プップー
目の前にバスが止まり、運転手に挨拶しながら乗り込む。
このバスはうちの小学校のスクールバスなので、何をするでもなくそのまま席のほうに。
すると、
「あっ、雄介」
「本当だ、ほらなのはちゃん」
「雄介くーん、こっちこっち」
「あー、おはよう三人とも」
一番奥の座席から声を掛けてくるのは、友達の女の子3人。
俺から見て、左から順番にアリサ・バニングス。
隣に高町なのは、更に隣に月村すずかの十番で座っている。
そちらに歩いて挨拶を返しながら、三人の一個前の座席に座ろうとしたら。
「おはよ、ってこら何前の席に座ろうとしてんのよ」
「おはよう」
「おはよう、雄介君」
3人それぞれ挨拶を返してくれたけど、アリサが座ろうとした席に文句をつけてきた。
「何って…いや、別に理由は無いけど?」
「じゃあ、前になんか座らないでこっちに座りなさいよ」
そう言って、アリサが左に席をずらした。
アリサ・なのは・すずかの順番で座っていたので、そうやって空けられると俺はなのはとアリサの間に座るしかない。
これはとても、恥ずかしいんだけど…
「ほら、早く座らないとバスが発車出来ないわよ?」
アリサがそんな事を言うけど、なのはから見えない方の口元が変に吊りあがっている。
間違いなく、俺が恥ずかしいのわかってやってやがるコイツ。
とそんな事を考えていると、なのはが首を傾げて。
「雄介君、座らないの?」
「…お邪魔します」
言いながらなのはの隣に腰を下ろすと、どーぞと言ってくれる。
俺が腰を下ろすと同時に、バスが発車。
このバス停では俺しか乗ってこなかったから、当たり前といえば当たり前だけど。
「ねえ雄介君、今日の宿題やってきた?」
「ん?やってきたけど?」
いきなり、すずかがそんなことを聞いてきた。
まさかやってないのだろうか? いや、すずかに限ってはそんな事は今まで無かったけれど。
「雄介君!」
「うおわっ!?」
思いっきり、なのはが俺に詰め寄ってきた。
近い、座ってるのが隣だから近いぞなのは!
「教えて、お願い!」
「りょ、了解」
教えるのは構わないから、取りあえず離れてくれなのは!
そしてアリサ! 隣で笑うな、声を押し殺してても解るんだよ!
「良かったじゃないなのは、見せてもらえて」
「なのはちゃん、最後の問題が解けなかったんだよね」
アリサがニヤニヤ笑いつつ言って、すずかが俺に教えてくれた。
そう2人が言うのを聞いて、なのはが膨れた顔をする。
「だって、アリサちゃんもすずかちゃんも教えてくれないんだもん」
「…あー」
何となく、その言葉で現状は把握。
つまりこれは、俺の為か。
…今更だけど、この2人特に、アリサに知られたのは不味かったかなぁ…有り難いけど。
所々のフォローは嬉しいけれど、笑うなアリサ。
なのはに俺がなのはを好きなことバレたら、お前の所為だからなコンチクショウ。