唐突だけど、目が覚める時って言うのは、けっこう瞬間的に覚めた気がしないだろうか?
何の前触れも無く、ふと気が付けば目が覚めていると言うか。
まぁ、寝てる間は意識がないから当たり前なんだけど。
「…あー」
知らない天井だと思ったが、すぐに今は旅行中だと言うことを思い出した。
思い出してふと今が何時かと思い携帯を探すけど、携帯をどこに置いたか解らない。
寝ぼけた頭で考えて、そう言えば荷物の近くにまとめて置いておいたのだと思い出した。
のそのそと、自分でも遅いと思うような動きで布団から上半身だけ起き上がって、
「…うおっ!?」
多少離れた所で寝ているなのは達に心底驚いた。
何故、どうして!?と考えたところで、そういえば一緒の部屋で寝ていたのだと思い出す。
そこまで思い出してから、反射的に口を押さえるが致命的に遅い。
今の声で、なのは達を起こしてしまっただろうか?
しばらく、そのまま止まってなのは達を見ていたけど、起きる気配はない。
「…」
恐る恐る、布団から這い出て本当に起きそうに無いか、なのは達の方に移動して顔を確認する。
覗き込んだ表情にアリサもすずかもなのはも、取りあえず起きそうな気配は微塵も無いことにほっとした。
全員揃って、良く寝ている。
楽しい夢でも見ているのか、アリサとすずかの口元は少し笑っていて、なのはも…あれ?
なのはの様子に、何か違和感を覚えた。
別に、口元が笑っていないとかでは無く…それもあるけれど、それ以外に何だか違和感を感じる。
少しばかり、真剣になのはの表情を見るけれど…あぁ。
良く見ればほんの少しだけ、なのはの眉根が顰められているのだ。
楽しいはずの旅行中に、何か楽しくは無い夢でも見ているのか。
そう考えて、何だかそれは宜しくない。
楽しい旅行中なのだ、出来る限り夢の中でも楽しくあって欲しい。
もちろん俺の勝手な思いではあるんだけど、なのはだけがそんな楽しくない表情なのは更に宜しくない。
(どーしたもんか…)
別に、どうしても何かしなくてはいけない訳では無いけれど。
どうすればこんな表情が無くなるかと考えて、殆ど無意識の内になのはへと手を伸ばした。
上を向いているなのはの顔を正面、覆いかぶさるようにしながら覗き込んで、ゆっくりと自分の手を近づけていく。
近づけた手は、なのはの顔の顰められている眉根へと。
なのはの表情に変化は無く、未だに眉根は顰められたまま。
伸ばして当てた手の指は、本当に少しだけ触れているような、そんな力加減でそっと、なのはの眉根の辺りを解すように動かす。
ゆっくりゆっくりとしばし指を動かして、そっと手を離してなのはの顔をもう一度見ると。
顰められていた眉根は解れて、少なくとも穏やかそうな寝顔に戻っていた。
思わずホッと息を吐いて、
「ん…」
なのはから漏れた声に、改めてその顔に目を留める。
さっきも思ったように穏やかな寝顔で、眉根が顰められていることは無い。
今した事の所為で起きる様子も無く、なのはの眠りを邪魔する事は無かった。
その事にまた安堵しつつ、ふと今の自分へと意識が向く。
今の自分は寝ているなのはの上に、少しばかり覆いかぶさるような体勢。
更にはマジマジと正面から、その寝顔を見つめている状態だった。
「…っ!?」
大慌てで、覗き込んでいた状態から飛び退く。
ってか、冷静になってみれば今、俺は何をしてた!?
寝ている女の子の上に、覆いかぶさってその寝顔を見ているなんて…色んな意味で、危なすぎる!
ってーか、さっき触ったよね俺!?寝ている女の子に、無許可で触ってたよ!
いや、いやいやいやいやいや…マジで何してるんだ俺は!?
アウトだろこれ!?誰かが見てたら、間違いなく有罪…って!?
「…はっ!?」
咄嗟に周囲…寝ている筈のアリサとすずかへと目を向ける。
二人は…まだ寝ている。
良しっ、セーフだ…すずかならまだしも、もしアリサに見られていたら、どうなっていたか。
考えることも、恐ろしい。
あぁもう取りあえず、この部屋を出よう…ここに居ると、何かやらかすかも知れない。
何よりも、自分が一番信用出来ないしな。
それに、女の子の寝てる部屋に居るのは、失礼に違いない。
一緒の部屋で寝ていたことは、取りあえず置いておいて。
改めて、布団から立ち上がって頭を振り眠気を飛ばす。
着替えは…二日目の今日は旅館から出る予定も無いので、浴衣で一日過ごすつもりだから着替えない。
そーゆー益体もない事を考えながら、隣の部屋へとつながる襖を開ける。
「お? おはよー雄介」
「あー、おはようございます美由希さん」
襖を開けて隣の部屋へと現れた俺に真っ先に気づいたのは、ちょうどこちらの襖の近くに居た美由希さんだった。
後ろ手に襖を閉めつつ部屋の中を見渡せば、美由希さんに恭也さんに士郎さんとノエルさんの四人と視線が合う。
他の人たちはまだ起きてないのかななんて思いながら、皆と挨拶を交わした。
ってか、高町家の皆さんは朝が早いな…三人とも、もうとっくに目が覚めていたと言った感じに見える。
と窓際の椅子に座って新聞を読んでいた士郎さんが、
「雄介、さっき隣で何か叫んでいなかったか?」
「…えぇと、なのは達と同じ部屋で寝てたのを忘れて驚いただけなんで、気にしないでください」
何だそうか、と言ってまた新聞を読み始める士郎さん…昨日も思ったけど、俺となのは達が同じ部屋に寝ていたと言う所に、是非とも疑問を感じて欲しい。
何で貴方達はそこのところは、毎回完全スルー何ですか?
いくら子供だとは言え、俺も男なんですけど。
「雄介は、起きるのが早いねぇ」
「そうですか? …これでも普段よりは遅いですけど」
美由希さんに早いと言われたので時計を見てみれば、それでも普段のランニングしようと思った時よりは遅い時間だ。
昨日の卓球は、予想以上に体力を使ったんだろう。
ふと、部屋の時計を見て。
「…美由希さん、朝ご飯ってまだでしたよね?」
「ん? …そうだね、まだ時間はあるかな?」
別に腹が減っているわけでは無いけれど、そう考えると早く起きたかも知れない。
かといって、今から寝るのは無理だ。
普段から二度寝しないって言うのもあるが、今隣の部屋に戻って眠れる自信が無い。
昨夜は良く覚えてないが、今から寝ようとしたら間違いなくなのは達を意識しそうだし。
「まだ時間があるんで、ちょっとその辺を散歩してきますね?」
「ん、そう? もう一回寝てても良いんだよ?」
「いえ、元々あんまり二度寝は出来ないんで」
「そっか、じゃあ行ってらっしゃい。 大丈夫だと思うけど、気をつけてね?」
「はい、じゃあちょっと行ってきます」
美由希さんの見送りを受けて、部屋を出ようとしたら
「きゅー!」
「ん?」
「あれ、ユーノ?」
突然現れたユーノが、いきなり俺の身体を駆け上がった。
そういえば、部屋に居なかったかも…そこまで、見て無かったしなぁ。
ユーノは俺の肩で止まり、降りる気配は無い。
「…もしかして、お前も散歩に行きたいのかユーノ?」
鳴き声での返事も、頷いたりしたわけでも無いけど何となくそう思う。
一瞬、なのはに無断で連れて行っても良いのかと思うが。
「美由希さん、なのはが起きてきたら、ユーノの事伝えてもらっておいて良いですか?」
「うん、りょ~かい。 まぁ、なのはは起きなくて良い時は結構起きるの遅いから、多分大丈夫だと思うけどね」
だからと言って、無断は良くないし。
ともあれ、美由希さんにユーノの事は伝えてもらえば良いだろう。
「じゃあ行くか、ユーノ?」
「きゅー」
+++
散歩も終わり、戻ってきてロビーで時間を確認してみれば、一時間弱くらい散歩していたようだ。
散歩は取りあえず、ロビーで履物が貸してもらえたので外へ行った。
周りが結構森で囲まれているから、慣れた朝の散歩とは言えけっこう新鮮だったな。
着てるのが、浴衣って言うのもあったんだろうけど。
開放感のある外に出てきたのに、ユーノは俺の肩から動こうとしなかった。
まぁ、そっちの方が俺としては気楽だったから良いんだけど。
一応道として舗装されているところ歩いていたら、結構大きな橋が架かっていた。
山の中なのに、かなり大きい橋だった。
しかも、何か雰囲気的に京都とかに架かってそうな木製の橋。
向こう側まで歩いて渡ったら、四、五分は掛かりそうだ。
その橋を真ん中くらいまで渡ったところで、しばらく眼下の川を眺めてから帰ってきたのだけど。
ともあれ、
「ただいま戻りました~」
「あ、おかえりなさい雄介君」
「あら、おはよう雄介君」
そう言いながら部屋に入れば、ファリンさんと桃子さんの返答が帰ってきた。
改めて部屋の中を見回してみれば、忍さんも含めて大人勢は全員起きている。
あとこの部屋に居ないのは、アリサとすずかになのはだけだ。
「おはようございます、桃子さん」
「あら、そんなに他人行儀な呼び方じゃなくても良いのよ?」
他人行儀って…別に普通だと思うんだけど。
おばさんと呼ぶには、桃子さんは外見が若すぎる気がして無理だし…それ以外に何と呼べと?
何か、期待してるような目で見られてるけど、気にしないでおこう。
取りあえず、肩の上のユーノを…美由希さんが何だか欲しそうに見てたので、渡しておいた。
「えっと…なのは達、まだ起きてないんですか?」
「えぇ…雄介君、起こしてきてくれる?」
「…?」
…はて、今何か言われた気がしたけど、良く聞こえなかったなぁ。
取りあえず、もう一度聞きなおしてみようか?
「…えー、何て言いましたか桃子さん?」
「もうすぐ朝ご飯だから、三人を起こしてきてくれるかしら雄介君?」
…完全な名指しの指名入りで、しかも理由まで言われたよ。
何で俺!?とか、そういう事を言おうとしたが、何でか桃子さんの笑顔に圧倒される。
何か、もの凄いプレッシャーを感じる…!
「お願いね、雄介君?」
「………はい」
ガックリ肩を落としつつ、部屋を横断する。
誰か代わってくれないかと辺りを見るが、皆楽しそうな顔をしている…アンタ等、最悪だな!!
俺、外見は間違いなく小学三年生のはずだぞ!?
せめてもの抵抗に、部屋に入ってすぐに向こうから見えないように襖は閉めておく。
興味本位で輝く視線は、問答無用でシャットダウン。
「…はぁ」
思わず溜息が出るが、もう部屋に入っているのだから今更出て行くのもアレだ。
出て行ったところで、なんのかんの言われてすぐにこの部屋に戻されそうだし。
覚悟、決めるしか無いのかなぁ…
部屋の中を見回してみると、三人は肩まで布団に埋もれた状態で眠っている。
多少は外から日が差しているのに、まだまだ目が覚める気配は無い。
…取りあえず、すずかから起こすか。
なのはは問答無用で後だし、アリサとならすずかの方がまだ気楽だ。
「すずか、おいすずか…」
上を向いて、小さく寝息を立てながら寝ているすずか。
まずは試しに呼びかけるけど、これだけではどうも起きそうに無い。
まぁ良い寝顔で寝てること、はっはっはっ。
…現実逃避は止めよう、さっさと起こすのが一番だ。
「おい、すずか起きろ」
すずかの肩に手を置いて、軽く揺さぶりながら声を掛ける。
しばらくは何の反応も無かったが、少しばかり待つとちょっとだけ眉根が寄せられて、それからゆっくりと目が開いた。
視線は在らぬ所を彷徨っていたが、やがてその視線が俺を向いて。
視線が合ったまま、何でか互いに無言。
はて?と内心首を傾げつつ、取りあえず呼びかける。
「起きたか、すずか?」
「…雄、介君?」
何でか疑問系だが、人の判別が出来る程度には起きているようだ。
あぁと頷きつつ、
「朝だから、お前らを起こせって言われてな。 起きれるか?」
「え…あ、うん。 大丈夫だよ」
そう言いながら、布団から出てくるすずか。
その動きはゆっくりで、取りあえず上半身を起こしたところで止まっているけど、もう放っておいても起きるだろう。
次は…アリサでも起こすか。
取りあえずすずかから離れて、アリサの方へ。
「おいこら、起きろアリサ」
すずかとは違って横向きに寝ているから、肩が掴み易いので最初から揺らす。
さっきよりも強めに揺すっているのに、全く起きる気配の無いアリサ。
こいつは手強そうだ、取りあえずアリサの正面から声を掛けつつ肩を揺らしているけれど。
「ん…」
寝返りを打たれ、背中が俺に向けられた。
こいつ起きてるんじゃないかと思ったが、起きてたとしたらこんなに大人しいとは思えない。
いや、だからと言ってどんな風かは想像もつかないけれど。
取りあえず、もう一度アリサの正面に回りこんで。
「おい、起きやがれアリサ。 起きないと…何かするぞ」
自分でそう言っても、何も考えていなかったりするんだけど。
肩をまた揺すってみるけど、ちっとも起きる気配は無い…少しは眉根が寄ってるけど。
布団でも剥いでやろうかと考えたけど、流石にそれはと自重する。
そんな事したと知られたら、ボコボコにされかねない。
「おーい、いい加減に起きろやアリサ」
揺すっても起きないので、気まぐれにアリサの頬を突っついてみる。
って、これはまた…言わないけどさ。
しかし、これはちょっと面白い。
もう二、三度突きながら
「おーい、そろそ…ろ?」
「…う、ん……?」
唐突に開いたアリサの目と、完全に視線が合った。
あんまりにも唐突だった所為で、思わず硬直…しかもちょうど、アリサの頬に指を立てたところだ。
俺もそうだけど、アリサもしばらくは呆然としていたが、やがてその視線が俺の顔…そして目が横を向いて、多分頬にある俺の指を見て。
「…ふんっ!」
「うおっ!?」
いきなり、俺の腕を殴りつけてきた。
慌てて腕を引くのと一緒に飛び退く、今のパンチは当たったらダメージ必至だ…!
つーか、寝起きっ端から良いパンチ過ぎだよお前!!
飛び起きるように上半身を起こして、こっちを睨むアリサ。
「な、何しやがる!?」
「それはこっちの台詞よ…! 大体何でアンタがここに…」
こっちの台詞は、確かにお前の頬に指を立ててたから、言われてもおかしくは無いけど…何でって、お前寝ぼけてるな?
俺は昨日、一緒の部屋で寝たから居るのはおかしくないだろ。
ってだから、そんなに睨むなって!
「何でも何も、昨日は俺も一緒の部屋で寝てただろうが! 忘れたか!?」
「……あ」
そう言うって事は、忘れてたかやっぱり。
まぁそれならそれで良いのだけど、何故まだ睨む?
「…それはそれとして、じゃあ何であんな事してたのよ!」
「え、あー…ふと気がついたら? お前寝てたし」
としか、言い様が無い。
本気で、何となくだったし。
いや、それで本当だからそんなに睨まれても違う答えは出ないぞ。
「…今度あんたが寝てたら、額に何か書いてやるか…面白い寝顔にでもして写真に撮るから、覚悟しときなさいよ」
酷い、酷すぎる!
今後、出来る限りアリサの前では寝ないようにしよう…こいつはやると言ったら、やる女だし。
アリサの事だから、額に肉とでも書かれた上で、さらに装飾を施されて写真に残されそうだ。
「えぇい、取りあえずお前は寝起きなんだから顔でも洗って来い。 そうしたら完全に目が覚めるだろ」
「アンタの所為でもう完全に覚めてると思うけど、解ったわよ」
そう言うとアリサはぐっと伸びをして、それから布団を出る。
何かここでどっと疲れたけど、まだなのはが残ってるなぁ。
ってか、これだけ騒いだのにまだなのはは熟睡中だよ。
昨日の卓球、そんなに疲れたのか?
取りあえず、最初はすずかとアリサと同じように肩を揺すってみる。
「なのは、おいなのは?」
軽めに揺すっても、なのはが目覚める様子は無い。
もう少し強めに揺すろうかと考えた所で、視線を感じて咄嗟に振り返ってみる。
そこに居たのは、
「あら、どうしたの雄介?」
ニヤニヤ笑いのアリサ。
「あ、私達は気にしなくても良いんだよ?」
そう言うが、その笑顔は何だすずか。
二人がこっちを見てるのは、まだ良い。
襖を開ける音がしなかったから、こっちに居てもおかしくは無い。
問題はいつの間にか襖がフルオープンになっていて、そこから楽しげにこっちを見ている奴らだ。
今は視線を外しているが、こっちから隣の部屋の全員が確認できると言うことは、向こうからもこっちが見えるって事だろうし。
ってか、ファリンさんと美由希さんの二人は、視線を外しても居ないし!
笑顔でこっちを見るな!
取りあえず、問答無用でアリサとすずかを追い出して、もう一度襖を閉める。
…ガムテープ無いか、ガムテープ。
この襖を開かないようにしてやりたい、開くとしても俺が気づけるように。
いや、もうどうしようも無いし…早めになのはを起こそう、うん。
「…なのは、起きろなのは」
「……ん」
もう一度肩を揺すりながら声を掛けるが、なのはが起きる気配は無い。
しかもなんか、布団の中で丸まってしまったっぽい。
さてアリサと同じように頬でも突っついて…いや、それは却下。
俺的に、なのは相手には無理。
ならば、軽めに布団でも剥いで…いや、それこそ無理だ。
色んな理由で、無理な要素が多い。
結局は、なのはが起きるまで揺するしか無いか。
「なのは、起きろって…」
「う、ん…」
しばらくそんな事を言いながら揺すっていたら、ようやくなのはに起きそうな気配。
取りあえずは揺すり続けて、なのはの目がうっすらと開いたところで揺するのを止めた。
なのはは何処と無くぼやっとした視線で辺りを見回して、俺を見た後に緩慢な動きで身体を起こす。
取りあえず、身体を起こして座っている俺と高さを合わせたなのはは。
「…おはよーございます、ゆーすけくん…」
「え、あぁ…おはよう、なのは」
どう聞いてもまだ寝てる声で、挨拶してきた。
一瞬反応が遅れたが、取りあえず俺も挨拶は返す。
取りあえず挨拶は口にしたなのはだが、まだ全然起きているようには見えない。
なんか身体が揺れてるし、視線もフラフラしている。
試しになのはの顔の前で手を振ってみるが、特に反応なし。
「…取りあえず、起きるかなのは?」
「…うん…?」
…今の、どっちだろう?
まぁ取りあえずは、顔でも洗えばなのはも目が覚めるだろう。
なのはを立ち上がらせて、取りあえず隣の部屋へ。
押すか引くかしないと歩く気配が無かったから、恥ずかしかったが手を引くことに。
隣の部屋に入った瞬間、もの凄く生暖かい視線で出迎えられた。
なのはが寝ぼけてて、本気で良かったよ。
しかしこれ以上は恥ずかしかったので、なのははアリサとすずかに押し付けた。
二人とも、ちょうど顔でも洗いに行くらしかったから。
それから三人が戻ってくるまで、俺は針のむしろだった。
いや、別に害意の視線では無かったけど…ある意味ではそれ以上に居心地は悪い。
早く戻って来いと、念を飛ばすくらいしか俺に出来ることは無かった。
…あ、俺なんで三人別々に起こしたんだろう。
大きな声でも出して、三人まとめて起こせば早く済んだのに。
+++後書き
知ってるかい…これだけ書いてて、作中時間はまだ二日目の朝なんだぜ…? まだ、きっと二時間も経ってないんだぜ?
しばらく、と言ってもこれ入れて三話くらいはオリジナルになります…全部この旅行の話ですが。 だってアニメでぶっとばされてますし。