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No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
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[13840] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 21:54
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 注意 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 ・今回のお話は、ほとんど番外編です。
 ・NARUTOと関係のない話が、いつも以上に多数でます。
 ・三次創作の悲劇と二次創作のタブーが話のメインになります。
 ・興味のない方は、途中でスルーをしてください。
 
 また、
  『魔法少女リリカルなのは A`s』
  『DEATH NOTE』
  『ハヤテのごとく!』
  『シャーマンキング』
  『るろうに剣心』
  『名探偵コナン』
  『Fate/hollow ataraxia』
  『銀魂』
  『新機動戦記ガンダムW』
  『機動武闘伝Gガンダム』
  『機動戦士Zガンダム』
 をよく知らない方は、主人公がいつも以上に壊れていると錯覚するかもしれません。
 主人公は、いつも通りの壊れたレベルです。

 以上を踏まえた上で、悲劇の生まれる過程の一つを目撃したい方だけ……最後までどうぞ。
 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 サスケが去って、一年……。
 ナルトが旅に出て、九ヶ月が過ぎた。

 ヤオ子の木ノ葉での一人暮らしも安定し、任務も今まで以上にこなしていた。
 その間、左手の額当ては布に包まれたままで、生活に大きな変化は見られない。

 いや、大きな変化といえば、体の成長があった。
 丁度、成長期に来ている身長が急激に伸び始めた。
 背の高さは、同じ世代の子より抜きに出ている。
 その身長は、今、ヤオ子の家のインターホンを押す少女……サクラが少し見下ろすぐらいである。


 「は~い~」


 ヤオ子は家の扉を開けた。



  第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作



 家の前でサクラを確認すると、ヤオ子は首を傾げる。
 本日、サクラが訪ねて来るような用事はなかったからだ。


 「どうしたんですか?
  こんな朝早くから」


 ヤオ子の疑問の答えに、サクラが紙を見せる。
 それは図書館の借りた人リストだった。


 「何ですか? これ?」

 「あんた、この薬草の本……借りたでしょ?」


 サクラがメモ用紙を手渡すと、ヤオ子はメモ用紙に目を移す。


 「確かに、あたしが借りましたね」

 「読みたいから、返して」

 「…………」


 ヤオ子はチョコチョコと頬を掻く。


 「何を言っているのかな?
  期限まで、後、四日ありますよね?」

 「私は、今日、読みたいの!」

 「何処のジャイアンですか……。
  期限以内には返しますので……帰って!」


 ヤオ子がドアを閉めようとすると、サクラがドアの間に足を滑り込ませた。


 「今日、必要なの!」

 「何で、ですか?」

 「綱手師匠に出された課題をしなきゃいけないのよ!」

 「すればいいじゃないですか」

 「それを調べるのに、あんたの借りた本が必要なのよ!」

 「あたしに譲歩を迫らないで、綱手さんに言えばいいでしょ」

 「あんたは綱手師匠の恐ろしさを知らないから、
  簡単にそんなことが言えるのよ!」

 「恐ろしさぐらい知ってますよ。
  あの乳を揉もうとして、何回生死を彷徨ったか……」

 「あんたみたいに、エロに命を懸ける人間と一緒にしないで!」

 「何だかんだで死にませんから、命は懸けませんよ。
  綱手さんは優秀な医療忍者ですし」

 「あんた、本当に死に掛けるほど殴られてんじゃない!」

 「あたし、冗談は言いませんよ?」

 「嘘つくな!」


 ヤオ子は『面倒臭いな~』と思いながら、頭を掻く。


 「まあ、いいか……。
  後、一回ぐらい読みたかったけど。
  大体、暗記したし。
  ・
  ・
  上がってください」

 「…………」

 「お邪魔します」


 サクラはヤオ子の家に上がり、ヤオ子の後ろに続く。
 ヤオ子はサクラを伴いリビングの壁際に近づくと、ぶら下がる紐を引いた。
 それと同時に壁がスライドし、壁の中に隠された本棚が姿を表わす。


 「え~と……。
  あ、ここだここだ」


 ヤオ子が件の本を取ると、サクラに振り返る。


 「後で一緒に返しに行きますか?
  それとも、今、返しに行きますか?」

 「ちょっと、待って!」


 サクラはヤオ子を押し退けると、本棚からヤオ子が取り出した付近の分厚い辞書のような物を引っ張り出した。
 その本を捲ると、サクラは食い入るように読み出した。


 「これ……。
  図書館にも置いてない高価な薬草辞典じゃない?」

 「そうですよ」

 「何であるのよ?」

 「任務で必要だったんで……買っちゃった♪
  あたし、薬草には詳しくなりたいんで」


 サクラはヤオ子の話を半分聞き流して、更に薬草辞典を捲る。


 「凄い……。
  こんなに詳しく……」

 「あの~……。
  図書館に返す本は?」

 「ヤオ子。
  ここで課題をやっていくわ」

 「は?」


 サクラはヤオ子の家の本棚の一角を手でなぞる。


 「あんたんとこの本棚。
  薬草の本だけは、図書館より充実しているのよ」

 「一種のトラウマですからね。
  薬草に関しては……。
  ・
  ・
  まあ、いいです。
  ゆっくりしていって下さい」

 「助かるわ」


 サクラは必要な薬草関係の本を数冊取り出すと、広いリビングの真ん中にある大きなテーブルへと向かう。
 そして、背中のリュックを下ろしてテーブルの上に課題と薬草関係の本を広げ始める。


 「あたしは向こうの部屋にいますんで、
  何かあれば呼んでください」

 「分かった。
  じゃあ、早速。
  飲み物入れて」

 「…………」

 「木ノ葉の女の子って遠慮がないよね。
  特に女の子同士だと……」


 ヤオ子は業務用冷蔵庫に向かい、扉を開ける。
 中からオレンジジュースを取り出し、食器棚からコップを取って注ぐと、それをサクラの居るテーブルの端に置いた。


 「ごゆっくり」


 ヤオ子は自分の作業をするため、増築した部屋へと入って行った。


 …


 お昼近く。
 サクラが綱手の課題を終了させ、大きく伸びをする。


 「ヤオ子の薬草辞典のお陰で捗っちゃった。
  ・
  ・
  お礼を言わなきゃ」


 サクラはテーブルの前から立ち上がると、ヤオ子の閉じ篭った部屋へ向かい、ノックする。
 ノックのあと、直ぐにヤオ子が顔を出す。


 「どうしました?」

 「課題終わったの。
  凄く助かったわ。
  ありがとう」

 「いえいえ。
  どういたしまして」


 ヤオ子が時計に目をやる。


 「サクラさん。
  お昼、ご一緒しませんか?」

 「そうねぇ……。
  明日、提出の課題が午前中で片付いたんだから、時間はあるわね。
  お言葉に甘えさせて貰うわ」

 「と、言っても、昨日のお夕飯の残りを温め直すだけなんですけどね。
  ・
  ・
  少し待っててくださいね」


 ヤオ子は部屋を出て、台所の方に消えた。
 一方の残されたサクラはリビングに戻り、使わせて貰った薬草辞典を本棚へ戻しに近づく。


 「綺麗に整理整頓してあるのね。
  薬草関係は……ここね。
  ・
  ・
  他にどんな本があるんだろう?
  ドラゴンボール?
  北斗の拳?
  Gガンダム?
  etc...。
  どれも聞いたことのない漫画ね……。
  ・
  ・
  ナース特集……。
  美脚…云々……。
  etc...。
  エロ本が混ざってる……。
  ・
  ・
  イチャイチャパラダイス…上…中…下……。
  イチャイチャバイオレンス……。
  etc...。
  カカシ先生が読んでるエロ小説まで……。
  ・
  ・
  同人……?
  何だろう?」


 サクラが聞いたことのない本を手に取る。


 「薄い本ね?
  何だろう?
  何かのワンシーンを書き換えているのかしら?
  ・
  ・
  意味のない露出……。
  これもエロ本の類か……」


 別の本を取る。


 「こっちは小説?
  何だろう?
  同じ本のタイトルなのに内容が全然違う」


 そして、禁断の本へと手が伸びる。


 「BL……?」


 この出会いが、後の木ノ葉丸のおいろけ・男の子どうしの術でのとんでも発言に繋がるとか繋がらないとか……。


 …


 ヤオ子が温め直したスペアリブをテーブルに運ぶ。


 「自信作なんですよ。
  値段は安く済むし、時間だけ掛ければいいお手軽料理なんで。
  ご飯は、ここに置きますね」


 ご飯を電子ジャーから盛り付け、テーブルに並べる。


 「箸でも切れるぐらいの柔らかさなんですよ」

 「…………」


 しかし、食事の用意が終わったのに、サクラからは一向に返事が返って来なかった。


 「あれ? 反応がないですね?」


 ヤオ子はサクラの様子を見ると、本棚の前で何かの本を食い入るように見ていた。


 (何、見てんのかな?)


 ヤオ子はサクラの後ろに近づき、肩越しに覗き込む。


 「あまり読むと腐女子になっちゃいますよ」


 ヤオ子の声にサクラが我に帰った。


 「ヤ、ヤオ子!?
  この本、何!?」

 「BL……Boys Love、略してBL」

 「BL……」

 「十代の少年……特に美少年同士の間での恋愛を指す言葉です。
  似た言葉に少年愛・ショタコン・やおい・JUNEなどがあります。
  清純な少女で居たいなら、その手の本は見ないことをお勧めします」

 「…………」


 サクラの視線がヤオ子の方から、ゆっくりと手元の本へと移る。


 「借りて行こうかな……」

 「え?」

 「べ、別に変な意味じゃないわよ!?
  ただ、ちょっと…気になったというか……」

 「…………」


 ヤオ子はジト目でサクラを見ると、ボソッと呟いた。


 「変態」

 「こんな本を持ってる、あんたに言われたくないわよ!」

 「あたしは、もう、オープンにしてるもん」

 「ぐ……。
  変態の強みを前面に押し出して来た……」


 ヤオ子がチョコチョコと頬を掻く。


 「まあ、ドツボに嵌らない程度にどうぞ。
  あたしは、見なかったことにします。
  親に隠れて見てください」

 (思春期男子のように……。
  そして、部屋を掃除したお母さんにバレて、
  無言で机の上に置かれるがいい……)

 「どうしよう……。
  このまま突き進んだら、ヤオ子の仲間入りしそう……」

 (サクラさんが、その本に興味を持った時点で、あたしには仲間意識が芽生えています)

 「引き返すなら、今しかありませんよ?」

 「私の中で天使と悪魔が囁き続ける!」

 「『見ちゃいなさいよ! サスケ君だってエロ本の一つや二つ見てるって!』
  『違うわ! サスケ君は清純な女の子が好きなのよ!』
  ・
  ・
  みたいな?」

 「あんたは、心が読めるのか!?」


 迷うサクラに、悪魔は冷静に話し掛ける。


 「サクラさん。
  結論言っちゃいますよ」

 「?」

 「バレなきゃいいんですよ」

 「…………」


 サクラの心が大きく傾いた。


 「そうね……」


 サクラ……ヤオ子の変態ランドに大いなる一歩を刻んでしまった瞬間であった。


 …


 一騒動のあと、ヤオ子とサクラが食事を始める。
 柔らかくも肉汁を閉じ込めた、絶品のスペアリブを食べながら、サクラが本音を溢す。


 「性格と技術は、やっぱり別物よね」

 「何の話ですか?」

 「変態でも美味しい料理を作れるってこと。
  このスペアリブ……凄く美味しいわ」

 「まあ、美人でも、どうしようもない綱手さんみたいな人も居ますし……。
  天は、二物を与えないんじゃないですか?」

 「私は?」

 「頭が良くても、乳がない時点でハンデがあります。 ね」


 サクラのグーが、ヤオ子に炸裂した。


 「失礼ね!
  しっかり育ってるわよ!」

 「あたしもセクハラする楽しみが減るので、
  大器晩成型であることを切に願っています」

 「あんたのセクハラのために成長したくないんだけど……」

 「ちなみにあたしは、既に里の女の子の六割三分四厘に手を出しています」

 「あんたねぇ……」


 妙な会話をしながらの食事は三十分ほどで終わり、ヤオ子は洗い物を始める。
 そのヤオ子にサクラが質問する。


 「ヤオ子。
  さっき、何してたの?」

 「あたしも二次小説を創作してみようと思って。
  試していました」

 「BL?」

 「そんなわけないでしょう」

 「じゃあ、何を書いてたの?」

 「見てみます?」

 「うん」


 洗い物が終わると、二人は別室に移動した。


 …


 ヤオ子の家にある別室。
 勉強机などが置かれ、主に物を書いたりする時などに使用する。
 もう一つは、謎の工作室。


 「勉強部屋?」

 「そんなもんです」

 「しかし、このアパート広いわねぇ……」

 「いい物件でしょ?」

 「うん」

 (違法で改造しまくってますから)


 ヤオ子は書き掛けの紙をサクラに見せる。


 「まだ、あらすじだけなんですけどね」

 「『魔法少女リリカルなのは A`s』……何これ?」

 「実は、原作は知りません」

 「は?」

 「うちにある本は、ほとんどが拾ったものです。
  そして、『魔法少女リリカルなのは A`s』に関しては、
  全部二次創作のものなんです」

 「一体、何をしようとしてたの?」

 「二次創作からの原作の再現ですね。
  再現しようとしたのは、クライマックスの話だけですが」

 「そんなの出来るの?」

 「出来るんじゃないですか?
  所詮は、二次創作です。
  原作ありきでやっている以上、
  統計を取って、統計の一番多い話が原作に近いと思われます」

 「なるほど」


 しかし、ここで既に間違いがある。
 拾った本である以上、捨てた人間の趣味思考が同人の二次創作では表れやすい。
 よって、統計を取っても間違った方向に100%進む。

 サクラが、あらすじを読む。


 「『八神はやてが闇の書の封印をするも失敗する』
  ・
  ・
  何? 封印って?」

 「よく分からないんですけど。
  巻物みたいものなんじゃないですか? 封印術を使った」

 「ふ~ん。
  闇の書って?」

 「『闇の書の暗部たる防衛プログラム……』って、書いてあるんですけど、さっぱり。
  多分、封印するのを邪魔する奴でしょうね。
  その邪魔者を倒してコアを消滅させる流れになって行くみたいです」

 「よく分かんないわねぇ。
  八神はやては?」

 「よく分からなかったんで、独自設定で補完しました」

 「どんな?」

 「父親が夜神月で、母親が弥海砂です。
  父親の方は、デスノートという死神のノートを使って人殺しをしていましたが、既に殺されています。
  母親の方も死神の目との取り引きにより、寿命が短くなっているので、既に死んでいます」

 「え~と……。
  分からない……」

 「そうですか?
  原作を再現しようとはいえ、ほぼ三次創作に近いものですからね。
  詳しくは、デスノートという漫画を見てください」

 「それで?」

 「死神に魅入られた両親の血を受け継いだために、八神はやてにも闇の力が備わります。
  ここで闇の書が八神はやてに取り憑きます。
  そして、闇の書を再び封印するため、巫女の巣島の綾崎はやてを訪ねます」

 「んん!?
  また、変なキャラクターが出て来たわね?」

 「綾崎はやては、女装趣味の凄腕何でも執事です。
  助手のイタコのアンナと八神はやてを特訓します」

 「……あんた、本当に原作を再現しようとしてる?」

 「さっきも言いましたが、ここは情報が少ないところです」

 「まあ、いいわ。
  続けて」

 「ここで修行をした八神はやては、オーバーソウルを使って守護騎士を召喚します」

 「また……。
  オーバーソウルって、何!」

 「過去の所有者の思いの強いものを媒介にして巫力で体を与えて戦わせるんです。
  詳しくは、シャーマンキングを読んでください」

 (何か……。
  もう、既にとんでも設定になってる……。
  これって原作じゃなくて、
  三次創作の悲劇とか二次創作のタブーを再現してんじゃないの?)

 「そして、守護騎士を呼び出します。
  逆刃刀 in 緋村剣心。
  無限刃 in 志々雄真実。
  謎の業物 in 斎藤一。
  魚の骨 in 相楽左之助」

 「魚の骨が何で媒体に……」

 「劇中で、よく咥えていました。
  詳しくは、るろうに剣心を読んでください」

 「それから?」

 「呼び出した守護騎士が暴走します」

 「何で……」

 「緋村剣心と志々雄真実は敵同士。
  斎藤一と相楽左之助も犬猿の仲です。
  このせいで闇の書を封印しようとしても出来なくなります」

 「ヤオ子……。
  八神はやてが、ただの馬鹿の子になってる……」

 「安心してください。
  ここまでは、原作が分からないところだからです。
  ここからは間違いなく原作通りです。
  『魔法少女リリカルなのは A`s』の登場人物しか出ません」

 「そうなんだ……」

 「『闇の書を退治する仲間達』のあらすじです。
  封印を失敗した八神はやてを別捜査で追っていた集団が助けます」

 「何で……」

 「名探偵コナンで、いきなりFBIが出てくるようなもんです」

 「FBI……分からない」

 「詳しくは、名探偵コナンを読んでください。
  ・
  ・
  そして……。
  『白い服の魔法少女のなのはが、ユーノ君に一緒にやっつけようと迫る』
  に続きます」

 「ん? 迫る?」

 「はい。
  なのはは、ユーノが好きで好きで堪りません」

 「何で……」

 「彼女の持つ杖。
  これが呪いのアイテムだからです」

 「何で、魔法少女が呪いの杖を持ってんのよ?」

 「杖の名前が確か……カレイドステッキ!
  世にも恐ろしいマジカルルビーという、声だけは可愛らしい人工天然精霊が宿っています。
  そして、『鈍感な意中の男性に対する素直になれないスーパーオトメ力』により、
  強制的に魔法少女にしてしまったんです。
  詳しくは、Fate/hollow ataraxiaの設定を調べてみてください」

 (何て設定だ……)

 「形状はレイジングハート・エクセリオンの型を受け継ぎ、
  マガジン型のベルカ式カートリッジシステム『CVK792-A』を搭載しています」

 「あ~も~……。
  さっぱり分からない……」

 「まあ、その杖のせいでユーノ君に秘めた思いが爆発するわけです。
  そして、嫌々ながらも、ユーノ君は強引に協力させられて、
  無事に闇の書を消滅させましたとさ……おしまい」

 「あらすじ三つしかないし……。
  最初、封印って言っていたのが消滅に変わってんだけど……」

 「そこを好き勝手するのが二次創作の醍醐味ですよ♪」

 「違う気がする……」

 「まあ、そんな感じであたしも二次創作を書いてみます。
  向こうの部屋でのんびり寛いで、後で読んでくださいね」

 「まあ、いいけど……」


 サクラが部屋を出る。
 胸には多大な不安しか残らない。


 …


 == 魔法少女リリカルなのは A`s ~最後っぽいところを再構成~ ==

 作:八百屋のヤオ子



 キラがこの世界から消え去り、数年が過ぎた。
 第二のキラ弥海砂も、この世には、もう居ない……。
 残されたのは子供だけ……。
 夜神の苗字を受け継いだだけの女の子……。

 キラを崇拝する信者達は、彼女をキラと呼び続けた。
 キラの名は、また幼い少女を縛りつけ苦しめた。

 しかし、運命は彼女を更に縛り付ける。
 平行世界を旅する巻物……闇の書が彼女の死神の臭いを嗅ぎつけて現れたのだ。
 両親が死神のノートに魅入られていたから分かる……。
 この巻物は、あってはいけない……。
 封印しなければいけない……。

 彼女の旅が始まる。


 …


 数年後、彼女は巫女の力を受け継ぐ島……巫女の巣島に身を置いていた。
 自身の力を闇から光に変え、闇の書を永久に封印するためだ。
 厳しい修行が続いた。
 島の神官の付き人のイタコのアンナの修行は、常軌を逸していた。
 頭のネジが飛んでいるのではないかと思うほどのドSっぷりだ。
 それでも、ひたすら彼女は耐え続け、遂に免許皆伝を得る。

 島の神官……綾崎ハヤテ(男)が彼女に祝福を与える。
 呪われた夜神の苗字を変え、八神に……。
 そして、自分の名前を与え、はやてと……。

 彼女は、八神はやてとして闇の書との戦いに向かうのだった。


 …


 海鳴市周辺の海上……。
 八神はやてが、闇の書封印のための準備を始める。
 巫女の衣装に身を包み、自身の巫力を高めていく。
 この封印のために方々から集めて来た守護騎士の媒体……。
 今、それに力を宿す。
 はやてが両手を突き出し、巫力を注ぎ込む。


 「逆刃刀 in 緋村剣心!
  無限刃 in 志々雄真実!
  謎の業物 in 斎藤一!
  魚の骨 in 相楽左之助!
  ・
  ・
  みんな! わたしに力を貸して!」


 媒体を中心に光が集まり、守護騎士達が姿を現し始めた。


 「成功や!
  みんな! 今から闇の書を封印します!
  ・
  ・
  力を……って、ちょっと!」


 はやての前で守護騎士達が戦い出した。


 「ここに居たか! 抜刀斎!」

 「志々雄ーーーっ!」

 「この阿呆が!」

 「斎藤! ここであったが百年目だ!」


 はやてが焦って叫ぶ。


 「待って! 話を聞いて!」

 「「「「うるさい!」」」」


 幕末の志士達の剣気に気押されて、黙るはやて。


 「何で…何でなん……。
  剣心さんぐらいは、言うこと聞いてくれると思ったのに……」


 はやての前では、延々と幕末が繰り広げられていた。


 (あの剣心さん……。
  抜刀斎の頃や……。
  頬にペケがない……)


 そして、恐れていた事態……闇の書が暴走を始める。
 巻物が黒いオーラに包まれ、勝手に開いていく。
 封印されていたものが、自身のコアを守るために防衛プログラムを組み上げて実体化していく。


 「あかん!
  早く封印せんと!
  ・
  ・
  みんな──」

 「「「「うるさい!」」」」

 「何でなん!?」


 はやてにも限界はある。
 この緊急事態に自分の守護騎士達は、一向に言うことを聞かない。
 額にはペケが浮かんでいた。


 「言うこと、聞かへん子は嫌いや!」


 守護騎士達に注いでいた巫力をカットする。
 瞬間、守護騎士達は体を失い、魂だけが残る。


 「こんなもん! いるかーっ!」


 はやてが媒体を海に投げ捨てる。
 ハアハアと肩で息をする中で事態は悪化していく。


 「あかん……。
  あかん! あかん! あかん!
  どうすればいいんや!?」


 海鳴市周辺の海上で、一人の少女が絶叫していた。


 …


 時空管理局……。
 次元の狭間から、世界が混沌に陥った時に現れる謎の武闘派集団……。
 そこの嘱託魔導士三名とBOSSが現れる。

 高町なのは(嘱託魔導士)
 呪いの杖……カレイドステッキとの契約により、誕生してしまった悲劇の魔法少女……。
 白いバリアジャケットに栗毛のちょっとツインテール。

 フェイト・テスタロッサ(嘱託魔導士)
 高町なのはに助けられて以来、カレイドステッキから流れ出る魔力の精神汚染を著しく受けてしまった少女。
 彼女は、なのはの幸せこそが第一という固定観念をカレイドステッキにより、植え付けられている。
 黒いバリアジャケットに金髪ツインテール。

 ユーノ・スクライア(嘱託魔導士)
 カレイドステッキに目をつけられたなのはの捕食対象。
 見た目、女の子っぽい男の子。

 クロノ・ハラオウン(BOSS)
 銀髪の天然パーマ。
 黒いバリアジャケットに、洞爺湖と入った木刀を腰に挿している。


 …


 はやての周りに時空管理局の面々が降り立つ。


 「もう、大丈夫だよ」


 白いバリアジャケットを着た女の子がはやての肩に手を置く。
 はやては、まるで天使が舞い降りたかのような錯覚をした。


 「一人で頑張らないで」


 少女の優しい言葉に、はやての目に涙が浮かぶ。
 誰も頼れなかった。
 誰も手を差し伸べてくれなかった。
 だけど、今は違う……。


 「わたし…わたし……。
  闇の書を封印しようとして……」


 なのはが優しくはやてを抱きしめる。


 「分かってるよ。
  はやてちゃんは、よく頑張ったよ。
  後は、わたしとユーノ君を信じて」

 「うん……。
  お願い……」


 なのはの言葉に、ユーノが固まっている。


 「なのは……。
  気のせいかな?
  『なのはと僕で』って言わなかった?」

 「言ったよ」

 「『皆で』じゃないの?」

 「何で?
  わたしは、ユーノ君と戦いたいの」

 「いやいやいやいや……。
  目の前を見てよ。
  何か『ウジュウジュ』言ってるよ。
  あんなの二人じゃ無理だよ」

 「二人の愛があれば大丈夫♪」

 (大丈夫じゃない……)


 ユーノの首にガンダム・デスサイズの釜みたいなものが伸びる。


 「ユーノ……。
  わたしのなのはに逆らう気?」

 「フェイト!?
  逆らってない! 決して逆らってないよ!」

 「なら、いいの……」

 (何だ? この状況は?)


 ユーノは頭が痛かった。
 闇の書の防御プログラムは暴走を続け、ウジュウジュと不快な効果音を発しながら増殖している。
 そして、そんな状態のユーノの肩をポンとクロノが叩く。


 「ユーノ……。
  大人になれ」

 「は?」

 「お前がなのはと恥ずかしい言葉を叫べば、全てが終わるんだからよォ」

 「いやいやいやいや……。
  そんな渋い声で諭されても、僕は困りますよ」


 はやても、頭が痛かった。
 自分の守護騎士以上に、ここは修羅場なんじゃないかと……。
 一方、なのはの様子がおかしい。
 なのはに中々返事を返さないユーノの態度に、なのはの呪いが膨れ上がっていたためである。


 「ユーノ君……。
  わたしのこと……嫌いなの?」

 「なのは?」


 なのはが俯いて呟く。


 「嫌いならそれでもいいの……。
  ユーノ君を殺して、わたしも死ぬから……」

 「ちょっと!
  何で、そうなるの!?」

 「ユーノ君が、わたしを好きじゃない世界なんて、あってもなくても一緒……。
  ・
  ・
  そうだ……。
  ユーノ君を殺す前に世界を壊そう……」

 「…………」


 クロノの膝蹴りがユーノの腿に突き刺さる。
 ユーノは、あまりの痛さに耐え切れず、なのはにしがみ付いた。


 「ユ、ユーノ君!?」


 なのはは頬を染め、空かさずクロノがフォローを入れる。


 「ユーノがなのはを嫌いになるわけないだろう!
  今だって、嬉しさの余り自分から抱きついたぐらいだ!」


 クロノがナイスガイポーズでティーンと歯を光らせる。


 「ほ、本当ですか!?」

 「ああ! 愛、故に!」


 なのはが悶えて離れると、クロノがユーノの頭を掴む。


 「いいか?
  よく聞け……このヤンキーが」

 「金髪を全員ヤンキーと言う前時代的な考えは、どうなんでしょう?」


 クロノのヤクザキックが、ユーノに炸裂する。


 「黙って聞け。
  お前に選択の余地はない」

 「時空管理局……。
  絶対に辞めます……」

 「いいか?
  なのはを制御出来るのは、お前だけなんだ。
  上手く言って落とせ」

 「健全な青少年に向ける言葉じゃありませんよね?」

 「最近のガキは……。
  ・
  ・
  分かった。
  お前にもフォローしてやる」

 「何ですか? それは?」

 「アイツは、きっとナイスバディになる」

 「は?」

 「結婚すれば、いつでもエロいことが出来るぞ」

 「真面目な顔して、何言ってんですか!」

 「そして、もれなくフェイトが付いて来る……。
  どうだ?」

 「『どうだ?』じゃねーよ!
  思わず突っ込み入れちゃったよ!
  あんた、何考えてんだ!」

 「世界の平和だよ。
  正直、あの二人……持て余してんだよ。
  馬鹿みたいな魔力を内在させててさ。
  ・
  ・
  怖いよ? 最近の子は?
  いつキレるか分かんないんだから」

 「そんな危ないのを、僕に押し付けないで下さいよ!」

 「だ~か~ら~。
  エロいことしてもいいって言ってんじゃん」

 「お前、どっかのキャッチか!
  仮にもBOSSだろ!?」

 「何?
  もしかして、お前、こっちの気があるの?」


 クロノが手の甲を頬につける。


 「あるか!
  僕は、健全だ!」

 「だろう?
  だったら、世界のために落としちゃえよ。
  ユー やっちゃいなよ!」

 「馬鹿か!?
  あんた馬鹿なのか!?」

 「それとも第三の選択肢としてフェイトに殺されるか?」

 「…………」


 ユーノが視線を上に向けると、フェイトの目が冷たくユーノを見下していた。


 「僕は……。
  僕は、何をすればいいんですか?」

 「いい子だ。
  ・
  ・
  お~い! なのはちゃ~ん!」

 「何ですか? BOSS?」

 「ユーノが、なのはの愛を受け入れるって!」

 「本当に?」

 「ああ。
  ほら、ユーノ!
  行動で示せ!」


 クロノの強力な握力がユーノの頭をがっちりと掴むと、なのはの頬に強引な口付けをする。
 なのはが、再び悶える。
 ユーノはがっくりと膝をつき、その様子をはやてが涙目で見ている。


 「じゃあ!
  いってきます!」


 なのはがユーノの手を引いて飛び立っていく。
 ユーノは抜け殻のようになっていた。


 …


 闇の書が形をなして、モンスターのように受肉していく。
 その様子を見て、ユーノは気を引き締め直す。


 (この敵も、よく待っててくれたよな……)


 ユーノは、心の中で闇の書の敵としての紳士振りに感謝した。


 「ユーノ君……。
  これを言って欲しいの……」


 敵を前に緊張するユーノの前に、なのはが照れながらユーノに紙を渡す。
 それを読んでユーノはサーッと暗くなった。


 「こ、これ?」

 「そう♪」

 『いいセリフじゃないですか。
  サクッと言ってくださいよ』

 「黙れ!
  この似非ステッキが!
  早く、なのはとの契約を解除しろ!」


 ユーノが、なのはのデバイスであるカレイドステッキを怒鳴りつける。


 『嫌ですよ。
  私は、健気ななのはさんの愛に応えただけです。
  こんな一生懸命な(おもしろい)子を
  見捨てるわけないじゃないですか。
  とことん付きまといますよ(骨の髄まで)』

 「君の言葉は、本音も漏れるんだからな!」

 『嫌ですね~。
  ユーノさんったら♪
  私は、愛と正義のカレイドステッキですよ?』

 「もういい!」

 (クソッ!
  このステッキにいつか天誅を……)


 ユーノを置いて、なのはが嬉しそうに闇の書を指差す。


 「えい♪ Bind♪」


 なのはの指先から光発色するピンクの帯が伸びる。
 それがモンスターと化した闇の書を縛っていく。
 幾重にも幾重にも幾重にも……。

 ユーノは呆然とする。
 なのはのBindに包まれて闇の書の防御壁がバリバリと砕け散っている。
 Bindは防御壁を噛み砕くように食べていく。
 そして、モンスターが丸い球状に形成されていった。


 「Bindだけで拘束した……」

 「まだまだ♪」


 Bindがギュウギュウと締め付ける。
 締め付けられる球体からダバダバと血液とも体液とも見分けがつかない液体が海に広がっていく。
 やがて球体は、バスケットボールぐらいの大きさまで締め付けられた。


 「ふふふ……。
  可哀そうな子……。
  なまじ再生力が強いから回復する側から締め付けられて……」


 バスケットボール状の球体から液体が流れ続ける。
 まるで早く殺してくれと言わんばかりに……。


 「な、な、な、なのは!
  やろう! 直ぐにやろう!」

 「本当?
  これがユーノ君との初めての愛の共同作業だね♪」


 ユーノは、なのはの笑顔が怖かった。
 それでも苦しんでいる闇の書を楽にしてあげるために決意した。

 なのはが高らかにカレイドステッキを掲げる。


 「カレイドステッキ!
  エクセリオンモード!」

 『OKです。
  いきますよ!』


 カレイドステッキが変形する。
 より強力な攻撃が出来るように……。

 そして、そこにフェイトが現れる。


 「なのは! これを!」


 ジャラッと鎖の擦れるような音をさせて、何かをなのはに投げた。
 なのはは、それをキャッチすると体に巻きつける。
 さながら、小型のシュワちゃんかランボーのようだ。


 「ありがとう!
  フェイトちゃん!」


 ファイトは微笑むと距離を取る。
 そして、弾丸……もといマガジンのカートリッジを一気にロードし尽くすとマガジンを投げ捨て連送用に付け替える。


 『なのはさん!?』

 「いくよ! カレイドステッキ!」

 『無理!
  無理無理無理無理無理無理ッ!』

 「リロード開始!」


 ガチャコンガチャコン言いながら、カートリッジが次々にロードされていく。


 『なのはさん!
  死んじゃう!
  死んじゃうって!』


 カレイドステッキの悲痛な叫びなど無視して、なのははロードし続ける。
 ユーノの天誅は、思いの他早く実現した。


 『ちょっと!
  いい加減にしてください!』


 カレイドステッキの紅玉部分にビシビシと皹が入る。


 「えい♪ 強制Recovery♪」

 『ぐあぁぁぁ!
  死にたいのに死ねない~っ!』


 カレイドステッキの紅玉部分が、夜を昼間のように照らすように輝き続ける。


 『やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめて! やめて! やめて! やめて! やめて!
  やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
  解除する! 契約解除するから!』

 (自業自得だな……)

 「ダメダメ♪
  ユーノ君とアレやってからじゃないと♪」

 『ユーノさん!
  アレやって! アレアレ!』

 「あまりやりたくないんだけど……」

 『そんなプレイいらない!』

 「ユーノ君……。
  やっぱり──」

 「違う!
  そんなことない!
  そんなことないよ!」

 「本当?」

 「もちろんだよ!」

 (ああ……。
  やるのか……)


 ユーノが溜息を吐いて決意を決める。
 そして、頬染めながら口を開く。


 「ふ、二人のこの手が──」

 「ヤダ」

 「え?」

 「もっと前から、わたしに言って!」


 ユーノはタラタラと汗を流して言い直すことを決意させられた。
 そして、手元の紙を見て感情を込める。


 「な、なのは……。
  聞こえるか? なのは……。
  返事はしなくてもいい……。
  ただ、聞いていてくれればいい……。
  ・
  ・
  なあ、僕達はこの一年間、一体何をして来たんだ?
  僕達のこの一年間は、一体なんだったんだ?
  まだ……何も答えなんか出てないじゃないか!
  それで、僕達の一年が終わってしまっていいわけないだろう?
  だから、これからも一緒でなくちゃ、意味が無くなるんだ!」


 なのはの左右の縛った髪がピンと立つ。
 『キャー』と言って更にロードする。
 ユーノは、更に顔を上気させる。


 「僕は、闘うことしか出来ない不器用な男だ。
  だから、こんな風にしか言えない。
  ・
  ・
 (ガチャコンガチャコン……)
  ・
  ・
  僕は、お前が…お前が……お前が好きだっ!!
  お前が欲しいっ!!
  なのはーーーーーーーーーーっ!!」

 「ユーーーーーノくーーーーーんっ!!」


 『ひしっ!』となのはとユーノが抱き合う。
 ちなみに、カートリッジは全てロードし尽した。
 フェイトは満足そうに頷き、クロノは裂きイカをツマミにシュガーミルクストロベリーを煽っていた。


 「ユーノ君!
  ごめんなさい……。
  でも、わたし……もう放れない!」

 「放しはしない……」

 「「ずうっと、ずうっと一緒だよ!」」


 クロノが裂きイカを噛みながら思う。


 (結構、ノリノリでやってんじゃんか……ユーノの奴)


 ユーノがなのはの肩を掴んだ。


 「最後の仕上げだ!」

 「うん!」


 ユーノが、なのはのカレイドステッキに手を添える。


 「「二人のこの手が真っ赤に燃える!」」

 「幸せ掴めと!」

 「轟き叫ぶ!」

 「「爆熱!! ゴッド!! フィンガーーーーーッ!!」」

 「石!」

 「破!」

 「「ラ~ブラブ! 天驚拳!!」」


 カレイドステッキに溜まりに溜まったエネルギーが解放される。
 Bindだけで十分に消滅出来たんじゃないかという球体にエネルギーの奔流が流れる。
 闇の書は細胞ひとつ残さずに消滅した。


 『ああ……。
  光だけが広がっていく……』


 カレイドステッキも、また消滅していく。


 『私だけが死ぬわけがない……。
  貴様の記憶を一緒に残していく……。
  高町なのはーーーっ!』


 カレイドステッキは、別の平行世界に旅立った……。
 洗脳は解いたが記憶だけは鮮明に残して……。
 こうして、闇の書事件と呪いの杖・カレイドステッキのお話は終わりを迎えた。


 …


 エピローグ……。

 その後、高町なのはとユーノ・スクライアの中に拭い去れないトラウマが残った。
 フェイト・テスタロッサも正気を取り戻し、一週間は立ち直れなった。
 ダメな大人の代表クロノ・ハラオウンだけが理路整然としている。

 そして、この事件に関わった八神はやても、時空管理局の犬になっていくのであった。


 ~ 完 ~


 …


 ヤオ子がサクラの前で楽しみに感想を待つ。
 しかし、サクラの顔は険しい。


 「どうでしたか?」

 「この話の……」

 「?」

 「この話の何処に魔法少女が居るーーーっ!」

 「それは、あなたの心の中です」


 サクラのグーが、ヤオ子に炸裂した。


 「どういうこと?」


 ヤオ子が頭を擦って質問すると、サクラは冷めた態度で質問する。


 「まず、質問します。
  これはギャグですか?」

 「違います。
  シリアスです。
  ・
  ・
  ギャグなら、ギリギリセーフですか?」

 「いいえ、アウトです。
  っていうか、全てにおいてアウトです」

 「え~!
  何で~!?」

 「一から説明しないと分からんのか!」

 「分かるわけないでしょ!
  あたしは、いいと思って書いてるんだから!」

 「まず! あらすじ!
  口頭で説明したあれは、何だ!」

 「おかしいですか?」


 サクラのグーが、ヤオ子に炸裂する。


 「あらすじの役目を果たしてないでしょう!
  ほとんどがアドリブじゃない!」

 「ううう……。
  そうですか?」

 「あと、絶対に原作を読め!
  絶対にこんな話じゃないはずよ!」

 「いや、今回は、二次創作から原作を再現するのが目的じゃないですか……」


 サクラのグーが、ヤオ子に炸裂する。


 「だったら、余計なキャラや設定、台詞回しを入れるな!
  あんたの本棚を確認して調べただけで
  『DEATH NOTE』
  『ハヤテのごとく!』
  『シャーマンキング』
  『るろうに剣心』
  『Fate/hollow ataraxia』
  『銀魂』
  『新機動戦記ガンダムW』
  『機動武闘伝Gガンダム』
  『機動戦士Zガンダム』
  が混ざってんじゃない!」

 「結構、読みましたね……」

 「大体、何で、他作品を混ぜるのよ!」

 「設定忘れたから、適当に補完しました」


 サクラのグーが、ヤオ子に炸裂する。


 「それが悲劇を生む要素だと気付け!
  意図があるなら許すけど、その場凌ぎの訳の分からない設定は、NG!」

 「はい……。
  あとは……?」

 「謝れ」

 「え?」

 「原作と二次創作とこれを読んだ人に謝れ……」

 「ううう……。
  ・
  ・
  すいませんでした!!」

 「あと、私に……」

 「何で?」

 「二次創作って言うから期待して読んだのに、BLの話がないじゃない!」

 「それは初めから入れないって言ったでしょう!」

 「しかも、クロノを銀髪のオッサンに代えるし!」

 「うっさいですね!
  いつまでもサスケさんの黒髪を引っ張んなです!
  こち亀三十周年の時、新八がダメなオッサンみたいなこと言ってるけど、
  まだまだ銀さんは、二十代だ!」

 「うるさいわね!
  微妙にしかキャラ使えないなら、使うんじゃないわよ!」

 「背伸びしたんですよ!
  クロノは、もっと分かんないし!
  八神はやてに至っては、一人称が『うち』じゃなくて『わたし』だから、
  余計に扱い難いキャラだったし!」

 「あんた、何でこの作品選んだのよ!」

 「適度に短い構成だったからですよ!
  正直、今は非常に後悔しています!」

 「私の貴重な時間を!
  ・
  ・
  ・


 その後、ヤオ子の二次創作は、黒歴史として封印された……。


 DEAD END.



 …


 ※※※※※ サクラのとんでも発言について ※※※※※

 原作第二部で風遁・螺旋丸の使用でナルトが腕を怪我した後の話です。
 ラーメン屋から出てきて、木ノ葉丸の『おいろけ・男の子同士の術』が発動した時のサクラの反応……鼻血を吹いて『キャーッ! そう来るのォォーッ!!』です。
 サクラはナルトの居ない二年間に、何に目覚めたのか……。
 この前に言っていた『この変態忍者どもが!!』のセリフが霞む衝撃の一場面でした。

 今回のSSでは、そのサクラの変態としての目覚めをテーマにしました。
 サクラ自身は、結構、変態(?)に近い才能を持っていたと思います。
 サスケのファーストキスを狙っていたりしていたので。
 しかし、完全な目覚めには、何か切っ掛けがあったはずです。
 そこで、このSSではヤオ子を目覚めの原因にしました。
 多分、こうでもしないとサクラに変態としての才能は開花しない……かな?


 ※※※※※ ヤオ子の二次創作について ※※※※※

 本当は、こんなものを書くつもりはなかったのですが、サクラの変態要素開花の話を少しオブラートに包もうとヤオ子に暴走して貰うことにしました。
 そして、適当に二次創作を書かせるか……と、劇中のキャラクターに創作物を書かせるという初めての試みに挑戦させて貰いました。
 しかし、適当な二次創作を書くというテーマが難しい……。
 『適当って、何?』と直ぐに暗礁に乗り上げました。
 そこで、気晴らしにメイン掲示板の雑談を漁っていたら、『原作知識を知らずに書くな!』と……。
 『これこそが適当だ!』と投稿掲示板によくあがる『リリカルなのは』を利用しました。
 創作の材料……『wiki』『動画二本観賞』『適当さを出すために知っているアニメや漫画の知識での補完』。
 そして、生まれた混沌とした二次創作……。
 『リリカルなのは』を好きな方、本当に申し訳ありませんでした。


 …


 ※※※※※ 没ネタです ※※※※※
 ・リリカルなのは StSの混沌ネタです。
 ・ヤオ子の混沌二次創作で採用しなかった没ネタになります。

 == 中華少女りりかるカグラ 卵かけご飯  ==

 作:八百屋のヤオ子



 ここの機動六課には、魔物が住むと言う。
 場所はスバルとティアナの部屋の隣の開かずの間。
 しかし、ちゃんと住人は居たのである……。


 …


 連日連夜の練習と早朝練習。
 スバルとティアナは疲労を蓄積させながらも、明日の模擬戦で教官であるなのはに一矢報いるつもりでいた。
 しかし、二人は疲労を蓄積させ過ぎていた。

 翌朝……。
 目覚ましの音でのそのそとスバルは目を覚ます。
 疲労の蓄積で、いつも以上に頭がクリアにならない。


 「顔…洗ってこよう……」


 部屋を抜け出て洗面所へ。
 そして、顔を洗ったことで、頭が覚醒し始める。


 「ティア、起こすの忘れてた……」


 スバルは間違えて隣の開かずの間へと入る。
 鍵は、何故か開いていた。


 「ティア~。
  朝だよ~」


 いまだ眠りこけるパートナーを揺すると返事が返ってくる。


 「銀ちゃん……。
  分かったアル……」

 「早く用意してね~」


 スバルは、ぼーっとした頭で思い出す。


 「洗面所にタオル忘れた……」


 洗面所に戻るために開かずの間を出て、洗面所でタオルを確保すると、今度は自分達の部屋に間違いなく入る。
 そして、着替えを済ませると、外から声がした。


 「早くするアル」

 「ティア!?
  いつの間に!?」


 スバルは慌てて部屋を出た。
 いまだ眠りこける本物のパートナーを残して……。


 …


 (ティアがおかしくなった……。
  服装が赤いチャイナ服だった……。
  髪型もいつもと違うし……。
  何より、デバイスが傘になっていた……。
  ・
  ・
  どうしたんだろう?
  連日の疲労が蓄積して幻覚でも見ているのかな?)

 「おかわりアル」


 お構いなしに謎の人物は、スバルを上回る速度でお替りをしている。


 「ティ、ティア!
  そんなに食べて大丈夫なの?」

 「問題ないアル。
  卵かけご飯は、何杯でもいけるヨ」

 「そ、そうなんだ……。
  知らなかったよ……」


 そして、模擬戦の時間が迫っていった。


 …


 全員の目が偽物に集中する。
 午前中から居るが、明らかにおかしい……。


 「何アルネ?」


 なのはが声を掛ける。


 「本当に……ティアナなのかな?」

 「当たり前ネ。
  この胸の大きさが証明ネ」

 「胸は関係ない……」

 「兎に角、後は何するネ?
  冗談だったら、私、サッサと帰るヨ?」

 「…………」


 メンバーの意見……。


 なのは:
 (ティアナ……じゃないと思うんだけど)

 スバル:
 (先に病院へ連れて行った方がいいのかも?)

 ヴィータ:
 (前回のあたしの発言のせいだろうか?
  ティアナが、ああなったのは……)

 エリオ&キャロ:
 ((…………))


 偽物とスバルを残し、他の面々は廃ビルの上へと移動した。


 …


 なのはが複雑な気分で注意を入れる。


 「午前中の……纏めになるのかな?
  ・
  ・
  スターズから、2on1で模擬戦やるよ。
  バリアジャケット準備して」

 「はい!」

 「…………」


 偽物は沈黙している。


 「こらぁ! ティアナ!
  バリアジャケットに着替えて!」

 「何言ってるアルか!
  これが私の勝負服ネ!」

 「ティア! どうしたの!?
  真面目にやろうよ!」

 「うるさいアル!
  少し乳が大きいからって命令すんじゃねーヨ!」

 「ティ、ティア……」


 スバルはショックで抜け殻のようになりそうだった。


 「ティアナ!」

 「ぺっ!」


 偽物がなのはに唾を吐き掛けた。


 「スバル……。
  もう、いいから……」

 「なのはさん……?」


 なのはのオーラが変わった。


 「行くアルネ!
  着いて来い!
  ヒヨっ子!」

 「酷い……」


 何とも言えない空気で模擬戦が始まった。


 …


 スバルのウイングロードが伸びる。
 下準備は出来始めている。
 スバルは、いまだ勘違いしたままティアナを気遣っている。


 (私が指示しないと!)

 「ティア!
  クロスシフ──」

 「うっさい!
  お前は、黙ってアイツに『ダーティ・マネーロード』を出すネ!」

 「ウイングロード!」


 それでもスバルは言われたままにウイングロードを展開させると、偽物がウイングロードを駆け上がる。


 「フハハハハ!
  お前を倒して、明日から
  『中華少女りりかるカグラ 卵かけご飯』
  の始まりネ!」


 神楽は番傘を振りかぶり、なのはに襲い掛かる。
 完全な物理攻撃……魔力もなにもない。
 攻撃は展開されたなのはのラウンドシールドで防がれる。


 「こぉら! そんな危ない近接せ──」


 力任せに体勢が崩されると、なのはは慌てて距離を取り、バランスを戻す。


 (なんて力なの……)


 神楽が更に追い討ちを掛ける。


 「喰らうネ!」


 番傘から、マシンガンの弾が発射された。


 …


 廃ビルの屋上のヴィータ、エリオ、キャロが固まっている。
 スバルも下で固まっている。
 動いているのは、なのはと神楽だけだ。
 なのはの攻撃も段々と小技から大技に変わってきている様に見える。


 「もう、模擬戦始まっちゃってる?」

 「あ、フェイトさん」


 フェイトがティアナの手を引いて現れた。


 「ティアナ、寝坊したみたいで……。
  ・
  ・
  って、あれ?」


 なのはがスバル達と模擬戦をしている。


 「あれ、誰?」

 「「「ティアナ……?」」」

 「は?」

 「へ?」


 廃ビルの上で完全な沈黙が支配した。


 …


 上空で繰り広げられる戦いに、未だ偽物と気付かずスバルは叫び続ける。


 「ティアーッ!
  ティアーッ!
  ティアーッ!」

 「私はティアなんて軟弱な名前じゃないネ!
  神楽ネ!」

 「ティア!
  頭、痛いんだったら病院に行こう!
  私が着いて行ってあげるから!」

 「うるさい!」


 神楽がスバルに向かって、マシンガンを撃つ。


 「うわ!?」


 スバルは慌てて回避する。


 「うぐ…ひん……!
  こんなの……!
  こんなのティアじゃない……!」


 偽物です。
 本物は気付かないスバルに対して、廃ビルの屋上で拳を握っていた。
 そして、なのはの我慢も限界だった。


 「おかしいな……。
  二人とも、どうしちゃったのかな……?」

 「なのはさん!
  私は、正常です!」


 スバルの声をなのはは無視する。


 「がんばってるのは分かるけど……。
  模擬戦は喧嘩じゃないんだよ?」

 「何言ってるアルか!?
  喧嘩は、いつも命懸けネ!」

 「ティア~!
  もう、なのはさんを刺激しないで~!」


 ティアナは偽者に気付かないスバルに対して、廃ビルの屋上で拳を震わせていた。


 「練習の時だけ言うことを聞いてる振りで、
  本番でこんな危険な無茶するんなら、練習の意味……ないじゃない?」


 なのはのレイジングハートに魔力が蓄積されていく。


 「ちゃんとさ……。
  練習通りやろうよ……」

 「なのはさん?
  なのはさん!?
  ・
  ・
  ティア!
  謝って!」


 なのはのレイジングハートに、更に魔力が蓄積されていく。
 ティアナは気付かないスバルに対して、廃ビルの屋上で砲撃の準備を始めていた。


 「ねぇ……。
  私の言ってること……。
  私の訓練……。
  ・
  ・
  そんなに間違ってる?」


 なのはのレイジングハートは準備OKだ。
 ついでにティアナの砲撃の準備もOKだ。


 「少し……頭冷やそうか?」

 「なのはさん!?」

 「じっとして……よく見てなさい!」


 なのはが神楽に狙いをつける。


 「ディバイン……バスター!」


 流れる魔力の奔流。
 それに合わせて、神楽は番傘の柄を引く。
 電磁砲のエネルギーが解放され、廃ビル屋上からのティアナの砲撃による狙撃も同時に発射された。


 「     」


 辺りにクレーターが出来る。
 なのはと神楽は相殺により、ノーダメージ。
 スバルはティアナの狙撃のお陰で、吹き飛ばされて消滅しないで済んだ。


 「もう…ヤダ……」


 スバルは意識を失った。


 …


 煙が晴れて視界がクリーンになり、なのはが神楽を確認する。


 「ピュッ!」


 何かが顔に掛かる。


 「ざまーみろネ!
  主役交代の記念の醤油ネ!」


 なのはが黙ってバリアジャケットの袖で醤油を拭う。
 そして、キッ!と廃ビルを睨む。
 よく目立つ金髪発見。


 「フェイトちゃん!
  はやてちゃんにリミッター解除の連絡!」


 屋上に冬が来た。


 「「なのはがキレたーっ!」」
 「「「なのはさんがキレたーっ!」」」


 事態は最悪の方に向かっていく。
 そこに天然パーマの銀髪の男が現れる。


 「おーい、神楽~。
  ジャンプ買ったから帰るぞ~」

 「銀ちゃん!」


 神楽が銀時に駆け寄る。


 「酢昆布も買ったアルか?」

 「買うか。
  そんなもん」

 「え~!
  銀ちゃんばっかり、ずるいアル」

 「ずるくねーよ」


 置いてきぼりを食らうなのは……。
 そして、やっぱり……。


 偽物だった……。
  偽物だった……。
   偽物だった……。
    偽物だった……。
     偽物だった……。


 なのはの心の中でリフレインする。
 その日、やり場のない怒りの砲撃が天を幾重も貫いたという。
 犠牲者……スバル一名。


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