ドムドーラから南へ、橋を越えた所で東へ進むとメルキドへと向かう。
途中、精霊のほこらがあるため立ち寄ると、ほこらの二階では一人の妖精が私達を待っていた。
「わたしはその昔、ルビスさまにおつかえしていた妖精です。
そしてあの日7月7日、ルビスさまにかわり、ツカサによびかけたのも、このわたし」
と言われても、ツカサはアリアハンでコックをやってるんだけどね。
「あの時はずいぶんと失礼なことをいったかも知れません。許してくださいね。
しかしツカサはついに、ここまで来てくれました。
わたしの想いをこめ、あなたにこの雨雲のつえをさずけましょう」
雨雲の杖を受け取る。
他に花壇から銀のロザリオを。
中央の床から小さなメダルを回収して、その場を去った。
次は、城塞都市メルキドに到着。
でも、その城塞は未だ中途半端で、モンスターの侵攻を防げるようなものじゃなかった。
街の人は絶望し、ニートになっていた。
「ここは、怠け者の街かーっ!」
「まぁまぁ、カガミンや。こういう所には掘り出し物があるかも知れないよ。
いつも通り不用品の回収をやって、ゴーレムを作っているという学者さんの本棚から、豪傑の秘訣、優しくなれる本、淑女への道、頭が冴える本、負けたらあかんを手に入れる。
民家のタンスからは、すごろく券とパーティードレス。
その他にも、店のカウンター前からすごろく券を拾ったり、建物の床から小さなメダルを拾ったり、建設途中で放棄されたのか、床がそのまま地面になっている建物から祈りの指輪を手に入れたり。
また、宿屋には吟遊詩人のガライさんが居て、タンスからはヘビメタリングが手に入った。
「……家には、モヒカンの毛があったし、もしかしてガライさんって、そっちの系統の歌い手なのかな?」
だから銀の竪琴は、魔物を呼び寄せるのかも知れない。
小さなメダルが貯まったため、アリアハンに戻ってメダルの館で神秘のビキニと引き替える。
「高い守備力を持ち、命の指輪と同じで歩いているだけで体力を回復してくれるっていうアイテムだねー」
体力があって、タフなカガミ向けの装備だろう。
カガミの光のドレスと交換する。
「い、いくら魔力が守ってくれるからって、これは無いわよ」
「おおー、伝説のビキニアーマーみたい」
恥ずかしがるカガミに萌えつつも、現時点で購入、入手可能な最強装備も揃ったので、ラダトームの北、魔王の爪跡と呼ばれる洞窟に降りてみる。
ここはピラミッドの地下のように魔法が打ち消されるんだけど、
「どうせ最初から使えないもの」
「そうだね、私達には関係ないねー」
戦士と盗賊の二人旅では最初から呪文を使えないので、問題はない。
むしろ、敵も使えなくなるために有利になるくらいだ。
サラマンダー、トロルキング、ヒドラ、アークマージなど強力なモンスターが現れるけど……
基本的に少数で現れるので、カガミの魔神のオノと私のドラゴンクロウで攻撃を受ける前に倒すことができた。
第三階層まで無事降りきって勇者の盾、小さなメダルとゴールドを宝箱からゲット。
宝箱にはミミックが混じっているけど、ここは魔封じのゾーン。
「ザキが使えなければ、怖くないねー」
さくっと倒してしまう。
そして試しに魔王の爪痕と呼ばれる元になったと思われる地割れに飛び込んでみると、地鳴りと共に、「ぺっ」とばかりに吐き戻されてしまった。
「びっくりしたー」
「どこに繋がっているのか分からないけど、私達は嫌われているみたいね」
次は、岩山の洞窟にチャレンジ。
「さぁ、どんどん、ふくろに仕舞っちゃおうねー」
祈りの指輪、小さなメダル、地獄の鎧、破壊の剣、そしてお金を宝箱から回収。
ホロゴーストやダースリカント、ガメゴンロード、地獄の騎士なんかが出て来るけど、どれもカガミのグリンガムのムチと私のドラゴンテイルを重ねて当てれば倒すことができた。
次いで、いよいよルビスの塔へ。
一階では、お金。
二階では、小さなメダル、力の指輪、博愛リング、炎のブーメラン、命の木の実二つとお金が手に入る。
ちなみにミミックが混じっているので、注意が必要か。
「回転床が……」
「でも、右回りか左回りに九十度ずれるって覚えておけば、そんなに難しくないでしょ」
「そんなにするする進めるのはカガミだけだよ」
そして三階では宝箱から小さなメダル、転がっていた頭蓋骨の側からすごろく券、四階で光の鎧が手に入る。
「これで勇者の装備が揃ったね」
「ま、私達には使えないけどね。それに女性の場合は、光のドレスの方が守備力が上だし」
五階にたどり着き、石像の前で妖精の笛を吹く。
「ああ、まるで夢のよう! よくぞ封印をといてくれました。
私は精霊ルビス。このアレフガルドの大地をつくったものです。
お礼にツカサに、この聖なるまもりをさしあげましょう。
そして、もし大魔王をたおしてくれたなら、きっといつかその恩返しをいたしますわ。
私は精霊ルビス。この国に平和がくることをいのっています」
聖なる護りが手に入る。
「これは、ザキ、ザラキに対する防御効果があるんだけど、勇者専用なんだよねー」
太陽の石、雨雲の杖、聖なる守りが揃ったので、聖なるほこらで虹のしずくを作ってもらう。
「ここは聖なるほこら。
よくぞ来た! 今こそ雨と太陽があわさるとき。
そなたにこの虹の滴をあたえよう!」
ちなみにここの十字架の前では、小さなメダルが拾える。
これで小さなメダルは百枚。
アリアハンに戻ってメダルの館に行くと、最後の景品、ゴールドパスをくれる。
「これは、すごろく券無しで何度でもすごろくができるフリーパスだよ。これでもう、すごろく券も小さなメダルも集めなくてもいいんだよね」
リムルダールの岬で虹の滴を使い、ゾーマの城への橋をかける。
「虹の橋って、何だかロマンチックよね」
って、カガミは言うけど。
「……途中で消えてしまいそうで、怖いんだけど」
そう言うゲームもあったし。
なにはともあれ、ゾーマの城。
進むと、石像が建ち並ぶ広間に出た。
でも、中に足を踏み入れたとたん、入り口が閉じられてしまう。
「閉じこめられたねー」
「どっ、どうするの、コナタ」
「いわくありげな所に入ったら、扉がひとりでに閉まるって言うのはお約束だよ」
「そ、それじゃあ、石像が襲ってくるって言うのも……」
二体組の大魔人が三波に分け、合計六体、襲ってくる。
攻撃力が高い上、痛恨の一撃もあり得る二回攻撃を仕掛けてくるけど、
「ヒマね、コナタ」
「まじんは、ひまじん、だねー」
大魔人は、混乱に弱い。
カガミの誘惑の剣と私が使った毒蛾の粉で混乱させられてしまい、お互いに殴り合っていた。
「あ、決着が付いたわね」
「残った方に止めだね」
六体全て倒しきると、部屋を出ることができる。
そして行き着いたのは、バリアに囲まれた玉座。
そして、玉座の後ろには隠し階段があった。
階段を下りるとまたすぐに下り階段。
降りきった所には、回転床だらけのフロア……
「うげぇ、これを渡るのかぁ?」
間違えたら下に落ちてやり直しだ。
まともに挑もうとすると物凄く面倒だけど、
「見えたぞぉ! 水のひとしずくぅ! うぁぁぁぁっ!!」
「ちょ、ちょっと押すな、コナタ!」
実は真っ直ぐ直進するだけでクリアーできるという裏技がある。
あっという間に踏破。
抜けたと思ったら、次のフロアは複雑な迷宮。
途中、諸刃の剣を手に入れながら、何とか脱出。
そして、たどり着いた先では……
一人の戦士が、キングヒドラと戦っていた。
「お父さん!?」
カガミが驚きの声を上げる。
虹の滴も無しに、泳いでここまで来たんだろうか?
私達が驚きに固まっている間に、オルテガは負けた。
「も、もしそなたがアリアハンにいくことがあったなら……
その国に住むツカサをたずね、オルテガがこう言っていたと伝えてくれ。
平和な世にできなかった、この父をゆるしてくれ…… とな。ぐふっ!」
遺言を残して、この世を去ってしまう。
「お父さん……」
「カガミ、この世界には、願いを叶えてくれるっていう神竜がどこかに居るって言うよ。それに望みを託せば何とかなると思うよ」
「う、うん。ごめん、コナタ」
悲壮な雰囲気のまま先へ進むと、宝物庫らしき場所に出る。
中に混じっているミミックや小さなメダルは無視するとして、命の石、世界樹の葉、賢者の石、祈りの指輪を回収。
賢者の石は、戦闘中に使うとパーティ全員にベホイミ相当の回復をしてくれる優れものだ。
「それじゃあ、いよいよゾーマとの戦いね」
「でも、勝てるの?」
「作戦次第ね。スーパーコナタ大作戦よ」
いったん、アリアハンまで戻って旅の記録を取る。
「あのー、カガミ? これは一体何?」
私は宿屋のベッドの上で、手足を縛られて身動きできなくされていた。
「いやぁ、隼の剣を売っているリムルダールの武器屋のご主人から聞いたのよね」
隼の剣は、羽のように軽い細身の剣で、一度に二回攻撃ができる剣だ。
その代わり、威力は弱いんだけど。
「力を極限まで上げれば、威力の高い武器で一回殴るより、隼の剣で二回殴った方が強いって」
「それと私が縛られている事が、どう関係するんでしょうかー?」
カガミは、含みを持った笑みを浮かべて言った。
「隼の剣は、戦士には扱えないでしょ。だから、使えるコナタにやってもらおうと思って」
そう言ったカガミの手一杯に盛られているのは、力の種!
「今までモンスターからコナタが盗んだりして貯めていた力の種は三十一個。これを全部使うと、コナタの力を人の限界まで上げることができるのよね」
「ちょ、ちょっと待って、力の種って、筋力トレーニングと同じ効果を短時間の間に引き出すから、筋肉痛が酷いんだけど。って言うか、そんなにたくさん一気に食べたら痛みで死んじゃうって!」
「大丈夫、あんたならできるわ」
両手いっぱいの力の種を持って、私に迫るカガミ。
「やめろー、ショッカー、ぶっとばすぞぅ!」
もがいても、手足を縛った紐は緩まない。
そして、
「ぎにゃあああああっ!」
カガミは鬼だった。
カガミはカガミで、守備力強化のため、素早さの種をつぎ込んで、素早さを上げた様だけど。
そして、再度ゾーマの城に向かって、ゾーマの待つ祭壇へ。
力の種で増強された私の力の威力は凄まじく、ドラゴン四体でも、カガミのグリンガムのムチに、私のドラゴンテイルを重ねるだけで全滅させることができた。
「それじゃあ、最終決戦ね」
バラモス戦の時とは逆に、カガミを回復役に。
私を攻撃役に特化した装備、配置にする。
カガミには賢者の石と、世界樹の葉を二枚持たせ、私は賢者の杖と世界樹の葉を一枚持つ。
「ツカサよ! わが生けにえの祭壇によくぞきた!
われこそは、すべてをほろぼすもの!
すべての生命を、わが生けにえとし、絶望で世界をおおいつくしてやろう!
ツカサよ! わが生けにえとなれい!
出でよ。わがしもべたち! こやつらをほろぼし、その苦しみをわしにささげよ!」
まずは、キングヒドラ戦。
「それじゃあカガミ、シールドをドラゴンシールドに切り替えて戦うよー」
多少守備力は落ちるけど、キングヒドラが使ってくる火炎対策のため、ドラゴンシールドを装備。
キングヒドラは打撃と火炎で攻撃してくるけど、火炎は光のドレスとドラゴンシールドの持つ炎への耐性により押さえ込まれてしまう。
打撃ダメージも、賢者の石を毎回使っていれば回復できる程度。
まずは撃破。
次に現れたのはバラモスブロス。
「一度倒した相手には負けないわよ!」
キングヒドラと戦った時と同じく、光のドレスとドラゴンシールドで炎を押さえ込み、賢者の石で回復させつつ戦う。
「一度に三回攻撃してきたね」
「こっちも強くなってるわ。その程度なら問題なしよ」
バラモスブロス、撃破。
そして現れたのは、骨と化したバラモスゾンビ。
「カガミ、盾をオーガシールドに切り替えて。私もみかがみの盾を使うから」
化け物じみた攻撃力を持つバラモスゾンビ戦に向け、装備を交換する。
打撃のみで特殊な攻撃は仕掛けて来ない相手だけど、
「っ!」
「カガミっ!!」
それでもなお、高ダメージを与えてくるバラモスゾンビに苦戦する。
二回攻撃などされると、カガミの賢者の石だけでなく、私の賢者の杖までつぎ込まないと、回復が間に合わなくなってしまう。
しかも、
「再生してる……」
「こっちもゆっくりと回復しては、居られないってことだねー」
ゆっくりとだけど、回復能力を持ってるため、攻撃時は連続して打撃を与えなければならない。
でも、二回攻撃で死亡まで持って行かれてしまう危険があるため、回復を疎かにはできないというジレンマ。
幸い、骨だけで守備力はゼロという相手。
多少回復に手間を取られても、ダメージは蓄積できた。
途中、二回ほど世界樹の葉のお世話になったけど、何とか撃破。
「ツカサよ! なにゆえ、もがき生きるのか?
ほろびこそ、わがよろこび。死にゆく者こそ美しい。
さあ、わが腕の中で息絶えるがよい!」
「病院行け」
「カガミ……」
光の玉でゾーマの纏う、闇の衣を引き剥がすカガミ。
「ほほう…… わがバリアを外すすべを知っていたとはな。
しかしむだなこと…… さあ、わが腕の中で、もがきくるしむがよい」
「しつこい」
「ここまで来ると、カガミの言う通り、いいお医者さんを紹介してあげた方がいいかも知れないねー」
仮にも大魔王をサイコ野郎扱い。
ここから私は、殴る殴るひたすら殴る。
カガミは賢者の石で回復。
ゾーマは時折、凍てつく波動で全ての魔法を無効化してくるけど、
「眩しい……」
「目がー、目がーっ!」
私達は補助魔法なんて使わないから意味はない。
ネタを挟む余裕まである。
「凍える吹雪は、光のドレスとドラゴンシールドでダメージを減らせるとして、通常攻撃が痛いわね。マヒャドはまだマシといった所かしら」
「ともかく、通常攻撃が二回連続で来ても大丈夫な程度に体力を保って」
通常攻撃二回や、凍える吹雪を連発されると、私の賢者の杖を使っても回復が間に合わなくなる。
私達には意味のない凍てつく波動や、比較的ダメージの低いマヒャドも使ってくるから何とかなるけど。
幸い、闇の衣を引き剥がされたゾーマは自動回復をしないから、少しずつでもダメージを蓄積させればいつかは倒すことができるはず。
攻撃が激しい間は私も一緒に回復に専念して耐えるという戦法が有効だ。
そして……
「ツカサよ…… よくぞわしを倒した。
だが光あるかぎり、闇もまたある……
わしには見えるのだ。ふたたび何者かが闇から現れよう……
だがそのときは、お前は年老いて生きてはいまい。
わははは……っ。ぐふっ!」
「死んだ後のことは、後の人に何とかしてもらうわよ」
そもそも、カガミ自身、本当の勇者では無い訳だしね。
そんなことを言っていると、ゾーマの消滅と共に力を失ったのか、城が崩れ始めた。
「カガミ! 早く逃げないと!」
脱出を図る私達だったけれど、地割れに飲み込まれ……
魔王の爪痕に吐き出される。
「……何でこんな所に?」
「この亀裂の通じている先から私達、よっぽど嫌われてるんだろうねー」
とにかく、落盤に巻き込まれないよう逃げ出す。
外に出ると、暖かな光が。
アレフガルドには来ないと言われていた朝がやってきたのだ。
「しずまれ皆のもの!
ツカサとその仲間たちよ! 知らせを受けそなたの帰りをまちかねていたのじゃ。
よくぞ大魔王ゾーマをたおした! そしてよくぞ無事にもどった! 心から礼をいうぞ!
この国に朝がきたのも、すべてそなたのはたらきのおかげじゃ!
そなたにこの国に伝わる まことの勇者のあかし ロトの称号をあたえよう!
ツカサ、いや勇者ロトよ!
そなたのことは、ロトの伝説として永遠に語りつがれてゆくであろう!」
こうして私達の冒険は終わりを告げた。
勇者の名は、ツカサでもカガミでもなく、ロトとして伝えられるようになる。
「はぁー、すっきりした。これで、勇者がどうのなんて話は終わったのね。晴れて自由の身よ」
「そうだねー。これからどうする?」
「そうね、あんたの言ってた神竜を探してみるわ。お父さんを助けたいし」
「それはさすがに、二人だけだときついと思うんだけど……」
そして、私達の新たな伝説が始まった……!
ドラクエ世界にトリップ!(完)