<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[13840] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 22:09
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 木ノ葉隠れの里がペインに襲われ、ヤオ子が退院をしてから修行を開始してかなりの日数が経つ……。
 その修行中の期間を長いと取るか、短いと取るかは受け取り方は人それぞれだ。
 だが、ヤオ子の周りで、事態は着実に動き出している。
 暁の新たな動きに加え、五影会談の日が行なわれることも決まった。

 八尾の人柱力に手を出してしまったサスケが、各国の代表する影達の議題にあがらない訳もない。
 サスケの抹殺命令が実行される前にヤオ子は動き出さなければ行けないが、未だ自分の力を自分のものとして扱えていない。
 理想とする忍としての最低ラインをクリアできていない。

 短期間で得なければいけない力を手に入れるため、ヤオ子は家族ぐるみで修行を続行中である。



  第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編



 修行中であっても、影分身六体の修行は変わらない。
 一人は、里の復興に従事。
 一人は、手裏剣術に体術。
 一人は、チャクラの木登り。
 一人は、火の性質変化の向上。
 一人は、水の性質変化の向上。
 一人は、土の性質変化の向上。
 そして、本体は母親と実戦まがいの模擬戦を実行中である。


 「っ!」


 模擬戦の最中、母親の殺気がヤオ子に容赦なく向けられる。
 更に実戦を意識した模擬戦で、最初は逃げ出したい気持ちに狩られてヤオ子は動けなかった。
 死を否応なしに意識させられたのだ。

 だけど、今は怯まない。
 お腹にに力を込め、目に意志を宿す。
 込めるのは殺気ではなく、強い意思。


 「強くなるんです!
  力も! 心も!」


 右の拳と当て身の右膝を押えられ、ヤオ子の体術が母親に受け止められる。
 しかし、二日前と違う。
 見られて受け止められたのではない。
 受けなければダメージを負うから受け止められたのだ。


 (おかしい……)


 当然、相手をしている母親が最初に気付く。
 受け止めていた拳と膝を風遁の回避術で回避すると、母親は距離を取る。


 (少ない模擬戦で、ヤオ子が順応してきている……。
  でも……一緒に修行をして、まだ二日。
  こんなことは有り得ない……)


 そう、ヤオ子の成長スピードが明らかにおかしいのだ。
 二日前まで簡単にあしらわれていたヤオ子が対等に渡り合い始めた。
 殺気を込めたのは、昨日。
 それにも順応し始めている。
 そして、今、忍術を使った──いや、使わされたのだ。
 母親は、初めてヤオ子に対して構えを見せた。


 …


 一方のヤオ子も自分の中で、何かが変わったのを実感していた。
 今日、模擬戦を始めてから、自分の中の何かが脈動しているのを感じていた。

 ”簡単に言えば、体の中の血が興奮している”

 まるで自分の体が歓喜しているような感覚だった。


 (何か……全てが理解できる。
  今までバラバラだったあたしの武器の使い方が……)


 ヤオ子の母方の家系に眠る力……。
 幼年期から青年期に訪れる脳の活性化が始まっていた。
 ほとんどの者が医療班か暗号班への就職に利用し、いつしか本来の意図と違う使われ方をされている力が開花し始めていた。


 (体術一つ取っても分かる……。
  何で、この拳が最短の距離を走って相手に向かうのか。
  何で、この拳に力と体重が乗るのか。
  何で、このタイミングで繰り出さなければいけないのか。
  ・
  ・
  実戦経験が理解させる。
  この拳の使い方を……。
  ここで繰り出す必然性を……。
  足りなかったものが補われていく……)


 ヤオ子に目覚め始めた力は、本来、長い忍の戦乱で目覚めた力だった。
 幼い時期から青年期に忍の戦い方を頭に叩き込み、無駄のない修行を行なって種を存続させるためのもの。
 しかし、いつからか医療忍術の重要性が広がると使い方に変化が起きた。
 忍の力を高めるためではなく、医療忍術や暗号解読など、知識を詰め込む方へと……。
 そして、更に追い討ちを掛けたのが、フォーマンセルの小隊に一人医療忍者を入れるという現在のシステム。
 家系の中で、遂に普通の忍を目指す者が居なくなってしまった。
 偶に普通の忍を目指す者が居れば異端視され、本来、目覚めた使い方を最後まで全うする者が消えてしまった。

 故に普通の忍であることを目指した、ヤオ子の母親は勘当されている。
 しかし、それが本来の使い方だった。


 (もっと、知りたい……。
  もっと、経験が欲しい……)


 ──血が騒いでいる。
  本来の使い方の再現者に……。
 ──血が騒いでいる。
  この力を持って、知識を己が血に変え肉に変えて成長しろと……。
 ──血が騒いでいる。
  今までの努力を──培った武器の活かし方を今こそ理解しろと……。

 母親との実戦まがいの模擬戦が、ヤオ子の血を目覚めさせていた。


 …


 母親の火遁が躱される。
 ヤオ子の瞬身の術が発動し、ヤオ子に相殺させる術すら必要とさせない。
 今は自分の武器である体術で、何が出来るか理解できる。
 ここで無駄な術を使ってチャクラを使う必要はない。
 木々を飛び移り、母親の視界からヤオ子が消える。


 (見失った……。
  ブランクで体力が落ちた肉体が、ヤオ子に着いていけない……。
  経験で補っていたものを補えなくなって来た……)


 風切り音が母親の耳に入ると、母親は瞬時にクナイを振り切り手裏剣を弾く。
 そして、次の攻撃とヤオ子の姿を探し、直ぐに構え直す。
 その気を張り詰める中で、母親の視界に手裏剣の軌道が円を描いていて写る。


 「ッ!」


 母親は思わず舌を打ってしまった。
 攻撃は捉えたものの、手裏剣の飛んで来た方向に信憑性がない。
 直線ではないため、ヤオ子が何処から投げたか予測できない。


 (これでは見つけられない)


 体が止まっている時点で、自分が追う立場でないことを理解させられる。


 「ヤオ子に仕留められる立場になったのかしら?」


 母親が大きく息を吐く。
 無駄に動けば隙が出来る。
 それこそ、ヤオ子の狙いに嵌ることになる。


 「この緊張感……。
  ヤオ子相手に、こんなに早く味わうことになるなんてね」


 影が落ちる。
 母親が瞬身の術で横に移動すると、さっきまで居た地面にクナイが落ちた。
 刃がないため、クナイは地面に刺さらず転がる。
 母親はハッとする。


 (移動させられた!?
  なら……)


 「攻撃が来る!」


 母親の右の脛に水圧が掛かった。
 それを見て、母親が二度目の舌打ちする。


 「一回ね……。
  クナイか手裏剣なら、私は行動不能だわ」


 母親は水遁の飛んで来た方向を睨む。


 (居ない!
  私が、まだ見失って捉えられない!)


 狩る者、狩られる者の立場が逆転していた。
 何とか立場を元に戻さなければ、やられることを待つだけになる。
 母親は目を閉じると、聴覚の集中力を高める。

 そして、僅かな音を聞き分け、目を見開くと僅かな影を捉えた。
 母親はチャクラを足に流して走り出し、そのままチャクラ吸着で木の上へと戦いの場を移した。
 そこで直ぐ様、火花が散る。
 影と影が交差し、クナイとクナイがぶつかった。


 「風遁!」


 母親の左手から突風が起き、ヤオ子へと向かう。
 それを一瞬の判断で殺傷能力が弱いと見極めると、ヤオ子が体を開いて全身で突風を受け止めた。
 接近していた両者の間隔に距離ができた。


 「利用された!?」


 届かないクナイの攻撃を諦め、母親の追い討ちの手裏剣の投擲。


 「そのスピードなら、チャクラ糸で回収できます!」


 ヤオ子は左腕を伸ばし手を開く。
 しかし、チャクラ糸が……。


 「あ、あれ?」


 里の復興と他の修行に振り分けた影分身のせいで、チャクラが切れ掛かっていた。
 それ以外にも模擬戦でチャクラを使い続けていた。
 手裏剣は小指と薬指の間に挟まる形でクリーンヒットした。


 「いった~~~ッ!」


 ヤオ子は体を捻って木の上の枝着地すると、その場で右手で左手を押えて蹲る。


 「~~~っ!」


 蹲るヤオ子に、母親が駆け寄る。


 「何をやってんのよ?」

 「調子に乗った……。
  何か絶好調で戦い方を理解できてたから、
  色んな戦い方を試し過ぎて……チャクラが切れたみたい」

 「そういうことは、体の感覚で理解しないと」


 母親が苦笑いを浮かべて注意した。


 「でも、どうしちゃったの?」


 母親は隣りにしゃがみ込んで、ヤオ子の鼻先を突っつく。
 ヤオ子は頭を掻くと、今自分に起きていることを正直に話した。


 「昨日の夜から、血が騒ぐんです」


 ヤオ子が立ち上がると両手を見る。


 「今まで……ずっと基礎を続けて来ました。
  体力とチャクラ量がないから、体力づくりをして……。
  筋力が足りないから、忍に必要な筋力をつけて……。
  技術がないから、手当たり次第に色んな人の修行に関わって……。
  そして、有効な使い方を理解できないまま、言われるがまま、ただ使っていました。
  ・
  ・
  でも、今なら分かるんです。
  ただのパンチとガイ先生のパンチの違いが……。
  チャクラの効率的な使い方が……。
  今日まで自分が育ててきた基礎能力の活かし方が……」


 両手を握り締める。


 「急に分かるようになったんです」

 (血が目覚め始めたわね。
  第二段階に……)


 ヤオ子の母親も立ち上がる。


 「直に私の全てを体得するわ」

 「直に?」


 母親が頷く。


 「今の状態なら理解できるはず。
  忍術も教えるわ」

 「忍術って……新しい?」

 「ええ。
  ヤマト先生には悪いけど、もう印を覚えれば術が発動するはずよ。
  私が教えてしまうわ。
  ・
  ・
  ヤオ子……。
  間に合うかもしれないわよ」


 母親の妙な確信にヤオ子は首を傾げた。
 そのヤオ子を見て、母親は懐かしさを覚えて思い出していた。


 (この感覚は、私にも覚えがあるの……。
  医療忍者だった父や母にはなかった感覚……。
  血が脈動すると言ったら怒られた……。
  父や母には、こういう形で現われなかった。
  ・
  ・
  だけど、あの人だけが信じてくれた……。
  素敵なことだと言ってくれた……。
  それが娘にも起きている。
  ・
  ・
  なら、母親として応援しなくちゃ……。
  教えてあげなくちゃ……。
  それは素敵なことなんだって)


 ヤオ子の母親が指を三本立てる。


 「三日で、私の全てと術の印を全て習得してね♪」

 「ハァ!?
  もっとスパルタ!?」


 母親は笑みを浮かべる。


 「ヤオ子の努力……きっと、実を結ぶわよ♪
  それは素敵なことだから♪」


 ヤオ子には全く分からなかったが、次の日、母親の言葉は真実になる。
 覚醒したヤオ子の血は、母親を一気に追い抜いてしまった。
 他の忍より基本性能の向上に力を入れた分だけ、覚醒して跳ね返ってきた見返りが大きかったのだ。
 そして、その日のうちに水遁・霧隠れの術、水遁・水陣壁、土遁・土流割をヤオ子は習得した。

 ちなみに、印は例によって母親の犯罪行為により取得したものであることは言うまでもない。


 …


 また日の高いお昼時……。
 母親は悔しさを少し顔に表したあと、笑顔を浮かべて空を見上げた。
 首筋、心臓、足の腱、他にも急所や体を動かすのに重要な腱や間接に炭や石灰が付いている。
 投げ出した足は、何処も彼処もヤオ子にやられた跡だらけだ。


 「あ~あ……。
  負けちゃった……」


 つい2、3日前と立場が逆転した。
 隣で見下ろしている笑顔のヤオ子は綺麗な格好なままだ。


 「少し話を聞いてくれる?」


 母親の問い掛けに頷くと、ヤオ子は母親と同じように足を投げ出して隣に座る。
 白髪と茶髪……まるで髪の色の違う双子の姉妹ようなの光景だった。
 母親がヤオ子に話し掛ける。


 「ヤオ子……。
  あなたは、どんな忍を目指しているの?」

 「前にも聞かなかった?
  ヤマト先生かイビキさんです」

 「うん。
  その二人のどんなところ?」

 「どんな?
  優しいところとか厳しいところとか……」


 母親が首を振る。


 「そうじゃなくて。
  どんなタイプの忍者かってこと。
  幻術系とか体術系とかよ」

 「ああ……。
  ・
  ・
  考えてないですね……。
  射程を考えて必殺技を近・中・遠。
  状況を考えて土遁と水遁を追加。
  それ以外は弾数を増やすために、基礎体力を上げていただけですからねぇ……」


 ヤオ子の母親が頷く。


 「そう。
  あなたは基礎と体力を徹底していただけ。
  だけど、それで私を超えた。
  ・
  ・
  今だから、言うけど。
  私とお父さんには、上忍の話もあったのよ」

 「嘘?」

 「本当……。
  だから、その私を蹴散らしたあなたは、極めて高い基礎能力があることになるってわけ」


 ヤオ子は片手を顔の前で振る。


 「いや、話を続けないでよ。
  あたしにも驚く間を提供してよ」

 「面倒臭いから省くわね。
  それで──」

 (無視して続けるのんですか……)

 「──あなたには、私の理想を継いで欲しいかな……って思うんだ」


 ヤオ子は首を傾げる。


 「お母さんの理想?」


 母親がヤオ子を指して、自分を指す。


 「私達、似てるわよね?」

 「はい。
  姿形と変態性は」

 「うん。
  実は、忍者としてのスタイルも似てるの」

 「そうなの?」

 「うん。
  さっきの上忍の話、あったでしょ?」

 「はい」

 「実は断わったの。
  お父さんと一緒に」

 「何で?」

 「目標があったから。
  お父さんと、中忍までに基礎を極めようって誓ってたから」


 ヤオ子は、再び首を傾げる。


 「基礎を極める?
  分かりませんねぇ……」


 母親は微笑んで続ける。


 「どうして基礎が大事か分かる?
  忍者としての戦いをするために必要不可欠だからよ。
  特にスピード。
  これを高みに居る忍と同等まで高めないと話にならない」

 「高みに居る忍ですか……。
  例えば?」

 「暗部、上忍」

 「ハァ!?
  中忍で、そこまで持っていくつもりだったんですか!?」

 「当然でしょう。
  自分より早いものには当てられない。
  自分より早いものは躱せない。
  だから、スピードを同等に持っていくのは最低限の条件」


 ヤオ子は厳しい条件をつけていた母親が、少し信じられなかった。
 普段は、手抜き万歳で仕事をする人間だ。
 帳簿の付け方とか……。
 売れ残りの価格の再設定とか……。
 その母親が忍者としては厳しい目標を持っていた。


 「それを中忍の目標にしてたんですか……」

 「ええ。
  だから、中忍でそこまで極められるまで、上忍の話は断わってたの。
  ・
  ・
  そして、やっと納得のいく力を身に付けた時……引退したの」

 「そうだったんですか……。
  ・
  ・
  でも、話からすると……上忍になった後の、先があるんですね?」


 母親が頷く。


 「ええ、その通りよ。
  私達は、こう考えていたの。
  中忍までに基礎を極めると同時に対人忍術を覚える。
  それ以上を目指す時……。
  上忍になるなら、大軍系忍術を身につける。
  暗部になるなら、特殊系の忍術を身につける……ってね」

 「大軍系と特殊系?
  どちらも聞いたことがないですねぇ……」

 「私の考えよ。
  今のヤオ子の状態は、忍としての基礎を収めて対人の術も持っている。
  小隊に組み込まれても問題がない状態。
  でも、これだけではダメなの。
  ・
  ・
  何故か?
  大軍系の術を使われたら何も出来ないから」


 ヤオ子は顔を顰める。


 「さっきから言ってる大軍系って、何ですか?」


 母親は頷く。


 「この前の戦いで、暗部の人が使った土遁を覚えてる?
  巨大な岩石みたいなのが落ちたヤツ」

 「あれか……。
  覚えてます」

 「あれは本来、一人相手では使わず、複数人を対象にしている術。
  これが出来ないと戦いの幅が狭いの」

 「なるほど。
  ・
  ・
  でも、ラブ・ブレスは?」

 「あれは対人だと思うわ」

 「何で?
  結構な範囲ですよ」

 「あんなスピードのない術は使えないわ。
  あれは一人相手でも躱せない範囲をカバーしているに過ぎないわ」

 「辛口ですね」


 母親が印を結び、弓を引くように左手を前に右手を引き絞る。


 「見てて」


 左手の人差し指と親指を円の一部として風のトンネルが出来ると、右手の指先から小型の火球が打ち出される。
 すると風のトンネルに吸い込まれ、火球が加速する。
 火球はクナイの投擲と同じ位のスピードで打ち出された。


 「最低、これぐらいのスピードは欲しいわ。
  もしくは、躱せないぐらいの大規模範囲の術を習得するの」

 「豪火球であのスピード……。
  新術が必要です」

 「私も、そう思うわ。
  そして、これから戦っていく時、対人と大軍を使い分けて戦わなくてはいけなくなるはず。
  対人だけじゃ、いつか殺されるわ」

 「……あれだけ修行したのに?」


 母親が頷く。


 「努力も認める。
  成果も認める。
  でも、現実はそれだけじゃない。
  ・
  ・
  これは、あなただけに言えることじゃない。
  ヤマト先生だって、大軍系の術を個人に使われた時、躱せないかもしれないわ。
  なら、こちらも大軍系の術で守るか攻めるかするしかない」


 まだ足りないものを知り、ヤオ子は少し落胆すると、もう一つを質問する。


 「では、特殊系というのは?」


 母親が頷く。


 「一つは、一族間の秘術である秘伝忍術」

 「……あたしには習得できない」

 「ええ。
  この時点で私達は、既に出遅れている。
  そして、この特殊系があれば大軍系がいらなくなる場合もある。
  大軍系の術を凌駕するだけのポテンシャルを秘めているから」

 「つまり、特殊系を持っている忍は、大軍系の術を持たなくてもいい」


 母親が頷く。


 「だから、私とお父さんは目標を三段階に分けた。
  基礎、大軍系忍術、特殊系忍術。
  そのうち大軍系忍術までは、努力で何とかなると思っている。
  だけど、特殊系忍術は習得できるかも怪しいレベル」

 「……含みがありますね。
  続きを教えてください」


 母親が頷く。


 「自ら独自開発するの。
  ヤオ子の必殺技──あれの数倍悪質なものを」

 「独自開発ですか……」

 「条件も厳しいわ。
  誰も真似できない。
  これがあれば状況が逆転する。
  何より、反則と思われる性質を兼ね備える」

 「よく分かりますね」


 ヤオ子が頭を掻く。


 「写輪眼。
  白眼。
  影真似。
  木遁。
  転心系。
  他にも秘伝忍術はありますが、あげた例は反則的に悪質です。
  ただの術じゃ対抗できる気がしません」

 「そういうこと。
  どういう風に特殊になるか、自分を知らなければならないわ」


 ヤオ子は大きく息を吐く。
 自分がどう特殊かなんて分からない。

 しかし、母親の中では、出来るかどうか分からないがある算段が立っていた。


 (血継限界の習得……。
  私やヤオ子が特殊系を習得するなら、これが一番確率が高いと思ってる。
  理由は、センスと私の家系……。
  ・
  ・
  私は、同時に二系統を発動させるまでのセンスがあった。
  私に似ているヤオ子は、血継限界を発動させる可能性がある。
  一応、私も血継限界は使えるんだけど……。
  風遁と火遁の血継限界……。
  ・
  ・
  ダメなのよね……。
  おいろけ関係の術でしか血継限界が発動しなかった……。
  そもそも血継限界が発動したのは、家系より変態性の可能性が高い……。
  ・
  ・
  そして、センスが大事なのも分かったんだけど、もう一つ大事なものがあるのが分かった。
  想像力。
  術の完成系を想像する力。
  でも、私は想像力が妄想力に変わって、血継限界がおいろけでしか発動しなかったのよね……。
  ・
  ・
  そして、家系……。
  まだ先がある気がするんだけど──)


 母親が項垂れる。
 ヤオ子は、何故、項垂れたのかと首を傾げる。


 (まあ、ヤオ子も変態性が邪魔するかもしれないけど、
  漫画を馬鹿みたいに読み込んでるから、何とかなるでしょう。
  ・
  ・
  それにこの子は気付いてないけど、既に一歩を踏み出している。
  術の四点装填。
  火遁を四つ同時に発動している。
  これを合成できれば血継限界への道が開ける)


 母親はヤオ子を見ると、にやりと笑う。
 その笑顔に、ヤオ子は捕食される前の対象物になった気分になった。
 母親が続ける。


 「まあ、そこは焦らないでいいわ。
  ヤマト先生が教えてくれるでしょう」

 「本当?」

 「ええ」

 (血継限界を使える忍が居るなら、ヤオ子の可能性が分かるはず。
  そして、次に会った時は、ヤオ子の下地は完成に近づいている。
  この誘惑にそそられない先生は居ないわ)


 母親は再びヤオ子を見ると、にやりと笑った。


 …


 ※※※※※ 番外編・これからの方向性について ※※※※※


 「お母さん。
  何か説明が多い話でしたね」

 「本当に……」

 「大体、時系列も合っているんですか?
  あたしの性質変化の修行だけで二週間。
  その間、ずっと綱手さんは昏睡状態ですよ?」

 「まあ、原作も時系列がよく分からないし。
  木ノ葉が壊滅してから直ぐに、
  都合よく雲隠れの里の忍が来るのも無理があるからいいんじゃない?」

 「実に投げやり的な発言です」

 「でも、原作で波の国のイナリ君が久々に登場したでしょ?」

 「そうですね」

 「噂を聞いてから手伝いに来たんだから、
  時間的にそれぐらい流れていてもいいんじゃない?」

 「そうかもしれませんね。
  しかし、大蛇丸さんが木ノ葉崩しをした時は、
  力が落ちるのを知られないように任務を無理して受けて情報操作したのに、
  今回は壊滅したのがダダ漏れですね?」

 「そうね。
  隠せるレベルじゃないって言うのもあるけど、よく他の国が襲って来なかったわ。
  多分、兵糧の蓄えなんかの差で、木ノ葉は負けていたと思うし……」

 「同感です。
  波の国まで噂が届いている以上、各国に知られているレベルでしょう」

 「話は変わるけど、今回、私は大活躍よね?」

 「活躍かどうかは分かりませんが……。
  と言うか、こんな説明だらけのSSを楽しいと思えるんですか?」

 「楽しくないわ。
  『またヤオ子の修行かよ』って
  思ったわ」

 「そこまで言いますか……。
  でも、仕方ないじゃないですか。
  NARUTOの術や血継限界を説明すると、どうしても読者視点の想像による補足とかが必要になるし、
  wiki読んでも分からないし」

 「それは言い訳ね。
  腕のある作者さんなら、例えダラダラとした説明でも面白おかしく読者を楽しませるものだわ」

 「そんな電化製品の説明書があるなら、読んでみたいですがね……」

 「じゃあ、今回のお話のターゲットは説明書を読む人が好きな人よ!」

 「狭っ!
  ターゲット層、狭っ!
  『NARUTOが好き』かつ『SSも読む』かつ『説明書好き』。
  何人ぐらいをターゲットにしてるの?」

 「多分、七人ぐらい……」

 「ほとんどの人が楽しめない!」

 「だって、第二部になってから、ついて行けないことが多くて……」

 「どうしたの?」

 「原作が伏線張り過ぎてて、
  週刊で伏線回収しても何のことか分からない……」

 「原作批判?」

 「コミックなら、まだ分かるわ。
  ある程度、一気読み出来るから」

 「週刊誌批判?」

 「私はアニメも見ているんだけど、アニメは、こういう風に見ているの。
  原作で大ゴマ使って飛ばしてしまった戦闘シーンの補完や、
  読むと眠くなる敵の会話を声優さんの感情を込めた音読で、こういうことかと理解するの」

 「つまり、原作とアニメを纏めて一つに?」

 「その通り。
  そうしないと私には分からない」

 「本当にダメな親です」

 「だけど、これでギリギリついていけるわ」

 「そうなんだ……。
  でも、原作第二部は、結構、駆け足で進むから分からないんですよね。
  正直、コミック一冊分ぐらい丸々説明に当ててもいいんじゃないですか?」

 「コナンじゃないんだし……」

 「でも、ナルトさんのお母さんとお父さんのストーリーなんかは、結構、気になりません?」

 「う~ん……。
  それは少し……」

 「あたしは、もう少し知りたいですよ。
  いきなり攫われて助けたなんて言われても。
  当時、多分下忍だった四代目火影の実力や少しずつ築き上げられていく二人の関係」

 「もしかして、それも伏線とか……。
  カカシ外伝みたいに……」

 「じゃあ、第三部決定?」

 「う~ん……。
  じゃあ、最近のガンダムみたいに別冊コミックで──」

 「それをNARUTOでやるの?」

 「作画:鳥山明で」

 「凄い豪華ですね……」

 「もしくは、原哲夫か荒木飛呂彦」

 「その2人に書かせたら、漫画が別物になりますよ……。
  『ドドドドドド……』
  とかいう効果音の後で影分身」

 「ナルトも劇画タッチに……。
  倒された相手も『ぶばら!』とか言って倒されるのね」

 「破裂するんだ……。
  もう術じゃないよね?
  主人公もネジさんに変更じゃないですか。
  ・
  ・
  で、要するに何が言いたいの?」

 「作者が限界を感じています」

 「え?」

 「もう、八百屋のヤオ子を続けられないということ」

 「逃げるの?」

 「簡単に言えば。
  原作についていけなくて、
  このまま続けると別物になってしまうらしいの」

 「ぐは……っ!
  あたしとサスケさんのラブシーンは!?」

 「残念ながら無くなったわ。
  予定もしてなかったけど」

 「じゃあ、打ち切り?」

 「ええ。
  こうしてヤオ子は戦い続けて行くのだった……みたいに終了させる予定よ」

 「ガーン……」


 申し訳ありませんが、82話以降、強引に終了へ向かいます。
 大変申し訳ありませんが、いつまでも放置というのはいけない事なので
 ここで打ち切りにして最終話まで全部あげてしまいます。

 ここの話以降は、こういう風に持って行きたかったというプロットのような展開になり、
 原作を無視して内容も希薄なものになります。

 寛大な心で、お許しいただければと思います。
 詳細な理由は、あとがきに書かせていただきます。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.03610897064209