒髪をたなびかせ、吊りあがり気味の目元に悪戯っぽい笑みを浮かべたやや幼さを残した少女。

「いやー、いい感じいい感じ。頭の硬そうな騎士にしちゃあ良く出来た方じゃん」

心底楽しそうな声。楽しくて楽しくて仕方がないといった表情で大げさに拍手をする少女に、フー=ルーもまた微笑みを返した。

「騎士とはいえど、多くの従者を纏める立場にありますもの。部下の安心できる言い回しを考えるのも必要な技能の一つですわ。それに──」

一点の曇りも無い笑み。雄々しく美しい、野生の獣の浮かべるそれに似た笑顔。
暗い医療施設の中、スポットライトに照らされたようなカプセルの脇で両手を広げ、その場でくるりと踊るように身を回す。

「貴女と、あなたの主には感謝していますもの。これで、わたくしはようやく戦う事が出来る」

くるり、くるりと。舞台の上の演者の様に、街角の踊り子の様に、歌い遊ぶ童女のように。
騎士としてのフー=ルー・ムールーでは無く、何者でもない、唯のフー=ルー・ムールーとして。

「誰の為でも無く、何の為でも無く、民の為でなく、国の為でなく」

朗々と、歌いあげるように、騎士では無く、一人の戦士として。
いや、一握りの火薬、一振りの剣として、その機能を果たせる喜びを吐露する。
広げていた腕で自らの身体を抱きしめ、眼を細めた恍惚の表情で、歓喜に身を震わせた。

「唯々純粋に、戦う為だけに、戦うことができる──!」

戦場の名乗り合いの様なものを好んでも、こういった芝居掛かった動きはしない。以前のフー=ルーならば、騎士としては、戦場には必要の無いものだと断じていただろう。
だが今は違う。フー=ルーの心は解放されていた。
騎士として総代騎士の命を聞き、民の平穏の為に戦っていた騎士、フー=ルー・ムールーはここには居ない。
文字通り、騎士であるフー=ルーは死んだのだ。騎士としての振る舞いなど欠片程にも頓着する必要は無い。
ここに残ったのは己が欲求を満たさんとする純粋な生き物。

「頼もしいねぇ。じゃ、お望みの心躍る戦いって奴をしてもらおうかな」

少女が人差し指と中指で摘まんでいたメモリースティックをフー=ルーへと投げ渡す。
フー=ルーはそれをしっかりと受け取りながらも、訝しげな視線を少女に向けた。

「? わたくし達が出向く必要は無いのではなくて? 彼らは時期が来ればこのガウ・ラに攻め込んでくる、というのが貴方たちの予測の筈」

「そ。でも、あいつら以外にも地球にはしっかりとエース級のパイロットってのが居てね」

「あの機能を搭載したベルゼルートでなければ、そも戦いにすらならないのだけど」

そう、フー=ルーが求めるのは生と死の境界が見えるような強者とのギリギリの戦い。動かない案山子を打ち殺すような単純作業は好むところでは無い。
地球上で唯一ラースエイレムキャンセラーを搭載しているベルゼルートが敵側に居なければ、そも戦う相手として見る事も出来ないのだ。
しかし、そのフー=ルーの疑念を予測していたのか、少女は間を置かずに言葉を返す。

「アンタの機体からはラースエイレムのコアモジュールを取り外してある。作戦の内容とかは全部その中に入ってるから、機体の中で確認してよ」

つまりラースエイレムは使用できない。
騎士や準騎士、従士に至るまで、この宣告を受ければ即座に抗議の言葉を吐き出すのがフューリーでは普通だ。
戦闘の要、自分達がその他の生命体、軍隊からは一線を画した存在であることの証明であり、まさに戦闘における命綱のようなそれを使用できない。
ラースエイレムキャンセラーを搭載した敵を破壊すればいいという単純な解決法は無く、最初から最後まで純粋に自らの戦闘技能による戦いで勝利し生き残る必要がある。
強敵難敵、数が多い敵は軒並み停止している状態が殆どである、大戦を経験していない若いフューリーの兵にとって、それは地球の軍隊で例えれば懲罰で補給の行き届かない前線に飛ばされるようなもの。

「それはそれは、有り難きお心遣い」

しかし、フー=ルーは、戦争狂いの女戦士は、さも喜ばしい事であるかのように笑う。これで正しく対等なのだ。
放置していた庭に生えていた雑草を刈り取るのではなく、敵国に、異星に攻め込む正しき侵略戦争。血で血を洗い、腸の海を泳ぐ如きグロテスクさを備えた確かな戦い。
求めていた戦争。
その訪れに、フー=ルーは逸る気持ちを抑えきれず自らの機体の納められている格納庫へと足早に駆けていった。

―――――――――――――――――――

そうして残った少女が一人、医療施設の中で嬉しそうに虚空に向かい話しかけている。

「うん、これから虱潰しにしてく。──そうだよー、もうあっちこっちに散らばってる」

一言二言告げる度に少し間を置き、誰かの声に返答するかのように再び口を開く。
いや、確かに会話を行っている。この世界の人間では傍受する事の出来ない、少女とその相手にしか行えない方法で。

「いいっていいって、結局火星の遺跡は任せちゃったし、サポートはもともとあたしの役目なんだから」

しばし返答を待ち、苦笑を洩らす。少女は遠慮したが、会話の相手に、何か返せるものが無いか、その苦労に報う方法は無いか、そんなことを返されたのだ。
少女は顎に人差し指を当て、虚空を見上げながら考る。

「じゃあさ、残りのチェックが終わったら、あれだよ、ほら、ね? ご褒美っていうか」

少女は頬を仄かに紅く染め、恥ずかしげな表情であいまいなニュアンスでおねだりを伝える。
会話の相手の返答を受け取り、恥ずかしげで僅かに緊張していたようでもあった表情が綻び、花のように笑った。

「──うん、うん! もう本当にカカッと終わらせるから! お兄さんもがんばっテ!」

そして、会話を終えたのだろう少女は虚空から目を外し、その場でビタンと倒れ伏し、ゴロゴロと転がりながら床をばしばしと叩きキャーキャー叫びつつ興奮している。
数分それを続け、ふと我に返って立ち上がり服に着いた埃を叩き落とすと一つわざとらしく咳ばらいし、周りに誰も居ない事を確認してから、再び滲むように暗がりの中へと消えていった。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

ポイント1915、セクター47空間から地球へ向けて加速を続けるラダム母艦内部、テッカマンオメガがその身を表に表し、テッカマンエビルとテッカマンブレードが命を賭けて死闘を繰り広げた広間へ向け、テッカマンブレードことDボウイはボロボロの身体に鞭打って加速を続けていた。
肉体はエビルとオメガとの連戦で消耗しきっており、精神はブラスター化の影響で崩壊寸前。
ここに至るまでに仲間の顔を覚えていられたことすら奇跡だと、ブレードはどこにいるとも知れない神に感謝していた。
神に感謝というよりも、数奇な運命に対する奇妙な納得だったのかもしれない。

外宇宙探査船に乗り込み、ラダムに取り込まれテッカマンへと改造され、かつての友や家族と殺し合う過酷な運命。その全てが今この瞬間に収束しているように感じていた。
仮面の下で涙を流し、かつての仲間と、家族と殺し合うという血塗れの運命。
しかしその運命は新たに掛け替えのない仲間と、友と、愛すべき人と巡り合わせ、今また彼らと、彼らの愛する地球を救う事が出来る力を自らに与えていた。
不可思議な思考かもしれない。あの不毛な殺し合いが運命だったなどと、常のDボウイならば思いつきもしないだろう。
だが、この燃え尽きる瞬間のような猛る力を感じ、兄を、弟をラダムから解放した今、そう考えてもいいのではないか。
急激な加速により崩壊を始めているラダム要塞の中、Dボウイは奇妙な程に落ち付いていた。
煮えたぎるような、燃えるような、決して消える事の無いものと思っていたラダムへの憎しみが自分の中から消え始めているのを感じていたのだ。
そうなると、このような状況でも精神に余裕が出来てくる。ブレードは自らを運ぶペガスへと声を掛けた。

「ここまで付き合わせて、悪かったな」

「……」

答えは無い、戦闘により、通信や発声の為の機能が破損しているのだろう。しかし、ブレードはペガスが何時ものように快く、忠実に付き従ってくれることに心強さを感じた。

―――――――――――――――――――

このラダム母艦の元となった実験コロニーの基礎と重なる中枢を破壊すれば、現在の加速に耐えられず崩壊、内部に貯蔵していた侵攻用の武装と反応して消滅する。
脱出する時間は、多分無い。初期型の実験コロニーの頑丈な基部を破壊するならばボルテッカも加減は利かない、フェルミオン粒子が空の状態でそんな大規模な爆発に耐えきれるとは思えない。
ミユキを残してしまうのは心苦しいが、あそこにはアキやノアル、それ以外にも気のいい連中が多くいる。

そして、ラダム獣の死骸が山と積み上げられ、戦闘の痕も生々しい広間へと到着した。
テッカマンオメガが姿を現した空間の向こう、巨大なコロニーを支える支柱が存在している。
エビル、シンヤとの決着をつけた直後に現れたオメガ。あれは何も他のテッカマンを全て殺されたから自ら出向いた訳では無い。それ以上先に進ませる訳には行かなかったのだ。
あとはこの場で全力のブラスターボルテッカを放つのみ、しかしボルテッカの発射孔を開こうとしたブレードに向け、四方からボルテッカが放たれた。

「何!?」

身を逸らしボルテッカを回避するブレード。慌てて周囲を確認すれば、今まで見た事も無いような奇妙なテッカマンに囲まれていた。
全体のフォルムはブラスター化する前の自分に似ているが、一つ一つのパーツに奇妙な模様が刻まれ、脚は犬のような間接構造をしている。
また、胸部から肩にかけてまでは人の素肌に直接装甲を塗貼りつけたような艶かしいフォルム。
また、頭の両脇には捩じれた角が頭の側面を覆うように生え、しかし顔自体は目も口も無いのっぺらぼうだった。

「こいつら、地球に出たという連中か!」

以前、デビルガンダムを追うようにして現れたという無数のテッカマン軍団。紫色の指揮官風テッカマンに率いられていたという兵隊が周囲に、ラダムの死骸の陰に、壁や天井に張り付くように潜んでいた。
そう、潜んでいたのだ。テッカマンの本拠地であるラダム母艦の中で。
それだけでは無い、ブレードの身体はすでにまともな戦闘行動が行えない程に消耗していた。残りの力を振り絞って、ようやく止まった標的に範囲攻撃=ボルテッカを当てることができる程度なのだ。
そのブレードが回避できた、つまり、このテッカマン達は積極的に自分を殺しに掛かっていない。

『何のつもりだ!』

テッカマン同士の精神感応による問いかけ、少なくともテッカマンであるならばこれが通じるだろう。
殺すつもりだったならば先ほどのボルテッカは直撃していた筈だ。いや、それ以前に自分を止めるつもりならば先ほどの戦闘で出てこなければおかしい。
考えられない話ではあるが、あのテッカマン達はラダムに属していないのかもしれない。

『──』

返答は無し。いや、確かに精神感応によって繋がっているのだが、何も伝わってこない。
無感情でも無関心でもない、どの様な状態であれ、テッカマン同士でリンクすれば何かしらの感情が伝わってくる筈だ。
まるで死人の頭を除いているかのような、そんな虚無的なものを感じたブレードがついその謎のテッカマン達から目を逸らすと、自分も知らない紫色のテッカマンがオメガの死骸を踏みつけにし、その手から触手を伸ばしてラダム母艦の中枢へと突き刺している姿を目撃した。


―――――――――――――――――――


ラダム母艦の機能は理解できた。でもこれを全部取り込んでたら確実にブレードのボルテッカに巻き込まれるなー、などと考えながらちんたらしていると、何時の間にか広間にまでブレードが侵入してきていた。
ま、若本が潰された時点で何故か残りのラダム獣も自壊を始めたから警備がザルなのは仕方がない。
一応連れてきていた量産テッカマンに足止めをさせているけど、多分そう長くは持たないと思う。
いつぞやのモノと同じような作りをしているけど、こっちはあそこまでディティールに拘って無いから並みのテッカマンより多少強いかな程度の性能でしかない。
しかもDボウイ、というかナデシコの連中に関しては今は殺すな、と指示が出ていて殺せない。量産型どもにはボルテッカの発射を妨害させているけど、それも発射孔を経ずに自爆同然で放つことも可能である以上は長持ちしないだろう。
それまでにどうにかしてこのラダム母艦のデータなり母艦の残骸そのものなりを持ち帰りたいのだけど、良いアイディアが思い浮かばない。そこで──

(仕事中の分体諸君、君の意見を聞こう!)

―――――――――――――――――――

『月面で元戦車乗りのビット使いと交戦なう。フーさん超はしゃいでるぜー』
『ジェネシス侵食なう。デカイからデータだけ貰ってオリジナルは放置ー』
『アルテミス侵食なう。デビルアルテミス完成まであと二時間ってとこかなー』
『連合の基地潜入なう。三馬鹿の機体見つけたよー』
『火星で地下組織の我慢ならんと交渉なう。技術提供はしたけど、完成品どころか試作品が手に入るかも微妙臭いねー』
『ギアナ高地でジャンク漁りなう。ボンボンのジオラマ企画みたいな感じでいけるぜぃ』
『木星蜥蜴と遭遇なう。過激派の逃げ遅れかな? ヒマなので突いて遊んでおきまうまう』
『ランタオ島で進化なう。ジュニアもいい感じの仕上がりぃ』
『まてまて、ラダム母艦担当がなんか言ってるから、お前ら落ちつきたまえ^^』
『凄く落ち着いた^^』
『凄く落ち着いた^^』
『凄く落ち着いた^^』
『凄く落ち着いた^^』
『凄く落ち着いた^^』
『凄く落ち着いた^^』
『凄く落ち着いた^^』
『凄く落ち着いた^^』
『よし』

(なんだよー時間無いんだから纏めて返事しろよー)

『まぁそう言うなって』
『次元連結式のワープで逃げたいけど、母艦自体が巨大だから融合してる間にブレードに接触されそうなんだろ?』

(うん)

『母艦のどの辺が新機能に必要かは分かってるんだよな』
『ヒントはブラスレ世界ラスト』

(狙い撃ち?)

『惜しい、もうチョイ前だ』

(天田さんの触手プレイ!)

『かなりむちむちしてたよねぇ……』
『ガチガチでもあったけどなー』
『ピンク髪は総じて淫乱だからね、しかたないね……』
『分かっててボケてるならもう切るよ?』

(わかった、じゃあまた月で合流ってことでー。あ、帰ったらご褒美が貰えるから、何して欲しいか考えておけよー)

『わぁい^^』

―――――――――――――――――――

他の分体とのチャットを切る。最初にヒントだけ聞けてれば早かったんだろうけど、流石はあたし、見事に統率がとれているようでとれていない。
顔文字表記より名前表記の機能を入れた方が効率的かな。今後の課題ということで。

それはともかく、どうすればいいかは大体分かった。
ラダム母艦に搭載された機能は多岐にわたる。でもその機能を使う上で必須なのはこの目の前のラダム母艦の中枢とそれを統率するテッカマンだけで、必要な資材はラダム獣をラダム樹へと変化させる応用でどうとでもなってしまうのだ。
つまりこの母艦全体と融合する必要は無いので、目の前にあるこの中枢だけを取り込んで引き剥がし、ワープで逃げる、と。
コロニーを支える基部でもあっただけあってかなりの大きさだけど、ラダム母艦全体と融合するのに比べたら格段に早く終わる。
触手をラダム母艦の中枢に撃ち込み侵食を開始する。DG細胞で強化されてなおオリジナルより速度が劣るけど、それでも一分と掛からずに取り込むことが可能なはず。

「貴様、何をするつもりだ!」

ラダム母艦の異変に気付いたブレードがこっちに近づこうとしてくるけど、量産型テッカマンの群れを突っ切る事が出来ずにいる。
単純なスペックじゃあブラスターテッカマンに劣るけど、十数体の並以上のスペックを持ったテッカマンがダメージを気にせずひたすら足止めだけに専念しているんだ、そう簡単に抜け出せる筈がない。
そうこうしている間に中枢との融合完了。ラダム母艦の基部でもあるそれを引き抜き、次元連結システムを起動させる。

「待て! 貴様は一体……!」

わりいな、お前らとやんのはまだ少しだけ先だ。

「またな、Dボウイ。月で待ってるぜ」

招待状、というわけじゃあないけど、これからのステージに必要な敵も大分潰しちまったし、とりあえずヒントを出す程度の事はしておこう。
それっぽい言葉だけを残し、あたしは月のねぐらへと転位した。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

「月、ですか?」

ナデシコの艦長、ミスマル・ユリカは首を傾げながらDボウイへと問い返した。
ラダム母艦の崩壊(消滅ではない、ブラスターボルテッカで消滅させるまでもなく、中枢を引き抜かれたラダム母艦は空中分解しチリと化した)謎のテッカマンがラダム母艦の中枢を引き抜いたこと、次の瞬間に忽然と姿を消す瞬間に告げた言葉を報告していたのだ。

「月で待ってる、か」

「月面といやぁグラドスの連中か、連合の月基地と月面都市があるぐらいだけどな」

ブリッジに集まったナデシコのクルー、通信の向こうのアークエンジェルのクルーも首をかしげている。
謎のテッカマンが残したメッセージは意味深なものであった。
第一に月という場所を指定したこと。
月にはグラドスと地球連合がお互いに一進一退の争いを繰り広げていた。
少し前まではグラドスのSPTに対抗する手段を持たなかった連合ではあるが、現時点ではMSの量産化に成功、試作機の運用データを基に作成されたソルテッカマンの量産型も順調に配備が進んでいるため、グラドス軍を駆逐する為に月の各地で小競り合いが多発していたのだ。
していたというのも、連合が完全にブルーコスモスの下請け組織同然になってしまった為に、今現在月には連合の基地を守る為の最低限の戦力しか残されておらず、グラドスもフューリーの遊撃部隊により戦力を削られている為、双方ともに戦力が不足し、積極的な戦闘行動を避けている為である。
とはいえそれでも少なからず小競り合いは続いている。どういう意図があるにせよ、わざわざそんな場所に呼び出す意味は何なのか。

そして第二に、メッセージを告げた者の『Dボウイ』という呼び方。
これまで出てきた敵性テッカマンのDボウイの呼び方は『ブレード』『タカヤ坊』『兄さん』など、ラダムとしての意識が強い者と、人間としての記憶のままに呼ぶ者とで数パターン存在したが、当然のようにDボウイという呼び名は存在しない。
当たり前といえば当たり前の話で、この呼び名はスペースナイツのノアルが付けたあだ名のようなもので、ナデシコ、アークエンジェルの二隻の中でしか浸透していない。
連合軍内ではそも個人としての扱いではなく兵器扱いであり、そこでの呼ばれ方も『テッカマン』『ブレード』『化け物』などで、一応の親しみのこもった呼称であるDボウイは使われていない。

しかも、ブレードに変身中であるにも関わらず『Dボウイ』という呼称を使った。
これはとりもなおさずあのテッカマンがナデシコかアークエンジェルに関わりがある可能性が高いということなのだが、艦内にテッカマンが存在していたならDボウイが気付かない筈がない、という事でその可能性は考慮されていない。

「確かに放置しておいていい問題でも無いが、今はそれよりも急を要する問題がいくつもある」

「月、なんて漠然とした場所指定じゃあ、探しにも行けませんしね」

結局、月という以外に広い範囲の捜索に時間は掛けられず、オルファンやプラントと連合の衝突などの優先度が高い問題から片付けるべき、という流れで話は進む。
そんなやり取りを話し合うクルーの後ろの方で聞いていた統夜は、不思議そうな表情で月の写った映像を見つめるカティアとテニアに気付いた。

「どうしたんだ?」

少し前に月面でジュア=ムと戦った際には恐怖に身を震わせていたカティアとテニア。それは統夜が力を見せ、フューリーが来てもどうにかなる事を教えたことでなんとか抑えることが出来ている。
しかし、それはあくまでも統夜という支えがあってこその話であり、やはり月に何かが居る、というならば多少の震えや不安を感じる筈なのだ。
が、カティアもテニアもそんなそぶりが一切無い。

「なんだろ、怖いのに、嫌な予感がするのに、行けば絶対に嫌な事が起こるのに、行きたくないって思えない」

「統夜、貴方は何か感じませんか?」

カティアの問いに、統夜はどう答えるべきか逡巡する。
実のところ統夜自身、あの月に対して、どこか覚えのある胸のざわつきを感じていた。
だが、それがいつだったか思い出せない。今思い出さなければいけないような、取り返しのつかない何かを見逃しているようなもどかしさに、統夜は眉根を寄せて首を横に振ることしかできなかった。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

「はっ、はっ、はっ……」

致命的損傷、大破。そんな端的な事実を告げる画面を、息を切らしたパイロットが睨みつける。
訓練用のシミュレーションだが、実戦であればこの時点でミンチより酷い事になって死んでいる。
コックピットをビームサーベルで貫かれてパイロットは死亡、そのまま動力炉も破壊されて爆発。文句なしの敗北と死亡。

「これで、39回目……」

死亡回数が、ではなく、接近戦でコックピットを貫かれての死亡が、である。総死亡回数はこの五倍以上。
パイロットとしての適性が高くない為、サブパイロット代わりにオーブのモルゲンレーテから持ち出した簡易な量子コンピューターを搭載し補助をさせ、反応が遅れてもいいように遠距離から弾幕を張ったり、接近戦にも対応する為、格闘戦のプログラムを他のパイロットの動作ログを参考に組んでみたりと工夫を重ねてはいる。
が、今回のシミュレーションでの仮想的はザフトに奪われた四機のG。コーディネイターの超反応、機体の優秀さなどのお陰で未だに全機撃破までは辿り着けていない。
ブリッツはコロイドを使う前に遠距離から高火力で圧殺、補足される前にバスターに急接近、すれ違いざまに叩き潰し、高機動でAS装備のデュエルを撹乱したまではよかったが、意識の外にあったイージスのスキュラで体勢を崩された所をここぞとばかりにデュエルに狙われてしまった。

パイロットは小さく舌打ちをした後にコンソールを操作し、訓練を再開。
が、訓練用のプログラムが開始される前に、外部操作で電源を落とされ、コックピットを開けられてしまった。

「今日はここまでにした方がいいんじゃないか」

「そうだよ、こんな何時間もこもりっきりじゃ体を壊しちゃうって」

コックピットの外から心配そうな視線を向けてくるのは、紫雲統夜とフェステニア・ミューズの二人だった。

「ありがとうございます。でも、今は少しでも訓練しないと……」

滴る汗を袖で拭い、ぞんざいに答えるパイロット──メルア・メルナ・メイア。
アークエンジェルにのせられていた連合のパイロットスーツの予備を身に纏ったメルアが、ベルゼルートのコックピットでひたすらにシュミレーションを繰り返している。
オーブ脱出の数日後から続く光景であり、こうして時間を忘れて訓練に明け暮れるメルアを統夜やテニアやカティア、あるいは他のナデシコクルーが食事の為にコックピットから無理矢理にでも引きずり出そうとするのも、もはやおなじみの光景と化していた。

「メルア、せめて食事はとった方がいいわ」

「後でとるから大丈夫ですよ。今は訓練に集中させてください」

心配そうな声のカティアに目も向けず、頑なに戦闘訓練に固執するメルア。
オーブを出た後、数日卓也の部屋に閉じこもって泣いていたメルアだったが、しばらくすると整備班と共にコアモジュールの抜かれたベルゼルートの修復をはじめ、そのベルゼルートで二人が抜けた穴を埋めると言いだした。
当然、統夜もカティアもテニアも反対した。
ベルゼルートはサイトロンへの適合率の高い統夜が居て初めて戦闘機動が行えるのだ。
そもそもメルアだけで動かすことができるのであれば、バッタに応戦する為に統夜を無理やり乗せる必要も無かった事になる。

が、当時と違い現在のナデシコには多くの技術が存在する。ナチュラルでも動かせるMSのOS、IFSに、モビルトレースシステム。スクラップから修復したグラドスのSPTや同じくスクラップを継ぎ合わせて修復したフューリーの機動兵器まで存在している。

先ずは動力の問題を解決する為に、フューリーの機体の残骸を調べた。
鳴無卓也の残したフューリーの機体に関するメモ書きの中に、サイトロンやオルゴンエクストラクタへの適合率はフューリーのパイロットの間でも一定ではなく、適合率が低い者は何らかの補助機械を機体に積んでいるという記述が存在したのだ。
案の定、戦闘員の中では一番の下っ端である従士が乗っていた機体には、機械的にオルゴンエクストラクタの出力を上げる装置が存在していた。
全くサイトロンに適合していない地球人では使えないものだったが、実験体であったメルアならば、どうにかギリギリ戦闘機動が可能な出力まで持って行く事が可能になった。
もっとも、ラースエイレムキャンセラーを機動させるには桁が一つ足りないような心もとない出力しか出ないのだが、

次に、ベルゼルートをIFS対応させた。メルアは何のためらいもなくIFSを注射したが、人体実験の影響なのかイメージが機体に上手く伝わらなかった。
これは更にMSの操縦系を簡略化したもの追加し、それでも足りない部分はどさくさでモルゲンレーテから持ち出した予備の量子コンピュータに、レイズナーのサポートAIを参考に組まれた補助AIを与え搭載することで解決。

が、操縦できるようになっても、そもそも戦闘ではサポートにまわっていたメルアは繊細な機動など出来ない。
機体そのものも強化型であるベルゼルート・ブリガンディの素体を参考に強化され骨太になり、更に出力不足で使えない武装を補う為にオルゴンライフルにも手が加えられた。
鳴無卓也か鳴無美鳥が現在のベルゼルートの状態を見れば、ブレード無しヴァイスリッターが魔改造でバルゴラとゲシュペンストのキメラに化けた、とでも言っただろう無茶な改造。

しかしその無茶な改造のお陰か、それともその改造がメルアのセンスにマッチしたのか、訓練を初めて間もないにも関わらず精鋭揃いのナデシコクルーの中でも見劣りしない程度には戦えるようになっていた。
だが、それでもメルアは訓練を止めない。二人の穴を埋めるにはまだ足りないと、食事の時間を削って訓練に当てていた。

「訓練をするなって言っている訳じゃないわ。食べずに倒れたら本末転倒だって言っているの」

「いざっていう時に空腹でまともに戦えない、集中できなくて撃墜されて死んじゃいました、なんてなったら、二人に合わせる顔が無いだろ」

「……はぁい」

カティアと統夜の説得に渋々と返事を返しコックピットから降りるメルア。
『二人に合わせる顔が無い』
ただその一言にだけ心を動かされての行動だった。
今のメルアは、食事も楽しみな娯楽ではなく、ただ単に倒れない為、戦う為に身体を維持する為の単なる栄養補給として捕えている。
倒れず、死なず、ひたすらに戦い続ける。今生きているメルアの、胸に秘めた唯一つの目的を果たす為に。
鳴無卓也を死なせたフューリーを、一人残らず根絶やしにする。
その為にメルアは、側溝のヘドロの様に溜まった疲労で重い体を引きずり、統夜とカティアとテニアと共に食堂へと歩き出した。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

『俺は』

激突の寸前、ガクンと全身を痙攣させ突如として動きを止めたジュア=ムのラフトクランズを巨大な鉤爪で鷲掴みにして受け止めた白い機体。
アル=ヴァンとフー=ルーはジュア=ムのバイタルをチェック、生命反応が停止している事を確認する。
しかし、ジュア=ムの機体そのものには何のダメージも加わって居ない。パイロットの乗せ換えればすぐさま戦闘に戻ることができる程に無傷。
あの無手の状態から何らかの攻撃を繰り出し、正確にコックピットの中のジュア=ムだけを殺害した。
おそらく次元跳躍系攻撃。だが、超高速の戦闘機動を行う機動兵器のコックピットの中のパイロットだけを狙うなど人間業ではない。

『お前達にとっての、死、そのもの』

その白い機体のパイロットが歌うように、しかし確かめて言い聞かせるように一語一語区切るように告げる。
その言葉に、フー=ルー・ムールーは不思議と納得していた。
サイトロンの見せた未来からアル=ヴァンは悪鬼と言っていたが、こうして相対してみれば、この存在はそんな回りくどい表現を使う必要の無いものだと分かる。
あれはまさに死を具現化した存在というにふさわしいのだろう。
誰もが恐れ否定しようとするが、その存在を確かなものとして定義することは難しく、決して逃れ得る事の無い絶対者。
それでも何かに例えるというならば、悪鬼というよりも死神とでも言う方が相応しい。

『フー=ルー。予定より早いが準備が整った』

アル=ヴァンからの暗号通信。あの白い機体にも、沈黙を続ける黒い戦闘機にも悟られない為のモノ。
切り札の準備はあの白い機体が自ら御膳だてしてくれた。予想外の火力を持ってなされたそれに合わせ、こちらも準備を整える。
ギリギリまで悟られてはいけない。こちらの意図を読まれては回避される危険性がある。

『済まないが後の事を、民と皇女を、シャナ=ミア様の事を頼む』

「……ええ、確かに承りました。騎士の誇りに賭けて」

あの白い機体を、フューリーという種族の死を討つ為に、刺し違えようとしているアル=ヴァン。フー=ルーはその遺志となる意思を確かに引き受ける事を誓う。
通信の向こうから、アル=ヴァンのフッというかすかな笑い声が聞こえた。

残っていた従士の機体を下がらせ、アル=ヴァンの駆る黒いラフトクランズがソードライフルを構え、白い機体と向かい合うように前に出る。
白い機体も、クローに掴んでいたジュア=ムのラフトクランズを黒い戦闘機に預け、それに応じるように前に出た。
旧き時代の戦場で行われた一騎打ち。
違うのは向かい合うのが甲冑を纏った騎士では無く、その身を鋼で鎧う機械仕掛けの巨人であることか。

「──」

一呼吸分の間を置き、二機の巨人が激突を開始する。
白い機体はいつの間にか再びその両腕に機械鋸と光学剣を構え、黒いラフトクランズのソードライフルと切り結んでいる。
速射砲や重力波砲、複腕、誘導兵器、次元跳躍攻撃等を使うそぶりは無い。
一合、二合三合、四合五合六合七合、刃金と刃金が削り合う音が周囲に響く。
白い機体の太刀筋は前回見えた時と比べても更に鋭さを増し、ラフトクランズの隙を鋭利に切り裂こうとしている。
しかし、アル=ヴァンのラフトクランズも押される一方ではない。
ソードライフルの二股に別れた刃で光学剣をからめ取り、オルゴンクローで機械鋸を受け、至近距離からオルゴンキャノンを撃ち込み続けている。

やはり遊ばれている。フー=ルーは確信した。
そもあの白い機体はこちらの誘いに乗る必要すら無かった。あの二隻を逃がす時も、最初にあの圧倒的な火力で制圧してしまえば事足りたのだ。
あの別れは余興として演出されたもの、残されたあの白い機体自身の意思によって。
今現在でもあえて刀剣系の武装のみでラフトクランズと打ち合っている。複腕の鉤爪や空間跳躍攻撃を使えば幾度となく殺せていた場面を無視して。
このアル=ヴァンとの一騎打ちも、こちらがどのような策を使うか見る為に態と乗ったに過ぎない。
遊び、弄りながらこちらの手を引き摺り出そうとしている。余裕を持ち、こちらの工夫を楽しんでいるのだ。

だからこそ、その余裕がこちらの勝機になる。
ラースエイレムの制御装置を、残りの下がらせている従士の機体に積まれたレプリカと連動させる。
現時点でフューリーの母艦に残された技術では、完全なラースエイレムのモジュールを一から完全に作り出すことは難しい。
従士達の機体に乗せているレプリカは対象をステイシスさせるものではなく、あくまでもサイトロン・サイティングとオルゴン粒子制御の補助装置でしかない。

今現在、この空間には多量のオルゴンエネルギー、サイトロン粒子によって飽和寸前の状態にある。初めに落とされた従士達の機体に蓄積されていたものだ。
遠距離戦特化型のドナ・リュンピーを大量に連れてきたのはその為。
砲撃の為に最大粒子蓄積量が多いこの機体を落とさせる事により、空気中に多量のオルゴンエネルギー、サイトロン粒子をばら撒く事が、作戦の第一段階。
自然な状態ではありえない程の粒子が溢れ返る中、レプリカ数十基とオリジナルを連動させ無理矢理に暴走させれば、対象を遥かな時間、遥かな次元へと放逐することが可能になる。

どのような敵でも逃れ得ない異次元追放攻撃。
だがこの攻撃を行うには多数の機体やエネルギー、そして対象をその場に留めておく、敵と道連れに命を落とす生贄が必要となる。
この攻撃を使用しなければならない強敵となれば、騎士の中でも上位の者でなければ押さえこめない。
敵の強敵と味方の相討ちを強要するするこの戦法は、故郷の星系を離れる切っ掛けとなった内粉ですら使用されなかった。
リスクとリターンの問題ではない、一騎討ちを持ちかけながらその実本命は刺し違えることにあるこの戦法は、両陣営の騎士達の誰もが騎士として有るまじき戦い方であるとして忌避したのだ。
ましてや地球人如きに使うなど言わずもがなだが、恐ろしい事にこの敵は上級の騎士を犠牲にしてでも始末しなければならない程の強敵でもあった。
アル=ヴァンは自らの命、そしてこの状況を作り出す為に犠牲になった従士達の命と引き換えに、この白い機体を排除しようとしているのだ。

ラースエイレムの超過駆動が開始され、空気中に浮かぶサイトロンとオルゴンが異常反応を起こし始める。
空間全てが緑色の光に包まれ、白い機体と黒いラフトクランズを中心に収束していく。

『お?』

『機は熟した。悪鬼よ、ヴェーダの闇の奥底、真の死の果てまで付きあって貰うぞ!』

通信から、白い機体のパイロットの突如起こった異変に対する疑問符と、アル=ヴァンの雄叫びが響く。
その場から退避しようと、機械鋸でソードライフルの刀身を打ち砕き、反動でその場から逃れようと後退のそぶりを見せる。
だがアル=ヴァンの黒いラフトクランズは白い機体を逃がすまいとオルゴンクラウドで背後に回り込み、ソードライフルとオルゴンクローで掴みかかった。

『フー=ルー!』

「任せなさい。サイトロン・サイティング終了、オルゴンエクストラクター出力臨界!」

空間が歪む、形容しがたい超常的な光景の中、フューリーに滅びを齎す白い姿の悪鬼は、黒い騎士機と共に、異次元へと、遠い時代へと放逐された。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

『…………様、フー=ルー様。起きて下さい、幾らなんでも眠られては困ります。仮にも任務中なのですから』

「う、ん。……大丈夫、眠っていた訳では無いから」

通信から響くジュア=ムの呆れたような声で目を覚ます。
少しまどろんでいたらしい。どうやらここまでの連戦で疲労が溜まっていたようだ。
今回は戦闘ではなく、現時点でのナデシコとアークエンジェルの二隻の戦力を偵察してこいとの任務だった為気が緩んでいたのだろう。

(騎士である事に誇りを持っていた頃なら、こんなだらしのない真似はしなかったのだけど)

自らの失態に思わず苦笑する。
どうにも、唯のフー=ルーとなってから本能に忠実になり過ぎている気がする。
まぁ、部下が未だに真面目にフューリーの為に精力的に気を張っていてくれるから、この程度の任務に力を入れる必要は無い。
むしろ、後々相対する時に全てを見せ合う事になるのだから、ここで真面目に相手の戦力を偵察するのは、何というか、勿体無い気もする。
初見初戦は済ませてしまったが、どうせなら先の戦いよりも格段に成長した強さはデータでは無く実戦で味わってみたい。

『しかし、良いんですかね。こんな簡単な任務で。どうせならここで消耗したあいつらを一網打尽に……』

「ダメよ、この場はまず敵の兵力の分析。この時点での手出しは許可されていないわ」

『わかってますよ。でも、どうにも気になりましてね』

レーダーに映る機影、プラントと呼ばれるこの星のコロニーへ迫る原子核破壊兵器を全て迎撃した機動兵器群が次々と帰艦している。
その中に、オルゴンエクストラクターの反応が『二機』存在している。
片方は恐らくそのまま統夜が乗っているであろう機体。出力は以前に比べ格段に上がっている。恐らくは何処かで開発されていた後継機。

そして片方はこれでまともに戦えるのか疑問に感じる程の低出力、実験体の乗っていた機体を改造したものと思しき機体。
何者が乗っているかは定かでは無い。戦い方もちぐはぐで決して美しいとは言い難い。
だが、呪いにも近い執念を感じる。祝いにも似た死の気配を感じる。
あれに乗っているのは、間違いなく修羅の類。
武器を無くせば腕で殴りかかり、腕を無くせば足で、脚を無くしても身体で、首だけになっても空を飛びこちらの喉を食い千切ろうとする類の化生。
倒れ行くその時まで戦いを止めない、自分と似た種類の生き物。

悪鬼との戦いは二度と願えなくなったが、なかなかどうして、良い戦士を見つけることが出来た。
フー=ルーはコックピットの中で、期待に胸を高鳴らせた。



続く
―――――――――――――――――――

恐ろしい事実。今回、主人公が回想の中でしか登場しない、サポAIだって登場しない。
しかし、顔の上半分が陰で隠されている謎の少女登場。名前欄だって当然『???』、一体何者なんだ……みたいなリアクション所望します。
昔の人は言いました、『釣り針が見えても食いついてやるのが粋というもの』だと。
スパロボのお約束として、シルエットとか言動で誰なのか分かっても、知らないふりをしてあげるのが優しさです。
そんなこんなで中途半端にガチシリアスに成り切れない十九話をお届けしました。
セリフ少なくてごめんね。主人公不在で半ば以上フューリー側が出張ってる戦闘シーンだからごめんね。
ていうか長ったらしい説明ばっかでごめんね。でも今回説明読みとばすとあっという間に終わりますね。つまりあんまり読むとこ無いですね。
まぁこういう話もあります。

突っ込みが入りそうな部分、特にラダム母艦関連の話ですが、完全にオリジナルです。ボルテッカで消し飛ばしたのが原作の展開なんでしょうが、だって自分ラダム系のテッカマンじゃないんで、母艦の構造とか知りませんし……。
その辺りの設定に詳しい方かラダム系のテッカマンの方、或いはブレードⅡの異星人指揮官テッカマン系の方、母艦の構造について突っ込みがあればご一報下さい。
当然ながらフューリーのラースエイレム関係の部分も捏造です、だって自分以下略。
これまた詳しい設定知ってる方、あるいはフューリー系のエンジニアの方、ご一ぽ以下略。

因みに、作中のメルアが訓練で使ってる強化型旧ベルゼルート、格闘性能を上げて実弾兵器を多めに持たせた感じになっておりますが、それでも統夜に渡った魔改造後継機の素体に少し及びません。
例えるなら、統夜に渡った後継機がガンナーとボクサーを足して割らない強化外骨格を装備したヒュッケバインマークⅢ、メルアが使ってる強化型が着脱式中華キャノンオミットしてガナリーカーバー持たせたヒュッケバインマークⅡみたいな感じです。
メルアが色々無茶しながらも人並み以上に戦えてる理由も実はあったりするんですが、そこら辺はエピローグとかで説明するかもなので、もうしばらくお待ち下さい。

あと、この時点でジュア=ムが発狂していない事に疑問を感じられた方も多いでしょうが、そこら辺にも幾つか原因がございます。
アル=ヴァン自体が罰せられている訳では無い事、誇り高い騎士のまま戦って死んだ事、実際に主人公の脅威をその身で感じていたため、下等な地球人のせいで犬死にした訳では無いと感じている事。
それと、例によって例の如く脳をほにゃらららー。そのへんは多分次の話で解説出るかも。

あ、ジュア=ムの機体がこの時点で赤ラフトクランズになってる理由なんですが本編で語るほどのエピソードでもないのでここで説明。
ぶっちゃけ予備です。白い機体=主人公のボウライダーをアル=ヴァン一人で押さえこめなかった場合フー=ルーが加勢して、フー=ルーの代わりにラースエイレムを超過駆動させる役割を持ってました。
でもそんな作戦を聞いたら拒否しそうなので、ジュア=ムには作戦内容自体は教えられていなくて、御蔭で勝手に突っ走って乙ってしまった、と。
アル=ヴァンとフー=ルー的には、ギリギリの状況で教えて無理矢理にでもやらせるつもりだったんですが、御蔭様で犬死にです。今どうして生きてるかも多分次回。

シリアスではなくシリアス(笑)ではありますが、ここまで来ると中々ギャグやネタを挟めないのが心苦しいというか。
でもストーリー的に佳境っぽい感じなんで、もう少しだけお付き合いください。


そしてアンケート結果発表
☆・シリアス・シリアス(笑)が10票。
★・ギャグ・外道が7票。
どちらでも無い、無効、無投票が3票。

厳正なる多数決により予定通りシリアスルートへ進みます。ご協力ありがとうございました。

まぁでも、元々回収し忘れた技術とか主人公がコレクションしたい機体とかの為に別ルートの話はエピローグの後に外伝的に書くつもりでしたので、外道ルートを期待してくださっている方は本編終了後にご期待下さい。
まぁ、外道っても別にそこまで外道な真似をする訳では無いので、ギャグ塗れや外道な振る舞いを期待されると微妙に肩透かしを食らうかもしれません。
本編が最近色々肩肘張った内容なので、外伝では初期のジョセフとの食事シーンとかサポAIとの会話シーンとかみたいなヌルっとしただらけた雰囲気を書きたいですねぇ。

しかし、感想数が一話で20とか、なんというレス乞食技能成功(ヒット)、読者の方々の中にこれほどエスパー系の方が潜んでおられるとは……。
普段の感想数の五倍以上のエネルギーゲイン、驚きのあまり心臓が止まりそうでした。
話の順番に困ったからって安易にアンケートなんてやるもんじゃありませんね。GWと重なったってのも原因の一つなんでしょうが。
しかし今回は半ば繋ぎ話みたいな微妙な内容ですし、感想数はいつも通りかそれ以下になりそうな。あの感想数は蜃気楼の一種だったんだと心を落ち着けることにします。

でも一つも感想が無いのは寂しいので、諸々の誤字脱字の指摘、この文分かりづらいからこうしたらいいよ、一行は何文字くらいで改行したほうがいいよなどといったアドバイス全般や、短くても、一言でもいいので作品を読んでみての感想とか、心からお待ちしております。

次回、セミファイナルバトルまで持って行けたらいいなぁ。上手くいけばラストバトルまで持ってけるかも。


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