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No.13960の一覧
[0] 『男子が花道』(リリなの二次 転生男オリ主 原作知識なし 同年代)[十和](2011/02/03 00:01)
[1] 『本気でなのはに恋する男』 一話[十和](2009/11/14 18:14)
[2] 『本気でなのはに恋する男』 二話[十和](2009/11/21 14:06)
[3] 『本気でなのはに恋する男』 三話[十和](2009/11/26 00:43)
[4] 『本気でなのはに恋する男』 四話[十和](2009/12/06 21:56)
[5] 『本気でなのはに恋する男』 五話[十和](2009/12/12 17:08)
[6] 『本気でなのはに恋する男』 閑話[十和](2009/12/19 16:31)
[7] 『本気でなのはに恋する男』 六話[十和](2009/12/26 16:03)
[8] 『本気でなのはに恋する男』 七話[十和](2009/12/29 22:23)
[9] 『本気でなのはに恋する男』 八話[十和](2010/01/02 17:41)
[10] 『本気でなのはに恋する男』 九話[十和](2010/01/09 17:10)
[11] 『本気でなのはに恋する男』 十話[十和](2010/01/16 22:25)
[12] 『本気でなのはに恋する男』 十一話[十和](2010/01/24 00:44)
[13] 『本気でなのはに恋する男』 閑話2[十和](2010/02/06 15:52)
[14] 『本気でなのはに恋する男』 十二話[十和](2010/02/06 16:16)
[15] 『本気でなのはに恋する男』 十三話[十和](2010/02/13 16:36)
[16] 『本気でなのはに恋する男』 十四話[十和](2010/02/21 03:06)
[17] 『本気でなのはに恋する男』 十五話[十和](2010/02/28 03:46)
[18] 『本気でなのはに恋する男』 十六話[十和](2010/03/07 04:46)
[19] 『本気でなのはに恋する男』 十六話②[十和](2010/03/14 04:01)
[20] 『本気でなのはに恋する男』 十七話[十和](2010/03/21 14:32)
[21] 『本気でなのはに恋する男』 閑話3[十和](2010/03/28 10:42)
[22] 『本気でなのはに恋する男』 十八話[十和](2010/04/04 11:03)
[23] 『本気でなのはに恋する男』 十九話[十和](2010/04/11 00:50)
[24] 『本気でなのはに恋する男』 二十話[十和](2010/04/18 02:40)
[25] 『本気でなのはに恋する男』 二十一話[十和](2010/04/25 03:48)
[26] 『本気でなのはに恋する男』 二十二話[十和](2010/05/03 22:19)
[27] 『本気でなのはに恋する男』 二十三話[十和](2010/05/09 20:54)
[28] 『本気でなのはに恋する男』 閑話4[十和](2010/05/15 22:25)
[29] 『本気でなのはに恋する男』 二十四話[十和](2010/05/22 17:27)
[30] 『本気でなのはに恋する男』 二十五話(無印終了)[十和](2010/05/30 04:14)
[31] 『本気でなのはに恋する男』 二十六話[十和](2010/06/27 10:51)
[32] 『本気でなのはに恋する男』 二十七話[十和](2010/07/04 22:03)
[33] 『本気でなのはに恋する男』 二十八話[十和](2010/07/14 23:33)
[34] 『本気でなのはに恋する男』 28.5話[十和](2010/08/15 23:44)
[35] 『本気でなのはに恋する男』 二十九話[十和](2010/09/05 23:24)
[36] 『本気でなのはに恋する男』 三十話[十和](2010/11/07 00:59)
[37] 『本気でなのはに恋する男』 三十一話[十和](2010/11/25 00:15)
[38] 『本気でなのはに恋する男』 三十二話[十和](2010/12/24 00:10)
[39] 『本気でなのはに恋する男』 三十三話[十和](2011/02/03 00:02)
[40] 『本気でなのはに恋する男』 三十四話[十和](2011/04/12 00:05)
[41] 『本気でなのはに恋する男』 三十五話[十和](2011/08/12 23:47)
[42] 『本気でなのはに恋する男』 三十六話[十和](2011/12/04 23:03)
[43] 『本気でなのはに恋する男』 三十七話(空白期間終了)[十和](2012/03/20 00:10)
[44] なの恋 簡易的キャラ紹介[十和](2011/12/04 23:04)
[45] 『なの恋』 外伝 『ドリームカップル』[十和](2010/06/06 21:32)
[46] 『なの恋』 外伝『ARISA』[十和](2010/08/15 23:39)
[47] 『なの恋』 外伝『ARISA epⅡ』[十和](2010/10/06 00:08)
[48] 『なの恋』 外伝『ARISA epⅢ』(最新話)[十和](2012/03/20 00:10)
[49] ネタ『魔法少女リリカルなのは TTS』[十和](2010/06/20 03:13)
[50] オマケ『短編集』[十和](2010/10/06 00:11)
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[13960] 『本気でなのはに恋する男』 十四話
Name: 十和◆b8521f01 ID:663de76b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/21 03:06

 墓穴を掘った、しかも大穴。
 元々掘れていた奴を、さらに大きく掘った感じだ。
 今その墓穴に入ったら、周りに積み上げた土が崩れ落ちて、俺生き埋めにならないかなぁ…それでも良いかも。

 ちなみに今俺が居るのは、男湯と女湯の間にあったベンチだ。
 温泉は、もう出てきた…しっかり堪能してきたよ。
 士郎さんと恭也さんに、ニヤニヤ見られながらな!!
 何も言わなかったけど、逆にもの凄く気まずかったよマジで!

 ええい、小学生の男子に向ける表情じゃなかったぞあの二人!
 まぁでも、俺の中身は違うけどな!

「きゅー?」

 ベンチの上で俺の隣に居るユーノが、そう鳴きながら俺の顔を覗き込んできた。
 が、残念ながら相手をしてやる気にはならない。

 あの後、思わず隣へと耳を澄ましてみたけど、特に変わらず向こうは向こうで会話していたので、聞かれては居ないはずだ。
 …なのはに聞かれてたら、羞恥で死ねるね。
 聞かれてないのを、心のソコから信じても居ない神様に祈る。
 もう救世主とか唯一神とか仏様とかでも八百万の神様でも、何でも良いですマジで。

「あ、ホラあっちに居るよ!」

 そんな事を考えていたら、急にそんな声が聞こえてきた。
 顔を上げれば、なのは達がこっちに向かってきている。
 なのはとアリサとすずか、三人揃って浴衣姿だ。
 軽く手を上げつつベンチから立ち上がり、ユーノを連れてなのは達のほうへと向かう。

「ごめんね雄介くん、待った?」
「…いや、ついさっき上がったところだから待ってないぞ」

 なのはの言い方に、思わずドキッとしてしまった。
 いや、その、有り得ないとは解っていても、恋人っぽかったし?
 ニコニコとした笑顔に、待った?なんて言い方はちょっともう、ツボに来たね。

「じゃあ、もっと長く入ってても良かったかしら?」

 何でか、ニヤニヤしているアリサ。
 何をそんなにニヤニヤしているんだ、お前は。

「お前は、しわしわにふやけるまで入ってろ…痛っ!?」
「誰がしわしわになるのよ!」

 からかったらアリサに叩かれた、そんなにしわを気にする年でも無いと思ってたけれど、そうでは無いらしい。

「まぁまぁアリサちゃん…温泉、どうだった雄介君?」
「あぁそうだな…何ていうかこう、凄かった!としか言えないなぁ」

 我ながら頭の悪い表現だが、ぶっちゃけそうとしか表現できない。
 そうとしか表現できないんだから、その微妙に見下した目線は止めろアリサ。
 しかし、それはそれと置いておいて…

「…?どうかしたの、雄介くん?」
「いや…」

 温泉上がりの浴衣姿、それもレアだけど更にレアなのが、なのはの髪を下ろした姿だ。
 普段の二つに縛った髪型じゃなくて、全部下ろしてあるんだがこうして見ると、なのはって結構髪が長いんだなぁ。
 アリサも、いつものピョンと横に飛び出すようにしてある髪型じゃないし、すずかもヘアバンドを付けていないけど、やっぱりなのはの方が珍しい気がする。
 いや贔屓目とかじゃなくて、アリサも基本的にはストレートのまんまだし、すずかはヘアバンドを付けてるかそうでないかの違いだからだな。

 うん、贔屓目じゃないよな…って痛っ!?
 突然脇腹に痛みを感じて見てみれば、何でかアリサに肘打ちされていた。
 何するんだと、疑問の視線で見れば。

「目つきがヤラしいわよ、アンタ」

 …完っ全に濡れ衣だ!
 そんな目で見てないし、そういう事を口に出して言うな!
 なのはに聞かれたら…って、何かなのはは首傾げてるし。
 最近、なのはのその辺の知識の無さに、危機感を勝手に覚える。
 すずかも苦笑して意味が解ってるみたいなのに、なのはだけ解ってないとか心配だ…それのお陰で、今回とか助かってるけどな!

 しかし、そう言われると見る目線にも違いが出ると思う。
 うん、意識してしまうから、ちょっと見る視線がそういう風な方面に向いても、仕方ないよな?
 なのはだけじゃないけど、三人とも湯上りで血色がいいのか、普段よりも頬に赤みが差している。
 少ししっとりとしている髪と、赤みの差した頬は、何だか色っぽさすら窺える。

 …あれ?ちょっと待てよ俺、小学生相手に色っぽさって、今人間的に大分駄目な感想持ったんじゃないか?
 え、少し待て俺、そんな趣味は無いはずだぞ?
 俺はなのはが好きであって、特定年齢に反応するわけじゃあ無い。
 
 そう、色っぽさとかは気の迷いだ。
 じっとなのはを見つめ直してみるが…うん、色っぽさよりは可愛いと思うぞ。
 特に俺がジッと見てるので、それに対して不思議そうにしてるのとか?
 そう思った次の瞬間、

「~っ!?」

 俺の足にいきなりの激痛が走る。
 思わず下を見れば、アリサに思いっきり足を踏まれていて。
 流石に睨むようにアリサを見れば、

「…目つきが、イヤらしすぎたわよ今のは」

 …否定したいけど、否定できないかも。
 さっき心の中で色っぽいとか思ったのは、誰にも知られるわけにはいかない。
 ジト目のアリサから、精一杯視線を逸らす俺。
 二度、三度と俺の脚を蹴ってくるアリサを見て、どうして俺が蹴られているかは解っていないだろうけど、なのはが慌てて間に入ってきてくれた。

「ほ、ほら! そろそろ行こっかアリサちゃん?雄介くん?」
「そうだよアリサちゃん、雄介君を蹴るのは後でも出来るんだから」

 すずかもなのはに続いて説得してくれるが、その言葉が不穏すぎる。
 今ここで無ければ、俺が後で蹴られても良いと言うのか。
 そう思ってすずかを見れば、その視線が微妙に冷たい…そんなに、イヤらしそうな目つきだったんだろうか、俺?

「それもそうね…じゃ、行きましょうか?」
「う、うん…後でも、蹴っちゃダメだよ?」
「良いんだよなのはちゃん、雄介君が悪いんだから」
「そ、そうなの?」

 最後にもう一度だけ俺を蹴ってから、なのはを促して歩き始めるアリサ。
 良いのかな?と言った顔のなのはだけど、すずかに押されてアリサの後に付いて行ってしまった。
 微妙に置いていかれて、何だか凄い空しい。
 いや、俺が悪いのかも知れないけれど。

「きゅー…」

 ユーノがまるで慰めているかのように、そう鳴いたのが唯一の救いだった。

+++

「ねぇ? 温泉で汗も流したし、卓球しない?」

 折角汗を流したのに、運動したら意味が無いぞ。
 と言うか、すずかとしたら確実に負けるなぁ俺。

「う~んアタシ、ちょっとお土産見たかったんだけど」

 まだ初日なのに、お土産は早いんじゃないかアリサ。
 早くても二日目で十分だろ、二泊三日何だし。

「え~っと、私卓球はちょっと…」

 まぁ、このメンバーの中では明らかに一歩…その、何だ?
 あれだもんなぁ、なのはは。

 現在、俺たちは四人で旅館の中を探索中。
 と言っても、ただブラブラ歩いているだけだけど。
 楽しげに話しながら歩いている三人、とその後を黙って付いていく俺。
 いや、さっきのもあって今は会話にもの凄く入りづらいから。
 今までの突っ込みも、全部心の中で言いました。

 前を歩く三人の会話には入れないが、これはこれで何となく落ち着くと言うか…
 心密かに平穏を噛み締めていたり…いや、別に三人と話すのが嫌という事は有り得ないけれど。
 こう後ろから眺めてるのが、とてもしっくりくる…とでも言おうか。
 肩の上のユーノをちょいちょい構いながら、三人の後を追う。

 そんな事を考えつつ歩いていたら、

「ハァーイ、おチビちゃん達」

 そんな声が俺たちに掛けられた。
 全員揃ってそちらの方に顔を向ければ、そこには見知らぬ女の人。
 パッと見て思うのは、大体美由希さんと同い年くらい。
 何となく、軽い性格のような印象を受けるが、さっきの呼びかけ方もあるから間違いでは無いだろう。

 それとデカッ、何がとは言わないけど…もっとちゃんとしまえよ。
 こっちを見ながら近寄ってくる女の人に、俺は胡乱な目を向けるが

「君かね、家の子をアレしてくれちゃってるのは?」
「え、えぇ…?」

 その人はなのはの正面に回りこんで、じっと顔を覗き込んでいる。
 達と言ったわりには、迷い無くなのはに声を掛けてたって事は…最初から、なのはに用がある?
 だがそのなのはの方は、目の前に人に見覚えが無いのだろう。
 少々引きながら、戸惑った声で返事を返していた。

「あんま賢そうでも、強そうでも無いし…ただのガキンチョに見えるんだけどなぁ…」

 そんな思いっきり馬鹿にしたような事を言いながら、さらにグッとなのはに顔を近づける女。
 流石にカチンと来たので前に出ようとしたら、俺よりも先に二人の間に割り込むのは…アリサ。
 ぐいっと無理やり顔を割り込ませて、女の顔を引かせたアリサは女から顔を背けないまま、

「なのは、お知り合い?」
「え、う、ううん…」
「そう…この子、あなたを知らないそうですが、どちら様ですか!?」

 解りやすく怒った声のアリサに、ハッキリと首を横に振るなのは。
 さらに目の前の女にアリサが言うと、目の前の女は斜に構えてこちらを見下ろしてくる。
 無言でこちらを見おろす女と、睨んでいるアリサ…その間に、俺が割り込む。
 ユーノは、なのはの横を通り過ぎる際に肩の上にそっと返しておいた。

「おや?」
「ちょっと、何割り込んでるの雄介!」
「…一つ、言っておきたいんですが」

 後ろのアリサが何か言っているが、取りあえず無視。
 なのはの為に怒ってるんだろうが、それを少し譲ってくれ。
 相手の目を見ながら、

「そちらから一方的に見知ってるだけの人間に、突然ただのガキンチョなんて事を言う人なんて、俺たちとしてはマトモに相手をする気がありません」

 一息にそう言い切る。
 目の前の女が、軽く目を見開いたように見えたがそれも無視。
 まだ言いたいことがある。

「こっちをガキと言うのなら、そっちは大人の態度を取ったらどうですか? 今はまったく、大人には見えませんけど」

 そう言って、今度は俺も無言で相手を見る。
 相手の背が高いので、若干威圧されているような気がするけれど、怯まない。
 しばらくそのままにらみ合い、ふと相手の口元が笑った。
 その笑顔に、何となく警戒心を覚える。
 前にアリサの家に行った時、不注意で怒らせた犬に唸られた時と似てる気がしたからだ。
 そこまで考えた時、さらに相手の笑顔が深くなり

「ん~ゴメンねぇ、人違いだったかなぁ? 知ってる子に、良く似てたからさぁ」

 そう笑いながら言ってきたが、俺はもちろん後ろのアリサもきっと信用していないだろう。
 だけど、

「な、何だ、そうだったんですか…はぁ」

 なのははそれを信じて、思いっきり安堵していた。
 後ろに居るので見えはしないが、多分間違いない。
 ちらりと後ろを見れば、アリサの方が何か言いたげな顔をしている。
 アリサ的には信用ならないけど、なのはがそう言っているのにさらに何か言うべきか迷ってるんだろう多分。

「いやぁ悪かったね、おっ可愛いフェレットだねぇ」
「あ、ハイ!」

 そんな事を言いながら、ユーノへと手を伸ばしている女の人。
 なのははユーノが褒められて、笑顔でユーノを撫でさせている。
 よしよし~なんて言っているけど、俺的には何となく胡散臭い。
 ユーノを撫で終ると、何故かまたなのはをしばらく見下ろしてから

「さぁて、もうひとっ風呂いってこよーっと」

 そう言って、立ち去っていった。
 立ち去る直前に、なのはの表情が強張ったので何か言ったのだろうか?
 それにしては何も聞こえなかったけど、あの表情からすると何か言われたのは間違いないだろう。
 しばらく、本当に立ち去るか眺めていたけど、振り返る気配は無くそのまま角を曲がっていった。
 もうこれ以上、ここで何かするつもりは無いのだろうと思った時。

「何よアレは~!」

 遂に我慢の限界が来たのか、アリサが爆発した。
 相手の居た方を指差しながら、足を踏み鳴らしている
 そのアリサの様子に驚いたなのはが振り返り、恐る恐るアリサに声を掛けた。
 
「あ、あのアリサちゃん? その…変わった人、だったね?」
「昼間っから、酔っ払ってるんじゃないのアレ!? 気分、悪っ!」

 大げさな手振りで、今の心境を表現するアリサ。
 ってか、今の動作は徳利をラッパ飲みしてるみたいな感じだけど、どこでそんなの見たんだお前は。
 チラリとすずかを見ればちょうど視線があって、思わず互いに苦笑してしまった。

「ま、まぁまぁくつろぎ空間なんだし…色んな人が居るよ」
「だからと言って、節度ってもんがあるでしょ! 節度ってもんが!」
 
 アリサの叫びに、あははと誤魔化し笑いで対処するなのは。
 そんな二人を傍観していたら、

「後、雄介! アンタも何でわざわざ私の前に出てきたのよ!」
「あ?」

 思わぬところで飛び火した所為で、間の抜けた声を出してしまった。
 
「何でって…別に、特に理由は無いぞ」

 しいて言うならば、なのはを馬鹿にされたから俺も言い返したかっただけだし。
 そんなのは、なのはの前で言うことでも無いしな。

「何だよ、悪かったか?」
「悪い!」

 …軽く聞き返したのに、まさかの断言だった。
 いや、アリサが本気で言ってないのは解ってるけど。
 多分、文句を言い足りなかったんだろうなぁ…どうしようも無いけど。

「あぁもう! 雄介、ちょっと卓球に付き合いなさい!」

 そう言うと、俺が返事をしていないのにずかずかと歩いていくアリサ。
 まぁ、消化不良な気分を思いっきり動いて発散したいんだろうなぁ…俺も若干、そんな気分だし。
 きっと遊技場に向かっているアリサの背中を見ながら、なのはとすずかの二人に目をやると、二人揃って苦笑された。
 
+++

  あの後、遊技場で全員総当りの卓球デスマッチが開催された。
 俺はすずかに負けてなのはに勝って、最終戦のアリサにもギリギリで勝利。
 最後の決め手は、アリサのミスショット。
 そんな勝ち方だったので、明日も対戦することがアリサによって半ば決定済みだったりするけれど。

 その後はお土産を見に行く予定だったけれど、思いのほか俺とアリサの試合が白熱して長引いたり、体力を激しく消費したため明日に。
 まだ初日だし元から、すずかとなのはは明日にするみたいだったけど。
 アリサのみ、少し悔しそうだった…俺に負けたのがなのか、それともお土産を見れなかったことなのかは知らないけれど。

 そして、晩御飯は美味しかったです。
 俺って魚は焼いたのも煮込んだのもそんなに好きじゃないけど、ここのは美味しく食べれた。
 後、漬物も美味しかった。
 
 そんなこんなで色々あって、今はもう夜。
 普段ならまだ起きている時間だけど、旅行初日と言うことでペースが掴めなかったのか、何だか疲れていたので今日は早めに休むことにした。
 夜用にトランプとか、色々持ってきたけれど、これらは明日と言うことで。
 と、こんな事をうだうだ考えているのも理由があって

「ほら、もうちょっと向こうに行きなさいよ雄介!」
「…了解、この辺で良いか?」

 布団を抱える俺に、指示を出しているのはアリサ。
 アリサの指示に従って布団を抱えたまま、部屋をうろうろする俺。
 多分なんでこんな事になってるのか不思議に思われそうだけど、別に大したことじゃない…アリサに、雑用に使われてるわけじゃないぞ?

 まぁ、簡単に現状を表現すると…なのは達と、一緒の部屋で寝ることになりました。

「う~ん、もうその辺で良いと思うけど…いいよね、アリサちゃん?」
「うーん、どう思うすずか?」
「私は、もう良いと思うよ? あんまり隅っこに行ったら、寒いと思うし」
「じゃあ、もう下ろすけど良いか?」

 布団の上に座ってそんな会話をする三人から、少し離れたところで布団を下ろす俺。
 言っておくけれど、俺は悪くないし、元からこういう部屋割りじゃあ無かったぞ。
 元々は今回の旅行での部屋割りは、男部屋に女性部屋が二つの割り振りだったんだが、その内の男部屋が今まだ起きている人たちの使っている部屋なのだ。

 俺は気にせずそこで寝ようとしたのだが、あれよあれよと言う間にここで寝ることになってしまった。
 反対はしたけれど、にこやかな笑顔があれほど強いとは思わなかった。
 って言うか、一番反対するべき人が即座にOK出してたぞ桃子さん。

「悪かったな、急にこんな事になって」
「別に良いわよ、アンタも驚いただろうし」

 この中で一番反対すると思われたアリサだけど、あの部屋で寝るのは無理があると思ったのか、それほど反対されなかった。
 取りあえず、土下座から入ったのも良かっただろうか?
 無言のなのは達と同じ部屋で寝なさいオーラを後ろに感じてたので、どうにか許してもらおうとの苦肉の策だったのだけれど。

「あはは、でもあの部屋で寝るのは大変そうだからしょうがないよ」
「そうだよ雄介君、それに私達は気にしてないよ?」

 気にはしてなくても、同じ部屋で男が寝てるってのは恥ずかしいだろうに。
 なのははまぁ、本当に気にしてないんだろうけど、アリサとすずかには悪い事をした。
 いつか、何かで埋め合わせをしようと考えて、ようやく布団が敷けた。

「いや、本当に悪かった皆。 向こうで寝れば良かったんだけど」
「別に良いって言ってるでしょ? 誰も気にしてないわよ」

 そう言ってくれるのが、本当に救いだ。
 それでも拒否されていたら、どうなっていたんだろうか…あれ? 本当にどうなってたんだろう、俺?

「雄介くんと一緒の部屋で寝るの、初めてだもんね」
「…まぁ、そうだな。 こういう旅行も初めてだし」

 初めても何も、普通はもうこの年になったら男女は一緒の部屋では寝ないはずなんですよ、なのはさんや。
 それにそういうことは本当に言わないでくれ、冗談抜きでドキドキするから。
 中身が年相応じゃないはずだから、心臓に悪いんだ色んな意味で。
 
「…雄介君、頑張ってね?」
「…あぁ」
「?」

 何を頑張るのか聞きたいところだけど、なんだか嫌な予感もするので聞かない。
 なのはは、首傾げてるし。

「それじゃ、電気を消すけど…雄介、寝ぼけてこっちに来たりするんじゃないわよ?」
「寝相は良い方だから、きっと大丈夫だと思うぞ。 一度寝たら朝まで起きないタイプだしな」

 ならば良し、アリサはそう言うとあっさりと電気を消してしまった。
 そんな簡単な確認で良いのかと思いつつ、布団に潜り込む。

 こう暗くなってから改めて思ったのだけど、同じ部屋に好きな子が居るのに俺寝れるのだろうか?
 少し離れているとは言え、俺と同じように布団に入っているわけだけど。
 そう、そんな事を考えたりもしたのだけど…

 予想以上に体力を消耗していたのか、わりとアッサリ俺の意識は落ちていった。


+++後書き
 今回絶不調、どうにかここまで書き上げましたが…平日に少しでも書き溜められないのはきつかった。
 お陰で、書くつもりだった卓球シーンは泣く泣く取りやめて二日目に延期。
 あと、アニメ見ながら書いてるんですがアルフの口調がアメリカンテイストww
 誰これ、とか思いながら書いてましたww


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