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No.14157の一覧
[0] 石見の書き綴る日記【東方・オリ主】 ※改訂中[あかつつ](2014/05/22 21:41)
[1] 第△△■期の日記[あかつつ](2012/10/18 16:41)
[2] 第△△◇期の日記 其の一[あかつつ](2012/10/18 16:58)
[3] 閑話・八雲藍の困惑[あかつつ](2012/10/18 18:07)
[4] 第△△◇期の日記 其の二[あかつつ](2012/10/18 18:33)
[5] 閑話・射命丸文の遭遇[あかつつ](2012/10/18 19:04)
[6] 第△△◇期の日記 其の三[あかつつ](2012/10/18 19:43)
[7] 閑話・魂魄妖夢の驚愕[あかつつ](2012/10/18 19:43)
[8] 第△▲◆期の日記 其の一[あかつつ](2012/10/18 19:55)
[9] 閑話・お酒を酌み交わす夜[あかつつ](2012/10/18 19:57)
[10] 第△▲◆期の日記 其の二 (改訂)[あかつつ](2012/10/20 20:23)
[11] 閑話・夜雀の屋台での夜 (差し替え)[あかつつ](2012/10/20 20:39)
[12] 第△▲◆期の日記 其の三 (改訂)[あかつつ](2014/05/22 21:16)
[13] 閑話・第百二十季の大晦日の夜 (改訂)[あかつつ](2014/05/22 21:15)
[14] 第△▲△期の日記 其の一 (空記事、改訂待ち)[あかつつ](2012/10/20 20:43)
[15] 閑話・スペルカード考案の一日 (空記事、改訂待ち)[あかつつ](2012/10/20 20:44)
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[14157] 第△△◇期の日記 其の一
Name: あかつつ◆b0e32ba5 ID:4d7dc312 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/10/18 16:58
△▲○●☆★□■◇◆



第△△◇季、△月△日


新しい年を迎え、さあ頂へ帰ろうというところで初日の出を見てしまった。
急いで帰って日常を過ごすのもよいが、夜行性の私は日中あまり動きたくない。
たまには人里で一日を過ごすのも悪くないだろう。そう思い、寺子屋の入り口近くで丸くなった。
これもまた一興である。

寺子屋に突然現れた私は、やはりというか、そこに通う子供たちの興味の的となった。
散々乗られ座られ蹴っ飛ばされはしたが私は我慢する。
私とて数千年と存在しているのである。この程度のお遊びに怒るほど短気ではないのだ。
……流石に大工の子が金槌を持ってきたときには、人型となって拳骨を食らわせた。文字通り粉骨砕身に易々させられるわけにはいかない。

子供たちの興味も失い、日没を迎えて行動を開始させる私のところに慧音が訪れた。
彼女と会うのはいつかのときに獣人となって以来である。
今は寺子屋の教師をやってるらしい。従事する何かがあるというのは羨ましい限りだ。
そういえば慧音は私と一歩距離を置いている節がある。そのせいで、友人と呼べるほど気安い間柄に至っていないのがとても悲しい。
いつかその距離を詰めて話し合ってみたいと切実に思う。



第△△◇季、▲月△★日


本日はいつもの鴉天狗が私を足蹴にしていったこと以外には何も起こらなかった。
動物も妖怪も冬眠しているものが少なからず居るこの季節、他の者たちも動きが鈍い中で変化を求めるのもおかしいだろう。
生き生きとしているのなんて冬の妖怪か雪や氷の妖精くらいである。
無論私はあまり動かない。人と同じ姿となろうとも本質は岩なのだ。

そんな中でも元気に飛び回る鴉天狗を見て、長らく使っていなかった『浮遊術』を試してみようと思う。
私とて妖怪の端くれ、鈍っているとしても出来ないことはあるまい。
すぐに試してみるとしよう。続きは後に書くことにした。


結果から言えば、使用は出来た。
ただ、千年前と比べるとあまりにお粗末な出来だということに衝撃を隠しきれない。まさに月とスッポン、天と地、ウサギと亀という調子である。
あの頃は幾らでも飛べたのに、今では十分間浮かぶだけで疲労困憊といった有様だ。
私の原形が岩とはいえ、これは酷い鈍りようだ。酷すぎる。
生まれたての妖精にすら劣るに違いない。
妖力が落ちたのだろうか?
いや、妖怪の山という妖気に満ち溢れる場所に四六時中居るならば、高まることはあっても落ちることはない筈だ。
ならば原因はやり方や慣れ、妖力の変換の仕方か。
暫く浮遊術の練習に明け暮れることになりそうだ。



第△△◇季、○月▲■日


漸く浮遊術の成果が現れてきた。今は二時間は浮かんでいられる。
毎日の努力が実を結んだと思うと喜びも一入である。
ただ、飛び回ろうとすると十五分と持たないのが酷く落胆してしまう。
今後も修練は欠かせない。

そういえば、今年はいつもよりも暖かくなるのが遅い。
三寒四温という言葉とは裏腹に、今日は寒気が続いて七日目である。
天魔との花見酒も遅くなるのだろうか。あれをしないと春が来たという実感が沸かないのだ。
いい加減暖かくなってほしい。私は春が好きなのだ。
それと、早くリリーホワイトに495倍返しもしてやりたい。
弾幕を食らわされたあのときから一度も見かけていないので、未だ恨みは継続中である。

さて、そろそろ帳面の終わりが近づいている。
人里の『霧雨道具店』という場所にも同じような品物があるらしいが、香霖堂とどちらが良いだろうか。
一度こちらにも立ち寄ってみよう。


追記:そういえば霧雨魔理沙の姓も『霧雨』である。何かしら関連性があるのだろうか?



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



第△△◇季、●月△日


私は岩である。名前はまだない。
……というのは嘘である。

私の名は石見。
幻想郷の、妖怪の山の頂にぽつり一つ鎮座し、数千年という間月日の光を浴び続け、妖怪へと成った岩である。
昨年の今日から日記も書き続けて一年を迎え、新しい帳面に入った。
この帳面は霧雨道具店で買ったものである。
香霖堂は古道具店であり、新しく買うのであればこちらの方がいいと両店主に言われた。
実際こちらの方が使い勝手がよさそうである。

そして365日分の日々の結集たる一冊は、私の居る頂の地面の下に丁寧に埋めてある。
私の能力を持ってしないと手の届かない場所に、である。
頂を丸ごと破壊されれば出てくるかもしれないが、そんなことをする間抜けもいないだろう。

さて、本来ならそろそろ春の足音が聞こえてきてもよさそうな頃なのだが、未だに春の姿は遠く大吹雪の向こう側。
また異変だろうかとも疑ったが、まだいつもどおりから外れてはいない。
これが単なる杞憂であることを願うばかりである。



第△△◇季、●月▲◆日


まだ今日も春が来ない。
去年ならば十二日前には春告精がやってきて、天魔と酒を酌み交わしていた。
とくれば既に異常であることがわかる。が、天狗も河童もこれも一興かなといった具合である。
私としては均等に楽しみたいのだけれども。

しかしこの天候、誰かの仕業か。まさか天空に住まう竜神?竜神ならそれも在り得る。
だが、理由がない。幻想郷を見守る竜神ならば悪戯に天候を変えるなどとはしないはずだ。
だとすれば何者かが『春を奪って』いる?
そうであるなら、出来れば早めに返してほしい限りである。私は花の香りを嗅ぎ、花の麗しさを眺めて賞賛したいのだ。

ちなみに未だ浮遊術の勘は戻ってきておらず、飛び回るにも大体九十分が限度である。



第△△◇季、☆月■日


まだ春は来ない。完璧な異変である。
が、やはり山の妖怪たちは異変を楽しみ雪見酒と騒いでいる。
何度も言うが私は春が好きなのだ。大好きなのだ。
幾ら温厚な私といえど我慢の限界である。
どうやって幻想郷から春を奪った奴を見つけて叩きのそうと画策しているところで、吹雪の中に桜の花びらを見つけた。
恐らくこの桜を辿れば犯人だろうと見当がつく。そこで私には珍しく日中から人型を取り行動することにした。
見ていなさい、異変の黒幕!



第△△◇季、☆月◇日


昨日はまたもや珍しく、頂に帰った後に人型も解かず眠りこけてしまった。
夜明けに帰って気がついたら既に今日の夜更けである。半日も寝ていたなどまるで妖怪の賢者じゃあるまいし……。
今日の分の日記には昨日の顛末を書くことにする。


昨日私が桜の花びらを追っていくと、その先には三人の人間が居た。
その三人のうち二人は言わずもがな。博麗の巫女である『博麗霊夢』と、人間の魔法使いの『霧雨魔理沙』。
そして見慣れない最後の一人。紅霧異変の際に見かけたことがあるメイド服のその人物は恐らく『十六夜咲夜』だ。
主人であるレミリアの指令を受けたのだろうか。
兎に角全員異変解決に乗り出したのだろうが、そうするのが少し遅すぎるのではないかと思ってしまう。

三人が妖怪たちをのしていく様をついていって眺める私であったが、正直それだけでいっぱいいっぱいである。
氷の妖精と冬の妖怪を跳ね除け、妖怪の賢者の式の式をあしらい、人形使いを退けていったが、そのあたりから私は徐々に追いつけなくなっていた。
騒霊姉妹を潰すのを見届けることはできたが、雲を超えて長い長い階段に辿りついた時点で私は限界を迎えてしまった。
地に降り立ち、とぼとぼ歩いて階段を上り切り、そして着いた白玉楼で見た光景は、既に今回の元凶である『西行寺幽々子』を叩きのめし終わったところである。
こうして長い冬の異変は終了したのだった。
……まったくもって骨折り損のくたびれもうけである。


追記:白玉楼でちらりと見た咲ききってなかった桜に、私と似たようなものを感じた。聞くところによると、西行寺幽々子は西行妖という妖怪桜を咲かせようとしていたらしいが。



第△△◇季、☆月△◇日


妖怪の賢者が漸く起きて仕事を開始、博麗大結界の北東側の境界が引き直されたらしい。
鴉天狗の話によると、この前の三人が叩き起こしたとのこと。
何時までも冬眠なんて言って寝ているからである。まったく紫は何をやってるんだろう。

紫といえば先ほど飛行訓練の一環で冥界の入り口まで飛んでいったときに、式の藍に会った。
聞いてみれば何やら結界の見回りや補完らしい。真面目な式神である。
私も藍のような式神を持ちたいと彼女に言ったら、自分で妖獣かに憑けてみてはとは言われた。
今はまだ妖力を扱い切れていないせいで難しいだろうが、昔の勘が戻ったらいずれやってみよう。

あと、逆に何でここに居るのか聞かれもした。素直に理由を言ったら微妙な表情で「頑張ってください」。
そのときの私には上位妖怪からの哀れみにしか聞こえなかった。
実際九尾の妖狐と単なる岩ではそうでしかないことが更に悲しくなる。
……頑張ろう、私。頑張らなきゃ。








石見はこの数百年、まったく妖力を使っていません。


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