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No.13960の一覧
[0] 『男子が花道』(リリなの二次 転生男オリ主 原作知識なし 同年代)[十和](2011/02/03 00:01)
[1] 『本気でなのはに恋する男』 一話[十和](2009/11/14 18:14)
[2] 『本気でなのはに恋する男』 二話[十和](2009/11/21 14:06)
[3] 『本気でなのはに恋する男』 三話[十和](2009/11/26 00:43)
[4] 『本気でなのはに恋する男』 四話[十和](2009/12/06 21:56)
[5] 『本気でなのはに恋する男』 五話[十和](2009/12/12 17:08)
[6] 『本気でなのはに恋する男』 閑話[十和](2009/12/19 16:31)
[7] 『本気でなのはに恋する男』 六話[十和](2009/12/26 16:03)
[8] 『本気でなのはに恋する男』 七話[十和](2009/12/29 22:23)
[9] 『本気でなのはに恋する男』 八話[十和](2010/01/02 17:41)
[10] 『本気でなのはに恋する男』 九話[十和](2010/01/09 17:10)
[11] 『本気でなのはに恋する男』 十話[十和](2010/01/16 22:25)
[12] 『本気でなのはに恋する男』 十一話[十和](2010/01/24 00:44)
[13] 『本気でなのはに恋する男』 閑話2[十和](2010/02/06 15:52)
[14] 『本気でなのはに恋する男』 十二話[十和](2010/02/06 16:16)
[15] 『本気でなのはに恋する男』 十三話[十和](2010/02/13 16:36)
[16] 『本気でなのはに恋する男』 十四話[十和](2010/02/21 03:06)
[17] 『本気でなのはに恋する男』 十五話[十和](2010/02/28 03:46)
[18] 『本気でなのはに恋する男』 十六話[十和](2010/03/07 04:46)
[19] 『本気でなのはに恋する男』 十六話②[十和](2010/03/14 04:01)
[20] 『本気でなのはに恋する男』 十七話[十和](2010/03/21 14:32)
[21] 『本気でなのはに恋する男』 閑話3[十和](2010/03/28 10:42)
[22] 『本気でなのはに恋する男』 十八話[十和](2010/04/04 11:03)
[23] 『本気でなのはに恋する男』 十九話[十和](2010/04/11 00:50)
[24] 『本気でなのはに恋する男』 二十話[十和](2010/04/18 02:40)
[25] 『本気でなのはに恋する男』 二十一話[十和](2010/04/25 03:48)
[26] 『本気でなのはに恋する男』 二十二話[十和](2010/05/03 22:19)
[27] 『本気でなのはに恋する男』 二十三話[十和](2010/05/09 20:54)
[28] 『本気でなのはに恋する男』 閑話4[十和](2010/05/15 22:25)
[29] 『本気でなのはに恋する男』 二十四話[十和](2010/05/22 17:27)
[30] 『本気でなのはに恋する男』 二十五話(無印終了)[十和](2010/05/30 04:14)
[31] 『本気でなのはに恋する男』 二十六話[十和](2010/06/27 10:51)
[32] 『本気でなのはに恋する男』 二十七話[十和](2010/07/04 22:03)
[33] 『本気でなのはに恋する男』 二十八話[十和](2010/07/14 23:33)
[34] 『本気でなのはに恋する男』 28.5話[十和](2010/08/15 23:44)
[35] 『本気でなのはに恋する男』 二十九話[十和](2010/09/05 23:24)
[36] 『本気でなのはに恋する男』 三十話[十和](2010/11/07 00:59)
[37] 『本気でなのはに恋する男』 三十一話[十和](2010/11/25 00:15)
[38] 『本気でなのはに恋する男』 三十二話[十和](2010/12/24 00:10)
[39] 『本気でなのはに恋する男』 三十三話[十和](2011/02/03 00:02)
[40] 『本気でなのはに恋する男』 三十四話[十和](2011/04/12 00:05)
[41] 『本気でなのはに恋する男』 三十五話[十和](2011/08/12 23:47)
[42] 『本気でなのはに恋する男』 三十六話[十和](2011/12/04 23:03)
[43] 『本気でなのはに恋する男』 三十七話(空白期間終了)[十和](2012/03/20 00:10)
[44] なの恋 簡易的キャラ紹介[十和](2011/12/04 23:04)
[45] 『なの恋』 外伝 『ドリームカップル』[十和](2010/06/06 21:32)
[46] 『なの恋』 外伝『ARISA』[十和](2010/08/15 23:39)
[47] 『なの恋』 外伝『ARISA epⅡ』[十和](2010/10/06 00:08)
[48] 『なの恋』 外伝『ARISA epⅢ』(最新話)[十和](2012/03/20 00:10)
[49] ネタ『魔法少女リリカルなのは TTS』[十和](2010/06/20 03:13)
[50] オマケ『短編集』[十和](2010/10/06 00:11)
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[13960] 『本気でなのはに恋する男』 閑話4
Name: 十和◆b8521f01 ID:663de76b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/15 22:25

『お友達の、男の子?』

例えば、半月くらい前に会ったばかりの人が居て。
傍から見ても分かるくらい、その人を好きな人が居て。
しかも、その人に気持ちが全然通じてなかったりしたら。
お節介を焼きたくなっても、仕方ないと思う。

いや、本当の所を言えば、お節介とかでも何でもなく、ただの好奇心の気がする。
彼女と会って、それと一緒に彼にも会うようになって…まぁ、向こうは知らないけれど。
ともかく、彼を見てると、頑張ってるなぁとか、頑張れって言いたくなるから。
それに、一応僕は彼女の師匠みたいなもので、元はといえば僕のせいで最近は会えていないし。

そんなこんなで、僕はちょっと彼…雄介の事を、なのはに聞いてみることにしたのだった。

+++

 それはちょうど、なのはとアースラの食堂で話していたとき。
 ちょうど、なのはが雄介にメールの返事を書いていたから

「え、雄介くんのこと?」
「うん、アリサやすずかの事は聞いたけど、そういえば雄介の事は聞いてないなぁって思って」

 そう言いながら、僕たちの間に置いてあったクッキーを食べる。
 なのはも一つ手にとって、口に運びながら

「雄介くんの事って言っても…雄介くんも、アリサちゃんたちと同じように大切なお友達だよ?」
「あー、そういう事じゃ…そういう事でも、あるんだけど」

 自分でそう言いながら、首を傾げて考える。
 なのはって、けっこう疎いしなぁ。
 取り合えず、当たり障りのない所からにしようかな。

「えっと…ほら、アリサやすずかと友達になったきっかけの事とかは聞かせてもらったけど、雄介のは聞いてないなぁって」
「…えーと」

 …別に、答えにくいことでは無いと思ったんだけど。
 何でか、考え込み始めるなのは。
 変なこと、聞いちゃったかな?

「…えーっと、なのは? 言いにくかったら別に…」
「え!? ち、違うよ…その」

 僕にそう言いながら、それでもまだ考え込んでいる。
 …本当に、僕は変なことを聞いたのだろうか?
 そんな事を思いながら、もう一回なのはに声を掛けて

「えーと、なのは?」
「え、あ、うん…えっと、きっかけが無いみたい?」

 …唐突に言われた言葉に、きっと今の僕はキョトンとした顔をしてる。
 えーと、きっかけが無い?
 きっかけが無いって言うと…

「…いつの間にか、仲良くなってたって事で良いのかな?」
「うー…うん、そうかも。 アリサちゃんたちみたいな事は無かったし、一年生のころは違うクラスだったから」

 そう言われて前に聞いた、なのはとアリサたちの出会いを思い出して。
 まぁ、ああいう事がたくさんは無いよねなんて思いながら。

「それじゃあ、いつくらいから雄介とは交流があったの?」
「えーと…二年生になって、確か夏休みに入る前くらいから、よくアリサちゃんたちと雄介くんが話すようになったかなぁ?」

 えーと、今のなのはが三年生って言ってたから、去年って事で良いのかな?
 あーでも、その前に

「ナツヤスミ?」
「あ、えっとね? 夏になって暑くなると、一ヶ月と半分くらい学校が長くお休みになる期間があるの」
「へぇ、そうなんだ…でその後に、なのはも一緒に?」
「うん、最初は雄介くんに勉強教えてもらったりとか、あとは雄介くんがお父さんのチームに入りたいって言ってたから、お父さんに相談したりとかして…それで、いつの間にか今見たいな感じかも」

 そう言って、なのはは色々と昔あった事を教えてくれる。
 曰く、初めのころは雄介くんの事を苗字で呼んでたとか。
 アリサもすずかも、それに雄介までお互いに苗字で呼び合ってたらしい。
 ちょっと意外で、思わず驚いていると

「どうかしたの、ユーノくん?」
「え、あ、いやぁ…そうなんだって思って。 今の状態しか見てないから、ちょっと想像がつかないなぁって」
「本当だよ? 二年生の、十一月か十二月くらいだったかなぁ?」

 なのはが語るところによると、それまでは皆互いを名字で呼び合っていて。
 急にアリサとすずかが、雄介の事を名前で呼び始めたらしい。
 雄介も二人のことは名前で呼んで、でもなのはだけ苗字で呼んでたようだ。

「その時は、私も雄介くんの事を苗字で呼んでたんだけどね」
「そうなんだ? アリサたちと一緒に、名前で呼んであげなかったの?」
「うん、だってそれまでずっと苗字で話してたし…やっぱり、アリサちゃんたちとはちょっと違ったから」

 最初から、苗字で呼んでたって言うのもあったらしいけど、なのはが言うには距離感が違ったらしい。
 詳しく聞けば、

「アリサちゃんたちと一緒にすることでも、雄介くんだけ違ったりとかもあったし。 遊びに行ったりするのは一緒だったけど、お泊りとかも一緒にしたこと無かったから」

 との事。
 思わず、雄介に同情。
 なのは、男の子と女の子の差とか意識してないんだなぁ。
 取りあえずフォローで、

「いや…お泊りは、恥ずかしかったからじゃないかな?」
「え? でも、お友達同士ならユーノくんもしない?」
「えーと…僕は、部族の子は皆兄弟みたいな風で、育てられてたから」

 した事が無いとは言わないけど、僕のほうは部族の習慣みたいなものだし。
 それに、スクライアでもそろそろ寝るところは別だったよ。
 なのはの家に居る事については、ちょっと割り切るしかないから割り切ってるけど。

「あーえっと…でも、最終的には雄介も名前で呼ぶようになったんだよね?」
「うん、アリサちゃんたちに『友達なんだから名前で呼んだら?』って言われて…ちょっと、恥ずかしかったけどね」

 そのなのはの言葉に、思わずビックリ。
 何にビックリしたかって、それはもちろん、なのはが恥ずかしいと思ったって言うところ。
 正直に言って、それだけで驚き思わず声に出てしまうくらいだ。
 
「そうなのっ?」
「…むむ、ユーノくん、なんでそんなに意外そうなの?」
「え、いや…なのはなら、あんまり気にしてないかなぁって?」

 また失礼な言い方ではあるけれど、なのはがその辺を気にするとは、あんまり思えなかったし。
 僕の事だって名前で…あぁアレは元々僕がフェレットだったのと、雄介で慣れたからかな?
 いやそれ以外にも、こう普段のなのはを見てるとそう思えて仕方なかったし。
 そんなことを考えながら、なのはの話を聞く。

「だって、雄介くんって初めての男の子のお友達だから…お兄ちゃんだって、名前で呼ばないんだよ?」
「まぁ、それはね…」

 そう言われてみると、確かにそうかも知れない。
 僕の場合は幼馴染で年上の女の子が居て、その子に名前で呼ぶように言われてたから、そういうのは無かったけれど。
 そう考えると、確かになのはでも異性の名前を呼ぶというのは恥ずかしくても、仕方ないのかな?

「それに、それ以上に呼んでも良いのかな?って思ってたから」
「呼んでも、良い?」

 それは一体、どういう事だろうか?
 そんな疑問が僕の表情に出ていたのか、なのははうんと頷いて。

「あのね? 前は、雄介くんに嫌われてるのかなって、思ってた事もあったから」

 目の前のなのはが、もうひとつクッキーに手を伸ばすのを見ながら、僕はちょっと停止していた。
 一瞬、なのはが何を言ったのか理解できなくて、しばし自分の中で整理して。
 なのはが、雄介に嫌われていた?
 いやいや、それは有り得ないだろうと思って、それは僕の主観であって、何かなのはにはそう思ってしまうような原因があったんだろうと思い直す。
 何がどうなって、なのはがそう思ったのかは、微塵も検討がつかないけれど。
 
「…それはまた、どうして?」

 僕がそう聞けば、なのはは何の気なしにと言った風情で

「だって雄介くんは私にだけ、何だか変な風になっちゃう時があったから。 だから、嫌われてるのかなぁって」
「…例えば?」

 ほぼ反射的にそう尋ねてしまっていたけど、なのはは特に気にする様子もなく答えてくれた
 曰く、なのはと話してると、なぜかすぐに黙ってしまうとか。
 なのはが近くに来ると、急にそわそわしだしたりする事が多かったとか。

「あと、よく話すようになった初めのころは、すぐに目をそらしちゃったりとかされたから、あんまり私とお話したくないのかなって」
「…へ、へぇ、そうなんだ…」

 思わず、笑ってしまいそうになるのを必死でこらえる。
 何て言うか、その情景が目に浮かぶみたいだ。
 なのはに話しかけられて、すぐに黙ってしまったり、そわそわしだす雄介…緊張してたんだろうなぁ。
 その隣で、それを不思議に思いながら普通に話してるなのはを想像すると、ものすごくしっくり来てしまうのはどうしてだろう?

「今はもう、別に嫌われてないって分かってるんだけどね」
「いや、何て言うか…大変だったね、なのはも」

 もちろん、雄介もだけど。
 いろんな意味で、大変だったんだろうなぁ。
 と言うか、現在進行形かな?
 昔は昔で、凄く勘違いされてたけど、今は今で大変だろうし。

「んー、大変ではなかったけど…すっごく不思議でアリサちゃんに相談したら、アリサちゃんにはすっかり呆れた顔をされちゃったっけ」

 アリサには、その内大丈夫になるって言われたらしい。
 まぁ、確かにそのうちに慣れるだろうし、アリサはそれを見越したんだろうなぁ。
 事実、そのうちそんな不思議な雄介の行動は無くなっていって、だからアリサたちに名前で呼んであげたらって言われて、呼ぶようになったそうだ。

「そういえばユーノくん、雄介くんとアリサちゃんって、すっごく仲良しなんだよ」

 なのはが二人を語るのを聞けば、二人とも勉強ができて運動も出来るすごい人。
 運動はすずかも出来るけど、二人は勉強もとっても出来て。
 よく勝負してるのは、喧嘩するほど仲が良い…って事のようだ。
 確かに、あの二人は見てて仲が良いと思う。

「それに、良く二人で内緒話もしてるし。 アリサちゃん、雄介くんをいっぱい叩いたりしてるけど、それはやっぱり雄介くんなら大丈夫だって、そう思ってるからだよね」
「うーん、それは…言われてみると、そうかもね。 アリサに叩かれて、雄介が怒ってるのってほとんど見たこと無いし。 まぁ、そんなに長く見てるわけじゃないんだけど」

 って言うか、雄介が本気で怒ってるのって見たこと無い。
 もちろんたった半月くらいで、しかもそのうちのいくらかしか雄介とは会ったことが無いけれど。
 アリサに大きな声とか出したりしてるけど、本気で怒ってる感じには見えなかったし。
 雄介って、誰かと喧嘩したことあるのかなぁ?

 そんな事を考えつつ、なのはの言い方がまるで二人がこう…友達よりも仲が良いと言ってるようにも聞こえる。
 お節介ながら、少しだけ訂正を入れよう。

「でも、雄介とアリサのはきっと、親友とかそういうものだと思うよ?」
「?それは、そうだよね?」

 …何言ってるの?みたいな顔だった。
 うん、そうだよね…なのはがそういう風に考えるわけも無いか。
 当然のようにそう言うなのはに、思わず体の動きを止めてしまったけれど、なのはが顔の前で手を振ったので動き出す。

「ユーノくーん、どうしたのー?」
「あ、いや何でもない…よ、うん。 ただちょっと、雄介頑張れって思ったくらいで?」

 うん、純粋に雄介頑張れって思う。
 こう、ことごとくなのはにはそういう対象で見られてないんだなぁって思うと、同じ男として応援したくなるよ。
 本当に頑張れ雄介、君は知ることは無いんだろうけど、僕は応援してるから。

「? 変なユーノくん」
「あははは…」

 雄介ー、頑張れー。

+++なのはside

 ユーノくんと食堂で別れて、取りあえず自分の部屋に戻ってきて。
 自分の部屋って言っても、アースラに居る間だけ割り振られてる部屋なんだけど。
 ちょっとノンビリしようと、部屋に鍵を掛けてふと。

「さっきのユーノくん、一体どうしちゃってたんだろう?」

 独り言で思い出しちゃったのは、さっき食堂で話してたユーノくんの事。
 何だか、今日はちょっと変な感じだったなぁ。
 雄介くんのことを聞いてきたのはそうでもないけど、最後の頑張れとか、いったいどういう意味なんだろ?

「あ、そういえば雄介くんからメールって、返ってきてるかな?」

 そう言いながら携帯を取り出して確認すると、メールの着信が一件。
 想像通り、雄介くんからのメールだった。
 手早く携帯を操作して、雄介くんからのメールを読み上げる。

「えーと『もし時間が無かったら、届けに行くから連絡してくれ』って、それはいくら何でも悪いよ…」

 わざわざノートを取ってもらってるのに、さらに届けてもらうのはいくら何でも雄介くんに悪いから。
 だから、ちゃんと取りに行かないとね。
 でも、たぶんそのまま伝えたら、遠慮するなって雄介くんは言いそうだし。

「えっと…」
『うん、でもきっと取りに行くから、その時はよろしくね?』

 うん、これで良いかな?
 雄介くんって、時々妙に押しが強いからちゃんと言わないとね。
 送信ボタンを押して、送信が完了してから携帯を閉じて、テーブルの上に置いておく。

「…んーっ!」

 思いっきり伸びをして、それからお部屋のベッドに飛び込んで。
 そのままゆっくりと、仰向けに寝転がる。
 そのまま何にも考えないで、ぼんやりと天井を見上げて。

 しばらく、ただただノンビリと天井を見上げたままで。
 何も考えずにしていたら、

『Master?』
「…うん? なあにレイジングハート?」

 急なレイジングハートの呼びかけに、ちょっとだけ反応できなかった。
 いけないいけないと思いながら体を起こすと、携帯が震えているのが目に入って。
 慌てて携帯を手にとってフリップを開ければ、

「あ…雄介くん?」

 もう、雄介くんからのメールが返ってきていた。
 早いなぁと思ったけど、時間を見れば前に送ってから三十分は経ってて。
 ちょっとだけ、うとうとしてたみたい。
 
「えっと…『了解、楽しみに待っておく』って、別に楽しみにしなくても良いのに」

 なんとなく、雄介くんらしくて笑ってしまう。
 雄介くん、こういうちょっとだけ大げさな言い方が多いし。
 それに、その前のメールみたいにけっこう…嫌ではないお節介の多い人だから。

「ん~と、返事は…『うん、その時はよろしくね!』っと、これで良いかな?」

 持ってきてもらうていうのは悪いから、これで良いかな?
 取りあえず送信して、何となく遡って雄介くんのメールを見る。
 どんなちょっと大げさな言い回しや、何を話してたんだろうと思いながら、見返してみれば、今回のとあんまり変わらなかった。

「うーん、雄介くんって変わらないなぁ」

 それは、私もそうなんだろうけど。
 雄介くんとは、ずっとこんな感じだったなぁと再確認。
 と言っても、よく話すようになったのは夏休みの後からで、名前で呼び合うようになって半年も経っていないのだけど。

「…そういえば、雄介くんお姉ちゃんはすぐに名前で呼んでたっけ」

 思い返せば、お姉ちゃんから名前で呼んでって言ってたんだけれど、私よりも早かった気がする。
 それどころか、お父さんやお母さん、お兄ちゃんも始めから名前で呼んでたから…
 むむむ、私のお友達なのに、名前で呼ばれたのが一番最後だったなんて、ちょっと悔しいかも。

「でも、私も雄介くんって呼んでなかったから、おあいこなのかなぁ?」
『さぁ、私には分かりません』

 前置きなしにレイジングハートに聞いてみたら、そんな答え。
 うん、分からないのは当たり前だよね。
 そんな事を思いながら、もう一回ベッドに倒れこんで。

「…雄介くん、かぁ」

 私の始めての男の子のお友達で、最近では秘密ばっかりの私なのに、それでもそれを聞かずに励ましてくれる大切なお友達。
 アースラに乗る前、私の態度にアリサちゃんが怒ったときも、私と一緒に居てくれて励ましてくれて。
 あの時、雄介くんが居てくれたから、次の日すぐに、アリサちゃんと仲直りも出来た。
 軽く、ベッドの上で寝返りをうって

「…それに」

 温泉のときとか、私が思わず口を滑らしちゃったときにも、必要以上には追求しないでくれたっけ。
 さらにその前、すずかちゃんのお家にお呼ばれしたときも、アリサちゃんが言ったことに、ものすっごく動揺してて。
 きっと本当に、私のことを心配してくれたんだろうな。
 私がフェイトちゃんに負けて倒れたのを、見つけてくれたのも雄介くんだって、ユーノくんが教えてくれたし。
 そんな事を、色々と思い出して。

「…なんか雄介くんには、たくさん迷惑かけてるなぁ…」

 きっと、さらに思い出せば、もっとたくさんあると思うし。
 私の知らないところでも、雄介くんに迷惑を掛けてるかも知れない。
 雄介くんに、たくさん心配と迷惑掛けてるのかなぁ、私…。

「それに雄介くん、顔真っ青だったもんね…」

 思い出すのは、フェイトちゃんに初めて会って、初めて負けた日。
 すずかちゃんのお家の中で目を覚まして、皆が私を心配してベッドの周りに居て。
 雄介くんは、アリサちゃんとすずかちゃんの後ろで、腕組みしながら立っていて。
 でも、その顔は真っ青だった。

 起きたばっかりで、アリサちゃんたちが色々話しかけてくれる中で、黙ったままの雄介くんを見て、本当にすっごく心配をかけちゃったんだって思って。
 しばらくして、雄介くんが私に話しかけてきて、そっと息を吐いたのを見て、すっごく悪いことをした気分になって。
 倒れた原因で嘘をついたときも、雄介くんがそれを疑ってるようなそぶりをしてて、また悪いことをしたような…ううん、悪い事したんだって思った。

「…私、悪い子だね」
『何か、言いましたか?』
「ううん、何でも無いよレイジングハート」

 独り言に反応してくれたレイジングハートに、そう答える。
 レイジングハートは、そんな事は無いって言ってくれるかも知れないけれど。
 でも、私は私が悪い子だって思うから。

 私の我侭で雄介くんに迷惑を掛けて、アリサちゃんたちにも心配かけて。
 本当に私、悪い子だ。
 …何だか、自分が嫌になって「~~♪」…携帯が鳴ってる。
 これは確か、メールの着信音だったはずだけど。

「…えっと」

 起き上がるのも億劫で、寝転がったまま携帯を手に取る。
 誰だろうと思って開いたら、ちょうど今の今まで考えていた雄介くんからで。
 その内容は、

「…『むしろ出張家庭教師やるから、なるべく呼ぶこと。 遠慮は無用、感謝だけしてくれ』って、もう…」

 雄介くんらしい文章に、思わず笑ってしまった。
 遠慮は無用とか、感謝だけとか。
 まるで雄介くんが目の前に居るみたいに、想像できてしまう。
 絶対、雄介くんニヤリって笑ってるよ。

「ええと…『それは、考えておくね? ありがとう、雄介くん♪』っと。 はい、送信」

 そう返信して、気がついたらほんのさっきまで考えていた事が、なんだか物凄く場違いに思えて。
 悪い事は悪い事だけど、それで悩むなんて何か違う気がしてきたから。
 これは…雄介くんの、おかげかなぁ?

 そんな事を考えながら、自然と自分が笑顔になっているのが分かって。
 えへへ、と小さく笑い声をだしてしまうくらい。
 雄介くんが意識してるわけじゃないけれど、まるで悪い事は全部雄介くんが吹き飛ばしてくれるみたいで。

 この間の、アリサちゃんとの仲直りを決意させてくれた時だって。
 雄介くんに手を握られて、真正面から見つめられて。
 拒絶したのに、それでも笑っていつも通りだって言ってくれて。
 その後にちょっとだけ、頑固だって言われちゃったけど…それでも、すっごく嬉しかったから。

 雄介くんと別れるときにお礼を言って、私は恥ずかしくて走って逃げちゃったけれど。
 その後だって雄介くんは、いつも相談に乗ってくれて。
 アリサちゃんたちとは、ちょっと違うけど、本当に大切な… 

「…雄介くん、ありがとう」
『Master?』
「ふぇっ!?」

 誰にとも無くそう言ったつもりだったのに、レイジングハートに聞かれてた。
 考えてみれば当たり前のことなのに、何だかとっても恥ずかしくなってきちゃって。
 ぎゅーっと、隠すように枕に顔を押し付けるのが、精一杯でした。


+++後書き
 ユーなのなお話、いやカップリングでは無く、構成的な話ですが。
 ユーノの気持ちと、なのはの気持ちを表現しました。
 本当はなのはだけで一話書こうと思ってたんですが、どうしても間がもたずにユーノ視点も追加したんですが、これはこれでと自画自賛してますww

 これにて閑話は最終回、もともと本編では表しきれないのを補完するのが目的でしたし…これで基礎は全て埋めれたかなと。

 そして次回からは、外伝という形式で、完全に本編に影響しない話を書いていく予定です。
 具体的には、本編では絶対に出来ないもしくはやらない話を書いていこうかなぁと。
 アリサと雄介が付き合ってる話とか、すずかと雄介、はてはまだ出ていないフェイトと雄介、はやてと雄介などのカップリング話。 または雄介とクロノとユーノが仲良くなったと仮定しての、男三人無駄話。 もしくは十年後のStsの頃の話とか。 もしくは誰かの告白シーンだけを書いて見たりとか。 あとは…この話の前提覆して、雄介にリンカーコアだけもたせてみるとか、そういうものを書いていく予定です。
 そして、それら外伝はリクエストを…いや、完全にリクエストなわけでは無いですが、リクエストがありそれで話のイマジネーションが湧けば、それを書きますし…まぁ、何も湧かなければ自分で考えて書くのですが。
 そんな感じで、何かリクエストがあれば受け付けます…あ、でも少なくとも書くのは無印が終わってからですので。

 後書き長くなりましたが、これにて終了。無印はもう後、二つか三つで終わるはず…と思ってるので、長めに六話と見積もっておいてください。では


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