×月×日(空にオーロラが。人生初オーロラだけど少し不自然な光景やも)
『この辺ってオーロラが見えるような場所じゃない筈なんだよなぁ、これがオルファンの及ぼす影響ってやつだろうか』
『はてさて、そんなこんなで少しぶりの日記なので近況のまとめ』
『まとめ、と言っては見たものの、スパロボ換算にて二、三話程度しか進んでいない為、実はそれほどイベントはこなしていない』
『発電施設の防衛やらなにやらでDボウイが暴走、軍の連中に連れ去られてしまったぐらいだろうか。ここでは特に何の介入もしなかった』
『ここでは、というか、ここまで積極的に介入したことなんてほとんど無い事に気付く。形に残る介入としてはマジンガーZがさりげなく自軍に残っている程度か』
『あとは一週目なのにやたら資金が余ってたり殆どの機体がフル改造寸前だったり、格納庫の隅に敵のMSやSPTの残骸が修復されて転がっていたりするが、どれも本筋に係わるものではない』
『が、一つだけ、俺の完全な趣味というか気まぐれでやってみたことがある。この世界の統夜は何故か敵陣に突っ込みたがる癖があるので、その辺りの戦闘データと共にモルゲンレーテに後継機の武装変更プランと資金、資材提供をしておいた』
『ベルゼルートの元になった機体の技術を使っているから変更前の武装に劣るものではないし、つけておいて無駄になるものでもないだろう。これでまぁまぁあいつに合った機体が出来上がる筈だ』
『高校時代は部活もやらなかったし、なんだかんだで同性の年下を面倒みるとか初めての経験なので少なからず弟分的な愛着が湧いているのかもしれない。閑話休題』
『Dボウイの事については何故か俺もあれこれ言われたが、フリーマン氏が何の手も打たない筈がないと適当に言いくるめておいた』
『こういう状況でティーンエイジャーな若々しいパイロット連中よりも、フラガ仮面や健一(こいつは若いけど意見は年寄り臭い)と意見が合ってしまうあたり、スパロボの主人公適正の無さを痛感させられているようで悔しい』
『悔しいので、少し軍の方にハッキングかましてDボウイが収容される予定の研究施設を探し出し、警備システムの解除コードと施設内のマップを調べてフリーマンに突きつけてやった』
『しかし涼しい顔で『これで後々の救出作戦の段取りがスムーズになった』などとぬかされたので悔しさ倍増。悔しい……、でもビクンビクン』
『フリーマンまじクール。流石、愛の無いセックスではエレクチオンしない男は格が違ったということか。フリーマン違いかもしれないが気にするだけ損というものだ』
『まぁそんなこんなで今日もミッション開始、今回はオルファンの封じ込め作戦だがいつも通りの普通の戦闘をこなすだけ。的はグランチャーとSPTらしいし、今日のCDは処刑用BGM集の七巻かなぁ』
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
グランチャー部隊とグラドス降下部隊は死んだ、スイーツ(笑)といった具合で何事も無く殲滅完了。デカイボスの出ない通常戦闘なんて概ねこんなものだ。
ボスというかネームドのユニットは居たが、性能も腕も大差ないので気にならない。
そういえばジョナサンのグランチャーの色が変わっていたが、前のが死んで乗り換えたんだろうか。
しかしその新しいグランチャーも速攻で潰してしまった。最初のグランチャーは美鳥で次のグランチャーは俺。ここまで何度も蹂躙することになるなら、決め台詞でも言ってやった方が良かっただろうか。次までに考えておこう。
そんなこんなで戦闘終了後、ノヴィス・ノアに着艦してゆっくり経過を見守っていたのだが、何故かハッスルしだしてグランチャーでブッ込みを始めたナッキーを追いかけて休む間もなく再出撃。
これ多分フラグだよなぁ、こんなフラグよりはユニオンのフラッグの方が断然欲しいんだけど。
いいよなあフラッグ、あれの重陸戦用とか設定画見たことあるけど、追加装甲付けてもまだかなり細い。どこが『重』陸戦だよってくらい細い。プレーンなティエレンとガチっただけでも間違いなく折れる。
とか考えている脇ではナッキーがみんなの説得を無視して独自理論でハッスルし続けている訳で。
「君たちはくるんじゃない、グランチャーなら怪しまれずに近づける。俺にはわかる。こいつはオルファンに帰りたがっていない。すぐに呼んでくれなかったオルファンに、怨念返しをしたいんだ」
ヤンデレですね分かります。ヤンデレというか精神的に病んでる人割と多いよなこの作品。全員生き残るけど。
「だがなナッキー、そのまま突っ込ませるとそのグランチャーがラッセ・ブレンのように自爆するのは確定的に明らか。敵地の中でアンチボディを失って無事に帰ってこれると考えた浅はかさは愚かしい」
「そんな真似させやしないさ。フィギュアを狙うだけでいいんだ」
「無理だな、さっきの戦闘で自爆が有効だって学習した可能性だってあるんだ、ここは引き上げよう」
伊佐美勇がすかさずナッキーの反論をカット。これには流石のナッキーも反論の余地なし。
完 全 論 破、というやつだな。ブレンパワードの自爆でオルファンが止まった直後にヤンデレに突撃させるなんて、暗に特攻を勧めているも同然。
ああつまり、捨てられて迎えに来なかった恋人に『一緒に死んで……』とかやるも同然な訳だ。
しかもオルファンの中には自分とは違いちゃんとオルファンに迎え入れられた同種が大量に待ち構えている。途中まで上手く行っても道中で間違いなくヤンデレモードに移行して心中回路が起動するに決まっている。
「ザフトの偵察隊? イージスじゃないか」
ナッキーが反論できずに熟考に入ろうとしたその時、統夜が驚きの声を上げる。
いや実はそんなに驚いていない。多分原作よりは落ち着いた反応をしている。イージス一機にディン二機ならこのメンツで一ターン(現実換算で約一分)も掛からないことは統夜も理解しているから声にもかなり余裕がある。
他の作戦行動中なので追いかける理由も無いのだが、こちらが何か仕掛ける前に二機のディンがチャクラ光にぶつかり爆発した。
「あれは……」
「クインシー、姉さんのグランチャーか!」
仲間を撃墜され反撃しようとイージスが動く。しかし攻撃に入る為の挙動の途中でイイコ・グランチャーに一瞬で懐に潜り込まれソードエクステンションで斬り伏せられてしまった。
早い。というか、動きが気持ち悪い。
同じ姿勢のまま滑るように動くのはいいんだが、その速度と力強さが何時もの他のグランチャーとはケタ違いだ。
通信の向こうで伊佐美勇がオルファンのパワーに同調しているのかとか言っているが、生存本能が刺激されているってのもありそうだ。
「勇……私、殺されちゃう。ガバナーに殺されるのよ。私のグランチャーも。それでは可哀想すぎる……」
「なんだ、なにがあったんだ姉さん。落ち付いて話してくれ」
クインシーの声が震えている。伊佐美勇もそれに気づいているのか、何時になく労わる様な声で聞き返している。
労わるように、落ちつけようとしているのは評価できるが、なんかもう、ほんと駄目だな。
少し選民思想っぽいのに取りつかれているとはいえお前の姉だろうが。こうなる前に体張って受け止めてやるべきだったのにこいつときたら……。
こうなったらもう手遅れ。少し前、具体的には花畑に落下した時にフラグをへし折ったのが最悪だった。なんでこう、見ただけで地雷と分かっている選択肢ばかり選ぶのかこいつは。
「お前のような弟がいるせいで、あたしはガバナーへの忠誠まで疑われているんだ! あたしを姉と思うなら、この世から消えてなくなれぇっ!」
言うや否やユウ・ブレンに襲いかかるイイコ・グランチャー。その間に咄嗟に入り込みソードエクステンションをブレンバーで受け止めるナッキー。
ああぁ、ダメだ駄目だ。姉弟がそんなに仲悪くてどうすんだよ。ナッキー居なかったら今のどっちか死んでたぞ?
ナッキーのグランチャー踏ん張る。ソードエクステンションで斬り合いチャクラ光を撃ちあい、伊佐美勇の代わりに撃墜してやろうと猛攻。
数合打ち合うも、あっさり押し切られて終了。やっぱオルファンに見捨てられたグランチャーじゃ駄目だな。でも弱いが偉い。
「ヒメちゃん! ナッキーを!」
「わかった!」
すかさずヒメ・ブレンが放り出されたナッキーをキャッチ。その場から素早く離れた。これでナッキーの安全は確保完了。
「統夜、ガリ、フォロー行くぞ」
「わかりました!」
「カガリだ!」
素で間違えたが今はそんなことに構っている余裕は無い。速攻でイイコグランチャーを止める。
と、ボウライダーを二体の間にねじ込む前に即効でカガリが反撃でやられた。やっぱこいつカガリじゃなくてガリだ……。
ガリのスカイグラスパーから気にするなとの通信が入ったので一切気にせず作戦続行。ボウライダーで身体ごとぶつかりに行く。
「くっ、邪魔だ、どけぇぇっ!」
グランチャーの腹部をボウライダーの両腕で抱きしめ押さえつけ、ブースターを吹かしユウ・ブレンから引き離す。
「誰が退くか」
「こんの、落ちろ、落ちろ落ちろ落ちろ、勇ぅぅぅっ!」
ソードエクステンションで斬りつけられてもチャクラ光を浴びてもビクともしないボウライダーを引きはがすのを諦めたのか、そのまま我武者羅にチャクラ光を四方八方にまき散らす。
こっちもスーパー系並の馬力で押さえこんではいるものの、今のグランチャーは抑えきれない。
オルファンの近くで抗体レベルの高いグランチャーと力比べとか無茶にも程がある。
フレームから何からスーパー系の機体を参考に組直しているとはいえ、ボウライダーの腕はステゴロには向いていない。
雑魚が多いステージだったので速射砲とブレードが全て使えるようにウェポンラックに換装しっぱなしだったのが痛かった、ブレードで叩き斬っていいならともかく、押さえつけておくなら換装でクローアームを装備しておくべきなのだ。
案の定、こちらの束縛を無視しでたらめに放たれたチャクラ光に被弾し落下するユウ・ブレン。
それを咄嗟に受け止めようと飛び込むベルゼルート、追撃しようとさらに足掻くイイコ・グランチャーからソードエクステンションをもぎ取り、しかしついに引き剥がされた俺のボウライダー。
イイコ・グランチャー以外のその場にいた全ての機体がバイタルネットに接触、いずこともなく飛ばされてしまった
……いずこともなくっていうか、行く先は知っているんだけどな。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
コックピットハッチを開け、ボウライダーの頭の上に立ち周囲を見渡す。
「むぅ」
しんしんと雪が降り、樹や地面を白く染めている。辺りは一面の銀世界。
一見何の変哲も無い雪国の山奥だが、周囲には不自然なオーガニックエナジーの流れを感じる。
以前プレート確保の際に直感的に構成した循環型ではなく、天然自然のバイタルグロウブが偶然何重にも交差して形成している防壁のような結界。それが広い範囲で張られている。
間違いない、ネリー・キムの住処を覆うバイタルネットの結界だ。
どうにもクインシーに弾き飛ばされた時に巻き込まれてしまったらしい。
ここにボウライダーと俺を飛ばしたバイタルネットにベルゼルートも接触していたので、原作通り統夜とサブパイ(今日はカティアだったかな?)も巻き込まれているだろう。
「失敗した、かなぁ」
なんというか、憎み合っている訳でもない姉弟が殺し合うという状況に抑えが利かなかった。本当はあそこでナッキーを追いかける必要すら無かったんだよな、放っておいても丸く纏まるんだし。
いや、直前の戦闘でも姉弟対決とかそんな状況あったけど、あの時はレイズナーよりも早くブラッディカイザルを叩き落としておいたから気にしなかったんだ。
今回は姉と弟のガチ殺し合いに発展しそうで嫌だったんだよなぁ。
ここはネリー・ブレンとユウ・ブレンの再リバイバルの話の舞台で、一応バロンズゥ初登場の話。が、この話は関わるにはメリットが少ない、というか、無い。
DGグランチャーとDGブレンパワードを取り込んだ今、アンチボディの出来る事は大体出来てしまう。突進するデビルガンダムをチャクラシールドで跳ね返すことも鼻歌混じりに出来てしまう。
今さら不完全なネリー・ブレンや操縦者の未熟なバロンズゥを見た所で得るものは何もないのだ。
それこそ他のクルーと訓練するなり遊ぶなり修行するなり、メメメに餌付けするなりなんなりしてる方が有意義なのは間違いない。
しかも、俺が迂闊な行動をとればネリー・ブレンの再リバイバルが起こらなくなる可能性だってある。
万全を期する為にここで俺だけワープして戻るというのもアリだが、そもそもあのバイタルジャンプに一番近い所で巻き込まれたのに俺一人だけ無事ってのは少し不自然過ぎる。
それに、ヒメちゃん張りにオーガニック的な物に敏感なネリー・キムもいる。アンチボディを取り込んでいるとはいえ肉体を完全に人間に擬態させることは可能なはずだが、ああいう連中の直感というのは舐めてかかれない。
正確な日数は忘れたが、たしかこの雪山には数日泊まり込む事になるのだよな。どうにか欺き通すことができればいいのだが……。
「ああもう、しかたない」
何をするにしても、まずは他の二機と合流するのが先決か。コックピット備え付けのレーダーでベルゼルートとユウ・ブレンの場所を確認。
結構近いが、ボウライダーの装甲は大部分が真白なので奇しくも雪上迷彩になってしまっている。あいつらの機体のレーダーが無事かどうかも微妙だし、こちらから探しに行くのが賢明だな。
俺はコックピットに戻り、比較的近くに居るベルゼルートの反応の方へとボウライダーを飛翔させた。
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…………
……
不時着しているベルゼルートの傍らにボウライダーを降下させ、ベルゼルートの脚部表面に手を付き融合、機体の損傷度を調べる。
……ふむ、これだけダメージを受けているのに戦闘機動に支障が無い程度の損傷しかない。相変わらず見た目と設定にそぐわぬ頑丈さ。これだけ頑丈ならブレードの一本も持たせてやればすぐにでも格闘戦もこなせそうなものだが。
中の連中はまだ気絶中かな。とりあえず今のうちにバーニアだけでも修復して飛べるようにして、完全回復させると不自然だからそこそこダメージは残して修復。
こんなもんだろう。あとは中の連中が起きるのを待つだけだ。
と、一息ついたところでベルゼルートのコックピットが開いた。今の融合が見られたか? まあ、カメラの死角だから大丈夫かな。
金髪頭がコックピットからおっかなびっくり外に顔を出す。メメメだ。
意外だ、直前のミッションがひたすらグランチャーを潰すだけのミッションだったから射程の上がるカティアか、次点で攻撃力の上がるテニアかと思ったんだが。
「メルアちゃんか。良かった、とりあえずは無事でなにより」
「あ、卓也さん!」
こちらの顔を確認したメメメがコックピットから身を乗り出し、機体各部を中継して下に降りてくる。片手には緊急修理用の工具箱。
確か昇降用のギミックが付いていた筈だが、不時着して不自然な姿勢になっているせいで使えないのだろう。
メメメもあの見ための印象からは想像できないほど身軽だが、片手であんな曲芸じみた真似をすると、
「きゃっ」
脚を滑らして落下する。下は雪だしもう膝のあたりまで降りているので怪我の心配は無い。無いと理解していてもついつい助けてしまうのが紳士。
紳士でなくナイトならこういった気配りがモテる秘訣に繋がるのだろうが、生憎と俺はナイトでも忍者でもリアルモンクでもなく農民、しかも今現在目指しているのはどちらかと言えばプロトオメガなので小中高と女子にモテた例は無い。
モテモテのプロトオメガなんてどんなジャンルでも見たことが無いし需要も無い、更に言えば俺には姉さんが居るので何ら問題は無いのである。
「ひゃわ、あ、ありがとうございます」
こちらの腕の中で身を小さく縮めて恥ずかしそうに礼を言うメメメ。
今現在の状態は俗に言うプリンセスホールドという女性を抱え運ぶ体勢なのだが、雪山の中この姿勢のままで話を続けるというのは明らかにおかしい。
腕に当たるふくよかな太腿の感触や、胸板に当たる胸部の感触、髪の毛からほのかに香る甘い匂いは金髪属性に反応しない俺を持ってしても無視できない甘美さなのだが、そこをぐっと抑えて地面に下ろす。
「で、そっちの機体の状況は?」
知っているが、まぁ一応聞いておいた方がいいだろう。ここでこれを聞かないのも不自然だしな。
降ろされて露骨に不満そうな顔をしていたメメメが表情をまじめな物に改めた。
「ステータスチェックだと戦闘に支障は無い程度に見えるんですけど、ちゃんと直接目を通しておかないと気になっちゃうんです。ボウライダーはどうですか?」
「ああ、こっちはほぼ無傷だよ」
オルファンの近くでの戦闘だった為、異常なオーガニックエナジーを受けたイイコ・グランチャーに馬力で押し負けたが、攻撃が直接的なダメージに繋がった訳では無い。
しかし、度々機体にチェックが入るから無闇にボウライダーを魔改造できないのが痛いな。
主人公チームの中ではそれなりに避けるスーパー系的な立ち位置のボウライダーだが、オーガニック的なもので強化された強いアンチボディには押し負ける可能性があるということが証明されてしまった訳だ。
もしもあそこで力尽くでしっかりクインシーを押さえこめていれば、ああでもそうなるとユウブレンのパワーアップが出来ない。
感情的になって行動して、しかも思考が支離滅裂。取り込んだアンチボディの性質を上手く最適化出来なかったのか?
「あの、もしよかったら、整備に付き合ってくれませんか? 統夜さんとカティアちゃん、まだ気絶したままみたいだし」
「カティアちゃん? 複座式のコックピットにわざわざ好き好んで三人詰め込んだのか?」
「卓也さんが冷蔵庫を備え付けてくれたじゃないですか、あれ、今回はお菓子を食べる暇は無いだろうって外されちゃったんです。そしたら改造前よりもスペースが余ってたから、それじゃあ試しに三人乗りをしてみようって」
無茶苦茶だな、計器類とか、サポート用の機材は一人分後付けか? それとも機体備え付けのモノを二人で使ったか。
どっちにしろ、本来想定した使い方では無い筈。突貫工事だし、これから更に改修するか、それともやはり三人乗りはお蔵入りか。
「事情は分かった。でもその前に」
振り返り、大きな声で呼びかける。
「そこの人! こっちの機体はコックピットで二人ほど気絶しているんですが、こそこそ覗き見するぐらいなら、そのついでに介抱してやっちゃあくれませんかね!」
木の陰から、赤いドレスのようなコートを身に纏い、髪を後ろで纏めた女性が現れる。
「ごめんなさいね、覗き見するつもりはなかったのだけれど」
このバイタルネットが作る森の結界の住人、ネリー・キムが、複雑そうな表情をこちらに向けていた。
―――――――――――――――――――
×月□日(相変わらず山の中だが、次元連結システムのちょっとした応用で日記帳の召喚に成功、つまり暇を持て余している)
『バイタルネットに乗り、伊佐美勇、統夜、カティア、メメメと一緒にこの雪山に飛ばされて数日が経った。何日経過したか? ……数日だ、この世界で正確な日数を考えようとしない方がいい』
『さて、この生活も数日続いたが、バイタルネットの外側に強力なアンチボディの反応を感じているから、多分明日の朝か昼前辺りにバロンズゥが侵入してくるのだろう』
『ボウライダーの調子は万全、完全にノーダメージだと怪しまれるので装甲表面に多少ダメージがあるように偽装しているが、実際の中身は完全に調整済み。やろうと思えばここでバロンズゥを潰してしまうことも不可能ではない』
『ベルゼルートも、機体全体に多少のダメージはあるものの戦闘可能。中途半端に直しておいたが、それでもしっかりシステムチェックをすると多少の不具合が残っているそうだ。後で少し手を入れておこう』
『ベルゼルートとの合流後に合流したユウ・ブレンは、原作アニメでは一方的にぼろぼろにやられていたが、スパロボの展開だとまだバロンズゥに遭遇していないので両腕共に健在だった』
『しかもこちらの機体数は三機、やりようによっては勝機がある、というかかなりの確率で勝てるはずだが、ここでユウ・ブレンを勝たせても意味はない、気付かれない程度に手を抜いた援護で茶を濁すとしよう』
『それと、山小屋での数日の間、ネリー・キムとも何度か言葉を交わしたが、どうやら俺の身体がアンチボディ的な性質を隠し持っている事に薄々感付いているようだ』
『気付いた上で俺自身には警告も何も発さない、いや、こちらが何も仕掛けてこなければ気にする必要は無いというスタンスなのだろう』
『少々神経が過敏になり過ぎていたらしい、情けない話だ。情けないままでは何なので、いざという時の為に少し入れ知恵もしておいた。これでネリー・ブレンの再リバイバルがおこる確率も上がるだろう』
『とりあえず昼食を済ませてボウライダーのチェックに向かおうと思う。さっさとナデシコに戻って熱い湯船にゆっくり浸かり、風呂上がりのコーヒー牛乳を堪能したいものだ』
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
「と、こんなもんかな」
工具箱を閉じ、真っ黒に汚れた軍手を外す。
「ここでこれだけ整備出来ただけでも上等だろ」
「そうですね、これならラダムや木星トカゲがでてもどうにでもできる。でも大丈夫なんですか、パーツの流用なんて……」
「なんだ不安か。今まで散々ウリバタケさんがありもので整備してくれてたけど問題無かっただろ。コイツは極一部を除いて一般企業の技術で生産できるレベルの部品しか使ってないからな、ボウライダーのパーツでもしっかり動いてくれるさ」
当然、ナデシコに戻ったらもっと相性のいいパーツと交換するべきだけどな、と付け加えると、統夜は慌てて首を横に振った。
「そうじゃなくて、こんなにベルゼルートにパーツを回して、ボウライダーの方は?」
「今修理に使ったのはもしもの時の為に積んである予備パーツだから大丈夫。戦艦に乗って整備からなにから任せられるような仕事ばっかりじゃないからな」
という名目でこっそり複製した新品同然の予備パーツなんだけどな。
システムチェックで問題があったベルゼルートの破損箇所を、中身はほぼ無傷だったボウライダーのパーツを使って直した、という話。
当然、ボウライダーの戦闘に支障が出ない程度の量で構わないという事だったのだが、雑魚相手とはいえ敵はバロンズゥだけでは無いので念入りに修理しておいたのだ。
この言い訳が通じるかどうかは微妙だったのだが、同じく傭兵をしていた相良辺りとは交流が少ないし、そういう事を想定する奴は居ないと言われてもこの程度ならどうにでもごまかしが利くだろう。
「一応強化パーツのメガブースターも移植しといたから、機動力は普段とあまり変わらない筈だ。ああでも、旋回性能だのバックブースターだのはそのままだから、敵が来ても無闇に突っ込まないように、距離を取って戦うようにな」
「それ以前に、ベルゼルートは接近戦を想定していないのだから普段から突っ込まないで欲しいのだけど……」
「ははは」
カティアの突っ込みに明後日の方向を向いて空笑いで返す統夜。こいつも変な所でスルースキルが身に付いたものだ。むしろこれは少しキャラが違う気がするんだが。
「じゃ、俺は念のためボウライダーの方を再調整しておくから先に行っててくれ」
とりあえずあのオルファン直結グランチャーの出力を計算に入れてボウライダーを少し弄っておかねばならない。
「あ、私手伝います、いいですよね?」
「卓也さんは整備、メルアはその手伝いと。俺たちは小屋に戻ってネリーさんの手伝いだな」
すかさずメメメが手伝いを申し入れ、俺がそれを断るよりも早く統夜が予定を決定してしまった。
こいつ、自分への好意には鈍感な癖に他人から他人への行為には敏感でしかもフォローを入れただと? まるでそこらの少年誌のハーレム系マンガ主人公みたいなスペックになりやがって。
ここで改めて断るのも心象が悪い。仕方ない、メメメには機体の下でブースターの調子だのなんだのを見て貰うという口実で離れて貰って、その隙に作り直すとするか。
ガッツポーズのジェスチャーでメメメに気合を入れるように指示しているカティアとそれに笑顔と力強い頷きで返すメメメを尻目に、俺はウリバタケさんにばれないレベルでのボウライダーの出力強化プランを頭に思い浮かべるのであった。
―――――――――――――――――――
ボウライダーの強化、基本的な部分はウリバタケさんの目が入るからどうしようも無いので裏ワザを使うしか無いという結論で落ち着いた。
バロンズゥの戦力を予測するに、あのオルファンからエナジー直結のグランチャーほど強くは無いだろう。似たようなものをDG細胞で作ったから間違い無い。
さらに言えば相手は姉属性など欠片も持っていないジョナサン、下手に殺さないように、とか考えなければ幾らでも容赦なくTUEEEな戦いができる。
コックピットハッチを開き飛び降りる。地面は事前にボウライダーで踏み固めておいたので着地で埋まる心配は無い。
堅く踏みしめられた雪の地面に着地すると、砲撃形体を取らせていたボウライダーの足もと、メンテナンス用の計器を片手に、メメメが降り積もった雪をぼうっと眺めているのが目に入った。
「メルアちゃん?」
「――え、あ! はい、大丈夫です、こっち側は特に異常無しです」
俺の声に一瞬遅れて反応するメメメ。聞いてもいないのに機体の状況を慌てて報告してきた。
「ああ、うん。そうじゃなくて、どうかした? ずっと景色眺めてたけど」
「……ちょっと、なつかしいな、って。ずっと昔、まだ実験体じゃなくて、お母さんが居て、お父さんが居て……」
「……」
お父さんに、お母さん、か。
「チョコレートケーキ、クッキーに、大きくて凄いカラフルなキャンディーとか……」
メメメは目をつむって、懐かしむようにお菓子の種類を挙げていく。
どんくらい前の話か分からんがよくもまあ覚えているモノだ。実験体時代がつらかったから、そういう数少ない幸せな記憶は強く印象に残ったのか。
それとも、このくらいの年齢の頃は小さい頃の記憶を結構覚えていたりするものなのだろうか。
俺はどうだったか、いまいち思い出せない。
「手作りだったり、お土産だったり?」
「はい、お母さんが作ってくれたり、お父さんが仕事帰りに買ってきてくれたり」
閉じていた瞼を開け、苦笑するメメメ。
「幸せな気持ちになれるんです、お菓子を食べてると。ただお菓子が好きだからなのか、懐かしいからかは分からないんですけど」
「太るぞ」
「もう、真面目な話だったのに……」
唇を尖らせむくれるメメメ、しかし、本気で怒っているような語調ではない。
頬を膨らませた不機嫌な表情のままこちらに歩み寄り、俺の腕を掴み、抱きつくように寄り添った。
腕に抱きついたまま俺の顔を見上げ、眼を細めるように微笑む。
「こうしてても、幸せな気持ちになれるんです。……なんでだか、わかりますか?」
「……」
「ふふ、いいですよ、無理に答えて貰わなくても。でも、もうしばらく、こうしていてください」
腕を抱きしめる力も強くし、こちらの肩に幸せそうに頭をもたれかけてくるメメメ。
なんだかこの状況は、いや、いいか。たまにはこういうのもありと言えばありだろう。
洗脳がどうとか言い出すのは無粋、いや、そもこの世界でやってきたことなんて端から端まで全部無粋の極みだけど、それを洗脳された奴にぶっちゃけるなんて全く意味の無い話だ。
小屋に戻ったら、ホットチョコレートでも淹れてやるか……。
―――――――――――――――――――
一方、ナデシコ。
「うぅ……」
居住区、与えられた個室の中で苦虫を噛み潰したような表情でサポートAI、鳴無美鳥はうんうんと唸り声を上げながら歩いている。
(迎えに、いやでもそんな指示は出て無いし、お兄さんならどうにかなる筈も無いし、ここはおとなしくナデシコで待機、いやいやいやでもでも……)
鳴無美鳥は迷っていた。マスターであり兄のような存在でもある鳴無卓也の不在、というか失踪というか、そういったモノに自分がどう対処すべきか。
理性的な部分ではどっしり構えて、次の出撃に備えているのが一番効率的な選択だと理解している。
今現在のお兄さんなら全裸で最終面に放り出されても、ステージごと一ターンで全敵ユニットを消滅させることが可能。
たかがバロンズゥ一体とグラドスの降下部隊程度に遅れをとる筈がないという確信があった。
が、そんな理屈を超越した所に今の美鳥の心は存在してた。
「おにいさん……」
立ち止まり、ぽつりと呟く。
じわり、と目に涙を浮かばせ、歯を食いしばりながらも口が横に開き、咽喉奥から引き攣るような嗚咽が湧き出そうになる。
大泣きする寸前のような表情。産まれてから数か月、一度も取った事の無い表情だ。
しかし、その表情も長くは続かない。続けせない。
美鳥は自らの痛覚を限界まで人間のそれに近づけると、食いしばっていた顎に更に力を入れた。
ミシィ、という音とともに砕ける奥歯、砕けた歯から伝わる痛みで気合を入れ直す。
(だいじょぶ、お兄さんはだいじょぶだから。下手な手は打たない、次の出撃でお兄さんが飛ばされた雪山に行くはずだから、それまでは我慢、我慢)
砕けた奥歯の大きな欠片を飲み込み、新たに健康な歯を作り再生する。
口の中でザリザリと音を立てる歯の小さな欠片を舌で弄びながら、美鳥は自分を落ち着かせるように思考を再開した。
悩んでいても仕方がない、こうなったら頭の構造を弄って、次の出撃まで目が覚めないように、などと物騒な事を考えていると、コミュニケに通信が入った。
『パイロットの皆さん、グラドスの降下部隊が発見されました、という建前で飛ばされた統夜さんと勇さんと卓也さんの救出に行くことになりましたので、各自の機体で待機をお願いします』
余りにもあまりな言い方に苦笑しようとして失敗、喜びの表情を形作り、その笑いを押し殺す。
どうにもアンチボディを取り込んで、そこから復旧してもまだ感情の制御が上手くいかない。
グランチャーの持つオルファンへの執着や依存の感情が、そのままお兄さんへの物に変換されて美鳥の中に存在しているのだ。
今までにも強い感情はあった。お兄さんへの好意もあった。でも、これほどまでに無条件で誰かに、というかお兄さんに寄り添いたくなるような感情をあたしの精神構造は本来想定していない。
お陰でお兄さんが居ないこの数日、胸が締め付けられるような気持になり、不意に涙があふれてきて膝をかかえて座り込みたくなるなんてことが何度もあった。
感情に振り回されている。でも、不快じゃない。これが生き物の生の感情というもの、オーガニック的な感情なのだから。
「ふふっ」
頬を綻ばせ、笑う。やっとお兄さんが戻ってくる。戻ってきたらどうしようか、まずはキス、これは決まり。
初対面の人間にキスをするような男がなんの問題も無く受け入れられているんだし、兄妹で再会のキスをするくらいならなんら不自然では無い。
しかし、兄妹の行う再開のキスとはどこまでが一般的なものなのか。
舌を入れるのは当然ありとして、抱きついて胸を擦りつける程度のスキンシップもキスの一部と見なされてもいいのではないか。
これまでもなんどもお兄さんと腕を組んで歩いたりしているし、その程度のスキンシップは多めに見て貰えるはず。
再会への期待に胸をふくらませ頭の中身が温かくなり始めた美鳥は、そんな事を考えながらドアを開け、格納庫へと走り出した。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
別れの朝が、やってきましたぁ。
一人は死に別れだけど気にしない。ネリー・キム、我らが軍団の糧となるがいい。
そんな事を頭の中で考えつつも表面上は別れを惜しむかのように挨拶を済ませる。
これが野菜の直売所で鍛えた農家自慢のポーカーフェイス……!
どんなムカつくおっさんおばさん兄ちゃん姉ちゃんが来ても笑顔で接客する直売所での野菜売りの基本技能だ。
「ユウや貴方達の行く道は大変だし辛いわ。そこから逃げることはできないでしょうし、きっと貴方達もそれを選ばない。きっとどんな犠牲を払ってでも進むのでしょう」
ネリー・キムがこちらにチラリと視線を送った。どんな犠牲を払ってでも、ってあたり、俺に言ってるんだろうか。
上手くいけば誰も損をしないで終わるんだが、そういう希望的なイメージは湧かなかったのか?
やっぱり基本的に侵略者で掠奪者的な部分が多大にあるからなぁ、そういうイメージになってしまうんだろう。ああいや、この世界だと盗むよりも違法コピーの回数の方が多いか。
なんだか余計に小物臭いが気にしない。
「……そうだね」
伊佐美勇が『逃げない』の辺りに頷くと同時、森の向こうから飛来したチャクラ光によって、ネリー・キムの山小屋が爆発した。
「何だ!?」
「ネリーの小屋が!」
さて、せっかくこんな場所で数日過ごしたんだ。オリジナルのバロンズゥの性能、しっかりと確認させて貰おうか。
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「ジョナサン! お前の相手はこっちだと言った!」
応急修理とはいえ、殆ど全快と言って差し支えない程に修理されたベルゼルートが、距離をとりつつ両手に構えた二丁のショートランチャーをバロンズゥに向けた。
「舐めるな、機械人形が! 進化したグランチャーであるバロンズゥの力、まずは貴様が受けたいというならそうしてやる! いけよやァ!!」
ショートランチャーから放たれるオルゴン粒子の弾丸を掻い潜りフィンで斬り払い、バイタルジャンプも使わずに一瞬で数百メートルはあった距離を詰めるバロンズゥ。
進化したグランチャーを名乗るだけあって早い、これが俗に言うデモ戦闘パートであることを差し引いても、今の動きは並みのグランチャーではまかり間違ってもできる動きではない。
まだ僅かにフィンで叩き斬るには距離が開き過ぎているが、触手状に伸ばしたフィンでベルゼルートのショートランチャーを一撃で叩き落とした。
手から落とされたショートランチャーはそのままに腰部にマウントされているオルゴンライフルに手を伸ばすベルゼルート。
しかしバロンズゥはその僅かな隙に更に接近、ブレード状に形を変えたフィンで袈裟掛けに斬りかかる。コックピットを抉る直撃コース。
「死ねってことよぉ!」
ノリノリのジョナサンの叫び声が聞こえるが、流石にそこまでやらせる訳にはいかん。
ボウライダーの両手の速射砲を単発モードに切り替え、振り下ろされるフィンの先端に砲撃、斬線を逸らしベルゼルートがギリギリで回避できる隙を作る。
が、砲撃を喰らったフィンブレードの斬線が思ったよりもずれない。荒っぽい動かし方しかできないなりに、パワーだけは有り余ってますってか?
ベルゼルートも直撃こそは避けたものの胸部装甲がザックリと斬られ、その衝撃で吹き飛ばされた。
追撃で伸ばされる触手状のフィンを、バロンズゥから遠ざかるようにして回避を繰り返す。
「なんだ、こいつ、グランチャーのパワーじゃない……!? 勇、卓也さん、そいつ普通じゃない! 気を付けろ!」
吹き飛ばされながらもさらにバロンズゥから距離を取り、改めてオルゴンライフルを構えるベルゼルート。
ベルゼルートが退くことで空いたスペースにユウ・ブレンが飛びこむ。
近づいてくるブレンを歓迎するかのように両腕を広げ、同時にフィンを広げるバロンズゥ。
「ユウ、オーガニック・エナジーがつくってくれた再会のチャンス、共に祝おう!」
狂気じみたジョナサンの叫びを無視し、伊佐美勇がユウ・ブレンに話しかけている。
「やる気なのかブレン!? やれるのか、あんな変なグランチャーとも!?」
ブレンバーからチャクラ光を放つもバロンズゥの連続バイタルジャンプによって全弾回避され、逆にフィンによる斬撃を受けて片腕片足を落とされるユウ・ブレン。
バロンズゥを操るジョナサンからすれば、今のは殺す気で放った一撃だったのだろう。それを喰らって生きている伊佐美勇に歓喜の叫びをあげる。
「ハハハッ! かつての戦友だ。このくらい力があったほうが倒しがいがあるってもんだ!」
「くそっ、ネリー、俺達のことはいい! 一人で逃げてくれ!」
「馬鹿な事を言わないで。ユウブレンを見れば、あなたを守らなくてはならないのは私とネリー・ブレンです!」
ネリー・ブレンがユウ・ブレンを庇うようにバロンズゥに斬りかかるが、逆にチャクラ光で片足を破壊されてしまった。
悩んでいる内に進化の必要条件を満たしたな。オリジナルのバロンズゥがどんなもんかは見れたし、ここからは手を入れてもいいだろう。
互いを庇い合うようにして支え合っている片腕片足のユウ・ブレンと片足のネリー・ブレンとそれに相対するバロンズゥの間に割り込み、ブレンとベルゼルートに通信を入れる。
「ネリーさん、伊佐美、二人は一緒に下がっててくれ。この場は俺と統夜でどうにかする」
「無茶だ! 全員で行かなけりゃ、あの変なのは止められない!」
いや実は単騎で余裕だけど。そうじゃなくて、いや、ここは伊佐美よりネリーの直感に期待だな。
「そんな『不完全な状態』のブレンパワードじゃどうにもならないって言ってんだよ! いいから『今』は後ろに下がってろ!」
不完全、という言葉を強調して語気を強めに言い放つ。ちゃんと意味を汲んでくれるかな?
「……そう、そうね。完全じゃないとどうにもならない。ユウ、ここは彼らに任せて一旦引きましょう」
「ネリー?」
どことなく納得した風のネリーと、何を言っているのか分からないといった風の伊佐美勇を乗せ、肩を寄せ合い後方に下がっていく二人のブレンパワード。
あの損傷で足りるか? まぁ、不完全であるという自覚とこのままではやられてしまうという危機的状況はあるから、確率的には行ける筈か。
「ジョナサン、目の前の機械人形など相手にするな。中途半端な攻撃はアンチボディに力を与えることがある、ネリー・キムのブレンパワードの抹殺を優先するのだ。あれは危険なのだ、ジョナサン」
いかにも怪しい鎧姿の謎の人物、バロン・マクシミリアンが丘の上から大声でジョナサンに指示を出している。
これはこれでよし。ここで適当に痛めつけて退かせるのは当然として、もし今のブレンの損傷がリバイバルするに足りなかった場合はバロンズゥにもう一度攻撃させなきゃいかんしな。
「統夜、俺が前で斬りかかって動きを封じるから、お前は遠距離から、そう、遠距離から援護を頼む」
「……なんで遠距離を二回?」
「大事なことだからよ」
微妙な表情で疑問符を浮かべる統夜と、さらっと突っ込みを入れるカティア。
実際問題、完全に他からの援護が望めない二機連携なのでそこら辺はきっちりしておかないと無駄に混乱するので必要なことなのだ。
「あの、なにかあるんですか、あの二人に」
黙って静かに機体の制御を担当していたメメメが通信越しにこちらに疑問の声を上げた。
統夜とカティアは気付かなかったががどうやらメメメはあのセリフのどこを強調して言ったか、というのを少し汲み取ったようだ。
ぽやっとしつつもしっかりとした芯があり、観察力に優れるという設定は洗脳済みでもきっちり生きているらしい。
「面白いことが起こるかもしれないんだよ。ここでこいつを抑えていれば」
ぼかして答えながら二門の速射砲を両肩のウェポンラックにマウントし、ブレードとレーザーダガーを展開。
重力制御により、バロンズゥに向かって急速に『落ちて』行くボウライダー、さらにメインブースターと強化パーツのメガブースター二個を吹かし加速、ブレードをバロンズゥに向けて叩きつける。
激突の衝撃で大きく後退しながらも、ブレードを辛うじてフィンで受け止めたバロンズゥからジョナサンの叫び声が聞こえてきた。
「ぐぅぅっ! 邪魔だと言ったぁっ!」
「邪魔してんだから当たり前だ、と返してやろう」
ブレードとフィンで鍔迫り合いながら兆発する。力を得て調子に乗っている今ならあっさり乗っかってくれるだろう。
案の定、後ろに引くでもなくバイタルジャンプするでもなく、フィンを押す力を強めてくるバロンズゥ。
「ふん、いいだろう! どちらにしろ、あの女のブレンを抹殺するには邪魔になる、貴様から始末してやるぞ、機械人形!」
そう叫ぶと共に残りのフィンをボウライダーに突き刺しにかかってきた。
肩の速射砲は距離が近すぎて使えず、ブレードをフィンで押し合っている今ならどうにでも料理できると踏んだか。
だがまぁ、そこまで手加減するつもりはない。
回転鋸型ブレード起動、超電磁フィールド展開。鍔迫り合いしていたフィンを一瞬で切断、身を回すようにして迫る触手状のフィンを叩き切る。
数本斬り損ねるが、その数本は彼方から飛来したオルゴン粒子の結晶弾に撃ち落とされた。
結晶弾が飛んできた方角に頭部カメラアイを向けズーム、何時の間にかバイタルネットの結界ギリギリまで遠ざかったベルゼルートが、地に片膝をついてこちらにオルゴンライフルを向けている姿が映った。
「良い感じです!」
「このまま遠距離から狙撃でいきましょう。遠距離からね、近付かないように」
「言われなくても分かってる!」
通信から聞こえる姦しいやり取りを聞き、ベルゼルートから再び眼前のバロンズゥに視線を戻す。
さて、アンチボディがパイロットの気持も酌むなら、今の自分たちの無力感とかそういったものを刺激する程度に苦戦してみせなきゃならんのだが……。
逆に、向こうに行ったブレン二機の危機感を煽るほど残酷に圧倒的にバロンズゥを叩きのめし、パイロットの分まで無力感というか、完全体にならなければ自分たちまでやられる! 的な感情を想起させてやるのもありだろう。
そんな訳で、精々派手に暴れてやりますか。
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一方、バロンズゥを統夜と卓也に任せた伊佐美勇とネリー・キムの二人。
「う、ブレン……」
「これは、リバイバルの光、プレートがあったのか!? ネリー!」
欠けたパーツを補う合うように支え合い立っている二人のブレンパワード、その周囲をリバイバルの光のカーテンが覆っている。
伊佐美勇はネリー・ブレンのコックピットに乗り移り、オーガニックエナジーを吸い取られ衰弱しているネリーを抱きかかえていた。
「始まったのね。あなたと会ってようやくわかったの、あの人が言った通り、この子は完全じゃなかった。もう一度リバイバルが必要だったのよ」
ネリー・キムとネリー・ブレンはこの数日、白い機体に乗った人物を観察し、幾度か言葉を交わしていた。
ネリー・ブレンが恐怖とも共感とも言える奇妙な感覚を覚えた人物は、このブレンを不完全だと言い、そのためには必要な出会いが今なのだと、まるで預言者のような口ぶりで告げた。
進化を自ら欲するきっかけと、新しいブレンを育てる強い親が必要だ、と。
――遠くから、激しくも重苦しい重低音が聞こえてくる。アンチボディ・バロンズゥの悲鳴のような叫びも。
ここからはその光景は見えないが、あの恐ろしいバロンズゥを一方的に嬲っているのだろう。時折上がるバロンズゥの叫びを聞き、ネリー・ブレンが怯えている。
恐怖に身を竦めるネリー・ブレンを満身創痍のユウ・ブレンが支えている。精神的な意味での話だ。
進化しなければあの恐ろしい存在から生き延びることが出来ない。一人では戦えない。進化する為の身体も一人分では足りない。相手もこのままでは生き延びることが出来ない。
肉体的に不完全なものと精神的に不完全なものが補い合い、完全な存在に生まれ変わる。
……恐ろしいほど一気に条件が整ってしまった。もしかすると、こういう状況になることを予見していたのかもしれない。
だとすればあの男は……、いや、仮に思い通りだったとしても、今出来ることは何もない。ただこの子たちのリバイバルを見届けることしかできない。この命の最後の時間を使って。
「この子がここを出たがらなかったのは、ユウ、あなたのような人を待っていたからだった。命を与えられた者の可能性を探す為に」
あるいは、悪意ある存在から守り通す為に。
「誰が与えた可能性だ」
「それはあなたが探して。私にはブレンに吸い取られる程度の命しか残っていなかった。でもあなたなら、ブレン達を強く育てて、私の分まで生かさせてくれる。この子の力で、あなたの大切な人達も守ってあげればいい。外敵からも、身の内の悪意からも」
「身の内の、悪意?」
これしか言えない、まだ決まった訳では無いから。他を顧みないだけで、まだ邪悪なものだと決まった訳では無い。
思い出す、この数日の生活の中、あの男が気まぐれに語った想い人の話。その人の為になろうという献身の意思。
あの男の中にも、確かに邪悪では無いものが存在していたのだから。
「ネリー……?」
――ユウブレンと、命を吸い取られたネリー・キムの肉体がリバイバルの光に溶け込んでいく。
その光景に呆気にとられ呆然としている伊佐美勇の耳に、ネリーキムの囁きが聞こえた。
(悲しまないで。わたしは孤独では無かったわ、いつでも。最後には貴方達にも会えた。……ユウ、忘れないでね。憎しみだけで戦わないで。それではオルファンも、いえ、何も止められないわ……)
ネリー・キムとユウ・ブレンの融けた光がネリー・ブレンに収束し、リバイバルが完成した。
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……
超電磁フィールドの光を伴わず、純粋に回転鋸としての機能を発揮し、ギュルギュルと唸り声を上げるブレードがバロンズゥの装甲を削る。
戦闘に必要な筋肉に相当する積層構造が存在する深さまでは達さない絶妙な手加減の成された斬撃。
見ればバロンズゥの表面はそのような傷で無数に覆われ、フィンも幾度引きちぎられたのがぼろ雑巾のような有様になっている。
バイタルジャンプでボウライダーの背後に回り、ブレードも届かず砲撃も出来ない位置に付いたバロンズゥ。
しかし、肩のウェポンラックにマウントされた速射砲が接続部分を基点にぐりんと大きく回転し、その頑強な砲身でバロンズゥの顎を殴りつけた。
離れれば速射砲、近寄ればブレード、背後は死角ではなく、逃げることもネリー・ブレンを追うこともできず、バロンズゥはその身を削られていく。
「あぁはっはぁっ! ごめんねぇ、強くてさぁ!」
ボウライダーのパイロットである鳴無卓也が叫ぶ。
当然通信は切ってあるのでこの叫びは聞こえていない。聞かせられないようなことを口走ってしまうだろうという予測は付いていたからだ。
テンションを上げ、本能の趣くままに力を振るい、ただ只管に目の前の獲物を嬲っている。
操縦桿から機体に神経を張り巡らせ、ボウライダーと普段以上に一体化し、短剣と鋸を手に、砲撃のリズムに乗り、手拍子のような狙撃音に合わせ、踊り狂うようにボウライダーを振り回す。
嬲っている、殺す為では無く破壊する為でも無く、ただ悲鳴と恐怖の感情を引き出すためだけの攻撃。圧倒的な力を示す為だけの蹂躙。
バロンズゥを目の前にしながら、バロンズゥを傷めつけながら、あくまでもこの行為はネリーブレンの再リバイバルを促すためだけに行われている。
逃がす事もしない。バイタル・グロウブの流れが目にはっきりと見える卓也は、バロンズゥが逃走する為のルートをボウライダーの身体を割り込ませることで潰し続けている。
反撃を喰らいそうになることもある。
しかし、チャクラの流れ、バイタル・エナジーの流れを正確に察知することによって、卓也の眼にはバロンズゥの十数秒先の動きまでも映っているも同然。
バロンズゥが必死にフィンを振り回そうとも片端からいなされ流され、チャクラ光はその軌道からあっさりと移動され回避される。
バロン・マクシミリアンが先ほどからバロンズゥのジョナサンに向かって指示を出している。
その必死な姿を見て、ボウライダーのコックピットの中で鳴無卓也は口の端を三日月のように釣り上げ、嗤った。
愉快そうに、滑稽に、皮肉に、嘲るように、羨むように。喉の奥からくつくつと絞り出すように笑い声を響かせて。
――いいな、この感じ。感動的だ。お次は『かわいいジョン』とでも続けるか?
遠目には、バロンズゥの速さに付いて行けず、ブレードも砲撃もギリギリのところで回避されているように見えるだろう。
だからこそ狙撃での援護が続いている。斬り損ねのフィンを撃ち落とす結晶弾が絶え間なく撃ち出されているのがなによりの証拠だ。
(と、そろそろいい頃合いだろう。どんな具合かな……?)
バロンズゥから距離を取り、二体のブレンパワードが引っこんでいった森の方角に顔を向けるボウライダー。同時に、眩いオーガニックエナジーの渦、リバイバルの光が溢れ出した。
成功だ。この数日結界の中を探索してみたが一切プレートは発見できなかった。間違いなくあれはネリーブレンの再リバイバルの光。
――これが見たかったんだ。未熟なバロンズゥでもなく不完全なネリーブレンでもなく、既にリバイバルしているアンチボディが再びリバイバルする瞬間というものを!
これが達成できたのならもう用済みとばかりにボウライダーをバイタルグロウブに続くラインから退かせ、満身創痍のバロンズゥに道を譲る。
すかさずバイタルグロウブに乗りジャンプする、バロンを掌に乗せたバロンズゥ。
ここからオルファンまで一発でたどり着けるものでも無いし、到着するころには再生してほぼ無傷の状態になっているだろう。
これでテンションを上げる必要はなくなった。表情を元に戻し、通信を繋ぐ。
「なんとか退いてくれましたね……」
「あのリバイバルを恐れてのことだろうな」
森の中から未だに溢れ続けているリバイバルの光。
実際は道が空いてようやく逃げられたというところだが、確かにあの光がチャクラ光になって襲い掛かってきたら溜まったものでは無いのも確かだろう。
光が収まり、森の中からユウ・ブレンの色に染まったネリーブレンが現れた。
さて、ここからは消化試合、適当に無人兵器を散らしたらこんどこそナデシコの大浴場でゆっくり湯に浸るとしよう。
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×月■日(版権スーパー系コンプリート!)
『とか思ったが、別にそんなことは無かったぜ! まだダンクーガのパワーアップイベントが残ってたりするんだ、これがな』
『でも野性とかあんまり分からんし、取りあえず取り込んではあるけど、使い道はなさそうだなぁ』
『ともあれ、マジンカイザーは無事カイザースクランダーとカイザーブレード解禁。俺もそれを複製してマジンカイザーのデータ、及びグレートマジンガーの完全版のデータを入手』
『そうそう、久しぶりに八卦ロボが出てきたがとんでもないわがままボーイだったので手加減無しでフルボッコにしてやった。中性的なイケメンにして貰った恩を仇で返そうとする大バカモノにはふさわしい末路だと言える』
『まぁ結局止めはメイオウ様が刺したわけであるが。これでなんとかGゼオライマー登場フラグだけは立てることができそうだ』
『その後のダナンの潜水艦ジャック事件もさらっと終了。八卦ロボの山、地、雷も全機でかかって叩きのめしたらあっというまに逃げていった』
『この話では顔見せだけ、Gゼオの条件は次の次の話なのでダメージ調整とか気にせず速射砲の的にしてやった。ゼオライマーに撃墜させるように仕向けたりしなければ楽な相手だ。正直、ラムダドライバの分だけベヒモスのが面倒くさい』
『ここまでどうにかGゼオライマーの出現フラグだけは満たしてきたし、ほぼ確定かな。どっちにしろもうほとんど機体は完成しているだろうし、これ書いた後で鉄甲龍要塞に乗り込んで回収しておこう』
『で、更にその後も例によって例の如く空気を読まずに喧嘩売ってきたザフトと連戦。これは特に書いておくことも無く終了』
『次はルート分岐、どっち行っても統夜が選んだルートでフューリーが出てくるんだよなぁ』
『前にアル=ヴァンが言ってた悪鬼云々についても聞きたいし、できれば統夜には残留ルートを選んでほしいものだ』
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鉄甲龍要塞内、幽羅帝専用機格納庫。
「なるほど、大体分かった。」
座標を覚えていたので途中砂漠などを中継せずに直で要塞内部にワープ、他の八卦衆の機体の設計図のデータやら予備パーツを拾い、幽羅帝専用機の確認をしに来た。
登場直前の八卦衆の残り三機をゼオライマーで撃墜するのが条件の一つであるGゼオライマー。
そこでゼオライマー以外で撃墜するとハウドラゴンになるのだが、そのからくりは実に簡単。
このGゼオライマーとハウドラゴン、ガワが違うだけの同機体なのだ。
「着せ替え式とはなかなか趣味的な男だったようだな」
「盗撮マニアだからねぇ……」
サポートとして付いてきた美鳥がしみじみと呟く。ドラマCDネタは自重するべきだと思うが、実際葎の仮面コレクションを発見している手前どうにも弁護のしようが無い。
まぁ、実際次元連結システムは人一人分のスペースがあれば簡単に搭載できてしまうから、ハウドラゴンとグレートゼオライマーの中身が一緒でもなんら不都合は無い訳で。
「これで、ゼオライマー系の機体はコンプリートだな」
「よっしゃ、時間も少し余ってるし、ちょっと寄り道してもいいよね。そろそろ水着でバカンスな話があるからさ、一緒に水着選んでもらえると嬉しいなぁ」
やたらはしゃいでいるが仕方ない、なにしろ美鳥にとっては水着も海水浴も文字通り生まれて初めての体験なのだ。
元になる生地も存在しないので複製して済ませるとかもできないし、どうせスパロボ世界に来ているのだから、スパロボオリジナル主人公達の奇抜なファッションを支えるこの世界のデザイナーが作った水着を手に入れるのも一興だろう。
お、そう考えるとこの世界で水着やら下着やら買ったら姉さんへのいいお土産になりそうだ。
姉さんのスリーサイズも当然覚えているし、美鳥の水着を選ぶついでに姉さんへのお土産も探しておこう。
続く
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丸一話使って『カーテンの向こうへ』に主人公を挿入する話終了。
書ける時にささっと書いて、思いついたらシーンとシーンの間にさらに新たなシーンを挿入して、って感じで作ってるので、前後のシーンで微妙につじつまが合って無かったらどうしようとか戦々恐々。
一応その辺りは誤字探ししつつ推敲する上で探しているんですけど、見逃がしがあるかもなので、見つけたら誤字と同じくご一報ください。
今回試験的に地の文弄ってみました。後半のネリーの独白部分から一人称の文と三人称の文が何回か切り替わってます。読みづらいとか分かりにくいとかご意見頂ければありゃりゃす。
前回少しエロいこと書いたから今回は賢者モード。シリアスというか、静かだったり残虐だったりでエロくないお話でした。
実はラストの鉄甲龍要塞で、
鉄甲龍の戦闘員に見つかりそうになる→サポAIが一瞬で首刈って始末→ご褒美下さい→敵地の真ん中で結界も張らずに『人が来ちゃうよぉ……!』プレイ開始!
みたいな流れもあったんですが、二話連続でエロシーン入れるのもなんだし、全年齢表現ギリギリのラインが見極められなかったり、エロばっかりやってると打ち切りになるジンクスがあるので自重しました。
機能しているのかも必要なのかも分からない、セルフ突っ込みこうなぁ。忘れられてそうな内容のおさらい含む。
Qなんで主人公は勇とイイコの間に割って入ったの?
A本文中でも言っていた通り、姉と弟が殺し合うとか無いわぁ、という考えがあったんです。その辺踏まえてブラッディカイザルはエイジが話しかけるよりも早く、グラビティブラストの開幕ぶっぱで潰してます。
殺さなかったのは、エイジ姉は条件満たさなければ勝手に死ぬからいいとして、本来生き残る運命にある姉属性の人を殺すのをためらったとかそんな。つまりこの雪山エピソードに絡ませる為の天の意思、作者の都合です。
Qなんでこのエピソード?
A最終回の展開とかの為にメメメとの親密そうな、というか、メルアが主人公に洗脳されてどの程度慕っているかという描写をする為。限定された環境で、なおかつ普段べったりなサポAIを主人公から引きはがしてくっつけやすくするため。
ほんとうはネリーに、あの男は危険~みたいなことを言わせたかったんだけど、そういう複線を回収する自信が無かったり。
ていうか、スパロボ編初期で説明した主人公の使う洗脳術の方式、某有名ラノベのアンチの的になり易い設定(原作設定だか二次創作設定だかは忘れた)を参考にしてるんだけど、突っ込み無いですねぇ寂しいですねぇ。
ついでに言えば『ごめんねぇ、強くてさぁ!』と主人公に言わせたかったのでわかりやすい強キャラであるバロンズゥを生贄にするためにこの話を選んだとも言える。
Q統夜に遠距離から狙うようにしつこく言い含めたのは何で?
A主人公の戦い方を見て成長したため、J主人公である統夜がやたら接近したがる感じになっているから。その辺含めて微妙に複線です。
Q主人公、メメメ洗脳とか痛めつける戦闘とか、外道過ぎない?
Aこの主人公が正道を歩んでいるように見える人は居ないので問題ないです。
次回、多分少しフューリー関係でシリアスやってお色気担当な水着話。予告は思いつかないのでこの辺で。
そろそろ主人公が離脱ということで、ややメメメとかその辺との絡みを押して行きますよ!当然予定は未定ですが。
まぁメメメ的にはどう足掻いてもバッドエンド確定なんですが。
しかし、このSSってどういう分類なんでしょうかね。ギャグでもなくかといってシリアスというほど空気が固い訳でも無く。
ネタSSってのが適格なのかもしれませんが、狙ってネタ入れてる訳じゃ無いからそうとも言い切れず……。
的確な分類法とかあったらご一報ください
そんなわけで、諸々の誤字脱字の指摘、この文分かりづらいからこうしたらいいよ、一行は何文字くらいで改行したほうがいいよなどといったアドバイス全般や、作品を読んでみての感想とか、心からお待ちしております。