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No.1422の一覧
[0] ガーディアン オブ タイム[ナイト](2006/08/08 23:48)
[1] ガーディアン オブ タイム 第二話[ナイト](2006/08/09 17:33)
[2] ガーディアン オブ タイム 第三話[ナイト](2006/08/11 23:50)
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[1422] ガーディアン オブ タイム
Name: ナイト 次を表示する
Date: 2006/08/08 23:48
ここは学校の屋上。
いつもなら人などいないはずのそこに一人の少年がいた。
彼の名前は広司。
どこにでもいる普通の少年…ではない。
広司は昔から不思議な能力が使えた。
使えたとは言っても彼の思うままに使えるわけではない。
時々見えるのだ。
未来や過去が。
それに彼が普通じゃないのはその能力だけではない。
彼の髪の毛は真っ白で瞳は緑色。
生まれつき髪の毛と瞳の色が異質なのだ。
これの所為で昔はよく虐められたものだ。
今はそうではないが変な目で見られることは確か。
だから…友達は多くない。

(ふぅ、もう帰ろうか)

屋上から見える校庭から目を離し、広司は階段へと続くドアへと向かって歩いていく。
ちなみに今は放課後で殆どの生徒が部活に精を出してい時間帯だ。
けど広司は部活には所属していない。
所属したくないのだ。
多分、変な目で見られる。
長年そんな目で見られているから慣れてはいるがやはり嫌なものは嫌なのだ。

(今日の夕食はどうしよう)

階段を下りながらそんなことを考える。
なぜかというと広司の家には親がいないのだ。
海外に仕事に行っているというご都合な理由でいないわけではない。
広司が小さな頃に二人とも誰かに殺されたのだ。
それから広司は知り合いの家に引き取られていたのだが四年程前から一人暮らしをすることとなった。
しかも引き取ってくれた知り合いが昔、両親と暮らしていた家を買い戻してくれて今はそこで暮らしている。
一軒家なので部屋は持て余してはいるが快適であることは確かである。

「あ…」

階段を下りて一階へと足を踏み入れるとこの学校の女子生徒が廊下で話していた。
だがその女子生徒たちは広司をその視界に入れるとヒソヒソと話しながら何処かへと行ってしまう。
広司は少しだけ寂しい目でその女子生徒を少しだけ見てから昇降口へと向かっていく。
やはり人は見ただけで広司を避ける。
こっちは何もしていないはずなのに避ける。

(落ち着け…こんなこと慣れっこじゃないか)

胸の奥から湧き上がってくる何かを広司は押さえ込む。
外に出してしまったら余計大変なこととなってしまう。
唯一の友人でさえ、広司を変な目で見てしまうかもしれない。

「よぉ! 広司、まだいたのか?」
「ん? ああ、直樹か」

広司が靴を履いて外に出ると同時に一人の男子生徒が後ろから話しかけてきた。
彼の名前は直樹。
広司の唯一の友人でこの学校で唯一の理解者だ。

「部活無いのによくいるよな~。お前」
「それはこっちの台詞だよ。直樹だって今日、テニス部は定休日だろ」
「ははっ、バレてたか。そんじゃ、一緒に帰ろうぜ」
「ああ」

二人は並んで学校を後にする。
広司と直樹の帰り道は途中まで一緒だ。
だがあくまで途中まで。
広司は直樹と別れてから十分も歩かなくてはならないのだ。

「そうだ、今日の古典のノート明日貸してくれねぇ? 黒板写すの忘れちゃってよ」
「別にいいけど。余り綺麗な字で書いてないよ」
「お前の綺麗じゃない字は俺にとっては綺麗な字だから平気だ」

そんな会話を交わしながら二人は歩く。
正直広司は直樹と話している時間が一番楽しいと感じている。
家では一人だし学校でも殆ど一人のようなものだ。
だから直樹と話す休み時間やこの時間は唯一の楽しみだといって良いかもしれない。

「おっ、もうこんなところか。それじゃあな、明日は土曜だから月曜また会おうぜ」
「ああ、また」

しばらくしてある十字路に着くと直樹は右に曲がっていってしまう。
その姿を広司は少しだけ見送ってから時分の家がある方向、左へと曲がる。

(…休日は何しようかな)

明日は土曜日。
週休五日制をとっている歩の学校は休みだ。
よって学校へと行かなくていいのだが時間を持て余してしまう。
だから大抵は家でボ~っとしているだけ。
つまらない休日である。

(ふぅ…また何も無く時が過ぎ―ぐっ!)

急に頭に頭痛が走る。
広司はその尋常じゃない痛みに耐え切れずに地面に膝を付いた。

(ま、まただ…今度は…何が見え…)

この頭痛。
これはいつも過去や未来が見える直前に来るもの。
だから今回もどちらかが見えるのだろう。

(!)

広司の目の前が真っ白になり、次の瞬間今いる場所から少し先に行った場所の映像が目の前に流れる。
そこには白いドレスを着た小さな女の子がいて広司を見て微笑んでいる。
そしてゆっくりと広司へと向かって歩いて…。

「くっ! はぁ…はぁ…はぁ…」

見えていた映像がぷつりと切れ、広司の司会に地面が映る。
どうやらもう終わったようだ。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

広司は荒い息をしながらゆっくりと立ち上がって先を急ぐ。
未来や過去を見てしまうとなぜか一気に疲れが溜まってしまうのだ。
だから早く帰って眠らなくてはいけない。
このままではここで倒れてしまう。

「こんにちは。おにいちゃん」
「へ?」

広司はよろける体を必死で抑えながら顔を上げる。
すると広司の目の前にはあの時見た白いドレスを着た女の子が立っていた。
ここで広司は先ほど見たものが未来だったことに気付く。

「ちょっと未来見ただけでそんなに疲れちゃうんだね。時の守護者がそんなんじゃ駄目駄目だよ」
「時の守護者? なんのこと…」

ふらりと体が傾き、広司は道の端にあるブロックに手を付く。
どうやらもうそろそろ限界のようだ。

「早くしないと駄目だよ。おにいちゃん」

白いドレスを着た女の子が広司へと近づいてくる。
もう既に限界に近い広司はその姿を眺めることしかできない。
その広司を尻目に白いドレスを着た女の子は広司の目の前に立つと広司の胸の辺りに手を当てる。

「ふふっ、それじゃあまたね。おにいちゃん」

ずぷっという音がして女の子の手が広司の胸に食い込んだ。
すぐに胸に痛みが走り、血が滴り落ちる。
疲れと痛みの連続攻撃に耐えられるほど広司は強くなく、ゆっくりと目の前が暗くなっていって広司は地面に倒れこんだ。







「ふふっ、お休みおにいちゃん」

女の子は広司の胸から手を引き抜くと手に付いた血を舐め取りながら広司へと背を向けて歩き出す。
するとそれと同時に女の子の隣に青い髪の男が現れた。

「…あれはやりすぎではないか?」
「いいの。少しおにいちゃんの中の力を刺激してあげたんだから感謝して欲しいくらいよ」
「しかし他のやり方があっただろう? 傷はできないとしても痛みは感じるのだから」

青い髪の男が倒れている広司へと目をやる。
確かに広司の胸には傷一つ無いし血も出てはいない。
けど、完璧に気絶をしている。

「グロウ、それ以上戯言を言うようだったら消すよ?」
「…それはごめんだ」

グロウと呼ばれた蒼い髪の男はそう言うと姿を消した。
女の子は男がいた場所をチラリと見るとまた前を向く。
そして自分の家があるほうへと歩いていった。


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