注・これはけっこうかっこいいダニエルの話です。
「よう、もう起きてたのか」
朝起きると知らない街の路地裏で目を覚ました。
杖もどこかに行ってしまったらしく、金がないから帰ることもできない。
それどころかどうやら警察にかけあってみたわけなんだが、俺の身元が確認できないとかで捕まりそうになった。
まあ、そこからいろいろとあって司狼に拾われて一緒に行動してるわけなんだけど、最近この街は物騒だ。
なんでも殺人事件が多発しているらしい。
しかもこの馬鹿はなんでかそれに積極的に関わろうとしている。
「ほら起きてるなら行くぞ」
え~。
別に殺人事件とか調査しなくてもいいじゃん。
というか、俺がついて行く必要ないよね?
俺のことは放って置いてくれてもいいからさ。
留守番してるよ。
「駄目だ。お前がいないと意味がねえ」
なんでだよ。
「なんというかな。
お前と居ると何もかも新鮮って言うのか?
経験したことが無いことばかりに感じるんだよ」
そりゃあ経験したことがあったらびっくりだ。
俺たちつい最近会ったばかりだし。
「そういう意味じゃねえ。
まあいい。ついてこい」
あー!
腕引っ張るなって!
「そろそろダニエルも諦めたら?」
エリーちゃんも止めて!
「嫌。私も最近楽しいんだから」
「もっとだ。
せっかく生まれて初めて、初めての経験ができてるんだ。
もっと、もっと楽しい、最高にスリルのある経験をしようぜ」
いや、スリルとかいらんから。
ほら、朝ごはん作るよ?
今日もダニエル特製の朝ごはんだ。
「・・・・・食ってから行くか」
「司狼餌付けされちゃったわね」
「うるせえ。こいつの料理も初めて食べるように感じるんだ。
・・・・こんなに飯が上手いと思ったのも初めてなんだよ」
材料何があったかな?
とりあえず、汁物から準備しとくか。
それからさらにいろいろとあってなんだか俺もやばい連中の戦いに巻き込まれた。
「どうした劣等!その程度か!」
杖も無しじゃどうにもならないって!
なんなんだよこいつらは!!
「私は大きな罪を犯したのです」
いや、俺に懺悔されても困るよ神父さん。
「罪を償うために罪を犯し、その罪を償うためにさらに罪を犯す。
そうして私は永遠に罪を償い続ける!」
だから俺はそんなん知らんって。
でもさ、あんたが狂ってるってことくらいはわかるよ。
「何も心配はいりません。
あなたもいずれ生き返らせてあげますから」
生き返らすとかさ。
そんな簡単に言うなよ。
こっちだって何度も目の前で、たくさん、たくさん人が死んでいったんだよ!
「なんだあれは、私は、あれを知らない」
なんということか。
まさか、まさか。
「あれはなんだ」
知らない。
あんな者、私は知らない。
「ふふ・・・ふはは・・ふははははは!!」
知らない知らない私はあれを知らない。
初めてだ。
こんな、こんな楽しい気分になれたのは。
「神よ。よもやこれもお前の運命の輪の中だとは言うまいな」
特異点。
運命の輪の中に突如現れた異常。
壊れたのか?
運命の輪はこれで。
計画とはずいぶん違うが構わない。
私は解放されたのだ。
「もっとだ。もっと見せてくれ」
あれはどんな顔で笑う。
あれはどんな顔で哭く。
「ああ、会いに行こう今すぐに」
愛しい。
たまらなく愛しい。
触れてみたい、話してみたい、壊してみたい。
なにをすればどんな反応をするのか。
触れてみよう。
話してみよう。
壊してみよう。
全部だ。
全部試してみよう。
それはきっとどれも初めてなのだから。
司狼side
「無駄だよ。どんなに頑張っても僕の攻撃のほうが速いんだ!」
「ちっ」
「だから無駄だって」
「・・・前の俺なら、初めての経験をするためならここで死んでも構わないとか言ったんだろうな」
「何言ってるの?」
「でも、今は毎日が初めてばかりでよ。
すっげえ楽しいから、死ぬなんかまっぴらごめんだぜ」
「でも君はここで死ぬんだ!」
「はっ!てめえだけ死にな!」
蓮side
「どけ!もはや貴様に用など無いのだ!!」
だが蓮は引かない。
強大な相手を目の前に一歩も退くこと無く対峙する。
「私は、彼に会いに行かねばならないのだ!!」
柄にも無く黄金の獣は焦っていた。
自分がすでに計画を放棄したことに気づいているであろう副首領がどういった行動を取るか想像出来ていたから。
「時よ止まれ。お前は美しい」
一瞬すらもない時。
瞬きする暇も無いが、長い、長い戦いが始まった。
ダニエルside
戦場と化した街。
この世の地獄と化した街。
その街の教会で俺は杖を見つけた。
なんでこれがここに。
ぎゅっと握り締める。
間違いなく俺の杖。
「それはあなたのものだったのですね」
神父・・・・。
「あの方は既に目的を果たしたようですが、私はまだこれで終わるわけにはいかないのです。
償わないと、償わなければならないんです」
あんたがどれだけ苦しんだのか後悔したのかは知らないよ。
でもさ、やっぱりそれはいけないよ。
普段なら、俺の知らないところでやるんなら、俺も放っておいたと思うよ。
でも、関わってしまったんだ。
司狼、エリーちゃん、蓮くん、マリーちゃん、香純ちゃん、蛍ちゃん、玲愛ちゃん・・・・いろんな人に出会った。
いろいろと事情がある子ばかりだけど、結局はみんな良い子だったよ。
この街も、すごくいいところだった。
だからさ、あんたがここを壊すって言うのは駄目だ。
もう俺はあんな思いをするのも、あんな光景を見るのもごめんなんだよ!
既に壊れてしまった運命の輪。
故にこの先は未定。
誰にも先を予測することなどできない。
あとがき
本編の方がうまくいかない。
どうしようか。
赤松さんは体調がやばいらしいが大丈夫なんだろうか。
これ書いてたら頭の中がエリー一色になった。
エリーいいよ。エリー。
ふと思うと、聖なるかなだと魔力とマナが互換性があるとか、同じようなものと言う設定にすれば、最後にマナを失って体を乗っとられたエヴォリアを仮契約で魔力供給とかでなんとかできそうとか思った。